「あなたっていままで笑ったことがないの?」、1955年、最初の妻ナイーマがコルトレーンとクラブで初めて会ったとき、彼女はこうたずねている。このひとこまは、パオロ・パリーシが描くコルトレーンを象徴している。また、パリージは、痛めつけられた魂(激変する社会、薬物依存など)を振り切るように、サックスを吹く彼を描こうとする。
この生真面目なコルトレーンこそ、故相倉久人が日本に言い伝えている、演奏が終わった楽屋でもひとりサックスを吹いているコルトレーンである。
41歳を目前に夭折したジョン・コルトレーンの短い生涯には、じつにいろいろな出来事が凝縮されている。ブラック・パワー・ムーヴメントの渦中でもあった。なによりも、数々の伝説的なジャズメンと出会っている。パリージは、このコミックのなかで、とくマイルス・デイヴィスとの関係、そしてエリック・ドルフィーとの死別に誌面を割いている。よって増村和彦くんが好きなエルヴィン・ジョーンズへの言及がないことは、ファンにとってはフラストレーションになるかもしれない。しかし、アリス・コルトレーンとの恋愛、そして『アセンション』をクライマックスに描いた本書『コルトレーン』は、それはそれでひとつの真実を描いているように思う。
ele-king booksからジョン・コルトレーンの生涯を描いたコミック本を刊行した。すでに世界計7カ国で出版されたコミック・ノヴェルで、書いたのはイタリア人のグラフィック・アーティスト、パオロ・パリーシ。彼はロンドンの〈ソウル・ジャズ〉レーベルのアートワークなども手掛けている。
解説は大谷能生氏が執筆。この機会に、ジョン・コルトレーンの激動の人生を振り返ってみよう。





デトロイトやシカゴ周辺のビートダウンを彷彿とさせるラストホームを、マイロの別名義であるDJネイチャーがリミックス。マイロというとマッシブアタックの前身ワイルドバンチのメンバーとして語られることが多いが、約20年ぶりに再始動したDJネイチャーの原体験になっているのは、1989年にニューヨークへ引っ越したときに味わった黎明期のハウスミュージックだ。タイプサンはブリストルの主要ハウスパーティーであるフォーリング・アップのメンバー。
同じくフォーリング・アップのメンバーであるジェイ・L のデビュー作。自身のDJセットで多用するガラージ、そして、普段から聞き親しんでいるソウルやファンクの要素をミックスしたUK産ディープハウスの傑作ルッキング・アップ・パート1を収録。〈brstl〉は、ブリストルのレコード店アイドルハンズのクリス・ファレルとシャンティ・セレステ、そして、〈イマース・レコーズ〉のキッドカットがブリストル産ハウスを紹介するために始動したレーベルだ(現在はファレルとセレステのふたりで運営されている)。
再びタイプサン。数年前にロンドンからブリストルに拠点を移したセムテックが手掛けるレーベル〈ドント・ビー・アフレイド〉の2016年第一弾リリースでは、バンドマンでもあるタイプサンらしいセッション感溢れるアレンジが映える。別作品だが、彼がドラムを担当した珠玉のナンバー、ザ・ピーエルも必聴。
シンプルなビートに自身の歌声を乗せた陶酔感と浮遊感が漂うトラック。ミックスしやすいように考慮されたスネアの挿入タイミングや展開には、DJとしてパーティをこよなく愛する彼女らしさが表れている。レコード店でもある〈アイドルハンズ〉はこうしたハウスだけでなく、ひとつのスタイルに限定しないディープで面白い音楽を提案し続けている。
ブリストルでもっともDIYなレーベル〈ホットライン〉は決してハウスレーベルではないが、オクトーバーとのコラボレーションで知られるボライのこのトラックにはジャッキンなシカゴ・ハウスに通ずる音楽観があり、フィルインとして挿入されるブレイクビーツはかつてのフリー・レイヴを彷彿とさせる。

