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Bristol House

Bristol House

ブリストル・ハウス5選

文:Yusaku Shigeyasu   Mar 03,2016 UP

 ブリストルと聞いて思いつくのはどんな音楽だろうか?
 先日、BBCでジャイルス・ピーターソンをホストにしてブリストルの音楽史を総括するラジオ番組が放送されたときには、サウンドシステム、ポストパンク、トリップホップ、ドラム&ベース、ダブステップという言葉と共にキーパーソンたちのインタヴューがフィーチャーされた。そうした音楽がブリストルの一面を映し出しているのはたしかだが、一方で同市には数年前からハウス・ミュージックの潮流が渦巻いている。
 面白いのはブリストルのハウスがいわゆるブリストル・サウンドと呼ばれる音楽に必ずしも直接的な影響を受けているわけではないところだ。例えばシーンの中心人物であるシャンティ・セレステは、アメリカ(とくにニューヨーク)やドイツのハウスにインスパイアされていると公言しているし、パーティにブッキングされるのはジェイ・ダニエル、アンドレス、スヴェン・ワイズマンなど市外のアーティストであることが多い。
 シーンとしてまだまだ大きな規模とは言えないが、献身的なハウス好事家たちによって運営されるレーベルやパーティは貴重なコミュニティの場として機能し始めており、今後のさらなる発展が期待される。ここに挙げた新旧5作品はその歴史の一部だ。

Typesun - Last Home DJ Nature Remix - Boogiefuture 2013

 デトロイトやシカゴ周辺のビートダウンを彷彿とさせるラストホームを、マイロの別名義であるDJネイチャーがリミックス。マイロというとマッシブアタックの前身ワイルドバンチのメンバーとして語られることが多いが、約20年ぶりに再始動したDJネイチャーの原体験になっているのは、1989年にニューヨークへ引っ越したときに味わった黎明期のハウスミュージックだ。タイプサンはブリストルの主要ハウスパーティーであるフォーリング・アップのメンバー。

Jay L - Looking Up Pt1 - brstl 2012

 同じくフォーリング・アップのメンバーであるジェイ・L のデビュー作。自身のDJセットで多用するガラージ、そして、普段から聞き親しんでいるソウルやファンクの要素をミックスしたUK産ディープハウスの傑作ルッキング・アップ・パート1を収録。〈brstl〉は、ブリストルのレコード店アイドルハンズのクリス・ファレルとシャンティ・セレステ、そして、〈イマース・レコーズ〉のキッドカットがブリストル産ハウスを紹介するために始動したレーベルだ(現在はファレルとセレステのふたりで運営されている)。

Typesun - Make It Right - Don't Be Afraid 2016

 再びタイプサン。数年前にロンドンからブリストルに拠点を移したセムテックが手掛けるレーベル〈ドント・ビー・アフレイド〉の2016年第一弾リリースでは、バンドマンでもあるタイプサンらしいセッション感溢れるアレンジが映える。別作品だが、彼がドラムを担当した珠玉のナンバー、ザ・ピーエルも必聴。

Shanti Celeste - Days Like This - Idlehands 2014

 シンプルなビートに自身の歌声を乗せた陶酔感と浮遊感が漂うトラック。ミックスしやすいように考慮されたスネアの挿入タイミングや展開には、DJとしてパーティをこよなく愛する彼女らしさが表れている。レコード店でもある〈アイドルハンズ〉はこうしたハウスだけでなく、ひとつのスタイルに限定しないディープで面白い音楽を提案し続けている。

Borai - Anybody From London - HOTLINE009 2015

 ブリストルでもっともDIYなレーベル〈ホットライン〉は決してハウスレーベルではないが、オクトーバーとのコラボレーションで知られるボライのこのトラックにはジャッキンなシカゴ・ハウスに通ずる音楽観があり、フィルインとして挿入されるブレイクビーツはかつてのフリー・レイヴを彷彿とさせる。

文:Yusaku Shigeyasu