「R」と一致するもの

interview with John Frusciante - ele-king

 「囲い込むこと」「容れ物」といった意味をもつ単語である「enclosure」をタイトルに冠したアルバムをリリースしたのは、かつてレッド・ホット・チリ・ペッパーズにおいて泥臭いカッティング・リフやブルージーなギター・ソロで聴衆を沸かせ、惜しまれつつも2009年に脱退すると、エレクトロニクスを駆使したまったく新たな音楽の探究へと乗り出していったギタリスト、ジョン・フルシアンテである。
 本盤はそうした彼の5年にわたる仕事を総括するものであり、抒情的でときに陰鬱な歌声とサンプリングされた種々雑多なドラム・パターンがポリリズミックに絡み合う、実験的でありながらもソング・ライターとしての資質をいかんなく発揮した、まさに集大成と呼ぶにふさわしい作品だ。いつものようにバルーチャ・ハシム氏によって行われた公式インタヴューにおいて、彼は次のように述べている。

 伝統的なソングライティングを非伝統的な方法でプロデュースするということがコンセプトだよ。ポップ・ソングを書いたけどプロデュースの方法によって、まったくポップ・ミュージックのコンテクストから外しているんだ。ここ30年間のエレクトロニック・ミュージックのプロダクション方法を使っているけどソングライティングは60年代や70年代のスタイルを継承している。伝統的な音楽の思考をモダンなエレクトロニック・ミュージックの思考と融合させたんだ。

00年代の音楽シーンをいわゆる「ミクスチャー」と呼ばれた強烈なファンク・ロック・スタイルで風靡し、いまなお支持の衰えないモンスター・バンド、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのギタリストとして活躍したジョン・フルシアンテ。欠員を埋める形で中途から加入した彼は、しかし、バンドに叙情的でエモーショナルな「歌」の力を呼び込み、名ギタリストであるとともに名ソングライターとしての力量を遺憾なく発揮した。後のソロ活動においては多様なミュージシャンたちと関わりながら精力的にアルバム・リリースを重ねている。その求道的なまでの音楽探求の姿に心酔する方も多いのではないだろうか。

 このようなコンセプトがもっとも活かされた楽曲は“ラン”だろう。歌をリズムの基盤とすることによって、さまざまなドラム・パターンの組み合わせを試みることができるようになる。ジャンルは違うがジャズの帝王マイルス・デイヴィスが『ネフェルティティ』において実践してみせたような、メロディー/ハーモニーとリズムの役割を逆転させることによって、闊達なドラミングを楽曲の原動力にするという発想。もちろん、ジョンの場合はさらに歌がある。4つ刻みで発展していく歌にたいして3、5、7あるいはその2倍の数で分割しようとする無謀な取り組みは、しかしたしかに成功している。

 あの曲ではどのバンドもやったことがないようなドラムを取り入れている。歌はスローな4/4だけど小節ごとにドラムの拍子が変わっていく。でもぴったり4/4の歌と合う。小節の中でドラムのスピードが変わっていくように聴こえるよ。ギターとヴォーカルを先にレコーディングしたけど、そこにはまるようにさまざまな拍子のドラムを切り刻んでおいた。あの曲を作るのは楽しかったよ。ブラック・サバスっぽい曲を作って、スローな曲であればいろいろな拍子のドラムをはめ込めると思ったんだ。

 ジョンはグルーヴについてはどのように考えているのだろうか?

 グルーヴというのはつまり音符と音符の間の「間」のことなんだ。ドラム・プログラミングをやるようになってから、すべての音楽は「間」の作り方に基づいていることがわかった。60年代と70年代のブラック・サバスは「間」の作り方が得意だった。彼らは巨大な空間を音で作り出したし、彼らほど広々としたグルーヴを演奏しているバンドはいなかった。

 グルーヴが「間」であり、そこから生み出されるのが「巨大な空間」であるという。ジョンは『エンクロージャー』について、「おもに空間を埋めることに焦点を当てて」おり、「スペースに音を埋め尽くす作業」に専念したのだとも語っている。こうしたキーワードに照らし合わせてみると、ジャケットが禅における円相図のようにも見えてくるだろう。

 赤い枠に囲まれたジョンは語る。

 音楽というのはひとりの人間よりも大きな存在であり人間の知識よりも遥かに賢い存在なんだ。(……)音楽を作る行為は俺よりも大きな存在の中に入り込んで包み込まれるような感覚なんだ。(……)だから、自分の周りに円を描いたのは音楽を作ったり演奏しているときの自分が感じる「包み込まれる」感覚を意味している。

 「enclosure」とはつまり、音楽に関わること、しかし思いのままに音を取り扱うのではなく、遥かに偉大な「音楽」のなかであるがままに包みこまれるということだったのである。しかしジョンと禅の関わりを云々することを遮るように、彼はこうも述べる。

 音楽そのものがメッセージなんだ(……)音楽そのものがコミュニケーションの手段なんだ。音楽は情報であり何かを伝える方法だ。音楽というのは受け取って与えるものだ。

 音楽はメッセージである。同時に、コミュニケーションの手段でもある。わたしたちは彼の音楽を聴くときに、音楽に乗せて運ばれてきたなにものかを受け取ると同時に、音楽そのものを受け取る。だから、ジョンが語ることのすべては、じつは彼の音楽に耳を傾けることで受け取ることもできるのである。

ジョン・フルシアンテ、集大成

ジョン・フルシアンテのニュー・アルバム『Enclosure』。
2012年の『PBX Funicular Intaglio Zone』にはじまる、エレクトロニクスを大きくフィーチャーした近作数タイトルの集大成、一連の作品の最終作となる節目のアルバムだ。
日本盤には限定ボーナスも多数収録されている(日本盤ボーナス・トラック2曲/Blu-spec CD 2/ジョン・フルシアンテ超ロングインタビュー/歌詞対訳)。

 『Enclosure』は、過去5年間における音楽での目標をすべて達成した作品なんだ。 このアルバムはブラック・ナイツの『Medieval Chamber』と同時期にレコーディングされ、サウンドが違うかもしれないけど、同じクリエイティヴ・プロセスによって生み出された。 一つの作品から学んだことが、もう一つの作品にフィードバックした。
 『Enclosure』は『PBX』からはじまった僕の音楽による最後のメッセージだ。
ジョン

Enclosure, upon its completion, was the record which represented the achievement of all the musical goals I had been aiming at for the previous 5 years. It was recorded simultaneously with Black Knights' Medieval Chamber, and as different as the two albums appear to be, they represent one investigative creative thought process. What I learned from one fed directly into the other. Enclosure is presently my last word on the musical statement which began with PBX.
John

■John Frusciante / Enclosure
日本盤特典:9曲+日本盤ボーナストラック2曲=全11曲収録/Blu-spec CD 2/
ジョン・フルシアンテ超ロングインタビュー/歌詞対訳付
税込価格:2,300円
発売日:2014.04.08
レーベル:RUSH x AWDR/LR
収録曲:
1.Shining Desert
2.Sleep
3.Run
4.Stage
5.Fanfare
6.Cinch
7.Zone
8.Crowded
9.Excuses
10.日本盤ボーナストラック
11.日本盤ボーナストラック

Tower HMV Tower

O.K?Tropical Ghetto HP
https://www.tropicalghetto.com/

PICK UP DJ スケジュール
・4/28 (月) 東京都 “”Second MORE of LOVE “” at 下北沢 more
・5/3 (土) 神奈川県 ””PRINS THOMAS III ALBUM RELEASE PARTY-man II man-”” at 江の島OPPA-LA
・5/1 (木) 東京都””光る夜”” at 新宿 open
・5/24 (土) 沖縄県 “”O.K?Tropical Ghetto feat. クボタタケシ”” at 熱血社交場 a.k.a NEKKE 2
・5/30(金) & 5/31(土) タイ “”GIANT SWING 4th anniversary party”” atバンコク
・6/7 (土) 神奈川県””Apache”” at江の島OPPA-LA w/KZA (Force Of Nature) / A-THUG / stickey

JAPANESE 7inch Records


1
坪山 豊 - ワイド節 - 奄美民謡ンナルフォンレコード

1
Yasu-Pacino - Spy vs Spy Remix - HONEY RECORD

1
KEN2-D SPECIAL - I Fought The Law (Re:DUB) - Reality Bites Recordings

1
田我流 feat. Big Ben - 墓場のDigger - 桃源響RECORDS

1
坂本慎太郎 - Wine Glass Women - zelonerecords/republic records

1
RC Succession - Love Me Tender (非売品) - Eastworld

1
50 (5lack × Olive Oil) - 早朝の戦士 (A Lata Mete Ill Remix) - 高田音楽制作事務所 × Oilworks Rec.

1
Popo Johny - キーストーン - Akazuchi Rec × SMR Records

1
Boogie Man - Step Up - カエルスタジオ JPN

1
Karamushi & Friends - Asia Unite - Fantastic Karamuseed

1
水前寺清子 - 三百六十五歩のマーチ - CROWN

Millie & Andrea - ele-king

 1(800)999-9999は、ホームレス、自殺、家出、虐待など、アメリカで、緊急時に対応するフリーダイヤルの電話番号だ。ふたりの老人が座るバス停には、そして次のように書かれている。「何故なら、路上の生活とは行き止まりである(その先に人生はない)」
 先のない人生──この暗示的かつリアルな言葉、バスを待つふたりの老人──この暗示的かつリアルな場面は、見事にミリー&アンドレアのデビュー・アルバムの音楽に意味を与えている。無理もない、事態の深刻さは日本でも同じ。僕は、日本でロック・バンドをやっている連中の一部がよく口にする「ジジイ/ババア」という言葉を笑って言えるほど良い社会を生きていない。身内に高齢者がいる人にはよくわかる話だ。人生をデッドエンドにしているのは特定の世代ではないのだ。

 マイルス・ウィッテカー(デムダイク・ステア)とアンドレア(アンディ・ストット)のコンビは、しかし、この見事なアートワークに反して、「先」を探索している。

 『ドロップ・ザ・ヴォウルズ』は、純然たる新作というわけではない。既発の曲がふたつほど混じっている。ミリー&アンドレアは、Discogsを見ると2008年にはじまっている。マイルス・ウィテカーに紙エレキングが取材したのは2012年の初頭だったが、そのとき彼は、「自分たちの音楽はたぶん他の誰よりも正直なだけだ」と言った。
 また、彼は紙エレキングにおいて、自分のフェイヴァリット10枚の最初にナズの『イルマティック』を挙げている。
 あるいは、アンディ・ストットの来日時のライヴを思い出してもらってもいい。あのときもジャングル/レイヴ・ミュージックへと展開したものだが……

 昨年の、ミニマリズムをダーク・アンビエント的に咀嚼したマイルス・ウィテカーのソロ『Faint Hearted』(https://www.ele-king.net/review/album/003212/)もユニークな作品だったが、コンセプトとして「追い詰められた我らの時代を描く」ということを言えるなら──ウィテカーが言うところの正直な表現という意味において──、昨年のザ・ストレンジャー(ザ・ケアテイカー、ウィテカーが尊敬するひとり)のアルバムの世界観にも近く、しかもジャングル・リヴァイヴァル/ハウス・リヴァイヴァルと「リヴァイヴァル」続きの現代にあって、アントールドのアルバムと同様に、『ドロップ・ザ・ヴォウルズ』には、結局は後戻りできないという感じも良く出ている。
 まあ、アートワークの良さもたしかに大きい。『ラグジュアリー・プロブレムス』もあの写真でなかったら……と自分の耳を疑いたくなるほど、〈モダン・ラヴ〉はうまいことをやっている。また、本人たちは「正直……」と言うものの、ベタな日本人からすると、いかにも英国風のアイロニーも効いていて、アルバムには“Stay Ugly”すなわち「醜くくいつづけよ」などという曲がある。「stayなんたら」はひとつのモットーでありクリシェだが、スマートなのものは信じるなとでも言いたげな逆説的な曲名である。

 実際、これはスマートなジャングルではない。単純明快なグルーヴではないし、目から血を流している少女でもない。折衷的で、無残にも圧縮機で潰されたごときジャングルに喩えられる。“Temper Tantrum”(オリジナルは2009年)のようにレイヴ・ミュージックとして機能すしやすい曲もあるが、気持ちに突き刺さるのは“Stay Ugly”のような、奇妙極まりない曲だ。

 それでも、誰もがこのアルバムに秘められた享楽性を否定できないだろう。ミニマル・テクノ調の“Spectral Source”からはアンダーグラウンド・ダンス・ミュージックとしての楽しみの感覚が滲み出ている。ジュークめいたエレクトロ・スタイルの“Corrosive(腐食)”は、僕にはドレクシアへのオマージュにも聴こえる。近年のブリアルの支離滅裂さからすれば、ずいぶんと聴きやすい。
 ジャングルの新解釈(ニュー・スクール)とテクノとの結合という観点では、マンチェスターのアコード(Akkord)とも重なるところはあるのかもしれない。ジャングルというスタイルには、アンダーグラウンド・ミュージックが良かった時代の記憶があるばかりではなく、音楽的にもまだ開拓する余地があり、横断的に、そしていろんなアプローチを取り入れることができるのだ。
 とはいえ、ひとつの曲のなかの階層は、こちらがより深い。タイトル曲の“Drop The Vowels”は、装飾性のない、パーカッシヴなブレイクビートと低く暗い音響との掛け合いだ。マイルスの、デムダイク・ステアにおけるダーク・アンビエント/ドローンの実験と、そしてアンディ・ストットのダンス・ビートとが刺激的な一体化を見せている。
 つまり、全8曲というのは物足りないようにも感じるが、幸いなことに、事態の深刻さによって身動きが取れないほど圧せられているわけではないようだ。このアルバムには動きの感覚、リズムがある。いたずらに微笑みはしないだけだ、正直な表現として。

Pure X - ele-king

 リアル・エステイトのマーティン・コートニーはいつのまにかジョージ・ハリスンのようなひげをたくわえ、先日のインタヴューでそのあたりをぼかしつつ訊ねると、「ジョージ・ハリスンのコスプレだよ(笑)」との答えが返ってきた。むろんのこと、レイドバックした音は同時代への批評とともにある。ふるいものが純粋に新鮮だったり、そのなかの普遍的な魅力に打たれる体験もふくめて、それは必ず、どこかで時代や社会と接続する回路をもっているものだ。
 だから、たとえばピッチフォーク誌のように、ピュア・Xの3枚めとなるフル・アルバム『エンジェル』について、「そのエスケーピズムや、現実との葛藤を拒否するような部分について批判するのはたやすい」と言うことこそたやすい。むしろそのエスケーピズムが社会や「現実」というものにすっかりと包摂されてしまっていることを音楽(=アート)は許容するべきかどうか、というところが重要で、そこまで踏み込まないとポスト・チルウェイヴは実りを生まない。筆者は、リスクなく、いい感じに社会とベタオリする逃避感覚が、それでも清潔な情感をもって鳴らされていたことがチルウェイヴのおもしろみであり、リアリティであったと認識している。さて、その種子たちはその後の時間をどのように生きているのか。
 マック・デマルコは(チルウェイヴの嫡流だと言うつもりはないが)、そのうちほんとうに社会や現実から離り、いわゆるアウトサイダー・アート的な領域をゆくことになるのかと思っていたが、新作『サラダ・デイズ』においては音楽的な一種の充実とともに、強烈な弧を描いて「現実」側に戻ってきた。これに近い感触はリアル・エステイトにもある。プレイヤビリティと洗練──マシュー・モンデナイルのギターが後景に退き、ドラムを正式に迎え、セッションとメンバー個々のたしかなプレイヤビリティが各楽曲を支え、アレンジやプロダクションにも洗練が加えられた──は、彼らの今作の特徴であり、リアリティだ。この種の洗練はえてしてとても地味な外見をしているが、中身は豊かで、年代を耐えていける充実がある。だが、彼らのその地に足のついた上質なソフト・サイケは、『リアル・エステイト』(2009年)の浮遊感やエクスペリメンタリズムを経て手にされたものであり、逃避的なモチーフと対立するものではない。逆に、社会の中に築いた逃げ場を守るべくして得られた洗練だというふうに思えてくる。デマルコの洗練も同様に、ただそれがトレンドだから、それがミュージシャンとしての成長だから、ということ以上に、鋭く研ぎ澄まされたエスケーピズムを感じさせる。光学迷彩のように、完璧に姿を隠してしまうのではない。そこに見えながら、どこまで逃避を容認してもらうのか、そのためのひとつのソフィスティケイトされたマナーが彼らにはあり、時代は『ライフ・オブ・レジャー』(ウォッシュト・アウト、2008年)から進んだのだとあらためて思う。

 さて、この点、ピュア・Xはどうか。オースティンのインディ・ロック・バンド、ピュア・X。2011年にリリースされた最初のフル・アルバム『プレジャー』は、ジョイ・ディヴィジョンやポストパンクの埋もれた名盤というようなたたずまいのジャケットにつつまれ、ジーザス&メリーチェインと比較され、現代のウォール・オブ・サウンドと評される深くウォーミーな残響を生み、リアル・エステイトやウッズらと地つづきのシーンで愛されていた。スリープ∞オーヴァーのステファニー・フランコッティともいっしょに活動していたりと、2000年代後期のドリーミーなローファイ・バンドたちの盛り上がりのただなかで輝いていたバンドのひとつである。
 あの当時のどろりとまどろむようなリヴァーブ感や歪んだギター・サウンドは、今作ではあまり聴こえてこない。果てもきりもないセッションは、整った輪郭と洒落たアレンジを持った楽曲にとってかわられた。“リヴィン・ザ・ドリーム”などのタイトでシックなドラミングは、「ドリーム」を生きることが、陽炎のように立つ残響のなかで過ごすイメージではなくなったことを告げている。海とハートが溶け出すジャケットのアートワークは、サマー・オブ・ラヴへの皮肉でも思慕でもあるだろうが、このアルバムの聴きやすさは、あくまでもそれが社会の内側で鳴る音であること──内側に外を築き、守るための繊細な工夫のひとつであることを感じさせた。とはいえ、その洗練の度合いにおいては、リアル・エステイトらに一歩遅れをとるかもしれない。この方向で生まれてくるであろう、次の音にさらに美しい知恵をみることができるのではないかと期待がふくらむ。

TETSUJI TANAKA - ele-king

日本のD&B/DUBSTEPの総本山/パイオニアイベント我らがdbsで奇跡の共演LEEBANNON x SOURCE DIRECTが実現!!
ニンジャ・チューンから衝撃アルバム「オルタネイト/エンディングス」を放った奇才リー・バノンが急襲!
そして90’s ドラムンベースを急進させたダークの権化。あのレジェンド、ソース・ダイレクトが実に17年振りの来日!!
ジャングル/ドラムンベースが勃発してから20年、時を経て今新たに甦る爆発する漆黒ビーツ!!
LB x SD奇跡の競演を見逃すな!!TETSUJI TANAKAも90’s dnb setでメインフロアのトリとして出演します!!
https://www.dbs-tokyo.com/top.html

<DJ SCHEDULE>
4/19 dbs FT. LEE BANNON & SOURCE DIRECT @UNIT
4/27 TT BD 2014 @ 青山ever
5/4 INTERGALACTIC @ WOMB
5/11 TBA @青山fai
and more...

自身が所属、主宰するelenic productinsがプレオープンしました。
今後のスケジュールやDJ BOOKING、制作などこちらまで。
https://elenic-productions.crossgroove.jp.net/

<RADIO出演>
4月で4年目に突入した日本唯一のドラムンベース専門ラジオ番組"block.fm Localize!!"
毎週水曜日22:30~24:00にてレギュラー・オンエア!!
DRUM & BASS SHOW BY TETSUJI TANAKA & CARDZ
https://block.fm/program/localize/
https://twitter.com/TETSUJI_TANAKA

<リリース情報>
1/27 Bandcamp、2/28 UK iTunesワールドリリースTT & NAVE REMIX収録!

OPUS IIIとして活躍後、世界中のチャートを席巻したTIESTOとの共作「Just Be」やBT、ULRICH SCHNAUSSなど数多くの名曲やクラブアンセムを歌い、手掛けてきたUKを代表するレジェンダリー・シンガーKirsty Hawkshaw主宰のニューレーベルWELLHEAD RECORDSから日本を代表してTT & NAVEがビッグ・リリース!!

TOBIAS ZALDUA / Let It Go with Kirsty Hawkshaw (TT & NAVE Remix)
https://wellheadrecords.bandcamp.com/track/let-it-go-tt-nave
https://soundcloud.com/tobiaszaldua/let-it-go-tt-nave-with-kirsty

TETSUJI TANAKA Dark dnb/jungle set chart


1
ABSOLUTE ZERO & SUBPHONICS / Code / RENEGADE HARDWARE

2
NASTY HABITS / Shadow Boxing (OM UNIT REMIX) / 31 RECORDS

3
SOURCE DIRECT / Snake Style / SOURCE DIRECT RECORDINGS

4
BAD COMPANY /The Nine / BC RECORDINGS

5
ED RUSH & OPTICAL / Funktion / V RECORDINGS

6
RUFIGE KRU /Dark Metal / RAZORS EDGE

7
OM UNIT /Timelines / METALHEADZ

8
FLYTRONIX / Contemporary Accousticz Jam(ORIGIN UNKNOWN REMIX) / MOVING SHADOW

9
GROOVERIDER / Where's Jack The Ripper? / HIGHER GROUND

10
SPECIAL FORCES / Exocet / PHOTEK PRODUCTIONS

Oliver Sperl - ele-king

 なにかにつけてベルグハイン最高と言われると、どうにもケチを付けたくなるものだが、そんな皮肉屋も、しばらくベルリンに住んでいたデザイナーの真壁昂士(日本でもっともぶっ飛んだ雑誌『Erect Magazine』を手がけるデザイナー)の話は耳を傾けるに値する。ベルリンに滞在した数年間、ベルグハインに通い続けたこの男が言うには、「ベルグハインは音の良さばかりが日本で言われているが、実はアートもすごい」とのことで、そのアート(主にフライヤー)を手がけているのが、Oliver Sperlである。
 エッシャーとバンクシーとジェイミー・リードをマルキ・ド・サドがミックスしたような混沌とした世界は、たまらく魅力的である。この機会にベルリンのクラブ・カルチャーに深く関与するアートに触れてみよう。

Oliver Sperl 個展 「raw material」

2014/4/26(土)- 5/2(金)
13:00-20:00
at KATA (東京・恵比寿 LIQUIDROOM 2F)
https://www.kata-gallery.net

闇に差し込む躍動の光は、現代社会を反映し、不条理なフォルムを描き、原始の鼓動と来るべき未来を彷彿とさせる! オリバー・シュピールは、あのベルリンのウルトラフロア=BERGHAINのアートワークも手がける最前衛アーティスト! 彼の眼差しは、URのアイコンを無数に生み出したアブドゥール・カディム・ハックがデトロイトを象徴したように、 現在のベルリンのエクストリーム・ミニマル・ソサエティを表層する批評眼なのだ!!!!!宇川直宏(DOMMUNE)

イラストレーションとコラージュという工具を使い、漆黒の闇の中、地下深くに広がる真っ黒なメルヘン世界をデザインし続けている。そして、それは現代社会を記した絵巻物なのだ河村康輔(ERECT Magazine)


■オープニングレセプション
2014.4.26(Sat)18:00-21:00
入場無料
DJ:
37A (PANTY)
DJ Soybeans
Takashi Makabe
※オープニングレセプションでは、作家が在廊いたします。
作家と共に作品の世界に触れられる機会ですので、どうぞ足をお運びください。


■クロージング・パーティー
「Orange Lounge」
2014.5.2(Fri)19:00-23:30
entrance free *1st drink charge 1,000yen(include music charge)
at Time Out Cafe & Diner[LIQUIDROOM 2F]

music by
Nobu (FUTURE TERROR/Bitta)
河村康輔
JUBE (BLACK SMOKER RECORDS)

※Orange Lounge詳細は以下より
https://www.timeoutcafe.jp/
news/140502000726.html

::ARTIST PROFILE::
Oliver Sperl https://oliversperl.de

70年代後半 - 幼いOliverの目に焼き付いたのは、ローゼンタール磁器工場に金色のポルシェで通うグラフィック・デザイナーの隣人の姿だった。
この強烈な印象が彼をグラフィック・デザイナーに道へと進ませるきっかけとなった。
ベルリンのLette-Vereinでグラフィック・デザイン、そしてHamburg’s University of Applied Sciencesでイラストレーションを学んだ後、サンディエゴでフリーランス・デザイナーとしてキャリアを積む。
2000年にベルリンに拠点を移し、現在に至る。主なクライアントは音楽レーベルや出版社、ベルリンのテクノ・クラブとして名高いBERGHAINや日刊紙tazなどがある。



When Oliver was a little boy in the late seventies he once saw his neighbour, a graphic designer at the Rosenthal porcelain factory, drove by in a gold-coloured Porsche.
This powerful and lasting impression was the impetus for him to study graphic design at the Lette-Verein Berlin and illustration at Hamburgs University of Applied Sciences- He has also worked as a graphic artist in San Diego, California, and since the year 2000 has been working as a self-employed designer in Berlin.
Among his clients are music and publishing houses, the party temple Berghain, as well as the Berlin-based daily newspaper taz.


 本堂の障子から西日がこぼれ、畳の上に大きな影ができる。すっかり肌寒くなった頃、ステファン・マシュー、テイラー・デュプリー、フェデリコ・デュランド、そしてイルハのふたり、計5人は機材を囲むように座ってドローンをはじめた。音量は小さく、本堂の外の音も耳に入る。僕の隣では、外国人の女性がひたすらメモを取っている。が、しばらくするとメモを置いて、畳の上に身体を仰向けに倒して、目を閉じて聴き入ってしまった。僕と一緒に行った連れ合いも、同じように目を閉じている。いや、寝ている。
 光明寺は、浄土宗の大本山だけあって、広く、その日、200枚以上のチケットが売れたというが、来た人たちは、みんな、窮屈な思いをすることなく、ノビノビと聴けた。本堂の前にはいくつかの出店もあって、そこでは飲み物や食べ物が売られていたので、ちょっとしたフェス……とまではいかないまでも、居やすさ、居心地の良さ、フリーな雰囲気があった。オーディエンスは思うがままに、地ベタに座って飲食も楽しみ、気が向けば本堂に入ってアンビエント・ミュージックに浸った。寺を出ればすぐ目の前は海だし、飽きたら誰かと話せば良い。

 鎌倉駅から徒歩で30分以上、バスで10分ほどの、決してアクセスが良いとは言えないところに、よくもまあ、みんな来るものである。イルハの伊達トモヨシは時代の変化を肌で感じていただろう。ひと昔前ならこうしたイベントは、マニアの集会のようになっていたが、現代では、主に若い世代が集まる身近なものになっているようだ。
 僕は、青山CAYのライヴ──そのときは、イルハ→オピトープ→ステファン・マシュー+テイラー・デュプリーという順番だった──も見ているのだが、音楽体験においてロケーションは重要で、正直、電車を何本も乗り継いで鎌倉まで来た甲斐があった。
 アンビエント・ミュージックは、必ずしも、ゆるくて、のんびりしているものではない。中村としまと秋山徹次のふたりによる緊張感ある即興は、その場にすっかり溶け込んでいた。住職による琵琶による「耳なし芳一」が演奏されたが、それとて違和感なく、その前後に演奏された電子の残響と混じった。
 「音を聴いていると寝てしまったが、鈴の音が近づき、遠のくのもわかるように、寝ていても頭は醒めて、音は耳に入って来た。どこかに連れて行かれたようだったが、すーっとまた戻ってきて、目が覚めたときには新鮮な気持ちだった」と、僕の知り合いのひとりは感想を言ったが、同じような経験を覚えた人は少なくないだろう。初めてアンビエント・ミュージックのライヴに触れた何人かも、それぞれの新鮮な驚きを説明してくれた。
 お昼過ぎにはじまった演奏は、6時過ぎに終わった。バスに乗る頃には、あたりは暗くなって、気温はぐっと下がっていた。次回があるのなら、また来る人は多いだろう。時代のなかで芽生えた、音楽のあらたなる現場。そうだ、今度こそマサやんを誘おう。

Rainbow Disco Club 2014 - ele-king

 4月29日、晴海で開かれる注目の「Rainbow Disco Club 2014」、タイムテーブルが発表されました!
 お昼から夜の8時まで濃いですが、マジック・マウテン・ハイはどちらかと言えばゆったり目の音楽なので、やはりプリンス・トーマスから上がっていく感じでしょうか。
 ムーディーマン2時間~ヘッスル・オーディオ1時間半の後半は、ちょっとすごいですね。
 そういえば、ベンUFOのインタヴューがRAに載ってますが、彼は現在のロンドンのナイスなDJのひとりだと思います。
 あとはどうか、4月29日に雨が降りませんように……と祈るだけです。

Rainbow Disco Club 2014
-TIME TABLE-

[Rainbow Disco Club Stage]

1000 - 1230 Sisi
1230 - 1400 MMH live
1400 - 1630 Prins Thomas
1630 - 1830 Moodymann
1830 - 2000 Hessle Audio

[Red Bull Music Academy Stage]

12:00-14:00 Kez YM
14:00-15:00 Hiroaki OBA live
15:00-17:00 San Soda
17:00-18:00 Kuniyuki live
18:00-20:00 Secret Special Guest

※タイムテーブルは予告なしに変更する場合がございますので予めご了承ください。


Family Fodder - ele-king

 表現手段を追い越した衝動があちこちで胞子をまき散らし、頭にポストをくっつけたパンクがわがままで色とりどりな花を咲かせた時代——1979年にアリグ・フォッダーを中心にUKで結成されたニューウェイヴ・バンド=ファミリー・フォッダー。現在も活動を続ける彼らの入手困難であった作品が、ドイツからフランスに移転した(いつの間に?)新旧おもしろ音楽発掘レーベル〈シュタウブゴールド〉よりリイシューされた。しかもCD盤にはファースト・アルバム『モンキー・バナナ・キッチン』(1980)、12インチEP『スキゾフレニア・パーティー』(1981)、そして、7インチEP『フィルム・ミュージック』(1981)と『ザ・ビッグ・ディッグ』(1982)がまとめてみっちり収録されていて、初期ファミリー・フォッダーの魅力を余すことなく伝えてくれるから耳からヨダレだ。

 さて、内容のほうはというと、かのナース・ウィズ・ウーンド・リスト(ストレンジ・ミュージックをたしなむものにとっての教科書)に掲載されていたり、ディス・ヒートのチャールズ・ブレンやザ・ワークのミック・ホッブスとリック・ウィルソンが参加していたりと、好きものにとっては文字情報だけでもんどり打ってひっくり返りそうな事態になっている。そして、そのサウンドがまた機知に富みまくりですこぶるぶっ飛んでいるのだから二度びっくりだ。
 基本はキーボードが導入されたポストパンクながら、マルチ・インストゥルメンタリスト、アリグの実験小細工が、ところどころ絶妙に盛りこまれていてとても愉快。シャープでプリミティヴなパーカッション、エフェクティヴなギターに、ヴァイオリンがギ〜コギコ、サックスがブビベボ〜、ハープがシャリラ〜ンと愉悦を与え、高らかにハメを外す男女混成コーラス(チャールズ・ブレンのあの歌声も聞こえるではないか!)に心躍らされる。まるでデルタ5が膝をカックンとされ、レインコーツが猛ダッシュし、ルーダスがサイケに寝返り、エッセンシャル・ロジックがレコメン化したようなこの感覚。そして、感覚といえばファミリー・フォッダーのサウンドの土台をなすのがレゲエ/ダブの要素だ。「これってデヴィッド・カニンガム(フライング・リザーズ)の仕事ですよ〜」と言われても信じてしまいそうな、でかいベースにぴゅんぴゅん音が舞い飛ぶ空虚で乾いた音響質感は、UK産パンキー・レゲエ好きならいちころ。さらに女性ヴォーカル、ドミニクの英語とフランス語が入り混じった歌と言葉の脱臼も、存在感ありまくりのエスプリ効きまくりでポップでキッチュな微光を発している。

 こんなバンド、いまもなかなか見当たらない。あわや複雑骨折な危なっかしいアレンジ、調子っぱずれな男女コーラス、予測できない突然の爆発力に、ふと、ダーティー・プロジェクターズなんかを思い出したりもしたけれど、ファミリー・フォッダーはもっと思いつきで、ずっとフットワークが軽い。考える前にやってしまう。パンクの燃えカスを横目に、クールなふりしてひねくれながらも、ツノ出せヤリ出せするささくれ感がとびきりだ。
 
 アルバム『モンキー・バナナ・キッチン』も最高だけれど、ぜひ、本作にカップリング収録されているポストパンク・クラシック“ダイナソー・セックス”を聴いてほしい。カウベルの連打と軽妙なダブ処理。そして、ミニマル・ファンクがどんどん先鋭化していきクラウト・ロック化する場面もあったりして、コンク、リキッド・リキッドらNYニューウェイヴ・ダンス一派との親和性も皮膚感覚で味わうことができて発奮。さらにはエリック・サティ“グノシエンヌ第1番”のへっぽこダブ・カヴァーなんかも飛び出したりして、根底に横たわるパーティ感覚と出し惜しみのないサービス精神も旺盛だ。
 
 スタイルだけを模したポストパンク・リヴァイヴァルなんていまは昔。少し話がそれるけれど、今年、電子音楽界の新進気鋭shotahiramaが『ポストパンク』なるタイトルを掲げたアルバムをリリースしたのは極めて重要なことである。なぜなら、本来のポストパンクとはまったく異なるスタイルであるコンピューター・ミュージックに、初めてポストパンク(パンクではなく)のアティチュードを持ちこんだ作品だからだ。そんな年にリイシューされたファミリー・フォッダーのオリジナル・ポストパンク作品。80年代初頭の音楽でありながら、いまに連なる精神性をそこここに発見できるはずだ。いまこそ好きものだけでなく、多くの人に聴いてほしい。誰もが鼻孔を広げて息を荒げ、ふんふんうなずきながら膝を打つことうけ合いだから。

Atom™ & Marc Behrens - ele-king

 90年代のエクスペな音楽状況を振り返ると、当時それなりに知られていたにも関わらず、いまではほとんど忘れ去れているシュトック、ハウゼン&ウォークマンというユニットを思いだしてしまう。

 彼らはモンドでラウンジな60年代のレコードのサンプリングによるコラージュ・アート、そのサウンド版といった趣のアナーキーなユニットだった(リーダーのマット・ワンドはユニット結成以前、デレク・ベイリーのカンパニーで活動していたらしい)。デビュー・アルバムは91年リリース(2001年解散)。ユニット名の元ネタは、いうまでもなく有名な某プロデューサー・チーム、そして、あの超有名現代音楽家との掛け合わせというヒトをくったもの。もともとはジャンク&ノイズ&スカムな音楽といえる彼らの音楽性だが、95年にリリースされたネコちゃんジャケのアルバム『ヘアボールズ』が、小山田圭吾や緒川たまきによって紹介されたこともあって、一気に「中期渋谷系基本アイテム」化した雰囲気もあった(実際はどうか知りません・笑)。つづく96年リリース『オーガン・トランスプランツ Vol. 1』もモンド/ラウンジな傑作。そう、90年代中期は「グランジからラウンジ」だったのだ。

 このアトム™とマーク・ベーレンス『Bauteile』を聴いたとき真っ先に思い出したのは、シュトック、ハウゼン&ウォークマンだった。テクノからヒップホップ、ガレージ・ロックからアンビエント、フリージャズから電子音楽/音響まで圧倒的な情報量が接続されていくコラージュの技法に、90年代型のサウンド・コラージュ作品の2010年代版という印象を聴き取ったからか。それゆえアフター・モンド・ミュージックを感じたからか。

 90年代。モンド・ミュージックの時代。サンプリングによるサウンド・コラージュの時代。少しだけそんな時代を振り返ってみると、異論はあるかもしれないが、95年あたりからこのシュトック、ハウゼン&ウォークマンを巻き込むカタチで起きていたムーヴメントがいわゆる「モンド・ミュージック」ブームである。「モンド・ブーム」は、60年代~70年代の知られざる音楽たち(モダンなムード・ミュージック、奇天烈な電子音楽、ソフトロック、サイケロックなどなど)を発掘すること(DJ的な行為・およびその真似事という名の単なるリスナー)と、それをサンプリングして楽曲に取り込むこと(音楽家的な行為)の二つからはさみこむことで成立していた。その価値観の中心は、80年代までの「名盤ガイド」には掲載されないような音楽を積極的に再評価すること。それが折からのDJブーム、サンプリング・ブームと並走するかたちで人気・支持を得たものであった。

 もちろん、これは日本独自のものではなくて、たとえば米国『リ・サーチ』誌などの先駆的な例があってのこと。とはいえ日本でのモンド需要は日本ならではの特殊性もあって、90年代初頭に60年代~70年代のフリーソウルやソフトロック、サントラ・ブームなど「名盤ガイドに掲載されていない」レコを発掘し、元ネタとして自作に取り込む「渋谷系」というムーヴメントからシームレスにつながるかたちで存在していた点だ。90年代中盤頃、渋谷系ムーヴメントは、お洒落悪趣味路線(ザックリ書けばデス渋谷系や雑誌『クイック・ジャパン』など)へとシフトしつつあり、90年代中期のユースカルチャーの空気とモンド的センスは結びつきやすかった。結果、スムーズに渋谷系→モンド系へと移行ができたのではないかと思う。たとえば95年刊行の『モンド・ミュージック』にこんな内容の記事があった。「モンド・ミュージック」のメジャーからのアイコンとでもいうべきビーチボーイズ=ブライアン・ウィルソン=『スマイル』をめぐるテキスト内で、フリッパーズ・ギターのファンと思える男女が、レコ屋で“ゴッド・オンリー・ノウズ“がかかった瞬間に「コレ誰ですか!」と店員に詰め寄ったという描写がなされているのだ。

 90年代中期(97年くらいまで)で、「世界同時渋谷系化」などといわれたり、ピチカート・ファイヴやコーネリアスが高い人気を得たのも、その音楽的な力量は当然として、このようなレコードを選ぶ/聴く、「目(耳)利き」的なセンスが、世界/ニッポンの音楽的潮流とリンクしていたからのように思えるのだ。60年代~70年代の誰も知らないセンスのいいレコを、90年代的なセンスで編集するようにセレクトすること。それが日本の渋谷系からモンド・ミュージック・ブームで共有されていた空気だった。ちなみにモンド・ミュージックは、その後期(99年あたり)においてシカゴ音響派にもつながり、キー人物はジム・オルークとなる。結果、日本では渋谷系→モンド・ミュージック→シカゴ音響派とつながっていく。そもそもニッポンにおいて「モンド」と「音響派」はそう遠くない起源を持っているのだ。

 今回取り上げる、アトム™とマーク・ベーレンスの『Bauteile』を聴いたとき、即座に浮かんだのが以上のようなキーワードだった。シュトック、ハウゼン&ウォークマン。モンド・ミュージック。90年代。ポップのいかがわしさと、人工的なリゾート感。サンプリング・コラージュ。音響派。00年代的エレクトロニカ。もちろん、『Bauteile』はそれらとは違う。そもそも時代が違う。だが音楽のコラージュ、過去の音楽のリサイクル的なコラージュ感、そして何より、ポップ感に近いものを感じてしまったのだ。ほとんどサンプリングを用いない自分音源によるテン年代のシュトック、ハウゼン&ウォークマン?(アトムとマークが80年代からやりとりをしていた音源が素材だという。また、多少なりともレコ音源などのサンプリングはあるように思える。終盤に出てくるサックスなど)。

 ちなみにアトム™は、テクノからラウンジ、エレクトロニカからアンビエント、ラテンからモンドまで、20世紀のポップの記憶をエレクトロニクス・ミュージックに圧縮するような曲を作りつづける多作なアーティストだ。モンド・ブーム時にはリサ・カーボンのアルバムをリリースした(名盤)。そしてときおり挿入される硬質なノイズは、マーク・ベーレンスのものか。ベーレンスはアトムとは正反対といっていい作風のサウンド・アーティストで、インスタレーション作品なども制作している。昨年ポルトガルの美術館から刀根康尚の素材を用いた音響作品『イレギュラー・キャラクターズ』をリリースしており、刀根的なグリッチ音とマーク・ベーレンスの物質的な音がぶつかり合う傑作であった。そして『Bauteile』にも似たような音の質感が感じられた。

 CDを再生すると、冒頭はまず低音の持続。そして微かなノイズとカタカタと鳴る音、声(の痕跡のような音)などが折り重なる。やがて弦の音やアコーディオンがサウンド・ロゴのように鳴り響く。そこから4分後くらいにはビートが鳴りはじめ(すぐに消えていく)、エレクトロ、ヒップホップ、エレポップ、テクノ、ハウス、ガレージロック、フリージャズ、ノイズ、アンビエントなどが次から次へと音の坩堝のようにコラージュ/エディットされていくのである。その圧倒的な情報量には耳もクラクラしてしまう。

 この本作のコラージュ感は、サンプリングによるコラージュというよりも、PC内でのデジタル・エディットだからこそできる過剰な情報量が圧縮されている点が大きな特徴だろう。90年代のシュトック、ハウゼン&ウォークマンが、レコード「サンプリング」のコラージュ・アートとしたら、テン年代の『Bauteile』は、過剰な情報の「コピー&ペースト」のコラージュ・アートだ。そして現在「コピー&ペーストなコラージュ・サウンド」は進化の只中にある。彼らよりも若い世代のワンオートリックス・ポイント・ネヴァーなども「コピー&ペーストなコラージュ・サウンド」を生み出している。その意味でワンオートリックス・ポイント・ネヴァーはデジタル時代のシュトック、ハウゼン&ウォークマンである。

 いまという時代は、異なる世代が20世紀大衆音楽の記憶をコピー&ペーストするコラージュ・ミュージックを制作している時代とはいえないか。そして、この『Bauteile』には、モンドから音響派までの音楽的な変化が圧縮されている。それは20世紀の大衆音楽の記憶だ。さらに重要なことは、この「コピー&ペースト・コラージュ・アート」は歴史を無化するものという点である。となると、これは20世紀を真に忘却するための儀式なのではないか、とわたしなどは思ってしまうのである……。

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