「Nothing」と一致するもの

DBS: LEE BANNON x SOURCE DIRECT - ele-king

 ジャングル・リヴァイヴァルの真っ直中、4月19日(土曜日)に代官山ユニットで開催のDBS(ドラム&ベース・セッション)、好評だった前回2月のコンゴ・ナッティとはがらりと趣旨を変えてのユニークなブッキングです。

 ソース・ダイレクトはダーク・アンビエントな音響+激しいブレイクビートによって、90年代半ばのドラムンベース・シーンに強烈なインパクトを残したプロジェクトです。ちょうどアートコアなる括りで、音楽に意識的なジャングルが評価されていた時期にソース・ダイレクトは暗闇のなかを走ることを選びました。最近のジョイ・オービソンやボディカの先輩、そして、言うなれば、後にブリアルらが拡張することになるダーク・サウンドの先達です。

 先日、〈ニンジャ・チューン〉からアルバムを出したばかりの『オルタネイト/エンディングス』も一緒に来日します。4月18日には大阪公演もあります(https://circus-osaka.com/)。

 ※Sound Patrolにて、DBS主催者の神波京平さんによる「DRUM & BASS: DARKSIDE HISTORY 25選」が公開されています。ぜひ、チェックしてください。

★爆発する漆黒ビーツ! LEE BANNON x SOURCE DIRECT !!!
ニンジャ・チューンから衝撃のアルバム『オルタネイト/エンディングス』を放った奇才リー・バノンが急襲!
そして90'sドラム&ベースを急進させたダークの権化、あのソース・ダイレクトが実に17年ぶりの来日!
ジャングル/ドラム&ベースが勃発してから20年、時を経て今新たに蘇る!
LB x SD 奇跡の競演を見逃すな!!!

DBS: LEE BANNON x SOURCE DIRECT

2014.4.19 (SAT) @ UNIT

feat.
LEE BANNON x SOURCE DIRECT
with.
DJ YAHMAN (Tribal Connection)
TETSUJI TANAKA (90's d'n'b set)
HELKTRAM

Painting: THE SPILT INK.
Food:ぽんいぺあん
SALOON:
ASA (live), DUBTRO, KEN, DJ MIYU, PRETTYBWOY, STITCH

open/start: 23:30
adv.3300yen door 3800yen
info.03.5459.8630 UNIT
https://www.unit-tokyo.com
https://www.dbs-tokyo.com

====================================
Ticket outlets: 2014.3.14 ON SALE!
PIA (0570-02-9999/P-code:227-218)、 LAWSON (L-code: 73922)
e+ (UNIT携帯サイトから購入できます)
clubberia / https://www.clubberia.com/store/
渋谷/disk union CLUB MUSIC SHOP (3476-2627)、
TECHNIQUE (5458-4143)、GANBAN (3477-5701)
代官山/UNIT (5459-8630)、Bonjour Records (5458-6020)
原宿/GLOCAL RECORDS (090-3807-2073)
下北沢/DISC SHOP ZERO (5432-6129)、JET SET TOKYO (5452-2262)、
disk union CLUB MUSIC SHOP(5738-2971)
新宿/disk union CLUB MUSIC SHOP (5919-2422)、
Dub Store Record Mart(3364-5251)
吉祥寺/Jar-Beat Record (0422-42-4877)、disk union (0422-20-8062)
町田/disk union (042-720-7240)
千葉/disk union (043-224-6372)

UNIT
Za HOUSE BLD. 1-34-17 EBISU-NISHI, SHIBUYA-KU, TOKYO
tel.03-5459-8630
www.unit-tokyo.com

★LEE BANNON (Ninja Tune, USA)

★LEE BANNON (Ninja Tune, USA)
カリフォルニア州サクラメント出身、現在はNY在住のビートメイカー/プロデューサー。映画からインスピレーションを得ることも多く、フィールド・レコーディングを多用した自由なプロダクションが賞賛を浴びた1stアルバム『FANTASTIC PLASTIC』を'12年にFLYING LOTUSの作品で名高いPlug Research からリリース。またブルックリンの若手ヒップホップ・クルー、PRO ERAとの交流を経て、代表格のJOEY BADA$$のプロダクションや彼らのツアーDJとして注目を集める。'13年にはダーク&エクスペリメンタルな『CALIGULA THEME MUSIC 2.7.5』、『NEVER/MIND/THE/DARKNESS/OF/IT...』の2作のデジタル・アルバムのリリースを経てNinja Tuneと契約、ダウンテンポの"Place/Crusher"を発表。またKANYE WESTの"Bound 2"をジャングルでリワークし度肝を抜く。
そして2014年1月にNinja Tune/Beat Recordsから遂に発表された最新アルバム『ALTERNATE/ENDINGS』は、彼が影響を受けた90'sジャングル/ドラム&ベースのヴァイブを独自のサイファイ音響&漆黒ビーツで表現し、今まさにベースミュージック・シーンを震撼させている!
https://LeeBannon.com/
https://twitter.com/BANNON916
https://ninjatune.net/artist/lee-bannon

<リリース情報>
LEE BANNON : Alternate / Endings
1,890 (tax/in)
BRC-409:Beat Records / NINJA TUNE


★SOURCE DIRECT (Source Direct Recordings/Demonic, Metalheadz, UK)
現在プロデューサー歴23年のJIM KUTTAのソロ・プロジェクトとなるSOURCE DIRECT。ロンドン郊外セント・オールバンズ出身のJIMは'91年、級友のPHIL SOURCEと共同制作を開始して以来、自身のレーベル、Source DirectやOdysee、他にCertificate 18、Metalheadz、Good Looking、Mo'Wax等のレーベルから20作以上のシングルを発表。そのコズミックかつアブストラクトなSF感覚溢れるサウンドで90年代前半のドラム&ベースを急進させる。そしてVirgin/Scienceと契約し、'97年に編集盤『CONTROLLED DEVELOPMENTS』で日米に本格進出、またHOKUSAI名義で自主制作も継続する。'99年にはScienceから1stアルバム『EXORCISE THE DEMONS』を発表、ダークかつインダストリアルなサウンドスケープで歴史的名盤となる。2000年、JIMとPHILはコンビを解消し、SOURCE DIRECTはJIMが引き継ぎ、彼は新たにレーベル、Demonicを立ち上げ、当時新鋭のINSTRA MENTALやメンバーのBODDIKAたちと新世紀を歩み出す。その後、JIMは暫く沈黙を続けたが制作活動は続けられ、2014年、完全復活を遂げる! 2月にはGOLDIE率いるMetalheadzの20周年セッションに出演し、D&Bヘッズをノックアウトしたばかり。絶対に聞き逃せない、17年ぶりの来日!
https://www.facebook.com/SourceDirectFans
https://twitter.com/Source_Direct
https://soundcloud.com/source_direct_official

LEE BANNON 大阪決定!
4月18日(金) 大阪CIRCUS---info: https://circus-osaka.com/


DRUM & BASS: DARKSIDE HISTORY 25選 - ele-king

 4月19日(土)、代官山ユニットにて開催される「DBS: LEE BANNON x SOURCE DIRECT」、今回は、90'sジャングル/ドラム&ベースのダークサイドを開拓した巨匠、ソース・ダイレクトの17年ぶりの来日とあって、主催者の神波京平さんに「DRUM & BASS: DARKSIDE HISTORY 25選」を書いていただきました。
 ジャングル/ドラム&ベースが広まって20年、漆黒の歴史を振り返りましょう。

■DRUM & BASS: DARKSIDE HISTORY 25選 (選・文:神波京平)
1. 4 HERO - Mr. Kirk's Nightmare
[1990: Reinforced]
ポスト・セカンド・サマー・オブ・ラヴ=90年代初頭のレイヴ・シーンは暗い世相を反映して先鋭化するが、ハードコア・ブレイクビーツの台頭を予見した4ヒーローのビッグチューン。
https://www.youtube.com/watch?v=Xoxew9FO_JM
2. LENNIE DE ICE - We Are i.e.
[1991: i.e.]
ラッシュ感溢れるプロダクションのレイヴ・アンセム。エクスタシーを想起するヴォイスサンプルは空耳で、アルジェリアのライ音楽(CHEB SAHRAOUI)から。08年にCaspa + Ruskoのmixも出た。
https://www.youtube.com/watch?v=HQGmsQ2_Fa0
3. NASTY HABITS - Here Comes The Drumz
[1992: Reinforced]
ダークコアの到来を告げるナスティ・ハビッツことドック・スコットの歴史的名作は4ヒーローのレーベルReinforcedから。片面の"Dark Angel"も必聴。
https://www.youtube.com/watch?v=xkh_U3dRGzw
4. RUFIGE CRU - Darkrider
[1992:Reinforced]
同じくReinforcedからルフィジ・クルーことゴールディのダーク・クラシック。同時期の"Terminator"、"Sinister"('92)、"Ghosts Of My Life"('93)も必聴。
https://www.youtube.com/watch?v=-DblfFRL4ek
5. 4 HERO - Journey From The Light
[1993: Reinforced]
盤面に'YOU HAVE NOW ENTERED THE DARKSIDE'と書かれている4ヒーローの傑作。彼らならではのソウルフルなサンプル(BRAINSTORM、FIRST CHOICE、EW&F)を混成。
https://www.youtube.com/watch?v=sg9igdIHShM
6. Q PROJECT - Champion Sound (Alliance Remix)
[1993: Legend]
スピンバックとのコンビ、トータル・サイエンスで名高いQプロジェクトのオリジナルをよりアグレッシヴにリミックスしたアンセム。今なおプレイされ続けるモンスターチューン。
https://www.youtube.com/watch?v=qxTltrwuV2Q
7. ORIGIN UNKNOWN - Valley Of The Shadow
[1993: Ram]
アンディC&アント・マイルズのプロジェクトによるアンセム。BBCドキュメンタリーから採取した'long dark tunnel'のヴァイスがフラッシュするタイムレス・チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=a5meT63flnM
8. ED RUSH - Bludclot Artattack (Dark Mix)
[1993: No U-Turn]
鬼才ニコが主宰するダーク工房、No U-Turnから出現したエド・ラッシュによる'93年ダークサイドの重要曲。
https://www.youtube.com/watch?v=tD14ioNOzyA
9. CODENAME JOHN - Deep Inside Of Me
[1994: Prototype]
コードネーム・ジョン=ハードコア~ダークコアをリードしたトップDJ、グルーヴライダー(因みに著作権出版社名はDARKLANDS MUSIC)のクラシック。ジュークのルーツがここに!?
https://www.youtube.com/watch?v=CzYz5KMWnWs
10. RENEGADE - Terrorist
[1994: Moving Shadow]
ジャパン"The Nightporter"のピアノ・サンプルから一転、激烈Amen breakと獰猛なReese bass(ケヴィン・サンダーソン発祥) が炸裂するビッグチューン。レイ・キースとヌーキーによるユニット。
https://www.youtube.com/watch?v=dnY5q-IYqfw
11. DEEPENDANCE - Dark Tha' Jam
[1995: Emotif]
シャイFXやTパワーを輩出したSOURがエクスペリメンタルにフォーカスした新レーベル、Emotifを担ったディーペンダンスはNo U-Turnのニコの変名。ダーク&ヘヴィー。
https://www.youtube.com/watch?v=g215hDv4UeI
12. ASYLUM - Da Base II Dark
[1995: Metalheadz]
ストリートに根差したジャングルの発展に貢献したLダブルがアサイラム名義でMetalheadzに提供したビッグチューン。システムで体感したい重量級D&B。
https://www.youtube.com/watch?v=rDkIX7Xu7BM
13. SOURCE DIRECT - Stonekiller
[1996: Metalheadz]
15才で制作を始め、'90s D&Bを急進させたジム&フィルのソース・ダイレクト。数多くの名作の中でもアトモスフェリックなサイファイ音響とダークネスが結晶した本作は不滅。
https://www.youtube.com/watch?v=XBQW2YoQetE
14. DJ TRACE - Mutant Revisited
[1996: Emotif]
Reese Basslineが席巻した'96年、ダークはTech-Stepの呼称で新たなステージに。No U-Turn門下生のトレイスによる9分を越す本作は、まさにテックステップの代名詞とも言える。
https://www.youtube.com/watch?v=gAPwdm04_MQ
15. BOYMERANG - Still
[1996: Prototype]
ポスト・ロックバンド、バーク・サイコシスを率いたグラハム・サットンがボーイメラングとしてD&Bシーンに参入、グルーヴライダーのレーベルからの本作はダブプレートでライダーが掛けまくったアンセム。
https://www.youtube.com/watch?v=iIfP9HC5CkM
16. ARCON 2 - The Beckoning
[1996: Reinforced]
ダーク・エクスペリメンタルの名門Reinforcedから突如出現したアルコン2 aka レオン・マー。そのディープ&ダークなサウンドスケープは'97年のアルバム『ARCON 2』で全開する。
https://www.youtube.com/watch?v=653SrLkVbDU
17. RUFIGE KRU - Dark Metal
[1996:Metalheadz]
D&Bの帝王、ゴールディ/メタルヘッズのアイデンティティを具現化した快心作はMoving Shadowのロブ・プレイフォードが補佐。片面"T3"は新型ターミネイター。
https://www.youtube.com/watch?v=d0_39xA3_H0
18. NASTY HABITS - Shadow Boxing
[1996: 31]
'Metalheadz Sunday Sessions'を始め、D&Bイヴェントでヘヴィーローテーションされたダークマスター、ドック・スコットの傑作、レーベルは自身の31。'14年にOm Unit Remixで蘇る!
https://www.youtube.com/watch?v=z_VKMWs2eaI
19. ED RUSH - The Raven
[1996: Metalheadz]
これもMetalheadzの定番チューン。ミニマルな前半からベースがうねりを上げるディープな展開に引き込まれる。
https://www.youtube.com/watch?v=Kuhjsn5bwDg
20. OPTICAL - To Shape The Future
[1997: Metalheadz]
'96~97年に弟のマトリックスと共にシーンに台頭したオプティカル。Prototype、31、Moving Shadow等の名門で活躍、本作はMetalheadzにフックアップされた未来派サウンズ。
https://www.youtube.com/watch?v=A8Y6OT4iooQ
21. DOM & ROLAND - Trauma
[1998: Renegade Hardware]
'94年にNo U-Turn系列Saigonから登場したドム&ローランド(ドムと彼の愛機Roland S760の意)。ダークかつインダストリアルな音響で個性を発揮、アルバム『Industry』('98年: Moving Shadow)も必聴。
https://www.youtube.com/watch?v=xmloE-iiNa4
22. KLUTE - Silent Weapons
[1998: Certificate 18]
パンクバンド出身でD&Bに転向したクルートは、フォーテックやソース・ダイレクトのリリースでも知られるCertificate 18で足場を築き、ダーク勢の一翼を担った。'01年に立ち上げた自己レーベル、Commercial Suicideも注目。
https://www.youtube.com/watch?v=jsrkL9jlz4Q
23. SOURCE DIRECT - Exorcise The Demons
[1999: Science]
Virgin/Scienceと契約したソース・ダイレクトの歴史的1st.アルバム&コンビ最終作。DARK!を実感するフルアルバムを堪能してほしい。SDはジムが引き継ぎ完全復活!17年ぶりの来日に注目!
https://www.youtube.com/watch?v=sVXyFwh9edI
24. BC - Planet Dust
[2001: Prototype]
DJフレッシュが主導し、'90年代末~'OO年代初頭に一世を風靡した4人組、バッド・カンパニー。グルーヴライダーが惚れ込んだ本作は一晩に8回プレイされたとの伝説があるオールタイム・クラシック。
https://www.youtube.com/watch?v=s0y9RbQYP3s
25. PHOTEK - Age Of Empires
[2004: Metalheadz]
Metalheadzに帰って来たフォーテックのアンセムはEgyptian Empire(ティム・テイラー)の"The Horn Track"('91年: Fokus)サンプルをハイテンションに構築、ヴィンテージな緊縛ダーク・エスニック!
https://www.youtube.com/watch?v=s_NxxPx8XPU
EXTRA: LEE BANNON - NW/WB
[2013: Ninja Tune]
そして最後に追加で、本企画の契機となった奇才リー・バノンのNinja Tuneからのアルバムからの1曲。必見の初来日!
https://www.youtube.com/watch?v=IXIKeqSMsmU

トリプルファイヤー - ele-king

 ふわふわしたものとの、ふわふわした戦い。人によっては、それは、ただ虚空を舞っているだけの悲しいダンスに見えてしまうかもしれない。なぜならば、彼らの音楽は徹底してノンポリティカルで、(ノー・ウェーヴやギャング・オブ・フォーを評するときの海外のライター風に言うなら)パンク・ファンクのダンサブルな反復演奏を基調とし、メロディをほぼ排したうえでの、ヴォーカル、吉田による意味深な独白がただひたすらに続いていくものでしかないからだ……一義的には。だが、おそらく、トリプルファイヤーは何かと戦っている。もっと些細で、微妙で、小さい何かと。あるいはそれは、かつて山本七平が論じた「空気」のようなものだろうか。
 そうに違いないと決め込み、自分なりに吉田の言葉を解釈しきった気になってパソコンを立ち上げると、何も書き出せず、ドツボにはまっている自分にただ気づくのである。何を書いても「いや、そんな細かいこと考えてないすね(笑)」と流されそうだし、「いや、本当はそういうことが言いたいんじゃないんですけどね(苦笑)」とも返されそうだ。それくらい、歌詞(?)はメタフォリカルな弾力に富んでいる。こんな字数稼ぎまがいのことを断らなければ何も書けないような、解釈とその裏との無限ループに徒労を感じつつも、なお何かを語りたくなる、そんな魔力を余白と行間に忍ばせた9曲32分、トリプルファイヤーのセカンド・アルバム『スキルアップ』が恐ろしい!

 昨年の〈DUM-DUM PARTY 2013〉で観た30分足らずのライヴ。没個性的なポップ・スターのパロディなのだろう、両手を挙げ、唐突に「カモン!」と連呼し、フロアを煽りはじめるヴォーカルの吉田は終始、真顔であった。その動きにキレや真剣さというものはまったく感じられず、その目はただあさっての方向を凝視している。再三の「カモン!」コール。まったく反応のないフロアに、ときどき笑い声が漏れる。額面通りに観察すれば、彼はデフォルメされた、ある種の「普通」に擬態しようとしていた。だが、彼にそんな気がないのは誰の目にも明らかで、建前として取られたポーズと実際の意気込みのズレによって、聴き手の腰はいちど抜ける。それを立て直そうとするうちに、またリズムに乗り遅れる。トリプルファイヤーの虚空を舞うようなダンスは、そうやってよろめくようにはじまる。
 たとえば、友だち至上主義的にパーティーに明け暮れる人間になりきる“おもしろいパーティー”、あるがままの自分を懸命に自己アピールしてみる“ちゃんとしないと死ぬ”、観光地の土産によくある、穴を覗くと絵や写真が見えるキーホルダーを日本人が好きそうな権威主義的な煽り文句で真剣に売り込んでみる“本物のキーホルダー”などは、その典型だろう。そう思うと、ノー・ウェーヴ/『Solid Gold』あたりの頃のギャング・オブ・フォー/後期のゆらゆら帝国を混ぜ合わせたような、タイトなパンク・ファンク・サウンドも、ある種の勤勉さのパロディというか、ストイシズムに水を差すための反復演奏というか、マニュアル漬けにされた学生アルバイトの仕事のようにも見えてきて、いったいどこまでが天然でどこまでが計算されたバンドなのだろうと、僕は勝手な解釈を重ねながらもまたドツボにはまるのである……。

 この際だ、ドツボついでに行くところまで行ってしまおう。かつて鶴見俊輔が、戦後における漫才を評してこんなことを書いている。「官僚制度と教育制度の要求する機械のような正確さを一拍はずして受け止めるような、それに乗り遅れることを通してその流儀を批判するというスタイル」、それは物言えない人びとの知恵であると(『戦後日本の大衆文化史(1945~1980年)』より引用)。
 そう、トリプルファイヤーに僕が感じるのも、強い言葉を持たない人間ならではの知恵だ。「あえて・空気・読まない」という真っ向からの反発ではなく、「(まったくその気がないのに)あえて・空気・読んでみる」ことによって、なし崩し的に迫ってくる空気をふとシラケさせてしまうこと。超大手の就活サイトの広告にインスパイアされた例のアー写に象徴的だが、あのような「類型化された個性への同調圧力」なんて手合いはいまさらまともに取り合っていられないから、あえて適応してみる道だけが残るのだろう。そこでは演奏だけが勤勉で、表現に両義性を持たせている。そうした文脈で聴けば、タイトル曲“スキルアップ”は、格差社会と官僚制度のなかで成長していくサラリーマンを生温かく祝うような歌だ。

 真面目な話、これは案外、役者の揃った観のあるいまのインディ・ロックのシーンに一石を投じる存在になるかもしれない。あとは、たとえば5月28日にリリースされるという坂本慎太郎のセカンド・アルバム『ナマで踊ろう』が出た後でも、果たして本作を同じ思いで聴くことができているか。聴いている方が勝手に気負っているようで恥ずかしいが、しかし僕は、そんな乱暴な比較が成り立つくらいのポテンシャルをこのバンドの将来に感じていたい。

interview with DEXPISTOLS - ele-king

 すべてはわかってやったことだった。ハウス・ミュージックが完璧に息を吹き返したこの1~2年だが、DEXPISTOLSの登場は、ハウス・シーンが衰退した2000年代なかばに遡る(ハウスのDJの多くが、ミニマルを漁りはじめた時期である)。この頃のダンスのメインストリームに躍り出たのは、エレクロト/マッシュアップ、そしてアンダーグラウンドではディスコ・ダブ/コズミック・ディスコだった。そのいっぽう、ダブステップはピークへと進み、実験的なデトロイト・ハウスは着々と支持を広げながら、そして10年前には威勢の良かったダンサーたちやDJもいい年になって酒を飲むと愚痴を言うようになった。

 以下の取材で、僕は「気取った90年代」に対する「下世話な2000年代」という喩えを用いているが、DEXPISTOLSは、エレクロトやマッシュアップと同様に、「下世話な2000年代」の象徴的な存在だと言える。DJ MAARもDJ DARUMAも90年代のアンダーグラウンドの生き証人──気取った90年代の、筆者と同じ、どちらかと言えばナードなクラブ・カルチャー出身で、とくにDJ MAARの幅広い知識とダンス・ミュージック史への理解を考えればDEXPISTOLSは確信犯だった、と言える。
 1985年、オールドスクール・エレクトロのマントロニクスが「ゲット・ステューピット」(バカになれ)と言ったことで、深刻さにドン詰まったポストパンクにダンス・カルチャーの火をつけたという言い方ができるなら、DEXPISTOLSは2005年に同じことをやった。シーンに居座る年上連中の愚痴には耳を傾けず、若いエネルギーに共鳴しただけのことである。


DEXPISTOLS
LESSON.08 "TOKYO CULT"

エイベックス/tearbridge

Amazon

 「バカになれ」は重要だ。が、それだけでいつまでも突っ走ることはできないし、何かにつけて「バカって最高、ぎゃははー」などと言っている人は信用できない。DEXPISTOLSは、自分たちが成功したときのやり方を繰り返さなかった。新しいミックスCD『LESSON.08 TOKYO CULT』には、彼らのシリアスな面──ダンス・ミュージックへの愛情と寛容さ、シーンにおける彼らなりの開拓精神が見える。
 DEXPISTOLSは、ダンス・ミュージックにラップをノせる、80年代後半で言うところのファンキーなヒップ・ハウスを現代的に展開する。今作では、ベテランのDABOをはじめ、若手のOHLI-DAY、JON-E、KOHH、KICC、K.A.N.T.Aらラッパーをフィーチャーしている。CDは、〈ナイト・スラッグス〉系のベース・ミュージックにはじまり、ハウスやテクノがミックスされる。日本の若手トラックメイカーの作品を積極的に取りあげているのも今作の特徴だ。

 3月某日、エイベックストラックスの部屋のなかで我々は会った。最新の紙エレキングを渡すと、表紙に載っているシミラボのメンバーが自分たちの作った服を着てくれていることに喜ぶ。「うーん、シミラボはやっぱ素晴らしい」を口火に、DEXPISTOLSについておよそ2時間話した。DEXPISTOLS誕生前の話、ダフト・パンクと〈エド・バンガー〉への深いシンパシー、ダンス・ミュージックに対する彼らの考えを包み隠すことなく語ってくれた。


マッシュアップのときにふたりでやりはじめて、エレクトロのときに波が来るのがわかったんで、「ここで俺らやんないと!」って意識がすごくあったんですよね。まわりを見渡したときにジャスティスが「ヤバい」って言ってるDJがひとりもいなかったし。

DEXPISTOLSがシーンで出てきたのって2000年代ですよね。

DJ DARUMA:思いっきりそうです。2005年過ぎてからですね。

DEXって、そもそもどのように生まれたのでしょう?

DARUMA:えっと、もともと友だち同士で、先輩がいっしょなんです。ゲインズ(Gaines)という双子のDJ/トラックメイカーがいまして。僕はダンサー時代の繋がりでゲインズと友だちで、MAARが彼らと地元、小学校がいっしょで。

地元ってどこですか?

DJ MAAR:地元は国分寺なんですよ。

DARUMA:先輩のダンス・チームの音を作っていたのがゲインズだったりしたので、ちょっと繋がりがあったんです。その流れでMAARとパーティがいっしょになるタイミングがあったんですよ。違うフロアでDJやってたりとか。で、現場を介して繋がりがすごくあったんです。そういう時期があって……ミッドナイト・ブラスターが一番最初だっけ? DJクルーみたいなのでミッドナイト・ブラスターっていう、先輩たちが筆頭となったDJチームみたいな、ROC TRAXの原型みたいなものがあって。で、そのとき2メニーDJズがちょうど出てきたときで……。

一時期、よく比較されましたよね。

DARUMA:あとM.I.A.とかああいうのが出てきて、ダンス・ミュージックが新しい方向に動きはじめていましたね。そのとき2メニーDJズのミックスCDが出て、タワーレコードで僕が買ってすごく面白いなと思って。それまでテクノとかハウスとかヒップホップとかポップとか、線引きすることの美学が世のなかで普通のものとされていたのが、それを聴いたときに昔の自分の音楽の聴き方にすごく近いっていうか。中学生のときの、テクノもハウスもヒップホップも全部聴いてる感じに近い気がして。

あれは出たとき(2002年)、新鮮だったよね。カイリー・ミノーグやヴェルヴェッツ、ストゥージズからELPまで入っててね(笑)。

DARUMA:僕は、基本的にはヒップホップの現場にいたんですね。で、MAARはテクノ、ハウスの現場を拠点として、ヒップホップのほうを見たりとか。同じような感じで育ったんですけど、いたシーンとしてはふたりとも違った。で、そこを経てきて大人になって、ある程度いろんな物事がわかってきたときに、ふたりで何かいっしょにやったら面白いんじゃないかなと思ったんです。2メニーDJズのミックスCD聴いたときに、「これ、俺らもできるな」と思ったんですよね。それでMAARに「何かいっしょにやらない?」って言って、〈アゲハ〉の2階で話していっしょにやらないかって言ったのがはじまりなんです。

2メニーDJズのころって、マッシュアップものが海賊盤で出回ったりした頃だよね。ああいうものは、ダンス・ミュージックが深刻な方向に行き過ぎてたころに、何でもアリを極めたし、ちょっとバカっぽい感覚を取り戻したっていうね。

DARUMA:はい、マッシュアップ・カルチャーっていうのが世のなかにすごく出てきてましたね。

「自分たちの出番だ!」って感じでしたか?

DARUMA:んー……いや、単純に面白いなって思ったのと、「できる、これ」みたいな感じがけっこうあったんですよね。混ぜてやったらすごく面白いんじゃないかなって。すごく刺激的だったんですよね。そこに新しいものを感じたっていうか。

勝負のときだって感じだった?

DARUMA:勝負のときだと思ったのはじつはもうちょっとあとで、いわゆるエレクトロみたいな兆しが見えはじめたときですね。マッシュアップの次に、フランスから、(ダフト・パンクのマネージャーだった)ペドロ(・ウィンター)が主宰する〈エド・バンガー〉が見え隠れしはじめた時期で、最初〈ヘッドバンガーズ〉って名前で活動してて。「フランスの〈ヘッドバンガーズ〉っていうサイトが超ヤバい」みたいな。

MAAR:ペドロのマネージメント・オフィスが〈ヘッドバンガーズ〉だよ。たしか。

DARUMA:それでサイトみたいなのに、手描きでカシアスの部屋があったり、ダフト・パンクの部屋があったりして。どうもこれら周りのマネージメントをしてるやつがやってるクルーらしい、みたいなことがわかってきて。そこに1分半ぐらいの粗い画像の動画が上がってて、それがジャスティスの“ウィ・アー・ユア・フレンズ”だったんです。ロックでもテクノでもないその音楽で、フロアが大合唱してるのを見て、「これはすごいことが起こってる」って、そこの時点ですね。「これは俺たちが日本でやらなきゃいけない」って思ったのは。そこで俺たちの番が来たって。

MAAR:しかもそれ、いちばん最初〈ジゴロ〉からライセンスされてるじゃないですか。

時代の向きが変わる時期だったよね。

MAAR:8年ぐらい前じゃないですか。05、06年ぐらいですね。

ペドロっていうとダフト・パンクを売った人だけど、DEXにとってはダフト・パンク以降っていうのが大きかったの?

MAAR:思想が込められたいろいろな音楽があるなかで、ダフト・パンクって、もっと自由っていうか、「言っても俺、まあまあいい家に生まれてきちゃったけど、レイヴ・カルチャーもURも好きだし、スケボーもやったりバンドもやったりしてるし」っていうスタンスだったと思うんです。で、2メニーにもそういう自由さがあった。ベルギーに俺ら行ってみてなんとなくわかったんですけど、そこまでコアなクラブがあるわけじゃなくて、ああでもしないと盛り上がらないんじゃないかって、たぶん(笑)。

あのぐらいやらないと、まわりが自分たちのほうを向いてくれないっていう(笑)。

MAAR:彼らはラジオをやってたっていうのも大きいだろうし。逆に言ったら、そういうリスナーのほうが現代では多いじゃないですか。背伸びしなくてもやれる脱力感的な。昔みたいに、ハウスだったらゲイ・カルチャーの虐げられたなかでの多幸感とか、URの退廃的なインダストリアルのなかから生まれたものとかでもなくて。

ただ、音楽的に言うと、ダフト・パンクはディスコ・クラシックやガラージに対する憧憬がすごく強いでしょ。ニュージャージーのロマンソニーという、玄人好みのガラージといっしょにやってるくらいだから。

MAAR:「ダ・ファンク」よりも前のシングルで「ザ・ニュー・ウェイヴ」っていうのは、じつは140ぐらいの変なテクノだったりしてて。たぶん、その頃彼らはレイヴに行ったりしてて。お父さんがディスコのプロデューサーなんですよね。ヤマスキっていう、最近みんな掘り出してるあれを作ったプロデューサーだったりして。たぶんその辺のレコードが家にあって、そういうのを聴きながら……ほんと、ダフト・パンクって脱力のはしりなんじゃないかって(笑)。

脱力って言葉が適切かどうかはわからないけど(笑)。個人的に、ダフト・パンクがすごくカッコいいと思った瞬間は、90年代後半かなー、彼らはボウズでさ、マスターズ・アット・ワークみたいなガタイのいい人たちに囲まれながらDJやってる写真があるんだけど。あれは良いと思った(笑)。ごっついNYのハウスのDJに囲まれてさ、ちっちゃいフランス人が。

MAAR:知ってます。若い面白いのが出てきたって感覚だったんでしょうね。

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10代だったので、〈ゴールド〉も、終電終わってから行ってるのに、「ダメだ」「入れない」と言われてましたね。仕方なく、ジュリアナの横の川沿いで寝てたり(笑)。で、同じく入れなかった女の子をナンパしてみるけど完全シカトされたりして。

でもMAARくん、話戻すとさ、2メニーDJズって、ダフト・パンクと違って、ほんと根無し草じゃん。

MAAR:たしかに。

ダフト・パンクは戻れる場所があると思うわけ。マスターズ・アット・ワークとかさ、ディスコ・クラシックとかさ、自分たちのアイデンティティを表明してるじゃない。2メニーDJズっていうのは何でもアリだけど、つまり何でもアリが故に「お前ら何だ」って言ったときにほんとに何もないから。ダフト・パンクと2メニーDJズはやっぱり違うよ。

DARUMA:なるほど。

DEXPISTOLSの出方っていうのはどっちかって言うと、2メニーDJズに近かったのかなって俺は思うんだよね。MAARくんはさ、90年代のアンダーグラウンドをけっこうリアルに経験しているでしょう。東京のクラブ・カルチャーの栄光と衰退の歴史を、間近に見てるわけじゃない?

MAAR:〈マニアック・ラヴ〉も含めて(笑)。

〈マニアック〉にも関わってたの?

MAAR:〈マニアック〉が出来てすぐぐらい、木曜日にじつはやってたんですよ、マセくんと。俺19ぐらいですね。

へー、俺ら、絶対に店内ですれ違っているね。

MAAR:いっつも店長さんに「全然ひと入んねーな」って言われて、「すいません、すいません」って謝ってて。「やる気あんの!?」とか。けっこう怖かったす(笑)。

はははは、それ何年ぐらい?

MAAR:だから20年ぐらい前ですよ。〈マニアック〉って最初、内装が白でできたじゃないですか。で、2年目か3年目に黒になったんですよ。要は最後までそれになるんですけど。黒になってすぐぐらいですね。

俺も出来たばかりの頃からずっと通ってたんだけど、必ず朝まで必ずいてさ。

MAAR:俺もあれ行きました。「すげーゾンビがいっぱいいるー」とか言いながら。

ハハハハ。そのなかのひとりが俺だったかもね。

MAAR:94年、95年ぐらいですかね。

そのころDARUMAくんはダンスを?

DARUMA:そのときは完全にダンスですね。いわゆるNYのヒップホップにぐぐーっと行ってるときですね。僕は六本木を中心に遊んでて、週末は〈ドゥルーピー・ドゥロワーズ〉に毎週行ってました。3時ぐらいになると(近所のヒップホップ系のクラブの)〈サーカス〉が終わって流れてくる大人たちがけっこういたんです。そこから選曲もけっこう濃くなっていくんですよね。

MAARくんが〈ゴールド〉に関わったのはもっと早い?

MAAR:俺が18のときですかね。2、3回メインフロアでやらせてもらったらもうお店が閉まっちゃったんですよね。

そもそもクラブ・カルチャーを好きになった理由は何だったの?

MAAR:高校のときに雑誌読んで──「うわー行ってみてー!」と思いました。先輩に「連れてってください!」って言って、連れて行ってもらった〈ゴールド〉が、ど平日だったんですけど、もう衝撃的すぎましたね(笑)。聴いたことねー音楽かかってるし、ていうか「なげーこの曲!」みたいな。「いつ終わるんだよ、4時間経ってるし!」って(笑)。つないでるのを1曲と思ってました。しかも歌入ってこねーし、って。カッコいいひといるしキレイなお姉さんいるし、「ここは楽園か!?」と思ってましたね。

はははは。

MAAR:でも、まだ10代だったので、〈ゴールド〉も、終電終わってから行ってるのに、「ダメだ」「入れない」と言われてましたね。仕方なく、ジュリアナの横の川沿いで寝てたり(笑)。で、同じく入れなかった女の子をナンパしてみるけど完全シカトされたりして、しょうがないからジュリアナのひとたちをずーっと見て、「すっげー車、これどうやって乗るの?」みたいなことを言ったり。で、川原で酒飲んでゴローって寝て、いちおう1時間交代ぐらいで店員が変わるからもう一回行ってみて(笑)。それで入ると、一回飛ばした店員に見つかって「お前ら入ってんじゃねーよ」ってまた出されて、繰り返し。そのうち知り合いも多くなってくるんですけど。知り合っても「お前ら未成年だからダメだよ」って言われてしまったりね。
 〈リキッド〉もよく行きましたね。それこそジェフ・ミルズの来日DJはものすごかったですね。会場に入って、バーには誰もいないから、「全然がひとがいねー。ジェフ・ミルズってそんなに人気ねーのかなー」って思って、ドアをグッと押しても開かなくて、「うおー!」って開けたらパンパンだった。そんなの初めて見た。で、あの人がクネクネしながらエライコッチャなDJしてて、「事件!」って友だちと言ってました(笑)。

はははは。

MAAR:「大変なことが起きてる!」みたいな。〈リキッド・ルーム〉ではバカみたいに踊りましたねー。マスターズ・アット・ワークのときもオープンからラストまで8時間踊ったり、ベーチャン(ベーシック・チャンネル)来たときもずっと踊っていました。

そういう風に、いろいろな現場をリアルタイムで見ることはできたものの、自分たちがいざ「出て行きたい」ってなったときには難しかった?

MAAR:そうっすね。リミックスとかもちょいちょいやってたんですけど。EMMAさんのミックスCDに入れてもらったりしてるんですけど、そこからとくに展開もなく。ハッて気づいたら、「やべー、テクノ・ブームに乗っときゃ良かった」と思って。KAGAMIくんが同い年だったんです。専門学校がいっしょで、その頃はお互い全然知らないんですけどね。「そっか、そういう手があったか」と思って(笑)。で、サンプラーで一生懸命曲作って聴かせても、ハウスの先輩たちは誰も反応してくれなくて(笑)。

いまでこそハウスとテクノの垣根が崩れたけど、当時はものすごい壁があったもんね。

MAAR:いまはもうテクノがハウス化してるし、ハウスがテクノ化してるし。

90年代っていうのはふたりにとってどういう10年間だったんですか?

DARUMA:青春時代ですね、完全に。基本的にはお金なかったですけどね。で、あるとき「俺ダンサーとしてやっていこうかな」って人生を考えたときに、ダンスでご飯食べていくって言っても、ダンス・スクールか、誰かのバック・ダンサーになるか、振りつけ師になるかしか、基本的には見えないんですよね。で、僕ダンスすごく好きなんですけど、ダンス上手くないんですよね。

はははは。

DARUMA:でも僕は、ダンスにヒップホップを感じていたんですよ。あのころのダンスは、いまのスポーティなダンスとは違ってましたから。
 で、じゃあダンスで、僕のスキルで果たして食っていけるのか、って。自分はダンスで食っていくことはできないと。結局、アンダーグラウンドに僕はステイして、ダンスとDJを続けて、あとファッションが好きだったんで洋服を勉強しているうちに、MAARと出会うって感じなんですよ。

かたやMAARくんだけど、〈マニアック〉の木曜日に回してたときは、けっこう悶々と回してるわけでしょう?

MAAR:悶々と回してますね。21から25ぐらいまでかな、「もうやってらんねーや」的な気分になって、クラブのDJやらなかった時代もありますからね。「ダメだなこれ」と思ったことがありました。ちょうど“アラウンド・ザ・ワールド”とかをかけてた頃ですね。で、いちどクラブの現場から離れて、それで曲をしっかり作ろうと思ってたんですけど。
 曲作りは19ぐらいからずっとダラダラやってます。いまいち自分のスタイルが出来なくて……じつはしっくり来るようになったのは超最近なんですよ。曲を作るのが面白くなってきたのが。これ(今作)をマスタリングしたときに、けっこういいスピーカーで何回か聴いてて、「なるほど」っていろいろ気づくことがあって。最近、楽器も練習し直してて。

DJの世界ってさ、たとえば10代の頃にデビューしたDJがトラック・メイカーとしては40代でデビューすることって、意外とあるんだよね。

MAAR:リカルドとかもファーストEP見ると20代半ばぐらいだし。たぶん、自分が楽器を弾けないからDJをやりはじめたっていうのもあるんだと思います。でも、いまは逆だったりして、楽器バリバリ弾けるのに打ち込みやっちゃうジェイムス・ブレイクとか。けっこうね、いい迷惑だったりするんですけどね(笑)。

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べつに暗いものが高尚だとは思わない、でも、やっぱりオリジナリティが欲しい……それがオリジナリティか変な音楽かはひとそれぞれなんですけど、俺は毒があって癖があるものが、すべてにおいて好きなんです。

なるほど(笑)。話を戻すと、ふたりとも90年代のクラブ・カルチャーを通っているんですね。で、2000年代に入って、2メニーDJズやジャスティスみたいなものが出てきて、そしてDEXPISTOLSとなって世に登場する。で、俺は、2000年代のクラブ・カルチャーって、90年代に対する反省であったり、そういったものも含めてなんだろうけど、すごく下世話になったと思うのね。90年代っていうのは、良くも悪くもスノッブだったでしょう。良く言えばオシャレだったし、悪く言えばスカしてる感じもあったと思うんだよ。2000年代っていうのは良くも悪くも、下世話で、言うなれば、ヤンキー臭くなったという印象なんだよね。で、DEXPISTOLSってその象徴的な存在じゃない(笑)?

DARUMA:そうですね。お恥ずかしながら(笑)。

たとえばだけど、90年代のピチカート・ファイヴが2000年代になるとカプセルになるというように、2000年代は物事が下世話になったと思うんだよね。たとえば大沢伸一みたいなひとはずっと下世話なままでやっていけるひとなんだろうし、それはそれですごいと思うんだけど、いや、悪い意味じゃないよ。

MAAR:いや、でも俺それ、すげーわかります。2000年代の下世話感。

だってさ、アンダーグラウンドもヤンキーっぽくなったからね。精神論ばっかというかさ。DEXPISTOLSは、そういう意味ではまったくヤンキーではないんだけど、ただ、下世話なことを確信犯としてやってきていて、で、その下世話さだけでは満足できないように見えるんだよね。

MAAR:いろんなものが好きだっていうのは基本的にあるんですけどね。まー、ギリありっていうEDMもかけてますし、“ゲット・ラッキー”もかけてます。ただ、自分が大事にしてるのって、結局、場の空気感なんです。どういうひとがいて、どういうものがかかってて……まあ、どういうひとが集まってほしいかっていうのがデカいんですよ、自分的に。だから音楽が先行していないと言えばそうなんですけど、でも、好きな音で思想とか嗜好とかが近いひとたちが集まる場所がクラブだと思ってるんで。

スクリレックスにはなりきれなかった?

MAAR:初期はかけてたんで何とも言えないんですけど、あれの世界観をほんとに「カッコいいよね、これ!」って言ってるひとたちと俺は馴染めないってだけで(笑)。でもドッグ・ブラッドは、ガンガンかけてたり(笑)。

その引き裂かれ方、ていうか、「両方好きで何が悪い」って感じなのかな。

MAAR:べつに暗いものが高尚だとは思わない、でも、やっぱりオリジナリティが欲しい……それがオリジナリティか変な音楽かはひとそれぞれなんですけど、俺は毒があって癖があるものが、すべてにおいて好きなんです。映画も、ただ、ワー、ドッカーン、ハッピー、ブチュー、ラブー! みたいなものより、「……どういう意味だったんだろうな、これ?」っていうほうが好きでですね。音楽もそういう感じがいい。
 何だろうな、喜怒哀楽の外側に持って行かれるものすべてに興味がある。バーンってぶつかったら痛てーし、肩ぶつけられたらイラッとするし、女の子のパンツ見えたらウォーってなるし。そうじゃない何か、踊っててもどこか掴まれるもの。要はディープ・ハウスでもテクノでも、それを聴いたときの快感がヤバくて。日常に落ちてねーやってところでクラブに行ってたから。あまりにも日常的な感情だけをボンって出されると、「これだったら家でゲームやっててもいっしょだな」みたいな(笑)。

なるほどね。

DARUMA:たぶんエレクトロのヤンキー的な感覚のままもし行ってたら、僕らはガッツリEDMのトップ40とかもガンガンかけるようなDJになっていく流れだったと思うんですけど……。

そうなの(笑)?

DARUMA:DEXPISTOLSをやってるときから一般的にはそういう風に見られてるんだけど、だけど、すごくいろいろなことを掘って僕らのことを見てくれているひとは、「アイツらはそういう感じになってるけど、そうはなってないギリギリ感があるからアリ」って思ってくれてて──

MAAR:乳首の話だ(笑)。

DARUMA:乳首見せてないから、アリっていう風に思ってくれてるひとがなかにいて。その乳首は絶対に見せないって感じのところが僕らのなかで共通項としてあるから、今回もこういうミックスCDになってるんじゃないかなって僕は思うんですけどね。

うん、ふたりを見てると、それは本当にそう思いますよ。たとえば、『Lesson.04』を出した頃っていうのは、世のなかに一発お見舞いしてやりたいっていう気持ちががこめられてたと思うのね。で、『Lesson.05』を出して、そのまま続けることはできたと思うんだけど、ある意味、そこで踏みとどまってる……でしょ?

MAAR:ルー・リードの「ワイルドサイド」の歌詞じゃないですけど、ワイルドサイドを歩くと変人に当たるっていう(笑)。俺は、ゲットーに生まれたわけでもないし、恵まれた家にも生まれたわけでもないけど。父親は、大阪のゲットー生まれで、母親は、ワイルドサイドを渡り歩いてきた人でしたけどね。いろいろあって幼少期、家庭環境は劣悪そのものだったり(笑)。とにかく俺にとっては、リアルってものがしっくり来る。でもね、やりきってお金持ちになっててもそれはそれで違ったのかなとも思うんですけど(笑)。

はははは。

MAAR:でも結局やりきれない自分がいるんで。どこかカッコつけたがりだし、ビビりだし。とはいえ踏みとどまったって、音楽でガッツリお金稼いでとんでもない生活してるひとたちもいるんですけどね。目指すのは茨の道ではあるとは思うんですけど、そういうほうが俺には心地よく思える。友だちがいいこと言ってて。「アンダーグラウンドっていうのはジャンルとか音楽的なものじゃなくて、生き様だ」って。俺もそう思うんです。

要するに、DIYってことだよね。だからね、90年代にもいいところはたくさんあってさ、たとえば当時のクラブでクライマックスにかかった曲は、オリコン・チャートでは出ない曲なんだよね。「ヒットする」っていう意味にもうひとつべつの回路を作ったのがクラブ・カルチャーっだったわけで、みんな知ってるヒット曲をかけるのがDJじゃないから。EDMというか、いまのレイヴ・ミュージックって、アメリカでは中高生の音楽なんで、俺がとやかく言うスジでもないんだけど、ダンス・カルチャーという観点で見たときのがっかりさをひとつ言うと、結局は、ヒット・チャート的な価値観に回収されているというか……。ダンス・カルチャーのオルタナティヴ感をすっかり無くしているところなんだよね。

MAAR:たしかに、〈イエロー〉や〈マニアック・ラヴ〉はアンダーグラウンドでしたね。まあ、レコードとかクラブ・ミュージックって、昔はきちんとショップに行かないと買えなかったじゃないですか。でもいまって、クラブ・トラックがエクスクルーシヴなものじゃないんですよね。iTunesで買えるし、YouTubeでも聴けるし。ある意味ですべてがエクスクルーシヴではないんですよね。
 若い子たちってすべてを怖いぐらいにフラットに見てて、ラップもやればアニメも大好き、みたいなやつも平気でいたりとか。この前〈レッドブル・アカデミー〉の〈ヴィジョン〉の試写会行ったら、すげーコンサバなお姉ちゃんが帰り際電話でビートについて誰かと熱く語ってて、「あーもうすぐ作りたいわー、曲」みたいな。「どんな時代?」と思って。

はははは。

MAAR:ある意味すべてがフラットになっているでしょう。クラブ自体がエクスクルーシヴな場所じゃないし。とはいえみんな、世界中のエクスクルーシヴな場所を一生懸命探して、いまだとベルリンに集まってたりとかしてるんでしょうけど。それからルーマニア・ハウスが盛り上がってきてたりとか、メキシコが盛り上がってたりとか。南米の4つ打ちいま面白いですもんね。

東欧と南米。北欧から東欧に行って、南米行って(笑)。

MAAR:北欧ありましたよね! ちょうどおとといルオモ聴いて、これカッコいいなって思ってました。

EDM……っていうか、現在のクラブって、大きなところは、90年代初頭で言うところのユーロ・ディスコ化しているよね。まあ、いいんだけどさ。

MAAR:あれですね。ボン・ジョヴィとかに近いですね。もう。

しかし、MAARくんは本当に詳しいよね。世間的にはそういうイメージないけど……。ところで、DEXPISTOLSにとってベース・ミュージックっていうのはどういうものだったんですか?

MAAR:俺は、いちダンス・ミュージックっていう以外の捉え方はしてないんで。たぶんロックかけてたときも踊れるか踊れないかが基準なんですよね。

〈ナイト・スラッグス〉のTシャツ着てるからさ、今日。ガール・ユニットの曲も今作には入ってるしね。俺も好きですよ、〈ナイト・スラッグス〉。

MAAR:ガール・ユニット(の曲をCDに)入れたから着てこようかなと(笑)。ただ、「括られちゃったらいやだなー」っていうのはある。野田さんもメールに書いていていたけど、ベース系の世代の子たちが4つ打ちやりだしているのも、現場行ったら「踊らせたい」っていうことだと思うんですよ。

最近の、その4つ打ち回帰はどう思う? 血気盛んな10代を相手にしているとはいえ、EDMがブローステップからトラップへと、ちょっと凶暴な方向に進んでいるんで、ピースなヴァイブを求める大人はあらためてクラブを重んじるんだろうし。

MAAR:まあ当然そうなりますよ。やっぱクラブでギグ増えてきたら、踊らせなきゃって思うだろうし、作ってるとだんだん、4つ打ち、シカゴ・ハウスが何だかんだ言って「やべー、これ完成されてる」ってなりますもんね。4つ打ちって、結局、帰ってきちゃう場所だと思うんですよ。

言い方を変えると、いまハウスが一番ヤングの音楽なんだから。ケリー・チャンドラーとかマスターズ・アットワークがね。

MAAR:ディスクロージャーとか……。でも、クラブ・ミュージックにおいては、テクノ、ハウスって、もう世界的に確立したものではあると思うんです。何だかんだ言って一番踊りやすいっていうシンプルさではじまっちゃってるんで。そこに戻ってくるとは思うし、結局そのシンプルななかで何かやるっていうのが難しいわけだし。

まあでも、2年前ならトッド・テリー(ハウスのリジェンドのひとり)とか、DEXのミックスCDには入らなかったと思うんだよね。

MAAR:たしかにそうですけど、じつは俺らの『Lesson.02』か何かで──。90年代ハウスのミックスを作ってたりするんですよ。

それいま出したら売れるよ(笑)。

MAAR:90年代のハウスとか、ボム・ザ・ベースとか、ああいう80年代90年代にクラブで聴いてたものを超エディットして、30曲ぐらい入れてるんだよね。あれはすっげーBPMを下げて出したらヤバいかも。

DARUMA:うん。でもあれはあれで面白い。一生懸命やってるんですよね、なんか。

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俺に立ち返るところがあるとしたら、パーティです。パーティにはたぶん、一生戻るんです。そこに何がかかってるかは、その時代ごとでわからないけど。でも、自分の帰るところはパーティですね。

さっきから話しているけど、本人たちの引き出しはこれほど多様なのに、DEXPISTOLSはエレクトロで売れたから、一般的には、いまだにそのイメージが強いよね。

DARUMA:そうですね。で、マッシュアップのときにふたりでやりはじめて、エレクトロのときに波が来るのがわかったんで、「ここで俺らやんないと!」って意識がすごくあったんですよね。まわりを見渡したときにジャスティスが「ヤバい」って言ってるDJがひとりもいなかったし。たんなるノイジーな、わけのわかんない音楽っていう認識だったとたぶん思うんですけど。ジャスティスが、っていうか〈エド・バンガー〉が出てきて、「東京から俺らがここに乗っかってやるぜ」っていう意識はすごくありましたよね、やっぱり。

ロラン・ガルニエも〈エド・バンガー〉のことは評価してるもんね。

MAAR:忘れもしない、だってジャスティスのあのシングルが出る前に──。

DARUMA:「ウォーターズ・オブ・ナザレス」?

MAAR:うん。当時〈シスコ〉のハウス店にいた西村(公輝)さんがすんごいニンマリした顔で、「好きそうなの出てきちゃったよー」って言って、聴いたのがあれで。

へー(笑)。

MAAR:でもよく見たら、〈ジゴロ〉から出てる「ネヴァー・ビー・アローン」(2004年)とか俺持ってて。「あーこのひとなんだー」と思いましたね。最初みんなに聴かせても全員ハテナ出されて。「ビービー言ってるね」って。DARUMAくんすら最初ハテナだったから(笑)。

DARUMA:俺は〈ラ・ファブリック〉で、トレヴァー・ジャクソンと2メニーDJズのお兄ちゃんとペドロがバック・トゥ・バックでやってたのを見たことがあるんです。そのときは、俺、全然わかってなかったんですけど。そこでペドロがジャケット見せながらかけてて、それがノイジーすぎて理解出来なくて。サウンドの質感は違うけどウータン・クランとか最初聴いたときの異物感に近かったっていうか。

MAAR:で、俺サウンドチェックとかで聴いてると、大体PAのひとがバーって走ってきて、「これこういう曲ですか?」って毎回言われるっていう(笑)。

ジャスティスはその後、アメリカですごくウケたよね。

MAAR:ヘヴィメタですもんね。

あれがアメリカのいまのレイヴに与えた影響ってデカいのかなあ?

MAAR:デカいと思いますよ。暴れりゃ勝ちでしょ、みたいな。ジャスティス自体はほんとは音楽性が高いんですけどね。サウンド処理とかじつはとんでもないことやってて。あれぐらい音のトレンド自体を変えるひとたちはいないと思ってるんですけど。あれはたぶん、〈エド・バンガー〉チームが作ったものではあるんですよ。

DARUMA:そうそう。ペドロの手腕ってところがあるよね、やっぱり。ソー・ミーのアートワーク含めて。

MAAR:第二のダフト・パンク作りたいですっていうのがね。

DARUMA:やっぱりあのエレクトロの波っていうのは、ペドロの功績が相当大きかったなっていう。

実際、ペドロが仕掛けたものだしね。

MAAR:ペドロって、若干20歳にして、〈クラブ・レックス〉に初めてマスターズ・アット・ワークを呼んだ人なんですよ。フランスのクラブにディープ・ハウスやテクノを持ち込んだひとりなんです。で、そこにダフト・パンクが遊びに来て、お互いマスターズ・アット・ワークが好きだったと。それが縁でマネージャーになったらしいんですよね。

いまのは、ダンス・ミュージック好きには良い話だね。

MAAR:最近〈エド・バンガー〉がサインしたボストン・バンとか、新しい、すげー遅いハウスなんですけど。なんとなく理解できるなと思って。

MAARくんは、さっきの自分のルーツは何なのか? っていう話の続きなんだけど、本当にそこはどう考えているの?

DARUMA:僕はそこはヒップホップです。

DEXがもし迷ったとき、立ち返る場所っていうのは?

DARUMA:僕個人のなかではヒップホップを感じるか、その1点だけなんですよね。そこがブレていくってことはこの先たぶんもうない。僕はきっとそこだと思います。だからベース・ミュージックっていうのも、トラップとかダブステップとか、ポスト・ダブステップとか言われているものも、ヒップホップ的な感覚で聴いてるところが僕はあるかな。

じゃあジェイムス・ブレイクはダメでしょ。

DARUMA:いや、好きですね。

はははは。

DARUMA:ジェイムス・ブレイクに僕はそういう要素を感じることがもちろんできるから。

MAARくんは?

MAAR:俺に立ち返るところがあるとしたら、パーティです。パーティにはたぶん、一生戻るんです。そこに何がかかってるかは、その時代ごとでわからないけど。

MAARくんが理想とするパーティっていうのはどういうもの?

MAAR:面白いひとがいるところですね。面白いひとがいる、刺激的な場所である、刺激的な音楽がかかってるっていうところですかね。最近は、モノを作るのがやっとほんとに楽しめるようになってきたんですね。でも、自分の帰るところはパーティですね。
 いま、世のなか的には右傾化してて……海外からは右傾化してる日本に対してけっこう警告されたりはするんですけど。ケータイもテクノロジーも含めてどんどんガラパゴスになっていってるって言われる。でも、かたや、日本人のスキルも上がって、海外の有名なDJを呼ばなくても良いセットを聴けるようになったし……、あまりにもDJがロック・スター化したシーンがあって、料理人だったようなものがロック・スターになっちゃって。ただ、パーティというのは、もっとトータルに見せるものだと思うんです。空気感だったり……。

70年代のNYなんか、ある曲がかかると冷房入れるとかさ(笑)、そこまで考えていたそうだからね。

MAAR:昔、イビサでけっこう有名なDJでガン踊りしてたら、隣で似た様にガン踊ってた外人に「今日のDJ、誰?」って訊かれて「お前、知らねーのかよ!」みたいな。それぐらいひとつの面白い空間として、DJが誰とか関係ないひとも音にこだわるひとも、そこに集まるっていうのが理想すね。

DARUMA:最近は、二極化してる感じしますよね。すっげーひと入ってる大バコがあって、EDM的な、トップ40的なものでみんながワッショイ盛り上がってるっていう現場。もう一方では、大バコ程は人は入ってなかったりするかもしれないけど、良い音楽があって、良い空気感のあるパーティもあって。同じクラブ・シーンのなかでも、まったく別のものとして存在していますよね。

そもそもヤンキー的な方向に行くのって、絶対抑えられないと思うのね。もうずーっと、欧米だってそうじゃない?

MAAR:ベルリンでもありますもん。EDMのクラブ。

UKだってそうだよ。でもクラブ・カルチャーっていうのはさ、実は、そういうヤンキー臭さ、下世話さも受け入れているところがじつは良さだとも言えるんだよね、矛盾しているようだけど(笑)。理想を言えば、誰もが自分を解放しなきゃ意味ないんだし。

MAAR:いや俺もほんとそう思います。ただ、昔はおっかないひとたちってけっこうカッコいい音楽掘ってたんですよ。俺の先輩とか、エンジニア・ブーツで革パン履いて革ジャン着て、背中にラリー・レヴァンのサインですからね。

最高だね。

MAAR:「これいつもらったんすか!?」って訊いたら「この格好でNY行ったときに10時間踊ってやったら、『ユーはシリアス・ダンサーだ』って言われてサインしてもらった」みたいな(笑)。で、ジャラジャラとクロムハーツとかつけてて。たぶんそのミックス感も、クラブだけで許されるような気が俺はしてて。

その猥雑な感じっていうのをDEXPISTOLSはすごく出してると思いますよ。

MAAR:それはヤンキー感が強すぎなんじゃないですか(笑)。

はははは! 言ったね(笑)。

MAAR:それは、もう、俺らの地元の問題なんですよ。

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最初はBPM140ぐらいで揃えようとしたんです。ポスト・ダブステップ的な、それこそ〈ナイト・スラッグス〉とか、そういうものにラップを乗せようっていう。でも、時代は動いたし、140だけで合わせるより、BPM100ぐらいのエレクトロニック・ミュージックも入れてみようと思った。


DEXPISTOLS
LESSON.08 "TOKYO CULT"

エイベックス/tearbridge

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ところで、今回の『Lesson.08』このLessonシリーズっていうのはダブルディー&スタンスキー(※サンプリング・コラージュとしてのヒップホップを強調した人たち)にあやかってやってるんでしょ?

DARUMA:ヒップホップの流れっていうのもあるし。

今回のCDは作ってる側からすると、どういうコンセプトで作ったの?

MAAR:でも、じつはこれ、繋いでないんですよ。いわゆるビート・ミックスってことはしてないんです。
 最初のコンセプトはミックステープ的に、ひとの曲にもっとラップとか歌とか乗っけたかったんですけど、権利関係で無理だったんです。で、いまはミックスだけだったらサウンドクラウドなんかでいくらでも落ちてるし。DARUMAくんがダンサーのショーケースの音源的に、小ネタ的をどんどん挟んで展開してくれてるのを最初作ってくれてラフで持ってきて。後半はビート・ミックスで、なんて言ってたんですけど、じつはその作業ってPCでやるとめちゃくちゃめんどくさいんですよ。
 前は俺、それ全部きれいにミックスしてEQも調整してやってたんですけど、めんどくさくてやる割にはまったく勢いがなくなるんですよ、聴いてて。「なんでこんなつまんねーんだ」ってなってて。昔はもうずーっと、何日間も曲を聴いて合わせてたんですけど、それでやってもカッコ良くないんですよ。で、DARUMAくんに「もうちょっと後半もそういう感じで作って」って言って作ってもらったんです。あとは俺もそういうのを付け足して、ちょっとエフェクトかけたりとか小ネタをまぶして。音量もある程度、気づいたらバラついちゃったんですけど、マスタリングでわざと突っ込んでもらったりと、か突っ込まない場所作ったりとかして。ほんとラフな感じが逆に面白いな、と思って。

選曲のコンセプトは?

MAAR:最初はいちおうダブステップっぽい感じだったんですよ。

DARUMA:最初はBPM140ぐらいで揃えようとしてたんですけど。じつはこの話が1年前ぐらいかもっと前から進行していて、ポスト・ダブステップ的なところからやってみようか、って言ってたんですよ。それこそ〈ナイト・スラッグス〉とか、そういうのを紹介するようなものにラップを乗せようっていう。140で合わせていったら、ケンイシイさんの“エクストラ”とかも、ダブステップの同じBPMのなかに入ってくるのが面白そうじゃない? って言って、140で揃えようとしてたんですけど。もうちょっとこう、時代が動いたっていうのもあるんで140だけで合わせるより、BPM100ぐらいのエレクトロニック・ミュージックの動きとかも出てきたりしてるので、そういうところも入れつつ、借りれたものを組み合わせていったら、こういう流れになったんです。結果的には僕たち的に面白いものになったなと思っていて。全然納得いってる。100パーセントではないにせよ、できる限りのことはやったかなと思ってます。

そうだね。あと、DEXPISTOLSのいままでのなかではいちばん渋いかなって思ったんですけど。

MAAR:あー、やべー。俺全然そういうの思ってなかった。俺けっこう派手だなと思ってたんすけど(笑)。人によっては、EDM枠かなって(笑)。最近俺が遊んでるところが地味だからかもしれないなー。

より、ディープにクラブよりって意味で、そう思った。日本人の曲をフックアップしたいっていうのは前からやりたかったことなんだろうけど、今回はそこも意識してやったのかなって。

DARUMA:でもそれが、無理して入れたわけでもないんですよね。昔は、無理してでも日本人のトラックも紹介したいっていうのがあったんですけど、今回が気づいたら多かった。それを並べてみたら「全然いけた!」みたいな。

ハハハハ。

MAAR:でも、音楽が売れなくて、震災もあって、っていう時代でそれでも作ってる若い子がいるってことはすげーことだと思うし。ほんとカッコいいです。気合入ってるし。

なるほど。

MAAR:モノを作るっていう意味ではとてもいい時代だとは思うので。ゆとり世代のぶっちぎり感ってすごいっす。

俺もそれは思う。25歳ぐらい、面白いよね。

MAAR:もうね、社会的な歯車としては一切機能しないんですけど、モノを作る能力だけは──

DARUMA:ヤバいんですよね。

MAAR:どうしたどうした、その自信? みたいなやつが多い。

DARUMA:ハハハハ。

じゃあ期待できるね!

MAAR・DARUMA:期待できる!

interview with Real Estate (Martin Courtney) - ele-king

 リアル・エステイトはふたつの車輪で回っている。ソング・ライティングという舵をとるマーティン・コートニーと、その楽曲世界を特徴的なギター・ワークによって拡張するマシュー・モンデナイル。インディ・ファンには、もしかするとモンデナイルのほうが馴染み深いかもしれない。彼のプロジェクトであるダックテイルズは、〈ノット・ノット・ファン〉から〈ウッジスト〉、〈オールド・イングリッシュ・スペリング・ビー〉、〈アンダーウォーター・ピープルズ〉といった、USアンダーグラウンドの2010年代を準備したともいうべきレーベルを星座のようにつなぐ、重要な存在だ。

※みな、あのユーフォリックなギター・アンビエントや、穏やかながら底知れないインプロヴィゼーションに、いちどは耳を奪われたはずである。そこにはブランク・ドッグスやヴィヴィアン・ガールズのようなガレージ・バンドも、ラクーンのようなノイズ・バンドも、サン・アローのようなずっこけダブも、カート・ヴァイルのようなシンガーソングライターも、そして自身が主宰する〈ニュー・イメージズ〉のメデリン・マーキーのようなノイズ・アーティストや、エメラルズのマーク・マグワイヤなどまでを横に並べてしまう幅がある。

 しかしあのモンデナイルの音がリアル・エステイトかといえば、そうではない。リアル・エステイトにはコートニーの「ソング」があり、それでこその生活感や物語がある。「水平線はいらない/空の終わりは知りたくない/かすかな景色/ぼくが生まれた場所」(“Had To Hear”)──ひかえめな筆致で描かれるのは、ダックテイルズが幻視させる無辺のユートピアではなく、むしろその真裏にあるような「郊外」、そしてそこで営まれる若くない人間の現実、ぼんやりとした不安、苦く、ときめかず、生活にまみれた恋愛などである。実際のところ、とても地味で、地道な音楽だ。


Real Estate - Atlas
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こうしたところが彼らのおもしろいところ。モンデナイルのエクスペリメンタリズムはもちろん逃げ水のごとく魅惑的に輝いているが、あくまでそうした実験性によってではなく、メンバー個々のたしかなプレイヤビリティに支えられて各楽曲を成立させているところが、いまのリアル・エステイトの存在感を一段押し上げている。それぞれの楽曲と演奏はライヴと地続きだ。そして、とても洗練されている。プレイヤビリティと洗練、これはとくに、サード・アルバムとなる今作『アトラス』においてまざまざと感じさせられる特徴だろう。録音はむろんのこと、正式にドラマーを迎え、よりかっちりとしたスタイルが整えられてもいる。タイトなドラミングによって心地よく分節される音、旋律。地に足の着いたセッションが生み出す上質なソフト・サイケ。彼らのたたずまいもアーティストというよりミュージシャンたちの連合という形容がふさわしく、そのつながりにおいてまさしくバンドといえる。ceroや森は生きているや、あるいはミツメなどが多くの人に愛される、いまこそ聴かれるべき音楽ではないかと思う。

 本作はリアル・エステイトのキャリアにおいてもとくに落ち着いた作品だが、もっとも長く聴きつづけるアルバムになるはずだ。「この辺りに戻ってくると/嫌でも歳を感じる/昔過ごした家々の前を通り過ぎれば/過去の人々が見える、/……」「ここは昔と変わってしまった/でもあの懐かしい音がする/黄色の町並みを照らす光でさえ/かつてぼくらの町だった時と同じだ」(“パスト・リヴズ”) 変わっていく町の変わらない営み、そうしたものへの視線が鋭く照らしだす、生活という時間の断層。ここには、一瞬を生きるための音楽ではなく、層状に時を重ねていくための音楽が鳴っている。

自分の音楽を理解することに時間を費やさないからな。ただその時に合ったものを書いて、それを生演奏するのみ、だよ。

これまでのなかでは、はじめのアルバム『リアル・エステイト』(2009年)がもっともトリップ感のあるアルバムだったように思います。よりダックテイルズ的でもあり、あるいはサン・アローのようなバンドとも共通する音楽として聴いていました。しかし、枚数を重ねるごとに、地に足のついたフォーク・ロックへと接近していますね。こうした傾向は、なにかあなたがたの生活などとも結びついたことなのでしょうか?

MC:ダックテイルズは、マットのもう一つのプロジェクトなんだ。だから彼の音楽にはつねに関連づけられるね。それに、サン・アローのキャメロンは僕たちの友だちだよ。僕たちのサウンドを形容する言葉を探すと、「忠実度」なんじゃないかな? いまはプロのスタジオを使ってレコーディングをしているから、そういったものを避けて通ろうとしてないしね。

とくに、今作『アトラス』においてはドラムの果たす役割が大きいと感じます。歌ものとしての輪郭が立っていて、新たなリズムやタイム感を獲得し、表現の幅を広げていると思いますが、どうでしょうか?

MC:そうだね。ドラマーのジャクソン・ポリスが僕たちとスタジオ入りしたのは今回が初めてだったしね。今回のドラムが間違いなくいままでのどの作品よりもいいね。

あなたがたの曲はいずれもオールタイムの名曲のようにも思われ、また、ピカピカの新しい音楽のようにも聴こえます。あなたがたが新しい音楽として人々に受け入れられるとすれば、それはどんなところだと思いますか?

MC:どうだろうね。自分の音楽を理解することに時間を費やさないからな。ただその時に合ったものを書いて、それを生演奏するのみ。そうすることによって新鮮さを保てるんだ。あとは批評家、ジャーナリストの解釈に任せるよ。

一方で、ヒゲの風貌や“トーキング・バックワーズ”のMVなどは、さながら70年代のシンガーソングライターのようにも見えます。あなたがもっともアイデンティファイする音楽はいつの時代のどんなものなのでしょう?

MC:このアルバムの制作に取り掛かる前、間違いなくありとあらゆる70年代のロック作品に耳を向けてたね。ヒゲは本当にジョークのネタだね……、僕たちの“レット・イット・ビー”を作ってたんだ。

あなたがたは録音物においても美しいエクスペリメンタリズムを発露させていると思うのですが、ご自身たちの意識としては、ライヴ・バンド、ジャム・バンドであるというふうに考えているのですか?

MC:もちろんだよ。

では、音楽にとって何がいちばん大切です?

MC:正直であること。あとはたくさんの可能性に目を向けることだね。

ヒゲは本当にジョークのネタだね……、僕たちの“レット・イット・ビー”を作ってたんだ。

曲づくりの上では、マシューさんのギターとあなたのソング・ライティングとのあいだの絶妙な緊張関係が肝であるように思えますが、おふたりはお互いの特徴や個性をどのように感じているのでしょう?

MC:バンドの一人ひとりが音楽にスペシャルなインパクトを与えているんだ。みんながベストを尽くしてそれを同時に演奏しているときに、最高のモノが出来上がるんだよ。

“クライム”の教則ビデオ風のMVもおもしろかったですね。洒落たジョークという以上に意図したことがあれば教えてください。

MC:タブの数字を逆再生で見ると、秘密の暗号が解けるかもよ。

あなたがたの作品にはこれまでにも何度も「サバービア」というモチーフがあらわれていますが、日本人であるわれわれにとっては、それはたとえばガス・ヴァン・サントだったりハーモニー・コリンだったり、映画やコミックなどから間接的にしか接することのない幻想でもあります。あなたがたにとっても、「サバービア」が一種の幻想であったりすることはないのですか?

MC:僕たちにとってサバービアはガス・ヴァン・サントよりもジョン・ヒューズだな。

非常に乱暴な質問ですが、あなたのなかでは、生活と音楽とはどちらのほうがより優先されるべきものですか?

MC:それは僕が内出血を起こしていて、病院に行くのとステージに立つのとどっちを選ぶかってこと? だとしたら、僕はどんなときでも病院に行く方を選ぶよ。

ニュー・ジャージーのいまの音楽シーンについて教えてください。

MC:育っていく環境のなかでたくさんのバンドと演奏してきて、まだその友だちが音楽を続けているっていうのはとてもラッキーなことだと思ってる。

わたし自身、〈アンダーウォーターピープルズ〉や〈ウッジスト〉などのインディ・レーベルを心から尊敬していますが、〈ドミノ〉はあなたたちのステージを確実に世界へと広げるレーベルでもあります。ワールドワイドに活躍するようになってから、自分たちを、とくに「アメリカのバンド」として意識することはありますか?

MC:挙げてくれているレーベルはみな、古き良きユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカから来てるからね。アメリカンであることからは逃れられないね!

トム・シックとの作業や録音について、どのような感想を持ちましたか? また、新しく学んだことがあれば教えてください。

MC:トムがいちばんだよ。いままでの中で最良のサウンドを持ったアルバムを生み出すのに、本当に手助けしてもらった。いっしょに働くのも楽しかったし、仕事しているあいだ、圧迫される感じもしなかったしね。最高のプロデューサーだし、またぜひいっしょに制作に取り組みたいって思ってるよ。

 4月になったがNYはまだ肌寒く、ジャケットとスカーフは手離せない。カラフルな色がトレンドと言われる今年でもファッション関係の人以外、NYの大多数は黒……と地下鉄に乗っていて思う。そんなファッション・トレンドからは対角上にいる、著者一押しのモントリオール出身のシンガー・ソングライターがマック・デマルコ

 彼のトレードマークは、ブルーのチェック・ボタンダウン・シャツにオーバーオール、後ろ前に被ったベースボール・キャップ、そして隙っ歯。その辺にいるやんちゃなブルックリンの音楽好きキッズ代表である。パナシェがブッキングを担当しているので、名前は聞いたことがあったが、マック・デマルコを初めてみたのは、2013年8月末の、〈キャプチャード・トラックス〉の5年アニヴァーサリー・パーティだった。ただ、この時は、彼のセットでなくスペシャルゲストのシット・ファーザーとして、ドラムをプレイしていた。

 2013年11月初旬、アイスランド・エアウエイブスで,初めてフル・バンドセットを見る。

 ブッキングエージェントのパナシェについてのインタヴュー

 今年のはじめに、ブルックリン・ナイトバザーで彼のソロのショーを見たときは、「ニューアルバムは2015年発売予定!」といっていたのだが、今日4/1(エイプリルフール)に2枚目のアルバム「サラダ・ディズ」をリリースした。この2年間、世界中をツアーしていたデマルコは、去年の550人キャパのバワリーボール・ルームのオープニングから、1500人キャパのウエブスター・ホールのヘッドライナーにジャンプ・アップ。その前日のベイビーズ・オール・ライトは値段$30(!)なのでかなりの叩かれよう

 彼のスタイルは,ブルーウェイヴ、スラッカーロック。つま弾きギターと、どこかセンチメンタルなヴォーカル。ツアーに1年以上も出て、ガールフレンドを家において行くなど、フロリダにコンドを買って落ち着くにはまだ早い、23歳の感情をストレートに表している。バックヤードでハンモックに乗って、本を読んでいる。そんなレイドバックなギターポップ・ディドリームがぎっしり詰まったアルバム。

 以前見たブルックリン・ナイト・バザーのセットは、バック・バンドもいない、彼ひとりきりのショーだったが、観客のあいだでは、お約束のサーフィンが起こり、古い曲では、シンガーロングの大歓声が沸き起こる。
 カラオケタイムに突入すると、サーフィンはヒートアップし、アンコールをはさみ、彼も観客へダイブ。そのまま観客に運ばれ舞台袖へ退場。オーディエンスとのコール・アンド・レスポンスもタイトで、ジョークや下ネタが多く、オーディエンスを巻き込んで、一緒にパーティしてしまうのだ(彼のレイドバックな音楽スタイルとは関係なく)。その理由は「自分が緩くなった方が、オーディエンスもファンキーに盛り上がりやすいから」だとか。だから、今回発表された大ホールのショーに、キッズからブーイングが出るのも納得。とは言っても彼のジョークは減速せず、今年始めに、手始めに(?)マック・デマルコの新しいアルバムのプレビュー(パロディ)が発表された

 パロディなのだが、ショーではこの曲をプレイしろ、とマックにリクエストが出る出る!実は一番人気ソングかも(アルバムには未収録)。


Mac Demarco - Salad Days
Captured Tracks

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■以下「サラダ・ディズ」公式トラックリスト:
1. Salad Days
2. Blue boy
3. Brother
4. Let Her Go
5. Goodbye Weekend
6. Let My Baby Stay
7. Passing out pieces
8. Treat Her Better
9. Chamber Of Reflection
10. Go Easy
11. Jonny's Odyssey

 ちなみに、彼のバースネームは、ヴェーナー・ウィンスフィールド・マクブリア・スミス4世、(Vernor Winfield McBriare Smith IV)で、ニックネームがマック。冗談みたいだが、このアルバムは、パロディではない。是非聞いてみてほしい、エイプリルフールの今日。

Ekoplekz - ele-king

 エレキング読者のみなさん、はじめまして、こんにちは。禁断の多数決というバンドで音楽活動をしているシノザキサトシです。そして、いきなり宣伝で申し訳ないのですが、禁断の多数決のセカンド・アルバム『アラビアの禁断の多数決』はもう聴いていただけたでしょうか? まだ聴いてない。または知らない方がいらっしゃいましたら、ぜひ聴いてみてくださいね。そして聴いて良いと思ったら、まわりの友だちにも教えてあげてください。きっとエレキング読者のみなさんなら気に入ってくれると思います。そんな、おもに音楽活動をしている自分ですが、縁があってレヴューを書かせてもらえることになりました。自分は音楽も文章も基本的には同じ感覚で取り組んでいます。足したり引いたりしながら、固めていく作業は楽しく、日頃の嫌なことを忘れさせてくれます。ましてや文章は、紙とペンさえあればどこでも書けるのです。漢字ができなくてPCで文字を入力することでしか書けない自分が、紙とペンさえあれば、とか、悦に入って気取ったことを言ってしまいましたが、どうかお許しください。なにせこれが初原稿ですので。そして下記がエレキングでの初レヴューとなります。読んでおもしろかったら、まわりの友だちにも読ませてあげてくださいね。それではよろしくお願いします。

 編集部にお邪魔した際、野田さんからエコープレックズのニュー・アルバム『アンフィデリティ』のCDをポンと渡され、これのレヴューを書いてみるかと言われた。すぐに家に帰ってCDを再生させてみた。そして思ったこと。謎すぎる!! この感覚は久しぶりに味わったように思う。スペインのインダストリアルバンド、エスプレンドー・ジオメトリコ(Esplendor Geométrico)を初めて聴いたとき以来かもしれない。いや、それよりも、もっといびつに聴こえた。

 この掴みどころのなさはなんだろう。〈プラネット・ミュー〉から出したこともあってか、そのワードともリンクして、ブリストル発というより、宇宙発の音みたいに感じる。そして、繰り返し聴いているうちに、ポール・アンダースンのSF小説、『タウ・ゼロ』を思い出したのだった。その理由は後で述べるが、知らない読者に『タウ・ゼロ』の内容を簡潔に説明すると、この物語は、設定があまりにもデカすぎて、語っていることすべて気違いじみていると言うことだ。読んでいるうちに、知らず知らずこの自分の生きている現実の世界が、ちっぽけで滑稽なものに成り下がっていく、そんなリアルさえも危うくさせる恐怖小説。

 こんな書き方をすると、読者は大げさだと思うかもしれないが、読めばきっとわかってもらえると思う。たとえばこうだ「宇宙船は光速に近い速さで進んでいる。その為、船内ではたった数時間の経過も、船外では既に数世紀が過ぎてしまった」と飄々と語って読者を脅かしたと思えば、さらには「ここまで進むと地球はとっくに消滅した、宇宙さえも終焉を迎えつつあるのかもしれない」などと、しれーと言って、読む者を宇宙特有の虚無の世界に引きずり込もうとする。意味わからなさすぎて怖い。だがひっくり返すと全部バカバカしいようにも思えて、妙な多幸感が湧いてきたりする。そして思わずニヤリとしてしまう。それが『タウ・ゼロ』の魅力だ。

 要するにエコープレックズのニュー・アルバムは、『タウ・ゼロ』的な──意味わからなくて怖いけど、でもなんだかバカバカしい、そんな要素が存分に詰まっている作品のように思えるのだ。ニック・エドワーズ本人名義で〈エディションズ・メゴ〉から出している音も聴いてみたのだが、やはり同じことを思った。彼の音には、彼だけが理解している理論や哲学が音に滲み出ていて妙な怖さがある。その反面、チープで若干肩すかしな音を次から次へと散らかしながら出してきては知らん顔をする、子どものような無邪気さもある。そして宇宙のように音の中心がどこにあるのか見つけることができない。もしかしたら当の本人も作品がどこへ向かって、どこに着地するのか見当もつかないで録っていたのかもしれない。ニックがアナログ機材といっしょに宇宙船に乗り込んで、あとは野となれ山となれ、成り行き次第、エフェクター同士の化学反応次第という、カオスな宇宙旅行をして得たものではないのか。

 いまいちピンとこなかった読者のために、もうひとつ書いてみようかと思う。これはずいぶん昔の話だが、学生時代に、エコープレックズを初めて聴いたときのような恐怖体験をしたことがある。それは帰宅途中にカセットテープを拾ったのがきっかけだった。昔は道端にカセットテープやらVHSテープがいかがわしい雰囲気を醸し出しながらよく落ちていたものだ。いまでも自分は、なにかしらの記録媒体が道に落ちていると、必ず拾って持ち帰る。いやらしい気持ちでCD-RとかDVD-Rとか再生させて、何が飛びだしてくるかを楽しむのが好きなのだ。このときもそれと同じ感覚で、デッキにカセットテープをセットして、こっそり再生してみた。そして流れだした音に唖然とし、ショックを受けた。いったいこのテープはなんだ? 流れてきたのは感電しそうなビリビリ鳴ってるだけの電子音やモールス信号のような謎めいた音、怪しく奏でられるストリングスや英語でなにか警告しているように聞こえる男の声。なんだか聴いてはいけないものを聴いてしまったようなヤバい感覚に襲われた。誰かに殺されるかもしれないと真面目に思った。いますぐこのカセットを持って警察に相談しに行こうかと迷ったくらいだ。だが、何度も聴いているうちに慣れてきて、この意味のわからなさが快感になり、結局のところ、しばらくこのカセットを愛聴してしまっていたのだった。
 後にそれは『アウターリミッツ』のなんでもないただのサントラだと知ったのだが、しかし、それと解るまでは、掴もうとしても何も掴めない感覚、ソース不明な怪しさで魅力いっぱいのヤバいものだった。この感じはエコープレックズの音楽とかなりの部分で重なると思う。そして、そういう感性はいつまでも大事にしたい。想像や妄想や深読みの余地がたくさんある作品は、いつの時代であれ刺激的だから。エコープレックズのニューアルバム『アンフィデリティ』はそれをじゅうぶんに満たしてくれた。だからこれからもよくわからないながらも、何回も繰り返し聴くことになるだろう。

R.I.P. Frankie Knuckles - ele-king

 ハウス・ミュージックのゴッドファーザー、フランキー・ナックルズが3月31日、かねてから煩っていた糖尿病の合併症ためにシカゴで亡くなった。言うまでもなく、今日僕たちがハウス・ミュージックと呼んでいる音楽を大衆化したのは、1955年1月18日にブロンクスで生まれ、1977年にシカゴの〈ウェアハウス〉というクラブのレジデントになったこのDJである。

 僕たちがハウス・ミュージックによってどれだけの幸福を味わったのかということを、どれだけ救われたのかということを、いまさら思い返すまでもない。フランキー・ナックルズの功績はあまりにも大きく、その損失は計り知れないほど大きい。ベッドルーム・ミュージックを最初に大衆化したのはシカゴ・ハウスだった。ロックンロールだってハウスに救われた時代があった。
 フランキー・ナックルズは、音楽のみならず、ゲイ・カルチャーにも素晴らしい影響を与えている。彼は、ハウス・ミュージックはゲイに自信を与えることができた文化だと胸を張るのことのできたDJだった。

 すべてのクラブ・ミュージック・ファンにとってのクラシックであり、多くの人たちを最高の気分で舞い上がらせた“The Whistle Song”(1991年)をはじめ、ジェイミー・プリンシプルとのセクシャルな“Your Love”や“Baby Wants To Ride”(1987年)、富家哲との“Tears”(1989年)などなど、彼が残した多くのクラシックはこの先もクラブでプレイされ続けるだろう。若いリスナーにも受け継がれ、聴かれ続けるだろう。永遠のダンス・ミュージックとして。

 いまはただただ悲しい。ハウス・ミュージックの偉人にあらためて最大限の敬意を表し、彼が残した美しい音楽をひたすら聴いていたい。

Shintaro Sakamoto - ele-king

 坂本慎太郎の、セカンド・ソロ・アルバムが2014年5月28日(水)に、彼自身のレーベル〈zelone records〉からリリースされることになった……という情報は、みなさんもご存じかと思いますが、アルバム・タイトルも『ナマで踊ろう(Let's Dance Raw)』に決まったと、レーベルからメールが来ました。以下、レーベルのメールいわく「全くトロピカルではないスチールギターが、底抜けに明るいバンジョーが、人類滅亡後の地球でむなしく鳴り響く。構想&妄想約2年、坂本作品史上最もシリアスで最もポップな、入魂のコンセプトアルバムが完成しました」
 〈zelone records〉、続いていわく。「今回のレコーディングは、もはや坂本作品には欠かせないドラマーとなった菅沼雄太に加え、新たにベーシストとしてOOIOO等で活躍するAYAを迎え、トリオのバンド編成で入念なリハーサルを重ねた後に行われました。M-1のみ坂本がベースを弾いています。菅沼はドラムの他にパーカッションとコーラス、AYAはエレクトリック・ピアノとコーラスも担当しました。その他のゲストプレイヤーには、サックスとフルートに西内徹、ヴィブラホンに初山博、M-1のボーカルとコーラスに中村楓子、そしてエンジニアは中村宗一郎と、いずれも坂本作品ではおなじみのメンバーが強力サポートしています」

 2年前の『幻とのつきあい方 (How To Live With A Phantom)』において、ポップソングを探求した坂本慎太郎が次に何をやるのかは、我々にとって大いなる関心事である。リリースされるのが、とても楽しみだ。曲名を見ているだけでも、ワクワクするね!

www.zelonerecords.com
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2014年5月28日(水) zelone recordsより発売!
──初回限定盤のみ紙ジャケ仕様 / 初回&通常盤共に2枚組仕様──

ナマで踊ろう / 坂本慎太郎
Let's Dance Raw / Shintaro Sakamoto

01. 未来の子守唄
02. スーパーカルト誕生 
03. めちゃくちゃ悪い男 
04. ナマで踊ろう 
05. 義務のように 
06. もうやめた
07. あなたもロボットになれる 
08. やめられないなぜか
09. 好きではないけど懐かしい 
10. この世はもっと素敵なはず 

All Songs Written & Produced by 坂本慎太郎

品番: 初回限定盤: zel-012s / JAN: 4582237829204
通常盤 : zel-012 / JAN: 4582237829211
価格: 初回限定盤 ¥2,600+税 (紙ジャケ仕様/2枚組/BONUS CD付)
通常盤 ¥2,600+税 (2枚組/BONUS CD付)

Distribution: Bridge Inc. 03-3710-8049 https://bridge.shop-pro.jp/
More Info: zelone records: 03-6805 4232 info@zelonerecords.com


■坂本慎太郎 Profile■
1967年9月9日大阪生まれ。
1989年: ロックバンド、ゆらゆら帝国のボーカル&ギターとして活動を始める。21年間で、3本のカセットテープ、10枚のスタジオアルバム、1枚のスタジオミニアルバム、2枚のライヴアルバム、1枚のリミックスアルバム、2枚組のベストアルバムを発表。
2006年: アートワーク集「SHINTARO SAKAMOTO ARTWORKS 1994-2006」発表。
2010年: ゆらゆら帝国解散。解散後、2編のDVDBOXを発表。
2011年: salyu×salyu「s(o)un(d)beams」に3曲作詞で参加。自身のレーベル、zelone recordsにてソロ活動をスタート、1stソロアルバム「幻とのつきあい方」を発表。
2012年: 以前から交流のあるYO LA TENGOのジェームズ・マクニューのソロ・プロジェクト”DUMP”の”NYC Tonight"にREMIXで参加。NYのOther MusicとFat Possum Recordsの新レーベル”Other Music Recording Co" から、「幻とのつきあい方」がUSリリース。
2013年: 1月11日シングル「まともがわからない」(「まほろ駅前番外地」のエンディング曲) と同ドラマ劇中音楽を手掛ける。「攻殻機動隊ARISE」エンディング曲や、冨田ラボのアルバム「Joyous」に作詞で参加。舞台「高校中パニック!小激突!!」では作曲で参加。
2014年: Mayer Hawthorneとのスプリット7inch vinylを、4月19日の全米/全欧のRecord StoreDay限定でリリース(UNIVERSAL/Republic)。
5月28日に2ndソロアルバム「ナマで踊ろう」をリリース予定。

official HP: www.zelonerecords.com


R.I.P. Scott Asheton a.k.a. Rock Action - ele-king

 ストゥージズのドラマーとして知られるスコット・アシュトンが3月15日に亡くなった。

 結局、ストゥージズのオリジナル・メンバーで最後に生き残ったのがイギー・ポップだったことを驚いている人も多いだろう。とはいえスコットも、「PUNK」誌創設メンバーのひとりであるレッグス・マクニールをして「これまででもっとも偉大なサグ・ロッカー」と言わしめたくらいの人物ではある。

 そのレッグス・マクニールが中心となって膨大な関係者たちの発言を集めたUSパンク・オーラル・ヒストリーとも言うべき『プリーズ・キル・ミー』という本がある。あるも何もぼくが編集者として日本語版を出したのだが、手前味噌だけれどもはっきりいって名著である。残念ながら版権が切れてしまいましたけども。

 この本の中に出てくる“スコッティ”は登場して最初のページでハイスクールをドロップアウト、ウェイン・クレイマーから「あいつはとにかく喧嘩が強い」という称賛を受ける悪童ぶりだ。
 そもそもストゥージズはロンとスコットのアシュトン兄弟およびベースのデイヴ・アレキサンダーがイギーと出会う前に結成したザ・ダーティ・シェイムズがはじまりだ。そして、地元でナンバーワンドラマーとして活躍していたイギーがシカゴで本場のブルースを目の当たりにして挫折、ヴォーカルに転向して3人を誘ったことからザ・ストゥージズがはじまるのである。

 ストゥージズ解散後はMC5のフレッド・“ソニック”スミス率いるソニックス・ランデヴー・バンドやデストロイ・オール・モンスターズなどに参加しており、まぎれもなくデトロイト・ロックの中心的なドラマーだった。ロンがある時期からイギーに軽んじられていくのとは対照的にイギーとの関係も長く続き(『プリーズ・キル・ミー』にはイギーとスコットが一緒になってロンをコケにする場面が出てくる)、ストゥージズ解散後もたびたびイギーのソロにも参加している。

 2003年のストゥージズ再結成には兄弟揃って参加。フジロックでのカオスなステージが個人的には思い出深い。しかしロンが先に逝き、スコットも2011年に倒れたまま、ツアー生活への復帰はできなかった。

 彼が参加した最後の作品は昨年リリースされたイギー&ストゥージズのアルバムだと思うのだが、奇しくもそのタイトルは『レディ・トゥ・ダイ』だった。随所でロン・アシュトンの死が影を落としている作品だったのだが、この日が来ることもどこかで頭の中にあったのかもしれない。
 『プリーズ・キル・ミー』の終盤では次々に登場人物たちがこの世を去っていく。ジョニー・サンダースの死を嘆くジェリー・ノーランがやがて自分も寂しく死んでいく姿は何度読んでも涙を誘う。この本が出たときにはまだロンもスコットも健在だったのだが、この愛憎半ばする兄弟の最期はどのように描かれることになるのだろう。

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