「S」と一致するもの

Kinnara : Desi La - ele-king

 緊那羅:Desi Laが主宰するイヴェント〈BEAUTIFUL MACHINE〉が今年も催されることになった。今回はMars89がTemple Ov Subsonic Youth名義で登場するほか、デジ・ラ氏イチオシのフットワーク・プロデューサー、Moemikiに加え、Sayaka Botanic、Miya、YiNiが出演。会場は幡ヶ谷forestlimit、当日5月31日はデジ・ラ氏の誕生日とのこと。かけつけましょう。

https://ja.ra.co/events/2418078

BEAUTIFUL MACHINE 2026
May 31 2026

Temple Ov Subsonic Youth ( Mars89 )
Moemiki (DJ)
Kinnara : Desi La
Miya
Sayaka Botanic
Yini (DJ)

Open/Start :: 17:15
Adv ¥2500 :: Door ¥2700

チケット予約:https://forms.gle/c2jWqzixcTguaNpQA

再び機械を讃えて——
『BEAUTIFUL MACHINE』が、7年の空白を経て復活した『BEAUTIFUL MACHINE RESURGENCE』から1年、この春に帰ってくる。

今年のBMは、テクノロジーと共生する人間、その美の在り方へと愛を向ける。パワーエレクトロニクスの轟音と、人の触感をデジタル変調するサウンドが交錯するなかで——

『BEAUTIFUL MACHINE』は、Temple Ov Subsonic Youth(Mars89)による逸脱的アンダーグラウンド・テクノ、そして音の劣化を探求するSayaka BotanicとMiyaを迎える。彼女たちはそれぞれヴァイオリンとフルートを用い、エレクトロニック・アコースティック音楽の次なる段階へと導く存在である。

ダンスミュージックは依然としてBMの核であり、前回に続きMoemiki(DJ)が登場。今回は初のEPリリースを携え、その熱量とともに帰還する。さらに、強烈かつマニアックなBPMを操るPsycore系DJ、YiNiもラインナップに加わる。

そしてBEAUTIFUL MACHINE主宰 Kinnara : Desi La が、29作目となる2時間半の作品『DEMONS TO SOME, ANGELS TO OTHERS』のリリースを記念し、Forestlimitにて特別版「DARK SET」を披露する。

Praising the machine once again, BEAUTIFUL MACHINE returns this spring a year after BEAUTIFUL MACHINE RESURGENCE, BEAUTIFUL MACHINE’s rebirth after a 7 year hiatus. This year, BM wants to show love to the beautification of the human symbiotic with technology. With the grinding of power electronics and the digital modulation of the human touch. BEAUTIFUL MACHINE welcomes the deviant underground techno of Temple Ov Subsonic Youth ( Mars89 ), sonic deterioration experts Sayaka Botanic and Miya. Both who carry the torch of electronic acoustic music to its next stage with the violin and flute respectively. Dance music is still at the core of BEAUTIFUL MACHINE and Moemiki (dj) returns from last time but this time with the fire of her first ep release in tow. BM also welcomes YiNi, a dj harnessing the manic intense BPM of Psycore. Lastly BM organizer Kinnara : Desi La will bring a special version of DARK SET to Forestlimit in celebration of the release of his 29th work, the 2 1/2 hour DEMONS TO SOME, ANGELS TO OTHERS.

DJ KRUSH - ele-king

 LIQUIDROOMがしかける74分のライヴDJ公演〈I'm Not Just a DJ〉、これまでケン・イシイ砂原良徳とつづいてきた同シリーズの3回めは、DJ KRUSHをフィーチャー。先日のイヴェントでは日本語ラップしばりで会場を沸かせたというDJ KRUSH、今度は74分というしばりでどんなアートを体験させてくれるのか──7月10日(金)はLIQUIDROOMの2階、KATAに集まろう。

アートフォームとしてのDJを体感する74分──第3弾は世界を魅了し続けるターンテーブル・ウィザード、DJ KRUSH

liquidroom presents
I’m Not Just a DJ
featuring DJ KRUSH

2026年7月10日(金曜日)
KATA(LIQUIDROOM 2F)
Open/warm up:19:00-20:30 Set Time 20:30-21:44
tickets:
Adv¥4000 + 1Drink Order(100 limited tickets)
UNDER 25 ¥2500 + 1Drink order
zaiko:https://liquidroom.zaiko.io/e/djkrush20260710
2026年5月16日(土) 12:00 on sale!!!

※ご入場時ドリンク代¥700頂戴します。

info:kata-gallery.net

アートフォームとしてのDJを体感する74分──第3弾は世界を魅了し続けるターンテーブル・ウィザード、DJ KRUSH

クラブ・カルチャーにおいて、DJはひと晩にわたって音楽でその場をコントロールする。その行為は単なる選曲という枠組みを飛び出して、文字通りのアートフォームとして定着した。いつしかそれはシンガーやバンドの演奏とならぶ表現として、クラブを飛び出し、フェスへの出演、ミックスCDという「作品」にもなった。

音楽産業の構造が変わり、いまやDJミックスを現場以外で聴くにはスマートフォンやPCから、MixcloudやSoundCloudを通じて世界中の名演が、簡単に、無料で楽しむことはできる。しかし90年代から2000年代前半までミックスCDの文化がDJカルチャー、さらに音楽シーンにおいてひとつの意味を持っていたことはゆるぎのない事実だ。特にオフィシャル・リリースされたCDには、さまざまな制約──なによりも74分というCDの収録時間とトラックの権利処理という制約があった。

しかし、そのなかでいかに選曲で物語を作り、自己の表現とするのか、そこで展開されたものはDJがアーティストであることを証明するひとつのメディアとなった。そして、ある意味でシンガーやバンドの「ライヴ」アルバムと同様、音楽作品となったのだ。それは国や時間を飛び越えて、現場以外の体験としてDJカルチャーを伝搬し、支えた。

もちろんひと晩をコントロールするDJはすばらしい。しかしショーケースとして完成した、ミックスCDのようなプレイをライヴのように楽しむ現場もLIQUIDROOMは提案する。題して「I’m Not Just a DJ」は、ひと晩のクラブ体験から飛び出し、DJという表現を楽しむそんな企画である。時間帯も深夜に限らすライヴ同様に、学校や会社帰りに DJ を浴びるという楽しみがあってもいいはずだ。

そしてKEN ISHII、砂原良徳に続いて、第3弾はそのDJプレイで世界中を魅了し続けるDJ KRUSH。

1990年代初頭のソロ活動開始以降、ヒップホップのブレイクビーツ、それをプレイする2台のターンテーブルとミキサー、Vestax PMC-20SLを使いこなし、DJミックスをまさにライヴ表現として昇華させ、その作品とともに世界中で絶賛され続けている。

世界を魅了し続けたそのプレイを1枚のCDに注ぎ込んだ2000年のミックスCD『Code 4109』は、まさにDJが作り出した1枚の作品として後世にまで語り次がれるべきものと言えるだろう。

作り出す音、そしてDJもいまだに前へと進み続けるDJ KRUSH。その技巧を堪能できる特別に組み上げたスペシャル・ライブDJセット(74分) を披露する。

DJ KRUSH
サウンドクリエーター/DJ。選曲・ミキシングに於けるセンス、サウンドプロダクションに於ける才能が、海外でも高く評価されている。1980年代前半、映画『ワイルド・スタイル』に衝撃を受けヒップホップDJの道へ。1992年からソロ活動を本格的に開始、日本で初めてターンテーブルを楽器として操るDJとして注目を浴びる。1994年に1stアルバム『KRUSH』をリリース、現在までに12枚のソロ・アルバムと1枚のMIXアルバム、2枚のセルフリミックスアルバムをリリース。また、約30年に渡り国内外にて勢力的にDJ公演を行い、英国最大の音楽フェスティバル、グラストンベリー(イギリス)をはじめ、コーチュラ(アメリカ)、モントルー・ジャズ・フェスティバル(スイス)、ソナー(スペイン)、ロスキレ(デンマーク)など、200以上もの様々な音楽ミュージック・フェスティバルに出演。多岐に渡り高い評価を得続けるインターナショナル・アーティストとして世界を舞台に独自の軌跡を残し続けている。

Sound creator and DJ. His talent in song selection and mixing as well as in sound production are highly applauded internationally. Influenced by film “Wild Style”, he entered the world of Hip hop DJ in the early 1980s. In 1992, he began his solo activities and gained attention as the first DJ to adroitly manipulate the turntable as an instrument. In 1994, he released his first album ‘KRUSH’ and since then, he has released 12 solo albums, 1 mix album, and 2 self-remix albums. Over the course of 30 years or so, he has actively performed DJ sets both domestically and internationally, partaking in various music festivals worldwide, including the UK’s largest music festival, Glastonbury, as well as Coachella (USA), Montreux Jazz Festival (Switzerland), Sonar (Spain), Roskilde (Denmark), and more than 200 other various music festivals. As an international artist with a wide range of talents, DJ KRUSH continue

Dual Experience in Ambient/Jazz - ele-king

 原雅明(著)『アンビエント/ジャズ』をきっかけにはじまった、狛江の野口晴哉記念音楽室(全生新舎)で開催されているリスニング・シリーズ、これがたいへん好評で、早くも3回目の開催が決定しました。今回のゲストはnever young beachのベーシスト、巽啓伍。6月13日(土)、唯一無二の空間で音楽を体験しましょう。

Dual Experience in Ambient/Jazz

2026年6月13日(土)

野口晴哉記念音楽室
open 16:00 start 17:00
¥3000(+1d order制)※Limited seatin/ Reservation only(ご予約は全生新舎へDMにて https://www.instagram.com/zenseishinsha/

◻︎Selector
Masaaki Hara
Keigo Tatsumi

拙著『アンビエント/ジャズ――マイルス・デイヴィスとブライアン・イーノから始まる音の系譜』をきっかけに始まったリスニング会です。3回目となる今回は、巽 啓伍さんをゲストにお招きします。never young beachのベーシストとして活動する傍ら、環境音楽へのアプローチも伺えるソロ作品『AT US』を発表しました。『AT US』がレコード化されるにあたってライナーノーツの執筆を依頼され、巽さんとじっくり話をする機会がありました。レコードのことから拙著に纏わることまで、いろんなことを話しました。世代はもちろん、活動してきたテリトリーも異なるのに、何か共通認識のようなものがあると感じて、巽さんがセレクトするレコードを聴いてみたいと思ったのです。今回もまた新たな音楽の「繋がり」と「振幅」を聴いていきます。 (原 雅明)

◻︎巽 啓伍
兵庫県出身。音楽家/ベーシスト
ロックバンド・never young beachのベースを担当する傍ら、独立した音楽家としてエレクトリックベース/パーカッション/環境音等を用いたソロ作品"AT US"を米・Mystery Circlesより2024年10月に発表。Spotifyのプレイリスト"Ambient Japan"へ同アルバム楽曲が収録。同年11月Bias&Relax主催"Ambient Room"でライブパフォーマンスを開始し、2025年にはアンビエントフェスティバル"EACH STORY"へも出演。トリオやソロ等形態を問わずパフォーマンスを行う。

◻︎原 雅明
文筆家/選曲家。著書に『Jazz Thing ジャズという何か ジャズが追い求めたサウンドをめぐって』(DU BOOKS)、『アンビエント/ジャズ――マイルス・デイヴィスとブライアン・イーノから始まる音の系譜』(Pヴァイン)など。レーベルringsのプロデューサーとして、レイ・ハラカミや菊地雅章の再発も手掛ける。
https://linktr.ee/masaakihara


⭐︎ご注意⭐︎
当音楽室のイベントは人数限定・完全予約制です。無断キャンセル、ならびに複数名でのご予約後の当日一部キャンセルは固くお断りいたします。
これらが確認された場合、以後のご予約をお断りすることがありますのでご注意を。

毎回キャンセル待ちの方が多数いらっしゃいます。
限られた席数のため、責任あるご予約にご協力ください。

なお入場時にIDチェックを行います。身分証明書をご持参ください。

Irmin Schmidt - ele-king

 そういえば、宮沢賢治の『春と修羅』には、電線の唸る音を歌った詩があった。「電線のうなりが/いちめんの ひのきやならのなかにひろがり」。ドローンと呼ばれる音楽の創案者、ラ・モンテ・ヤングは、電線どころか、世界で鳴っているあらゆる音が好きだったそうだ。「子どもの頃、ヤングは人為的なものも自然のものも含め、連続した音に強く惹かれていた。地元の発電所にある変圧器のハミングや、川向こうの列車の汽笛、旋盤やドリルプレスの音、風や虫の声、水の流れ、木々のざわめきなど」とイギリスの音楽学者、キース・ポッターは著書のなかで書いている。それは、「ケージの思想に出会うずっと前から、外の世界こそが芸術よりも遥かに魅力的であるかもしれないと考えるようになった」

 Sunn O)))の新作について書くか、イルミン・シュミットの新作について書くか迷った。前者はドローン・メタルの大御所による深い「森」が舞台、後者は元CANのメンバーによる「環境音」のコーラジュで、どちらのアルバムも「自然界」を作品の重要な主題としている。人間中心主義の外側、マーク・フィッシャーが言うところの「外部」「不気味なもの(The Eerie)」を。「自然」や「環境音」を単なるテクスチュアの「素材」として消費することを拒むその姿勢は、自然を美化する反動的なオーガニック系やヒーリング系とは、根本的に位相を異にしている。
 Sunn O)))の新作は約7年ぶりで、大手〈Sub Pop〉からのリリースとあって話題になっている。ヴェノムに手を出すわけでも、かといってスティーヴ・アルビニを自らのガラだと思っているわけでもない。そんなリスナーがこのアルバムを気に留めた理由は、三つに集約される。ひとつ、マーク・ロスコの原画に圧倒された経験をもつ身として、それをアートワークとした作品への関心がある。ふたつ、スティーヴン・オマリーのパートナー、カリ・マローンの2枚の近作(ドローン作品)を好んでいる。三つ、森は好きだし、ここ数年、あの独特の冷気とも木々の匂いとも無縁であるし。うーん、しかし重たい音楽をじーっと聴いていられる余裕もないし、無理せずここはイルミン・シュミットにしよう。

 シュミットが外側の世界に関心を寄せたのは、戦後ドイツの前衛と括られるモダニストたちへの反発からだった。クラシック音楽のエリートだった若きシュミットの師匠は、宇宙の秩序さえ数学的に写し取ろうとした音列主義者(カールハインツ・シュトックハウゼンという名で知られる)だ。だが、シュミットが心酔したのは、作曲家の意志を排し、音楽概念の根底を揺るがした実験主義者(ジョン・ケージという名で知られる)のほうだった。1960年代、ケージ作曲の『アトラス・エクリプティカリス』の西ドイツでの初演においてピアノを弾いたのはシュミットである。
 CANなきあとのシュミットが、若き自分を夢中にさせたその音楽哲学を再訪しているのは、ここ二作のソロ・アルバムであきらかだ。『レクイエム』もその系譜にあり、プリペアド・ピアノによる近年のシュミット節というか、しかし今回のアルバムのほとんどは自然界の音のコラージュである。カエルの鳴き声、鳥のさえずり、小川のせせらぎ、そして雨の音の移ろい——鳥のさえずりといっても、清々しい朝や、夕暮れ時に聞こえるあれではない。ナイチンゲール、日本ではサヨナキドリと呼ばれるその鳥は、多くの鳥が日中に鳴くのに対し、文字通り「夜に鳴く」。また、雨の音と言っても、しとしとと心地よい音でもサーと音を立てる夕立めいたあれでもなく、傘をさしてもずぶ濡れの土砂降りだったりもする。それら自然の歌声や音にプリペアド・ピアノが織り交ぜられる。
 もう動かないし、かつて持っていた技巧も失ってしまったと語っている89歳の彼は、もの悲しい旋律を寄せ、ときに打楽器のようにピアノを叩き、ノイズを発信する。それは、自然との対話のようだ。また、人生を重ねた老芸術家に特有のとめどない思いを感じもする──「孤独」「愛」「苦悩」「悲哀」という言葉で表せそうな。
 アルバムは二部構成になっているが、どちらも瞑想的で、そして魂を洗うかのように、水のせせらぎが鮮明に聞こえる。川の流れであろうとスコールであろうと、ぼくは水の音が好きだ。『レクイエム』にはたくさんの水の音があるのがいい。が、『レクイエム』と言うからには、そこには亡き友人たち、亡きCANというひとつの生き物とのコレクティヴへの当然の思いはあろうし、滅びゆく自然環境への思いもあるのかもしれない。
 テクスチュアそのものも魅力的だが、これは何度でも聴きたくなるような作品だ。深みあるサウンドコラージュ作品とも言える。たとえあなたがCANのこと知らなくても、シュトックハウゼンもケージも知らなくても、難解な言語による音楽理論を読まなくても、このアルバムの世界に浸ることができる。外の世界に耳を傾けるということは、自然を人工に対する美として持ち上げることではない。耳を開かせるということであり、拒まれることはないということなのだから。

Tomoaki Hara and Toru Hashimoto - ele-king

 90年代より『Free Soul』シリーズを手がけ、カフェ・アプレミディの運営でも知られる橋本徹(SUBURBIA)。そのライフ・ヒストリーをたどる書籍『渋谷カルチャー考現学』がDU BOOKSより6月に刊行される。著者は人類学者の原知章で、橋本への30時間を超えるロング・インタヴューをもとに、その美学に迫る内容となっているようだ。渋谷のカルチャーの軌跡をひもとくうえでも楽しめそうな1冊だが、付録としてこれまで橋本が監修してきたコンピが全掲載されてもいるとのこと。注目です。

90年代より「渋谷系」~「Free Soul」シーンを牽引し、
「東京カフェ・スタイル」のパイオニアとなった
稀代の編集家・橋本徹(SUBURBIA)。
のべ30時間超のロング・インタヴューから、
そのライフ・ヒストリーと美学に迫る!

<目次>

序論――渋谷カルチャー考現学
第1章 1966-1978(幼少期~小学校時代)
第2章 1979-1985(中学校~高校時代)
第3章 1986-1989(大学時代~カルチャーへのめざめ)
第4章 1990-1992(講談社時代~『Suburbia Suite』創刊~「渋谷系」前夜)
第5章 1993-1995(Suburbia Factory設立~コンパイラー・ライフの始まり~Free Soulスタート)
第6章 1996-1999(タワーレコードのフリーマガジン『bounce』編集長時代~カフェ・アプレミディ開店)
第7章 2000-2004(カフェ・ブーム~アプレミディ・グラン・クリュ&アプレミディ・セレソン開店)
第8章 2005-2010(「公園通りみぎひだり」時代~アプレミディ・レコーズ始動)
第9章 2011-2014(東日本大震災~Free Soul 20周年)
第10章 2015-2019(サバービア・レコーズ始動~移転後のカフェ・アプレミディ)
第11章 2020-2025(コロナ禍~コンパイラー人生30周年~Free Soul 30周年&カフェ・アプレミディ25周年)
総論――編集による文化の創造
巻末付録:橋本徹(SUBURBIA)監修の全コンピ(1992-2025)

<本書の特長>

・文化人類学者・原知章が、音楽×都市×人間科学の視点で渋谷カルチャーの軌跡をひもとく!
・巻末付録「橋本徹(SUBURBIA)監修の全コンピ(1992-2025)」オールカラーで掲載!
・「Nujabes」などの作品アートワークを手がけるFJDこと藤田二郎による装幀!

取材・編集協力
橋本徹 はしもと・とおる
1966年生まれ。編集者/選曲家/DJ/プロデューサー。Suburbia Factory主宰。渋谷のカフェ・アプレミディ店主。『Free Soul』シリーズをはじめ選曲を手がけたコンピレイションの数は、2025年時点で400枚近く世界一。USENでは音楽放送チャンネル「usen for Cafe Apres-midi」「usen for Free Soul」を監修・制作、1990年代から日本の都市型音楽シーンに多大なる影響力を持つ。

装幀・装画 FJD
本文デザイン 江森丈晃

https://diskunion.net/dubooks/ct/detail/DUBK405

GEZAN - ele-king

 最新アルバム『I KNOW HOW NOW』のリリースにつづき、日本武道館での公演『独炎』もみごと成功させたGEZAN。いま勢いに乗っている彼らが、同公演を収めたDVD/Blu-rayを7月1日に発売する。さらに、これを記念してツアーが開催されることになった。6月27日から8月27日にかけ愛知、宮城、岡山、大阪、東京の5都市をまわります。各公演の詳細は下記より。

 なお、フロントマンのマヒトゥ・ザ・ピーポーは7月8日にWWWにて恒例のソロ企画『遠雷』も控えている。今回のゲストはイルリメ。そちらの詳細はこちらのリンク(https://www-shibuya.jp/schedule/019755.php)から。

GEZANが最新アルバム&日本武道館『独炎』映像作品を携え、全国5都市のワンマンツアー決定!

GEZANが、2026年6月より全国5都市(愛知、宮城、岡山、大阪、東京)を回るワンマンツアーを開催することを発表した。

本ツアーは、今年2月にリリースされたアルバム『I KNOW HOW NOW』と、3月に開催され、チケット完売となった日本武道館単独公演『独炎』の映像作品(DVD/Blu-ray)のリリースを記念して行われるもの。
日本武道館公演のDVD/Blu-rayの映像監督は番場秀一が務め、当日共演したAlive Paintingの中山晃子や、映像作家・浮舌大輔らによる鮮烈な演出も余すことなく収録される。映像作品の詳細は後日発表予定。

ツアーのチケットは明日5/9(土)正午より、イープラスにて最速先着先行受付が開始となる。


▼TOUR INFO
I KNOW HOW NOW & GEZAN 日本武道館『独炎』DVD/Blu-ray 発売記念公演
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▽DAY1|名古屋 : NAGOYA CLUB QUATTRO
・日時:2026年6月27日(土曜日)開場/開演 17:30/18:30
・問い合わせ先:名古屋クラブクアトロ 052-264-8211
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▽DAY2|宮城 : darwin
・日時:2026年7月20日(月曜日・祝日)開場/開演 17:45/18:30
・問い合わせ先:GIP https://www.gip-web.co.jp/t/info
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▽DAY3|岡山 : YEBISU YA PRO
・日時:2026年7月30日(木曜日)開場/開演 18:00/19:00
・問い合わせ先:YEBISU YA PRO 086-222-1015
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▽DAY4|大阪 : GORILLA HALL OSAKA
・日時:2026年8月5日(水曜日)開場/開演 18:00/19:00
・問い合わせ先:SMASH WEST 06-6535-5569
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▽DAY5|東京 : EX THEATER ROPPONGI
・日時:2026年8月27日(木曜日)開場/開演 18:00/19:00
・問い合わせ先:HOT STUFF PROMOTION 050-5211-6077【平日12:00-18:00】
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▼チケット情報
・料金:前売 5,000円/当日 5,500円(全て税込・ドリンク代別)
*東京のみ : 1Fスタンディング : 前売 5,000円/当日 5,500円(全て税込・ドリンク代別)
    2F指定席 : 前売 5,500円/当日 6,000円(全て税込・ドリンク代別)
・前売券取扱箇所:イープラス<https://eplus.jp/gezan/
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【チケット最速先着先行】
・受付URL : https://eplus.jp/gezan/
・受付期間:2026年5月9日(土曜日)12:00 ~ 5月25日(月曜日)23:59
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※注意事項
・全公演 : 未就学児童入場可
 *小学生以上チケット必要、小学生未満はチケットをお持ちの保護者1名につき1名まで入場無料)
・東京公演 : 2階指定席 : 未就学児童は膝上観覧無料 (保護者1名につき1名まで、膝上観覧に限り無料となります)
*席が必要な場合はチケットが必要となります。


▼GEZAN『I KNOW HOW NOW』INFO

アーティスト : GEZAN
タイトル : I KNOW HOW NOW
レーベル : 十三月
発売日 : 2026年2月11日(水)
CAT NO : JSGM-65
フォーマット : CD/DIGITAL
CD価格 : ¥3,300(税込)
URLs : https://gezan.lnk.to/I_KNOW_HOW_NOW

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▼GEZAN
2009年、大阪にて結成。
独自の視点とスタイルで表現を続ける一方、自主レーベル「十三月」を主宰。

2021年2月、Million Wish Collectiveと共に制作したフルアルバム『あのち』をリリース。
2023年、FUJI ROCK FESTIVALのGREEN STAGEに出演し、11月にはコロナ禍を経て4年ぶりとなる主催企画「全感覚祭」を、“Road Trip To 全感覚祭”と題して川崎・ちどり公園にて開催。
2024年、初の中国5都市ツアーおよび台湾公演を実施。8月には結成15周年を記念し、日比谷野外大音楽堂にてワンマンライブを開催。11月には、唯一無二のブッキングで世界中から注目を集めるウガンダのNyege Nyege Festivalに出演。
2025年6月にはドイツ北東部の旧ソ連軍秘密基地跡地にて開催された音楽フェス・Fusion Festivalに出演。

2025年~2026年にかけて全国47都道府県に中国・上海公演を加えた全54公演におよぶツアー「47+TOUR『集炎』」を完走。2026年2月11日、最新アルバム『I KNOW HOW NOW』をリリース。
2026年3月14日、キャリア初となる日本武道館での単独公演『独炎』を完売にて開催。

Member : マヒトゥ・ザ・ピーポー(Vo/gt) / イーグル・タカ(Gt) / 石原ロスカル(Dr) / ヤクモア(Ba)
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EACH STORY -THE CAMP- 2026 - ele-king

 自然環境のなかで「深く聴く体験」をコンセプトとする音楽イベント、〈EACH STORY〉が今年も開催される。10月3日(土)・4日(日)の2日間にわたって長野県の南佐久郡川上村、五光牧場オートキャンプ場にて催されるそれは、たんに音楽のみならず、空間や食事、時間の流れまで含めた総合的な体験として設計されている。きっと他のイベントとはひと味ちがった感覚や感動を与えてくれるはずだ。詳細は下記より(出演者は後日発表です)。

音の楽園と称される野外リスニングイベント
「EACH STORY -THE CAMP- 2026」開催決定

長野県・野辺山高原の五光牧場オートキャンプ場にて、
野外リスニングイベント「EACH STORY -THE CAMP- 2026」を、
2026年10月3日(土)・4日(日)の2日間にわたり開催する。

本イベントは、美しい自然環境の中で“音を深く体験すること”を軸に、
国内外から独自の世界観を持つアーティストが集う音楽フェスティバル。
自然と音が調和する空間の中で、訪れる人それぞれの物語が立ち上がる、
唯一無二の野外リスニング体験を提供する。

五感をひらく、2日間の集い

美しいロケーションと、
徹底して設計されたサウンド。
独自の世界観を持つ国内外のアーティストがその場を満たす。

全国から集まった作り手たちによる、
心に触れる品々との出会い。

舞台は、長野県・野辺山高原。
標高1350mに広がる五光牧場オートキャンプ場。

昼はどこまでも広がる芝生と清らかな水の流れ。
夜は満天の星と、静けさに包まれる時間。

八ヶ岳の麓、白樺の森の中。
澄んだ空気のなかで、音はゆっくりと広がり、
水面に揺れ、風景と溶け合っていく。

自然と音が調和する、
音の楽園と称される野外リスニングイベント。

空間、食、音楽、時間、人。
そのすべてが重なり合い、
それぞれの “EACH STORY” が立ち上がる。

音楽に身をゆだね、
自然の声に耳を澄ます。

この場所で、日常から少し離れ、
感覚をひらく。

深く響く。
ゆっくり開く。
自然と調和する音で。

心からの安らぎと美しさに出会う、
2日間。

■ 開催概要

名称:EACH STORY -THE CAMP- 2026
日程:2026年10月3日(土)– 10月4日(日)
会場:五光牧場オートキャンプ場(長野県南佐久郡川上村)
内容:音楽ライブ / DJ / フード / マーケット ほか
主催:EACH STORY実行委員会

HP : https://www.eachstory.net/
IG : https://www.instagram.com/eachstory2026

そもそも「インディ」とは何を意味したのか?
「ポスト・パンク」とは何だったのか?
ラフ・トレードは何が革命的だったのか?
ザ・スミスはなぜ重要だったのか?

ポスト・パンク、ギター・ポップ、UKソウル&ジャズ、ダブ、スカ、アイリッシュ……
21世紀になって、新たなリスナーを増やしているあの時代の名盤たち
時代を決定づけた450枚(シングル盤ふくむ)を厳選
80年代英国音楽の
かがやかしきインディ・ミュージックを紹介/解説する決定版登場!

監修:横田勇司+野田努(ele-king)
執筆:イアン・F・マーティン、小出亜佐子、長井裕、野中モモ

*電子書籍版あり

【内容】

Part 1 Post-Punk
ラフ・トレード、初期の古典たち/ザ・レインコーツ/ヤング・マーブル・ジャイアンツ/ザ・ポップ・グループ/リップ・リグ&パニック/マーク・スチュワート/ザ・スリッツ/ロバート・ワイアット/キャバレー・ヴォルテール/スクリッティ・ポリッティ/ザ・フォール/ジョイ・ディヴィジョン/ザ・ドゥルッティ・コラム/ア・サーテン・レイシオ/ギャング・オブ・フォー/デルタ5/オウ・ペアーズ/ザ・フライング・リザーズ/ディス・ヒート/オルタナティヴTV/ワイアー/パブリック・イメージ・リミテッド/XTC/ほか

Part 2 Guitar Pop
ポストカード/オレンジ・ジュース/アズテック・カメラ/アイレス・イン・ガザ/エヴリシング・バット・ザ・ガール/エル/ザ・ペイル・ファウンテンズ/スタイル・カウンシル/シャーデー/ワーキング・ウィーク/ザ・スミス/プリファブ・スプラウト/サブウェイ・セクト/テレヴィジョン・パーソナリティーズ/ザ・ジャズ・ブッチャー/クリエイション/ザ・ジーザス・アンド・メリー・チェイン/プライマル・スクリーム/ハウス・オブ・ラヴ/パステルズ/サラ/エコー&ザ・バニーメン/ほか

Part 3 Ska & Dub & Irish across the Border
2トーン/ザ・スペシャルズ/ザ・スペシャルAKA/ザ・セレクター/マッドネス/ザ・ビート/ON-Uサウンド/ニュー・エイジ・ステッパーズ/UB40/ファン・ボーイ3/ザ・クラッシュ/ビッグ・オーディオ・ダイナマイト/ディキシーズ・ミッドナイト・ランナーズ/ザ・ポーグス/ほか

【コラム】
地上より永遠へ 世界に届く音
すべてはここから始まった――ラフ・トレード史
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5lack - ele-king

 板橋出身のラッパー、5lackが昨秋リリースした4年ぶりのアルバム『花里舞(カリブ)』。大半のトラックをみずから手がけつつ、BudaMunkや16Flipらも迎えた同作だが、先日、収録曲“South Side”のMVが公開されている。監督はSatoshi Watanabeで、さりげなく仙人掌やin-dらも出演。今後の動きにも注目だ。

[MV]
Music: South Side
Artist: 5lack
Album: 花里舞
Label: 高田音楽制作事務所
Streaming : https://linkco.re/VDVQBh7H

Director:Satoshi Watanabe
Director of Photography:Hyogo Mitsuoka
Lighting director:Jun Tanaka
Assistant Director:Ryo Osada
Steadicam Operator:Genki Hidaka
Producer:Takanobu Oki

[リリース情報]
Artist : 5lack
Title : 花里舞
Label : 髙田音楽制作事務所
Date : 2025.09.20( 土 )

Track List:
01. Intro ( 花里舞 )
02. 終わりの始まり
03. T.O.K.Y.O
04. 26年後 
05. 見てな
06. Fly Ball
07. Skit 1
08. Favorite
09. Doko-Zono / Beat by BudaMunk
10. 冷たい弾 / Beat by BudaMunk
11. わかげの / Beat by 16FLIP
12. Skit 2
13. South Side
14. 助手席 Beat by Kidhazel
15. マンネリの境地
16. 現実逃避 / Beat by Kidhazel
17. Skit ( Outro )
18. Zoon To Ton

Vocals & Lyrics by 5lack
Other Beats by 5lack
Masterring Engineer : Isao Kumano(PHONON)
Mixing Engineer : 5lack

Bill Callahan - ele-king

「わたしの58歳の日々」と題されたビル・キャラハンの新作、1曲目の“Why Do Men Sing(なぜひとは歌うのか)”で彼はいつものバリトン・ヴォイスで死への恐怖について歌う。「わたしは自分が死にゆく悪夢を見た/魂の案内人が来て、わたしが隠れる場所を教えてくれた」。本人名義では2022年の『YTI⅃AƎЯ』以来のスタジオ・アルバムである本作は、タイトル通りより率直に自身の人生についた綴ったものになっていて、この曲では加齢することが死を意識することと分かちがたいものだと示される。だからシリアスな自己省察であるのだが、音楽はあくまで軽やか、語りはユーモラスだ。ノイジーなギターと情感のこもったブラスが鳴るなか、キャラハンは「ルー、ルー、ルー……」と気ままに唱える。ルー・リードのことだ。夢のなかで敬愛する音楽家に出会ったキャラハンは、不安に駆られて「この場所は何?」と尋ねる。「だいじょうぶだよ、ベイビー。流れに身を任せればいいんだ」と優しく告げるルー・リード。ああそして、なぜひとは歌うのだろう。この1曲を聴くだけで、『My Days of 58』を聴くことが心躍る体験であることがわかる。

 58歳というのはシンガーソングライターが人生を切り取るのには中途半端な年齢に感じられるが、占星術をかじったことがあるひとならピンとくるところがあるかもしれない。サターンリターンだ。試練の星とされる土星が自身が生まれたときの位置に回帰するサターンリターンは……という解説はとりあえず脇に置くとして、要点を言うとこれは人生における課題や試練に向き合う時期とされ、一度目は29歳前後で訪れるものだ。実際、この時期がモチーフになった小説や映画、シンガーソングライターの作品は少なくない。だが、59歳前後で訪れる2度目のサターンリターンについて語ったものはそれに比べて多くないのではないか。ふたつの土星回帰の狭間の年齢にいる僕はだから、これからの人生をぼんやりと想像しながら『My Days of 58』を聴いている。そのとき僕は、どんな心境にたどり着いているだろうか?
 いや、キャラハンが本作の制作において占星術を意識していたとは思わないが、これまで以上に自分の現在地を深く見つめていたのではないかと感じる。スモッグ時代には非常にローファイな録音もあってミステリアスなアーティストとして見られがちだったキャラハンは、本人名義でより開かれたタッチのフォーク・ロック作品を重ねるようになり、次第に自己像をざっくばらんに綴るようになっていった。音楽的にはジョン・マッケンタイアとの関わりもあり音響意識の高いシンガーソングライターとして見なされてきたし、それは現在も変わらないが、本作について言えば2024年リリースのライヴ・アルバム『Resuscitate!』からの直接的な続きにあり、同じバンド・メンバーによる演奏の活気が一番の聴きどころになっている。その自然体のエネルギーとともに、キャラハンはキャラハン自身の人生の機微を遊び心とウィットをこめて歌う。いま、かつてのレナード・コーエンがいた場所にもっとも近いシンガーと見なす意見にも頷けるのである。

 クラリネットがフリーキーに鳴らされるアシッド・フォーク調の“Computer”で「オートチューンは聴きたくない」と告げるのは年寄りの愚痴のように聞こえるひともいるかもしれないが、しかし、「わたしはロボットではない」というキャラハンがさりげなく気迫のこもった演奏とともに「それはただ、魂がない歌に満足させられるための準備にすぎない」と歌うとき、そこにはトレンドに左右されずに自身の表現を貫いてきたヴェテランならではの説得力が宿っている。ブルージーなギターが牽引する“The Man I'm Supposed To Be”では「わたしたちは人生を真剣に受け止め、死を笑い飛ばす」と繰り返すが、バンドのアンサンブルが生き生きしているからこそ、40代になったばかりの自分にはまだ到達できない境地が表現されているように感じられるのだ——「いま、わたしの最大の恐怖は死ぬことではない/自分がなるべき人間になろうと努力することをやめてしまうことだ」。年を取ることがここでは、生きる知恵を積み重ねることとして力強く立ちあがる。
 本作の感情的なハイライトはもっとも穏やかな“ Empathy”で描かれる。生前の父親に言われたショッキングな言葉を思い出しながら、自分も同じように不出来な父親であることを認めるキャラハン。「わたしはいつも息子にあれこれ怒鳴り散らしている/でも、わたしが旅から帰ってきたら息子は強く抱きしめてくれた」……自身のふたりの子どもの優しさと共感の力を讃えるこの曲が、たんなる綺麗ごとではなく、たしかな実感から生まれていると感じられるのはどうしてだろう? キャラハンはいま、長年の音楽的変遷の成果を自分を飾らないことに注いでいる。

 アルバムは静謐なアンビエント・フォーク“The World is Still”で幕を閉じる。曲調自体が瞑想的なナンバーでキャラハンは、「何も変わらない/これからも/世界は静まっている」と悟ったように語りかける。現在の世界の荒廃を前にしてどうしたらこうした精神状態になれるのか自分には想像しきれないところもあるが、少なくとも本作を聴いている間は人生や世界にまつわる思索が可能になる。フォーク・ロックのヒューマンな生命力、ユーモアと詩情、人生にまつわる哲学的な思考に満ちた『My Days of 58』は、彼個人の58歳の日々を超えて聴く者に豊かな洞察を与えるだろう。

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