「Nothingã€ã¨ä¸€è‡´ã™ã‚‹ã‚‚ã®
- ele-king
【スコット&シャーレンズ・ウェディング来日公演中止のお知らせとお詫び】
日頃よりP-VINE/ele-king主催イベント公演に格別のご愛顧を賜り、誠に有難うございます。
さて、11/18(月)、11/19(火)渋谷O-nest及び11/21(木)東心斎橋CONPASSにて予定しておりましたスコット&シャーレンズ・ウェディングの来日公演ですが、諸事情により来日公演を中止させて頂く事になりました。すでにチケットをご購入(ご予約)して頂いておりますお客様、ならびに関係者各位の皆様方には多大なるご迷惑をお掛け致しまして誠に申し訳ございません。スタッフ一同心から深くお詫びを申し上げます。
【各プレイガイドによるチケット払い戻しに関して】
払戻受付期間:11/6 (水) 〜 11/21 (木) (お買い求めの各プレイガイドにて対応させて頂きます。)
【払戻方法詳細】
※各プレイガイド、チケットの引取方法等により手続きが異なりますので、ご注意ください。
e+ (イープラス): https://eplus.jp/page/eplus/refund1/index.html
チケットぴあ: https://t2.pia.jp/guide/refund.html
ローソンチケット: https://l-tike.com/oc/lt/haraimodoshi/
お手数をおかけしますが、よろしくお願い致します。
アークティック・モンキーズの5作目『AM』を聴くと、「これこそいまのロックだ」という声をあげてしまう。ロックなんて言葉は、完全に死語なんですけどね。
オルタナティヴという言葉が使われだしたときに、ロックは元気を取り戻したんですけど、それももう20年以上前の話です。
ロックンロールがロックと呼ばれるようになったのは、ロックンロールが政治性、メッセージを帯びたときのことだと僕は思っている。調べてないので、正確な日付けはわからないのですが、68年とか69年のことだと思います。あの頃ですよ。僕が予想するにザ・フーの『トミー』というアルバムが出た頃、『ローリング・ストーン』が『トミー』という意識的なアルバムは他のロックンロールと違うのだという意味を込めてロックという言葉を使い出したような気がしている。その頃に、ロックンロールはロックという大人になったのです。
で、ロックがだめになり、パンクという言葉が使われるようになって、パンクはニューウェイヴとなった。ニューウェイヴは、後に商業主義というかMTVとねんごろになって、84年くらいまで生き延びた。そういう音楽だったから日本でひさびさの洋楽ブームが訪れたんじゃないだろうか。
それじゃだめだろうと、アメリカではカレッジ・チャートからオルタナティヴという言葉が使われ出した。イギリスでは、その少し前からアンチ商業主義的な音楽はインディと呼ばれるようになっていた。アメリカでオルタナティヴがまた盛り返してきたときはグランジと呼ばれた。いまはなんて呼ばれているのか、それは君のほうがよく知っているでしょう。
「マッドチェスター」「インディ・ロック」と呼ばれる音楽がどういう文脈のなかに入るのかという説明もした方がいいと思うけど、もう複雑になりすぎるから、また今度。
要するにロックはロックンロールかポップ・ミュージックの変形なのだというか、ロックンロールが大人になったのがロックなのだから、いまの音楽はロックでいいんじゃないかという気がする。
でも、外人さんは40年も使い古された言葉を使いたくないという意識が強いのでしょう。僕は、母国語じゃないので、べつにロックでいいんじゃないのと思うんですけど。でも、日本でもついに、ロックって言葉を安易に使いたくない人たちが出てきているような気がします。
それなのに、アークティック・モンキーズの新作を聴いていると、「これこそロックだ」と叫びたくなるのです。天才アレックス・ターナーにあっさりと「違うよ」と言われそうですが。でも、『AM』は『フェバリット・ワースト・ナイトメア』『ハムバグ』『サック・アンド・シー』と試行錯誤していたアークティック・モンキーズの完成型だと思う。おーっ、ついにここまでやったかと感動しているのです。
『ホワットエヴァー・ピープル・セイ・アイ・アム、ザッツ・ホワット・アイム・ノット』でアークテック・モンキーズは完全に完成されていた。『フェバリット・ワースト・ナイトメア』『ハムバグ』『サック・アンド・シー』は、次のステップへの闘いだった。そして、『AM』でそれが完全に完成したのである。『AM』というタイトルは、まさにその表れだろう。
ラップ、ヘヴィ・ロック、サイケ、それらの音楽が見事にブレンドされた音楽が『AM』である。
このブレンド感に嫌悪感を示す人たちがいるのもわかる。エンター・シカリなどがアークティックを批判する気持ちもわかる。「どこか学術的なんだよ」ということなんだろう。でも、僕はアークティックの音に、そのお手本のようなクイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジと同じロックを感じる。いやニルヴァーナと同じロックを感じる。また無防備にロックという言葉を使いまくっていますが、本当は『AM』には新しい名前がつけられるべきなのだろうが、僕はこれこそがロックなのだといいたい。
ロックンロールが大人になったロックには、『2001年宇宙の旅』で人類が超人類になったように、ロックから超ロックにならないといけないという強迫観念があるような気がするが、僕はアークティック・モンキーズのハイブリットとグルーヴ感があれば、それでいい。アークティックの力強さを僕はロックだと感じるのだ。ロック、パンクが世の中を変えようとしたように、次の新しいロックは世の中を変えなければならない、そんなの糞食らえだ。俺は新しい音楽が、グルーヴが生まれてきさえすればそれでいい。町を歩くとき、走るとき、気持ちよくしてくれればそれでいい、その最先端がこのアルバムなのだ。
![]() 三田 格 アンビエント・ディフィニティヴ 1958-2013 (ele-king books) [単行本] Pヴァイン |
小規模ながら毎度非常に密度の高いトークを聞かせてもらっています! 音楽書の新刊を紹介するイヴェント〈Songs in the Bookshel: 本棚の音楽〉、またele-king books新刊から取り上げていただけることになりました。『AMBIENT Definitive 1958−2013』、解体してもらいましょう!
本書刊行後、おそらく三田氏のなかではすでに2013年に加筆したい書き漏れ作品もたくさんエントリー中のはず。定番や名盤から珍盤、超新作の情報や感想、また制作裏話なども聞けるのではないでしょうか。出演者との距離が非常に近く、気軽に声をかけることのできる雰囲気のイヴェントなので、ぜひぜひ「三田さん」「野田さん」と呼びかけてあげてください! 同席するのは紙/web ele-kingでも人気のツンデレシンセマニア絵師、倉本諒!
音楽書の新刊を紹介するイヴェント〈Songs in the Bookshel: 本棚の音楽〉、第2回にはele-king booksの『AMBIENT Definitive 1958−2013』を取り上げます。『アンビエント・ミュージック』『裏アンビエント・ミュージック』を統合した決定版であり、さらにここ2、3年で新たな局面を迎えたアンビエントという音楽を捉えようとした野心的な一冊です。
「アンビエント観」の変化とは、大きく言うと音との向き合い方が大きく変わってきているということなのではないか。監修者の三田格さんを筆頭に、寄稿者の野田努さん、倉本諒さんをお迎えしてじっくりお話をうかがいたいと思います。
■Songs in The Bookshelf [本棚の音楽]
#2 変容する「音と意味」
『AMBIENT definitive 1958-2013』をめぐって
https://boutreview.shop-pro.jp/?pid=63535606
[出演] 三田格、野田努、倉本諒、大久保潤
[日時] 2013年9月24日(火) 開場・19:00 開始・19:30
[会場] Live Wire Biri-Biri酒場 新宿
東京都新宿区新宿5丁目11-23 八千代ビル2F (Googleマップ)
・都営新宿線「新宿3丁目」駅 C6~8出口から徒歩5分
・丸ノ内線・副都心線「新宿3丁目」駅 B2出口から徒歩8分
・JR線「新宿」駅 東口から徒歩12分
[料金] 1500円 (当日券500円up)
※終演後に出演者を交えてのフリーフード&フリードリンクの懇親会を開催します。参加費は2800円です(当日参加は3000円)。懇親会参加者には、入場時にウェルカムの1ドリンクをプレゼント。参加希望の方はオプションの「懇親会」の項目を「参加する」に変更してお申し込みください。参加費も一緒にお支払いただきます。
※懇親会に参加されない方は、当日別途ドリンクチャージ1000円(2ドリンク)をお買い上げください。
※領収書をご希望の方は、オプションの「領収書」の項目を「発行する」に変更してお申し込みください。当日会場で発行いたします。
※ご注文者には整理番号をメールでご連絡します。
お申し込み時に住所をご記入いただきますが、チケットの送付はいたしません。
当日会場受付にて、名前、電話番号、整理番号をお伝えいただければ入場できます。
※満席の場合は、立ち見をお願いいたします。
※お支払い後のキャンセルは一切受け付けませんのでご注意ください。
※銀行振り込み決済の締め切りは9/20(金)午後3時、カード決済の締め切りは当日午前0時です。
柔能く剛を制す。森は生きているの処女作は穏やかで優しく、しなやかで軽快であり、そしてしなやかさにのみ宿る力強さというものを勝ち得ている。
アルバムは無音で幕を開ける。空白を静かに切り破るハイハットの打音。そして、まるで霞のように空気へ溶け入りそうな竹川のヴォーカル、アコースティック・ギター、エレクトリック・ギター、ペダル・スティール、軽やかなバンジョー、ハモンド・オルガン、ピアノ、ベース、ドラムス......それらが一気に零れだす。薄膜を破り切るかのように。
スローな"昼下がりの夢"からシームレスに"雨上がりの通り"へ。幾層にも音で塗り込められた"昼下がりの夢"と対照的に、"雨上がりの通り"は軽快でシンプルなロックであるが、他方、歌詞を拾ってみると、「白い水蒸気」「薄目」「水色の水彩絵の具」「イリュージョンじみた風」と、二項対立的な判断を一旦棚上げして保留するようなグレーゾーンに位置する言葉が並んでいる。
スワンプ風の"回想電車"、そして管楽器のアンサンブルと微かにまぶせられたエレクトロニクスとがバーバンク・サウンドと"ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ"(=LSD)を接続した世界へ誘う"光の蠱惑"へ。
白眉は、聴き手を白日夢から覚まさせるアグレッシヴなリズム・アンド・ブルースの"断片"と、深い夢へと引きずり戻す長尺の"ロンド"である。とくに、アフロ風のリズムをベースに、ガスター・デル・ソルを想起させるようなノイズとエレクトロニクスを差し挟みながらペダル・スティールがアンビエンスを醸成し、いつ終わるとも知れぬローズ・ピアノのソロが展開していく"ロンド"。この曲が描き出す見果てぬ夢にこそ、森は生きているのサウンドの核心が見え隠れする。岡田が中性的なヴォーカルを披露するサイケデリックなフォーク・ロック、"日傘の蔭"もアルバムに華を添えている。
アルバムを聴き進めると、「夢」という言葉が多用されていることに気づく。作詞を担当するドラマー、増村和彦が認めているとおり、『森は生きている』には「夢の断片」が継ぎ接ぎされている。始点も終点もはっきりとしない、刹那的に生まれては消えていく泡沫のような夢の、そのさらに小さな切れ端の寄せ集め――『森は生きている』が描出する風景はそんなふうに切れ切れで、茫漠としている。
だから、『森は生きている』の音像はバンド・アンサンブルを生々しくパッキングしながらも微かにサイケデリックなフィルターをくぐったような不思議な響きを湛えている。「薄曇り」("昼下がりの夢"を封切る言葉である)の空の下をゆっくりと進むような、アブストラクトだがきらびやかな音響が提示する森は生きているの音楽は、まだ見ぬ過去の音楽とも、はるか未来の音楽ともつかない抽象的な時間を掴んでいる。
場所性もはっきりしない。東京なのか、それともどこか地方都市なのか、電波の届かない山奥なのか、あるいは海岸沿いなのか、もしくは日本ではないどこかなのか......どうにも判断のつかない場所で鳴っているかのようだ。バンド然としたフィジカルな悦びに満ちているライヴとは対照的に、『森は生きている』の音楽は「いま、ここ」という実感をどんどん曖昧化していく。その感覚は、バンドを率いる岡田拓郎が撮影した写真を幾重にも加工したというジャケット写真とも似通っている。
「タイムレス」や「エヴァー・グリーン」なんて言葉では片付けられないだろう。若くして年をとり、老いながらも若返っていく奇妙な幽霊たちが曇天の下で活き活きと楽器で語り合うアンサンブルのような音楽と言えば良いのだろうか――そういえば、「森は生きている(mori wa ikiteiru)」というバンド名には「生」と「死」(mori)が同居しているのだった。生きながら死んでいる、死を生きる音楽。
森は生きているの音楽に耳を傾けてみれば、その豊穣な音楽的素地というのは容易く透けて見えてくる。でも、彼らのルーツとなった音楽ジャンルや伝説的な音楽家たちの名前を連ねる作業は他に譲ろう。そんなことより重要なのは、「森は生きている」というバンド名の由来になった『ドラえもん』のエピソードの最後のコマでドラえもんが語っている言葉だ。曰く、「ゆめをみていたと思えばいいんだよ。わずかな間だったけど、楽しいゆめを」(藤子・F・不二雄『ドラえもん』26巻所収「森は生きている」より)。いまはこのたゆたうような、いつ失われるとも知れぬ断片的な夢のパッチワークに身を委ねていたい。わたしたちを宙吊りにする複層的な素晴らしい夢に。
![]() Cut Chemist Presents Funk Off - Vox populi! And Pacific 231 RUSH! PRODUCTION/AWDR/LR2 |
グランドマスター・フラッシュが〈サム・ビザール〉時代のキャバレ・ヴォルテールやクロックDVA、スーサイドの音源をスクラッチしている姿を想像しよう。ゴシ、ゴシ、ゴシ......ノイズ/インダストリアル・サウンドとヒップホップの接近、これはいま起きていること。ロンドンの〈ブラッケスト・エヴァー・ブラック〉はアイク・ヤードの12インチをリリース、東京の〈ブラック・スモーカー〉はEP-4の12インチを出している。
さて、カット・ケミストといえばジュラシック5であり、そしてなんと言っても"レッスン6"で、言わば一時期代を築いたターンテーブリスト、1990年代半ばに、ヒップホップというジャンルにおいてDJというポジションの重要性をあらためて主張した、「リターン・オブ・DJ」のひとりである。1997年の『ディープ・コンセントレーション』というエポックメイキングなコンピレーションの1曲目が"レッスン6"だった。ゴシ、ゴシ、ゴシ、コスって、コスって、カットアップという、ヒップホップDJのもっともラジカルで、威勢良く、格好良いスタイルのDJだ。
DJシャドウのように、この手のDJは中古レコードを掘るところからはじめるのでレコード・コレクター(レアグルーヴ)道にも通じるわけだが、この度カット・ケミストが目をつけたのはファンクでもサイケでもない。ポストパンク、それもフランスの、ミュージック・コンクレートとUKインダストリアルの影響下で生まれたふたつのバンド、ヴォックス・ポプリ!、そしてパシフィック231、である。
「初期インダストリアルとポストパンクのカセットの中から、エレクトロ、パンク、インダストリアル、ミュージック・コンクレートの境界線を横断するユニークな音楽を僕は探求するようになった」とライナーノーツでカット・ケミストは書いている。「彼らはプレゼンテーションにも力を注ぎ、独自のアート、音楽、文学を組み合わせたカルチャーを生み出していた。僕にとって、ヒップホップのパラレル・ワールドを発見したかのような感覚だった。両方のカルチャーは同時代に誕生し、同じツールを利用し、同じDIY精神が貫かれていた。この先何年間も僕はこの世界に魅了され続けると確信していた」
カット・ケミストが企画した『ファンク・オフ』にはヴォックス・ポプリ!とパシフィック231の音源が20曲(+ボーナストラック3曲)収録されている。ヴォックス・ポプリ!の"ファンク・オフ"という曲は、どう考えても5年早いドレクシアで、もっとも注目度の高い"メガミックス"という曲はアフリカ・バンバータの不吉極まりないインダストリアル・ヴァージョンで、テープを使った逆回転/早回しというアナログな技もたまらない。レア度が高いだけのオタクっぽい選曲ではなく、しっかり「現在」、それもけっこう尖った「現在」にアクセスしているところはさすがカット・ケミスト。発掘された、古くて新しい音楽がここにある。
ヒップホップとミュージック・コンクレートが実は近い存在であり、同じアプローチで音を操作しているということを伝えようとしてるんだ。その類似性が僕の興味をそそった。実はこれまでの僕のすべての作品においてリール・トゥ・リール・テープを使ったことがあるんだ。
■『ファンク・オフ』にはびっくりしました。ポストパンク時代のフランスに、ヴォックス・ポプリ!とパシフィック231のような音があったなんてまったく知りませんでしたし、作品自体も古くなっていないどころか、むしろいま聴いて新鮮に思えます。最近は、ヨーロッパの若い世代のあいだでもインダストリアル・サウンドがリヴァイヴァルしていますが、すごく良いタイミングでのリリースだと思います。
カット・ケミスト(以下、C):実は、この音源は2007年から貯めてあったんだよ。数年前よりもこの手の音楽のマーケットが広がったから、リリースすることを待って良かったと思ってる。コールドウェイヴ、ミニマル・シンセ、ポストパンクなどがここ数年でリヴァイヴァルしたことは知ってるんだ。この音楽がいまでも評価されてるのは、制作メソッドと哲学がしっかりしてるからだと思う。ヴォックス・ポプリ!のアクセル・キルーは、1940年のフランスで生まれたミュージック・コンクレートのメソッドを取り入れていた。
■いまのところ反応はいかがですか?
C:こういう音楽は2007年からプレイしているし、僕のデビュー・ソロ・アルバムでサンプリングしている。みんなの反応はいつも良いよ。初めてこの音楽を聴いた人は、たいてい僕がプロデュースした音楽だと思うんだ。それは僕が作った"Storm"という曲が"Mega Mix"をサンプリングしてるからなんだ。この曲は注目されたから、ファンはこのサウンドが僕の一部だととらえてくれるみたい。
■あなたはいま、インダストリアル・サウンドがリヴァイヴァルしていることを知っていましたか?
C:ああ、このリヴァイヴァル・シーンが数年前から盛り上がりはじめたことは知ってたよ。
■あなたがポストパンクやインダストリアルにまで触手を伸ばしたことで、ジュラシック5時代のファンからのブーイングはありませんでしたか? ソウル/ファンクのリスナーは、やはりブラック・ミュージック特有のグルーヴが好きでしょうし、ポスト・パンクやインダストリアル系のアグレッシヴで、冷たく暗い響きを求めているようには思えませんが。
C:プレゼンテーションの方法がよければ、誰でもこの音楽は好きになると思う。ジュラシック5のファンはけっこう幅広い音楽を聴いているしね。それに、最近はトラップ・ミュージック、EDM、エレクトロが流行ってるし、この音楽のサウンドがそれに近いから理解されやすいと思うんだ。どの時代よりもいまがもっとも評価されやすいときだと思う。
■80年代半前半のヒップホップは、事実、ポストパンクと結びついていました。アフリカ・バンバータ&ソウルソニック・フォースを面白がったのは、ロンドンのパンクでしたからね。あなたは個人的に、パンク/ポストパンクに対してどのような思い入れがあるのでしょう?
C:このジャンルに魅力を感じたのは、サイケデリック・ロックとヒップホップの要素が完璧にブレンドされてたからなんだ。ドラムマシンとテープ・ディレイが多用されていて、これはヒップホップの制作ツールと同じだ。それにヒップホップ初期のレコードがプライヴェート・プレスだったのと同じように、このジャンルのレコードもプライヴェート・プレスの作品が多かった。このジャンルに惹かれた主な理由はそれだよ。
■レコード・コレクターの立場として、ポスト・パンク/ニューウェイヴに目を付けた理由は何でしょう?
C:ニューウェイヴに興味をもったのは、このタイプの音楽が誕生した僕のティーンエイジャー時代以前の時期を思い出させてくれたからだよ。どこか聞き覚えがあって安心できるサウンドだったからコレクションしたくなったんだ。
■作品のレア度という価値観とは別に、ヴォックス・ポプリ!とパシフィック231はいま聴いても音楽的にすごいインパクトがあります。アートして、ヴォックス・ポプリ!とパシフィック231の音楽からあなたはどのようなインスピレーションを受けましたか?
C:自分の音楽作りをする上で、もっとエレクトロニックなサウンドを取り入れて、オーガニックな楽器とは違う音色を使うインスピレーションをこの両方のグループから受けたよ。彼らの音楽を聴いてから、シンセの使い方を覚えたり、サンプリングとこのスタイルの音楽を組み合わせる方法を探ってるんだ。
[[SplitPage]]ヴァナルとテープは、20世紀においてもっとも好まれたフォーマットだった。ヴァイナルは音楽を保存する上でもっとも優れたフォーマットだけど、昔と違って音楽をシェアするもっとも簡単な方法ではなくなった。
![]() Cut Chemist Presents Funk Off - Vox populi! And Pacific 231 RUSH! PRODUCTION/AWDR/LR2 |
■ヴォックス・ポプリ!とパシフィック231以外にもレアなレコードをたくさん見つけていると思いますが、この先、何らかの形で発表する計画はありますか?
C:このジャンルの音楽はコレクションしはじめて何年も経ってるので、ヴォックス・ポプリ!とパシフィック231に似たグループはたくさん見つけてきたけど、彼らほどのレヴェルのグループはなかなか見つからない。そういう意味で、とてもユニークなコンピレーションに仕上がって嬉しい。
■日本のこの時代の音楽で探しているものはありますか?
C:こういうタイプの音楽は世界中で探してるよ。
■『ファンク・オフ』のブックレットでは、当時のジンのヴィジュアルも大々的にフィーチャーしていますが、すごく良いと思います。こうしたジンなんかも蒐集しているのでしょうか?
C:どの時代の音楽をコレクションしているときもそうなんだけど、カセットやLPに付録でついてくるアイテムが大好きなんだ。1988年に、8x10インチの写真入りのマスターズ・オブ・セレモニーのLPを入手してから、付録アイテム付きのレコードにハマってるんだ。
■『ファンク・オフ』のフロント・カヴァーにどのヴィジュアルを使うのかに、他にもいくつも候補があったことで、迷いはありせんでしたか?
C:たしかに選択肢はたくさんあったけど、このアートワークにコンピレーションのすべての音楽的要素が凝縮されてると思った。ダークでありながらもユーモア・センスが注入されていて、ちょっとバカカバカしくて、女性性と男性性の両方の要素も入っていた。基本的に、この音楽性がそのまま視覚的に表現されてると思ったんだ。�
■ヴォックス・ポプリ!はピエール・シェフェールのミュージック・コクレートからの影響もあるし、あなた自身ライナーで指摘しているように、ヒップホップはピエール・アンリから多大な影響を受けていますが、あなた個人、現代音楽(アヴァンギャルド)に対する興味はどの程度あるのでしょうか?
C:コンセプチュアルな意味で興味がある。僕はそういうアヴァンギャルド系のコレクターだったことはないけど、アヴァンギャルド系に影響されたふたつのジャンルにいまなら親しみがあるから、コレクションする可能性は高くなった。僕のコレクションのもっとも古いレコードは、50年代半ばから後半のものなんだ。それよりも古いレコードをまだ集めたことはない。
■ヴォックス・ポプリがテープでこすって(スクラッチのようなことをやって)ますが、ああしたプリミティヴなアナログ機材を使っての工夫は、現代のラップトップ音楽への批評としても見せることができるんじゃないでしょうか?
C:このコンピレーションを通して現代の音楽を批評してるわけじゃない。ヒップホップとミュージック・コンクレートが実は近い存在であり、同じアプローチで音を操作しているということを伝えようとしてるんだ。その類似性が僕の興味をそそった。実はこれまでの僕のすべての作品においてリール・トゥ・リール・テープを使ったことがある。最新のアルバムでは、ドラムをレコーディングするために24トラックのリール・テープを使用したばかりだよ。"Funk off megamix"でもその模様はチェックできるよ。
■レコード・コレクターとしてのあなたの哲学を教えていただけますか?
C:まずは第一に音楽を大切にすること。僕にとってメディアムは二の次なんだ。レコードコレクターのなかには、音楽そのもよりも物体としてのレコードを大切にしている人がいるけど、僕はそういう考え方ではないよ。
■コレクションに興味をなくして、売ってしまったことはありますか?
C:絶対にないね!
■レコードとは20世紀の産物であり、ノスタルジーだと思いますか?
C:それはあるね。どの世代にももっとも好まれたメディアムがあると思うんだ。ヴァナルとテープは、20世紀においてもっとも好まれたフォーマットだった。ヴァイナルは音楽を保存する上でもっとも優れたフォーマットだけど、昔と違って音楽をシェアするもっとも簡単な方法ではなくなった。
■最近アメリカのインディ・シーンではアナログ盤とカセットテープでのリリースが増えていますが、良い傾向だと思いますか?
C:ノベルティとアーカイバルの意味では良い傾向だと思う。テープは時間の経過と共に磁気を失ってしまうけど、ヴァイナルは大切に保管すればもっと寿命が長いんだ。ヴァイナルの需要が高ければ、音楽は商品としてもっと売れるので、それは良い傾向だよ。これからは、ファンが音楽に投資する気持ちがないといけないんだ。ヴァイナルはそれを実現させるための最善の方法だと思うんだ。
■今回の『ファンク・オフ』は、イタリアのコレクターを通じて知ったそうですが、このようなコレクターのネットワークとはいかなるものなのでしょうか?
C:こういうタイプの音楽のコレクターのネットワークはたしかにあるよ。そのイタリアのコレクターはニューウェイヴ系のコレクターではなかったけど、ユニークな作品だったからこのレコードを持っていた。彼はあらゆるジャンルのレコードを集めて売ってたんだ。彼はとくにプライヴェート・プレスのユニークなレコードを何でも集めてる。
■いま、コレクションは何枚ぐらいありますか? そして、どのように整理しているのでしょう? 日本にもコレクターは多くいますが、あなたがレコードの管理にもっとも気を遣うのはどんなところでしょう?
C:レコードの枚数は知らないけど、レーベルごとに整理している。レーベルで整理できないレコードは、世界のどの地域でリリースされたかというカテゴリーで整理するんだ。アーカイヴとして集めるレコードとは別に、頻繁に聴いたりプレイするレコードの保管には気を使ってるよ。
■最後に、今後のあなたの予定を教えてください。
C:このコンピレーションのリミックスをリリースしたいのと、このカタログを今後どのように利用できるかをさらに探っていきたいね。
ヴォックス・ポプリ! のアクセル・キルーの母親は、1958年から1962年にかけてピエール・シェフェールの元で働いていた。父親は映画業界で活動1952年に出版された『映画のシュルレアリスム』の著者でもある。ヴォックス・ポプリ! は、「民衆の声」という意味。
日本人の名前を使ったザック・サギーノは、日系アメリカ人である。デトロイト在住というが、生まれと育ちはアナーバーで、アナーバーとデトロイトとは距離は近いが文化や環境は別モノ。デトロイトは、10万ちょいも出せば体育館ぐらいの部屋を借りられるような、地価があってないような都市だから、かつてのリクルーズのように敢えてそこを拠点に選ぶ若者もいると言えばいる。そして、かつてのリクルーズのように、シゲトの音楽からも彼がデトロイトにいることの影響がうかがえる。
『No Better Time Than Now(いまよりマシな時代はない)』なる意味深なタイトルの今作は、シゲトにとって3枚目。2枚目では、彼の日本人の祖父の広島の実家の戦前の写真をアートワークに使っている。そのタイトルは『lineage(血統)』、彼の血筋へのロマンティックな思いが込められた詩的なアルバムだ。
エレクトロニック・ミュージックは、ベース・ミュージック・シーンではなくとも、あらかじめハイブリッド音楽として展開している。デトロイト・テクノ自体が黒い土壌で白い文化(あるいはYMO)を受け止めながら醸成されているし、また、ヒップホップの方法論があらかじめ何でもアリと言えば何でもアリなのところがあるので、文化的に開かれていることの快感がある。シゲトが文化的空想に耽ることが許される音楽と言えるわけで、そして彼は自身の甘い空想力を音に変換することに長けている。
『No Better Time Than Now』は、フライング・ロータス『アンティル・ザ・クワイエット・カムズ』以降のもっとも美しい作品ではないだろうか。ジャズ/アンビエントへとアプローチしたLAビーツを、言わばロニー・リストン・スミスの方向にハンドルを回している。マシーンドラムの新作のように、今日のビート・シーン/クラブ・ミュージックのいち部が「洗練」へと向かっていることにも同期しているのだろうけれど、シゲトのコレは、あまりにもロマンティックなのである。アルバムを通してやけに滑らかで、一時期のビビオや昔のボーズ・オブ・カナダにあったものがここにあるというか。
だが、しかし彼はこの甘ったるい音楽で、昔は良かったなどとは言わせない。ドラム・プログラミングの多彩さ、フワフワの音響とエレピの甘いメロディとの掛け合いは、たった1回聴いただけで持っていかれる。ゴールド・パンダとオリーヴ・オイルとの溝を、いや、デトロイト・テクノとフライング・ロータスとの溝を埋める音楽を探している人にはこれを推薦したい。本当、いいっすよ。
![]() Buffalo Daughter ReDiscoVer.Best,Re-recordings and Remixes of Buffalo Daughter U/M/A/A Inc. |
9月22日(日)、代官山UNITにてBuffalo Daughter結成20周年の記念イヴェントが開催される。その名も〈Buffalo Daughter 20th Anniversary Live at UNIT TOKYO〉。実際にベスト・アルバムにも名を連ねる豪華ゲストたちの参加が、続々と決まっているようだ。KAKATO(環ROY×鎮座DOPENESS)、日暮愛葉(THE GIRL)、有島コレスケ(told)、小山田圭吾、立花ハジメ、Avec Avec、Kosmas Kapitzaベテランからフレッシュなアーティストまで、さすがの幅広さ。
来場者には貴重な特典も準備されている。「Playbutton(プレイボタン)」をご存知だろうか。本体にフラッシュメモリーと音声データの再生用ソフトウェアなどが内蔵され、その用途をめぐって新しい可能性が期待されている缶バッジ型の音楽プレイヤーだ。当日は、あちらこちらで耳にするようになってきたこの新ガジェットに、なんとその日のライヴ音源1曲をインストールしたものが配布されることが決定しているとのこと。バッジのデザインは立花ハジメ! このチケットについては売り切れ必至、ぜひチェックしてみよう。
結成20周年を迎え、初のベスト『ReDiscoVer.』をリリースしたバッファロー・ドーターが、アルバム参加のゲスト陣を交えた豪華アニバーサリー・ライブを開催!
また、追加情報として、10月5日(土)、6日(日)の2日間、箱根は富士芦ノ湖パノラマパークにて開催される音楽フェスティバル〈天下の険〉にBuffalo Daughterが出演する事が決定。
東京からもアクセス容易な最高のロケーションで良質な音楽を提供するこの野外イヴェントは昨年からスタート。今年も、吉田美奈子、Cosmic Blessing Ensemble〈Calm×CitiZen of Peace×Kakuei×Kaoru Inoue×Kuniyuki×Yuichiro Kato〉、DJ NOBU、Nabowaら、ユニークなラインナップで注目を集めている。野外でBuffalo Daughterのライヴを体験することは飛び切りの体験となるはずなので、こちらもお見逃しなく!!
Buffalo Daughter の20周年記念ベスト・アルバム『ReDiscoVer.』は〈U/M/A/A〉から発売中。ライヴに足を運ぶ前にぜひチェックを!!
■Buffalo Daughter 20th Anniversary Live at UNIT TOKYO
日時:2013年9月22日(日/祝前日) OPEN 18:00 / START 19:00
会場:代官山UNIT
GUESTS:
KAKATO(環ROY×鎮座DOPENESS) / 日暮愛葉(THE GIRL) / 有島コレスケ(told) / 小山田圭吾 / Kosmas Kapitza / 立花ハジメ / Avec Avec
チケット:
ADV.4,000yen(tax incl./without drink)*もれなく20周年記念特典付
前売チケット取扱:ぴあ(P:207-986) / ローソン(L:78864) / e+
More information:UNIT 03-5459-8630 www.unit-tokyo.com
■箱根ミュージックフェスティバル 天下の険2013 ~厳選音泉掛け流し~
日時:2013年10月5日(土)、6日(日) 2日間開催
会場:
富士芦ノ湖パノラマパーク 特設エリア
神奈川県足柄下郡箱根町元箱根143-1
https://www.princehotels.co.jp/amuse/hakone-en/play/access.html
出演:
吉田美奈子、indigo jam unit、Cosmic Blessing Ensemble、SILENT POETS 他
開場時間:
10月5日(土) 開場 11:00 開演 13:00 終演 22:30 予定
10月6日(日) 開場 08:00 開演 10:00 終演 20:00 予定
入場料金:
前売り券
2日券 ¥10,000 / 1日券 ¥6,000
当日券
2日券 ¥12,000 / 1日券 ¥7,000
主催:
天下の険実行委員会
イベントオフィシャルHP:https://tenkanoken.jp/
■CD情報
Buffalo Daughter
『ReDiscoVer. Best, Re-recordings and Remixes of Buffalo Daughter』
発売中!!
UMA-1022-1023、¥2,600 (tax in)
●1CD+書き込み可能な生CD-R付
●バンドヒストリーを綴った24P カラーブックレット+解説・歌詞・対訳付
●初回のみICカードステッカー*付
*交通機関用非接触型ICカードに貼ってデコレーションできるステッカー
●トラックリスト
1. New Rock 20th featuring KAKATO (環ROY×鎮座DOPENESS)
2. Beautiful You 20th featuring 日暮愛葉&有島コレスケ
3. LI303VE
4. Great Five Lakes 20th featuring 小山田圭吾
5. Dr. Mooooooooog
6. Discothéque Du Paradis
7. Cold Summer
8. Peace Remix by Adrock
9. Socks, Drugs and Rock'n'roll Live (Sax, Drugs and Rock'n'roll) featuring 立花ハジメ
10. Volcanic Girl
11. A11 A10ne
12. Cyclic Live
13. バルーン Remix by Avec Avec
14. ほら穴
Compiled by Nick Luscombe (Flomotion/ BBC Radio 3/ Musicity)
詳細: U/M/A/A <https://www.umaa.net/what/rediscover.html>
というかほぼシンセの話をします。
米国はアシュヴィル発、〈メイク・ノイズ(Make Noise)〉は現在のユーロラック・シンセサイザーのマーケットにおいて絶大なる支持を誇るガレージ・シンセ・メーカーである。〈ブックラ〉や〈サージ〉に代表される「西海岸シンセジス」に着想を得つつオリジナリティー溢れるサーキット・デザインを施されたモジュールは世界中のウィグラー(主にネコとシンセを愛するヲタ、僕やゲド・ゲングラスを含む)を魅了して止まない。
〈メイク・ノイズ・レコーズ(Make Noise Records)〉は同社代表であるサーキット・デザイナーのトニー・ローランド(Tony Roland)が提唱する夢見る機械、自社のシェアド・システム(Shared System)の無限大のポテンシャルを証明すべく立ち上げられた7インチ・レーベルである。条件は至ってシンプル、使用する機材はシェアド・システムのみ、多重録音はNG。
この業界の顔とも言える〈ワープ・レコーズ〉のサウンド・デザイナー、リチャード・ディヴァイン(Richard Devine)のマスター・オブ・ザ・ファーツ(屁の先生!)の俗称に恥じない(?)摩訶不思議なグリッチの応酬で幕を開け、先日のフジロックにて新編成でのご披露を果たした(見ていません......)NINでお馴染みのアレッサンドロ・コルティーニ(Alessandro Cortini)をリリース、こちらは〈インポータント〉からの目下最新作でも炸裂するヘヴィ・ブックラ・サウンド譲りのミニマルかつ重厚なトラックを収録。同社のケリー・ケルベル(Kelly Kelbel)によるハンドメイド・レタープレスによる美しいパッケージも相まってか、どちらも2週間で完売するというレーベルとしてはこの上ないスタートを切ったようだ。
第三弾となるロバート・AA・ローの本作品は〈タイプ(Type)〉からの2012年作品の延長線ともいえる、無音の間を以てしてシンプルなモジュレーション・サウンドを引き立てるミニマル・ディープ・シンセジスだ。だいたいにおいて彼の近年のソロ作品に通じる極限まで削ぎ落とされたオリエンタルかつエキゾチックな世界観はサイケデリック・ミニマル・ロッカー、オム(OM)とのコラボレーションを経て一層研ぎすまされてきたようだ。
そもそもゲド・ゲングラスを介してこのメイク・ノイズの連中と付き合うに至るワケで、彼もまたハードコア・メイクノイズ・ファンである。長年に渡りライフワークのごとく没頭してきたモジュラー・シンセジスもここにまた比類なき完成度を披露する。モーグ・イアーズと題されるからには存分にモーグをフィーチャーしているはずで、彼の愛機はMG-1とローグの二大お手軽モーグであったと記憶しているが、ここに収録されているサウンドがそうかは確証が持てない。このアルバムはゲドの近年の作品の多くで聴ける所謂"モジュラー"な無数のオシレーターによる過密なミックス、過激なモジュレーションを形作る複雑なパッチングはない。非常に繊細かつ丁寧に紡がれたシンプルな構成、スローかつ上品なモジュレーション、完全な調和を見せるグリッチがテープ・エコーとリヴァーヴに洗い流され、気づけば聴者は自身の雄大な心象風景を飛翔する。
マシュー・サリヴァンやショーン・マッカンとのご近所切磋琢磨がここにきて如実な好結果をもたらしたであることは明白であり、さらなる相乗効果で彼らが昇りつめるであろう輝きに思いを馳せ胸躍る。
僕は自慢じゃないが、『昭和崩御』を持っている。当時は、もうとにかく、藤原新也の写真というだけで「うわ、かっこういいな」という感じだった。ミーハー根性で『昭和大赦』も持っていたのだが、そっちは売ってしまった。『Lingua Franca-1 昭和大赦』──日本のポストパンクにおける重要なバンドのひとつ、EP-4の代表作である。
EP-4の残忍なファンクは、たしかにいま来ている。カット・ケミストが最近編集したコンピレーション『ファンク・オフ』には、EP-4が登場した同時代のフランスのインダストリアル・ファンクが収録されている。〈ミュート〉レーベルは、この秋に〈サム・ビザール〉時代のダンス・サウンドに走ったキャバレ・ヴォルテールの3枚のアルバムを再発する。ファクトリー・フロアも新作を出した。ノイズ・インダストリアル・ファンクはたしかにいま来ている。
9月20日、代官山ユニットでは、『昭和大赦』が最新のヴァージョンで再演される。素晴らしい!

EP-4 ワンマン・ライヴ
『Lingua Franca XXX』
日時:9月20日(金) 開場:18:30 開演:19:30
会場:東京・代官山UNIT
出演:EP-4
オープニング・アクト:山川冬樹
DJ:MOODMAN、GUNS, GERMS & STEEL
VJ:ROKAPENIS
料金:前売り4000円(ドリンク代別)
※チケット購入者の方には入場時にもれなく非売品7" アナログ盤をプレゼント!!
チケット:チケットぴあ 0570-02-9999 [P] 208-646
ローソン 0570-084-003 [L] 70289
問い合わせ:代官山UNIT(03-5459-8630)
公演詳細:
https://www.unit-tokyo.com/
EP-4の代表作『Lingua Franca-1 昭和大赦』がリリースされて今年で30年。そのアニバーサリーといたしまして、今回のステージではアルバムを丸々再現します。名づけて『Lingua Franca XXX』。
「E-Power」「Coconut」「Similar」などの代表曲を含むアルバム『Lingua Franca』を再現する第一部と、最新リリースの12インチ・シングル『RADIOACTIVITY / Get Baby』などの新曲も交えたセッションの第二部という、最新型EP-4を堪能できる二部構成の予定です。
メンバーは、リーダーの佐藤薫、ユン・ツボタジ、鈴木創士というオリジナル・メンバーに、山本精一、家口成樹、YOSHITAKE EXPE.、須藤俊明、千住宗臣、タバタミツルといった後輩世代の精鋭たちを加えた鉄壁の布陣。当日はオープニング・アクトとして全身音楽家の山川冬樹、DJでMOODMANと新ユニットGUNS, GERMS & STEELを、そしてVJとしてROKAPENISを迎えます。
『Lingua Franca-1 昭和大赦』がリリースされた83年には、京都、名古屋、東京の3都市で時間差ライヴ開催を敢行するなどこれまでにもセンセーショナルな活動をしてきた佐藤薫率いるEP-4。近年、長い休息期間を経て新しいフェイズに入っている彼らが過去と未来をどうつなげていくのか。どうかご期待ください!
〈EP-4 プロフィール〉
'80年、京都のニュー・ウェイヴ系ディスコ『クラブ・モダーン』に集まっていた仲間たちで結成。'83年5月21日には京都、名古屋、東京と3都市において時間差でライヴを開催するなど、そのアグレッシヴなエレクトリック・ファンク・サウンドと、確信犯的な活動で熱心なファンを獲得する。近年活動再開。今年の5月18日にはイベント『クラブ・レディオジェニク』を主宰(恵比寿リキッドルーム)、また5月21日には結成の地・京都で約30年ぶりにワンマン・ライヴを行った(KBSホール)。また、先頃、久々の新録音源『RADIOACTIVITY / Get Baby』(Skating Pears)をアナログ12インチのみで限定リリース。フル・アルバムの発売も予定されている。佐藤薫が中心となるノイズ即興ユニットのEP-4 unit3としても定期的に活動しており、今年1月に初のアルバム『À Artaud』(BLACK SMOKER)を発表。



