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interview with iLL

interview with iLL

膨張するイルな宇宙は夢を見るか……

――アジカンからDJノブまでが参加する、中村弘二の新たなる試み

野田 努    Jun 11,2010 UP

 広尾の〈DOMMUNE〉のうえにある〈SUPERCORE〉という、このエリアに似つかわしくない怪しげなカフェで(入口にはスターリンの『虫』とプライマルの『スクリーマデリカ』が飾られている)、ここ最近はよくビールを飲んでいる。オーナーご自慢のカップに注がれた生ビールは格別に美味しい。

 明るい店内にはつねに音楽が流れているが、それは実はナカコーの選曲によるものだそうだ。実際、そのカフェで何度かナカコーを姿を見かけている。この、青森からやって来たサイケデリック・ロックの使者は、いわゆる猫背なので、すこしばかり酔っていると、ホントにネコと見間違えてしまう。彼の実験的なエレクトロニック・ミュージックのプロジェクトの名前を思いだそう。ニャントラ――である。

 これだけ世のなかが"健康"と"明るさ"ですべてを包み込もうとしている時代において、青森からやって来たニャントラは、その真逆の"iLL"なる言葉を自分のプロジェクトの名前に選んで、しぶとく活動している。かつてスーパーカーとして宇宙誕生の瞬間まで見てしまったであろうこの男は......iLLとして試行錯誤を繰り返しながら、彼のロック・サウンドを探求している。カフェから流れる音楽――ミニマル・テクノ、ヴェルヴェッツ、ザ・XX、あるいはビートルズやロキシー・ミュージック等々――は、ニャントラの毎日のサウンドトラックようである。


iLL / Turn a
Ki/oon

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 iLLは今回、ある意味では無茶なことをやっている。アルバム1枚をいろんなミュージシャン/DJとのコラボレーションによって作るというものだ。アルバムには、山本精一+勝井祐二、向井秀徳、POLYSICS、ALTZ、Base Ball Bear、DAZZ Y DJ NOBU、the telephones、MEG、RYUKYUDISKO、moodman、ABRAHAM CROSS、aco、ASIAN KUNG-FU GENERATION、clammbon......が参加している。このリストを見ても、ほとんどすべての人がいったい何のことなのか想像がつかないだろう。サイケデリックなニャントラは、いったい何を考えているのだろうか。

 〈SUPERCORE〉でナカコーと会った。

聴く前から、もうイメージで聴かないという人が多いでしょ。まずは聴いて欲しい......というのがありますけどね。知らないっていうだけで、価値のないモノとされるような感じはあんま好きじゃないので。ああいうモノもあるけど、別のモノもある、それは面白いけどな。

■じゃあ、今日は夢のある話をしてもらいましょうか。

ナカコー:はははは。

■やっぱ夢がないとね(笑)。

ナカコー:はははは。

■何度も訊かれているだろうけど......、なんでこんな企画を考えたの?

ナカコー:段階があるんだけど、まずはやったことがないことをやろうと。それで、コラボ・アルバムはやったことがないと。最初はそこ。

■なんでコラボ・アルバムを?

ナカコー:自分と日本のミュージシャンとの距離感というのがずっとあったから。てか、自分のなかにそれがあったから。一歩引いた目で見ていたというか。だから、コラボをやれば、逆にお客さん的な目線で作品を作れる。

■そうなんだ?

ナカコー:それは面白いかなと。新鮮だし。

■言い方悪いけど、他力本願というか。

ナカコー:はははは。そうだね(笑)。

■DJ的とも言えるよね(笑)。

ナカコー:はははは、そうだね。

■なるほどねー。自分がいままで距離を感じていたっていうのは、どういうこと?

ナカコー:いや、もともと邦楽あんまり聴かないから。アンダーグラウンドなものやオルタナなものは聴いてたけど、日本のポップスとかロックはそんなに聴いていないからね。バンド付き合いもあるわけじゃないし。だから、それを実際に経験してみようと。自分はやっぱ、日本の音楽の場所にいるわけだし、だけど、そこをいままであんまり見てなかったからね。自分と同じところでやっている人たちがどんな風に考えているのか知りたかったというのもあるし......そこは大きかったかな。

■で、知ることはできた?

ナカコー:うん、できたかも。ある程度は。

■それは夢のある話だった?

ナカコー:夢があるかどうか知らないけど、良い経験だったけど。良い気分転換だったし。

野田 努(2010年6月11日)

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