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interview with Ben Klock

interview with Ben Klock

彼はテクノ・マシン

――ベン・クロック、インタヴュー

浅沼優子    photos by Sven Marquardt   Dec 21,2011 UP

「〈Berghain〉は前ほどクールじゃなくなった」とか、「最近コマーシャルになった」といったことが言われた時期もあったけど、いまはまたそういうことを言う人は減ったように思う。ここ数ヶ月を振り返っても、僕自身素晴らしいパーティやマジカルな瞬間をあそこで体験しているし、文句を言っていたお客さんもまたクラブに戻って来たような印象を受けているよ。

■あなたの話に戻します。あなたはベルリンにテクノを復権させた、あるいは2000年代のベルリン・テクノを再定義した立役者のひとりだと思うんです。あなた自身はそう自覚していますか?

ベン:そうだね、客観的に状況を見ると、そう言えると思う。僕やマルセル(・デットマン)のようなテクノをかけていた人はそれほどまわりにいなかった。でも、意識的にそうしていたわけではなくて、僕らは単に僕らが好きなもの信じていたものをかけていただけだったんだ。まわりで起こっていることや、流行などをまったく気にしていなかった。エレクトロクラッシュだなんだって騒がれていたときも、僕らは僕らのテクノをかけていた。だから〈Berghain〉ができたときは、孤立したひとつの島ができ上がったような感じだった。そしてこの島はどんどん大きく成長するだろうという予感がしたし、きっとより多くの人がそのクオリティを認識することになるだろうと思った。当初思った以上に大きなものとなったけれどね。とにかくユニークなところで、僕らもユニークな音楽をかけていたら、その影響が広がっていった。でも僕ら自身はそれまでのテクノの歴史、90年代のベルリンやデトロイトに影響を受けて来たわけで、決して僕らが作り出したものではない。何か新しいものを発明したとは思っていない。サウンドシステムや、僕らが使っていたベースのサウンドなど、部分的に新しいものを導入しただけだ。
 でも、そういうテクノの歴史を知らない若い子たちが僕らを通してこの音楽を知ってくれるのは嬉しいね。この前面白い体験をしたんだ。(パリの)〈Rex Club〉でプレイ中に、18歳か19歳くらいのすごく若い男の子が携帯電話のスクリーンにメッセージを打って僕に見せて来た。「Thank you for bringing back Techno to my generation.(僕の世代にテクノを呼び戻してくれてありがとう)」と書かれていた。僕がかけていた曲なんて、彼らが生まれる前のものだったりするわけだよ(笑)。そういうことがあると、やっぱり嬉しいし光栄だと思うね。

■私も90年代はそれほどテクノを聴いていませんでしたが、それでも初期のデトロイト・テクノは少し興味があって知っていました。いまあなたたちの活躍によって、その頃の人たちが再び脚光を浴びているようにも見えます。例えばロバート・フッドやクロード・ヤングのようなアーティストたちがまた前線に戻って来た、そして新しいオーディエンスを獲得しているのは〈Berghain〉やあなたたちの功績だと思うんですが。

ベン:そういう部分はあると思うし、僕もとても光栄に感じていることだよ。僕たちが影響を受けた人たちがまた活発にプレイしはじめているのは嬉しいし、例えばルーク・スレーターがいまやっていることは本当にカッコいいと思える。そういうシーンがまたできたこと、そういう人たちが評価される場所が出来てテクノが勢いを取り戻していることはとても嬉しいし、自分がそこに少しでも貢献出来ているんだったらものすごく光栄だよ。

■なんかその状況を見ていると、もとは同じ部族だったのに世界中に散らばってしまった仲間たちが、やっと再会する機会が出来たようにも映ります(笑)。

ベン:そうだね、それがいちばんいいかたちで体験できるようになったんじゃないかな。これぞテクノ、テクノとはこうあるべき、という環境が整っている。

■逆に、テクノがここまで大きくなったことについてはどう感じていますか? 私はコマーシャルになったとは全然思いませんけど、トレンディーなクラブ音楽にはなったように思うんです。〈Berghain〉はとくにアンダーグラウンドであることも重要な要素です。昨年イビサのどこか大箱で「Ostgut-Tonナイト」が開催されたときも批判の声が多く聞こえましたし。

ベン:そうだな、いまは「Berghain night」みたいなイヴァントは数を減らしているよ。僕らもセルアウトしたくないからね。クラブとしてもレーベルとしても、そういう方向性をまったく求めていないし、今後どのようにレーベルを運営していくかといったことにはつねに協議していて、今後は数を出すことよりも、少しペースを落としてやっていこうと考えている。〈Berghain〉はつねに自分たちの物差しで物事を決めてやって来たし、業界の常識だとかスタンダードに合わせたり振り回されるようなことはしていないと思う。それでも、「〈Berghain〉は前ほどクールじゃなくなった」とか、「最近コマーシャルになった」といったことが言われた時期もあったけど、いまはまたそういうことを言う人は減ったように思う。ここ数ヶ月を振り返っても、僕自身素晴らしいパーティやマジカルな瞬間をあそこで体験しているし、文句を言っていたお客さんもまたクラブに戻って来たような印象を受けているよ。もちろん何だって変化はするものだし、変わっていくのは自然なことだからまったく同じではないけど、悪い方向にいっているとは思わない。僕はああいう場所がまだあることに、むしろ感謝すべきだと思うけどね。

■そうですね、私もそう思います。

ベン:いまでも魔法のような瞬間を何度も体験しているよ。つまらなくなったなんてまったく思わない。

■それにしても、あなたはあそこでプレイする際に平均7~8時間といった長いセットをやりますよね? どうしてそんなことが可能なんでしょう? 私の友人はみんな、実はあなたが機械なんじゃないかって思ってますよ(笑)。それだけ長いあいだ、集中力を切らさずに正確なプレイが出来る秘訣は何ですか?

ベン:ははは。何も特別なトリックはないよ。その場からエネルギーをもらっているんだと思う。僕がプレイする際は、自分のフィーリングを伝えようと努めているし、魔法の瞬間を作り出すのはやはり機械ではなくて人間的な資質が必要だ。でも、言わんとしていることはわかる。技術的に正確であること、曲から曲への完璧な移行も魔法の瞬間を作る上では重要なことだ。僕がDJの醍醐味だと思っているのはそういう部分で、ただトラックを流すだけではなく、曲を使って新しい何かを造り上げること。その曲のパーツを足しただけではなく、さらにそれを増幅させること。それが僕の大好きなDJというものの面白さだ。だから自分が「ゾーン」に入ったときは、それがほぼ自動的に起こり、何時間でもやり続けることが出来るんだ。
 唯一秘訣があるとすれば......お酒は少しだけにして、飲み過ぎないことかな(笑)。

Ben Klock 来日情報
12/22(木)OTONOKO @ Club Mago
12/24(土)Liquidroom & Metamorphose presents Ben Klock @ Liquidroom

取材:浅沼優子 (2011年12月21日)

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Profile

浅沼優子浅沼優子/Yuko Asanuma
フリーランス音楽ライター/通訳/翻訳家。複数の雑誌、ウェブサイトに執筆している他、歌詞の対訳や書籍の翻訳や映像作品の字幕制作なども手がける。ポリシーは「徹底現場主義」。現場で鍛えた耳と足腰には自信アリ。ディープでグルーヴィーな音楽はだいたい好き。2009年8月に東京からベルリンに拠点を移し、アーティストのマネージメントやブッキングも行っている。

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