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interview with Caribou

interview with Caribou

感情に溺れるリスク

──カリブー、インタヴュー

橋元優歩    Oct 16,2014 UP

まず最初に大事だったのは、親友とコラボするということ。ただスタジオに入ってきた歌えるアーティスト、とかじゃなくてね。

■すごいですね。そういったモチヴェーションはどこから来るのでしょう?

スナイス:考える必要がないんだ。自由時間があったとしても、僕はスタジオに下りていって音楽を作るだろうね。それが俺がやりたいことだから。いまは娘もいるし、家族との人生もある。だからバランスも保たないといけないんだけど、でも自分自身のモチヴェーションを高めるためにあえて何かしないといけないとか、そういうのがないんだよ。アイディアにつまったりすることもない。何かがつねに起こってるからね。

■では逆に、何か最初の頃とくらべて変わったなと思うことはありますか?

スナイス:明らかなちがいは、以前はインストだけの音楽を作っていて、いまは歌が入ってる。その歌という部分が、自分により大きな自信を与えてくれたっていうのは変化だね。自分にできることが、より心地よくできるようになってきた。曲の作り方に対しても、歌い方に対しても、より自信が持てているんだ。前はオーディエンスの前で歌うのがすごく怖かった。いまのような状態になるには何年もかかったんだ。俺はヴォーカルのトレーニングを受けてきたわけじゃないしね。他の若いミュージシャンにもよくあることだと思うけど、最初は不安だらけだと思う。次のレコードでみんなが自分の音楽に興味を失ったらどうしようとか、もう音楽を作れないんじゃないか、とか。僕もスタートしたてのときはそういうすべての不安があった。でもだんだんそういう心配が減ってきて、自信に変わっていったんだ。作業しつづけているうちにね。

■あなたは、たとえ歌ものでなくとも、自分自身の旋律によって大いに「歌う」アーティストだったと思うのですが、“セカンド・チャンス”のようにシンガーを歌わせることはあなたの音に何をもたらしていると思いますか? この曲も素晴らしいですが、わたしはあなたの、どこかベッドルーム的に閉じたような音楽がとても好きなんです。

スナイス:ジェシー・ランザ(Jessy Lanza)の参加は、僕にとっては大きなちがいをもたらした。まず最初に大事だったのは、親友とコラボするということ。ただスタジオに入ってきた歌えるアーティスト、とかじゃなくてね。ジェシーもオーウェン・パレットも親友で、それは僕にとって大きなことだった。将来自分の音楽を振り返ったときにそういったパーソナルな繋がりを思い出したいし、自分の友だちと作業するっていうのは楽しいしね。ジェシーが参加しているトラックでは、彼女がメロディと歌詞を書いた。ほぼすべてのヴォーカル・パートを彼女が書いたんだ。
 よくあるんだよね、ある時点まで自分で書いて、そこからどうしようかと考えることが。あのトラックはとくに、インストにしようかとも迷ったし、ヴォーカルを入れてみようと思って入れてもうまくいかなかったりした。それで彼女に参加してもらったら、曲がぐんと変化したんだ。ポップとR&Bというか。ポップなメロディが前面にでて。レコードを作っていて、僕が好きなのはああいう瞬間。何かが、自分が予想していなかったまったくちがうものに進化する瞬間が好きなんだ。ジェシーがいなかったら、あの曲は完成していたかさえもわからない。本当にどうしたらいいかわからなかったから。


このアルバムを作りはじめたとき、僕はこのレコードがもっとR&Bに影響を受けたものになるだろうと思っていた。でもまわりの流れをみていると、R&Bはもう十分なんじゃないかって気がして。


Caribou - Our Love

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■また、いまおっしゃったようにこの曲はR&B調の仕上がりになっていますが、最近はそうした曲や歌ものづくりにも意欲的なのでしょうか?

スナイス:あのトラックはちょっと変わったヴァージョンのR&Bなんだ。ビートがないから。ここ数年、R&Bではエキサイティングなことがたくさん起きているよね。コマーシャルなものも増えてきたし。このアルバムを作りはじめたとき、僕はこのレコードがもっとR&Bに影響を受けたものになるだろうと思っていた。でも結果的にそれよりももっと広い、より多くの要素が入ったレコードになったんだ。もちろんR&Bも入ってはいるけど。とくにあのトラックには。でも、そこまでそういった曲や歌ものづくりに意欲的なわけじゃない。このアルバムを制作しているうちに、R&Bはより多くの場所で聴くようになったから。メインストリームだけじゃなく、インディ・バンドもR&Bの要素を入れはじめたし、ヒップホップのプロデューサーたちもそう。そういう流れをみていると、R&Bはもう十分なんじゃないかって気がして。

■ダフニ(Daphni)での活動が、むしろカリブーを原点に向かわせるということはないですか?

スナイス:ダフニではもっとダンス・フロアを意識して曲を作っている。トラックはすごくはやく作るし、一曲ごとに数個のサウンドしかない。君が言うように、ベーシックでシンプルなものにしてるよね。僕はいつも、たくさんのアイディアやサウンドを音楽に入れ込む傾向があるんだけど、このニュー・アルバムでは、もう少しシンプル化して、より扱いやすいものにするのもいいんじゃないかと思った。だからいくつかのトラックのアプローチに関しては、ダフニの活動に影響を受けているね。

■アルバム全体のモチーフには、一組の男女の繊細な関係性も描かれているように思いますが、あなたはこの作品を一人称的な、私小説的な作品だというふうに説明しますか?

スナイス:このアルバムは、タイトルどおり「愛」についてのアルバム。もちろん一部は一組の男女についてでもある。僕と妻との関係とか、僕の友人とそのパートナーの関係とか。でも同時に、自分の人生やみんなの人生の中にあるあらゆる愛についてでもあるんだ。娘や家族、友人、音楽に対する僕の愛。このアルバムを聴くリスナーとそういう愛を共有したいんだよ。だから一人称や私小説的とは思わない。歌詞の一部は離婚を経験した僕の友人についてだったり、そういうパーソナルなこともある。でもそれ以上にみんなが繋がりを感じることができる内容になってると思うんだ。そういった出来事をみんなが自由に自分の人生の何かと繋ぎ合わせてもらえればいいと思う。


人生における何においても、俺にとってベストなのは、すべてのミックス。悲劇すぎる音楽も、喜劇すぎる音楽も作りたいとは思わない。

■ご自身が楽曲に用いるコードには、なにかクセや傾向性があると思いますか?

スナイス:いい質問だね。みんな、楽器を長いこと演奏していると、あるパターンに戻ってくるんだ。それが癖なんだと思う。誰にも自分独自のアプローチがある。それがどういう癖なのか自分では説明できないけど……。僕っぽいサウンドっていうのはそういった癖からも生まれているんじゃないかな。言葉で説明するより、聴いたほうがわかると思う。長年演奏することで自然と確立されてくるものだと思うよ。

■悲劇を好みますか、それとも喜劇を好みますか?

スナイス:人生における何においても、俺にとってベストなのは、すべてのミックス。悲劇すぎる音楽も、喜劇すぎる音楽も作りたいとは思わない。人生ってそういうものだろ? すべてが混ざってる。俺が好きなのは、悲劇も喜劇もすべてがミックスされたものなんだ。

■今作に「love」という言葉を用いずにタイトルをつけるとすれば、どんなものになると思いますか?

スナイス:これもいい質問だね。このアルバムでは、本当にたくさんのタイトルを考えたんだ。「love」が入っていないもので候補に上がっていたのは、最終的にあまり好きじゃなかったから使わなかったけど、「With You」とか、そういった「いっしょにいる」という意味を持った言葉があった。娘といっしょ、リスナーといっしょ……いっしょにいる相手は誰でもいい。そういった誰かの存在を意味する言葉。すべてのアルバム・タイトルが、俺にとってパーソナルでエモーショナルなんだ。


■Caribouが来日!
2015年2月21日、22日に新木場スタジオコーストにて行われる〈ホステス・クラブ・ウィークエンダー〉に、Caribouも出演することが決定している。
今回のラインナップは、BELLE AND SEBASTIANにST.VINCENT、TUNE-YARDS、REAL ESTATE、そしてHOW TO DRESS WELL……完全に当たり回だ(いつもすばらしいけれども)。
すべてのベッドルーマーとリアル・インディ・ロック・ファンへ!
詳細 http://goo.gl/tHm2UH


質問作成、文:橋元優歩(2014年10月16日)

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