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New Sounds of Tokyo

New Sounds of Tokyo

東京でもっとも尖っている音楽をやっているのは誰だ?

──Double Clapperz、Mars89、Modern Effect

野田 努    Oct 25,2017 UP

■クソヤバいものをブチ聴かす──Modern Effect

後ろ向きなModern Effectのふたり。

言葉の入っている音楽をあんまり聴きたくないというのがいまは強くなってきている。

 今回のレポートで紹介するなかで、あらゆる集団からもっとも孤絶しているのが、目黒/世田谷の外れで日夜音に埋没しているModern EffectのBack Fire CaffeとDocumentary aka Smoke Fable。ドレクシアの“リヴィング・オン・ジ”がお似合いの、ふたりである。
 なにしろ彼らときたら16ヶ月間ただひたすら作り続け、アルバム16枚分の曲が貯まったものの、自分たちの音源をどう発表すればいいのかわかっていなかった。

「ただひたすら作ってましたね」とBack Fire Caffe。彼は声が大きい。その人柄は、表面上では、作品のダークさの真逆と言えそうだ。「歩いているときもiPhoneでフィールド・レコーディングして、それを家に帰ってからピッチを変えたりして曲にしちゃおうとか」
「それは1日のサイクルですよね」とDocumentaryが静かに付け足す。「仕事が終わって空いた時間はできるだけこっちに来てもらって。作る以外でも映画を見るでも美術館に行くでも」

 ふたたびBack Fire Caffeがしゃべり出す。「全部音を作るために生活しているという感覚になっていちゃったよね!」
  彼の声は、取材に使った喫茶店の全席に響き渡ったことだろう。「もうひとりルームシェアしているやつがいて、そいつと作っていて。自分も初めはiPadのアプリで作りはじめて、そこから突拍子もないものができたんですけど。それがとにかく攻撃的だったんで“アタック”っていうジャンルをつけたんですね。その“アタック”っていうジャンルでやろうよ、というところからはじまりましたね」
 こういうベッドルーム・テクノ話が、お茶の時間を楽しんでいるご婦人たちやカップルたちの耳に入ってしまうのが、公共的喫茶店の面白さだ。

 それはさておき、こう見えても、Modern Effectには閉塞的な傾向がある。SNSの類はいっさいやらないというModern Effectの音楽をぼくが聴けたのは、ある偶然からぼくの手元に届いた、ヤバいものでも入っているんじゃないかというそのパッケージにそそのかされたらであるが、聴いて最初に感じたのは、何もかもを拒絶している感覚だ。誰も信用しない、絶対に希望はない、清々しいまでのネガティヴィティ……見せかけの繋がりは要らないと。ふたりにはクラブやレイヴで遊んでいた過去を持っているが、それがつまらないと感じたからこそ彼らはそれらの場から離れ、そして孤絶した現在を選んだ。

 ここで彼らに影響を与えたと思わしき音楽/好きな音楽をいくつか列挙してみよう。D/P/I(彼らにとっての大きな影響)、OPN(ただし『Replica』以前、ぎりぎり許せるのは『R Plus Seven』まで)、ARCA(とくに『ミュータント』)、Emptyset(音源を送ったら返事をもらった)、デムダイク・ステア、ティム・ヘッカー、〈Triangle Recordings〉や〈Subtext Recordings〉から出ている音源……彼らは最近のベリアルも気に入っている。
 彼らが目指すのは「クソヤバいものをブチ聴かす」こと。Back Fire Caffeが静かに言う。「クソヤバいものをブチ聴かすというのと、無国籍なものを考えていきたいと思っていますね」

 それぞれ別の飲食店で働きながら生活費を得ているふたりだが、在日インド人の下でハードに働くDocumentaryは、その環境を楽しんでいる。日本のなかの日本らしくない場所が彼らには居心地がいいのだ。
 Documentaryが続ける。「言葉の入っている音楽をあんまり聴きたくないというのがいまは強くなってきている。言葉の意味が出てくると音を純粋に追えないというか。もともとは歌や言葉が入っているものが好きだったんですけどね」

  現在のModern Effectは、自分たちの音楽をどのように届けるのかを模索中だ。初期ヴェイパーウェイヴのように、彼らにはまだ、自分たちの作品を売る気がない。値段付けられずに悩んでいるのだ。たしかなのは、作り続けること。HDの容量の限界まで。
 こうした悶々とした現状を変えようと、最近彼らは自分たちのホームページを立ち上げた(https://www.moderneffect.net/)。ここで彼らの音源は聴けるし、bandcanpでも彼らの音源は無料で聴ける(https://moderneffect.bandcamp.com/)。これらの作品のいくつかはUSBにコピーされて、ビニールにパックされるわけだが、リスナーがそれを購入できる機会がこの先どのような形で実現されるのかは神のみぞ知るだ。
 これからどうなるのか予測のできないModern Effectだが、彼らは音楽を作る上でもっとも重要なことを知っている。好きだからやる。たとえダンスフロアから人が逃げだそうと、彼らにとって最高の音が鳴っていればいいのだ。

※今後の予定
1年で365作品アップ(予定だそうです)

彼らのUSB作品の数々。この怪しげなデザインに注目。

(※この取材は8月下旬にほぼおこなっています。筆者の怠惰さゆえに掲載が遅れたことを、協力してくれた3組のアーティストにお詫びします)
(※※もちろん、今回取り上げた3組以外にもいるでしょう。いまいちばん尖っている音を出している人〈DJ以外〉をご存じの方は、ぜひぜひ編集部にご一報をー)

文・写真:野田努(2017年10月25日)

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