Home > Interviews > interview with AbuQadim Haqq - 語り継がれるドレクシア物語
ジェイムス・スティントンはとても頭が切れる人で、でも笑顔もステキで、礼儀正しくていい人だった。僕は彼の音楽が大好きで、天才だと思っていたよ。よくサイエンス・フィクションや自分のコンセプトについて話をしていたよ。
ハック:ところで、いま(ZOOM画面に)新しい訪問者がいるけど誰?
■編集部のコバヤシ。彼が〈TRESOR〉から直接本を買ったんだよ。
ハック:Arigatogozaimashita!
■ニックは憶えてる? かつて君を取材したミスター・コバヤシ。
ニック:おー、コバヤシさん!
小林:イエス。
ニック:ハウ・アー・ユー!?
小林:アイム・ファイン。
■じゃ、次の質問。ジェイムス・スティントンと初めて会ったのはいつ?
ハック:90年代初頭。いちばん最初のサブマージのオフィスで会った。あの建物はいまは駐車場になっているけど。そのときはあまり話さなかったね。挨拶したぐらいだった。
■彼はどんな人だったの?
ハック:とても頭が切れる人で、でも笑顔もステキで、礼儀正しくていい人だった。僕は彼の音楽が大好きで、天才だと思っていたよ。よくサイエンス・フィクションや自分のコンセプトについて話をしていたよ。 ニック:どういうSF?
ハック:(ハックがアートワークを手掛けた)『Neptune's Lair』のときは『スター・ウォーズ』の話をしたのを憶えているよ。ちょうどシリーズが再スタートして『ファントム・メナス』が公開されたタイミングだったんだよ。あとは『スタートレック』とか。
■ハック、その昔のサブマージの建物の駐車場の壁に、大きなタギングでドレクシアが描いた「ファック・メジャー・カンパニー」っていう言葉をよく憶えているよ。
ハック:おー、そうだったね。
■彼にはすごく反抗心があったよね。
ハック:イエス。
■『Neptune's Lair』のとき、アートワークについて彼となんか話しましたか?
ハック:あのアートワークを描く前に彼が僕に言ったのは、フューチャリスティックな乗り物が欲しいってことだったね。それと戦士のキャラクターも欲しいって言われた。あとは、彼らが住む場所、バブル・メトロポリスがどういうところか、“Aqua Worm Hole”(「Bubble Metropolis」収録)はどうするかとか、細かい話もしたよ。
■ハックが描いたイカが好きなんだけど、あれはどこから来たの?
ハック:あれが(ドレクシアの)乗り物だよ。あの頃はよくディスカバリー・チャンネルを見ていて深海の番組があったんだけど、そこで泳いでいるイカを見ながら「これだ」と思ったね。
小林:佐藤大さんとはどういうやり取りで進めていったんですか?
ハック:とにかくストーリーを作るのに手伝ってもらった。僕が絵を描いて、彼が言葉を載せてくれて。基本的にはEメールのやりとりで進めていったね。
ニック:いつからの知り合い?
ハック:2000年代初頭、かれこれ15年以上は経つね。
■ハックが考えるドレクシアとは?
ハック:音楽があり、コンセプトがある。そのコンセプトにはアフリカから連れ出されていった人たちが、困難を乗り越えて、新たに文明を作るという物語がある。そのためによりよい自分に変えていくっていうことが僕にとってのドレクシアだよ。
小林:あなたの描いたドレクシアの物語を見ていると、絵から古代を感じるし、過去と未来が両方混ざっていると思ったんですが、そこは意識したんですか。
ハック:おっしゃる通り。古代と未来を繋げるのはコンセプトになっている。武器もそうだし、いろんなものが古代や神話を参照しているんだよ。
ニック:日本のアニメは好き?
ハック:もちろん。
ニック:とくに好きなのは?
ハック:新しい『攻殻機動隊』のシリーズ。
ニック:今回のプロジェクトでなにがいちばん楽しかったですか?
ハック:完成させたことだね。ハッハハハ。いや、本当に時間がかかったし、何人も関わっているから、完成させるのにはけっこう努力が必要だったんだよ。
■じゃあ、最後の質問です。あなたはなぜアイアン・メイデンが好きなんですか(笑)?
ハック:ギャッハハハ! 高校時代、僕はすごいオタクであまり音楽は聴いてなかったんだよ。ある日友だちがカセットテープをくれたんだけど、全曲ヘヴィーメタルだった。で、そのなかでいちばん気に入ったのがアイアン・メイデンだったんだ。いまでも大ファンです(笑)!
(7月8日、zoomにて取材)
取材:野田努(2020年7月31日)
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