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Home >  Interviews > interview with AbuQadim Haqq - 語り継がれるドレクシア物語

interview with AbuQadim Haqq

interview with AbuQadim Haqq

語り継がれるドレクシア物語

──アブカディム・ハック、インタヴュー

野田 努    通訳:Nick Dwyer + Tom Slemmons    Jul 31,2020 UP

 「深海居住人(Deep Sea Dweller)」として、1992年にドレクシアは初めて世界にその存在を知らしめた。翌年には「あぶくのメトロポリス」(93)、そして「分子によるエンハンスメント(強化)」(94)、「未知なる水域」(94)、「水のなかの侵入」(95)、「帰路への旅」(95)、「ドレクシアの帰還」(96)、「探索」(97)……すべて12インチ・シングルだが、それの音楽においては、水歩行人、ロードッサ、波跳ね人、ダートホウヴェン魚人、ブロウフィン博士……といったキャラクターが登場する。16世紀の奴隷船において、海に落とされた病人たちが水中生物として変異し、生き延び、繁栄し、そこにユートピアを築いていたというのがドレクシアがレコードと音楽によって繰り広げた物語である。
 デトロイトのゲットーの地下室で変異したクラフトワーク直系のエレクトロによってファンタジーは語られ、主要な作者であるジェイムス・スティントンがこの世から消えてからはなおのこと、生前よりもいっそう広く、そしてむしろリアルタイムで知らなかった世代によって語り継がれている。ドレクシアほど、後からそしてまた後からと評価が高まっていったアーティストは珍しい。

 長年にわたってデトロイト・テクノのヴィジュアル面をになってきたアブドゥール・ハック(最近、アブカディム・ハックと改名)が、5年の歳月をかけて描き上げたのが、このたびベルリンの〈Tresor〉から刊行されたグラフィック・ノベル版『The Book of Drexciya Vol.』だ。編集部小林がなけなしの大枚をはたいて〈Tresor〉から直接購入したこの本は、いまなら多額の送料不要でディスクユニオンで購入できる。メデタシである。
 そんなわけで、日本のファンにはすっかりおなじみのハックの声をお届けしましょう。通訳を手伝ってくれたのは、日本のTVゲームやジャズ喫茶のドキュメンタリー映像作品を制作しているニック・ドワイヤー。14歳のときに聴いたジェフ・ミルズのミックスCDがきっかけてエレクトロニック・ミュージックを好きになった彼にとっても、ハックはヒーローです。

ドレクシアの深い部分をもっと表現したいという気持ちが強かった。ジェイムス・スティントンは他にもプロジェクトがあったけど、僕と彼とが一緒にやったほうがより彼の世界を描けるんじゃないかと思った。

■ハック、グッモーニン(笑)。

ハック:ヘイ! グッドイヴィニング(笑)!

■いまそっちは何時?

ハック:朝の6時。

■早いね。

ハック:オールウェイズ!

■今日、通訳を手伝ってくれる友人のニック・ドワイヤーを紹介するよ。

ニック:お会いできて嬉しいです。いま東京に住んでいるけど、生まれはニュージーランドです。※この取材の1週間後にはビザの関係で帰国。

ハック:クール。

ニック:最後に東京に来たのはいつ?

ハック:2017年だね。

■もう何回も来ているよね。ハックは日本に多くの友だちがいるから。

ハック:ハッハハハ、イエス。

■じゃあ、質問しますね。このプロジェクトはいつ、どのように発展したんですか?

ハック:5~6年前に、キャラクター……まずは水中のキャラクターを使ってストーリーを考えはじめたんだよ。ドレクシアの王様というのが話の原点でね。

■じゃあ、これはあなたのオリジナル作品とみていいですよね?

ハック:イエス。ドレクシアのコンセプトを元にした僕のオリジナルだよ。

■これはシリーズになるんですよね?

ハック:ハイ。

■では、もうすでにこの後の脚本もあるんだ?

ハック:いま2作目のシナリオを思案中。

■ドレクシアはミステリアスで、ファンはそれぞれが自分のドレクシアのイメージを持っているでしょ? だからドレクシアの世界を具象化するのってリスキーでもあるわけだけど、そこはどう思う?

ハック:いや、そこまでリスキーだとは思わなかったな。むしろ、ドレクシアの深い部分をもっと表現したいという気持ちが強かった。ジェイムス・スティントンは他にもプロジェクトがあったけど、僕と彼とが一緒にやったほうがより彼の世界を描けるんじゃないかと思った。

■たくさんのキャラクターがいるけど、ハックのお気に入りは?

ハック:ドクター・ブローフィン(Dr. Blowfin/アルバム『The Quest』に登場)だね。

ニック:それはなんで?

ハック:知的で、ドレクシア文明を作ったひとりでもある。話を作っているうちにどんどん好きになったキャラクターだね。

取材:野田努(2020年7月31日)

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