Home > Interviews > interview with Roomies - Roomiesなる東京のネオ・ソウル・バンドを紹介する
2019年に結成された東京のネオ・ソウル・バンド、Roomiesがセカンド・アルバムをリリース。J-WAVE TOKIO HOT 100でも上位につけた “Like This Before” を筆頭に、その爽快なポップ・サウンドはきっとあなたの日常を明るく照らすにちがいない。
10代はハードコアをけっこう聴いていましたね。あとはスマッシング・パンプキンズ、レディオヘッド、ビョーク、マッシヴ・アタック。マシュー・ハーバートもすごい好きで。(及川)
■それぞれの音楽的背景をお伺いしていきたいんですが、最初に音楽に興味をもったのはいつごろですか?
Kevin:ぼくは、母が歌手をやっていたので、物心ついたときから音楽はずっと身近にありました。母がよく歌っていたので、一緒に歌いたいなと。カーペンターズとか、ポップス系を歌っていましたね。スティーヴィー・ワンダーとか。演歌も歌っていましたけど基本的にはポップスで、ああいうわかりやすいメロディのあるものがずっと好きでした。転機になったのは、マイケル・ジャクソンを知ったときですね。小学生のとき、父の会社に遊びに行ったときに、しばらく待たなきゃいけない時間があって。「ヴィデオでも見とけ」ってテレビの前に座らされて。そこで見たのが、マイケル・ジャクソンが “Billie Jean” でムーンウォークを初めて披露した映像で。「かっけー」って思って、そこから音楽にのめりこみましたね。
■Kevinさんのヴォーカルはよくマイケル・ジャクソンと比較されると思いますが、まさにマイケル・ジャクソンがきっかけだったんですね。
Kevin:そうですね。マイケルの影響は大きいです。あの日本の曲にはないグルーヴ感と、あの独特の歌い方に惹かれて。ムーンウォークもマンションの外で練習したりしました。「なにやってんだ」ってバカにされましたけど、逆に「マイケル知らねーの?」って言い返して(笑)。高校になると、歌はつづけてはいたんですけど、レ・トゥインズっていうフランスの兄弟ユニットを見てからダンスにハマって、そこからヒップホップとかも聴くようになって、ディアンジェロを好きになって。それで「自分はダンスで食っていくのかな」って漠然と思ってたんですけど、でもステージではメインで輝きたいっていう思いもあった。それでダンスを諦めて、22、23のころに音楽で食っていこうって決意して上京しました。やっぱり歌うことがいちばん得意で、好きなことだったんです。ぼくは好きなことじゃないとつづかないタイプで、歌が唯一ストレスなくのめりこめるものだったから、「これを仕事にしよう」と。2010年代の頭ごろでしたね。
■及川さんのお話も聞かせてください。
及川:ぼくはまず、小学校のころにX JAPANが好きになってピアノをはじめました。YOSHIKIが好きだったのでドラムもはじめて。その後中二のときにレディオヘッドの “Planet Telex” を好きになって、その曲はいまだに自分のなかで不動の1位ですね。高校卒業するまで毎日聴いていました。
■なるほど! 2月にJ-WAVEで毎週カヴァーをやる企画をされていましたよね。最後の週がレディオヘッドだったので、Roomiesの音楽性からすると意外だなと思っていたんですが、納得できました。でも曲は “Planet Telex” ではなく “High And Dry” でしたね。
及川:“High And Dry” はピアノのわっくんが好きなんです。あと “Planet Telex” は好きすぎてカヴァーするのに時間がかかっちゃうという理由もあったし、“High And Dry” はKevinのヴォーカルに合いそうだなっていうのもありました。
■ピアノとドラムスはその後もずっとつづけていた感じですか?
及川:ピアノはほとんど練習してなかったんですど、中学も高校もドラムはつづけていましたね。中学の同じクラスにSiMのギターがいて、18歳のときにSiMのヴォーカルのMAHくんと最初のベースのKAHくん、ギターのSHOW-HATEとぼくでジェーン・ドゥーっていうハードコアのバンドをやっていました。
そのバンドをつづけていた19歳のときに、ワーキング・ホリデイでオーストラリアに行ったことがあったんですけど、貯めたお金をカジノでぜんぶなくして、ホームレスになっちゃってバス停のベンチの下とかで寝ていました(笑)。でも家がないと強制送還されちゃうので、バックパッカーズ・ホテルっていう使い捨てのような汚いホテルの3人部屋だと1週間3~4千円で住めたのでそこにいました。毎晩フランス人のゲイとかイタリア人のレズビアンのセックスを見ながら寝るような生活だったんですが、ゴミ捨て場にあったフロアタムとライド・シンバルを拾って、それで路上でドラムを叩いて家賃を稼ぐみたいな生活でしたね。つづけているとジャンベとかディジェリドゥとかを弾けるひとが集まってきて、バーでライヴもできるようになって。
■そんな経験をしたら、帰ってきたとき世界観が変わっていたのではないでしょうか。
及川:変わっちゃいましたね。なにも怖くなくなったというか。日本に帰ってからはハードコア・バンドもすぐ終わっちゃって、その後はサイケデリシャスっていうダフト・パンクみたいなバンドをやったり、音楽自体やめてコールセンターで契約社員をやったり。CICADAに誘われたのもそのころでしたね。
ダニー・ハサウェイとかマーヴィン・ゲイとか。新しいものより古いものに行った感じですね。いわゆるポップ・スターのようなひとたちの歌をよく聴いて練習していました。(Kevin)
■リスナーとしてはおもにロックをメインで聴いていた感じでしょうか。
及川:10代はハードコアをけっこう聴いていましたね。あとはスマッシング・パンプキンズ、レディオヘッド、ビョーク、マッシヴ・アタック。マシュー・ハーバートもすごい好きで。IDMが好きでしたね。打ち込みをやってた時期もあって、友だちのラップにトラックをつくったりもしていたので、サンプリングやビートメイクをちょっとずつ覚えていきました。古い曲、ビートルズとかスティーヴィーとかアース・ウィンド&ファイアとかマイケルとかはむしろRoomiesに入ってから聴くようになりましたね。有名な曲しか知らなかったのでKevinに教えてもらって。ファンクもソウルも全然知らなかった。
■Roomiesのシンセの感じはスティーヴィーなのかなと思っていました。
及川:教えてもらったんです(笑)。エレクトロニカとビョークがずっと好きだったんですよね。
■ビョークだとどれがいちばん好きですか?
及川:『Vespertine』(2001年)ですね。
■まさにハーバートやマトモスが参加しているやつですね。ぼくと完全に同世代ですよ。
及川:オペラハウスの映像(『Live at Royal Opera House』、2002年)をずっと観ていましたね。“It's In Our Hands” や “Hidden Place” をひたすら聴いていました。
■自分たちでも音楽をやるようになってから、リアルタイムの音楽、たとえば2010年代はおふたりはどんな音楽に惹かれていましたか?
Kevin:ぼくはもっと歌を強化したいなと思っていたので、リアルタイムではないんですけど、ソウルを聴くようになりました。ダニー・ハサウェイとかマーヴィン・ゲイとか。新しいものより古いものに行った感じですね。いわゆるポップ・スターのようなひとたちの歌をよく聴いて練習していました。
及川:ぼくはもうマーズ・ヴォルタとかバトルスとか、ニュー・レイヴ系とか。
Kevin:ぜんぜんちがうね(笑)。
■及川さんの背景はRoomiesからはぜんぜん想像できない(笑)。
及川:マーズ・ヴォルタ大好きで。ライヴにも行ったんですけど、開演前にトイレに行きたくなって。でももうはじまるから我慢してたんですけど、5分くらいずっとノイズが鳴ってて、限界が来たのでトイレに行って、戻ってきたらまだノイズだけで(笑)。「なんなんだ!」って思ったのを覚えています。あとハマってたのはMGMTとか。
■そろそろ新作についてもお伺いしていきましょう。セカンド・アルバムにあたる『ECHO』ですが、最初の時点でコンセプトや青写真のようなものはあったんですか?
及川:明確なものはなかったです。今回が4人編成になってから最初の作品になるんですけど、この4人でもう4~5年やってきていたから、ヴィジョンが近いというかやりたいことにも共通している部分が多いこともわかってきていたので、歌がしっかり抜けててサウンドも外向きのものになっているかなと思います。
Kevin:そう思う。
及川:Kevinの歌って外向きだから、内向きで自慰的なサウンドにはならないものをつくりたいっていうのはありました。4人になったから打ち込みでもいいやとか、サウンド面での許容範囲も広がりました。「こうじゃなきゃいけない」みたいなものが減ったアルバムだと思います。前のアルバムは前のアルバムで好きではあるんですけどね。
Kevin:ファーストのときはけっこう大変で。6人分の正解を合致させなきゃいけなかったので。
及川:人数が多い分、食い違いも多かったから、なかなか完成に持っていけなかった。
■なるほど。しかしベースとドラムスが抜けるって、バンドとしてはけっこう致命的な気もするのですが。
及川:ほんとうそうですよ(笑)。正直、最初は「終わった」と思いました。
■その後、新しくベースとドラムスを迎える話にはならなかったんでしょうか?
及川:最初は探さなきゃって思ってました。やっぱりベースとドラムは必要だと思っていたので。でも、わっくんが「4人でも行けるっしょ」って、けっこうポジティヴで。それを信じてみようかなと思ったんです。中途半端に増やさないで、自然にいい感じで新しく出会ったら入ってもらおう、って。
Kevin:なかなかいないですよね。演奏がよくて、音楽性も合って、かつヒマなひとって。
及川:みんなヒマじゃないからね(笑)。
■今回は曲づくりからレコーディングまで、そういうプロセスでやっていったんですか?
Kevin:そもそもあんまり4人で集まれなかったんですよね。それぞれ忙しくて。
及川:ぼくとギターとKevinだけとか、ピアノとKevinだけとか。全員で集まってワイワイやりながら……という感じではなかった。曲によって打ち込みだったり、友だちに生ドラムやベースを入れてもらったり、歌詞もKevinの弟のコリンが書いているものもあるし。曲によってつくり方がちがって。けっこう不安はありました。たとえばアイディアが浮かんで「これ、どう?」みたいなことを聞くとき、やっぱり顔を見て直接反応を見ないと、ほんとうにいいって言ってくれてるのかなって、疑心暗鬼になるので(笑)。でもなぜか自信はありましたね。
内向きで自慰的なサウンドにはならないものをつくりたいっていうのはありました。(及川)
■なかなか全員が集まれないなかで、「これだけはやらないようにしよう」とか、逆に「これだけは絶対やろう」みたいなルールはありましたか?
Kevin:先ほど話したような、内向きにならないように、っていうのはありましたね。外向きの意識で、って。ぼくの場合は、歌はやっぱりポップでわかりやすくっていうのを意識してメロディ・ラインをつくってました。
及川:ぼくの場合は、Kevinがもともとダンスをやっていたことを意識しましたね。Kevinはたぶんミュージシャンとはちがうダンサーのグルーヴ感をもってるはずだと。たとえば4つ打ちの「乗れる/乗れない」って、8ビートのキックの位置とかベースの位置とかでわかるじゃないですか。それで歌い心地がいいか悪いかってKevinにしかわからないから、Kevinがいいってなるまでは、あんまりこっちの意見を押し出さないようにはしていましたね。ダンサー目線のヴォーカルの歌い心地のよさを意識して。
Kevin:グルーヴや歌い心地はすごい細かく相談してましたね。
■内向きにならない、外向きに、という意識があって、先ほど及川さんには売れたい欲もあるというお話も出ましたけど、今回2曲目の “Like This Before” なんかは、まさにそれが達成されたキラー・チューンというか。
及川:まさしく。わっくんがつくった曲ですけど、デモが来た時点で「きたー!」ってなりましたね。会心の1曲というか。
Kevin:シンディ・ローパーみたいな(笑)。mabanuaさんも褒めてくださって。
及川:こういう感じは日本のポップスではあんまりないですよね。とくにバンドの曲では。
■アルバムのタイトルが、最後の曲とおなじ『ECHO』になったのはどういう経緯ですか?
及川:曲のほうの “ECHO” はぼくが歌詞を書いたんですけど、そのときはなんとなく「ECHO」っていう曲名がいいなと思って。その曲を書いたあとにアルバムの話になって、ジャケットをどうしようかってなったときに、ギターの柚一郎が以前にアイルランドに住んでいたんですけど、現地の新聞に「エコー」っていうのがある話を思い出して。その新聞はデザインがすごくかわいいんです。曲自体は世界の平和をイメージした曲なんですが、「エコー」っていうことばもそれに合うと思って。Roomies自体ハッピー主義者たちの集まりだし、そういうのが広まればいいなと思って、その流れでアルバムのタイトルも『ECHO』がしっくりきたという感じですね。
■アルバムには日本語の曲もありますが、基本的には英語の曲が多いですよね。英語で歌うのはなぜですか? 海外のリスナーに届けたいという動機でしょうか?
Kevin:「この曲は英語っぽいよね」「この曲は日本語っぽいよね」みたいな感じですね。歌詞が先の曲はないので。海外のリスナーに届けたいというのももちろんあります。やっぱり自分たちが海外の音楽から影響を受けてきたので。
及川:でもまあ日本語でも曲がよければ海外でも聴かれると思う。だから、絶対にこうっていう決め方はしなかった。
■3月24日にはライヴが控えています。それに向けての意気込みを、お願いします。
及川:ひさしぶりにバンド・セットをやるので、気合いが入っています。すごく楽しみです。
Kevin:ひさびさに一緒にできるっていうのがやっぱりすごく楽しみですし、自分たちが楽しんでる姿をお客さんに見せられるのはすごく幸せなことだと。見せたいですね、ぼくらのヴァイブスを。
■今後はどういうバンドになっていきたいですか?
及川:「こういう音楽をやっていきたいです」っていうのはないんですけど、音楽的には作品ごとに絶対変わっていくと思います。あとは世界じゅうでライヴをしたいですね。
Kevin:世界に通用するバンドになりたいな。
及川:結成のときも、Kevinの「グラミー獲りたい」って話からはじまってるので(笑)。
Kevin:だからグラミーにつながる道筋をたどっていけたらいいなと思います。
[ライヴ情報]
2025.03.24 Mon
Roomies
@BLUE NOTE PLACE, Tokyo
Open/Start
18:00/1st stage 19:00, 2nd stage 20:15
※ 2stages with intermission (cafe time)
Performance
Roomies
Kevin (vo)
Yuichiro Takahashi (g)
Wataru Saito (p)
Sosuke Oikawa (synthesizer)
Taihei (ds) *support member
Takayasu Nagai (b) *support member
Further Information
https://www.bluenoteplace.jp/live/roomies-250324/
取材・文:小林拓音 Takune Kobayashi(2025年3月21日)
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