「P」と一致するもの

downt & Texas 3000 - ele-king

 downtとTexas 3000、日本のふたつの新世代スリーピース・バンドによる共同企画東北ツアー「downt & Texas 3000 TOHOKU World TOUR 〜北に行きます〜」が、12月5日(金)より開催。宮城・福島・東京の3箇所を巡る。

 つい先週、downtとTexas 3000は中国・杭州のライヴハウス〈LiveShop Uni〉の1周年記念公演にて共演。本ツアーは熱い夜を過ごした勢いのまま実現されたとのこと。「北に行きます」というストレートなツアータイトルも、全員の案を採用した結果の命名のようだ。ともにスリーピース編成であり、日本のインディ・ロックを更新する存在として活躍するふたつのバンド。以下の写真からも伝わるように、笑顔の耐えないツアーになることでしょう。

downt & Texas 3000 TOHOKU World TOUR 〜北に行きます〜

<Ticket Info>
チケット代:12/5&7¥3,500 / 12/6 ¥2,000
予約開始:11/7(金)20:00〜
予約フォーム:https://forms.gle/X8rqHAUtbKgusqpw5

<宮城公演>
公演日時:12/5(金)
開場/開演:19:00/19:30
会場:宮城・仙台BIRDLAND
出演:Texas 3000 / downt / FULL URCHIN

<福島公演>
(Jesus Wound Pre “SAVE YR WOUND”)
公演日時:12/6(土)
開場/開演:19:30/20:00
会場:福島・郡山studio tissue★box
出演:downt / Texas 3000 / Jesus Wound / 石川大翔

<東京公演>

公演日時:12/7(日)
開場/開演:18:00
会場:東京・新大久保EARTHDOM
出演:Texas 3000 / downt / DJ:yagi hiromi(Cruyff)

Minna-no-kimochi - ele-king

 コロナ禍にトランス・レイヴ・クルーとして発足以降20年代東京クラブ・シーンの立役者として暗躍、現在はコア・メンバーによるDJユニットとして世界を駆け巡る存在となった〈みんなのきもち / Minna-no-kimochi〉が、15周年を迎えた渋谷・WWWとの共催によって今年のカウントダウン/ニューイヤー・パーティを開催。

 今回はなんとWWW / WWW X / WWWβの3フロアを全館解放し、24時間にわたるロングラン・レイヴとして開催されるとのこと。ラインナップは後日発表。150枚限定の早割チケットはすでに完売している。24時間という長尺での開催という性質から、1月1日の午前6時以降はIDチェックなしで入場可能、というのも気になるポイント。折り返しを迎える2020年代という時代の、次なるフェーズを予感させる内容となるか。その答えはフロアに。

Minna-no-Kimochi x WWW presents
24 Hour New Year Party 2025-26

LINEUP : Minna-no-Kimochi + TBA

2025/12/31 WED 21:00 - 2026/01/01 THU 21:00
at WWW / WWW X / WWWβ

Early Bird : ¥2,500 (+2D) *limited to 150
ADV : ¥3,000 (+2D)
*TICKET : LivePocket (URL : https://t.livepocket.jp/e/24hour_nyp)

INFO:WWW 03-5458-7685

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※20歳未満入場不可・要顔写真付ID / Over 20 only・Photo ID required
※入場時別途2ドリンク代 / 2 drink tickets charge for entry
※AM5:00以降再入場可 / ReEntry after 5;00 AM
※再入場時別途1ドリンク代 / 1 drink ticket charges for re entry
※AM6:00以降IDチェックなし/ No ID check after 6:00AM
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▼Minna-no-Kimochi

みんなのきもちは、2021年に東京で結成されたレイブクルー/DJ ユニット。アンビエントや実験音楽に根ざしつつ、90年代トランスをポストクラブ的手法で解体し、 身体的恍惚と精神的高揚を同時に立ち上げるそのサウンドは、現代トランスの臨界点を映し出す。レイブの原初的コミュニティ感覚とグローバル・クラブカルチャーを接続する媒介者として知られている。レイブクルーとしては、都内近郊の倉庫、海岸線、山間の廃墟などオフグリッドなロケーションでプライベート・パーティーを開催。

ドキュメント化を拒んできたその活動の傍ら、クルーのコアメンバーによる DJ ユニットはグローバルな開かれた活動を続け、ワールドツアーを度々成功させてきた。2024 年夏には英国グラストンベリー・フェスティバルの Shangri-La ステージに初登場し、4 日間を締め括るクロージングセットを披露した。また、2025年1月30日、ベルリン・ベルグハインで開催された CTM Festival でのクロージングセットも記憶に新しい。これまで欧州ツアー各所から、北米・アジアのローカル地下パーティーまで幅広く出演。DJ Magによる「Ones To Watch 2025」に選出された。彼らのレーベル・プロジェクト「Mizuha 罔象」は、次世代のトランスミュージックや環境音楽、ポスト・クラブのサウンドスケープを探求するオンライン・プラットフォームで、世界中から先鋭的な作品を集めリリースしている。

Oneohtrix Point Never 『Tranquilizer』 - ele-king

OPN考

 気づけば、どんな話題にも「美学」という言葉が入り込んでいる。K-POPのファンダムでは「〇〇コア」という呼び方が定着し、ファッションでも、写真でも、何かしらの“感じ”に名前がついていく。
 いま、誰もが美学の話をしている。「Aesthetics Wiki」には既に千以上のページが生まれ、今やリミナルスペースは人気のフォト・スポットである。
 美学は孤独を説明するのだ、とぼくは思う。
 「Y2K」「Dreamcore」「Liminal Space」──それらの言葉は、あなたの指先にあるもの、足元に転がっているものをもってして、あなたが一人ではないことを示す。
 それはあなたの「コア」であり、私たちのものでもあるのだ。
 「コア」を所有すること。それは孤独を共同所有物へと変えることだ。
 しかし、Oneohtrix Point Never、このどこまでも加速し続ける音楽家はそうした戯れにほとんど興味を示していないように見える──決して誰の手にも収まらないまま、彼は進み続ける。
 メディウムを変え、声を変え、時には名義も変えながら、ただ残響だけが、その軌跡を指し示す。

Photo: Aidan Zamiri

Tranquilizer

 今作の創作のきっかけとなったとOPNが語る商業用オーディオ・キットは、単なる素材であるからして、鳥の鳴きも「悲しげな」ピアノの旋律も──そのままでは一切の意味を持っていない。
 いや、持たないように設計された「マテリアル」であった。
 それらは音楽家によって分解され、加工され、成形され、楽曲を構成するパーツとなる。
 そのときに初めて、鳥の鳴き声は鳥の鳴き声として機能し、悲しげなピアノの旋律は悲しげなピアノとしての役割を得るのだ。
 精神安定剤(Tranquilizer)。
 「安定させる」という言い方をするのなら、そこにあるものはひどく不安定であったということだ。
 大量のマテリアルを触っては投げ捨て、その果てにやっと完成した一応の形も、彼はやや大ぶりな身振りでどこかへ投げ捨て、また次のマテリアルへと手を伸ばしていく。
 安定と不安定の往復。トラックを作りながら次のサウンドを“ブラウジング”している音楽家の姿がぼくには見えてくる。
 彼は安定を捨て、均衡を崩し、もっともらしさを軋ませて……そうまでして、何かを探し求めている。
 山積みになったマテリアルをある瞬間旋律と和声で拾い上げて、その底に眠っている、ひどく重たく、歪なままのものに触れることを試みるのだ。
 安定などとうに失った世界で、誰かが夢見た別の未来の残響が、その奥からまだ微かに響いているのではないか。
 OPNが触れようとするそれは沈没船の宝箱か、固く閉ざされていた、地獄の蓋か。

その鳥が卵をひっくり返した。
卵は巣をひっくり返した。
巣は鳥かごをひっくり返した。
鳥かごは敷ものをひっくり返した。
ジョルジュ・ペレック『さまざまな空間』水声社

現在発表された以下の5曲の各曲レヴュー

“Lifeworld”

 クレーン車、どこかのレコードショップ、キーボードを叩く手……。
 アルバムから最も早く公開されたこの曲のビデオは、一見すると無関係なシーンが次々に移り変わる、落ち着きのない4分ちょっとの映像であった。
 ちかちかするシンセサイザーと環境音のなかで、繰り返されるハミング。それは何か主題めいたものを伝えようとしているようにも思えるが、実のところ、それ自体は何も語ろうとしてはいない。単なる「イメージ」の蓄積。データとして加工された音声ファイルがただ暫定的な居場所を与えられているにすぎない。
 しかし、私たちはつい聴き取ってしまう。何を?
 ビデオでは最後に、不明の撮影者が誰かに呼ばれて家を出ようとする。
 外は明るい。山を切り開き、そこに意味を持たせた農園風景。何度も現れる宇宙のモチーフ。表面温度という情報にのみ還元された私。

“For Residue”

 残ったもののために(For Residue)。
 サンプル・ライブラリの喪失を創作のインスピレーションとする本作のイントロであるこの曲は、柔らかなノイズから始まって、「For Residue」と楽曲名を呟く声が現れる。そしてその後に弦楽器とシンセサイザーの和声で幕が開く。……その身振りはやや大袈裟で演技じみているように思えてくる。
 だが、聴いていけばすぐに、そのハリボテめいた演出こそが、本作を理解するキーとなっていることがわかった。シンセサイザーのループは中途半端なところで繰り返し、それは明らかにメロディラインとしての佇まいではない。同じように、鳥の声は環境のレイヤーには配置されず、むしろハイハットやタムドラムのようにただ用いられている。
 いちどマテリアルとなった音声は、全てその機能のために並べ替えられる。

“Bumpy”

 この楽曲に「でこぼこしている」(Bumpy)というタイトルが付いていることが非常に重要だ。
 その動きは非常にスムースだ。こぼれ落ちそうなサンプルを次から次に和声と旋律をもってして拾い上げる。動き続けるメロディを組み合わせて見事なソフト・ランディングを見せる終盤の流れも素晴らしい。
 だが、完璧な滑らかさのなかでこそ、いかにこの楽曲が「でこぼこ」であるかを感じさせられる。整いすぎた表面を撫でながら、私たちは音の下にある微細な凹凸を確かに感じ取る。

“Measuring Ruins”

 落ち着きのない楽曲構成の中でぼくに見えてきたのは、彼が「ブラウジング」...何かを探し求めて、音声ファイルを次から次に配置していく姿であった。
 飛び回るドローンが世界を捕捉する。あらゆるマテリアルは管理可能な対象へと変わる。そして空間上に現れるのは「美しい」風景群だった。

“Cherry Blue”

 この楽曲の特殊なところは、明らかに作品の「進行方向」が強く意識されている点だ。
 トラックの再生開始地点から終了地点へという意味ではない、つまり「力の働く方向」が確かにそこにあるように感じられる。
 楽曲を通して使われているピアノリフがその最も顕著なところである。ダブの響きを思わせる深い音響効果のなかで、この旋律はフィルターのオープンとクローズでその身体を何度も引き裂かれようが、ループの中に引き込まれようが、そこからどうにか戻ってきてまた進み続ける。
 楽曲のヴィデオはとりわけ奇妙で、木々や家、街といったイメージがカットが変わるごとに姿を変えて、ついには現実と非現実ですらいくつものレイヤーに分解されたうえでないまぜになる。彼がクロッシュの中の何かを家へと運んでゆく、その力の「進行方向」だけは決して最初から最後まで変わらない。

パート2へと続く……

Tocago - ele-king

 どこまで歩けば、自分の居場所にたどり着けるのだろうか。奪われた生活圏、シティ・ポップの空虚さ、裏路地にさえも安くはない古着屋やカフェが並んでいる。居場所を失った声が耳から離れない。それは、Tocagoというバンドの“家”という曲である。

 ここ数週間、Tocagoのことが頭から離れないでいる。運が良かったのだろう。ライヴを観るまで、ぼくはTocagoに関する情報をもたなかったから、なんの先入観もなく、無防備な状態で彼らの演奏と向き合うことができた。

 ボブ・スタンレーは、21世紀のポップ・ミュージックにとっても通用する二つのひな形を、ジュディ・ガーランドとビリー・ホリデイのなかに見ている。スタンレーによればこうだ。ガーランドは常に「この歌は私に何を与えてくれるのか?」を問いながら歌ったが、ホリデイはただ「自分はこの歌に何を与えられるのか?」を考えた。前者がどういう人たちのことかは読者のご想像にまかせるとして、Tocagoの沖ちづるは明らかに後者に分類される。でっかいエピフォンの生ギターを抱えながら歌う彼女の、まさにホリデー的な酩酊状態にも似た歌唱法には即興性がある。ゆえに、ライヴにおいてその生々しさがより強度を上げて発揮される。ぼくが初めて聴いたライヴの冒頭で演奏した“虫”という曲には殺気だったものがあり、と同時に、自分の魂を型にはまられてたまるかという確固たる気持ちの強さがより鮮明に出ていたけれど、やはり圧倒されたのは、なかば乱暴な、静的でありながら暴力性を秘めたその歌唱だった。

 こんなバンドがいたのか、というこの予期せぬ出会いに喜びを感じながらぼくは釘付けになった。Tocagoは、表向きにはビッグ・シーフに触発されたバンドと紹介されているが(じっさい、リキッドルームでのライヴの第二部では1曲目にカヴァーを演奏した)、彼らのポテンシャルを考えれば、そうしたレッテルが剥がれるのは時間の問題だろう。磯部兄弟のリズムには、レゲエが入っている点において、アメリカーナの表層的な模倣にはなりえない。また、森飛鳥のすばらしくブルージーなギターは、ホリデー的な沖の歌唱から感じられるアウトサイダーとしての威厳をみごとに支えていると言えるだろう。メンバーのふたりがアンビエント・プロジェクトに着手していることも、Tocagoの潜在能力を大いに膨らませている。

 残念ながらTocagoは、まだ自分たちのほんとうの実力を録音しきれていない。バンドは2023年に自主でEP「Wonder」を出し、昨年配信のみで「How Are You Feeling?」を発表、アナログ盤のみでそのカップリングが〈Pヴァイン〉から再来週リリースされることになっているが、ライヴでは未発表の曲も演奏している。KATAのライヴではビートレスで、スライドギターが滑らかに広がる曲(曲名は知らない)が印象的だった。その自己破壊的で即興性のある沖の歌唱は強烈で、誤解を恐れずに言えば、ブルースに浸った中島みゆきのように思えた。その曲に限らず、Tocagoの多くの曲は愛についての歌だが、それは愛について歌われるときの単純化された言説を突き放した愛の歌である。愛について語るときに切り捨てられる愛についての歌は、書かれているときよりも声に出したときに強いものとなる。
 もちろんバンドには軽快な曲がある。とくに“How Are You Feeling?”のような曲にはグルーヴがあるし、磯部兄弟のリズムには走っているときに感じる風がある。代田橋FEVERでのライヴはワンマンではなく、またフロアもまばらで、KATAのときとはだいぶ状況が違っていたが、バンドは緊張感を削ぐことなく、さいごまで全力で駆け抜けていった。風は冷たくなるだろう。それでもかまわない。すばらしいバンドと出会えたことを思えば。


Tocago / トーカゴ
How are you feeling? / ハウ・アー・ユー・フィーリング?

発売日:2025.11.19
定価:¥4,500(税抜¥4,091) / PLP-8275

TESTSET - ele-king

 TESTSETのセカンド・アルバム『ALL HAZE』。これは本当に見事な作品だ。名盤といっていい。現代のニューウェイヴの理想形、あるいは理想郷と呼ぶべきアルバムである。私はアルバム・リリース以来、何度も聴き返しているが、いまだ飽きることがない。
 音色、音の質感、構造、緻密さ、リズム、メロディ、ノイズ、声。そのすべてが精巧に組み立てられ、バンドの有機的な推進力を生んでいる。1曲目 “Dry Action Pump” を再生すれば、気づけばラストの “Initiation” まで一気に聴き通してしまう。その構成の見事さと音の快楽。そのまま頭に戻り、再び再生してしまうほどだ。
 メンバーは言うまでもなく、LEO今井、砂原良徳、永井聖一、白根賢一の4人。METAFIVEからLEO今井と砂原が独立し、サポートだった永井と白根を正式に迎えて始動したバンドである。だが、いま彼らにMETAFIVEの影を重ねることに意味はない。TESTSETはすでに、完全に自律したバンドという有機体へと進化している。
 確かにファースト・アルバム『1STST』も秀逸だった。だが『ALL HAZE』は、さらにその上をいく。現在進行形のバンドとしての「逞しさ」を手にした作品といえよう。ここであらためて、このバンドの中核にいる砂原良徳という存在から、その到達点を見てみたい。
 砂原良徳は、YMOそのままの音を決してそのまま再現しない音楽家だ。世界有数のYMOマニア(YMOカルトキング!)であり、メンバーのソロ作品のリマスタリングも手がけてきた人物でありながら、彼自身の音は再現ではなく再構築である。電気グルーヴでもソロでも、影響を独自の濾過装置に通し、浄化し、別次元へと変換してきた。彼の音には確かなシグネチャーがある。聴けばすぐに「あ、砂原の音だ」とわかるが、その特徴を言語化することは難しい。明確でありながら不定形。ジャンルにもフォーマットにも収まらない。その不定形さこそ、彼のポップ・アート的な本質であり、モダン・ニューウェイヴの核心にある要素だ。

 そんな彼が例外的にYMOの遺伝子を強く意識したのがMETAFIVEだった。高橋幸宏のバンドであった以上、それは必然でもある。だがTESTSETは異なる。同じく多層的なサウンドでありながら、よりモダンで開かれた均衡を志向している。砂原のみならず、LEO今井、永井聖一、白根賢一、それぞれが「ズラす」ことを恐れず、ズレながらも一体化している。そこにバンドとしての統合がある。『1STST』がまだ名刺代わりだったとすれば、EP「EP2 TSTST」(2024)を経た今作では、完全に4人の共同体として結実した。LEO今井+砂原良徳という出発点から、永井と白根を含む有機的なユニットへと進化したのだ。
 『ALL HAZE』は、その進化の証だ。LEO今井の痙攣的なダンディズムと、権威への抵抗を孕んだ歌詞はさらに研ぎ澄まされ、その声がバンドの顔として機能している。永井聖一のギターは、令和の布袋寅泰(いや、本当にそう思うのだ)を思わせるような音色と存在感を放ち、白根賢一のドラムはニューウェイヴ的な硬質のグルーヴを描き出す。そして砂原良徳のシンセ・ベースが、バンドのもうひとつのアイコンのように鳴り響く。個々の演奏者としての力量が、ひとつの生命体のように融合している。
 加えてサウンド・デザイナーとしての砂原は、各メンバーの音を際立たせつつ全体を統制し、俯瞰的に構築している。YMOの系譜を継ぎながらも、METAFIVEの物語(あるいは呪縛)から自由になり、TESTSETとしてのモダン・ニューウェイヴを確立した作品、それが『ALL HAZE』である。もちろん、現代の音楽にアーカイヴ意識が皆無なわけではない。『ALL HAZE』にはウルトラヴォックス『Vienna』やデペッシュ・モード『Violator』の気配が漂う。80年代的な構築美と緊張感を、21世紀の音像でアップデートしている。これこそがモダン・ニューウェイヴの実践である。
 “Dry Action Pump” や “Deleter” ではLEO今井のヴォーカルが圧倒的な存在感を放ち、“Neuromancer” では永井聖一の透明な声が浮かび上がる。どこかニューウェイヴ/ニューロマンティックな気配を湛えたこの曲は、本作の象徴的な名曲だ。同じく永井作の “Rabbit Hole” ではデペッシュ・モード的な質感が広がり、永井の存在感がさらに強く響く。LEO今井、永井聖一、砂原良徳による共作 “Coptic Feet” は、90年代テクノ的トラックの上で三者の個性が交錯する佳曲だ。そして白根賢一作曲の “The Haze” は叙情的で胸に迫るエレクトロニックなネオアコ風味の曲。そしてラストを飾る砂原によるインスト “Initiation” は、彼なりのニューウェイヴ論として、わずかに不穏な余韻を残して幕を閉じる。
 現在のTESTSETの魅力は、この絶妙なバランス感覚にある。だから聴き飽きないのだ。個々の霧が拡散しながらも、どこかで結び合うような流動的な進化を遂げた。TESTSETは、その発生の経緯からしても特異なバンドであったが、今、真の意味でバンドになった。そしてその音は、唯一無二の現代的なニューウェイヴ・サウンドとして響いているのだ。

 砂原良徳は過去を継承しつつ、決して「そのまま」をやらない音楽家である。その精神はTESTSETでも貫かれている。彼は俯瞰しながら自らを霧のようにバンドに溶け込ませ、新しい音の未来を構築していく。彼は、そしてTESTSETは、ニューウェイヴを更新し、現代における最高の形で結実させたのである。

Lankum - ele-king

 こいつはすさまじい。先週10月30日、ダブリンのフォーク・バンド、ランクムがザ・スペシャルズ1981年のラスト・シングル “Ghost Town” のカヴァーを公開しているのだが、これが鬼気迫る1曲に仕上がっている。失業や廃墟化する都市、暴動などを背景にした原曲もじゅうぶんダークだったけれど、ランクムはそれをさらに尖鋭化、「これが現代世界の真実だ」といわんばかりに、原曲以上に闇に満ちたアレンジを施している(MVも原曲を意識)。必聴です。

 2025年11月4日、200万人を超える有権者が、民主社会主義者ゾーハラン・マムダニをニューヨーク市の新市長に選出した。
 街の空気は歓喜に満ちていた。深夜を過ぎても人びとの歓声が響き、ブルックリンの自室からさえ聞こえたほどだ。おそらく、それはマムダニが多くの人にとって「消極的選択」ではなく、理想的な候補だったからだろう。
 じっさい彼の主な対立候補は、腐敗し、女癖が悪く、性的加害者でもあるアンドリュー・クオモだった。彼はCOVID政策によって1万5千人もの高齢者を死に追いやった人物である。クオモは「SAY NO TO ZO(ゾーにノーを)」という露骨なスローガンを掲げ、無所属として出馬した。言うまでもなく、この失墜した元州知事は9%の大差で敗れ、共和党の牙城であるスタテン島でのみ辛うじて過半数を得ただけだった。
 だが、そもそもなぜ共和党員たち──ドナルド・トランプ本人を含めて──は、じっさいの共和党候補(第三の奇策候補、カーティス・スリワ)を批判し、三代にわたってニューヨーク州民主党政治に深く関わってきた「無所属」候補クオモに投票するよう呼びかけたのだろうか?1
 ニューヨーク市において、民主党と共和党のあいだの従来の党派の境界線が正式に崩壊しつつあるいま、真の政治的分断が明らかになっている——それは、富裕層の利益を守る金権政治に深く根ざした候補者たち(クオモやトランプのような)と、労働者階級を守るためにアメリカの政治的体制そのものを真剣に脅かす候補者たち(マムダーニ、そして言うまでもなく2016年の大統領選におけるバーニー・サンダースのような)との対立である。

 多くのアメリカ人は、民主主義と資本主義を混同している。制限なく富を追求できることこそが民主社会における自由の証だと信じているのだ──たとえ自分たちの生活がつつましいものであっても。
 私はかつて父にこの混同を問いただしたことを覚えている。私はこう説明した。資本主義は必然的に独占に行き着く。独占は「選択」という民主主義の根本理念を狭めてしまうのだと。父は笑い、心を開いたようで、ただ一言こう返した。「A+だな」
 アメリカの政治もまた同じように独占されている。「よりマシな悪を選ぶ」というお決まりの構図だけでなく、共和党と民主党がじつは同じ企業支配のコインの表裏に過ぎない、というあまりに明白な現実によってもそれは表れている。両党は献金者やロビイストの利益を守り、その結果、アメリカ国民の大多数が犠牲になっている。
 たとえば、アンドリュー・クオモの選挙資金の多くは億万長者のスーパーPACから供給されていた。一方、マムダニの選挙運動は、彼のために戸別訪問を行った10万人以上の草の根ボランティア集団によって支えられていた。
 さらに、マムダニの掲げた「私たちが住める都市(A City We Can Afford)」というメッセージは、ニューヨークが直面するもっとも差し迫った問題──すなわち、800万人の住民のうち200万人が貧困ライン以下で暮らし、ワンルームアパートの平均家賃が月4,000ドル(約61万6千円)に達しているという「手の届かない都市」の危機──をまさに突いていた。これはまさしく「アフォーダビリティ・クライシス(生活費危機)」である。
 金持ちへの課税、保育の無償化、無料のバス運行──こうしたマムダニの主要な公約は、本来であれば「急進的」と見なされるべきではない(なぜなら、これらの施策は他の多くの国々ではすでに実現しているものだからだ)。
 だが、資本主義と民主主義をいまだに同一視し、「トリクルダウン経済」の約束にすがる多くのアメリカ人にとっては、マムダニの構想は「成功者への罰」のように映るかもしれない。じっさい、「悪しき政府が勤勉な民間市民の財産を奪う」という観念こそ、アメリカに長らく根づいてきた社会主義への恐怖の中核をなしている。
 選挙後、保守系メディアはすでに「富裕層のニューヨーカーたちはマムダニの課税案を避けるために街を脱出し、結果的に西洋世界の金融首都は壊滅的な経済的打撃を受けるだろう」と騒ぎ立てている。
 しかしマムダニ自身が人気番組『ザ・デイリー・ショー』の司会者でありコメディアンでもあるジョン・スチュワートに説明したところによれば、彼の意図はきわめて穏当だ。年収100万ドル以上の人たちに対してわずか2%の増税をおこない、法人税率を11.6%に引き上げるだけだという。そして彼は冗談めかしてこう指摘した──その税率は「社会主義共和国ニュージャージー(お隣の州)」とまったく同じだ、と。
 母の言葉を借りれば──「分かち合えない成功に、いったい何の意味があるの?」
 それに、あの億万長者たちは自分たちの労働者のおかげで金持ちになったんじゃないの?

 はぁ……悲しいことに、「富裕層の1%よりも労働者階級を優先する政治家」という発想は、現実にはいまもなお“急進的”な逸脱と見なされている──おそらくだからこそ、マムダニの構想は、(もちろんそのマスメディアは例によってあのうるさい億万長者たちの所有物なのだが)「せいぜい実現不可能な夢」「最悪の場合は危険思想」としてこき下ろされているのだ……。
 いや、そこに「古典的な人種差別」も加えておこう。
 率直に言って、イスラム教徒の移民が、政教分離の理念をほとんど忘れ去ったこの国で(マムダニがどの神を信仰していようと、そんなことどうでもいいはずだ)市長の座を勝ち取ったことを、私たちは祝うべきだ。
 しかもここは、自由の女神像を擁する都市なのだ。

 さて、ここで私は白状しよう。私は政治との関係に複雑な思いを抱いている。
 というのも、私がこれまで出会ったなかでもっとも不寛容な人びとの一部は、進歩主義者たちだった──これは誇張ではない。ほんの数か月前のことだ。私は敬愛する進歩派の友人に、97歳になる私の大叔母の話を嬉々として語った。彼女は生涯を通じて共和党支持者だったのだが、「トランプはアメリカに起こった最悪の出来事だ」と宣言したのだ。私は興奮していたし、これは良い兆候だと考えた。アメリカ(および資本主義社会全体)を蝕む問題が、もはや単純に「共和党」対「民主党」という二分法では整理できなくなっている証だと思ったのだ。だが、友人の反応はこうだった。「ふうん。でも彼女がそのほかの人生で共和党に投票し続けたなら、別に希望は感じないけどね」
 また別の「超」進歩派の(元)友人にはこう言われたこともある。
 「白人であるあなたは、奴隷制に対してカルマ的責任を負っているのよ。」
 ……それって、「進歩的」というよりも「懲罰的」じゃない?
 私はまた、進歩派の政策がしばしば、学歴的にも経済的にも恵まれた人びとの閉じた共鳴空間のなかで構想され、理論上は「正しいこと」を目指していても、現実的な実行への配慮が欠けているのではないか、とも恐れている。たとえば「警察予算を削減せよ(Defund the Police)」運動は、アメリカの都市部に住む有色人種のあいだで驚くほど物議を醸した。なぜなら、十分な社会改革が伴わないまま警察の役割を縮小すれば、犯罪が増加するのではという不安があったからだ。
 そして2023年の『ニューヨーク・タイムズ』によれば、まさにその懸念は現実となった(注目すべきは、マムダニ自身も選挙が近づくにつれて警察批判をやや穏健なトーンへと修正した点だ)。
 さらに言えば、マムダニは移民ではあるが、彼自身こう語っている──映画監督と大学教授の両親に支えられ、裕福で一流の教育を受けて育った、と。
 だから、正直に言おう。貧困ライン以下で育った私としては、「一生セーフティ・ネットのなかにいた裕福な子どもが労働者階級を代表する」と自任することに、どこか懐疑的で、あるいは反感すら覚える部分もある。
  だが、いっぽうで──少なくとも誰かが、ニューヨーク(そしてアメリカ)における富と権力の不均衡に真正面から取り組もうとしている。そのこと自体は、称賛すべきことではないだろうか。私自身の境遇はさておき、もっと大きな部分で、私はこの政治家を誇りに思っている。その名はゾーハラン・マムダニだ。
 ……いや、カーティス・スリワも、少しだけ。
 二人の候補はすべての点で意見が一致していたわけではないが、どちらの選挙運動も生活費の高騰を中心課題とし、どちらもドナルド・トランプから攻撃を受け、そしてどちらも「ホームレス問題など、地域社会の課題を警察が過剰に負担している」という認識で一致していた。
 ただし、スリワは「警察官を増やすことが解決策だ」と考えているのに対し、マムダニは彼の最良の政策だと私が思う構想を掲げている──すなわち、「行動的健康緊急支援課(Behavioral Health Emergency Assistance Response Division)」を新設し、精神衛生の危機に対処する専門チームを配置することで、十分な訓練を受けていない警察の負担を軽減するという計画だ。政策上の違いはあれど、この“昔ながらの共和党員”と“民主社会主義者”は、ニューヨークが直面する主要な問題について──とくに「いわゆる穏健派」アンドリュー・クオモへの共通の嫌悪──で一致している。

 それって、すごいことだ。

 マムダニの当選によって、「左」と「右」を分ける線は、これまでになく刺激的な形でぼやけはじめている。新しいニューヨークの夜明けにあたって、私はマムダニが、自らの歴史的勝利を正当に導いた理想を現実のものにしてくれることを願っている。また、進歩派が、これから拡大していく「二項対立を超えた政治的基盤」と真摯に結びつく機会を大切にしてほしい。
 そして──民主社会主義者として史上初めてニューヨーク市長に選ばれ、かつ前例のない草の根運動で勝利したこの人物が、「富豪支配は避けられない運命ではない」という事実を、他の民主主義国家にも示してくれることを願っている。

¹ トランプの公式な支持声明によれば:「私は、成功の実績を持つ民主党員が勝つ方がはるかに望ましい。あなたが個人的にアンドリュー・クオモを好きであろうとなかろうと、他に選択肢はない。彼に投票し、素晴らしい仕事をしてくれることを願うべきだ。彼にはそれができる。マムダニにはできない」


Bridging the Political Divide: On Zohran Mamdani Winning New York’s Mayoral Election


by Jillian Marshall, PhD

On November 4th, 2025, over two million voters elected Zohran Mamdani — a Democratic Socialist — as the new mayor of the New York.
The mood in the city was ebullient: I heard people cheering well past midnight, even from inside my Brooklyn apartment. Perhaps this is because Mamdani was many people’s ideal choice, rather than the mere “lesser of two evils.” Indeed, his primary opposition — the corrupt, philandering sexual predator Andrew Cuomo, who sent fifteen thousand seniors to their deaths with his covid policies — ran as an Independent, and with the explicit campaign slogan of “SAY NO TO ZO.” Needless to say, the disgraced former governor lost by a hefty 9% margin, and only gained a majority of votes in Staten Island: New York’s Republican stronghold.
But why did Republicans, including Donald Trump himself, denounce an actual Republican (the wild card third candidate of Curtis Sliwa), and urge people to vote for an “Independent” candidate who’s actually steeped in three generations of Democratic New York State politics?1
With the traditional party lines between Democrats and Republicans in New York City officially crumbling, the real political divide is revealed: candidates entrenched in the plutocracy who protect the interests of the rich (like Cuomo and Trump), and those who seriously threaten the American political establishment to protect the working class (like Mamdani— and Bernie Sanders before him in the 2016 presidential election, for that matter).
Many Americans confuse democracy with capitalism, believing that the ability to pursue wealth without restriction represents the freedom afforded by a democratic society— even if they themselves live modest lifestyles. I remember challenging my father on this conflation. I explained that capitalism inevitably leads to monopoly, which limits the principles of “choice” on which democratic ideals hinge. He laughed and, with his mind successfully opened, said just one thing in response: “A+.”
American politics are similarly monopolized, as expressed not only with the “lesser of two evils” conundrum, but also with the increasingly obvious truth that the Republican and Democratic parties are two sides of the same corporate coin that protect donor and lobbyist interests, at the (literal) expense of the American majority. For instance, Andrew Cuomo’s campaign received much of its funding from billionaire super PACS, while Mamdani’s campaign was defined by its grassroots troupe over 100,000 volunteers who canvassed on his behalf. What’s more, Mamdani’s message of making this “A City We Can Afford” addresses arguably the most pressing issue facing New York: two of its eight million residents live in poverty, and the average rent for a one bedroom apartment is $4000 (about 616,000 JPY) a month. This is nothing short of an
1 As per Trump’s official endorsement: “I would much rather see a Democrat, who has had a Record of Success, WIN. Whether you personally like Andrew Cuomo or not, you really have no choice. You must vote for him, and hope he does a fantastic job. He is capable of it, Mamdani is not.”

affordability crisis.
Taxing the rich, offering universal childcare, and providing free bus services — among Mamdani’s biggest promises — shouldn’t be considered radical proposals (especially when such amenities exist in many other countries). Yet for the many Americans who still equate capitalism with democracy (and cling to the promises of “trickle down economics”), Mamdani’s ideas may seem like punishing the successful. In fact, the notion that an evil government will steal hard- working private citizens’ riches defines the US’s long-standing fear of socialism. Post-election, conservative media outlets are already claiming that wealthy New Yorkers will flee the city to avoid Mamdani’s proposed tax hikes, which they predict will economically devastate the financial capital of the Western World. But as Mamdani explained to Jon Stewart — a comedian news anchor who hosts a popular program called The Daily Show — he only wants to raise taxes 2% for people making over a million dollars a year, and raise the corporate tax rate to 11.6%— which, he jokingly points out, is identical to those in “the socialist republic of New Jersey,” New York’s neighboring state.
To quote my mother: what’s success if you can’t share it? And didn’t those billionaires get rich off their workers?
Sigh... the sad truth is that it IS a radical departure for a politician to prioritize the working class above the 1%— and maybe that’s why media outlets (owned by those pesky billionaires, naturally) are smearing Mamdani’s vision as unattainable at best, and dangerous at worst ... well, alongside the media’s ol’ fashioned racism. Full stop: we should celebrate that a Muslim immigrant won the mayoral seat in a country that’s all but forgotten about the separation of church and state (who cares what God Mamdani worships?), and in a city home to the Statue of Liberty.
Now, I’ll admit that I have a complicated relationship with politics. I’ve found progressives to be some of the most intolerant people I’ve ever met— and that’s not an exaggeration. Just a few months ago, I shared with a dear progressive friend of mine how proud I was that my 97 year- old, lifelong Republican great aunt declared Trump the worst thing to ever happen to America. I was excited, and considered this a positive sign that the issues plaguing the US (and capitalistic societies more generally) are no longer neatly divided into “Republican” and “Democrat”. But my friend simply remarked, “Well, since she voted Republican for the rest of her life, I’m not exactly encouraged.” Another time, an ultra-progressive (former) friend told me that, as a white person, I’m “karmically responsible for slavery.”
This is more punitive than progressive, no?
I also fear that progressive policies, so often conceived in an echo chamber of the academically and socioeconomically privileged, strive to do the right thing in theory, but have limited regard with practice. The Defund the Police movement, for example, was surprisingly controversial amongst people of color in American cities because of the fear that crime would spike without adequate social reform to take policing’s place— and according to the New York Times in 2023, that’s exactly what happened (worth noting is Mamdani adopted a more moderate critique of police closer to the election). And while Mamdani is an immigrant, he openly admits that, with

supportive filmmaker/professor parents, he was raised with money and access to first-class education. So, I won’t lie: as someone who grew up below the poverty line, a part of me is skeptical or even resentful of a rich kid with a life-long safety net taking it upon himself to represent the working class.
But on the other hand... at least someone’s committed to taking on the imbalance of wealth and power in New York (and the US) in a meaningful, direct, way. My personal background aside, an even bigger part of me proudly recognizes that politician as Zohran Mamdani.
Well, him and Curtis Sliwa, in a weird way. While the two candidates didn’t see eye-to-eye on everything, both centered their campaigns around the cost of living, both were attacked by Donald Trump, and both agree that police are overburdened with tackling homelessness and other community issues. But whereas Sliwa believes that more police are the solution, Mamdani plans to implement what I think is his best policy: creating a Behavioral Health Emergency Assistance Response Division to address mental health crises and take the burden off woefully unequipped police officers. Their policy differences aside, the old school Republican and the Democratic Socialist agree on key issues facing New York — starting with their mutual disdain for the so-called “moderate” Andrew Cuomo.
And that is amazing.
With Mamdani’s election, the lines between Left and Right are beginning to blur in an exciting new way. In the dawn of a new New York City, I hope Mamdani can bring to life the visions that rightfully earned him his historic win. I also hope that progressives embrace opportunities to connect with a growing, post-binary political base— regardless of what, hopefully, are increasingly irrelevant party lines. And I hope that the incumbent Democratic Socialist mayor of New York City, who won with his unprecedented grassroots campaign, inspires other democracies that plutocracy need not be inevitable.

『マザーシップ・コネクション』50周年記念号
Pファンク研究の第一人者、河地依子監修による永久保存版

パーラメント/ファンカデリックのほぼ全ディスクをはじめ、メンバーのソロ作品もほとんど網羅。総数200枚近くのPファンクの宇宙を大紹介!

ジョージ・クリントンの貴重なインタヴューも2本再録

執筆:河地依子、春日正信、新田晋平、野田努、二木信、ニール・オリヴィエラ、小林拓音
写真:石田昌隆、ほか

菊判/224ページ

刊行に寄せて

目次

【ディスクガイド・ヒストリーほか】
文:河地依子・新田晋平・春日正信・野田努・二木信・小林拓音

Chapter 1 前史 1955~
Chapter 2 ファンカデリック始動 1970~
Chapter 3 黄金時代 1974~
Chapter 4 ジョージのソロ活動 1981~
Chapter 5 Pファンクの復活 1989~
Chapter 6 再評価の波 1996~
Chapter 7 新世代との融合 2009~
Chapter 8 主要メンバーたちのソロ活動

【コラム】
楽しいPファンク(河地依子)
Pファンクとデトロイト・テクノ、あるいはメタ化されたファンク(野田努)
ヒップホップ世代に継承されるPファンク(二木信)
ジョージの自宅訪問記(河地依子)
Pファンクが解放したもの、身をもって変革したこと(ニール・オリヴィエラ)

【インタヴュー】
ジョージ・クリントン 1992(河地依子)
ジョージ・クリントン 1994(河地依子)

人物紹介(河地依子)

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Zohran Mamdani - ele-king

 11月4日におこなわれたニューヨーク市長選で民主党の候補ゾーラン・マムダニが当選確実、との知らせが飛びこんできた。ムスリームとして初のNY市長が誕生する。
 マムダニはウガンダの、音楽ファンにとっては〈Nyege Nyege〉でなじみ深いカンパラの出身で、インド系の34歳。社会主義者として知られ、富裕層への増税、家賃値上げ凍結、公営バス無料化などをうったえているが、政界進出前にはヒップホップ・ミュージシャンとして活動していたこともあって、Young Cardamom名義でウガンダのラッパーHABとEPをリリース、それこそ《Nyege Nyege Festival》への出演経験もあったりする。
 なぜいまマムダニが重要なのかについては、『別冊ele-king アメリカ』のいくつかの記事でも触れられているので、これを機にぜひチェックしてみてください。


Kieran Hebden + William Tyler - ele-king

 今日、フォー・テットをひとつの輪郭で捉えることは、もはや難しい。同名義で作品を提供し続けてはいるが、いまや名義も多彩で、パーカッションズ、KH、さらには00110100 01010100や⣎⡇ꉺლ༽இ•̛)ྀ◞ ༎ຶ ༽ৣৢ؞ৢ؞ؖ ꉺლなる意味不明な名義も。一方でコラボも旺盛だ。出自たるクラブ/ダンス方面では言わずもがな、スピリチュアル・ジャズのドラマー、スティーヴ・リード、ヒップホップではマッドリブと驚きの共作も果たした。
 そんな縦横無尽に活発なキーラン・ヘブデンがその本名で送るのは、ラムチョップ、シルヴァー・ジューズの元メンバーとしても知られるフォーク・ギタリスト、ウィリアム・タイラーとのコラボレーション。生まれた国は違えどふたりが共有するノスタルジックな記憶──父親が愛聴していた80年代USのカントリーやフォークに囲まれた幼少期に触発された今作は、ふたりの記憶と技巧が交差した作品に仕上がっている。エレクトロニック・ミュージシャンとフォーク・ギタリストのコラボだが、これはいわゆる “フォークトロニカ” ではない。

 タイトルにある「41 Longfield Street」はヘブデンが幼少期を過ごしたイギリスの住所で、タイラーの出自たるアメリカのナッシュヴィルとはずいぶん距離がある。さらにいえば、父がその地で活躍したソングライターであり、その伝統を基調としつつ先鋭的なアメリカーナを追求するタイラーと、他方、UKポスト・ロックからはじまり、その地のクラブ/ダンス文化の文脈にいるヘブデンでは、その音楽的な歩みもまったく異なるものにみえる。しかし、一見は共通点を見出しにくいふたりが出会い意気投合し、ゴッドスピード・ユー!ブラック・エンペラーフェネスなどの共通言語を見出しながら、やがて先述した意外な共通の記憶にいき当たる。それは先行して〈Psychic Hotline〉からの「Darkness, Darkness / No Services」としてお目見えし、続編たる今作へとつながった。

 幕開け、ライル・ラヴェット “If I Had a Boat” の11分長のインスト・カヴァーでは、かすかに燻る歪んだサウンドが立ち上がり、タイラーの繊細なフィンガー・ピッキングのアルペジオがはっきり現れると、やがてヘブデンによる電子音楽の世界へシフトする。暗がりに陽光が射すまでの移ろいを描くかのような美しい曲だ。
 このカントリーのカヴァー、また、断章で挟まれる古いラジオの周波数を探るかのような音などは、ふたりが共有する音楽的ルーツの追体験をリスナーに促すかのようで、極めて懐古主義的な作品にも感じられる。しかし他方、対面セッションを設けタイラーの即興的なギター演奏を録音すると、それらを素材に、ほぼ2年に及ぶ丹念なプロダクション作業が施されたという。“When It Rains” のようにアメリカーナの香りを色濃く残しつつ、電子的な空間処理でほのかに揺らぎを与える曲もあれば、“Spider Ballad” のようにヘブデンらしい四つ打ちが明らかに響く、クラブ耳に嬉しい佳曲もある。今作において最も耳を傾けるべきは、過去を掘り起こし、その記憶をなぞらえる郷愁的な側面ではなく、互いの遠い記憶の交差点を確かめ合いながらも、まったく別の大陸で生まれた異なる創造性がせめぎ合い、混じり合い、ひとつのサウンドへみごとに昇華したところだ。クローザーの “Secret City” は間違いなくベスト・トラック。ヘブデンによるエレクトロニックな音の壁に覆われ、やがてタイラーの紡ぐギターが霧をかき分けるかのごとく浮かび上がってゆくさまは本当に美しく、圧倒的で涙すら誘う。

 〈NTS〉のプログラム「Hearts of Age」では、まるで今作の “エクステンデッド・ヴァージョン” とでも言いたくなる、2時間に及ぶミックスが公開されている。今作の音を散りばめつつ、カヴァーしたライル・ラヴェットの原曲、ヘブデン自身の四つ打ち、あるいはタイラーの好むフォーク、フィールド・レコーディングなどが並べられる。なるほど、確かにそこにはノスタルジーが横たわっている。しかし、単なる焼き回しではない。共有する記憶を慈しみながらも、その繊細な指使いがアンビエントの気配にまで触れるタイラーのギター演奏を軸に、ヘブデンが長年培ってきた電子音楽の技巧を重ね、かくも美しいサウンドとして結実した。それは過去を手がかりに、まだ見ぬ景色を描こうとする試みかのようだ。


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