「Low」と一致するもの

interview with YURUFUWA GANG - ele-king

いい意味でぶっ壊したかなとは思います。──Ryugo
うん。ぶっ壊した。──Sophiee


ゆるふわギャング
Mars Ice House

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 ele-king読者の耳にはもう届いているに違いない。ゆるふわギャング(Ryugo IshidaとSophiee、ビートを手掛けるAutomaticのユニット)の1stアルバム『Mars Ice House』が4月5日にリリースされる。クラウドファンディングで制作資金を募集するや即座に目標金額を上回り、すでに話題沸騰のゆるふわギャング。フロント・メンバー、Ryugo IshidaとSophiee、インタヴューでこちらの質問に答えるふたりを見ていると、いつの間にかその場の空間全体を俯瞰しているもうひとりの視点に気付かされる。あるいは映画をVRで見ているような感覚に陥るとでも言えばいいのか。ふたりの紡ぎだす空気はまるで映画のようだ。「ね?」とSophieeが横のRyugo Ishidaに微笑みかけると、「うん」とRyugo Ishidaが答える。言葉は少ないがこのやりとりが醸す空気は雄弁で温かい。新作アルバムの話からふたりの生い立ちにまで遡ってのロング・インタヴュー!

昔から学校嫌いで、小学校5年生ぐらいから学校行ってない……学校はとりあえず嫌いでしたね。中学校いっても、常にひとりでいるのが好きだったから、保健室にいるかどっかで寝てるか。──Ryugo

ゆるふわギャングの1枚目ですね。

Ryugo Ishida(以下、Ryugo):やっと……

Sophiee:やっと……

Ryugo:……できたっていう。

ゆるふわギャングのはじまりは去年(2016年)の夏……でしたよね? 

Ryugo:……ぐらいにふたりで“Fuckin’ Car”という曲を作ったのがきっかけです。PVも撮ったんですけど、この曲をゆるふわギャングで出そうというのがきっかけで、そこから色々曲ができていって、名前もそのままゆるふわギャングでという感じです。

ゆるふわギャング“FUCKIN CAR "

でも、楽曲ができたのとゆるふわギャングの結成はほとんど同時で……と、そこからのアルバムと考えると早いですよね。

Ryugo:早いんですけど……やっぱり1枚目だし、ちゃんとした形でリリースするのは初めてだから嬉しいですね。いままでとは全く違うっていうか、気持ちが……

Sophiee:ね? 気持ちが全然違うっていうか、アーティストだ! っていう(笑)。

Ryugo:まず最初のクラウドファンディングでふたりで出したやつよりもこれは自信が違う。俺たちはこれっていう……

Sophiee:うちらがこうです! みたいな……たぶん一番クラシックだと思う。次に何が出ても(笑)。

Ryugo:それはある。

Sophiee:固い……

Ryugo:すべての始まりでもある……

Sophiee:まだ序章に過ぎない……

Ryugo:実際のところこのアルバムができてからも、別の曲もバンバン作っちゃってるから、俺たちの中では初めてだけど、もう古いというか(笑)。どんどん自分たちがアップグレードしていってるから。

Sophiee:ネクストレベル。常に先を見て曲を作ってる。

Ryugo:でもなんか戻れる場所がちゃんとあるっていうか、このアルバムを聞けばこの感じだなっていうか。わかるというか。

Sophiee:たしかに。

バンバン作ってるということですが、もう何曲くらい録りましたか?

Ryugo:10曲いかないくらいはもう録りましたね。

Sophiee:10曲くらいは作ってるか……曲作りの仕方自体はあまり……スタイルは変わらないんですけど、気持ちも変わったし、前よりも全然楽に曲を作れるようにもなった。いい意味で。

それはコミュニーケーションがよりスムーズに取れるようになったということですか?

Ryugo:コミュニーケーションというよりは感覚というか、自分たちの曲を何か作ろうと思った時の曲作りの仕方が決まったというか。いままではリリックを書くのも大変とかもあったけど、いまはもうないもんね。よっぽど集中力が切れてなければリリックが出てこないっていうことは滅多にないし。曲を作ろうってなったときには、大体自分たちの力がバーンって、100%出せるようになったというか。どのタイミングでも。いまなんかその調整をしているというか。

Sophiee:ね。何か細かいところまで目がいくようになった。前はリリックを書くのに精一杯、でもいまはもっと余裕ができて、音の聞こえ方だったり声の出し方だったりとか、そういうところまでちゃんと気を使えるようになった。そういう意味でも100%の自分で曲を作れるようになった。

このアルバムを作ったのが大きかったんですね。

Ryugo&Sophiee:ですね。

Ryugo:これを作って、スーパーモードになったっす。サイヤ人モードに常に入れるようになったっす。

Sophiee:ワンナップキノコみたいな。このCDが(笑)。

アルバムの内容に踏み込む前に、ここで一度生い立ちまで遡って少しお話を聞かせてください。まずRyugoさんの地元は土浦でしたよね。

Ryugo:土浦ですね。

ご兄弟はいらっしゃいますか?

Ryugo:妹と弟がふたりいます。4人兄弟の長男です。

土浦にいたときはずっと実家にいたんですか?

Ryugo:そうですね。自分でアパート借りたりとかもあったけど、基本的には実家ですね。

どういう子供でしたか?

Ryugo:昔から学校嫌いで、小学校5年生ぐらいから学校行ってない……学校はとりあえず嫌いでしたね。中学校いっても、常にひとりでいるのが好きだったから、保健室にいるかどっかで寝てるか。高校は仲良い先輩が行ってて、誰でも入れる高校だったからただちょっとノリでいって、適当に卒業したって感じなんですけど。そうですね……遊ぶのは好きだったけど、とりあえず勉強とかもすごい嫌いだったし……っていうのはありますね。あんまり人と関わりたくなかった。グレてたし。

いつ頃からグレてました?

Ryugo:自分は中1ぐらいですかね。サッカーをやってたんですけど、サッカー辞めて、中1ぐらいの時に本格的にグレ始めた感じですね。

グレるというのは具体的にどんな感じだったんですか? 

Ryugo:学校は嫌いだったけど、先生がいちばん仲良かったから、グレてても何してても絶対怒られなかったというか、逆に(笑)。もうそれでいいからみたいな。放っといてくれたというか……どうグレてたんだろう? とりあえず先生も仲が良い先生としかいなかったし……それ以外の先生とか先輩が嫌いでしたね。

上下関係みたいなのが気持ち悪いんですかね。

Ryugo:そうですね。ちょっとあんまり得意じゃないですね。難しいです。

サッカーが好きだったんですか?

Ryugo:サッカーはすごい好きでしたね。小学校のとき少年団に入ってサッカーやってました。フォワードやってましたね。下手くそだったんですけど足が速かったんで(笑)。

ああ、足速そうです。

Ryugo:100m11秒台でした。

それは速いですね。

Ryugo:そうなんですよ。めちゃめちゃ速かったんです。100m走で県大会の決勝戦まで行きました。だからサッカー下手くそでも足速かったんで選抜チームにも入ってましたね。

ボール持ってゴールまで運ぶ感じですね。

Ryugo:そういう系ですね。それしかできなかった逆に。

なかなかかっこいい不良ですね。

Ryugo:でも不良ってわけでもないんですけどね。ただなんかちょっとヤンチャなだけだったというか。とりあえず昔っから人が嫌いだったというか。目が悪かったからよく喧嘩とかも売られてたけど、喧嘩はそういうときにするぐらいでした。

暴走族とかはやってないんですか?

Ryugo:自分たちの地元に暴走族もなかったし、バイクにも興味なかったんですよ。どっちかっていうとそのときギャングの方が興味があって、上下のディッキーズとか着て溜まってるのが好きだったというか。

Sophiee:カルチャー?。

Ryugo:そうですね。カルチャーにすごい憧れていたんですよね。従兄弟がちょっとやんちゃだったんですけど、そういうファッションをしていて、それにすごい憧れてたから。従兄弟は2つか3つ上なんですけど、ヒップホップが好きで、俺もそれに憧れて改造した制服を着たり、ディッキーズとか着て街でたむろってるのが好きでした。

それが中学ですか?

Ryugo:はい。高校の頃はもう割と落ち着いちゃってて、その頃には音楽のことばっか考えてました。

Ryugo Ishida "Fifteen"

ラップをはじめたのは15歳とおっしゃってましたね。

Ryugo:中学校終わるぐらいの頃にはラップが好きになってたから、みんなは高校に入ると同時にバイクに走っていくけど、俺はクラブ遊びに走っちゃって……ハマっちゃってというか。そうですね……って感じでした。

DEAR’BROさん(※ディアブロは土浦のラッパー。Ryugo Ishidaがラップをはじめるキッカケとなった)と会ったのは?

Ryugo:中2か中3どっちかですかね。そのときは……初めてクラブに行って、クラブから自転車に乗って帰ろうとしたときに、いきなり「おまえ待て」って言われて、「おまえいくつだ?」って。「14です」って言ったら、「俺の曲聴け」って言われて、怖って(笑)……思ったのがきっかけだったんですけど。なんだこのおっさんはって思って。帰って先輩の家でもらったCD聴いたらめちゃめちゃかっこいいと思って、CDの裏に書いてあった番号に速攻電話して、で、その次の日に飯に連れてってもらったんです。1週間後ぐらいには「俺のステージ立て」って言われて、サイドMICとかをやってたりとかしたのがはじまりで、あとは自分の同級生に音楽を勧めて、「一緒に曲をやろうよ」って言ったりして、やったりとかもしてたんですけどね。いつの間にかみんないなくなっちゃって……って感じでした。結局先輩と一緒にいるか……って感じでしたね。仲良いのは地元の1個上の人たちで、3人仲良い人がいるんですけど。その人たちとしかほとんど遊ばなかったです。この先輩たちはいまも仲良いですね。だから孤立はしてたかもしれないです、常に。グレてるときもひとりだったし。

そういうひとりのときって何を考えてたんですか?

Ryugo:クソだな〜と。毎日つまらないなーと思ってました。ずっと。なんか面白いことないかなぁーと思って。だから学校の先生が鍵をいっぱい持ってるんですけど、それを盗んでひとりで学校を冒険したりしてました。みんなが勉強をしている間とかにひとりで鍵のかかった部屋に忍び込んだり、ひとりでサボってましたね。

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Sophieeはお兄ちゃんがギャングスターで、悪いんですよ。地元でけっこうボス的なお兄ちゃんがいて、妹もいて……妹はまったく真逆で超まじめで勉強もできる。でも私は何もできなかったんですよ。──Sophiee


ゆるふわギャング
Mars Ice House

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音楽を最初にかっこいいと思ったのはいつなんですか? 最初にCDを買った音楽というか。

Ryugo:ああ。小学校6年生ぐらいの時に同級生がロスだかどっかに行ったときに2パックのCDを買ってきてくれたんですよ。「好きそうだよ」って。それがはじまりだったかもしれないですね。いちばん最初のCDはそれで、あと従兄弟がヒップホップを聴いてたんですけど、その影響でZEEBRAの『STREET DREAMS』とかEMINEMの『カーテンコール』を聴いたり。それで学校には行かずに夕方まで寝て、夜中はどっか遊びに行くかみたいな感じでしたね。ずっとそんな感じでした。

2パックが原体験というのは少し秘密に触れた感じがしますね。では、ここからはSophieeさんにはお話を伺いたいです。Sophieeさんはどんな子供でしたか?

Sophiee:Sophieeはお兄ちゃんがギャングスターで、悪いんですよ。地元でけっこうボス的なお兄ちゃんがいて、妹もいて……妹はまったく真逆で超まじめで勉強もできる。でも私は何もできなかったんですよ。なんかもう本当に……なんていうんだろう? 悪さしかしないし、親にもずっと怒られてた。けど、お兄ちゃんとは気が合ってて……って感じで。学生のときもとくにやりたいこととかもなくて、私も毎日つまんないなって感じでした(笑)。

ずっと品川ですか?

Sophiee:品川ですね。本当東京にしかいなくて、ずーっと。地方遊びに行ったりとかも全くなかったし、東京から出なくて、地元で遊ぶとかもなくて、遊ぶってなると渋谷とか、ほんと東京のただの女の子みたいな感じなんですけど。

品川の、駅でいうとどの辺りになるんですか?

Sophiee:駅だと天王洲アイルっていうところですね。お父さんは離婚していなくなったんですけど、それまでは親もずっと喧嘩してるし、なんか部屋でずっとぼーっとしてるとかそんな感じでしたね。

地元の中学校に通ってたんですか?

Sophiee:地元の中学に行ってて、昔からずっと海外に興味があって。そのときくらいから日本を出たいなと思いはじめて、それで自分でバイトをして海外行こうと思って、そのためにバイトを中学生からしてました。Sophieeもけっこうひとりが好きで、そうやって貯めたお金でひとり旅とかしに行ってましたね。最初に行ったのがスペインなんですけど、それが高校1年生の頃です。あとはニューヨーク行きたいなと思って、そのためにまたアルバイトしてお金貯めてニューヨーク行ったりとか。

英語やスペイン語が話せるんですか?

Sophiee:海外にはずっとすごい興味があったから英語の授業だけはめっちゃ真面目にやってて、自分でネットを使って海外の人とSkypeしたりして喋ったりして……独学? で、英語は多少、ほんとちょっとだけど喋れるようになりました。でもスペインに行ったときに痛感したのは、スペインは英語が全く通じないんですよ。英語で喋りかけてもスペイン語で返してくるし、意地悪でした。あっちの人はプライド高いっていうか、スペインだったらスペイン語話せよみたいな。すごい冷たくされて。そういう国なんだなと思って、それでちょっとスペイン語も勉強しなきゃなと思って、スペインにいる間は自分でスペイン語の本を買って読んだり、それでちょっとですけど覚えましたね。高校で選択授業というのがあって、何か国語の中から選択して自分で勉強できるコースがあって、それで私はスペイン語を選択して、ちょっと勉強したりとかしてました。

スペインに行ったのは高校1年の夏休みとかですか? どのくらい行ってたんですか?

Sophiee:2週間くらいですね。夏休みとかじゃなかった気がしますね。普通に高校に行かないで行ったと思います。それで高校も途中で辞めたんです。ひとり旅が楽しくなっちゃって。別に高校行ってるんだったら、海外遊びに行ったほうが面白いかなと思って。友だちとかも普通に仲良かったし、成績もそんなに悪くなかったし、先生ともそんなに仲悪くなかったけど、いきなり友だちとかにも言わないで高校辞めちゃって。けっこうびっくりされたんですけど。「辞めたの?」みたいな。突発的なんですよ。行動が。あんまり先を考えない。高校も辞めるって言ったら辞めるし、親も私がなんかやるとか辞めるとか言ったら、もう聞かないってわかってるから。(高校を辞めるって言ったときも)「はい、わかりました」みたいな感じでした(笑)。

それが高校何年の時ですか?

Sophiee:2年生に上がってすぐですね。けっこう変わってましたね。友だちを作ろうともあんまり思ってなかったけど、自然にできて。高校の友だちとかも普通に仲良かった。周りにも変わってる友だちしかいなかったですけど。でもそんなに派手ではなかったですね。

少し話戻りますけど、海外に行きたくて中学2年からアルバイトしてたんですよね。

Sophiee:お兄ちゃんの仲良い友だちがやってるピザ屋に年齢嘘ついてアルバイトやったりとかしてて、もう15歳くらいからけっこう六本木で遊んだりしてました。クラブに行ったりとか。そのときはIDチェックとかもあまり厳しくなかったから。でもそういう話を高校ではしなかったですね。なんか夜遊ぶ友だちと学校の友だちみたいな感じで分けてました。

ニューヨークはいつ行ったんですか?

Sophiee:ニューヨークは高校辞めてすぐですね。ニューヨークは初めて行ったアメリカだからかもしれないけど、すごい好きなんです。音楽とかヒップホップを知りはじめてすぐ行って、ビギーの映画を見てかっこいいなと思ったり……すごい影響を受けましたね。アメリカの音楽がずっと前から好きだったから、日本人の音楽はあんまり知らないんですよね。今もアメリカの音楽しかあんまりわからないです。

Sophieeさんは独特の言語感覚がある気がしますね。

  起きてる時間を今日と呼ぶなら
  今日は続くよね all night long “Go! Outside”

  ミシュランにも載らないようなメニューで
  星じゃ表せられないようなテイスト
  処女みたいなpureな心
  見る世界はゴミの紙袋
“Dippin’ Shake”

ゆるふわギャング "Dippin' Shake"

こういったリリックにそれを感じます。日本語だけどメタファーが日本語の感覚にとどまっていないというか。

Sophiee:英語とかだといろんな言い方があるじゃないですか。アメリカの音楽が好きなのも歌詞とか上手いなと思って。言い方とか伝え方が、日本人ってけっこうストレートじゃないですか。そっちの方が伝わりやすいのもあるし。Sophieeはアメリカの言い回し方が好きで、ちょっとくどい言い方みたいなのを日本語でもできたらいいなと常に思ってて、けっこうリリックもくどい言い方をしているんですけど。そういうのは常に意識してます。

昔からそういうのが自然な感じでしたか?

Sophiee:アメリカかぶれじゃないけど……とにかくアメリカのカルチャーに憧れてて。だから子供のときは早い段階で@#$%もやったし、お兄ちゃんがギャングスタだったのもあるからその影響で@#$%とかを覚えて一回ちょっと頭おかしくなっちゃったときもあるし。いろいろ乗り越えていまがあるけど、ニューヨークに行ったことがけっこういまの自分に影響しているかもしれないですね。タフだったなぁと思って。

人間の汚さ……ですかね。昔から感じていたことはたくさんありますけどね。なんだろう、やっぱり信用していた、自分たちが心を開いた人が全部嘘だったりするときは、ああ、こんなもんなんだなっていう。──Ryugo
別にうちらワルぶってるわけでもないのに、まぁそう見えるのかもしれないけど……そう見てガッとくる人もいるし、別にそんな何もしてないのに……。──Sophiee

いまお話に出た「早い段階。というのはどのくらいの年の頃なんですか?

Sophiee:うーん。もう中学生のときとかもバンバンいろいろやってたし、だからなんか普通にタメの人とは話合わなかったり。けっこう背伸びしてた時期はありましたね。そんなつまんない遊びしないみたいな。

ずっと何かに「染まる」みたいな感覚が嫌なんですかね。

Sophiee:でもなんかそう、自分の意思は絶対だから、自分の中で。だから人に何を言われても、へーみたいな。そう思うんだぁみたいな。でも私は違うけどみたいなのはありました。

ざっと振り返りましたが、いま聞いたお話だけでもふたりともけっこう共通するものがありますね。ひとりでいるのが好きだったり……

Ryugo:いまはいろんなものを乗り越えたっていうのはあるかな。見たし。

いろいろ……何を見ましたか?

Ryugo:人間の汚さ……ですかね。昔から感じていたことはたくさんありますけどね。なんだろう、やっぱり信用していた、自分たちが心を開いた人が全部嘘だったりするときは、ああ、こんなもんなんだなっていう。そういうことは何度もありました。だから地元でも、こういう人間たちのなかに染まりたくないというのはありましたね。こうなりたくないというか。

Sophiee:ね。なんか……そういう人ってけっこう寂しがりじゃないですか。人に強く当たって満足するじゃないけど、なんかすごい冷めた目で見ちゃうんですよね。別にうちらワルぶってるわけでもないのに、まぁそう見えるのかもしれないけど……そう見てガッとくる人もいるし、別にそんな何もしてないのに……。うちら好きなことやってるだけなのに、何でこうなっちゃうんだろうって思うことはよくあったかもしれないですね。もっとうちらの素直な心を受け取ってほしいなっていう。まぁ別にそんな狭いとこを見てないし。うちらは世界行きたいだけだから。

そういう発想でいた方が絶対良い気がします。いまSophieeさんのリリックに少し触れましたが、Ryugoさんのリリックの持ち味はまたSophieeさんとは違いますね。感じたことをまんま口にしているというか。

Ryugo:そうですね。基本的には、感じたことというか見たものですね。いちばんダイレクトにというのを心がけてるんですけど。

ああ。「感じたこと」と「見たもの」はたしかに違いますね。言葉を工夫しているように聞こえないのがRyugoさんの個性かもしれないです……と思いました。

Ryugo:昔はやっぱり飾ってましたけどね。いろいろ経験してきたことが自分たちの中であって、自分が地元を離れて東京に来て、すべてこうゼロになったとき……ふたりでこうなったときに、今まで飾っていたものは必要ないんだというか。Sophieeのリリックを聞いてからも書き方も全部変わったんですよね。。こういう風に言えばいいんだみたいなのがわかってから、いまみたいなリリックになったんです。それまでは飾ってたやつばっかだったし、だからSophieeに会ってからですかね。こういう風に書けるようになったのは。

  ai ai ai ai 俺らの世界
  でかい海を支配する狙い
  金金金金 財宝全部頂き
  面舵一杯帆を上げな
  風向きに全てお任せな
“パイレーツ”

この曲も勢いあります。

Ryugo:俺はけっこう『グーニーズ』とかキッズが出てくる映画が好きなんですけど、そういうイメージですね。この曲は『パイレーツ・オブ・カリビアン』を見ててそっからできた。船が出てきて宝探しするとかそういうイメージというか。全部奪ってやろうと思って、そういう奴らから。

Sophiee:汚い大人?。

Ryugo:(笑)。

(笑)。とにかくふたりが出会い、ゆるふわギャングになってからRyugoさんも完全にギアチェンジした感じですね。

Ryugo:ですね。

出会いと曲を作りはじめたこと、ゆるふわギャングの結成がほとんど同時なんですもんね。
Ryugo&Sophiee:そうですね、同時です。

ここで話がインタヴューの最初のところまで一周しましたね。では、ここからアルバム『Mars Ice House』を掘り下げさせて下さい。

  好きなことに夢中
  広がる妄想まるで宇宙
  目に見えないことが普通
  でもなぜか見えちゃってる
  それに気づく大人
  もちろん不機嫌な面  “Stranger”

これはRyugoさんのリリックです。この曲はアルバムのなかでも重要な位置付けの曲だと思いました。

Ryugo:“Stranger”はまた悪魔みたいな人が…。

Sophiee:現れて……。

Ryugo:いい加減にもういいなと思って。どこに行ってもこういう人たちはいっぱいいるんだなと思って。ちょうどこの時に『Stranger Things』を見ていたんですけど……。

Sophiee:Netflixのドラマ。うちらあれ大好きで。『Stranger Things』の物語も汚い大人から子供たちが逃げるような物語なんですけど、悪魔とか。それとうちらをシンクロさせて。

Ryugo:遊びに行ってるときにそういう面倒くさいと思うようなことがけっこうあって、リリックが1回書けなくなったんですよ。そのときにKANEさんと会って、“Stranger”が書けたことによって、そこからまったく違うものになった。

なるほど。ある意味ターニングポイントとなる曲ですね。

Ryugo:そうですね。“Stranger”“大丈夫”らへんはターニングポイントにはなってるかなとは思います。

聴いていても“Strangerから“大丈夫”の流れは印象的です。KANEさん(今回のアルバムのジャケットはKANE氏のアートワーク。SDPのグラフィティライター)と会ってリリックが書けるようになったということですが、何か具体的なことがあったのですか?

Ryugo:山梨に『バンコクナイツ』っていう映画を見に行って、そこにすげえいろんな人たちがいたんですけど。みんなが俺たちのことをホメたりとかしてくれてて、号泣しながら帰ったんですよ(笑)。帰りの山梨の高速のパーキングエリアで温かい気持ちになって高まっちゃって……号泣しながら「大丈夫だよ」っていうことを言いたくなった(笑)。

Sophiee:山梨行ったときにKANEさんとかWAXさん(SD JUNKSTA)に会って、KANEさんは前から会って知ってたけど、WAXさんはこのとき初対面で「ゆるふわじゃん!」みたいにすごい温かく迎え入れてくれたんですよね。その山梨の帰り……パーキングに停めた車の中でリューくんがSophieeの方ずっと見て黙ってて。なに? なに? どうしたの? と思って。でもずっと黙ってて、リューくんのその顔を見てたら涙出てきちゃってまずSophieeが号泣して、そうしたらリューくんも号泣しだして。なんでうちら泣いてるんだろう? 1回考えようってなって。これ嬉し涙だって。そっからバーって泣けるだけ泣いて、これ曲作ろうみたいになって。そのとき送られてきていたAutomaticさん(※もうひとりのゆるふわギャング。Ryugo Ishida名義のアルバム『Everyday Is Flyday』から現在のゆるふわギャングのビートまで一貫して手掛けるプロデューサー)ビートでリリックを書いた。そのときSophieeが「大丈夫だよ、大丈夫だよ」ってリューくんにずっと言ってたんです。だから“大丈夫”っていうタイトルをつけた。車を走らせては泣いて、止まって曲書いて、また走らせて泣いて止まって曲書いてみたいな(笑)。

Ryugo:KANEさんと会ったのはいちばんデカかったかな。完璧に変われたっていうか。俺もハタチの頃からずっと自分で店をやったりしていたんですけど、自分がやってきたことを否定され続けてきたんですよね。何やってもダメなんだなぁじゃないけど、自分でこう表現しているのに、けっこうそういうもんなんだな、そっけないなと思っていたんですよ。でもKANEさんみたいに良いって言ってくれる人がいるっていう。それでけっこう変わったかな。ポジティヴなヴァイブスになったというか。いい大人の人たちとちゃんと出会って心を開けるようになったというか、少しづつ柔らかくなってったかなぁなと思います。

そもそもKANEさんとの出会いはいつだったんですか?

Sophiee:去年(2016年)です。

Ryugo:ですね。

Sophiee:なんか夏に、まだゆるふわギャングでアルバムを出すという話にもなっていない時期に、渋谷でリュー君がライヴに呼ばれていて、そのときにもう“Fuckin’ Car”ができてたんで、ライヴで1曲やろうみたいな。そこにゆるふわギャングで出て、そのライヴの後にKANEさんが声をかけてくれて、「いまのヒップホップってこうなんだ!」みたいな。すごい感動してくれたみたいで。目をキラキラさせながら話しかけてきてくれて。その時PE▲K HOUR(KANE氏プロデュースのブランド)の撮影とインタヴューの話をくれたんですよね。

Ryugo:それでモチベーションがバリ上がって……みたいな。そこからふたりでアルバム作っちゃおうみたいな。

Sophiee:うちらは絶対間違ったことしてないっていう、その自信がすごい湧いてきて。一気にそれから曲も書けるようになったよね。それまで良いものは良いみたいにちゃんと言ってくれる大人の人とかに触れ合うことが少なかったから、すごい嬉しかったんですよ。肥後さん(現ゆるふわギャングのA&R)が声をかけてくれた時もそういう感動があって、そういう人たちとずっと、常に一緒にいたいんで、ヴァイブスも下がんないし、好きなことを突き詰めてできるし。曲もそうだし、だからそういう面ですごい変わって。エネルギーを音楽だけに費やせるようになりました。

お話を伺っていると、KANEさんはゆるふわギャングのキーマンかもしれないですね。

車を走らせてるEvery Night
助手席に座る彼女を見てたい
それだけで景色は2倍
目の前あった霧はもう俺は見えない
アクセルはベタブミであける未来
無理な事なんてほら1つもない   
 “大丈夫”

これもRyugoさんのリリックですね。Ryugoさんは「感じたもの」というより「見たもの」を歌っているとお話していますが、これはまさに「見たもの。」すね。僕は「それだけで景色が2倍」というリリックが好きです。人を好きになるってそういうことだなと。

Ryugo:このリリックはSophieeに対してもあるし、Automaticさんに対してもあるけど、いちばんは地元の後輩でふたり捕まってる子がいて。その子たちがWAXさんのことをすごく好きだったんですよ。WAXさんたちに会った帰りに作った曲だし、ここまで来たんだなって思いもあって……だからみんなに対してありがとうじゃないけど……そういう気持ちが一気にパーンってなって、このリリックができましたね。

Sophiee:“大丈夫”に関しては溢れる想いがこもってる。エネルギーがあるから。

“大丈夫”から後半の高揚感はこのアルバムの聴き所のひとつですね。

Ryugo:そうなんですよ。

Sophiee:後半の曲はどんどん高まって……。

Ryugo:前半の曲っていうか、クラウドファンディングで作った曲は、ほぼノリで作ってる曲だけど、それ以外の新曲は全部意味があって作られてる曲というか……。

Sophiee:前半は本当に遊びの延長線上で作った曲っていうか、ブンブンで飛ばしているような曲ばっかだもんね。

Ryugo:“Stranger”“大丈夫”からの流れで“Escape To The Paradise”は爆発したのかな。

“Escape To The Paradise”は後半のクライマックス的な1曲ですね(インタヴュー後この曲を聴き直すと、この曲のフックは筆者にはOASISのリアム・ギャラガーを彷彿させた。自分の感情のままに歌い上げてしまっている感じだ)。これはどのタイミングでできた曲なんですか?

Ryugo:これはいちばん最後です。

Sophiee:最後に完成した曲です。

いつ頃ですか?

Ryugo:年が明ける前ですね。

  Escape To The Paradise 
  ぶっ飛びたい
  Escape To The Paradise
  これじゃいけない
  Escape To The Paradise
  ドア叩きな
  Escape To The Paradise
  抜け出しな
 “Escape To The Paradise”

ゆるふわギャング "Escape To The Paradise"

……となるとこのアルバムはちょうど2016年下半期の半年間で作り上げた感じですね。長い時間お疲れ様でした。最後にアルバム・タイトル『Mars Ice House』について伺いたいです。

Ryugo:『Mars Ice House』は……宇宙が好きで宇宙の博物館みたいなとこに行って……。

Sophiee:森美術館でやってて(※宇宙と芸術展)。そこにあった夫婦がつくった模型みたいな……。

Ryugo:美術品のタイトルが『Mars Ice House』(※「火星の氷の家。。2015年秋にNASA主催で行われた宇宙探査のための3Dプリント基地考案プロジェクトで優勝した、日本人建築家曽野正之・祐子両名含むニューヨークの建築家チームによる作品)。

Sophiee:火星に人が住めるようにするために研究するラボみたいな、火星移住計画の模型なんですよ。その夫婦ふたりともうふたりで火星で人が住めるように研究するみたいなプロジェクトで。うちらがやっているようなことと似てるなと思って。それにめっちゃくちゃ食らったんですよね。その模型を盗んで帰りたかったくらいなんですけど(笑)。ヤバかったよね。

Ryugo:うん。だから……そうですね。俺たちのプロジェクトにみんなを乗っけて、みんなを俺たちの曲のなかに住ましてあげるっていう(笑)。『Mars Ice House』は夫婦とプロデューサーの4人のチームの作品なんですけど、うちらもAutomaticと……。

Sophiee:肥後さんを入れて4人で。

Ryugo:作品を見たときうちらはまだ3人でしたけど、『Mars Ice House』を見ていて4人のプロジェクトだと気付いて、4人の力ってすごいんだなと思ったんですよ。それからすぐくらいに肥後さんと会った。

そしてジャケットはこのインタヴューでもキーマンとして登場するKANEさんの作品ですね。

Sophiee:KANEさんの絵はエネルギーが出てるのが見えるんですよね。目で。キラキラがすごい出てる。

Ryugo:元々はアートブック(クラウド・ファンディングの出資者へのリターンとして作られた)用に提供してもらった作品だったんですが、KANEさんとの出会いから全部アルバムに繋がったっていうのもあって、ジャケットにさせて貰いました。

Sophiee:ジャケットにさせて下さいって。

Ryugo:あとジャケットにはクラウドファンディングで投資してくれた人たちの名前が入ってます。だからいろんな人のパワーが詰め込まれてるアルバムというか。

Sophiee:投資してくれた人にはすごい感謝してます。

では、この作品について最後に締めの一言をお願いします!

Ryugo:いい意味でぶっ壊したかなとは思います。

Sophiee:うん。ぶっ壊した。

何をぶっ壊したと思いますか?

Ryugo:それは聴いてみて下さい。

オッケーです。ありがとうございました!

Shobaleader One - ele-king

 スクエアプッシャー率いる超絶技巧バンド、ショバリーダー・ワン。3月8日にアルバム『Elektrac』をリリースしたばかりのかれらが、昨日3月23日、ボイラー・ルームにてライヴをおこないました。そのときの映像が YouTube に公開されています。いやー、バカテクですね。来日公演が楽しみです。下記よりチェック。

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Shobaleader One @ Boiler Room
https://blrrm.tv/squarepusher

東京公演が即日完売で大きな注目を集めるジャパン・ツアーはいよいよ3週間後! 大阪公演も完売ペース! 東京公演のチケットをゲットできなかったファンは名古屋へGO!

スクエアプッシャー率いる超絶技巧バンド、ショバリーダー・ワン待望のデビュー・アルバム『Elektrac』は、3月8日日本先行リリース! 国内盤2枚組CD(ブックレット付の特殊パッケージ)には、オリジナルのシースルー・ステッカーが封入される。またスペシャル・フォーマットとして数量限定のTシャツ付セットも販売中。

label: Warp Records / Beat Records
artist: Shobaleader One ― ショバリーダー・ワン
title: Elektrac ― エレクトラック
cat no.: BRC-540
release date: 2017/03/8 WED ON SALE(日本先行発売)
初回生産特殊パッケージ
国内盤2CD(¥2,500+税):オリジナル・シースルー・ステッカー/解説書 封入
国内盤2CD+Tシャツセット(¥6,000+税)

!!! (Chk Chk Chk) - ele-king

 あ、これはヤバいやつだ。公開された !!! (チック・チック・チック)の新曲“The One 2”を一聴して思った。頭で処理しようと思っても、まず先に身体が動いてしまう。ワン・トゥ、ワン・トゥ。かなりディスコ色が強まっている。でも彼ららしさは失われていない。これは素直に、アがる。
 チック・チック・チックが待望のニュー・アルバム『Shake The Shudder』を5月19日にリリースする。タイトルには「恐れを振り払え」というメッセージが込められているそう。かつてジュリアーニを批判する曲で脚光を浴びた彼らのことだ。いまこんなにもソウルフルかつダンサブルなサウンドを鳴らすのにはきっと彼らなりの理由があるのだろう。あー、はやく他の曲も聴きたいぜ。ワン・トゥ、ワン・トゥ。

!!!(チック・チック・チック)が新作とともに帰還!
最新アルバム『Shake The Shudder』完成&新曲公開!
数量限定Tシャツ付セットの販売も決定!

ニューヨークが生んだ最狂のディスコ・パンク・バンド、!!!(チック・チック・チック)が最新アルバム『Shake The Shudder』の完成を発表! アルバムのオープニングを飾る新曲“The One 2”のミュージック・ビデオを公開!

!!! - The One 2
https://www.youtube.com/watch?v=zPn_AnP9N9I

「恐れを振り払え!」というメッセージが込められた今作のタイトル『Shake The Shudder』は、彼らの座右の銘であり、そのキャリアを通して示してきた言葉である。彼らのDIYなパンク・スピリットが炸裂した今作では、ここ最近のお気に入りだというニコラス・ジャーやケイトラナダなどからの影響を反映した様々なエレクトロニック・ミュージックの要素に加え、自由な精神の象徴としてハウス・ミュージックを取り入れ、「ビートに乗ってりゃ何でもあり!」というオープンな姿勢から生まれた痛快なアルバムとなっている。

リスクが大きければ大きいほど、得るものも大きい。そして、究極に楽しい経験になる。改革は次の改革を導き、それが繰り返されるんだ。
- Nic Offer

バンドのホームタウンであるブルックリンでレコーディングされた今作には、UKのシンガー、リー・リー(Lea Lea)、シンガーソングライターで女優でもあるミーア・ペイス(Meah Pace)、グラッサー名義での活動も知られるキャメロン・メジロー(Cameron Mesirow)、チェロ奏者でシンガーでもあるモリー・シュニック(Molly Schnick)といった個性豊かな女性ヴォーカリストが多数参加している。

一貫して変わることのないパンクなアティテュードと、アルバムごとに進化を続け、シーンの変化とも巧みにリンクするサウンド。移り変わりの激しい景観の中、その状況を楽しむかのようにキャリアを重ねてきたチック・チック・チックの最新作は、そのキャリアの全てを反映させた集大成でありながら、歌詞とサウンドの両方にさらにエッジを効かせ、「この打ち砕かれたような状況から、何か美しいものが育ってほしい」という、混迷を極める世界に対するバンドの願いが込められた一撃でもある。

チック・チック・チックの7枚目のアルバムとなる本作『Shake The Shudder』は5月19日(金)に世界同時リリース! 国内盤にはボーナス・トラック“Anybody’s Guess”が追加収録され、歌詞対訳と解説書が封入される。またiTunesでアルバムを予約すると公開された“The One 2”がいちはやくダウンロードできる。またスペシャル・フォーマットとして数量限定のオリジナルTシャツ付セットの販売も決定!

label: Warp Records / Beat Records
artist: !!! ― チック・チック・チック
title: Shake The Shudder ― シェイク・ザ・シャダー

cat no.: BRC-545 / BRC-545T
release date: 2017/04/19 FRI ON SALE
国内盤CD: ¥2,200+税
国内盤2CD+Tシャツセット: ¥5,500+税
国内盤特典: ボーナス・トラック追加収録 / 解説書・歌詞対訳封入

Kiyama Akiko - ele-king

 半野喜弘や田中フミヤら日本人アーティストにとどまらず、リッチー・ホーティンやリカルド・ヴィラロボスといった海外のトップDJたちから高い評価を獲得してきたキヤマアキコが、既存の音楽カテゴリーにとらわれることなく、音そのものがもつ純朴な響きにフォーカスした作品を発表するために始動したケブコ・ミュージック。これまでにカセットテープを中心にリリースを重ねてきた同レーベルがマガムラのアルバムを初めてヴァイナルでリリースする。

 ラドゥ、ペトレ・インスピレスク、ラレッシュらの拠点であり、現在のミニマルテクノ/ハウスを語るうえで避けて通ることのできない東欧シーン。同シーン屈指のレーベルであるオール・インから2013年に発表した「The Orphans」で話題を呼んだコールドフィッシュことローリン・フロストと、彼の盟友ギタリストであるエリル・フョードが結成したマガムラは、テクノ/ハウスに限定されない視点でとらえたエレクトロニックミュージックをフェスティバルやクラブで披露してきた。オフィシャルリリースは今回限りとして特別に発表される「Supernaturals」には、サウンドコラージュやドローンの要素も含んだ多彩な電子音楽が収録。現在ケブコ・ミュージックのバンドキャンプ・ページにて先行予約を受け付け中だ。


Magamura(マガムラ)

古くからの友人であるローリン・フロストとエリル・フョードが既成概念にとらわれない音楽を生み出すべく結成したプロジェクト、マガムラ。ハンガリー出身のふたりが初期電子音楽からの要素を取り入れたサウンドデザインと楽曲構造からは従来の音楽にはないフューチャリスティックなサウンドスケープが描き出される。ライブパフォーマンスに特化した活動を行ってきたマガムラは、様々なジャンルを絶妙なバランスで融合しながら、物語性のある音楽を紡いできた。2011年の結成以来、ライブごとの状況に応じて異なる即興パフォーマンスを繰り広げることで、音源のリリースに頼ることなく、多方面から高い評価を獲得してきた彼ら。2017年、キヤマアキコ主宰ケブコ・ミュージックのビジョンに共鳴したマガムラが待望のアルバム『Supernaturals』を遂にリリース。

La Femme - ele-king

 なんだかよくわからない。なんだかよくわからないが、強烈に惹きつけられる。3月21日、フランスでいま最も注目を集めるバンド、ラ・ファム(La Femme)が昨年リリースされた新作を引っさげて来日する。ジーン・ヴィンセントやヴェルヴェット・アンダーグラウンド、クラフトワークやステレオラブといった名前が引き合いに出されるかれらの音楽を一言で表わすと……ロカビリー? シンセ・ポップ? なんだかよくわからないが、かれらの音楽がエキサイティングであることは間違いない。ジャケも独特の雰囲気を醸し出しているし、何よりこのフランス語のヴォーカルは英米のポップ・ミュージックに慣れ切ってしまったわれわれの耳に新鮮に響く。とにもかくにも3月21日、原宿のAstro Hallへ足を運んでかれらの正体を突き止めよう。

ヴィンテージな雰囲気と尖ったサイケ感が混在する
ローファイ・サーフ・サウンドに世界が大注目!
フランスの異才サイケ・パンク・バンド、ラ・ファムが
待望の2ndアルバムをリリース! 来日も決定!

■フランス屈指のサーファーの聖地ビアリッツでサーフ・ミュージックとヴィンテージ・ロック好きのSacha Got(ギター)とMarlon Magnee(キーボード)が出会い結成、パリ移住後、Sam Lefevre(ベース)、Nunez Ritter(パーカッション)、Noé Delmas(ドラム)、そしてフランス・ギャルやフランソワーズ・アルディなど往年のフレンチ・ポップ・シンガーを彷彿させるClémence Quélennec 嬢が加わり今の布陣となったラ・ファム(フランス語で「女、女性」)。2013 年のデビュー・アルバム『Psycho Tropical Berlin』がフランスのデジタル・チャート1位に登りつめ、多くの雑誌の表紙を飾り、数々の有名フェスにも出演、CMに楽曲が使用されるなど、フランスでいま最も注目を集めるバンドのひとつとなった。
■セカンド・アルバム『Mystère』でもその音楽的多様性は健在だ。シンセ・ポップからサーフ・ロック、ステレオラブっぽいインディ・ロック、バロック調に近いギター・チューン、西部劇のサントラ風、そして牧歌的なサイケ・サウンドまでが溶け合う独特の音世界を作り上げている。セクシャルなキワドイ歌詞も刺激的、そのスタリッシュなレトロ調のヴィジュアル、エネルギッシュでトリッピーなライヴ・パフォーマンスも相まって、パリのインディ・シーンで絶大な人気を誇る彼ら。3月には新作を引っ提げてアジア・ツアーを敢行、ついに来日も実現!

『Mystère』は今年度ベスト・アルバムの1枚。最近のインディ・バンドでは滅多にないクールなヴァイブを本作で放っている。
—『The Guardian』誌

大胆で、想像力に富んだ、そして時には、とても楽しいほど奇妙だ。
— 『Uncut』誌

【来日公演】
■3月21日:東京:Astro Hall


ASIA TOUR 2017 - LA FEMME JAPAN DEBUT
(powered by Kaïguan Culture)

2017年3月21日
HARAJUKU 『ASTRO HALL』
https://www.astro-hall.com/
〒150-0001 
東京都渋谷区神宮前 4-32-12
ニューウェイブ原宿B1
https://www.astro-hall.com/schedule/6001/

18: 00 - Door open - DJ nAo12xu (†13th Moon†)
19:00 - 19:30 : Who the bitch
20:00 - La femme - Live start
ADVチケット: 6,000円 (数量限定) Include 1 DRINK
DOORチケット: 6,500円 Include 1 DRINK

チケット取扱店リスト:
https://la-femme-live-in-tokyo.peatix.com

https://www.lafemmemusic.com

アーティスト:LA FEMME
タイトル:Mystère
レーベル:Disque Pointu
フォーマット:CD / 2LP
品番:ZOD-006 (CD) / BB-086 (2LP)
バーコード:3700551781911 (CD) / 3521381539325 (2LP)

[TRACK LIST]
1. Sphynx
2. Le vide est ton nouveau prénom
3. Où va le monde
4. Septembre
5. Tatiana
6. Conversations nocturnes
7. S.S.D
8. Exorciseur
9. Elle ne t'aime pas
10. Mycose
11. Tueur de fleurs
12. Always In The Sun
13. Al Warda
14. Psyzook
15. Le chemin
16. Vagues

Gaika - ele-king

 こんばんは。良いお天気ですね。水カンのレヴューで盛大にディスられている小林です。どうやら僕は〈Warp〉しか聴いていないそうです。だったらもう開き直って、どんどんその道を突き進んじゃおうと思います。

 昨年レヴューを書こう書こうと思いながら、なんやかんやあってタイミングを逃してしまった作品のひとつに、ガイカ(Gaika)の「SPAGHETTO」がある(もうひとつはロレンツォ・セニ)。リアーナやドレイクといったメジャー勢をはじめ、ダンス/クラブ系で圧倒的な存在感を放ったイキノックスなど、2016年の音楽シーンを特徴づける潮流のひとつにダンスホールがあったわけだけれど、ガイカの「SPAGHETTO」はまさにそのトレンドを踏まえた12インチで、「いつも少し遅いがポイントははずさない」という〈Warp〉の流儀が見事に詰め込まれた1枚だった(ジャム・シティも参加)。
 ガイカはヒップホップやダンスホールから影響を受けたブリクストンのプロデューサー/ヴォーカリストで、マーケイジ(Murkage)というグループの一員でもある。これまでにケレラやダークスターの作品に客演したり、ミッキー・ブランコやディーン・ブラントとコラボしたりしながら、すでに2本のミックステープを発表している。そんな期待の新人が、来る4月に初の来日を果たす。会場はCIRCUS TOKYO(4月8日)とCIRCUS OSAKA(4月9日)。ロレンツォ・セニとともに今後の〈Warp〉の方向性を占うアーティストである彼のパフォーマンスを、こんなにはやくチェックできる機会に恵まれるとは。

 僕は行きますよ。悪いけど、いまはJ-POPに割いている時間なんてないんでね(でも宇多田は好き)。というか、ナンセンスは結局「ナンセンス」というセンスを持ってしまうんですよ。わかります?

ハリウッドの地獄から西ドイツ・ベルリンへ、
多くの謎に包まれた1975年から1978年までのデヴィッド・ボウイを追う。
ベルリン3部作の背後に横たわる物語がいま明かされる──

デヴィッド・ボウイが、2016年1月10日、自らの死を想定して作られた新作『ブラックスター』をリリースした2日後に他界し、世界中に衝撃を与えたことは記憶に新しい。

長いキャリアのなかで多くの名作を残しているデヴィッド・ボウイだが、70年代のなかばアメリカに渡り、そして強度のコカイン中毒のなかで衰弱しながら、そしてベルリンへと移住して生まれることになる、通称「ベルリン3部作」──『ロウ』、『ヒーローズ』、『ロジャー』──は、ボウイのキャリアのなかのもうひとつのクライマックスとして知られる。

本書は、そのベルリン時代にスポットを当てた評伝である。じつに深い内容の、ファン待望の1冊と言える。


目次

   INTRODUCTION

 1 地獄から来た男
   THE MAN WHO CAME IN FROM HELL
 2 ボウイ教授のキャビネット
   THE CABINET OF PROFESSOR BOWIE
 3 『ロウ』、あるいはスーパースターの医療記録
   LOW, OR A SUPERSTAR’S MEDICAL RECORDS
 4 新しい街、新しい職
   NEW CAREER, NEW TOWN
 5 崖っぷちのパーティ
   THE PARTY ON THE BRINK
 6 デヴィッド・ボウイを見たかい?
   DID YOU SEE DAVID BOWIE?
 7 ヒーローズ
   HEROES
 8 さらばベルリン
   GOODBYE TO BERLIN

結び 彼は今どこに?
   CODA: WHERE IS HE NOW?


Gábor Lázár - ele-king

 マーク・フェルやラッセル・ハズウェルなどとコラボレーション・アルバムをリリースし、そのうえロレンツォ・セニの〈プレスト!?〉からアルバムを発表しているなど、現在のエクスペリメンタル・ミュージック・シーンにおける(隠れた?)キーパーソン、ガボール・ラザールが〈シェルター・プレス〉からソロ・アルバムをリリースした。〈シェルター・プレス〉は、フランスはブルターニュを拠点として、個性的な電子音楽/エクスペリメンタル・ミュージック作品をコンスタントに送り出しているレーベルである。

 それにしても「危機の表象」とは、なんとも意味深なアルバム・タイトルではないか。じっさい、その名が示すように、本アルバムにおいては、どの曲もグリッチされたテクノの残骸が高速に展開していくわけである。となれば、この「危機の表象」とは、グリッチ・サウンド/ノイズのことだろうか。それを示すかのように、アルバム全曲に“クライシス・オブ・リプレゼンテーション”と共通の名前が付けられており、それぞれ「#」記号のあとに、1から8までがナンバリングされている(“クライシス・オブ・リプレゼンテーション #8”はCD盤ボーナス・トラック)。
 じじつ、このアルバムの各トラックは、ノイズ・モチーフが反復され、そしてそれが少しずつ壊れていく構成になっている。まるでグリッチ・ノイズ・サウンドの実験報告のような構成である。エラーの生成がリズムとなり、刺激的な電子ノイズ・サウンドを生成・展開していくのだ(ちなみにマスタリングはラシャド・ベッカー)。

 一聴して分かるように、本作は、SND/マーク・フェル直系のサウンドである。しかしグリッチが、新奇性やフェティシズムの対象ではなく、手法として「当たり前のもの」として存在している点に注目したい。オートマティックでありながら、じつに流麗にコンポジションなされているのである。「無意識」をコントロールするかのように。
 むろん、これはガボール・ラザールだけの特質ではない。たとえばリー・ギャンブル、イヴ・ド・メイ、ロレンツォ・セニなど、新世代エクスペリメンタル・テクノ・アーティスト全般の特徴といえる。彼らはテクノ・アーティストでありながら、同時に(90年代末期から)00年代初頭のグリッチ・サウンドに多大な影響を受けている世代なのである。じじつリー・ギャンブルは〈エディションズ・メゴ〉のマニアだという。
 そう、この10年代初頭においてエクスペリメンタルな電子音響/テクノを創りだしているアーティストたちは、テクノという形式を愛しながらも、しかしそれがグリッチというエラー・ノイズで破壊されていくさまから始まっている。いわば、あらかじめ引き裂かれた「表象の危機」の世代。その「危機」への感覚は、グリッチ以降を生きる者を貫通する意識/無意識ではないかと思う。
 前提となるべき条件がすでに壊れていること。この『クライシス・オブ・リプレゼンテーション』において生成するグリッチ・ノイズは、壊れた時代・世代における(無)意識の発露とはいえないか。私には、この精密で整ったグリッチ・サウンドに、今の時代特有の引き裂かれた無意識と、しかし、その意識を「引き裂かれたまま」統御しようとする強い欲望=意志が感じられてならないのである。

 また、アートワークを手掛けるのは ソフィア・ボダ(Zsófia Boda)。彼女の作品もまた「壊れていることが前提」という時代のアトモスフィアを感じさせる(https://zsofiaboda.tumblr.com/)。こちらも必見だ。


Rebound Tenderness No.2

interview with Lawrence English - ele-king


Lawrence English
Cruel Optimism

Room40

AmbientDroneExperimental

Amazon Tower HMV iTunes

 昨年のニューエイジ・ブームが、その現実逃避性をもって2016年という年の混乱を象徴していたのだとすれば、それとはまた別の形で世界の歪みを映し出す音楽もある。ドローンがそれだ。シドニー、メルボルンに次ぐオーストラリア第3の都市・ブリスベンに暮らす音楽家ローレンス・イングリッシュは、ためらうことなく「音楽は政治的である」と言い切る。彼の最新作はシリアの情勢やブラック・ライヴズ・マター、あるいはブレグジットや大統領選挙などから刺戟された作品だそうで、なるほど、たしかに『Cruel Optimism』が響かせる漆黒の音の連なりは、今日の世界の不穏なムードを一身に引き受けているかのようだ。『残酷な楽観主義』というタイトルの訴求力も群を抜いている。

 かつてわれわれは紙の『ele-king vol.7』で「ノイズ/ドローンのニューエイジ!」という特集を組んでいるが、ローレンス・イングリッシュが頭角を現してきたのもまさにそのような文脈においてである。ローレンス本人が自らの代表作と見做している2008年の『Kiri No Oto』はいまでも根強い人気を誇っているし、2014年にリリースされた『Wilderness Of Mirrors』はその年の『FACT』誌のベスト・アルバム50に選出されて話題となった。一昨年はデヴィッド・リンチの写真展覧会のサウンドトラックを手がけるなど、彼はすでに海の向こうにおいて大物の地位を築いていると言っていい。またそういった音楽制作と並行して彼は、自身の主宰する〈Room40〉からさまざまなアーティストの作品を世に送り出してもいる。ベン・フロスト、オーレン・アンバーチ、テイラー・デュプリー、ティム・ヘッカー、リュック・フェラーリ、グルーパー、デヴィッド・トゥープ……これらの固有名詞を並べるだけで、いかに彼が卓越したキュレイターであるかが見てとれよう。他方で〈Room40〉はツジコノリコやテニスコーツ、畠山地平といったアーティストの作品も数多くリリースしており、ローレンスとここ日本とのつながりはことのほか深い(ちなみに畠山地平は『ele-king vol.14』でローレンスにインタヴューをおこなっている)。

 そんな彼のバックグラウンドをより深く掘り下げるべく、われわれはいくつかの質問をブリスベンへ向けて送信した。彼はそれらの問いに快く、丁寧に、真摯に答えてくれた。彼の鳴らす重厚なドローンはどのようにして生み出されたのか。なぜ彼は音楽が政治的であると考えているのか――。ローレンス・イングリッシュは、ひとりの人間が抱えるにはあまりにも大きすぎる希望を抱いている。その希望の片鱗を、あなた自身の目で確認してほしい。

私は、音と音楽の可能性はすべての人に届くと非常に強く信じています。要は、人びとがいかに良き文脈と機会を通じて、有意義に音楽とのつながりを持てるか、ということです。

日本ではまだローレンス・イングリッシュという音楽家/キュレイターの存在を知らない方も多いと思いますので、まずは基本的なことから伺わせてください。あなたが〈Room40〉をスタートさせたのは2000年です。また、あなた自身の最初の作品『map51f9』が世に出たのは2001年です。1976年生まれとのことですが、それまではどのように過ごされていたのですか?

ローレンス・イングリッシュ(Lawrence English、以下LE):私はクイーンズランドのブリスベンで育ちました。さまざまな意味で、私の成長過程の話はブリスベンという都市の成長の話と重なります。70年代後期から80年代初期、クイーンズランドは政府からの退行的な圧力に苦しんでいました。その後、その傷跡から回復の兆しを見せるまで、およそ10年の月日がかかりました。1990年に私は初のファンジンと、のちに最初のレーベル、そして〈Room40〉へと至る、小さなカセット・レーベルを始めます。同時期にインダストリアル・バンドでも演奏をしていましたが、1997年には収束し、1998年からソロ・ワークとして本格的に実験的な試みを始めました。この時期はとてもおもしろい時期で、ステージのセッティング時期とも言えるでしょう。

音楽をやっていこうと思うきっかけのようなものはあったのでしょうか?

LE:初めは音そのものに興味があり、その後音楽へと移行しました。子ども時代のあらゆる体験から音に興味を持ちましたが、やはり特にバードウォッチングからのものが大きいでしょう。ヨシキリという素晴らしい声を持つ、見つけにくい小さな鳥がいます。ある日、沼地に隠れるヨシキリを双眼鏡で探していたのですが、そのとき父が私に、目を閉じて鳥の声に耳を澄ますようにと言いました。耳で鳥の居場所を感知してから、その姿を探すようにと。結果、鳥を見つけることができました。私たちの耳が、この世界を知覚するツールとしてとても可能性に溢れている、ということに気づく体験でした。この頃から、音と音楽の世界が拓かれていくのを感じました。

あなたの音楽的なルーツはどこにあるのでしょう? 音楽家として、もっとも影響を受けたアーティストを教えてください。

LE:音楽でないものから影響を受けることが多いです。いつも読書をして、自分の思考を可能な限り押し広げるようにしています。たとえば最近は、「緩やかに消失する未来(slow cancellation of the future)」という挑発的な主張を持つ、フランコ・ベラルディ(ビフォ)(註:アウトノミアの運動で知られるイタリアの思想家)の作品を読んでいます。彼は、進歩と資本主義の成長に根ざした20世紀の政治的な願望として想像する未来は、もはや有効ではないと主張しています。こういった挑発的な思考が、私の作品制作にとって最も重要だと考えています。もちろん私は音楽を愛していますが、音楽がいつも作品制作に直接的に影響するとは考えていません。

〈Room40〉は、ツジコノリコやテニスコーツ、畠山地平やminamoなど、日本のアーティストの作品も多くリリースしています。あなたがプロデューサーを務めているアルバムもありますよね。ほかにもあなたは鈴木昭男とコラボしたり、最近では福岡のレーベル〈duenn〉のコンピレイションにも参加したりしていますが、日本の音楽に興味を持つきっかけとなるようなことがあったのでしょうか?

LE:オーストラリア人として、日本は最も近い近隣諸国のうちのひとつである、ということを強く感じます。東京までは9時間なので、比較的近いと言えます。私個人としては、日本には、鈴木昭男や灰野敬二、メルツバウ(Merzbow)に代表されるような、とても特殊で極端に個性的な音へのアプローチがあると感じます。それは人生を通じての実践への深い考察に根ざしていて、私の「人生において実践と芸術はどのように発展を遂げるのか」という、深い興味の対象に通じます。また、水琴窟や、鶯張り(城への敵の侵入者を知らせる仕組み)に代表されるような、日本に存在する歴史的な音へのアプローチに非常に惹かれます。武満(徹)の作品もしかり。特に彼の音に関する著述は、注目せずにはいられません。日本には素晴らしい多様性があり、吸収すべきものがあります。

あなたの日本とのつながりや、実験的なものからポップなものまで手がけるそのスタンスは、どこかジム・オルーク(Jim O'Rourke)の活動を想起させる部分があります。彼がBandcampで展開している『Steamroom』シリーズの第29作では、〈Room40〉の15周年記念フェスティヴァルのために作られたセクションが含まれているようですが、彼と交流はあるのでしょうか? 彼の音楽や活動についてはどう思っていますか?

LE:私はジムを最高にリスペクトしています。彼の同時代のミュージシャンのなかでも、最も重要な人物のひとりだと思います。驚くべきほど豊かな電子音楽を創り出し、ウィットに富んだ詩を書き、インスピレイションを与える、いわゆる本物のアーティストです。彼から仕事を委託されたことはとても光栄でしたし、彼の作品をストックホルムやシドニー、ブリスベンへ普及できたことはとても嬉しいことでした。素晴らしい機会でした。

あなた自身や〈Room40〉の作品、あるいはオーレン・アンバーチ(Oren Ambarchi)のような実験的な音楽は、オーストラリアではどういう位置づけなのでしょう? 日本では、ミュージック・ラヴァーを除く大多数の一般の人びとは、チャートに入っている音楽だけで満足してしまい、そこから幅を広げようとはしないのですが、それはオーストラリアでも同じなのでしょうか?

LE:おそらくそれはどこでも同じでしょう。私は、音と音楽の可能性はすべての人に届くと非常に強く信じています。要は、人びとがいかに良き文脈と機会を通じて、有意義に音楽とのつながりを持てるか、ということです。

『Airport Symphony』(2007年)はブライアン・イーノ(Brian Eno)の『Music For Airports』へのオマージュだそうですが、イーノについて、また彼が創始した「アンビエント」というコンセプトについてはどうお考えですか?

LE:私はブライアンに多くの敬意を抱いています。私は彼を、思想家でありミュージシャンであると考えています。他のアーティストと制作をする際に、皆を見事に親和させる彼の能力には畏敬の念を感じます。彼は、人びとの作品の多様な側面を解き明かし、サポートする方法を知っていて、私たちそれぞれにとってとても有益なことです。数年前に彼と一緒にランチをしましたが、彼はとてもオープンな姿勢を持っていて、そのことが人びとに、普段のアプローチとは違う方法で新たなものを発見するスペースを与えるのだろうと感じました。ボウイのレコードを聴くだけでも、その音から素晴らしいパートナーシップを感じることができます。「アンビエント」についてですが、音と音楽へのアプローチの仕方として、素晴らしい表現手法だったと思います。ハリー・ベルトイア(Harry Bertoia)の音響彫刻作品にも明らかにルーツを持つでしょう。ベルトイア、イーノのふたりとも、私たち自身を巻き込む、特殊な共鳴空間を創り出すことに関心を示しています。

他方であなたは『For / Not For John Cage』(2012年)という作品も発表しています。ケージについてはどうお考えなのでしょうか?

LE:ケージを忘れることはできません。彼は20世紀最初の偉大な音への挑戦者でした。彼の暖かい笑顔と、問い続ける姿勢、このふたつの印象は私の心に刻みつけられています。彼は疑いなく伝説的な存在であり、彼の精神は時を超えて残り続けるでしょう。

あなたは〈A Guide To Saints〉というカセットテープに特化したレーベルも運営されていますよね。カセットテープというフォーマットに対する何か特別な思い入れのようなものがあるのでしょうか?

LE:音楽との出会い方という意味で、メディアは非常に影響力のあるものだと感じます。物体としてのメディアは、音響だけではなく表意的な一連の意味合いを包み、音楽の物理的なインターフェイスは、私たちと音楽とのつながりを形作ります。私にとってカセットは、唯一の線状の音楽メディアでした。レコードやCDでは、実際に早送り機能を使うことはほとんどなく、スキップを使用しますが、テープではこれは不可能です。私はある種の音楽はテープで聴いた方がより良いと感じます。

ヴェイパーウェイヴというムーヴメントについてはどうお考えですか? ヴェイパーウェイヴの作品はカセットテープで発表されることが多く、形態の上では〈A Guide To Saints〉と同時代性があるように思えるのですが。

LE:いくつかのリリースは大好きです。とても興味深いムーヴメントです。

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差異のなかでひとつになること。私はこのアイデアを『Cruel Optimism』のライヴ・セットでさらに探求することに興味があります。


Lawrence English
Cruel Optimism

Room40

AmbientDroneExperimental

Amazon Tower HMV iTunes

このたびリリースされた新作『Cruel Optimism』には、『A Colour For Autumn』(2009年)にあったような穏やかさやぬくもりはありません。また、『Kiri No Oto』(2008年)の寂寥感・荒涼感とも異なる雰囲気を持っています。他方で『Wilderness Of Mirrors』(2014年)の重厚なノイズ/ドローンとは共通する部分があるように聴こえたのですが、本作を制作するにあたりレコーディングやプロダクションの面で最も力を入れたこと、または注意を払ったことは何でしょう?

LE:『Cruel Optimism』では、いままでのレコード制作の方法を覆したいと考えていました。今回私は多くの音をスタジオ録音し、また、変換やメッシングなど、全範囲におよぶ新たな音編集の方法を開発しました。構成においても、過去の録音で実験した密度と高調波の歪みを高めたいと考えていました。また、レミー(・キルミスター、Lemmy Kilmister)の引用句のヴァリエイションとして「他のすべてのものよりも密度の高いものすべて」ということを念頭に置いていました。もともとは「他のすべてのものよりもラウドなものすべて」です(註:モーターヘッドに『Everything Louder than Everyone Else』というタイトルのライヴ盤がある)。私が制作の過程で気づいたことは、密度(density)と大きさ(amplitude)に関係性をもたせる必要はないということです。非常に高密度で静かな音楽を創ることが可能であり、その一方で、非常に高密度で激しい音楽を創ることができます。これらの側面がどこまで拡張できるのかを試してみたのですが、この試みはとても実りあるものとなりました。

『Wilderness Of Mirrors』を制作しているときにスワンズ(Swans)の影響を受けたそうですが、この新作にはそのスワンズのノーマン・ウェストバーグ(Norman Westberg)やソー・ハリス(Thor Harris)が参加しています。またザ・ネックス(The Necks)のトニー・バック(Tony Buck)やクリス・アブラハム(Chris Abrahams)も関わっていると聞いています。かれらとはどのように出会ったのですか? また、かれらはこのアルバムでどのような役割を果たしているのでしょう?

LE:私がミュージシャンにアプローチするのは、彼らの音楽作品のなかに非常に特殊なクオリティを耳にしたからです。例えばクリス・アブラハムは、そのプレイのなかに素晴らしいハーモニーのセンスを感じさせます。それは、つねに探求し続けているかのような落ち着かないハーモニーでもあるのですが、その点でクリスの作品はとても魅力的です。同様にソー・ハリスも素晴らしいハーモニーのセンスを持っていますが、それは私のものとは完全に異なるものです。彼は、いままで私が聴いたことのない関連性を音楽に持ち込むマジシャンのようです。ヴァネッサ・トムリンソン(Vanessa Tomlinson)というコラボレイターは、今回のレコードで私にとって未開のゾーンを拓いてくれました。(打楽器の)皮を共鳴させる彼女の能力は、真に強力でとても個性的です。彼らそれぞれが創り出すものがとても個性的であること、それこそが彼らミュージシャンを結びつけるのだと私は考えます。彼らの決意とやる気に感服します。
 より幅広く、コラボレイションというものについてですが、つい先ほど、友人のデヴィッド・トゥープ(David Toop)の、コラボレイションにおける楽観的な感覚についてのポストを読んだところです。コラボレイションが刺戟的であるという彼の意見には同意します。私はつねに作品制作過程で驚きを得たいと感じていましたし、それはまさにコラボレイションがもたらすものです。ノーマン・ウェストバーグやクリス・アブラハムのような、挑戦やアイデアへ反応を示す人びととともに制作すると、率直に深いインスピレイションを得ることができます。

新作は、シカゴ大学の教授ローレン・バラント(Lauren Berlant)の著作からインスパイアされたものだそうですが、その本はどういったことについて書かれているのでしょう?

LE:ローレン・バラントの著書は北米で出版されているなかで最も重要な批判書でしょう。「残酷な楽観主義(Cruel Optimism)」というアイデアは、彼女が理論化したもので、私たちの周りの現象の元となる状況に問いを投げかけるひとつの手段です。バラントの目を通せば、ブレグジット、トランプ、それから地政学的展開の下敷きとなるものなど、あらゆるものを有意義に捉えることができます。私たちは、個人としてまた集合として、日々の満足感と直結しないファンタジーを放棄するのに苦労し続けているということについて、自問するタイミングを逃してきました。現実では、これらのファンタジーはたやすくバリケードとなり、満足感をみつけることを阻害します。

新作『Cruel Optimism』はシリアの情勢やブラック・ライヴズ・マター、UKのEU離脱やUSの大統領選挙などからも刺戟された作品だそうですが、バラントの著作からとられた『残酷な楽観主義』というタイトルにはどのような意味が込められているのでしょうか?

LE:このレコードに関して言うと、私にとっては、バラントが感情、特にトラウマについて著述した部分が特に印象的でした。一節で、彼女はトラウマについて、「私たちはトラウマを所有できないことを知っていますが、私たち自身がトラウマに所有されているのです」と書いています。このレコードは、現状の永遠に不安定な状態、率直に言うと、私たちの周りの忌まわしい情勢を解き放つ意味があります。オーストラリア政府の難民や亡命希望者に対する扱いは完全に非人間的です。それは私たちが国家として大いに失敗したことを示しており、残念ながらこれらの人びとは政治力の道具として使われています。基本的に、私たちはこのような会話をする機会のたびに、人びとが私やあなたと同じように人間なのだということを思い出さなくてはいけません。彼らは夢を見、息をし、愛し、悲しみます。彼らを持ち物のように追い払うということに、私は反撥や失望を覚えずにはいられません。同じように、私たちは先住民に対する失策を見てきました。拘留中の黒人の死をはじめ、西オーストラリア州で殺されたMs Dhuの最近のビデオ資料にも例を見てとれます。これらは本当に悲惨です。現在、国際的にあまりにも多くの問題がありますが、ひとつ、シリア難民近辺のイメージについて話します。海岸に横たわるAlan Kurdiの遺体、アレッポから届く最近の画像、現在の困難な状況、それらが直接的にまた間接的に、今回のレコードの輪郭を描きました。私はこの永続的な苦痛とトラウマを操縦する術を見つけたかったのです。人びとや自分自身がどのようにこの状況を理解し処理するのかということを解読したかったのです。このレコードは、ナヴィゲイション・デヴァイスであると同時に解答でもあります。

私の希望は、新しい世紀を誕生させることです。それが多大なエネルギーと集中力を要求するとしても、私たちは未来の可能性を再評価し、活力と意志をもって前進しなくてはなりません。

社会や政治の出来事と音楽とは、どのように関わっているとお考えですか?

LE:私は、音楽は政治的だと考えます。聴取は政治的です。芸術は政治的です。緊迫した表現は作品の価値の中心です。音楽に関して言うと、その役割はふた通りあります。まず、私たちが夢中になる機会となることであり、その過程で、私たちが問いかけや諸問題に出会ったときに私たちの思考に異なるはたらきをさせる役割です。電車のなかや夜遅くに音に飲み込まれるような瞬間、そういう個人的な音の鑑賞の機会にあなたの心は開かれ、日常の習慣からあなたをあなた自身へと戻すささやかな時間となると言えるでしょう。私は、日々の習慣に気づくこと、そしてそれを破ることは、私たちのものの見方、経験の仕方を問う機会として、とても価値のあるものだと思います。新たな視点は新たな希望をもたらします。ふたつめは、会話が起こったり問いが練り上げられたりする、連鎖的なポイントとしての役割です。それは、物理的かつ仮想的な集会の場です。このことについて私は、コンサートのセッティングから大いに考えを深めてきました。コンサートができる政治的な環境というのを日に日に意識しています。音楽は、時間や場所、そして音を共有する人びとの集まりという機会を作り出します。音は皆を集合させひとつにしますが、同時に各メンバーに完全に個別の、心理的かつ生理的経験を与えます。これは、社会が集団的なものでありながら個人の経験と表現の臨界に価値を置くという形で機能していることへの、素晴らしい暗喩だと私は感じます。差異のなかでひとつになること。私はこのアイデアを『Cruel Optimism』のライヴ・セットでさらに探求することに興味があります。

ブレグジットや大統領選挙のとき、「善意」あるミュージシャンたち、良心的なアーティストたちが残留を訴えたりクリントンを支持したり、そういう主張をすればするほど逆に下層の人びと、貧しい人びとは反感を増していった、という話を聞いたことがあるのですが、それについてはどう思われますか?

LE:オーストラリア人としては、アメリカ政治への関わりや考えは一歩引いたものとなりますが、現在起きているこの状況は、20世紀から21世紀への重大な移行を象徴していると思います。とても複雑な問題ですが、ローレン・バラントの残酷な楽観主義にも深く関連するものです。未知の将来を前にすると私たちは、そうすることが悪い影響を及ぼすにもかかわらず、既存のものに執着しやすい傾向にあります。プレカリティ(労働や生活の不安定性)の増大、というのがこの問題に関する肝だと考えます。私たちは今後10年、あるいは20年、このプレカリティとともに歩むことになるでしょう。後期資本主義によって増殖したプレカリティと、残された新自由主義の課題は、今後さらに私たちに影響を与えるでしょう。この危機的な状況は全体的であり非常に複雑で、私たちにはとうてい手に負えないようにも感じられますが、私は以前にも増して、私たちが一体何に価値を置くべきなのか自問すること、さらに、私たちが何に価値を置きたいのか、どのようにして権力構造に対してその価値の提示をしていけるのか、という思考への必要性を強く感じています。
 自分の子どもたちを見るとき、私は彼らのなかに未来を見ます。彼ら、そして彼らの未来の子どもたちのために、地球が保持されることを願っています。彼らに耳を傾け、さらには彼らに周りを気にかけるよう促すような倫理機能をもった政治体制を私は望み、影響力のある社会的な場としてコミュニティの可能性を認識したいと思います。私の希望は、新しい世紀を誕生させることです。それが多大なエネルギーと集中力を要求するとしても、私たちは未来の可能性を再評価し、活力と意志をもって前進しなくてはなりません。

最後に、もっとも『Cruel Optimism』を聴いてほしいのは、どのような人びとですか?

LE:制作を終えた後は、この作品と人びとがどのように出会うかということは私の手中にはありません。この作品はすべての人に向けられたものです。この作品が人びとに出会い、影響を残すことを願います。音楽と記憶とには強い結びつきがあり、私はいつも、その関係性が自分の作品にどのように現れるのか、興味深く考えています。

cheers

special talk : Unknown Mortal Orchestra × Tempalay - ele-king


Unknown Mortal Orchestra
Multi-Love
Jagjaguwar / ホステス

Indie Rock

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Tempalay
5曲
Pヴァイン

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 去る2月27日。US屈指のサイケデリック・ポップ・バンド、アンノウン・モータル・オーケストラの来日公演が開催されました。当日フロント・アクトを務めた若き日本のバンド、Tempalay(テンパレイ)は、まさにそのUMOに刺戟されてバンドをスタートさせたという経緯があります。となれば、これはもう対面していただくしかないでしょう! というわけで急遽、渋谷 duo MUSIC EXCHANGE の楽屋にて特別対談を敢行しました。以下がその記録です。夢の邂逅をどうぞお楽しみください。

僕たちはUMOを知ってから、3人でもこういうサイケみたいな音楽ができるってことに気がついて、やってみたいと思ったんです。 (竹内)

ルーバン・ニールソン(Ruban Nielson、以下RN):今回のイベンターが「Tempalayも前座に入れていい?」って連絡してきた時に、前座のバンド全部を聴いてみたけど、Tempalayがいちばん良かったよ。

Tempalay:うわー!!!

小原綾斗(ギター。以下、小原):センキュー! あははは(笑)。

RN:他のバンドとは明らかに違ったからね。

竹内祐也(ベース。以下、竹内):僕らはアンノウン・モータル・オーケストラ(以下、UMO)が好きでTempalayというバンドをはじめたんですけど、最初に作った曲(“Band The Flower”)を聴いてもらってもいいですか?

RN:オーケイ、もちろんいいよ。

小原:“FFunny FFrends”をパクってます。(と言いながらスマホで曲をかける)

RN:(流れた曲を聴きながら)うわあ! 2年前に俺の友だちが「日本人のバンドで“FFunny FFrends”みたいな曲を書いたヤツらがいるよ」と言って送ってきた曲を聴いていて、その時はTempalayの曲だってことを知らなかったけど、今初めて気づいたよ(笑)。

竹内:ウソだ(笑)! なんでなんで?

(一同笑)

小原:スゲえ……

RN:ニュージーランドの友だちはどうやって見つけたのかはわからないけど送ってきてくれて、すごくカッコいいと話していたんだ。教えてくれてありがとう(笑)。ドラムの音が素晴らしいね。これは2年前に作ったの?

竹内:そうそう。たぶん2年前ですね。

RN:いいね。クールだよ。これからまたアメリカに来る予定はある?

竹内:去年は行ったんですけど、これから先に行く予定は決まってないので、連れて行ってください(笑)。

RN:オーケイ、もちろん。本当にカッコいいよ。

竹内:僕たちはUMOを知ってから、3人でもこういうサイケみたいな音楽ができるってことに気がついて、やってみたいと思ったんです。ミント・チックス(The Mint Chicks)からUMOになった時に、3人でそういう音楽をやろうと思った理由はあるんですか?

RN:今のバンドはすごく長い期間をかけてどんどん形になっているような感じなんだ。これはよく知られていることかもしれないけど、最初は俺しか曲を書いていなくて、それをネットに上げたらいろんなブログが載せてくれたんだ。それで、当時は『ピッチフォーク』が「いろんなブログを見て、新しい音楽を見つけよう」という感じで、たまたま取り上げてくれたんだよね。そしたら一気にいろんな人たちやレーベルから連絡が来たんだ。その頃はジェイク(・ポートレイト)と俺の弟と一緒に仕事をしていたんだけど、パソコンで「『ピッチフォーク』に載っているこれ、俺なんだけど」って見せたら、「お前バンドやってるなんて言わなかったじゃん!」って言われて。「誰にも言ってないんだよ」と言ったら、「お前のバンドはあるの? ないなら組む?」という話になって、それがジェイクとバンドを組むきっかけだったんだ。そこからレーベルとも契約して、ライヴ・ツアーにたくさん行ったらどうなるか見てみようと思ってUMOを始めたんだよ。ジェイクはいまだに一緒にやっているけど、これだけツアーをやっているとドラマーがみんな疲れて辞めていっちゃうんだよね(笑)。アンバー(・ベイカー)という新しく加わったメンバーが5人目のメンバーかな。

藤本夏樹(ドラム。以下、藤本):えっ、あの女性の方ですか?

通訳:女性の方ですね。

Tempalay:へえー!

RN:今はキーボードのクインシー(・マクラリー)が加わって4人組なんだ。

藤本:ホイットニー(Whitney)のドラマーは?

通訳:ホイットニーのジュリアン(・エーリック)は(UMOの)最初のドラマーですね。

RN:できれば今の4人組が最終形態になればいいと思っているよ。ただ自分のバンドにいろいろな人が加わって、それぞれが別のバンドを組むというのも面白いと思うんだ。いま話したジュリアンがやっているホイットニーとは一緒にツアーを回ったし、前のドラマーのライリー(・ギア)はもう新しいバンドを始めているし、そういう流れも面白いと思うよ。

小原:“FFunny FFrends”が、最初に作ってSoundCloudに上げた曲ですか?

RN:そうだよ。

竹内:そうかー。じゃあ今の4人だったら、ルーバンがやりたいと思っていることが実現可能なのでしょうか?

RN:そうだね。多分実現できると思っているし、彼らと一緒にバンドをできていることは本当に恵まれていると思っているよ。俺は自分の曲をただ演奏してくれるだけのバック・バンドは嫌で、メンバーそれぞれが自分のアイデアを持ち込んだり、特にライヴの時に自分の特徴を出してくれたりするような人が欲しかったんだ。(今のメンバーは)それぞれそういうことをやってくれるし、普通のバンドよりメンバー間で音の交流をいつもやっているから、本当に恵まれていると思う。

小原:(ルーバンが着ているシャツを見て)ちなみに『ストレンジャー・シングス』(ネットフリックスで公開されているテレビドラマ)が好きなんですか?

RN:ああ、そうだね(笑)。自分を気持ちよくさせてくれるようなTシャツを着たいと思っているんだけど、『ストレンジャー・シングス』を観た後に興奮して、eBayで買ったよ(笑)。(小原の着ているTシャツを見て)君が着ているのはコミックの方の『キリング・ジョーク』のジャケットに似ているよね。

小原:『キリング・ジョーク』大好きです、はい(笑)。ところで、今まで聴いて育った音楽とか、影響された音楽についてお訊きしたいですね。

RN:俺の父親がジャズのミュージシャンだったから、小さい頃からジャズやラテンの音楽を聴いていたね。その父親の影響でマイルス・デイヴィスやスティーヴィー・ワンダーとかを聴くようになったんだ。若い頃はよく東海岸のヒップホップが好きで聴いていて、特にウータン・クランはすごく好きだったね。UMOはビートルズから影響を受けていると思われることが多いんだけど、19、20歳くらいまで(ビートルズを)聴いたことがなかったんだ。だから、どちらかと言うと(ビートルズは)自分としては「新しいバンド」という感覚で聴いているんだよね。あとは昔のパンクものでバズコックスとか、ポストパンクのワイヤー、ギャング・オブ・フォー、PiL、ラモーンズとか、あの辺りはぜんぶ聴いていたね。このバンドを始める時はその要素をごちゃまぜにしたような感覚でやっていたよ。

小原:逆に最近聴いている音楽はなんですか?

RN:最近はサンダーキャットが好きだね。

竹内:ああ、最高。サンダーキャットはヤバいですよね。

小原:“Tokyo”って曲があるじゃないですか。

RN:あるね! その新しい曲の歌詞のなかに、歯医者へ行ったら悟空の人形のおもちゃがあって、その悟空のせいで人生が狂った、みたいなことが書いてあったね(笑)。

小原:サンダーキャットさんとは繋がりがあるんですか?

RN:LAのケンドリック(・ラマー)とも繋がりがあるようなジャズ・ミュージシャンは好きなんだ。カマシ・ワシントンとサンダーキャットは、自分たちが出たフェスで俺らの演奏が終わった後に楽屋に来てくれて、そこにはフライング・ロータスもいて、それまで彼らとは会ったことがなかったけど彼らの音楽は大好きだったから、思わず興奮してしまったね(笑)。そこで一緒にハッパを吸って楽しんだんだけど(笑)、そこから仲良くなったんだ。もしかしたら俺たちがこれから作るアルバムで、サンダーキャットに1曲参加してもらえないか提案するかもしれないんだよね。

竹内:特ダネじゃないですか。

RN:俺は10代の頃から音楽オタク並みにいろんな音楽を追っていたんだけど、今は自分が音楽を作る側になったのと、常に音楽に囲まれた生活になっていることもあって、あえて新しい音楽を無視することもよくあるんだ。ひとりの人間が「新しい」と呼ばれているものを発見するまでって時間がかかると思うんだよね。だから自然と友だちのバンドの音楽を聴くことが多くなっている。テーム・インパラ、マック・デマルコ、コナン・モカシンといった自分と繋がっている人たちの音楽を聴くことのほうが多いかな。ただLAのサイケ・シーンとかヴァイナル・ウィリアムス、モーガン・デルト、あとはダーティ・プロジェクターズなんかも好きなんだけどね。発見するまで時間がかかるようになったね。

小原:モーガン・デルト大好きです。

RN:そうなんだ。年越し(ライヴ)を一緒にやったよ。

竹内:インディペンデント(サン・フランシスコのライヴ・ハウス)でですか?

RN:そうだね。

竹内:去年SXSWでTempalayのライヴをした時に、インディペンデントへ行きましたよ。

RN:本当? いいね。昔KING BROTHERSと一緒にツアーをしたときに「すげえ」って言葉を教えてもらったり、ギターウルフと4、5回一緒にやったりしたね(笑)。

小原:ところで、レコーディングはハッパを吸いながらやるという記事を読んだことがあるんですが……

RN:いや、食べるほうが多いね。そのほうがゆっくりキマるし。

(一同笑)

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オタク並みに色んな調整を追求していくのもいいんだけど、行き過ぎるのはあまり良くないってことだね。大切なのは正しく演奏するということで、それを忘れちゃいけないんだ。 (ルーバン)

小原:ひとつ発見したことがあるんですけど、UMOの“From The Sun”という曲は、逆再生しても同じように曲が流れますよね?

RN:え、本当? 気づかなかったよ(笑)! いいね、今度試してみたいな。

小原:これです。(“From The Sun”の逆再生ヴァージョンをかける)

RN:これが逆再生? ははは(笑)。戻ったら自分でもやってみるよ。どうして逆回転することになったのかわからないね(笑)。

小原:たまたまです(笑)。ところで僕はルーバンのギターの音が大好きなので、ルーバンのあのギターの音を出してみたいです。

RN:ありがとう! (小原持参のギターを指しながら)このギターはたぶん合うと思うよ。僕がよくやっているのは……(ギターを弾きながら)アドナインスコード、メジャーコードだね。あとはこんな感じでマイナーのコード。今のが俺の音のすべてだね(笑)! 君なら全部できるよ(笑)!

小原:センキュー! キマります(笑)。

RN:あとはこんな感じでネックとボディをプッシュして……

竹内:たしかに映像で見たことあります。プッシュするのはネック? ボディ?

RN:その両方だね。ネックとボディをプッシュするんだ。

小原:(弾きながら)これけっこう力いるな……

RN:俺は慣れちゃっているからわからないけど、そんなに力はいらないよ。立っているほうがやりやすいと思う。

小原:ギターがかわいそうなんですけど……

RN:俺はいつも半音下げのチューニングで弾いているんだけど、弦のテンションが下がっているからよりやりやすいんだと思う。ジミ・ヘンドリックスのチューニングだね。

小原:ああー。ジミ・ヘンドリックス大好きです。サンキュー。後でギターを見せてもらってもいいですか?

RN:もちろんいいよ。

小原:僕は以前ニューヨークで、まだ3人でやっている頃のUMOを見たんですよ。その時にエフェクター・ペダルをパチパチやっていて……

RN:今はちょっと入れ替わったものを使っているんだよね。

小原:自分で(エフェクターを)作っている?

RN:そうだね。

小原:(自作エフェクターを)ください(笑)。

RN:じゃあアメリカでツアーを一緒に回った時に、かな。(笑)

Tempalay:うおーい!!!

小原:スゲー、スゲー! センキュー!

RN:俺らを見たのはどこの会場か覚えている?

小原:ブルックリンのウィリアムズバーグ・ミュージックですね。でも対バンがいなくて、DJなどの出演者が多いイベントでした。

RN:自分でもあまり思い出せないな……

小原:3ピースでしたね。『II』のアコースティック・ヴァージョンみたいな青いジャケのEP(『ブルー・レコード』)があるんですけど、そのツアーの時でしたね。

RN:ああ、思い出したよ。

小原:僕は涙しました。

RN:本当に? 僕も泣いたよ。

Tempalay:ははは(笑)。

竹内:音源のローファイな質感をライヴでそのまま再現するのは難しいと思うんですけど、ライヴの時はどんな質感の音を出したいと思っていますか? ライヴだからダイナミクスをつけるとか、そういう意識はしているんですか?

RN:ライヴではなるべくライヴなりの音に変えようと思っていて、特にヴォーカルを歪ませるということをすごく意識している。ジェイクとオタク並みに話し込むことがよくあるんだけど、プリアンプを多めに使うことがあるね。プリアンプを通すことによってヴォーカルの歪みをもらってよりアナログ的な音にする、ということをやっているよ。(バンドを)長く続けていて機材にお金をつぎ込めるようになってきたから、プリアンプの量を増やしたりすることができるようになってきていて、今よく使っているのはJHS 500シリーズのニーヴ(Neve)・コンソールという種類のペダルで、それを通すことで独特の歪みを作っているんだ。

小原:メモりたい(笑)。

竹内:こんなに教えてくれるとは思わなかったね。ライヴではヴォーカルの音にいちばん気をつけているということですか?

RN:そうだね。でもヴォーカルだけじゃなくて、みんな音全体に気を使っている部分もあるし、自分もギターのペダルは時間をかけて調整しているよ。たとえば今回のツアーのシンセサイザーは、アルバムで実際に使ったものを持ってきているんだ。コルグの700とか、ローランドのRS-9とか昔のアナログ・シンセなんだけど、それを自分で少し改造して使っている。本当は昔のフェンダー・ローズなんかを持ち運べれば最高なんだけど、それはまだ現実的じゃないね。ジェイクもずっとベースの音を調整しているし、みんなそれぞれ音に気を使ってつねに改善しようとしているよ。ただ、ヴォーカルはアンプを通していないから、プリアンプを使うことで調整しやすいということがあるかな。

無意識で舞い降りてくるようなものがいちばんいいアイデアだったりするから、そういうところを解放してあげるといいんじゃないかな。意識的に何かをやろうとするとうまくいかないよね。 (ルーバン)

RN:初めてアンバーとライヴをやったのがカナダのフェスだったんだ。もちろん彼女は俺たちの作品を聴いていたけど、その直前に数時間しか練習する時間がなくてね。しかも会場に行ったら機材が全部届いていなくて、自分たちの機材がない状態だったんだ。それで、前の出番のバンドの(ドラム・)ペダルだけ変えたり、自分も人からギターを借りたり、全員知らない人たちの楽器を弾いたんだ。シンセも小さいデジタルのものだったし、その場でやらなくちゃいけなかったんだけど、そのライヴがすごく楽しかったんだよね。つまり言いたいのは、オタク並みに色んな調整を追求していくのもいいんだけど、行き過ぎるのはあまり良くないってことだね。大切なのは正しく演奏するということで、それを忘れちゃいけないんだ。

竹内:いいこと言うねえ。

小原:エフェクターの回路についてアドヴァイスが欲しいです。

RN:まずディストーションを最初に置いて、真ん中は空間系のリヴァーブとディレイ、モジュレーター系は最後のほうに持っていくのがいいかな。一般的にはそういった構成が多いよね。

小原:じゃあ意外とスタンダードなんですね。

RN:そうだね。

小原:サンキュー。曲作りのアドヴァイスもいただけたら嬉しいです。UMOの曲の作り方、知りたいです。

RN:そうだなあ。ある本を読んだんだけど、自分にとっていちばん大切なライヴで悪い演奏をしてしまって、誰もいないようなド田舎での10人くらいのライヴでいちばんベストなライヴができたという話が書いてあったんだ。ライヴでも曲作りでも、意識的に気にしないということがすごく大切なことだと思う。今まで学んできたことや培ってきたさまざまな技術があると思うんだけど、ある意味それに無関心でいるというか、それを気にしてしまって何かを表現しようとすると自分のエゴが出てきてしまうから、そういうような曲を書いていたら良いものは生まれないと思う。たぶん、無意識で舞い降りてくるようなものがいちばんいいアイデアだったりするから、そういうところを解放してあげるといいんじゃないかな。意識的に何かをやろうとするとうまくいかないよね。それは作曲においても当てはまるんじゃないかな。

竹内:いいこと言うなあ。

小原:お酒は好きですか?

RN:ああ、今もけっこう二日酔いだよ。

Tempalay:ははは(笑)。

RN:お酒はよく飲むんだ。でも、アンバーはまだ24歳でバンドでいちばん若いんだけど、彼女は他の誰よりも飲むんだよね。彼女の出身地のケンタッキー州はバーボン発祥の地だからね(笑)。自分たちもけっこう飲んだくれだと思っていたんだけど、彼女はもっとタフなんだ(笑)。ちなみに昨日の夜はロボットレストランに行ってきたよ。

竹内:おおー。2年くらい前にも行っていたよね?

RN:2年前はロボットレストラン自体には入っていなくて、その近くまで行って写真を撮ったんだ。実際には行かなかったんだよね。それを想像で曲にしたんだ(笑)。今回行ったのが初めてだったね。

小原:想像なんだ(笑)。

RN:でも今回は楽しかったよ。

小原:じゃあライヴの後に乾杯しましょう。

RN:おお、いいね!

小原:センキュー! 最後にサインを貰ってもいいですか?

RN:たぶん来年の後半にツアーをするから、もし本当に一緒に回るならちゃんと話したほうがいいよね。

竹内:本当?

RN:ああ、本気だよ。

小原:センキュー!

RN:いい出会いだね。(ペンを渡されて)ギターに書こうか(笑)?

竹内:それ、めっちゃ嬉しいじゃん。

小原:好きなところに書いてください。たくさん絵を描いて!

竹内:イタリアの古いビザール・ギターなんだよね。

RN:クールだね。これ好きだよ。

竹内:ルーバンはライヴ前に飲まないんですか?

RN:俺はいつもステージで(酒を)飲んでいるよ。感覚を忘れないようにね(笑)。

Tempalay:ははは(笑)。

RN:(ギターを渡して)これでいいかな?

小原:センキュー! やったぜ。

【イベント情報】

●3/18 (土) 東京 渋谷WWW
Tempalay『5曲』リリース・パーティ & Jerry Paper来日東京公演
OPEN 18:00 / START 18:30
TICKET: adv. ¥3,500 (D別) / door. ¥4,000 (D別)
LIVE: Tempalay / Jerry Paper (from LA) / ドミコ (OA)

※各プレイガイドにてチケット発売開始

●3/26 (日) 大阪 アメリカ村CLAPPER
Tempalay『5曲』リリース・パーティ & not forget pleasure4
OPEN 17:00 / START 17:30
TICKET: adv. ¥2,500 (D別) / door. ¥3,500 (D別)
LIVE: Tempalay / オオサカズ / Klan Aileen / DIALUCK

※各プレイガイドにてチケット発売開始

【リリース情報】

Tempalay
New EP 『5曲』
Release: 2017.02.15
PCD-4549
¥1,500+税
https://p-vine.jp/music/pcd-4549

[Track list]
1. New York City
2. Austin Town
3. ZOMBIE-SONG feat. REATMO
4. CHICAGO in the BED
5. San Francisco


Unknown Mortal Orchestra
Multi-Love
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Tempalay
5曲
Pヴァイン

Indie Rock

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