「CE」と一致するもの

Chart JET SET 2012.12.17 - ele-king

Shop Chart


1

Burial - Truant Aka One / Two (Hyperdub)
ご存じFour Tetとのジャンル越境コラボ・アンセム"Nova"も記憶に新しい美麗ベース天才Burial。『Kindred Ep』のメガヒットと1st.&2nd.アルバムの再発を経て遂に待望の新作が登場です!!

2

Toro Y Moi - So Many Details (Carpark)
激注目サード・アルバム『Anything In Return』からの先行シングル!B-sideには、Ofwgktaクルーのラッパー、Hodgy Beatsによるリミックスを収録。

3

Makkotron a.k.a. ひよこ - Waiting Room (Smr)
Smrミックス・シリーズ第三弾は、Theo ParrishやCut Chemist、Dj Shadow、Force Of Natureなどのヴァイナル・ディガー達が敬愛する、元ひよこレコード店主、Makkotron a.k.a.ひよこ!

4

Roc Marciano - Reloaded (Decon)
ヒップホップ・フリークが待ちに待ったであろうRoc Marcianoのフルアルバム! 楽曲の半数以上はセルフ・プロデュースで、他にはQ-tip, Alchemist, Ray West, Ark Druidsが参加。

5

Herbert - Bodily Functions Remixes (Accidental)
ご存じ巨匠Herbertが'01年に放った生活音グルーヴ満載の歴史的傑作『Bodily Functions』収録曲を、説明不要の音響ミニマル/フリーキー・ミニマル天才たちがリミックスした話題の1枚。

6

Moon B - Untitled (Peoples Potential Unlimited)
以前カセット・テープのみで流通され、それを聴いたDam-funkも「リアル・ファンクだ」絶賛したという、全Ppuファン直撃のロウファイ・シンセ・ファンク・アルバム!!

7

Dj Nu-mark - Broken Sunlight (Hot Plate)
ヒップホップを中心に、ソウル~ブレイクビーツ~アフロ~ディスコと幅広いサウンドを披露してきた先行シングルから、俄かに期待の高まっていた最新アルバムが登場です! ゲートフォールド・ジャケット仕様。

8

Disclosure - Latch Feat Sam Smith (Pmr)
前作『Face Ep』がメガヒット、Joe Goddard率いるGreco Romanからデビューを飾った人気急上昇デュオDisclosureが、Jessie Wareらのリリースでお馴染みPmrから初登場リリース!!

9

K-def - Signature Sevens vol.1 (Rated R)(Slice Of Spice)
Lord Finesseの7"シリーズでお馴染Slice Of Spiceの次なるリリースはなんとK-Def3部作!記念すべき第1弾は、当時Marley Marlのスタジオとして有名な「House Of Hits」に所属したクルー・Rated Rを迎えたブーンバップな楽曲を、Datアーカイブからリストアし初お披露目!

10

Para One - When The Night Remixes (Because)
『Passion』の中でも際立っていたソウルフルな男性Vo.をフィーチャーしたアーバン・スロウ・ディスコが嬉しい12インチ・リリース。リミックスも粒揃いです。

Tracey Thorn - ele-king

 19世紀のなかばのロンドンともあれば、近代の基礎はしっかりできているので、ひとの人生観も多様化している。『クリスマス・キャロル』に出てくるスクルージって、考えてみれば、150年後の新自由主義の走りみたいなキャラだ。当たり前の話、人はクリスマス・イヴに3人の幽霊に会うわけではないので、150年後はこうなっているのだろう。
 とはいえ、欧米のロック評論を読んでいると何かとチャールズ・ディケンズの名前が出てくる。そのおかげで僕は彼の重要性を認識したほどだ。たとえばデイヴ・マーシュという評論家は、ジョン・レノンをもっともディケンズ的なキャラクターだと言っている。ジョン&ヨーコの"ハッピー・クリスマス"は『クリスマス・キャロル』に匹敵すると評している(いかなる人も等しく幸福であることを願っているという意味において)。
 この季節は1年でもっとも感傷的な季節だ。個人的には震災以降、感傷的な音楽は意識的に遠ざけていたところがある。しかし、かれこれ10年以上も、携帯の留守電にWhy Sheep?から一方的に歌を吹き込まれる12月8日の夜を迎える頃には、自分も街のなかの感傷を受け入れざる得なくなる。メリー・クリスマス、最低の人生に乾杯。
 先日、『クリスマス・キャロル』がどういう物語なのかを8歳の子供に説明したが、骨の折れる、極めて困難な作業だった。そもそも何故スクルージが金に執着していたのか、そして何故、突然、一夜にして途方もない愛が吹き出てしまうのか、子供にわかるわけがない。大人にだってわからない。大きな七面鳥をティムに送るのに、何故スクルージが自分の名前を伏せるのか、それがわからないから偽善的な売名行為も野放しにされる。

 トレイシー・ソーンと言えば、エリザベス・フレイザーやホープ・サンドヴァルらと並んで、個性的な声ゆえに、いまだ根強い人気をほこる女性シンガーだ。昨年は、ザ・XXのカヴァー・シングルもリリースしているが、これはかねてからトレイシー・ソーンのファンだったザ・XXからの希望だったという。
 かくいう僕も世代的に言ってマリン・ガールズからエヴリシング・バット・ザ・ガールのセカンド・アルバムまではそれなりに思い入れがある。プリテンダーズの"キッズ"のカヴァーで泣くオヤジである。Why Sheep?のように、トレイシー・ソーンが参加しているというだけでマッシヴ・アタックはセカンド・アルバムが最高作だと信じている輩も少なくない。同世代では、いまだにしつこく『エデン』の頃の彼女を聴き続けてるファンも多いし、クラブ・ミュージックに接近してからの彼女もずっと追い続けている人だっている。トレイシー・ソーンがクリスマス・アルバムを出したと知れば、宿命的にそれはヘヴィー・ローテーションとなる。

 『ティンセル・アンド・ライツ』は、歌詞で『クリスマス・キャロル』を歌った"ジョイ"、それからタイトル曲以外はカヴァーという構成。大御所ドリー・パートンやあらゆる世代から愛されているジョニ・ミッチェル、アメリカの大作曲家のランディ・ニューマン、それからホワイト・ストライプスやスフィアン・スティーヴンス......童謡も歌っている。スクリッティ・ポリッティの曲は数年前の復帰作から。グリーン・ガードサイトもゲスト・ヴォーカリストとして1曲参加している。
 トレイシー・ソーンは、80年代にたくさんあったお洒落なソウルのひとつだったが、思えば、彼女のパートナーが作った『ノース・マリン・ドライヴ』にも、そして彼と彼女の『ラヴ・ノット・マネー』にも、ディケンズ的な、キャロル的な要素は強かった。〈チェリー・レッド〉の有名なコンピレーション『ピロウズ&プレイヤーズ』は1982年のクリスマスに「99ペンス以上払うな」と記されて、発売されている。実にわかりやすくキャロル的な希望を表すメッセージだが、日本では『クリスマス・キャロル』はかき消され、ネオアコなる奇妙な名称で紹介され続けている。こうしてチャールズ・ディケンズは、渋谷の街から姿を消したのだった。

DJ Kamikaz (Clockwise.Recordings) - ele-king

レーベル再始動から、まだ少しの時間しか経っておりませんが、沢山の素っ裸で、飾りっけの無い実直な海外~国内の表現者の方々、音楽以外の表現方法で深い所から人を感動させる人物とお話する機会を沢山頂きました。。皆様から感じ取れたものは、まさしく「愛」の一言です。一見、陳腐に感じる言葉ですが、薄っぺらさの無い、本当に深い意味での「前向きな」愛です。(それ以上はご想像にお任せいたします。。)音楽が絡んではいますが、映像もあり、本もありですが、音楽を通して音楽に関係したものからも愛を頂けたものを取り上げさせて頂きました。表現する人の作り出すものこそ、その人そのもの。human is musicとはまさしく言い得て妙だと感じました。今回のチャートにのせてあるリンク先へは、ちょいとお時間使ってチェックしてみてください!生活に愛を取り入れたい人にはもってこいですよ~。

Chart


1
Kenji Hirata - 2 makes 1
https://www.youtube.com/watch?v=ZuFVoRJWjns
https://www.jkdcollective.jp/index.html#Kenji_Hirata
嘘も駆け引きも飾りっ気も全くない真っ白な世界。素敵です。

2
Think Twice About This World - 普天間のスケートショップ
https://thinkworld.ocnk.net
お店の名前のまんまのお店。オーナー缶氏のつけた店名で気付かれた方は曲も聴いてみてください。是非ホームページを見てみてください。

3
olive oil - Far From Yesterday
鬼才olive君からレーベルに届いたサンプルのアルバム、聴かせて頂きました!とても暖かいバイブスと愛に溢れた作品です。
最近毒を持って毒を制す?アーティストが多い中、愛をもって全てを制す類希な作品だったと思います。フワフワです。

4
君にお届け - ミスター・マイク
https://www.youtube.com/user/szparasite?feature=watch
スケーター兼、映像クリエイター。能無しフィルム主宰。マイク君の作品は万物への愛に溢れたフラットな感じ。

5
三田格/野田努 - Techno Definitive 1963-2013
私も色々意見しながらこねくり回して作り上げたdj klockの「sensation」を取り上げて頂いております。
音楽とそれを作った人達への純粋な愛の本。

6
dj klock - sensation
制作した当時、私は電話一本で呼ばれました。「カミカズ、常磐線乗れる?何分で着く?手伝ってほしいんだけど。」ここからが始まりでした。世の中の全ての物事が僕らにとって「先生tion」だった、という作品です。

7
KARAFUTO - ENJOY SUPER LIGHTS
まさしく音楽へのまっすぐな愛です。

8
DJ KATO - If you want to listen to more my productions...
clockwise recordingsからの新人による新作音源です。1990年代のアブストラクトミュージックへの深い愛を素直に表現しているトラック。レーベルのサウンドクラウドにて、音源の公表をいたしますので乞うご期待!

9
moodymann - Forevernevermore
愛の一言。古いですが色あせない。

10
dj kamikaze - abstractions of sounds
皆を愛し、愛された作品。ありがとうございます。

https://www.facebook.com/clockwise.recordings
https://twitter.com/dj_kamikaz
https://soundcloud.com/clockwise-recordings
https://soundcloud.com/kazakami

ダブステップ人生(DUBSTEP FOR LIFE) - ele-king


VARIOUS ARTISTS
1ST ASCENSION

GURUZ

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 こんにちは。
 レーベルGURUZ主宰のDJ Doppelgengerです。

 僕がDUBSTEPのDJをやりはじめたのが約5年前。それからいまを比べれば、随分と認知は広がったように思えます。当初はBack To ChillとDrum&Bass sessionsぐらいしかDUBSTEPのパーティがなかったですし、DJの数もまだ少なかったのを思い出します。僕は幸いなことにそのなかでプレイをすることができ、多くの国内、そして海外アーティストとも共演することができました。

 そのなかで記憶に新しいのがDJ PINCH。Techtonicといういまや有名なUK DUBSTEPレーベルを主宰する彼との交流は、すごく貴重な時間でしたね。彼は僕と同じ境遇、クリエイターでもありDJでもありレーベルマネージメントもおこなっており、れでいて、あれだけ多くの作品を輩出し世界で認知させてきた経緯など、いろいろ聞かせてもらいました。

 一緒に居て思い浮かんだ言葉は「情熱」。
 例えば、1枚のレコードやCDを出すことにも、実に多くの労力と時間、そして覚悟が必要です。ひとつひとつ、その思いが詰まったレコードたち。PINCHのレコードバッグはすべてDubplate(テストプレスの白盤。なかにはアンリリースも多々!)だったのが衝撃でした。
 それと針がSHUREの44Gを使ってたんですよね。何でこんな針圧も弱く、ハウリングしやすい針を使うのか? Dubplateは通常のレコードよりも溝が浅いので、ortofon等の針圧の強いものだと溝がえぐれてすぐに盤がダメになってしまうからなんです。なもんで、リハも相当入念に行ってましたね。これだけ自分の曲からリリース、そしてDJセットまで、すべて究極を追求し、それをスピーカーを通じて聞き手に届けている......本場のDUBSTEP、そのひとりの姿勢を魅せて貰いました。

 これは例として、海外DUBSTEPアーティスト全般、皆オリジナル思考がすごく強くあって。それって音楽云々以前のとても大切な部分であり、人と違う自分だけのものを追求するっていう大切な行為だと思います。

 DUBSTEPが海外でこれだけ大きくなった背景には、このオリジナル思考を随所に感じます。まだそれほど歴史は短いにしても、この枝分かれ具合にしろ、スタイルにしろ、細分化の早さがそう物語ってますね。

 聞いたことあるかもしれませんが、Digital Mystiksが主宰するパーティDMZはあまりに尋常じゃないBASSを出すので、入口で耳栓を配るそうです。イカレてますよね(笑)。けど、そこでのサウンドは相当やばいらしく、平気で数千人のクラウドが集まるとか。やっぱヨーロッパのクラブシーンの個性、そしてレヴェルの高さは凄いですね。
 やってる人は解ると思いますが、オリジナル志向って度胸や覚悟も必要なんですよね。自分や仲間の、それも未マスタリングのアンリリースの曲って音質もバラバラだし、鳴りも同じくマチマチですし。スタイルも何処にも属さない、誰も知っちゃいないような曲ですし。けど、それをプレイすることってすごく大事なんですよね。

 たとえ未完なものでもいいんです。いまを全力で追及した結果を1曲に封入し、それを現場でかけるって行為が大切なんじゃないかと。

 最初の頃は、なかなか良い結果は出ないでしょう。それだけ、自分の曲でフロアを納得させる事って簡単じゃないですから。けど、作り続け、かけては直し入れてを繰り返し、そしてプレイし続ければやがて「この曲好きです!」っていうのが出てきます。そこでようやく長年かけ続けてきた意味が出てくるわけであって。そして、「自分の音」ってものが確立され、DJとしても一脱出来るんじゃないかと。全体がそうなっていけば、それぞれの個性がもっと出て、パーティの盛り上がり方も変わってくると思うんです。自分らの曲でアンセムが出来たりして、やがて独自の文化が生まれると思うんですよね。

 日本のDUBSTEPは、徐々にそれが浸透していっているように感じられます。今年僕は1st Album『Paradigm Shift』をリリースして、国内ツアーで全19カ所を回ってきたんですが、随所でそういったアーティストと会うことが出来て。人数は少ないながらも、オリジナル曲で勝負してるDJもいました。
 そして、そんな仲間に声をかけて集まった曲をすべてリリースしようと思い、年末の12/22にコンピレーションアルバム『1st Ascension』をリリースすることになりました。

 今回最年少だと17歳と20歳の兄弟デュオSeimei&Taimei。僕が知り合った頃、兄のSeimei君は19歳だったんで、クラブに入れないっていう話で(笑)。そして弟のTaimei君はまだクラブ行けないそうです......。
 しかし、曲聴いてびっくりですよ。若い柔軟な脳みそってここまで吸収しちゃうんだなーと。DUBSTEPが好きだという気持ちが全面に出ていて、それが随所で感じられて、見ててこっちも刺激になりますね。深夜クラブには行けないけど、彼らなりにやれる場を探して、早い時間帯のU20のパーティに出演したり、自分でUstream配信したり。この情熱は見習うべきですね。是非彼らの曲、聴いてみると良いですよ。そして彼らを例に、若いクラブミュージック好きな人、いますぐ曲作りにチャレンジしてみるといいでしょう。着手は早いに越したことが無いし、若い方が覚えるもの速いです。時間も余裕あるだろうし。

 話戻しますね。

 あと、栃木にB Lines DelightというDUBSTEPクルーがいます。
 彼らも凄いですね。何が凄いって、メンバーほぼ全員が曲作ってて、それを現場でしっかりかけてるんですよね。東京以外でここまで成熟したクルーは彼らぐらいしか現状居ないと思います。それぞれやばい曲作りますし、なかには海外ラジオや有名DJがかけている曲も保有してます。

 コンピにも彼らのなかからSivariderとRyoichi Ueno、Negatinが参加してます。とくにRyoichi Uenoの曲「Brain」はラッパーの志人君の声がサンプリングされてて彼の諭すような声と重厚なビートが合わさって、いままでに無いDUBSTEPサウンドが出来たと思います。志人君に聞かせたところ、快くOKしてくれて。嬉しかったです。この場を借りてお礼申し上げます。ありがとう!

 それに加え、今回は沖縄出身のアーティストが3組います。DUBGYMNER、Helktram、CITY1。それぞれ別々に知り合ったんですけどね。昔から何故か、沖縄の人とは縁が深いです。それってやっぱ土地柄というか、沖縄って全般的に個性が強い場所だと思うんですよね。
それが音楽にもやはり反映されてて、3人とも全然違った個性ながらも、かっこいい曲作ってきますよ。DUBGYMNERのMONDOってやつはDJもやってて、BUD RYUKYUっていうDUBSTEPパーティも主宰してます。僕もツアーで足を運ばせて貰ったんですが、凄く良いパーティでしたよ。沖縄DUBSTEPシーンの先駆け的なパーティでしたね。

 あと、これはBack To Chillを通じて知り合った100mado、DEAPA、DUBTRO。とくに100mado「Indian Zombie」はかれこれ2年前ぐらいからプレイしており、それを自分のレーベルからリリース出来て、すごくうれしいですね。僕のDJを何回か聴いた事のある人は、絶対に耳にされてる曲だと思います。DUBTROもじわじわと頭角を現してきてますしね。

 これは制作秘話? ってほどでも無いんですが、マスタリングはこれまたBack To ChillクルーのENA君にやってもらいました。やはり同じジャンルに精通しているだけあって、実に理想的な音に仕上げてくれました。
 彼と作業した1日も、いろんな意味で面白かったですね。エンジニアワーク見てるって面白いですよ。制作とはまた違う視点で。使ってるケーブルやら機材、電源やら、スピーカーとか吸音材とかの話もして。かなりマニアックな話でした。ついでにですが、ENA君のアルバムが来年7even Recordingsからリリースされます。これもかなり凄い内容で、国内外で話題になる事でしょう。

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VARIOUS ARTISTS
1ST ASCENSION

GURUZ

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 こんな感じで、自分を取り巻くDUBSTEPアーティストの皆さんと協力して、今回こういったリリースが出来る訳でありまして、なんとも感慨深い気持ちですね。しかも「国内初の日本人DUBSTEPコンピレーション」という名目まで! ありそうで無かったんですよね。これが。そして12月22日。マヤ暦が終焉を迎えるこの日を敢えてリリース日とさせて頂きました。タイトルも『1st Ascension』。これは、JAPANESE DUBSTEP新時代の幕開けという裏テーマが隠されています。

 これを皮切りにレーベルGURUZからどんどん日本人DUBSTEPをリリースしていく予定です。何故か? DUBSTEPが好きだからですよ。
 これ、PINCHにも同じ質問してこう返ってきたんですよね。シンプルかつ響いた言葉、僕も使わせてもらいます。

 もっといろいろなスタイルがあって良いと思うし、さまざまな解釈があってこそ、DUBSTEPだと思います。それこそ、いま大きく言えば二極化してるブロステップとディープ系ダブステップ、それぞれが盛り上がるって大事なことですよ。
 いまのシーンを見てると、ブロステップの流行が目に入りますね。こないだのスクリレックス公演なんか3000人SOLD OUTらしいですね。僕は正直、ブロステップに関しては好きではないです。聴く努力はしましたけど、サウンド然り、どうも馴染めないです。けど、それはそれでそういったシーンが出来たという現実は受け止めてますし、彼らの功績もまた凄いですね。ただ、いまそれがアメリカで流行ってる、だから正しい、というわけではないと思います。日本人はとくにメディア操作に操られ過ぎです。
 シーンが虚空の肥大をして過度のビジネス傾向に陥り、魂の無い音楽が蔓延して、結果、何も残らないっていうね。それではならんのです。
 僕はDUBSTEPを大事にしたいんですよね。だからこそ、そこに魂、そしてメッセージが宿っているかどうか? ってことにはサウンドクオリティと同等に気持ちの比重を置いてますね。

 これは自分に対する課題でもあると思ってます。いまの僕視点でのDUBSTEPが果たして正しい道なのかどうか、これは時間が経たないと解らないじゃないですか。それだし、僕が提唱しているDUBSTEPでもきちんとビジネス出来る環境を作らなきゃいけないって思うんです。
 これはUK DUBSTEPシーンを見ていてもそう。例えば先に言ったPINCHやMALAみたいなアーティストが、 いまの日本のシーンで成功出来るとは到底思えない。しかし、彼らは向こうじゃトップアーティストであって、音楽で生活を賄っているわけで。

 これを日本でやろうって「無理だ」って言葉が大多数ですけど、そう言って動かないでいては何も変わらない。畑は耕さないと、芽はいつまでも出てきませんから。僕はDUBSTEPとこれからも長く付き合っていきたいです。そのためには少しずつ、ひとりずつ納得、共感してもらって土壌を作って行く事が今の自分がすべき事だと思ってます。サウンドクオリティの向上は当然ながら、それとともにリスナーの聴くレヴェルも向上させていく必要性は感じてますね。

 だから、僕はレーベルを立ち上げたというのもありますし。GURUZからもっといろいろな日本で暮らしているDUBSTEPのクリエイターを世に知らせていきたいなと。そして、もっとこの国で起こっているドープなDUBSTEPのシーンの実情を国内外共に伝えていきたいんですよね。これだけ世界で大きな波となってるDUBSTEP、だけどそれって日本の場合、大衆には僕らがやってるDUBSTEPというのが現状あまり見えてないと思うんですよ。先に言ったブロステップ然り、表面的なものでストップしちゃってる。

 これを広めるって容易では無いですよ。一人対全国ですから。しかし、不毛だからこそチャレンジしたいっていうね。あきらめたらそれまで。前進すれば道は拓ける。これは音楽云々以前の、人としての生きる姿勢の選択であって。地道に時間かけてでも、道を拓く覚悟ですよ。

 パーティにおいては、東京だとDrum&Bass sessionsやBack To Chillなんか、音響も素晴らしいですし、日本最高峰のDUBSTEPが聴ける現場と言えるでしょう。最新の国内外のDubplateもガンガンかかってるし、DUBSTEPのいまを知るにはうってつけのパーティと言えますね。まだ行ったことの無い方、そして若いDUBSTEP好きな方は是非、足を運んでみるといいでしょう。大箱でしか体感出来ない極太BASSを体全身で感じれば、DUBSTEP本来の素晴らしさを知ることでしょう。

 最後に、12月22日のリリース日に、僕の地元大宮でリリースパーティも開催します。僕がいま思う新鋭アーティストを揃えた奇跡の一晩となることでしょう。サポートは地元のDUBSTEPクルーMAMMOTH DUBがしてくれてて。彼らとは共に3年、地元でパーティを開催してきて。大宮は年々DUBSTEPが育っていってる感をビシビシ感じますね。オリジナル曲もどんどん増えてるし、この日はかなりの数のオリジナル曲がスピンされるでしょう。都内からも近いですし、是非皆さん遊びに来て下さい。
JAPANESE DUBSTEPの新たな一面をここで垣間見ることでしょう。

 東京でのリリパは2月を予定。詳細をお楽しみに! ほか、地方公演もいろいろ入ってきてます。スケジュールは以下の通り。各地の皆さん、またお会いしましょう!

 それでは、DUBSTEP FOR LIFEでした。
 PEACE.

DJ Doppelgenger - DJ SCHEDULE
12/1 Version @ CACTUS (乃木坂)
12/8 Drum&Bass Sessions @ UNIT (代官山)
12/22 [ 1st Ascension ] Release Party @ 444quad (大宮)
12/31 Countdown Party @ 444quad (大宮)
1/13 TBA @ Circus (大阪)
1/20 Dubstep Area @ The Dark Room (福岡)
1/25 TBA @ TBA (長野)
2/1 TBA @ TBA (東京)
2/23 TBA @ Bangkok (タイ)
3/2 TBA @ Rajishan (静岡)

■2012 DUBSTEP sellection 10
MALA / MALA in Cuba (Album)

今年一番好きなアルバム。
これだけポップに、かつ相当凶悪なベースを鳴らしたアルバムってこれぐらいなのでは? ダブステップとキューバ音楽とのコラボ、これは楽しい1枚でした。

Review Amazon iTunes

GOTH TRAD / NEW EPOCH (Album)

言わずもがな、GOTH TRADのニューアルバム。
前作MAD RAVER'S DANCE FLOORから世界へと進出し、研ぎすまされた次のビジョンを見させてもらいました。
RESPECT。

Interview Amazon

Swindle / Do The Jazz (12inch)

DEEP MEDIからの新たな刺客Swindle。
彼の持ち味のJAZZがふんだんに盛り込まれた、新しいスタイル。
これは斬新だった。

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ENA / Analysis Code (12inch)

これまた、何処にも属さない全くオリジナルスタイルを提唱した問題作。
来年出るアルバムも、かなり物議を醸し出しそうな予感。
これからの進化がどうなるのか、予測不能で楽しみです。

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Shackleton / Fablic 55 (MIX)

ミックスながらも全曲オリジナルでの編成。
これは凄い。呪いステップですね。世界観の統一具合、クオリティ、完璧でした。

Review Amazon

KRYPTIC MINDS / THE DIVIDE (12inch)

ミニマルテクノ+ダブステップ。
凄くシンプルながらもフロアライクなテッキースタイル。
こういうダブステップもどんどん出てほしい。

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DUBTRO / MIND HUMAN (Compilation)

Back To ChillクルーDUBTROのニューチューン。
これはUK ダブステップレーベル [ MIND STEP ]コンピレーションからの1曲。
これまでのDUBTROを越えた感がありました。

KILLAWATT & THELEM / kaba (12inch)

KILLAWATT好きですね。他もだいたい好きです。
ダンジョン系ダブステップ最高峰。

iTunes

V.A / 1st Ascension (Compilation)

僕が見てきた日本のダブステップが此処に。
今、日本のアンダーグラウンドダブステップの実情を知りたいのならば、これを聴いてほしい。

Amazon

DJ Doppelgenger / Paradigm Shift (Album)

今年リリースした僕の1stアルバム。
僕のアーティスト人生も大きく変わった、2012年、一番心に残る一枚となりました。

Review Amazon iTunes


DJ Doppelgenger ( GURUZ )

15歳からDJキャリアをスタート、そして2008年よりDJ Doppelgenger名義でDubstep DJとしての活動を開始する。世界各国を放浪した経験を基に、ワールド感漂う独自の音楽観をDubstepというフィールドで表現している。東京を代表するBass Music Party『Drum&Bass Sessions』@代官山UNITのレジデンツとして出演。そして、2009年より地元埼玉でMAMMOTH DUBを開催し、多くのアーティストを招聘している。これまでにrudiments、subenoana等のレーベルよりmix、trackをリリース。

NEON INDIAN - ele-king

 ネオン・インディアン......チルウェイヴから登場した人気者です。彼がDJとして来日します!!! SK8THINGたちと一緒にDJパーティです。インディ・キッズからクラバーまで、幅広く楽しめるでしょう。
 とくにファッション(服)やデザインが好きな人、お洒落が好きな人、快楽主義者のあなたは注目してください。夢見る80sのシンセ・ポップやイタロ・ディスコなんかで踊りましょう。自分を着飾ることはまったく正しいことです。ちょっとここ数年の東京にはなかった夜になりそうですね。

PROM launching party "PROMNITE"

DJ:
NEON INDIAN <https://neonindian.com/>
SK8THING (C.E)
KIRI (YES/REVOLVER)
AVERY ALAN + SEM KAI (PROM)
TETSUYA SUZUKI (honeyee.com)
MR.TIKINI

日時:12月15日(土)
開場:9PM
場所:Le Baron de Paris (南青山) https://www.lebaron.jp/map/

Supported by PHENOMENON, Mr.GENTLEMAN, Revolver

Door Price:¥3.000 w/ 1Drink
RSVP Price:¥1.500 w/ 1Drink

www.tokyoprom.com>にてRSVPフォームを通してお名前とメールアドレスを登録していただければ半額の1,500円にて入場案内させていただいております。

ele-king TV@DOMMUNE - ele-king

 橋元優歩が自意識をぎらつかせながらも署名した、風営法改正にむけての「Let's DANCE署名運動」もついに「88,000筆」を超えたそうです。関係者の方々のお疲れ様です。あともう少しで10万ですね。ようやくマスメディアもこの問題の報道をするなど、クラブに直接関係のない人たちのあいでも関心が高まり、広がりをみせているようです。
 実際、これはクラブ文化内だけで済まされる問題ではないので、ライヴハウス専門のインディ・キッズも一緒に考えて欲しいと思います。12月12日(水)は、夜7時からDOMMUNEで風営法特番が放映されます。いったいいま何が起きているのか、もういちどおさらいしつつ、みんなで考えましょう。出演は磯部涼、大友良英ほか。ちょうど選挙前、参考になる話が聞けるはずです。
 
 さらにDOMMUNEでは、翌13日(木)には、ele-king TVも放映します。これは『TECHNO Definitive 1963-2013』刊行記念+『ele-king vol.8』発売記念としてテクノの話と最新号の話をします。雪国で育ったタフでライトなオタク女、橋元優歩をはじめ、ミタカジのオリジネイター、三田格、奄美の男汁が吹き出す松村正人、タチの悪いツイッター中毒者の竹内正太郎、そして毎日が二日酔いの私野田が出演予定です。当日、入場者には『TECHNO Definitive 1963-2013』ステッカーのプレゼントします。忘年会のつもりでやるので、みんな現場に来てください。一緒に飲みましょう。

Power Animal - ele-king

 それは、はじまりのはじまりなのか? それとも、終わりのはじまりなのか?
 そう、昨今のポップ・ミュージックをめぐる膨大な情報量は、すでにひとりの人間が取捨選択できる量を物理的に超えている。極めて原始的な状況だと言えるが、もちろん、ある意味ではこの上なく健全な状況になったとも言える。そう、底が完全に抜けてしまった焼け野原のような場所で、わたしたちは自分たちの現在地を新しい方法で確かめつつあるように思う。ここで重要な機能を果たしているのが、(いまさらながら)レーベルだ。星の数ほど存在する無数の音楽を最低限のサイズの輪のなかでグループ化する、中間的なコレクティヴとして、それは間違いなく復権している(2012年、欧米の先進的なウェブ・メディアでは「レーベルズ・オブ・ジ・イヤー」が積極的にセレクトされている)。
 たとえば、ヴェイパーウェイヴのセル化で話題を呼んだ〈ビア・オン・ザ・ラグ〉、その母体とも言える〈AMDISCS〉、ジュークにハマっている日本のトラック・メイカー、食品まつり a.k.a. foodmanのリリースを行ったことでも知られる〈オレンジ・ミルク・レコーズ〉など、ウェブ・レーベル以降の流れを踏まえつつ、日本のレコード・ショップでもフィジカル作品が流通するレーベルはいまや少なくない。もちろん、他に挙げだしたらキリがないが、そこに一貫しているのはその「一貫性/整合性のなさ」である。ほとんどのレーベルが、最初からオムニバス的なセレクト・ショップとして立ち上がっている。
 〈クラッシュ・シンボルズ〉も、2010年の創設以降、「Dope F**k」を標榜しているアメリカの新興(在宅)レーベルだが、ヒップホップからガレージ・ロック、テクノ、サンプリング・ポップ、その他アヴァン・ポップなどをカセット/ヴァイナル/MP3でリリースし、そこに整合性らしい整合性はない。インタヴューも何本か発表されているが、「〈クラッシュ・シンボルズ〉は、わたしたち(複数のオーナー)の美意識の重なり合いなんだよ」という言葉が象徴的だろう。いいと思ったら何でもやる、というわけだ。

 今日はそのうち、2012年にフィジカル・リリースされたアルバムを2枚、紹介しよう。まずはテキサスのトラック・メイカー、スティーブン・ファリスがコズミック・サウンド名義で(元々は2010年に)発表した『VHSヴィジョン』だが、簡潔に言うなら、これは〈ノット・ノット・ファン〉と〈ニュー・ドリームス・リミテッド〉のミッシングリンクである。ゴーストリーなローファイ・ファンク(ディスコ)と、1990年代的な終末論とインターネットへの期待感を反省的に仮視する、ヴェイパーウェイヴ的なシンセ・ポップ、あるいはスクラップ処分されたローファイ・ハウスのような音を立ち上げる。2012年によって発見された、2010年の知られざる問題提起、いわば早すぎた2012年の断片である。
 また、キース・ハンプソンと兄弟/友人によるユニット、パワー・アニマルの『エクソシズム』は、アニコレ以降のインディ・ポップに、サンプリングと生演奏をチャーミングに結びつける。自身のレーベル(と言ってもバンドキャンプのアカウント?)からリリースされている前作『ピープル・ソングス』(2011)も、よりバンド演奏に重心を置いた素晴らしい内容で、少し前なら「音楽の編集能力」などと言ってもて囃されたであろうセンスが、いまや「name your price」でゴロゴロしていることを知る。そしてそのことを、他でもなく彼自身が理解しているがゆえに、わかりやすい「アガリ」を設定しないのだろう。『エクソシズム』は、飽和した音楽の情報網がバグとして排出した、あるいは不要になったMP3データが山ほど突っ込まれた、デスクトップの片隅に配置されたごみ箱が奏でるシンフォニーである。

 「コンピュータ、インターネットなどは、音楽へのアクセスを簡単にしたし、音楽を作るのを簡単にした。だから、ひとつの音楽に支配されることは、わたしたちが生きているあいだはきっとないと思う。それは悪いことかしら? いいえ、いいこともたくさんあると思う。」――米音楽メディア『ピッチフォーク』の編集者、エイミー・フィリップは、本誌のインタビューにかつてそうコメントしている。音楽流通の革命的な合理化は、様々な物語(時代を象徴するカリスマ? とか)をわたしたちから奪った、ということにされているが、わたしたちがたどり着きつつあるのは、島宇宙の乱立による物語なき閉塞などではない。そこには希望とも取れる新たな風景が広がっている。
 わたしたちが卒業したのは、多数決という野蛮なシステムであり、いま、時代を定義づけるような大衆文化の社会現象というものが、音楽の担うべき役割から完全に離れつつある、それを何年かかけて確認したに過ぎないのではないか。かつて成立していた「ポップ(多数)」は瓦解し、その残滓が「サブ(下位)」へ細かく再分配されるのは、もう避けられない。それは、より端的に言えば、「良い/悪い」の話ではなく、単に踏まえるべき圧倒的前提である。だとすれば、私たちリスナーに求められるのは、ポップの捏造的な再興を望むことではなく、どれだけ細部にまで愛をもってコミットできるかではないか。たとえそれが、どんなに小さい世界であっても。
 いい時代が来たなと、私は心から思っている。

Chart JET SET 2012.12.03 - ele-king

Chart


1

Slow Motion Replay Presents Dunk Shot Brothers - Love Me Tender Ep (Smr)
早くも、HikaruやMr.Melody、やけのはら等がプレイするなど、前作同様のヒットを予感させるエディット集が到着しました。様々なシチューエーションでばっちりハマるレコード・バック内のスタメン確定な1枚です。

2

Maxmillion Dunbar - Woo (Rvng Intl.)
Beautiful Swimmersの片割れにして、Future Times主宰者のAndrew Field

3

Greg Foat Group - Girl And Robot With Flowers (Jazzman)
これまでの作品は全て即完売で先行シングルも大ヒット。エレガントでサイケデリックでグルーヴィーな独自の世界を進化させた、待望のニュー・アルバムが遂にリリース!!

4

七尾旅人 - サーカスナイト (felicity)
2012年リリースの最新作『リトルメロディ』より名曲「サーカスナイト」がアナログ盤で登場!!名曲オリジナルVerに加えて、向井秀徳、Mabanua、Luvraw&btb、Grooveman Spotによるリミックスも収録!!

5

Will sessions - Xmas Break (Funk Night)
素晴らしく骨太な楽曲に加え、今回は赤と緑のラベルで完全クリスマス仕様です!!

6

Lusty Zanzibar - Empress Wu Hu Remixes (Glenview)
100枚限定で先行リリースされたVakula & Oeによるリミックスに加え、気鋭Volta Cabによるリミックス+オリジナル・トラックを追加収録した話題の一枚が到着。

7

Pepe California - Yureru - Dj Nozaki's Pure Pleasure Control Mix (10 Inches Of Pleasure)
Mick「Macho Brother」のカルト・ヒットも記憶に新しい"10 Inches Of Pleasure"から話題沸騰の新作第二弾が無事到着。2010年に自主レーベルからリリースされたPepe California最新アルバム『White Flag』収録曲をレーベル首謀Dj Nozakiがリミックス!!

8

Star Slinger - Ladies In The Back Feat Teki Latex (Pias)
フィジカル12"第1弾『Dumbin'』のメガヒットも記憶に新しいマンチェスターのStar Slinger待望のソロ第2弾には、シカゴのベース人気者Chrissy Murderbotによるジューク・リミックスも搭載です!!

9

Dntel / Herbert - My Orphaned Son - Die Vogel Remix (Pampa)
音響ハウス帝王Lawrenceのリリースでもお馴染み、天才Dj Koze率いる越境ミニマル・ハウス名門Pampaから、看板デュオDie Vogelと主宰による極上リミックスを搭載した特大傑作が登場です!!

10

Echocentrics Feat. Grant Phabao - Echocentrics Remixes (Ubiquity)
名門Ubiquityお抱えの人気バンドEchocentricsの1st.アルバム収録曲をGrant Phabaoがジャマイカン・リミックス!!

快速東京 - ele-king

朝だ、灰色一色の朝がまたはじまるジェイク・バグ "ライトニング・ボルト"(2012)

僕はゾンビ 最低な気分
最低な世界に サヨナラできない
快速東京 "ゾンビ"(2012)

 ロックンロールは豪華紙ジャケット未発表曲入りのリマスター盤ではない。BOXセットやトリビュート盤ではない。楽器を上手に演奏して、当たり障りのない言葉を歌う音楽ではない。ロックンロールは人間じゃない。報道番組で「国防軍」という言葉が聞こえるようになってから数日後、世田谷の代田橋のライヴハウスでは、ロックンロールの散弾銃が発射されていた。僕は職業柄、ライヴの最中にメモを取ることが多いのだけれど、このときは、たったひと言「嘘つき」と書くのがせいいっぱいだった。快速東京というバンドに僕は完璧に撃ち抜かれた。そう、完璧に。

 快速東京の今年出したアルバム『ロックインジャパン』は、僕の今年のトップ10に入っている。きのこ帝国の『渦になる』とともに、2012年、もっとも夢を見ることのできる新世代のアルバムだ。『ロックインジャパン』の20分のなかに収録された16曲は、いわばRCサクセション+ブラック・サバス+バッド・ブレインズ+ラモーンズ(+初期のワイアー)、文字通りの「快速」な演奏に乗って、哲丸の激烈な言葉が飛び出す。「意味がなくたっていいよ/君がどうだっていいよ/明日がどうだっていいよ」「僕はゾンビ/最悪な気分/最低なアンタに/サヨナラできない」「なんか変だぜ/絶対になんか変だぜ」「ヒマだからお金を稼ごう/ヒマだからご飯をたべよう/ヒマだから息してる/ヒマだから戦争しよう」
 ブレイディみかこさんによれば、今年のUKにはパンク前夜を感じるそうだが、なるほど、快速東京を聴いているとその感覚をこの国でも理解できる。「ロックもパンクもめんどくさいぜ」と哲丸は歌う。「ロックンロールは人間じゃない/ロックンロールを説明するのもめんどくさいし」

 ミニマルでスピーディーで、グルーヴィーな演奏が間を開けることなく続く。フロアの最前列をだーっと女の子が陣取るのは、正しきロック・バンドの正しき風景である。哲丸(若い頃のイアン・ブラウンに似ている)は、ヤマツカ・アイと清志郎を足して二で割ったような、とんでもない動きをしながら、ジョン・ライドンのような形相で歌っている。哲丸とギターの一ノ瀬とのコンビネーションも素晴らしい。ベースとドラムは冷静さを失わずに、正確なリズムをキープする。最後の曲で、哲丸はフロアを走り、テーブルの上で歌った。熱狂する人たち、笑う人たち、そして冷ややかな視線を投げる人たちに客は分かれる。さくっとはじまって、さんざんわめいて、めいっぱい踊って、さくっと終わる。
 快速東京のライヴは『ロックインジャパン』の100倍良い。このバンドに課題があるとしたらそこだ。彼らのライヴ・パフォーマンスを録音物においても表現できたとき、時代は変わるだろう。
 めんどくさいし、この興奮状態のまま書いてしまおう。2011年の最大の発見がオウガ・ユー・アスホールだったとしたら、2012年は快速東京である......というのは嘘である。きのこ帝国もいる。噂のシャムキャッツのライヴもまだ見ていない。ceroも僕は良いと思った。ただ......もうひとつ思った。ジェイク・バグがUKに登場したようなことが、この国でも起きているのかもしれない。いい歳した連中が甘いR&Bのラヴ・ソングや誠実なシンガーソングライターに酔っているあいだ、子供たちは怒りを胸に、時代の荒野の向こう側からやって来たのである。

 追記:紙エレキングの次号では、快速東京のインタヴューが載ります。

interview with Derrick May - ele-king

 久しぶりだった。女子高生が踊っているような、10代が主役の若者文化の渦中にいたのは。その翌日この原稿を書いている。それで僕は、彼女たちにデリック・メイを紹介するとしたら、どう説明すればいいのだろうか......と考えている。
 デトロイト・テクノとは、テクノにとっての、ロックにおけるブルースのようなモノと言って通じるのだろうか。立ち帰る場所であり、一種のルーツだと。君たちがもし将来テクノを好きになったとしたら、いちどは訪れる場所だと。デリック・メイはそのルーツにおいて、3本の指に数えられる重要人物で、言葉がないゆえにカヴァーということのあまりないテクノ・ミュージックにおいては珍しく複数の人にカヴァーされている、当時もっとも多くの人に幸せを感じさせた曲"ストリングス・オブ・ライフ"の作者だと。
 世界でもっとも影響力のあったイギリスの『NME』というロック・メディアが、全盛期にもっとも肩入れしていたDJという説明もできる(その当時のデリック・メイの傍若無人ぶりと反抗を知れば、彼もまたロックンロールのひとりだということがわかってもらえるだろう)。
 実話としてこれもある。ノッティングガムからロンドンにやって来たふたりの青年のうちのひとりがマンチェスターのライヴハウスでストーン・ローゼズを発見して、もうひとりは1988年にデトロイト・テクノの記事を書いたと。1988年のその記事と同時に発売されたデトロイト・テクノのコンピレーションが、国際舞台で初めて「テクノ」という言葉が使われたときなのだと。そして、翌年にはデペッシュ・モードがそのゲットーな街を斜めに走るグラショット・アヴェニュー沿いの、デリック・メイのレーベル(そして当時は彼の住居でもあった)〈トランスマット〉を訪れている。

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 『ビヨンド・ザ・ダンス──トランスマット4』は、デリック・メイと〈トランスマット〉にとって4枚目のレーベル・コンピレーションだ。デリック・メイの実質的な制作活動は、80年代で終わっている。自身の曲に関して言えば、90年代以降は未発表曲しか出していない。彼には完成間近だったアルバムがあったが、そのリリースは見送られ、結局、当時録音された曲はこの20年のあいだ、前触れなく、1曲ずつ、地味~に発表されている。『ビヨンド・ザ・ダンス』にも新しい"未発表"がある。パズルのワンピースだ。
 もちろん『ビヨンド・ザ・ダンス』は、未発表曲のために発売されるわけではない。CDにして2枚組、全23曲には、〈トランスマット〉の眩しい歴史が編集されている。  ブックレットには、懐かしい写真もたくさんある。カール・クレイグ、ロラン・ガルニエ、ケニー・ラーキン、ステイシー・プレンといったベテラン勢から、トニー・ドレイクやマイクロワールドといったマニアにはお馴染みの名曲、そして、地味~に発表されている〈トランスマット〉の新人までが並んでいる。なにせ10年ぶりのレーベル・コンピレーションなので、選曲にもパッケージングにも気持ちが込められている。当然、良いアルバムだ。
 僕にはこの機会に、突っ込んで訊いておきたい話があった。11月末、代官山のエアーのレストランでデリック・メイと待ち合わせた。

この男は、若くて、怒りに満ちていて、革命を起こしたくてうずうずしている。しかしこの男は、レコード・ビジネスに疲れてぐったりしている。DJをしながら世界を回って、女の子とセックスしてダンスして、たまに東京にも住んでいる。このふたりはまったくの別人だ。

まずアートワークがすごく良いね。ブックレットには〈トランスマット〉レーベルの歴史がわかるように、古い写真、関わった人たちの写真がコラージュされている。歴史を見せようという意図が伝わってくるよ。

デリック:歴史だけじゃなくて、これからのはじまりの〈トランスマット〉も出したかったんだよ。

今回の『ビヨンド・ザ・ダンス──トランスマット4』を出すに当たって、いくつか僕のなかで「おや」と思ったことがあって、そのひとつが、デリックが25年以上にもわたるレーベルの歴史を初めて振り返ったということなんですよね。

デリック:そうだね。

たしかに過去には、1992年の『レリックス』のような、80年代のベスト盤みたいなコンピレーションはありました。でも、あれは、あくまでリズム・イズ・リズム中心の内容でした。今回のように、カール・クレイグの"クラックダウン"(1990)からケニー・ラーキンの"ウォー・オブ・ザ・ワールド"(1992)、そしてロラン・ガルニエ(ルドヴィック・ナヴァールやシャズ)の"アシッド・エッフェル"(1993)とか、〈トランスマット〉というレーベルの歴史を綴っているのは、今回が初めてなんですよね。

デリック:ああ、そうだね。ただし、今回のコンセプトは忘れられているものを選んだんではない。いま聴き返されるべきものを選んだ。いまの時代でも古くなっていないもの。たとえばジョン・アーノルドの"スパークル"(2000)、この曲は当時も売れたけど、早すぎたんじゃないかと思っていた。いまこそ、あのドラム・パターンは聴かれるべきだってね。

最近はまた、シカゴ・ハウスやデトロイト・テクノへの回帰みたいなことが起きているので、良いタイミングではありますよね。世界的にダンス・ブームだし。

デリック:もちろん。逆に言えば、今回"ヌード・フォト"や"ストリングス・オブ・ライフ"のような曲を入れなかったのは、知られていない曲に光を当てたかったというのもある。これからの〈トランスマット〉をよくするものじゃないかと。俺は過去に生きているわけじゃない。「いま」を生きている。その視点で選んだ。そして、こうなった。

なるほど。もうひとつ......、まあ、個人的には最大の興味は、デリックの未発表曲が入っていたことなんですよね。

デリック:(日本語で)うっす!

はははは。

デリック:ああ、"ハンド・オーヴァー・ハンド"ね。

あれ、良かったよ。

デリック:(日本語で)ありがとございます。

俺は好きだね。

デリック:そりゃあ、良かった。本当に。入れないほうが良いんじゃないとも思った。ものすごく考えたよ。

古い曲だからね。

デリック:最初は2~3曲入れようかなと思った。でも、気が変わった。あまりにも多くの才能が〈トランスマット〉にあることを再発見したから、できる限り、たくさんの人のたくさんの曲を入れたいと思った。本当に良い才能が揃っているよ。彼らの曲への注目が削がれるようなことはしたくなかった。それで"ハンド・オーヴァー・ハンド"だけを残した。
 この曲は、もともとは15分の曲なんだよ。このアルバムのために8分にエディットしたけど、フル・ヴァージョンは12インチで発表するよ。

それは楽しみ。

デリック:どう思った?

デリックらしい、メランコリックで美しい曲だよね。あのー、1993年に『ヴァーチュアル・セックス』というコンピレーション盤が出たじゃない?

デリック:(日本語で)うっす!

あのコンピで、初めて"アイコン"を発表したわけだけど、あんな曲が未発表曲であるってことに当時はすごく驚いて。普通「未発表曲」というと、ボツにした曲だったりして、質は落ちるけどマニア向けの曲として価値があったりするものじゃないですか。でも、"アイコン"は、通常言われる未発表というレヴェルじゃなかったでしょ。で、あとからあの曲は幻のファースト・アルバムのために録音した曲のひとつだって知って納得したんだけど。

デリック:ああ、そうだよ。アルバムのために録音した曲は、他にも9曲ある。

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俺のコンセプトは、ドラム・マシンの限界に挑戦することだった。ドラム・マシンでどこまでできるのかを見せたかった。しかし"ハンド・オーヴァー・ハンド"ではドラム・マシンに集中するんではなく、メロディや構成で、もうひとつのチャプターを見せるという考えだった。

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実は今日、そのことについて訊きたかった。ようやく幻のファースト・アルバムについて訊くことができる(笑)。いままでも訊きたくても訊けなかったからね。1992年にデリックは『イノヴェイター』というベスト盤を〈ネットワーク〉から出している。しかし、本当は、『イノヴェイター』ではなく、あなたのファースト・アルバムが出るはずだった。

デリック:そう、トレヴァー・ホーンとミーティングをしていた。彼は"ハンド・オーヴァー・ハンド"に興味を持ってくれた。デイヴ・ガーン(デペッシュ・モード)もこの曲で歌っても良いと言ってくれた。ビョークも気に入ってくれた。俺の当時のエージェントは、この曲で俺をポップスターにしようと企んでいた。彼らは俺がデペッシュ・モードやビョークのようなポップの一部になることを望んだ。それで俺は、トレヴァー・ホーンとエージェントと喧嘩した。和解できずに終わってしまった。

1992年の『イノヴェイター』のアナログ盤には、"ザ・ビギニング"が入ってないんですよね。なんで、初めてのベスト盤に"ザ・ビギニング"が入っていないのかがずっと引っかかっていましてね。そこで推理したんだけど、"ザ・ビギニング"にはデリックにとっての次のコンセプトが詰まっていた。しかし、UKの音楽業界がそれを理解しなかったってことなのかなと。

デリック:そう、理解されなかった。"ザ・ビギニング"は、リズム・イズ・リズムの最初のアルバムの1曲目に収録されるはずだった。だから『イノヴェイター』には入れなかった。"ケオティック・ハーモニー"、"ザ・ビギニング"、"アイコン"、"ハンド・オーヴァー・ハンド"......それから......。

ロング・アゴー? 

デリック:いや、あれは違......、いや、そうそう、イエス、イエス、イエス! 俺は......、本当にUKの音楽業界が嫌いだ。本当に大嫌いだ。本当に、本当に、だいっきらいだ! "ハンド・オーヴァー・ハンド"は一発録りだったな。たった1回で録った。心を込めて作った。

こうして、時期がズレながらも、当時の曲が発表されて、デリックの幻のファースト・アルバムの正体がじょじょに露わになってきているというのも面白いね。相当にメランコリックなアルバムだったんだなと思いますが。

デリック:そうだよ。そういうことだ。まあ、パズルだな。

インナー・シティがヒットしていた頃なんで、UKの音楽業界がリズム・リズムにヒットを求めるのもわからなくはないんですが、そんなにも考えに大きなギャップがあったんですね。

デリック:80年代の話から話そうか。俺とホアン・アトキンスとケヴィン・サンダーソンの3人は、(バーミンガムの)〈クール・キャット〉レーベルのニール・ラシュトンとディストリビューション契約を結んだ。俺らのレコードのUKやヨーロッパでの流通は、すべて〈クール・キャット〉が拠点となってやっていた。やがてケヴィンはインナー・シティとして〈ヴァージン〉と契約したが、俺は依然として〈クール・キャット〉だった。〈クール・キャット〉は大手の〈ビッグ・ライフ〉と契約していたから、〈トランスマット〉の作品はすべて〈クール・キャット〉~〈ビッグ・ライフ〉経由で流通していた。最初に揉めたのは、〈トランスマット〉の作品が、結局、〈ビッグ・ライフ〉傘下でしか流通しなかったということにあった。

デリック・メイがやりたかった音楽性が理解されなかったとか、そういうのが原因ではなかったんだ?

デリック:それは大いにある。ニール・ラシュトンは俺の音楽性をディレクションしはじめて、どんどん意見を言うようになった。たとえば"アルセム(R-Theme)"、これがリズム・イズ・リズム名義で出なかったのは、〈クール・キャット〉が気に入らなかったからだ。なぜ俺が好きな曲を自分のレーベルから出せないんだろう、俺はそう思った。〈ビッグ・ライフ〉は......、ヤズ(Yazz)っていただろう? ポップ・シンガーの女の子で、ああいうのを出したがっていた大手メジャーだ。最初〈クール・キャット〉は、〈ビッグ・ライフ〉からリズム・イズ・リズムのアルバムを出すつもりでいた。それで最初に"ザ・ビギニング"の12インチ・シングルのUK盤がリリースされた。しかし、〈ビッグ・ライフ〉は"ザ・ビギニング"を嫌った。〈ビッグ・ライフ〉は、"ザ・ビギニング"は完成度が低いと言ってきたんだ。

それは怒るよね。

デリック:アルバムのタイトルは『ザ・ビギニング・オブ・ジ・エンド』だった。〈ビッグ・ライフ〉は〈クール・キャット〉に圧力をかけてきて、そして俺と〈クール・キャット〉の関係も悪くなってしまったんだよ。

あのドラム・マシンをよりパーカッシッヴのように扱うのが、"ザ・ビギニング"のコンセプトだったと思うけど、その後の"アイコン"、"スエーニョ・ラティーノ"もそうだったし。

デリック:その通りだよ。あのときの俺のコンセプトは、ドラム・マシンの限界に挑戦することだった。ドラム・マシンでどこまでできるのかを見せたかった。そのリリースを終えたあとに、そして"ハンド・オーヴァー・ハンド"ではドラム・マシンに集中するんではなく、メロディや構成で、もうひとつのチャプターを見せるという考えだった。

そのパーカッションのコンセプトはどこから来たんですか?

デリック:俺は当時3つのドラム・マシンを使っていた。909と808、それから727と626も使っていた。基本は909と808を同期させて、スウィング・パターンのループを少しずつ変化させながら、独特なうねりを出すことを考えていた。いまでこそ簡単にできることだけど、当時は複雑な構成だったと思うよ。ドラム・マシンによるバウンシーな感覚を表現したかったんだ。
 俺は高校時代から、ホアン・アトキンスと一緒に毎日のように909で遊んでいたんだよ。パーティに909を持って行って、パーティを盛り上げる楽器のひとつとして、909を使った。ジェフ・ミルズがまだ909の存在を知るずっと前の話だぜ(笑)。ジェフがDJで909を使ったりするのは、誰のアイデアから来ていると思うよ?

はははは。〈ミュージック・インスティテュート〉?

デリック:いや、だから高校生時代からやっていたから。ジェフにこんど会ったら訊いてくれよ。その909のアイデアについて。

高校時代から知り合いだったの?

デリック:18歳の頃から知っているよ。

ザ・ウィザード。ジェフはもう有名なDJだったでしょう。

デリック:有名だったよ。ジェフは俺よりもつねに有名だった。ジェフはランDMCのようなポップな選曲もしていたからね。

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3つのドラム・マシンを使っていた。909と808、727と626も使っていた。909と808を同期させて、スウィング・パターンのループを少しずつ変化させながら、独特なうねりを出すことを考えていた。いまでこそ簡単にできることだけど、当時は複雑な構成だったと思うよ。

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話を戻すけど、デリックの性格を考えると、〈ビッグ・ライフ〉からダメだしされたぐらいで動揺するとは思えないんだけど。なおさら燃えてくるほうじゃないですか。あんたは、そんなことで心が折れるようなヤワな人間じゃないでしょう!

デリック:娘にも同じことを言われたよ。「ネヴァー・ギヴ・アップ!」って。

はははは。

デリック:もうどうしようもなかったんだよ。1991年~1992年は、ニール・ラシュトンが俺のマネージャーで、〈トランスマット〉も彼に半分預けていたところがあった。だから彼と揉めて、〈トランスマット〉を誰かに売ることも考えた。一文無しになったし、追い詰められたよ。

悔しさもあったでしょうね。

デリック:自分のレーベルだけでやっていれば良かったんだけど、〈ビッグ・ライフ〉みたいな大手と組んでレコード・ビジネスの世界に足を踏みれて......、その頃は学びながらやっていこうと思っていたんだけれど、でも、それが失敗だったな。"ビヨンド・ザ・ダンス"を作ったときも〈ビッグ・ライフ〉は理解しなかったんだからね。
 俺も自分で反省しているよ。当時の俺はマネージャーに頼りすぎていたんだ。世間知らずだった。だから、ニール・ラシュトンから意見を言われると、まるで自分を否定されたような気持ちになった。自分が追い出されているような気分になってしまったんだよ。それで、とにかくニールがレーベル経営のこともほとんどやっていたから、彼と別れて、俺は路頭に迷うような感じになった。それでもなんとか、2年かけてレーベルを立て直すことができた。新しいアーティストを集めて、また一からやり直そうと思った。

その立て直した〈トランスマット〉から何故、リズム・イズ・リズムのアルバムを出さなかったんですか?

デリック:(ブックレットに載っている20代のデリックの写真を指さしながら)この男は、若くて、怒りに満ちていて、革命を起こしたくてうずうずしている。(もう1枚の写真、現在の自分の写真を指さしながら)この男は、もうレコード・ビジネスに疲れてぐったりしている。すべてにクソ疲れている。DJをしながら世界を回って、女の子とセックスしてダンスして、たまに東京にも住んでいる。このふたりはまったくの別人だよ。

いや~(笑)。しかし、ホアン・アトキンスだって新しい作品を出しているんだから、デリックだって、新しいシングルを出したいと思っているでしょ? それとも怒りにまかせてスタジオを破壊したとか?

デリック:まさか! そんなことやるわけないだろう。

リー・スクラッチ・ペリーみたいに(笑)。

デリック:止めてくれよ、俺はそんなことはしない。いまでちゃんとスタジオはあるよ。ちゃんと証拠の写真だってあるよ。今回もアルバムも自分のスタジオを使ったんだ。

そういえば、今年デトロイトのベル・アイランド(デトロイト川の中州にある公園)でやった「デイパック・フェスティヴァル」について教えてください。

デリック:ベリー・ナイス。ジュディという友人がやったんだ。おまえは来るべきだったよ。

子供のためにやったんですよね?

デリック:そう、腎臓のない子供たちのためのチャリティでやった。デイパックには、腎臓のない子供たちの薬が入っている。薬を持ち歩かなければ外に出れないからね。だからデイパックを背中に背負った子どもたちのためのチャリティとしてはじまったんだよ。

ああ、それで......、それであんなにもそうそうたるメンツが出ていたんですね。デリック、マイク、ホアン、カール、ケニー、ムーディーマン......。

デリック:もちろん、フェスティヴァルには障害のない子供たちも遊びに来るよ。

それでワークショップをやったり、子供たちにDJや機材の使い方を教えたりしていて。

デリック:そうだね。でも、もともとは募金のためのフェスティヴァルなんだ。だから、みんなで協力した。金儲けのためにやったんじゃない。子供たちのためにやったんだ。

小学生を相手にベテランのDJたちがやっているのが良いなと思いました。

デリック:まったくそうだよ。でも、その根本にはもっとシリアスな理由があるけどね。子供たちを相手にしているけど、あくまで腎臓のない子供たちのためにやったんだからね。まあ、俺の娘みたいな変な子ばかりがそこに集まって(笑)、日中は子供たちみんなが楽しそうだったな。でも、夜になると子供たちは帰ってしまうから、ちょっと訳がわからなくなった。でも、日中は良かったよ。

子供たちにテクノやハウスの作り方、機材の使い方を伝えたいと思いますか?

デリック:すごくあるよ。来年はワークショップを増やして、子供たちにもっとたくさんのことを教えたいと思っている。ただ俺は、良い先生じゃないからな。精神的なことなら教えられるけど、テクニックに関しては良い先生じゃない。気持ちのあり方に関しては教えられるだろうな。子供たちにエネルギーを注入することはできるよ。

ターンテーブルの使い方を教えてないと。

デリック:ふぅ~。この写真を見ろよ!(といって、自分の娘、ソレンがDJミキサーをいじっている写真を見せる)

はははは、いいね。

デリック:彼女は俺のDJを知らないのに、クロスフェーダーをこう操作してやがった。

はははは、父親似じゃない。

デリック:そうなんだよ、それって俺のDJスタイルだろ(笑)!

才能があるんだね。

デリック:かもしれないな。

ソレンちゃんに自分の音楽を聴かせたの?

デリック:いや、俺は聴かせてない。母親がいちど、車のなかで聴かせたことがあるらしいけど、あんまよく憶えてないみたいだ。

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サック・マイ・ディック・サック・マイ・ディック・サック・マイ・ディック・サック・マイ・ディック!!!! 音質は良くはないけど、ファンキーで、ダーティーで、速くて......ってヤツだろ。俺、ああいうの大嫌い。

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いつか感想を聞くのが楽しみだね。ところでデリック、シカゴのフットワークについてはどう思う?

デリック:知らない。

ジュークと呼ばれている音楽だよ。新世代のゲットー・ハウス。

デリック:知らないな-。

けっこうテンポが速い最新のダンス・バトルで、デトロイトで昔、ジッツと呼ばれていた音楽とも似ている。

デリック:ああ、ハウスというよりもエレクトロを速くした感じじゃない。(早口で)トゥクトゥクトゥクトゥク!!!! パーパパパーララパーパパパーララ!!!! トゥクトゥクトゥクトゥク!!!! (甲高い声で)プッシー・プッシー・プッシー・プッシー!!!! サック・マイ・ディック・サック・マイ・ディック・サック・マイ・ディック・サック・マイ・ディック!!!! 音質は良くはないけど、ファンキーで、ダーティーで、速くて......ってヤツだろ。俺、ああいうの大嫌い。

〈ダンス・マニア〉は好きだったじゃない。

デリック:好きだよ。〈ダンス・マニア〉はそこまで酷くなかっただろ。もっとハウス寄りだった。

それがもっと進化したんだって!

デリック:でも、野田が言っている意味もわかるよ。ただ、俺はもともとエレクトロがそこまで好きじゃなかった。エジプシャン・ラヴァーのような好きなエレクトロもあるよ。でもホアンほど好きじゃなかったな。

なるほどね。エレクトロが好きか嫌いかでそこが分かれるんだね。

デリック:あんま若い人の音楽知らないんだよね。いまでもよく付き合っている若い世代は、セオ・パリッシュとオマー・Sぐらい。

いまでも〈トランスマット〉はグラショット・アヴェニューにある?

デリック:ああ、そうだよ。

昔は、グラショット・アヴェニュー沿いの〈トランスマット〉の隣には〈KMS〉(ケヴィン・サンダーソンのレーベル)があって、ダニエル・ベルの〈セヴンス・シティ〉があったけど、いまはもう誰もいなくなったでしょ。なんでデリックだけがいまでもグラショット・アヴェニューに居続けるの?

デリック:コミュニティのためだよ。あの辺のコミュニティにとってものすごく重要だからだ。良い写真を見せてあげよう。(iPhoneから写真を探して見せる)

結婚式?

デリック:そう、誰かがそのあたりで結婚すると、必ずここで写真を撮るんだ。それが〈トランスマット〉がそこに居続ける理由だ。(注:オフィスのあるビルの通り沿いの壁に、デリック・メイは〈トランスマット〉に関わってきた絵描きたちに絵を描いてもらっている。たとえば壁にはアブドゥール・ハックなどの絵が描かれている。いつしか、その大きな壁画の前で近所の教会で式を挙げた新婚さんたちが記念を写真を撮るようになった)

ああ、なるほど-。

デリック:もう〈トランスマット〉のビルは歴史の一部になったんだよ。それだけで、そこに居続ける理由が充分にある。

デトロイト・テクノのヒッツヴィルUSA(モータウンの拠点)だね(笑)。

デリック:はははは。

観光名所だ(笑)。

デリック:それもある。観光客が、テクノの生まれた場所としてそこを訪れて、写真を撮るんだ。

へー、初めて〈トランスマット〉に行ったときには、地下の部屋をアブドゥール・ハックがアトリエにしていて、事務所にはニール・オリヴィエラ(デトロイト・エスカレーター・カンパニー)がいたね。そしてグローバル・コミュニケーションがかかっていたんですよね。

デリック:ニールはいま、すごい、ハリウッドで二番目に有名な弁護士として活躍している。

えー、ホント! 映画のために大学院に再入学するっていうメールはもらってたんだけど。

デリック:もともと頭の良い男だったからね。

ミスター・スポックと呼ばれていたほどだもんね(笑)。

デリック:そうだった(笑)。ちなみに『ビヨンド・ザ・ダンス──トランスマット4』ではニールもライナーを書いているんだよ。(......と言って、見本盤を見せる)

ホントだ。

デリック:デリック・オーテンシオ(ニールが辞めた後のレーベル・マネージャー)にも書いてもらっている。覚えているだろ?

もちろん。

デリック:それからジョン・マックレディ(デトロイト・テクノについてよく書いていたUKの音楽ジャーナリスト)にも頼んだ。

へー、ホントに、歴史なんだね。

デリック:そういう意味でも、音源だけではなく、パッケージも含めて、とても良いコンピレーションになったと思う。野田、でも歴史だけじゃないんだ。とくにChronophoneってヤツの曲をよく聴いてくれよ。こいつは、若き日のロラン・ガルニエに匹敵する才能だと思う。

わかったよ。それでは今日はありがとう。相変わらずデリックがクレイジーで嬉しかったよ(笑)。いつか幻のファースト・アルバム『ザ・ビギニング・オブ・ジ・エンド』を聴ける日を楽しみにしているよ。

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