「坂本龍一」と一致するもの

Cornelius - ele-king

 これを待っていた。コーネリアスによるアンビエントをフィーチャーした作品集である。昨今は日本のロック・ミュージシャンがアンビエントに挑むケースも見受けられるようになったけれど、もともと少なめの音数で特異かつ高度な音響を構築してきたコーネリアスだ。相性が悪かろうはずもなく、凡庸の罠にからめとられることもありえない。

 布石はあった。ひとりの音楽家として大きな曲がり角を迎えたあとの、重要な1枚。影と光、そのいずれをも表現した復帰作『夢中夢 -Dream In Dream-』は、全体としては彼のルーツを再確認させるようなギター・サウンドに彩られていたわけだけれど、終盤には穏やかなインストゥルメンタル曲が配置されていたのだった。アルバム・タイトルと関連深い曲名を授けられ、アルバム中もっとも長い尺を与えられた “霧中夢”。それは、ここ10年くらいの欧米のアンビエント/ニューエイジの動きにたいする、コーネリアスからの応答だった。じっさい、リリース時のインタヴューで彼はジョゼフ・シャバソンや〈Leaving〉、ケイトリン・アウレリア・スミスといったエレクトロニック・ミュージックを聴いていたことを明かしている。近年断片的に発表してきたアンビエント寄りの楽曲のコレクションたる『Ethereal Essence』は、だから、出るべくして出た作品といえよう。
 もちろん、彼がアンビエントへと関心を向けはじめたのは最近のことではない。独自の音響に到達した『Point』の制作時、小山田はよくアンビエントを聴いていたという(当時のお気に入りはザ・KLFイーノだったそうだ)。たしかに、『Point』や『Sensuous』などに収録された一部のエレクトロニカは、こんにちの多様化したアンビエントの観点から眺めれば、そうタグづけされたとしてもなんら不思議はない。『夢中夢』の軸が原点を振り返ることにあったのだとしたら、今回は長年にわたるそうした関心を集約、一気に解放してみせた作品と位置づけられる。

 アンビエント寄りといってもノンビートの曲ばかりで埋めつくされているわけではない。ザ・ドゥルッティ・コラムを想起させる “Sketch For Spring” はしかしサマーでもウィンターでもなく、過ぎ去った春の陽気をありありと思い出させてくれる。湿気に圧殺されそうないまこそ聴くのにぴったりの曲だけど、波のごとくギターが左右に揺れ動く “Melting Moment” もおなじタイプの心地よさを提供してくれている。
 中盤の “サウナ好きすぎ、より深く” や最後の坂本龍一のカヴァー “Thatness And Thereness” のようなヴォーカル入りの曲はいいアクセントになっていて、本作がたんなる寄せ集めではなく、構成の練られたひとつの作品であることを示している。音響上の冒険としては、リンゴをかじるような音を水中音のように聴かせる “Forbidden Apple” がベストだろうか。
 異色なのは、谷川俊太郎の詩の朗読を電子音でトレースする “ここ” だ。この曲だけはまったり聴き流すことができなくて、どうしてもコーネリアスが「ここ(=アンビエント)こそがいまの自分の居場所だ」と主張しているように思えてしまう。もしかしたらぼくたちはいま、新しい──そして初めから大きな──アンビエント作家の誕生の瞬間を目のあたりにしているのかもしれない。

 コーネリアスのようにすでにみずからの音楽性を確立しているアーティストがアンビエントの世界に参入していくことの意味は小さくない。音楽家のなかには「アンビエントなんてだれでもつくれる」と考えているひともいる。パンデミック以降アンビエントのリリースが増え、玉石混交の念を抱くリスナーがいることはうなずけるけれど、そうした軽視や狂騒めいた状況にコーネリアスは、その質とオリジナリティでもって一石を投じているのではないか。
 だから、いつかコーネリアスによる、すべて新曲の本格的なアンビエント・アルバムが登場する。いろんなアイディアが詰めこまれたこの『Ethereal Essence』を聴いてそう確信した。これはきっとその助走なのだ。

Taylor Deupree - ele-king

 米国・NYで電子音響〜アンビエント・レーベル〈12k〉を主宰し、自らも静謐なサウンドスケープを展開するアンビエント・ミュージックを作り出している1971年生まれの電子音楽家テイラー・デュプリー。坂本龍一との共演でも知られる彼は、90年代から現代に至るまで、エレクトロニクス・ミュージックからグリッチを活用した電子音響作品、そして静謐なアンビエント/ドローンなどに作風を変化させつつも、すぐれた電子音楽作品を世に送り出してきたサウンド・アーティストである。その音はまさに「透明・静謐」という言葉がぴったりとくるものばかりだ。「もっとも静かなニューヨーカー」と呼ばれたことは伊達ではない音楽性といえよう。

 そのテイラー・デュプリーが2002年にリリースしたエレクトロニカ史上に残る『Stil.』を、弦楽器などのアコースティック楽器で再構築/リアライズしたアルバムが本作『Sti.ll』だ。そのアイデアも素敵だが、音の方も美麗というほかない見事な作品である。同時に、グリッチ以降の「00年代エレクトロニカ」の本質が、音のレイヤーと浮遊感、その反復にあったことも改めて教えれくれる音楽であった。00年代の電子音響空間が、新たな方法論と楽器(音色)と編曲によって生まれ変わったとでもいうべきだろうか。
 プロデュースと編曲を担当としたのはジョセフ・ブランシフォート(Joseph Branciforte)。1985年生まれの彼はグラミー賞受賞のレコーディング・エンジニアでもあり、セオ・ブレックマンとの共演作でも知られるミュージシャンでもある。ジョセフ・ブランシフォートは、本作でもエディット、ミックスも担当しているほか、1曲目、2曲目ではヴィブラフォンやラップハープなどの演奏にも参加。マスタリングはテイラー・デュプリー本人が手がけた。
 本作『Sti.ll』において、ジョセフ・ブランシフォートとテイラー・デュプリーはオリジナルにある「音の層」を楽器の演奏による「再演」を試みている。ふたりは、過度に「音楽的」にならないように(ポスト・クラシカル化しないように)、過度に「音響化」しないように(現代音楽的にならないように)、細心の注意をはらって楽曲を再構築する。

 アルバムには全4曲が収録されている。オリジナル『Stil.』と同じ曲数・構成だ。曲名も同じで、それぞれ担当する楽器名が記載されている点も注目である。では具体的にはどのように変化=アレンジメントされたのだろうか。一言で言えば電子音の「トーン」を楽器で「演奏」しているのである。1曲目 “Snow/Sand (For Clarinets, Vibraphone, Cello & Percussion)” を聴いてみるとよくわかる。オリジナル『Stil.』の1曲目 “Snow-Sand” は、高音域の電子音響のレイヤーによって成立している楽曲だが、『Sti.ll』ではチェロやクラリネット、ヴィブラフォンによって中音域をメインとしたサウンドスケープを形成している。そしてオリジナルにあった「持続音の周期」をミニマルな旋律に変換しているのである。ちなみにデュプリーはスネアドラムや紙の音、ベルなどを担当している。
 2曲目 “Recur (For Guitar, Cello, Double Bass, Flute, Lap Harp, & Percussion)” は、ギター、チェロ、ダブルベース、フルート、ラップハープとパーカッションのアンサンブルとなっている。アルバム中、もっとも大きな編成の曲だ。とはいえ楽曲・編曲に大袈裟さはまるでない。むしろ原曲の静謐な複雑さ=電子音響をアコースティック楽器で再現するために必要な楽器数といえる。デュプリーはグロッケンシュピールとラップハープを担当。
 3曲目 “Temper (For Clarinets & Shaker)” では、クラリネットとシェイカーによる演奏。ここからアルバムはややドローン色が強くなる(オリジナルもそう)。だがここでも原曲の電子音響を楽器で見事に再演していく。グリッチをシェイカーで表現するのは微笑ましくも可愛らしいアイデアだ。
 この3曲の差異を聴き比べると、『Sti.ll』がいかにして『Stil.』をリアライズしようとしていたのかわかってくる。要するにさまざまな小さな粒子のような電子音の折り重なりであるエレクトロニカの「レイヤー」を、アコースティック楽器の「アンサンブル」によって再現しようとしているのである。静謐な器楽曲へと変化させたというべきか。この試みはとても意欲的だと思う。現代音楽的に音の持続音やトーンをストイックに追い詰めるのではなく、ミニマルな旋律の折り重なりによってエレクトロニカを再演する試みなのだから。
 レイヤーからアンサンブルへ? いやというよりは「レイヤー/アンサンブル」の音楽とでもいうべきかもしれない。異なる層に鳴る電子音響の生成(00年代エレクトロニカ)に対して、音のレイヤー構造を守りつつ、それを楽器演奏で再現することで、音と音が互いに反応しつつも音楽の大きな輪を作り出すアンサンブルも構築しているのである。
 つまりテイラー・デュプリーが自らのエレクトロニカをアコースティック楽器による音楽作品として作り直した理由は、音のレイヤーとアンサンブルの境界線を溶かすことにあったのではないかと思うのだ。いちばん原曲に近いのはドローン主体の4曲目 “Stil. (For Vibraphone & Bass Drum)” だが、音の持っているトーンはまったく異質であることからもそれはわかる。

 全曲、柔らかい音色の弦楽などのアコースティック楽器が一定周期でループし、音楽を奏でている。そこにいくつかの楽器がさらに折り重なる。やがてエレクトロニカとクラシカルの境界線が揺らぎ、無化するだろう。その音のさまを聴き込んでいくと、どこかバロック音楽にも接近しているように感じられた。その意味では同じくバロック音楽的なアンビエントであったタシ・ワダの『What Is Not Strange?』とどこか雰囲気が近いようにも思えた(特に「似ている」というわけではない。音が醸し出す雰囲気が共通しているとでもいうべきか)。
 このように書き連ねると、いささか難解な音楽に感じるかもしれないが、実際に聴いてみるとわかるように、まったく難解な音楽ではない。それどころか誰が聴いても心身に効く、心地よい音楽なのである。エモーショナルでもあり、夢のような音楽であり、心を鎮静する音楽である。
 何かと気忙しい現代を生きる音楽聴取者によって、自身の感覚を、心身をチューニングするように長く聴き込んでいけるアルバムではないかと思う。エレクトロニカから器楽曲へ。その変化はいわば普遍的な音楽の希求であったのだ。

ele-king vol.33 - ele-king

特集:日本が聴き逃した日本の音楽と出会うこと
第2特集:「和モノ」グレート・ディギング

高田みどり、本邦初ロング・インタヴュー
灰野敬二、Phew、畠山地平、蓮沼執太、角銅真実、BBBBBBB、ほか

CD時代のニューエイジ30選、ロンドンのリイシュー・レーベル〈Time Capsule〉、菊地雅章のアンビエント・アプローチ、日本のジャズ、ほか

菊判/160ページ

目次

特集:日本が聴き逃した日本の音楽と出会うこと

居心地のよい洞窟を求めて──高田みどり、インタヴュー(取材:高橋智子/写真:細倉真弓)

column この世のクズ(ジェイムズ・ハッドフィールド/江口理恵訳)
日本の音楽との出会い1 フュー、インタヴュー (取材:野田努/写真:細倉真弓)
column 日本の前衛音楽 誰のものでもない「私」による音楽 (高橋智子)
角銅真実と蓮沼執太が語る、日本の音楽の開拓者たち――武満徹から灰野敬二、細野晴臣、坂本龍一、吉村弘まで (取材:小林拓音/写真:小原泰広)
日本の音楽との出会い2 畠山地平、インタヴュー (取材:野田努)
column 日本独特のアンダーグラウンドにおける、コンピレーション・アルバムが語るもの (イアン・F・マーティン/江口理恵訳)
column Aubeの『Cardiac Strain』は過酷な日々のなかで私の心を癒す北極星だった (緊那羅:デジ・ラ/野田努訳)
column ジャズ・ピアニスト、菊地雅章の知られざるアンビエント作品群──共演者・菊地雅晃が語るその「情感」 (原雅明)
column 豊かだから音楽が栄えたのではなく、豊かさの予感として音楽が鳴っていた──80年代日本再訪、YMOからディップ・イン・ザ・プールまで (三田格)

第二特集:「和モノ」グレート・ディギング

CD時代のニューエイジ・ディスクガイド30──掘り起こされる90年代日本の「これからの名作」 (門脇綱生)
時を超える松﨑裕子のニューエイジ音楽──世界初CD化&LPでも再発されるレア盤『螺鈿の箱』の魅力について (デンシノオト)
菅谷昌弘が紡ぐ祈りのポスト・ミニマル・ミュージック――『Kankyō Ongaku』で注目を集めた作曲家の軌跡 (門脇綱生)
60~80年代、海外に進出した日本のジャズ・ミュージシャンたち (小川充)
〈イースト・ウィンド〉設立50周年──和ジャズが世界水準にあることを証明したレーベル (小川充)
いま気になっている和ジャズ──富樫雅彦『スピリチュアル・ネイチャー』を聴く (増村和彦)
「レコード好きにとって美味しいものでありたいんです」──ロンドンでリイシュー・レーベルを営むケイ鈴木に話を訊く (取材:野田努)
続・和レアリック (松本章太郎)

「灰野敬二」が生まれるまで──灰野敬二 インタヴュー抜粋シリーズ 第4回 (文・写真:松山晋也)
ブライアン・イーノとホルガー・シューカイの共演ライヴがいま蘇る──90年代のイーノ、あるいは彼にとっての作品の価値とは (野田努×小林拓音)
VINYL GOES AROUND PRESENTS そこにレコードがあるから 第4回 コンピレーションの監修と『VINYL GOES AROUND PRESSING』始動!! (水谷聡男×山崎真央)

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Tribute to Ryuichi Sakamoto “Micro Ambient Music” - ele-king

 坂本龍一への敬意を表する国内外 41 名の音楽家による未発表の 39 作品を収録した コンピレーション、2023 年ドイツ音楽評論家賞 Electronic & Experimental部門を受賞した『Tribute to Ryuichi Sakamoto “Micro Ambient Music”』が、2024 年5月29日から配信されている。また、同時にアナログ盤もリリースされる。以下、リリース・スケジュールとその内容です。

Tribute to Ryuichi Sakamoto “Micro Ambient Music”

Vol. 1 2024 年 5月31日 (水)発売
01. Tetuzi Akiyama / Transparent Encephalon
02. Otomo Yoshihide / Moonless Night
03. Toshimaru Nakamura / nimb#75
04. Sachiko M / to the sunny man
05. David Toop / Hearing Cries From the Lake
06. Rie Nakajima and David Cunningham / Slow Out
07. Lawrence English / It Is Night, Outside

Vol. 2 2024年7月31日 (水)発売
01. SUGAI KEN / Swallow & Electronic Swallow (2023 Rainy Season)
02. Kazuya Matsumoto / ice
03. Shuta Hasunuma / FL
04. Takashi Kokubo / Rainforest soloist
05. Miki Yui / Hotaru
06. Tomoko Sauvage / Weld
07. Christophe Charles / microguitar

Vol. 3 2024年9月25日 (水)発売
01. Alva Noto / für ryuichi
02. Yui Onodera / Untitled #1
03. Marihiko Hara / extr/action
04. Ken Ikeda / Circulation
05. Hideki Umezawa / Sculpting in Time
06. AOKI takamasa / UKIYO
07. ASUNA / Elephant Eye
Tribute to Ryuichi Sakamoto "Micro Ambient Music"

Vol. 4 2024年11月27日(水)発売
01. Stephen Vitiello / Motionless Wings
02. Sawako / Tokyo Rain Forest 35°40ʼ 25” N 139°45ʼ 21” E
03. Tujiko Noriko / Iʼ ll Name It Tomorrow
04. ILLUHA / Gratitude
05. Christopher Willits / Study for Sakamoto (March 2023)
06. Tomotsugu Nakamura / backword to blue
07. Kane Ikin / Pulsari
08. Bill Seaman / Tears Namida

Vol. 5 2025年1月29日(水発売
01. Tomoyoshi Date / Placement Of The Drops
02. Federico Durand / Alguien escribió su nombre en el vidrio empañado
03. Marcus Fischer / Overlapse
04. Taylor Deupree / A Small Morning Garden
05. Chihei Hatakeyama / Mexican Restaurant
06. Stijn Hüwels / Shinsetsu
07. hakobune / hotarubune


Vol. 6 2025年3月26日 (水)発売
収録曲未定

Ryuichi Sakamoto | Opus - ele-king

 近所の本屋で立ち読みをしていたらBGMがなんとも素敵なドローンに変わった。スーパーの上にある店にしては粋な選曲じゃないかとうっとり耳を傾けていたら、店員さんが押している台車が視界の端に入ってきた。ドローンどころか音楽でもなくて、台車がガラガラと立てていた音だった。ガラガラガラ……。いや、でも、坂本龍一が言っていたのは、こういうことだよなと気を取り直す。あらゆる音に音楽を聴き取るということはこういうことだろうと。ほんの数秒だったけれど、それはとても素敵なドローンだった。自分が好きな種類の音だったことに変わりはない。台車の重さだとか、店員さんが押すスピードだとか、様々な条件が重なって出た音がそれだったのである。それから数日後、同じ本屋の前を通りかかると、再び、ガラガラガラ……と同じ音が聞こえてきた。ああ、また、台車の音かと僕の脳は初めからその音を音楽としては受けつけてくれない。覚めきった脳である。もう一度ぐらい騙されてくれてもいいではないか。そして、そのまま歩き続けると、その音は台車ではなく福引きのガラガラポンを回す音だった……

 坂本龍一の最後のピアノ演奏を収めた記録映画。坂本龍一が音響設計に携わった109シネマズプレミアム新宿で観ることができた。『Playing The Piano 2022』と同じく坂本龍一がひたすらピアノを弾き続けるだけで、「opus」は「作品」の意(『BTTB』の冒頭を飾る〝Opus〟はかなりゆっくりとしたアレンジに改められている)。

 最初の曲は〝Lack of Love〟。坂本龍一の訃報が伝えられた直後にSpotifyで1位になった曲である。死後に何が起きるか予言していたみたいで、ちょっと驚く。真上とか横からカメラが寄っていくのではなく、穏やかでどことなくミステリアスなピアノを演奏する坂本龍一の背後からカメラが近づいていく。もしも撮影しているのが他人であれば、坂本は手を止めて振り返るような気がするけれど、息子が監督だからだろうか、無防備な背中は振り返ることなく、後ろを向いたまま。背中というより「気配」の視覚化と言いたい。こんなところから見ていいのだろうか。そんな気分に襲われる。大袈裟にいえば家族の一員になれたようなオープニングである。

 宣伝資料には「コンサート映画」と謳われている。だとしたら、以下、具体的な曲名は伏せて「作品」を眺望してみよう。意外な選曲。意外な曲の構成をひた隠しにして宣伝の片棒を担ぐことにしたい。ユーチューブを検索すると坂本龍一は自分がかかわった映画についてあれこれと話す動画をたくさんアップしていることがわかる。そして、そのどれもがあまり視聴されていない。『あなたの顔』や『さよなら、ティラノ』など、いろんな映画を見てもらいたくて彼は勝手に宣伝していたのだろう。僕もいまは似たような気持ちである。

 ピアノの演奏を収めた映像となると背中ばかりを映し出すわけにはいかない。坂本親子といえどもそこまでは前衛ではない。何曲か観ていると、定石通りに手元のクローズ・アップが映し出される。角度の妙なのだろうか、手元のクローズ・アップを何度か観ているうちに坂本の両手が2匹の魚に見えてきた。飛び魚が水面を跳ねて泳ぐように坂本の両手が抜いたり抜き返したりを繰り返す。曲が終わると両手がふわっと宙に持ち上げられる。坂本龍一追悼号で坂本とコラボレーションを続けたテイラー・デュプリーにどうして『Disappearance(減衰)』というタイトルにしたのか尋ね、「2人とも人生や自然の儚さに惹かれていたから」(p43)という答えを得たのだけれど、坂本がふわっと手を宙に持ち上げると、手の先にはまだ音が残っていて、それがゆっくりと空中に消えていくプロセスが目に見えるよう。曲の終わりだけではない。ひとつの音が現れては消え、次の音が現れては消える。その繰り返しに2匹の魚が自然と重なっていく。

 『Opus』が捉えたのは、結果的に最後の演奏ということになったわけだけれど、どういうわけか、枯れた演奏という感じはしなかった。どの曲も次の演奏はなく、「これで終わり感」のようなものはあるのに、そのことと「枯れる」という感覚が結びつくことはなかった。似たような和音を続けざまに抑えたり、少しずつ音階がずれていく展開など、なんというか、正解を探り続けているというのか、坂本の中で完結したものを聴かされているという気がしないのである。うまく言えないけれど、この世界には感情のツボがあって、そこを一緒になって探っているような能動的な気分になっている。僕は長いあいだ『B-2 Unit』や『Esperanto』がとても好きだった。だけど『Out Of Noise』が自分の気持ちに入り込んだ瞬間から初期の作品には幼さを感じるようになり、以前と同じ気持ちで聴くことができなくなって名盤として同列に扱うことも無理になり、それだけ『Out Of Noise』が醸し出す慈しみやスケールの大きさに圧倒されて〝Merry Christmas Mr. Lawrence〟が無限大に膨れ上がったヴィジョンに包まれたような気がしていた。『Opus』を観ていて感じたこともそれに似たものがあり、枯淡の境地というような距離感のあるものには思えなかった。

 そして、それらとまったく違ったのが〝Tong Poo〟。この曲だけは「次はない」という気がしなかった。やはりこの曲にはこれからYMOを始めるぞという坂本の野心が目一杯つまっていたからだろう。それまでずっと続いていた穏やかな海とは違い、〝Tong Poo〟からは人生の荒波に乗り出す期待がいまだに躍り出してくる。だからか、逆説的に「枯れた演奏」という表現がこの曲だけには当てはまると思う。少なくとも『BTTB』に収められた獰猛なヴァージョンと比較したらそれこそ老いを感じさせる演奏ではある。そして、他の曲とはあまりにトーンが違うからか、〝Tong Poo〟だけはすぐに演奏が始まらない。ほかの曲でもやり直しや単純な失敗はあったのだろうけれど、調子を整える場面を残したのはこの曲だけだったというのは映画の構成的にも正解だったと思う。

 ピアノ1台だけなのにベースが聴こえてくるような気がする曲もある。演奏しながら鼻の下を伸ばす仕草も監督は逃していない。比較的好きではなかった曲もまったく違った曲に聴こえた。〝Merry Christmas Mr. Lawrence〟は様々な時期の演奏を聴いてきたつもりだけれど、極端に高音を強調した初期の演奏や最も落ち着いた2010年代の演奏、あるいはイントロの前に別なイントロがついたヴァージョンなど、そのどれとも異なる演奏で、音階が違うわけではないと思うけれど、そこはかとなく音数が多い気がして、あまりに簡素だった『Playing the Piano 2022』やモチーフによってテンポが急変する〝Merry Christmas Mr. Lawrence - Version 2020〟の演奏がまだ頭に残っているせいか、一度だけでは消化できない情報量が耳に残ったままになっている。この情報量をしばらく頭の中で転がし続けられることが、おそらくは幸せなことなのだろう。

PS

 昨年始めに『12』のレビューで坂本龍一が盛んに大学生の僕たちを笑わせようとしたことを書き、これを読んでくれた小山登美夫が、イヴェントが終わってから坂本さんに「暗いよ」と言われ、だからしつこく笑わせようとしたのだということが判明いたしました。40年前も前のナゾがいまさら解き明かされるなんて。


Li Yilei - ele-king

 ロンドンを拠点に活動を展開する中国出身のサウンド・アーティスト/コンポーザーのリー・イーレイの新作アルバム『NONAGE / 垂髫』は、まるで夢と現実の境界線を浮遊するような美しいエレクトロニカ・アルバムだった。リリースは日本のアンビエント・アーティスト冥丁の名作『Komachi』でも知られる〈Métron Records〉から。リー・イーレイは同レーベルから2021年にアルバム『之 / OF』も発表している。

 リー・イーレイの最初のアルバムは、2020年にセルフ・レーベル〈LTR Records〉からリリースされたノイズを構築的に配置したような電子音響作品『Unabled Form』だ。翌年2021年には〈Métron Records〉から名作『之 / OF』を発表した。2022年には再び〈LTR Records〉からよりノイジーなサウンドを展開するエクスペリメンタルな『Secondary Self』をリリースする。いわばダーク/ノイジー/エクスペリメンタルな電子音楽作品を〈LTR Records〉から、ドリーミー/ノスタルジックなコラージュ・エレクトロニカ・アンビエントを〈Métron Records〉からリリースすることで自身のアルターエゴを表現してきたとすべきだろうか。
 本作『NONAGE / 垂髫』は、〈Métron Records〉からのアルバムなので、その音からは濃厚なノスタルジアを感じる。じじつ本作は幼少期の記憶がテーマとなっているらしい。サウンドは内省的ではあるが、ただ暗いだけではなく、まるで夢のなかに散りばめられている記憶の欠片を積み重ねていったような幻想的なサウンドでもある。記憶の欠如が、さらなるノスタルジアを誘発し生成するような感覚とでもいうべきか。記憶の消失がもたらすエモーショナルな感情が微かに、そして確かに息づいていた。音のタイプは異なるもののクレア・ラウジーの音楽(新作『Sentiment』は素晴らしい出来だった!)と同じく「エモ・アンビエント」と言いたくもなる。記憶、消失、ノスタルジアの生成、感情の静かな、しかし確かにエモーショナルな昂まり。
 かといって無駄に「エモ」に陥りすぎないのも、リー・イーレイのサウンドの特徴といえる。イーレイの音楽は冷たくはないが静謐なのである。前作『之 / OF』と同様に、本作『NONAGE / 垂髫』もまた静けさのなかにドリーミーな音が舞い踊るように鳴り響き、まるで時間と空間を浮遊させるような音楽を展開している。
 じっさいこの『NONAGE / 垂髫』には、おもちゃのピアノや手まわしオルゴール、鳥の口笛や壊れたアコーディオン、中国の昔のテレビ番組からの断片など、多様なサウンドのサンプルが用いられている。サウンド・コラージュを基調としたミニマルで室内楽的なエレクトロニカとしても洗練された出来ばえなのだ。とはいえいかにも「コラージュしました」というような意図的な不自然さは微塵もなく、とても自然に、もしくは夢のなかを彷徨するような感覚で、さまざまなサウンドが紡がれている。

 アルバム『NONAGE / 垂髫』は、ピアノを弾くような、乾いた透明な響きの一音から始まる1曲目 “Go, Little Book” で幕を開ける。やがて中国語のナレーションがコラージュされていくだろう。素朴でありながら、洗練されてもいる「音の流れ」が麗しい。続く2曲目 “O O O O” はミニマルでドリーミーな電子音が舞い踊るように連鎖する2分ほどの短い曲。3曲目 “Pond, Grief and Glee” は前2曲より落ち着いたトーンで展開するトラックだ。次第に浮かび上がってくる旋律が心身に浸透するように展開する。
 4曲目 “Tooth, Wallflower and Salt” では、1曲目のムードを反復するように浮遊するような音楽世界を展開する。5曲目 “++++” はグリッチ的な音の跳ねと鳥の鳴き声やノイズのコラージュが見事な曲だ。この2曲などは、かつて竹村延和が主宰したレーベル〈Childisc〉からの諸作品を連想してしまったほど。
 私がアルバム中、いちばん惹かれた曲は、夢のなかの光の瞬きのように音が生成し変化する6曲目 “Sand, Fable and Tiger Balm” と、アジア的な音がサウンドのなかに溶け合っていく2分ほどのインタールード的な7曲目 “Yip, Yip, Yip” である。この2曲がアルバムの中心に置かれていることも重要に思える。
 続く8曲目 “Conch, Soap and Whistle” では音が舞い踊るようなムードから次第に変化し、音と音が溶けあっていくようなサウンドを展開する。まるで夢の底に落ちていくような感覚とでもいうべきか。9曲目 “Nomad, Shelter and Creed” は再び音のうごめきが活性化する。これまでのトラックにあった音の舞と静謐なアンビエンスが融合する楽曲で、本作を代表する曲であろう。そして以降3曲は記憶の深層へと潜るように音が展開する。
 10曲目 “Sandalwood, Ivory and Summit” はアジア的な音楽のフラグメンツを用いた摩訶不思議なサウンドスケープを堪能することができた。11曲目 “Pillow, Mantra and Trance” は、どこか性急なミニマル・ミュージックを展開する。70年代の電子音楽やフィリップ・グラス的なミニマル・ミュージックとでもいうべきか。本作では特異なタイプの楽曲だが(やや緊張感のあるムードだ)、アルバムのラスト直前に置かれることで見事なアクセントになっていた。そしてアルバム最終曲にして12曲目 “Thé Noir, Rêvasser, Retrouvailles” では穏やかなムードに戻る。しかし反復するアルペジオに微かな緊張感があり、夢の世界から現実の世界へ帰還を促すような曲に思えてならない。

 本作に収録されている楽曲数は12曲。どの曲もリー・イーレイのサウンド・コンポーザーとしての手腕が発揮されており、その仕上がりは見事の一言である。そう、本作には、連続と断続、フラグメンツの集積、いわば全体の構築よりも断片の連鎖による構成、西洋的な構造/時間とは異なる東アジア的ともいえる感覚が横溢しているのだ。「時間」に拘った坂本龍一がもしも存命ならば、本作『NONAGE / 垂髫』を高く評価したのではないかと勝手に夢想してしまった。
 ともあれ未聴の方は「夢の中の夢」(ふとリー・イーレイによるコーネリアスのリミックスなども聴いてみたいと勝手に夢想してしまった!)とでもいうような本作のサウンドスケープを堪能してほしい。特に室内楽的なミニマルな電子音楽がお好きな方、幻想的なアンビエント作品がお好きな方などは、とても気に入るのではないかと思う。見事な工芸品のように、傷ひとつなく優雅に、かつ研ぎ澄まされたエレクトロニカ/電子音楽の逸品がここにある。

〈TEINEI〉 - ele-king

 東京から新たにアンビエントのレーベルが生まれた。その名も〈TEINEI〉。「丁寧」だろうか? ともあれ4月7日にまずは2作品が発売される。
 ひとつは、これまで自身のレーベル〈Purre Goohn〉から10年にわたり作品を発表しつづけている東京のアンビエント・アーティスト Haruhisa Tanaka によるアルバム。
 もうひとつは、フランスのレーベル〈LAAPS〉をはじめこちらも10年以上にわたりリリースを重ねているサウンド・アーティスト Tomotsugu Nakamura (坂本龍一トリビュート・コンピ『Micro Ambient Music』にも参加)のアルバムだ。
 〈TEINEI〉は今後も意欲的に活動を継続していくようで、注目しておきましょう。

アンビエントの新興レーベルTEINEIが
注目の邦人アーティスト2名のアルバム作品をデジタル配信とヴァイナルでそれぞれ
ダブルリリース!

東京を拠点する新興のアンビエント・アートレーベルTEINEIから、2名のアーティストのアルバム作品が配信とヴァイナルでそれぞれ4月7日に全世界向けにリリースされる。

TEINEIの第一作となるのは、カナダの老舗名門レーベル、Nettwerk Music Groupに所属したことでもしられる東京在住のアンビエント・ミュージシャン/音楽プロデューサー Haruhisa TanakaのNayuta。

Spotifyのアンビエントジャンルにおいて国内月間リスナー数No.1を誇り、Best of Ambient X 2023にも選出された現在最注目のアーティストの初ヴァイナル作品となる本作は、ギターレイヤーサウンドをベースに、環境音、アナログテープループ、オールドテクノロジーを駆使し、温かみのあるノスタルジックなサウンドが特徴の多幸アンビエント作品。

【リリース情報】
ARTIST : Haruhisa Tanaka
TITLE : Nayuta
CATALOG No : TEINEI-001
RELEASE DATE:2024/4/7
FORMAT:Digital / Streiming / Vinyl
LABEL:TEINEI

【トラックリスト】
01. Akatsuki
02. Waterfowl
03. Boundary
04. Nijimi
05. Hagoromo
06. Form
07. Kasumi
08. Cha tsu mi

TEINEI-001  Haruhisa Tanaka ”Nayuta”
https://linkco.re/EU4g4szG


同時発売となる第二作は、静寂をテーマとした坂本龍一氏のトリビュートアルバムMicro Ambient Musicにも参加し、2020年代に入ってフランスの有力アンビエントレーベルLAAPSから発売されたヴァイナル作品2作が軒並み完売となったサウンドアーティストTomotsugu NakamuraによるMoon Under Current。アコースティックサウンドとアナログシンセによって紡がれた今作は音と静寂の合間に生じる余白を楽しむことができるアンビエントミュージックの佳作となっている。

【リリース情報】
ARTIST : Tomotsugu Nakamura
TITLE : Moon Under Current
CATALOG No : TEINEI-002
RELEASE DATE:2024/4/7
FORMAT:Digital / Streiming / Vinyl
LABEL:TEINEI

【トラックリスト】
01. rain boundaries
02. dust
03. mahogany
04. moderate
05. temple / cathedral
06. blue lake
07. starfish
08. white screen

TEINEI-002   Tomotsugu Nakamura ”Moon Under Current”
https://linkco.re/ZA8e0Syt

同氏がレーベルオーナーをつとめるTEINEIは、アートレーベルと銘打っており、芸
術家、音楽家のコラボ出版を手がけるフランスのIIKKIなどとも連動しながら注目
の活動をつづけてゆくようだ。

https://teinei-label.com/
https://teinei.bandcamp.com/

ドキュメンタリーに伝記映画、ライヴ映画など、近年ますます秀作が公開されている音楽映画を一挙紹介!

3月公開の『モンタレー・ポップ』とフェス映画の系譜

インタヴュー
ピーター・バラカン──音楽映画祭を語る
大石規湖(映画監督)

『ムーンエイジ・デイドリーム』『ストップ・メイキング・センス』などのロックの映画を中心に、『サマー・オブ・ソウル』や『白い暴動』、『自由と壁とヒップホップ』といった社会派音楽ドキュメンタリーまで、近年盛り上がりを見せる音楽映画の秀作・傑作を大紹介!

目次

巻頭特集 『モンタレー・ポップ』
Review ポップ・カルチャー史のエポックとなった伝説のフェス──『モンタレー・ポップ』 柴崎祐二
Column フェス映画の系譜 柴崎祐二

Interview
ピーター・バラカン さまざまな場所、さまざまな音楽──音楽映画祭をめぐって
大石規湖 「そこで鳴っている音にいかに敏感に反応できるか」

Review
マニアも驚かせた大作ドキュメンタリー──ザ・ビートルズGet Back』とビートルズ・ドキュメンタリー映画 森本在臣
断片の集成から浮かび上がる姿──『デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・ デイドリーム』とデヴィッド・ボウイ映画 森直人
説明の難しい音楽家──『ZAPPA』 てらさわホーク
微笑ましくも豊かな音楽とコント──『フランク・ザッパの200モーテルズ』 てらさわホーク
伝記映画の系譜──『エルヴィス』ほか 長谷川町蔵
トム・ヒドルトンが演じるカントリーのレジェンド──『アイ・ソー・ザ・ライト』 三田格
ザ・バンドを語る視線──『ザ・バンド かつて僕らは兄弟だった』 柴崎祐二
今こそ見直したい反時代性──『クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル トラヴェリン・バンド』 柴崎祐二
ヴェルヴェッツを取り巻くNYアート・シーン──『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド』『ソングス・フォー・ドレラ』 上條葉月
1984年と2020年のデヴィッド・バーン──『ストップ・メイキング・センス』『アメリカン・ユートピア』 佐々木敦
メイル兄弟とエドガー・ライトの箱庭世界──『スパークス・ブラザーズ』 森直人
パンクが生んだ自由な女たち──『ザ・スリッツ:ヒア・トゥ・ビー・ハード』 上條葉月
セックス・ドラッグ・ロックンロールに明け暮れた栄枯盛衰──『クリエイション・ストーリーズ 世界の音楽シーンを塗り替えた男』 杉田元一
アウトロー・スカムファック(あるいは)血みどろの聖者に関する記録『全身ハードコア GGアリン』+『ジ・アリンズ 愛すべき最高の家族』 ヒロシニコフ
改めて注目を集めるカルト・クラシック──『バビロン』野中モモ
甦る美しき革命の記録──『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)』 シブヤメグミ
帝王の孤独──『ジェームス・ブラウン ~最高の魂(ソウル)を持つ男~』三田格
総合芸術としてのヒップホップ──『STYLE WARS』 吉田大
壁の向こうの声に耳を傾ける──『自由と壁とヒップホップ』 吉田大
ショーターの黒魔術に迫る──『ウェイン・ショーター:無重力の世界』 長谷川町蔵
ジョン・ゾーンのイメージを刷新する──『ZORN』 細田成嗣
ルーツ・ミュージックのゴタ混ぜ──『アメリカン・エピック』 後藤護
シンセ好きの夢の空間──『ショック・ドゥ・フューチャー』森本在臣
フィジカル文化のゆくえ──『アザー・ミュージック』 児玉美月
愛のゆくえ──『マエストロ:その音楽と愛と』杉田元一
徹底した音へのこだわりによるライヴ映画──『Ryuichi Sakamoto: CODA』『坂本龍一 PERFORMANCE IN NEW YORK : async』 杉田元一
失われた音楽が甦る瞬間──『ブリング・ミンヨー・バック!』 森本在臣
スペース・イズ・ザ・プレイス —— 渋サ(ワ)知らズと土星人サン・ラーが出逢う「場」──『NEVER MIND DA 渋さ知らズ 番外地篇』 後藤護
生きよ堕ちよ──『THE FOOLS 愚か者たちの歌』森直人
コロナ禍におけるバンドと生活──『ドキュメント サニーデイ・サービス』 安田理央
天才の神話を解いて語り継ぐ──『阿部薫がいた-documentary of kaoru abe-』 細田成嗣
坂道系映画2選──『悲しみの忘れ方 documentary of 乃木坂46』』『僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46』 三田格
勢いにひたすら身を任せる──『バカ共相手のボランティアさ』 森本在臣

Column
政治はどこにあるのか 須川宗純
ポリスとこそ泥とスピリチュアリティ──レゲエ映画へのイントロダクション 荏開津広
映画監督による音楽ドキュメンタリー 柴崎祐二
歌とダンスの(逆回し)インド映画史 須川宗純

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お詫びと訂正

このたびは弊社商品をご購入いただきまして誠にありがとうございます。
『ele-king cine series 音楽映画ガイド』に誤りがありました。
謹んで訂正いたしますとともに、お客様および関係者の皆様にご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます。

表紙
誤 大石紀湖
正 大石規湖

Micro Ambient Music Festival - ele-king

 企画は伊達伯欣。「マイクロ・アンビエント・ミュージック・フェスティヴァル」と題された催しが2/23~25の3日間にわたっておこなわれる。なかなか豪華な面子が集っている点も目を引くが、リスニング・スタイルにも趣向が凝らされているようで、通常のフェスとは異なる特別な体験を味わうことができそうだ。詳しくは下記よりご確認ください。

Micro Ambient Music Festival
2023年4月の坂本龍一の訃報から間もない、7月13日から期間限定でウェブ上に公開・販売された『Micro Ambient Music』。

自身がアーティストでもある伊達伯欣(ダテトモヨシ)によって集められた、晩年の坂本と関わりや影響のあった国内外の41アーティストによる39作品が、4時間にわたり収録された追悼コンピレーション・アルバムです。

現在進行形の音響/アンビエントミュージックシーンを概観できるこのアルバムは2023年、ドイツ国内の権威ある音楽批評家賞”German Music Critics Award” Electronic & Experimental部門を受賞しました。

今回、東京都新宿区のNTTインターコミュニケーション・センター[ICC]にて、企画展「坂本龍一トリビュート展 音楽/アート/メディア」に関連し、この「Micro Ambient Music」をライヴ・イヴェントとして体験するコンサートを3日間にわたって開催します。

◆開催概要◆

イベントタイトル:
Micro Ambient Music Festival

開催期間:2024年2月23日(金・祝),24日(土),25日(日)

各日とも3セッション(合計9演奏)開催
各セッションの公演時間はタイムテーブルにてご確認ください.

時間:開場11:00閉場20:00予定
会場:NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]内3会場
入場料:1セッション(3演奏)4,500円(※学生3,000円),
1日通し券(3セッション9演奏券)10,000円[各日20枚限定]
定員:各セッション100名

*第二会場のベッドは先着予約40名様になります。
 それ以降の方は座布団などになる予定です。
*学生料金の方は当日会場での受付時、学生証をご提示いただきます。

チケット購入方法や販売開始日時など、最新情報はICCのウェブサイトなどでお知らせします.

<第一会場 生音スペース>

秋山徹次・大城真・石川高・田中悠美子・Shuta Hasunuma・Minoru Sato・すずえり・池田陽子・Chihei Hatakeyama

<第二会場 ベッドスペース>

中村としまる・Christophe Charles・Christoper Willits・SUGAI KEN・Yui Onodera・Ken ikeda・Sawako・Tomotsugu Nakamura・小久保隆
PA:大城真

<第三会場 音響スペース>

Filament(Sachiko M、大友良英)、網守将平、角銅真実
ASUNA・Chappo・The Factors
ILLUHA・HAM・Opitope
PA:ZAK

主催:NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]、つゆくさ医院
企画:伊達伯欣
協賛:西川株式会社

◆イベント詳細◆

 日本初となる3日間の屋内型アンビエント・ミュージックのフェスティヴァルとして、総勢27組のアーティストが、下記の通りそれぞれ音響の異なるセッティングが用意された「3つのスペース」で演奏を行います。今回出演するアーティストの方々は、世界的な評価も高い日本を代表する錚々たる音楽家の方々です。

 来場者は3つのスペースをセッションごとに移動する形で、各会場の特性を活かしたアーティストによる演奏、音環境の変化を堪能していただけるイベントになっております。

第一会場(約50㎡)

生音や単一スピーカーによるアコースティックな響きを体感するスペース。笙や三味線、ギター、創作楽器などの独奏(ソロ)による40分

第二会場(約144㎡)

暗闇の中、ベッドに横たわりながら16chのスピーカーから立ち上がる音楽体験をする、アンビエントミュージックの本懐とも言えるスペース。

第三会場(約315㎡)

現代最高峰とも目されるドイツ「musik electronic geithain」のスピーカーによる音響と2009年より坂本龍一のPAを務めたZAKによる音づくり。テクノロジーによって増幅された「音」をバンドパフォーマンスで体感するスペース

タイムテーブル

21世紀の視点からその思想と生涯を解説する

オーネット・コールマンが共演し、スクリッティ・ポリッティが曲名で共感を表明し、坂本龍一がドキュメンタリー映画のサウンドトラックを制作したフランスの哲学者。

サイモン・レイノルズやマーク・フィッシャーが音楽を論じる際に用いた概念「憑在論」の本家本元にして「脱構築」の発明者。

ポップ・カルチャーにおいてもひときわ大きな存在感を放つ20世紀最高の知性のひとり、ジャック・デリダの生涯と思想を、21世紀の視点から新たに解説しなおす。

★用語解説つき

四六判/ソフトカバー/464頁

目次

イントロダクション
第1章 キッド
第2章 フッサール、ほか
第3章 起源の問題
第4章 ジャック・デリダ
第5章 出来事、ひょっとすると
第6章 『グラマトロジーについて』
第7章 真理が女だとすれば、どうだろうか
第8章 万人ここに来たれり
第9章 掟の前で
第10章 について
第11章 出来事が起こった
謝辞

訳者あとがき
用語解説
索引

ピーター・サモン(Peter Salmon)
1955年生。オーストラリア出身、UK在住の作家。テレビやラジオのショート・ストーリーを多数手がけつつ、『ガーディアン』や『シドニー・レヴュー・オブ・ブックス』などさまざまな新聞や雑誌に寄稿。小説『コーヒー・ストーリー』(2011年)で『ニュー・ステーツマン』のブック・オブ・ザ・イヤーを受賞。UKの『ピッチフォーク』的存在たる音楽メディア『クワイエタス』では、デリダと音楽の関係についての文章も執筆している。

伊藤潤一郎(いとう・じゅんいちろう)
1989年生。新潟県立大学国際地域学部講師。著書に『ジャン=リュック・ナンシーと不定の二人称』(人文書院、2022年)、『「誰でもよいあなた」へ──投壜通信』(講談社、2023年)。訳書にナンシー『アイデンティティ──断片、率直さ』(水声社、2021年)、同『あまりに人間的なウイルス──COVID-19の哲学』(勁草書房、2021年)など。

松田智裕(まつだ・ともひろ)
1986年生。立命館大学衣笠総合研究機構専門研究員。著書に『弁証法、戦争、解読──前期デリダ思想の展開史』(法政大学出版局、2020年)、訳書にジャック・デリダ『思考すること、それはノンと言うことである──初期ソルボンヌ講義』(青土社、2023年)など。

桐谷慧(きりたに・けい)
1986年生。東京大学大学院教務補佐員。論文に「「『幾何学の起源』序説」におけるデリダの「生き生きした現在」の解釈について」(『フランス哲学・思想研究』第28号、2023年)、共訳書にパトリック・ロレッド『ジャック・デリダ──動物性の政治と倫理』(勁草書房、2017年)など。

横田祐美子(よこた・ゆみこ)
1987年生。立命館大学衣笠総合研究機構助教。著書に『脱ぎ去りの思考──バタイユにおける思考のエロティシズム』(人文書院、2020年)、共訳書にボヤン・マンチェフ『世界の他化──ラディカルな美学のために』(法政大学出版局、2020年)、カトリーヌ・マラブー『抹消された快楽──クリトリスと思考』(同前、2021年)など。

吉松覚(よしまつ・さとる)
1987年生。帝京大学外国語学部特別任用講師。著書に『生の力を別の仕方で思考すること』(法政大学出版局、2021年)。共訳書にマルタン・ジュベール『自閉症者たちは何を考えているのか?』(人文書院、2021年)、ジャック・デリダ『講義録 『生死』』(白水社、2022年)、ジャック・デリダ『メモワール』(水声社、2022年)ほか。


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