「UR」と一致するもの

interview with The XX - ele-king

都市には秩序も空間も
そして場所もない
真実も信頼もない
インガ・コープランド“BMW”

 なぜか日本の若い世代では昔ながらのシティ・ポップスが流行っているけれど、英国で流行っているシティ(都市)の音楽は、死刑台のように、ばっさりと冷たい。その象徴が僕にはディーン・ブラント&インガ・コープランド(ハイプ・ウィリアムス)だと思える。ブリアルを見いだし、自らもコード9+ザ・スペースエイプ名義の作品によって、都市になんざぁこれっぽっちの陶酔もないことを訴えていた人物が契約しただけのことはある。僕も彼らの感覚に多いに共感しているわけだが、ダブステップを好きになった理由もそこだった。

 ザ・XXは、ここ数年のロンドンの音楽が感じ取っている冷酷な都市感覚をより甘美なメロドラマに見立て、そしてスタイリッシュにブラッシュアップしている。デビュー時に何かと比較されたエヴリシング・バット・ザ・ガールのトレイシー・ソーンが自分のほうからザ・XXの曲“ナイト・タイム”をカヴァーしたほど、その洒落たセンスは認められている。特別何か強い主張があるわけではないが、ザ・XXには格別なムードがあるのだ。メランコリーをとらえるのが抜群にうまい。
 3人それぞれの個性がこのバンドを構成しているのはたしかだろう。が、ことジェイミー・スミス(ジェーミー・XX)という音作り担当の存在は大きい。リチャード・ラッセル(XLレコーディングスの社長)がギル・スコット・ヘロンの遺作のリミキサーに大抜擢したことはある。だいたいレディオヘッドとリアーナから仕事を依頼されるという文武両道ぶりはすごい。

E王
The XX
Coexist

Young Turks/ホステス

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 そういえばマッシヴ・アタックのセカンド・アルバム『プロテクション』の1曲目はトレイシー・ソーンが歌っていたなと、『コエグジスト』をホステスで試聴する前に思い出していた。満足度で言えば、ジェイミー・スミスのトラックに関してはほぼ満足している。思ったよりもダブステップ色は薄く、代わりにハウス(ディスコ)が注がれているが、R&Bやバラードなど、前作以上に幅をもたせているばかりか、品質はいっきに向上している。そして、どう考えてもジェイミーのクラブ・ミュージック愛が前作以上に滲み出ている。

 ザ・XXは深夜の音楽であるから必然的な展開だったと言えるが、あらためてそうなった。いわばトドラ・T(いや、ここはホット・チップと言うべきなのかな、斎藤君)の裏側、音数は少なく、密室的で、薄暗いその内省的なスペースは心地よく広がっている。あとは静かにして、音に集中するだけだ。


DJをして世界を回って肌で感じたのは、結局みんな行き着くところはハウスでありテクノであり、っていうところで。イギリスもいま、そういう風になってきてる。

いきなりですが、あなたがたがいまUKでベストだと思うレーベル/DJ/プロデューサーを教えてください。

オリヴァー・シム(以下、オリヴァー):僕たちがすごく恵まれてるなと思うのは、自分たちが所属するレーベル(Young Turks)は僕たちが好きな音楽をかなりのパーセンテージで出しているレーベルなんだよね。それにアーティストとしてすごく自由をくれていて、いい関係を築けているからこれ以上のレーベルはないと心から思っているよ。それから、ジェイミーがこの1年でやってきたソロ活動をいちファンとしてすごく楽しんできた。自分は関わっていないけど本当に素晴らしいと思うし、彼のことを心から誇りに思うよ。

今回のアルバムは、より今日のUKのクラブ・カルチャーを反映していますよね?

ジェイミー・スミス(以下、ジェイミー):自分たちのレーベルはいまでもインディではあるけれど、しっかりメインストリームのものも扱いつつしっかり限定されたいいものをすごくいいバランスでやってるっていう意味ですごくいいレーベルだと思う。DJやプロデューサーに関しては、みんなすごく注目されてまたすぐ消えて、っていう。ダンス・ミュージックっていうものはそういうことを繰り返して、進化と発展を遂げてきたんだと思うんだよね。だからいますごく気に入ってるっていうのはないけれど、フォー・テットに関してはすごく安定して活動を続けているし、何か作品を出す度に進歩的な音楽を作っているなと思うよ。

ロミーは現在のクラブ・カルチャーにどのような見解を持っていますか? あなたは歌っている立場ですけれども、今回はサウンド・プロダクション的にはクラブ・カルチャーの側面が強く出ていますよね。

ロミー・マドリー・クロフト(以下、ロミー):わたしは基本的に、ジェイミーやオリヴァーが「こういうのが面白いよ」って教えてくれるものを通してクラブ・ミュージックを聴いているの。イギリスだけじゃなくいろいろなものを聴いていて、ハウスやディスコもすごく好きだし、R&Bもすごく好きだったりする。自分からUKのクラブ・シーンに特別注目するっていうことはあまりないかな。

3人にとってUKのクラブ・カルチャーは誇れる文化だっていう意識はあるんでしょうか?

ジェイミー:うん。イギリスに根づいたものがいまのイギリスで盛り上がってるっていうことはあまりないけど、いろいろ出てきたものが世界的に大きなものになっているとは思うんだ。DJをして世界を回って肌で感じたのは、結局みんな行き着くところはハウスでありテクノであり、っていうところで。イギリスもいま、そういう風になってきてる。UKのサウンドだけじゃなくて、そこから出てもう少し広い意味での音楽で評価されるようになったっていうのは、逆にいいことなんじゃないかな。

なるほど。

ジェイミー:まあ、これは僕個人の見解なのかもしれないし、あらゆる音楽を聴いて考えてきた結果――まあ、考えすぎなところはあるんだけど――、結局「何がひとを踊らせるんだ?」と考えたときに、根本的な要素を追求したら、さっき言ったようにハウスやテクノなんだなって思ったんだ。

さっきからサウンド面についてばかり質問してしまっているんだけど、バンド自身では今回のセカンド・アルバムでもっとも重要なポイントっていうのはそれぞれどこだと思っていますか?

オリヴァー:事前にこういう作品にしようって打ち合わせをしたわけでもないし、ただひたすら曲単位で、みんなでまた一緒に曲を作る喜び、それを世のなかに発信する喜びを感じながら作っていたんだ。そのなかで、こういう作品を作ろうって目標を決めたわけでもない。僕としては、自分の抱えている気持ちや感情をしっかり出してそこに込めるておいうことだったんだけど。それ以外は、前もって決めたものではないんだよね。

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どんどんすごく悲しい歌になりそうなものは、正反対の対照的なものと組み合わせることで、また新しいムードを作り上げるっていう意味でだね。そのアイデアは気に入ってるんだ。

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The XX
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Young Turks/ホステス

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前回のインタヴューで、「マッシヴ・アタックのアルバムで何がいちばん好きですか」って聞いたら、「自分たちはiTunes世代だから曲単位でしか曲を聞いてなくて、アルバムって言われてもアルバム名が浮かばないんだ」っていうようなことを言ってたんですけれども。その後時間が経ちましたけど、アルバムというものへの捉え方はどのように変わったでしょうか?

ロミー:ええ、変わったと思う。今回のアルバムを作って、やっぱり曲順とか全体の流れを――とくにDJなんかを聴いた影響もあると思うけど、すごく考えるようになった。どの曲とどの曲を繋げたら合うかってことをとても意識するようになったわ。1枚のアルバムを通して聴くっていうこともすごく意識するようになったわね。たしかにそれはわたしたちは子どもの頃音楽を聴いてきた環境とは違ってて。iPodでシャッフルで音楽を聴くってことをずっとやってきたんだけど、今回アルバムを作って通して聴くってことをすごく考えるようになった。アナログでも出すんだけど、とくにアナログとなると曲を飛ばしたりできないから、曲順もすごく気を遣ったの。いまの時代に、リスナーにアルバムとして聴いてくれっていうのは大きい要求かもしれないけれど、少しでも多くのひとがそういう風に楽しんでくれたらいいと思うわ。

アルバムとして意識しはじめたときに、他のアーティストでアルバム作品としていいなと思ったものはありますか?

ロミー:ポーティスヘッドね。最初から最後まで本当に素晴らしい作品で、1曲1曲も大好きなんだけど、全体を通して聴いても素晴らしいと思うわ。

ポーティスヘッドはサウンド面だけでなく、コンセプト的にも素晴らしいアーティストだと思うんですけれども、今回のあなたたちのアルバムにもコンセプトがあると聞きました。それが「失われし愛」という言葉を聞いたんですけれども、そのテーマについて説明していただけますか?

ロミー:コンセプトを持って作ったってわけではないんだけど、結果的にすべてラヴ・ソングになったの。それもラヴ・ソングにするって決めてたわけじゃないんだけど、純粋に書いてて楽しかったのがそれだったのね。

必ずしもハッピーではないラヴ・ソングばかりを書くのはなぜですか?

ロミー:もともと悲しい曲が好きだっていうのはあるわね。自分が幸せなときも悲しい曲を聴いて、それに浸るっていうのが。結局悲しい想いのほうが、歌で表現したときに説得力があると思う。幸せなものっていうのは得てして陳腐なものになりかねないし。ただ今回のアルバムでは、ただ悲しい曲ばかりじゃなくて、なるべく感情の幅を持たせようという気持ちはあったから、2、3曲ただ悲しいだけじゃないラヴ・ソングも書いたつもりなんだけどね。

なるほど。ジェイミーが作る音にふたりが言葉を合わせているわけではないんですよね?

ジェイミー:3人の個性の融合だね。自分のサウンドを押しつけるのではなくて、ロミーとオリヴァーが書いてきたことに合うもの、その世界観を引き出すものを意識してるんだ。それらを衝突させるよりも、ふたりが作ったものを生かすっていうことを僕は意識してる。

ちなみにダンス・ミュージックってことで言うと、レイヴ・カルチャーではブローステップみたいなものが大きくなってますけど。当然あなたたちはブローステップみたいなシーンとは距離を置いてるわけですよね。

ジェイミー:ブローステップ? (力なく)ああ……。

はははは。

ジェイミー:ダブステップがアメリカに行ってブローステップになってしまったっていうのは、ある意味悲しいよね。好きじゃないんだけど。ただ、去年1年はレイヴとかパーティとかには行ってないし、今回のアルバムの要素としてもクラブ・ミュージックやダンス・ミュージックが大きい位置を占めているわけではなくて、いろんな要素がたくさんあるから。これがダンス・アルバムだと捉えられては困るかな。

とはいえ、6曲目の“サンセット”は典型的なハウス・トラックで、4つ打ちというのはファーストにはなかったわけで。全体的にファーストよりはクラブ寄りに感じましたが。

ジェイミー:それはどんどんすごく悲しい歌になりそうなものは、正反対の対照的なものと組み合わせることで、また新しいムードを作り上げるっていう意味でだね。そのアイデアは気に入ってるんだ。踊ることもできるし、クラブじゃない環境で聴きこむこともできるっていうことをこの曲では目指したんだ。

ギル・スコット・ヘロンのリミックスをはじめ、昨年ジェイミーが〈ナンバーズ〉レーベルから出したシングルも良かったし、ファルティDLのリミックスも良かったし、UKベース・ミュージックの最新型として印象的に思ったんですよね。だから、あなたが次どんなトラックを作るのかっていうところに注目していて。4つ打ちをやったっていうのが、正直自分のなかでは驚きだったので。

ジェイミー:まずはダンス・ミュージックを聴いていたっていうのと、曲に合った一番いいものを作ろうっていう思いでプロデュースした結果なんだけど。XXの曲をプロデュースしたときっていうのは、プロデュースっていうのはひとつの要素でしかなくて、それがすべてではないんだ。自分の作品と比べるとね。4つ打ちっていうのはシンプルな8ビートのなかでいろいろなことができるっていう意味で実はすごく面白いんだよ。

なるほどね。じゃあ最後の質問にしますね。2回目の来日ですけど、それぞれ楽しみにしていることを教えてください。

オリヴァー:3回目だね。フジロックで来たから。

あ、そうか。

オリヴァー:やっぱりライヴだよね。新曲のリアクションがすごく楽しみなんだ。あとは、今回はけっこうたっぷり滞在期間があるから、東京の街中を味わうのをすごく楽しみにしてるんだ。

ジェイミー:買い物だね。

ロミー:田舎のほうを見てみたいわ。歴史的なものを感じたい。その時間があるかだけど。

[Electronic, House, Dubstep]#12 - ele-king

 買ってからけっこう時間が経ってしまっている盤も少なくない。いまはヴィラロボスのアナログ盤が並んでいるけれど、ぜんぶ揃えると5千円かよ~。とりあえずはいくつか現状報告。

1.Lindstrom - Call Me Anytime (Ariel Pink's Haunted Graffiti Remix) |
Smalltown Supersound


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E王いつか誰かがやるんじゃないかと思っていたけれど……リミキサーがアリエル・ピンクス・ホーンティッド・グラフィティ、OPN、そしてマーク・マグワイアという、三田格じゃなくとも「ついにこの時代が来たか!」と唸りたくなるような記念碑的なシングル。機能性のみが重視されているこの10年のリミックス文化には見られなかった何でもアリの実験精神が刻まれている。それでも、OPNとマーク・マッガイアに頼むのはわかる。そこにアリエル・ピンクがA面にどしんと刻まれているところが良い。レーベルの方向性に拍手したい。ノルウェイーのコズミック・ディスコの王様、リンドストロームが今年リリースしたサード・アルバム『シックス・カップス・オブ・レベル』収録曲だが、最近はネナ・チェリー&ザ・シングやラジカのアルバム、数年前はサンバーンド・ハンド・オブ・マンやヤマツカ・アイなどといったレフトフィールドなアーティストの作品を出している〈スモールタウン・スーパーサウンド〉らしい冒険心と言えるだろう。
 アリエル・ピンクス・ホーンティッド・グラフィティのリミックスが意外なことにしっかりとフロア対応していて、クラウトロック的な、そして諧謔性のあるミニマリズムを展開。OPNは、チルアウトを押し通しつつも、左右音が飛びまくりの見事なトリップ・ミュージック。マーク・マグワイアは……思わず笑ってしまうほど、ギターを弾きまくっている。

2.Azealia Banks - 1991 | Interscope Records


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E王とくにヒップホップ/R&Bのリスナーのあいだでは期待が高い、ハーレム出身の21歳、アゼリア・バンクスの〈インタースコープ〉からの12インチ・シングルをマシン・ドラムとローンがプロデュースしているところに“いま”を感じるし、M.I.A.を過去のものにしてやるぐらいの意気込みを感じる。ミッシー・エリオットとM.I.A.の中間をいくようなフローも魅力的で、一聴しただけで強く惹かれるものがある。ハウスを取り入れたマシンドラムの“1991”に対して、ローンはレイヴィーな“Liquorice”で迎える。路上のにおいが漂うB1の“212”も素晴らしい。すべてにおいて完璧。夏前に買ったシングルだが、2012年のベストな1枚だと思う。

3.Joy Orbison, Boddika & Pearson Sound - Faint / Nil (Reece) / Moist | SunkLo


 UKベース・ミュージック、ジョイ・オービソンがボディカと一緒に作ったレーベルから3枚リリースされている12インチの最初の1枚。この盤のみピアソン・サウンドが参加。
 ハウス/テクノに限りなく近づきながらも一寸止めでベース・ミュージックにとどまっている。ダブステップやグライムで育った感性がハウス的展開をしているまっただ中にある。ザ・XXのジェイミー・スミスあたりといちばんシンクロしている音はこのあたりなんじゃないだろうか。

4.Moody - Why Do U Feel ? / I Got Werk / Born 2 Die | KDJ


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E王問題はB面の2曲目。ラナ・デル・レイとは、とくに“ボーン・トゥ・ダイ”のプロモーション・ヴィデオを見たことのある人なら、あの曲の世界観が吐き気がするほど白いアメリカだとわかるだろう。それは、デトロイトのブラック・ソウル・ハウスにおけるもっともラジカルなプロデューサーが描き続けている世界とは正反対に広がっている。が、ムーディーマンはそんな彼女を、突き放すのではなく、セクシャルな黒い女神へと変換している。鮮やかな手口でもって。
 ほかの2曲は毅然としたブラック・ソウル。“Why Do U Feel ?”はムーディーマンのメロウなセンスを活かした曲で、“I Got Werk”はファンク。ちょっとオタク的なことを言えば、スネアの音ひとつ、シンバルの音ひとつ、違う。

5.HRKY - Madwazz Ep | Madwazz Records


これをもそうだが、最近は、本当に、デトロイト・テクノがインディ・ミュージックを聴いているいちばん若い世代のあいだで盛り上がっているようだ。ロックのおけるブルースやソウルのように、迷ったら帰る家となっているのだろう。  これは神戸のレコード店〈アンダーグラウンド・ギャラリー〉が鼻息荒く、「CARL CRAIG / BASIC CHANNELファンへ!」と紹介する福岡のレーベル〈マッドワズ〉からの第一弾。バック・トゥ・ベーシックなファンクのグルーヴをキープしながら、アトモスフェリックなシンセサイザーが広がっている。3曲収録されているが、僕はB1の“The momentary break”がいちばん好き。メトロノーミックな909系のキック音、重なるストリングス、美しい余韻、まさに初期のカール・クレイグを彷彿させる。カセット・レーベルの〈ダエン〉といい、大阪と同様にナイトライフの締め付けが厳しくなっている福岡が、なんだか良い感じでざわついてきた。次は稲岡健か?

6.Being Borings - E-Girls on B-Movie(KT Re-Edit) / Red Hat and Black Sun / Love House of Love (Dr.Dunks Club Remix) | Crue-L Records


 瀧見憲司と神田朋樹によるプロジェクト、ビーイング・ボーリングの2枚目の12インチで、ピッチを落とした、どろどっろのドラッギーなハウスが3種類収録されている。スクリュー的(チルウェイヴ的)なフィーリングのハウス解釈とも呼べる内容で、最近ではシーホークスと繋がっているように、言うなればアシッド・スクリュー・ハウスのAOR的な展開なのだ。瀧見憲司の場合は、どれだけフリークアウトしても身だしなみはしっかりしているようなところがあって、ビーイング・ボーリングにも彼の長所がよく出ている。B面ではラブン・タグのエリック・ダンカンがリミックスをしている。

7.Kahn & Neek - Percy / Fierce | Bandulu Records


 スウィンドルに匹敵するような強力なグライムを下さいと、下北沢のZEROの飯島直樹さんに教えてもらったのが、この12インチ。
 新しいレーベルの1枚目だが、カーンのほうは〈パンチ・ドランク〉などから数枚のシングルを出している。まあ、飯島さんが推すぐらいだからブリストルの連中なのだろう。このど迫力あるベースとサンプリング、若くて、ヴァイタルで、重たい音、たしかに「ドゥ・ザ・ジャズ」に匹敵する。グライムにパワーもらおっと。

8.Major Lazer - Get Free | Mad Decent


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 これも実は夏前のリリースで、はっきり言ってE王クラスのキャッチーなポップなレゲエ。ダーティー・プロジェクターズの女性、アンバー・コフマンさんをヴォーカルに迎えて、ディプロとスウィッチは彼らなりのラヴァーズ・ロックを披露している。B面ではボンヂ・ド・ホレ(Bonde do Role)がタイ・ディスコ調のリミックス。両面ともすごく良い。曲調、歌詞ともに今年のサマー・アンセムだった。
「政府からは愛を得られない/お金を得て何ができるの?/金すら得られないっつーのに/私を見て/私には信じられない/彼らが私に何をしてれたのだろうか/私は自由になれない/夢をみたいだけなのに」、その通り。異論はない。

9.Tashaki Miyaki - Sings The Everly Brothers | For Us


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 日本人ではない。ジーザス&メリーチェインをさらにレトロに再構築したようなサウンドで、実際バディ・ホリーやサム・クックのカヴァーも発表している。というか、他にもボブ・ディランとか、カヴァーばかりなのだが……。またレトロ・サウンドかよーと言わないで、聴いてみたほうが良い。形態こそロック・バンドだが、演奏している音は、スクリュー的なのだ。つまりテンポはどろっと遅く、けだるく、ドリーミー。

Chart - DISC SHOP ZERO 2012.09 - ele-king


JUKE-ish / Juke not Juke Selection #01
本流フットワーク以外の場所から生まれてきた、ジューク好きにオススメ、またはジューク以降の耳で聴くと「!」となりそうな10枚。

Shop Chart


1

FRACTURE feat. DAWN DAY NIGHT - Get Busy (Exit)
ドラムンベースにジュークとエレクトロの要素を盛り込んだタイトル曲は、Apacheな音をうっすら覗かせるあたりもニクい♪ 2はジュークのミニマル感を増量し、カウベルを足したことで高速キューバンな空気も。

2

INDIGO - Ayahuasca / The Root (Exit)
ダブステップで知られるマンチェスターのプロデューサーがドラムンベースのレーベルから。M2のキックの打ち方がジューク的でもあるトライバル感を。

3

VERSA - Shadow Movement (On The Edge)
エフェクトがRhythm & Soundにも通じる深海テック・ダブが、45rpm-2でアンビエント感あるジューク風に。

4

REGIS - In A Syrian Tongue (Blackest Ever Black)
UKミニマル・テクノの鬼才。M2と3は、ピッチアップ(45rpm -8) してドラムンベース~ジュークに接続可。

5

Danny Scrilla - Hunch feat. Om Unit (Cosmic Bridge)
ジュークを半分で捉えたテンポと、Joker周辺なシンセ、そしてダブ~レゲエなリズムが交差してどれも越えてるナゾ度(現状)高い1枚。

6

ILL BLU - Clapper (Hyperdub)
クドゥロにも通じる、クラップを活かしたハイパー・ファンキーなオリジナルに、Traxmanによるフットワーク~ジューク・リミックスも収録。

7

ROMARE - The Blues (It Began in Africa) (Black Acre)
様々なサンプルのコラージュでアフリカとアフロ・アメリカンの間の見えない線を浮かび上がらせる音響実験。ザックリした生の感触と、ジューク以降のベースとリズムのセンスが絡み合って、ありそうでなかった不思議な空間。

8

INTERFACE & MINUS / DIE & MENSAH - Hardwork / Firing Line (Gutterfunk)
ブリストル・ドラムンベースからジュークに接近した1。ふたりの筋金入りファンカーによるエレクトロ2。

9

AMIT - Stay With Me / Kritical (Exit)
M1ではインドな香りのストリングスと大陸的に漂う女性ヴォーカルが、ドラムンベースを通過したトライバル・ビートと融合。M2は、これまたドラムンベースの血を感じさせつつのエレクトロ・アシッド・ファンク。

10

EAN - Darknet E.P (Cosmic Bridge)
ダブステップの音の鳴り&展開をジュークなビートと骨格にはめ込んでみたような、ダブステップ×ジュークの中間でありつつどちらでもない不思議な響き。M4のメランコリックさは新鮮!

Django Django - ele-king

 ホット・チップがフェンダーを掻き鳴らすギター主体の......というかベンチャーズをカヴァーしたらこうなっていたのかもしれない。実際ホット・チップは10月のギグでジャンゴ・ジャンゴを前座に迎えることになっている。ジャンゴ・ジャンゴという反復の名前を見て反射的にギャング・ギャング・ダンス(Gang Gang Dance)を思い出したのだが、ギャング・ギャングとも相容れるかもしれない程度にサイケデリックでもあるし、最近の彼らと同じく反復のリズムが据えられている。しかしそのリズムも殊更には強調されておらず、大げさに踊ることは想定されていないだろう。

 シンセサイザーやリズムマシンを用いたポップスとなるとシンセサイザーが演奏の主体になっていくのがシンセポップのバンドの常だと筆者は勝手に思っていたのだが、ジャンゴ・ジャンゴはシンセをあくまで曲の味付けとして用いており演奏の主体はギターとドラムとベースといったフィジカルな音である。そしてなによりザ・ビーチ・ボーイズ(!)を思い起こさせるヴォーカル・ハーモニーを特筆すべきか。というか、このバンドが語られる際にホット・チップの名が挙げられる傾向があるのは、エレクトロニクスを用いた音楽にザ・ビーチ・ボーイズめいたヴォーカル・ハーモニーを搭載させているからだろう。リード曲"ディフォルト(Default)"でのタイトルを連呼するエディットされたヴォーカルも"Surfin' Safari"におけるマイク・ラヴのちょっと間抜けなコーラス・ワークとよく似ている(ああ、またホット・チップとザ・ビーチ・ボーイズに触れてしまった)。もしかしたらアニマル・コレクティヴ(Animal Collective)のヴォーカル・ハーモニーを思い出す人もいるかもしれない。しかし、リード・ヴォーカルが導くメロディはジョン・レノンに歌わせてもしっくりくるものがあるかもしれない。

 ロンドン出身のジャンゴ・ジャンゴだが、「ジャンゴ」が映画『続・荒野の用心棒』の主人公の名前であるように──それは初期のアップセッターズのアルバム名にもなっている──音楽(とくにリード・ギター)はなぜかとても西部劇的めいている。西部劇というよりはアメリカーナ志向は、古くからブートレグで伝わっていたがようやく昨年にオフィシャルで陽の目を見たザ・ビーチ・ボーイズ『スマイル(SMiLE)』のコンセプトと接近しようとしたものであるかもしれない。そう考えるとアルバム全体が"英雄と悪漢(Heroes And Villians)"を引き延ばそうとしたものにも思えるし、ヴィンセントのリード・ヴォーカルもその頃のブライアンのすこしだけ鼻にかかった歌声と似ている気さえする。こんなこというと本人がたいそう喜びそうだ。

 "ファイアウォーター(Firewater)"のカントリー・ブルース/ロカビリーっぽさ。ホット・チップの強烈なダンス・フロア・ソング"シェイク・ア・フィスト(Shake A Fist)"をリスナーの脳みそをふにゃふにゃにできるよう知能指数をすこし低めに設定して柔らかくカヴァーしたような"ウェイヴフォームス(Waveforms)"のビート。レッド・ツェッペリンの『III』っぽくもある"ハンド・オブ・マン"に吹くフォークの風。"ラヴズ・ダート(Love's Dart)"の背後にあるマントラのにおい、"ウォー(Wor)"の露骨にあらわされた「エレキ」の弦の感触。ひねりのないタイトル"ライフズ・ア・ビーチ(Life's A Beach)"に突如挿入されるパイプ・オルガン。タイトルから諸の"スカイズ・オーヴァー・カイロ(Skies Over Cairo)"のアラビアン・ナイト。"ドラムフォームス(Drumforms)"にある日本のバンド、Food BrainのサイケデリアとYMOのシンセサイザーの調合。これらすべてがいやらしさを感じさせないようにしかし記号的に配置されている。さまざまな過去の音楽から要素を抽出してくる感覚は例えばベスト・コーストのあからさまなリヴァイヴァルとも違うし、ホット・チップによる80年代の音楽の消化&昇華とも違うだろう。折衷というよりは、例えばジャンゴ・ジャンゴがベッドルームで見た音楽のジャーニー(旅)の(白昼)夢を具現化しようとしたもののように思える。これらの記号は、じっさい、意図的にプリコラージュされたにしてはサイケデリックだし、無意識的にしてはアーティスティックでよくできすぎている。ライナーノートにはジャンゴ・ジャンゴのリスペクトする無数のミュージシャンが羅列されているが、そこまで計算し尽くされ謀略的なサウンドのようには響かない。無邪気で愉しいアルバムだ。メンバーたちも他に仕事をもっているゆえにスローペースの活動とのことだが、どんなシーンにも左右されず、気楽にアーティスティックな作品を作ってくれることだろう。これならザ・ビートルズやザ・ヴェンチャーズしか聴かないようなおじいさんもすこしは耳を傾けてくれるかもしれない。次作はいつだ。

パブリック娘。 - ele-king

hi ele-king

「あっ、ども。はじめまして。」パブリック娘。です。
https://lyricalgarden.web.fc2.com/publickmusume/
橋元遊歩さん(原文ママ)から、THE OTOGIBANASHI'Sだけではライヴレヴューとしてなんだからと、ついでに大絶賛をいただいたラップ・グループです。
https://www.ele-king.net/review/live/002309/

1から3が清水大輔、4から6が斎藤辰也、7から10が文園太郎による選曲です。メンバー3人のうちまともにDJをしているのは文園のみですが、橋元さんへの感謝状の意も込めまして3人揃って選曲させていただきました。リストを眺めますと、目立つのはアーティスト本人によるアップロードですね。これもナウなヤングのひとつのリアルでございます。そうそう、Tokyo No Waveなるシーンが東京のライヴハウス(主に高円寺二万電圧でしょうか)で盛り上がりつつあるようですが、ぜひエレキングにも分析してもらえたら面白いに違いないと思っています。

私事になりますが、夏風邪をガツンとひいてしまい、目覚めたら39.8度なんてことが2週にわたり断続的に起きています。熱いです。ホット・チップです。みなさんのご健勝となによりご健康を心よりお祈り申し上げます。

best wishes.
tatsuya


1
moscow club - jellyfish - Bandcamp

2
ミツメ - fly me to the mars!!! - Mitsume

3
ユームラウト - マイライフ・イズ・エンド - Myspace

4
Dro Carey - Venus Knock - The Trilogy Tapes

5
Chrome Sparks - Still Sleeping (Feat. Steffaloo) - Zappruder/Bandcamp

6
kyu-shoku - New Song - Soundcloud

7
Rhymester s/w Wack Wack Rhythm Band & F.O.H - ウワサの真相 featuring F.O.H」- Ki/oon Music

8
Buddha Brand - 人間発電所(ORIGINAL '96 VERSION) - Cutting Edge

9
tengal6 - Put Ya Hands Up!? (You Know What Time Is It!? Mix) by BeatPoteto - Soundcloud

10
You The Rock - Back City Blues - Cutting Edge

electraglide - ele-king

 フライング・ロータスと電気グルーヴとDJケンタロウと高木正勝がいっしょに出る......というこの実験的でマニアックでオープン・マインディッドで、そしてど派手なラインナップ。ソナー・サウンド・トーキョーとしても活躍するビートインクが3年ぶりのエレクトラグライド、通称エレグラを開催する。
 ビートインクといえば、いまでは〈ワープ〉や〈ニンジャ・チューン〉をはじめ〈ハイパーダブ〉などの日本でのライセンスで知られているが、実はもともと、20年前は、まだエレクトロニック・ミュージックが日本に根付く前から、〈ON-U〉や808ステイト、リー・ペリーなどのコンサートを手がけている。PAシステムに対する意識もかなり高い。ハイプ・ウィリアムスのライヴで度肝を抜いた去る6月の「ハイパーダブ・エピソード1」のときのように、豪華なラインナップばかりではなく、意地でもサウンドシステムに力を注いでくるであろう。演出にも相当気を遣ってくるだろう。
 11月23日(金曜日)、場所は幕張メッセ。スタートは夜の9時から。すでに出演者は、二回に分けられて発表されている。第一弾発表として、フライング・ロータス、スクエアプッシャー、フォー・テット、アモン・トビン、アンドリュー・ウェザオール、コード9。ビッグネームがずらりと並んだ感じだが、フライング・ロータスに関しては新作『Until the Quiet Comes』が素晴らしかったこともあって、この一本だけでも駆けつけて来る人は少なくないでしょう。
 8月末には第二弾発表として、電気グル―ヴ、DJクラッシュ、DJケンタロウ、高木正勝といった大物の名前が挙げられたばかり。9月末には最終ラインナップが明かされることになっている。
詳しくはココ→(https://www.electraglide.info/

 ちなみにele-king編集部では、当たり前の話だが、本当に、まだ何も知らない(スタッフに訊いてみたけれど、当然、口は堅い!)。なので最終ラインナップの予想をしてみる。あくまでも希望が込められた予想です。イーノ、ハドソン・モホーク、デイデラス、エイフェックス・ツイン、ローレル・ヘイロー、コーネリアス、ゴス・トラッド......あるいは裏をかいてボノボ、オウテカ、グリズリー・ベア、ダークスター、オウガ・ユー・アスホール......あるいはハイプ・ウィリアムスがまた来たりして......当たったら拍手を! はずれたら罵倒を!


11/23(金曜日/祝前日)
@幕張メッセ
OPEN / START 21:00
TICKET前売¥8,800 / 当日¥9,800
※18歳未満入場不可。入場時にIDチェック有り。
顔写真付き身分証明書をご持参ください。

TICKET INFO:
前売8,800YEN:9月1日より販売開始!
チケットぴあ 0570-02-9999 [https://t.pia.jp/]
(Pコード:177-607) 初日特電:0570-02-9565
ローソンチケット 0570-084-003 [https://l-tike.com/] (Lコード:72626) 初日特電:0570-084-624
e+ [https://eplus.jp]
BEATINK web [beatink.com]
(以下ABC順)
BEAMS RECORDS 03-3746-0789
DISC SHOP ZERO 03-5432-6129
DISK UNION(渋谷Club Music Shop 03-3476-2627、新宿Club Music Shop 03-5919-2422、下北沢Club Music Shop 03-5738-2971、お茶の水駅前店 03-3295-1461、池袋店 03-5956-4550、吉祥寺店 0422-20-8062、町田店 042-720-7240、横浜西口店 045-317-5022、津田沼店 047-471-1003、千葉店 043-224-6372、柏店 04-7164-1787、北浦和店 048-832-0076、立川店 042-548-5875、高田馬場店 03-6205-5454、diskUNION CLUB MUSIC ONLINE [https://diskunion.net/clubt/])
HMV(ルミネ池袋店03-3983-5501、アトレ目黒店03-5475-1040、ルミネエスト新宿店03-5269-2571、ららぽーと豊洲店03-3533-8710)
GANBAN 03-3477-5710
JET SET TOKYO 03-5452-2262
SPIRAL RECORDS 03-3498-1224
TECHNIQUE 03-5458-4143
TOWER RECORDS(渋谷店 03-3496-3661、新宿店03-5360-7811、秋葉原店03-3251-7731、横浜モアーズ店045-321-6211、池袋店03-3983-2010、吉祥寺店0422-21-4571、町田店042-710-2161、柏店04-7166-6141)
TSUTAYA(SHIBUYA TSUTAYA 03-5459-2000、代官山 蔦屋書店 03-3770-2727、
TSUTAYA TOKYO ROPPONGI 03-5775-1515、三軒茶屋店 03-5431-7788)

INFO:
BEATINK 03-5768-1277 [beatink.com]
SMASH 03-3444-6751 [smash-jpn.com] [smash-mobile.com]
HOT STUFF 03-5720-9999 [www.red-hot.ne.jp]
https://www.electraglide.info/

DJ END ( B-Lines Delight / Dutty Dub Rockz ) - ele-king

何度もすいません! B-Lines Delight 2nd Anniversary Special!!!!!
No.1ダブステップ・パーティ、Back To ChillよりGOTH-TRADとENAを迎えて開催します!

B-Lines Delight×BACK TO CHILL
2012.09.29(sat) @SOUND A BASE NEST
Special Guest:GOTH-TRAD [DEEP MEDi MUSIK/Back To Chill] / ENA [IAI/Cylon/7even/HE:Digital/Horizons]
info : https://b-linesdelight.blogspot.jp/ https://club-nest.com/

そして前々週の9月16日はBack To Chill 6th BirthdayにSivariderと共に参戦します!
Back To Chill 6th Birthday!!!!
~ALL B2B SPECILAL!!!!~
2012.09.16(sun)@clubasia https://dubstep.exblog.jp/

JET SET Chart 2012.09.03 - ele-king

Shop Chart


1

Crue-l Grand Orchestra Vs Seahawks - Bon Voyage Trip (Crue-l)
Crue-l Grand Orchestra & Seahawksによるコラボ作。Crue-l Grand Orchestraの楽曲パーツをSeahawksが再構築した、話題の1枚です。

2

Orb Featuring Lee Scratch Perry - The Orbserver In The Star House (Cooking Vinyl)
アンビエント・ハウスの祖The Orbと重鎮Lee Perryによる、大御所同士のまさかのコラボ作。両者の代表作をリメイク/再録音した楽曲も収録です!!

3

Blu & Exile - Give Me My Flowers While I Can Still Smell Them (Fat Beats)
やはりこのタッグは間違いありません! Exileのソウルフルなトラック上をBluが巧みに言葉を敷き詰めていく様は圧巻です! 客演にはBlack SpadeやFashawn, Homeboy Sandman, i, Cedらが参加した全17曲。

4

Dam Funk - I Don't Wanna Be A Star! (Stones Throw)
Us版Wax Poetics第50刊のエクスクルーシブとして聴くことのできた"A Prince Mix"収録曲より、俄かに注目の集まっていたPrinceカヴァー"17 Day"までも収録!

5

Evisbeats - ひとつになるとき (Amida)
奈良県出身、大阪府在住。元韻踏合組合のラッパーでありトラックメイカー。2008年のファースト・アルバム『Amida』に続き、自身のレーベルされた2ndアルバムをLp化。

6

Crystal Ark - We Came To (Dfa)
ファットで妖しいアシッド・トラックにラテン調の女性ヴォーカル・エディットとチープなシンセ・リフが初期衝動的に絡みつく絶妙インディ・アーリー・ハウス!

7

Funkshone - Purification Pt.3 & Pt.4 Kenny Dope Remix / (Kay Dee)
1分半にも及ぶイントロはB-boyでなくとも2枚使いしたくなる最高のブレイク。最強の組み合わせによるKay Deeからの新作7"は、両面とも文句なしのキラー・チューンです!!

8

Walls - Walls Vs. Gerd Janson & Prins Thomas (Fm X)
Wallsの作品をGerd JansonとPrins Thomasのコンビがリミックスした注目作品!加えて、Wallsによるセルフ・エディットを収録。

9

John Cage - John Cage Shock (Em)
2012年はケージ生誕100年、そして初来日から50年という事で、EmとOmega Pointが共同で凄い物をリリースしました!!

10

Dj Shadow - Total Breakdown: Hidden Transmissions From The Mpc Era (Recon)
サンプリング・ミュージックの歴史を塗り変えた名作1stアルバム『Entroducing』以前の92'~96'年に制作されたという全23トラックを収録したヘッズ悶絶の2lp盤!

Maria Minerva - ele-king

 これまでマリア・ミネルヴァと勝手に読んでいたけれど、勉強不足ですいません、英語読みならミナーヴァ、ラテン語読みするなら正確にはミネルウァだそうで……ローマ神話に登場する音楽(魔術)の女神の名前の引用のこと。ミネルヴァとは俗ラテン語読みだったことをあとで知った。
 彼女が生まれ育ったエストニアの首都タリンは、今日、スカイプを生んだIT産業の成長国として、旧ソ連のなかでは貧しかった過去から一転した繁栄を遂げていることでも知られている。本名Maria Juur(マリア・ユールでいいのだろうか)は、自らのコンセプトに「負け犬」を掲げているが、母国の成長とともに育った女性なので、日本で多くに流通しているところの「負け」とは感覚が違っている。劣等感に支配された負け犬の惨めさが、彼女にはない。
 しかし、彼女が現在24歳だとしたら、24年前のタリンはそれなりにきつかったろうし、歴史を調べればそこがロシアとナチスに占拠されてきた土地であることもわかる。負け続けてきた歴史があり、そして彼女がそんな母国の文化にアイデンティファイしている話は、紙ele-kingの『vol.6』でもしている。やられ続けていた人間がいつの間にやる側に反転することはままあるが、彼女の変わらずの“前向きな”負け犬根性が注がれたアルバムは、8月も残すところ1週間というタイミングでレコード店に並んでいた。昨年の『キャバレ・シクスー』に続くセカンド・アルバム、タイトルは『ウィル・ハッピネス・ファインド・ミー?(幸福は私を見つけるか?)』。
 世間では、幸福とは自分で探すものだと教えられるが、いや違う、それは向こうからやってくるのだ、そんな言葉だ。しかもそれは、“私は発見されたくない(I Don't Wanna Be Discovered)”というアルバム3曲目のサブタイトルでもある。つまり、私は幸福なんてものにわかられたくない、と彼女は言っている。

 こうした不愉快さをにおわせるアルバム名に使いながら、ところがどっこい、『ウィル・ハッピネス・ファインド・ミー?』は、“マイクのごとき心(Heart Like A Microphone)”や“諦めるな(Never Give Up )”、“甘い相乗効果(Sweet Synergy)”や“永久機関(Perpetual Motion Machine)”、“星(The Star)”や“火(Fire)”などといった曲名のように、情熱的なニュアンスが並んでいる。“怒った少女のラヴ・ソング(Mad Girl's Love Song)”といったロマンティックな曲名の曲もあるが、これは60年代に自殺した女流詩人、シルヴィア・プラスの言葉からの引用だという(その曲は、昔の芸術界で不遇な死を遂げた女性への深い共鳴を感じさせる)。

 アルバムの内容は、前作とは比較にならないくらいに多様性を見せている。インド風のIDM=“ザ・サウンド”、メランコリックなヒップホップ=“ファイヤー”、レゲエ風=“スウィート・エナジー”、ジェフ・ミルズのミニマル・テクノをヒントにしたような曲=“パーペチュアル・モーション・マシン”、ダビーでスペイシーなポップ・ソング=“マッド・ガールズ・ラヴ・ソング”、アンビエント・ドローン的展開=“アローン・イン・アムステルダム”、エモーショナルなバラード=“ネヴァー・ギヴ・アップ”……そして、意外なことに、50年代に活躍した女性コーラス・グループ、ザ・コーデッツの“ミスター・サッドマン”(誰もが耳にしたような曲)をサンプリングしたメロウなR&B=“ザ・スター”。
 推し曲をひとつ選ぶなら、“アイ・ドント・ウォナ・ビー・ディスカヴァード”だろうか。ハンドクラップを取り入れたこのハウスは、マリアのお得意のスタイルの曲だが、いまどきの格好良さばかりではなく、今作の“情熱”を象徴するかのような力強さ、いままでの彼女にはなかったソウルがある。反響するループが瞑想的な“カミング・オブ・エイジ(成人)”などは、あたかもパティ・スミスのような語りを展開する。しかし、パティ・スミスにとってのヒーローはすべて男(ランボーからジミ・ヘンドリックス)だったが、マリアにとってのそれが女性(シクスーからプラス)であるという相違点は大きい。

 いろいろやれば良いってものではない。勇敢な挑戦が必ずしも成功するとは限らない。声はチャーミングだが、歌がうまいとは言えない。が、ともすれば移り気な新世代のラップトップ・ミュージックにも魂に訴える音楽があることをマリア・ミネルウァは証明した。しようとしている。“ハート・ライク・ア・マイクロフォン”で「私の心はマイクのようだ」と、機械で加工された声で歌う。的確なことを。「だから、まさに、それに話しかけろ(just talk into it!)」
 僕はこの曲にビョークの“オール・イズ・フル・オブ・ラヴ”を思い出したが、PCで音楽を創作するデボラ・ハリーを想像してみてくれてもいい。負け犬とは痛い人たちではなく、痛みを感じることのできる人たちのことである。


ジョン・フルシアンテ - レター・レファー

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ジョン・フルシアンテ - PBXファニキュラー・インタグリオ・ゾーン

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 『レター・レファー(Letur-Lefr)』『PBXファニキュラー・インタグリオ・ゾーン(PBX Funicular Intaglio Zone)』というふたつの作品のリリースをめぐって、ジョン・フルシアンテはその思いを自身のブログに滔々と書き綴っている。「ジョン・フルシアンテ・ドット・コム」に掲載されたその文章は、彼の情熱と熟考のあとを生々しく伝える内容で、ファンのみならずひろく音楽リスナーの間でも話題になっている。

 レッド・ホット・チリ・ペッパーズというモンスター・バンドに在籍し、ことにソングライティングにおいてその音楽性の多くを担ってきたフルシアンテが、そこを脱けてめざした天地はどのような場所か。

 彼は2004年前後からはオブセッシヴなまでに数多のソロ・ワークスをリリースし、さまざまなアーティストと交流しながら腕を磨き、あくまでストイックに自らの目指す音を探求し続けてきた。バイシクル・シーフのジョン・クリングホッファー、マーズ・ヴォルタのオマー・ロドリゲス・ロペス、ヴィンセント・ギャロ。彼らとのイマジナティヴな共同作業を経て、今作に登場するのはMC、RZAやウータン・クラン・ファミリーの若手たちである。音のうえからみても、シンセやドラムン・ベースに彩られたこのキャリアにおける異色作からは、彼がいま目にしているものが過去ではないということが、ひしひしと伝わってくる。

 また、それはたんにロックからエレクトロニック・ミュージックへの転向という単純なモード・チェンジでもない。「シンセ、シーケンサー、ドラム・マシンに対するエキサイトメントをギターにも向けられるようになった」......自らのなすべきことについての真摯な思考と試行の果てに、この数年を音楽のプログラミング修行にあててきた彼が、ふたたびギターに向かい合うという物語までもが、この作品の背景にはふくまれている。

 ブログによれば、作品タイトルには彼の音楽ヴィジョンの一端が象徴として示されているようだ。思弁的な文章じたいも、彼のキャラクターに深く触れることができるものである。国内最速でその翻訳をお届けしよう。


Part.1

みなさん

 新作が2枚リリースされることになった。
 最初に『Letur-Lefr』というEPを、その次に『PBX Funicular Intaglio Zone』というLPがつづく。僕がヴォーカル、すべての楽器の演奏、そしてエンジニアを担当しているんだ。EPには何人か友達がヴォーカルで参加しているんだけど、そのほとんどがMCだ。LPにはゲストがひとり参加しているけど、その他は僕がヴォーカルを担当している。

 僕はこの音楽をプログレッシブ・シンセ・ポップだととらえている。だからと言って、そういうサウンドの作品に仕上がっているというわけではなくて、今作の基本的なアプローチを反映しているということだ。さまざまな音楽スタイルを組み合わせ、エレクトロニック楽器を使うことで、自分独自の音楽フォームをクリエイトしてるんだ。

 『Letur-Lefr』は2010年のもので、『PBX』は2011年に制作された。『Letur-Lefr』はコンピレーションみたいなもので、『PBX』の構想を練っている最中に作った楽曲をセレクトしたものだ。EPの楽曲は連続してレコーディングしたものだ。それぞれの作品は内容がまったくちがうものだから、LPをリリースする前に、“Walls And Doors”という曲をフリー・ダウンロードとして提供する。“Walls And Doors”は『PBX』の7ヶ月前にリリースされたけど、アルバムの方向性を予知していたんだ。“Walls And Doors”は最初はアルバムに入れると思っていたけど、入れない方がアルバムにとってよかった。

 『Letur-Lefr』は7月4日に日本でリリースされ、北米は7月14日、その他の国では7月16日にリリースされる。EPはプレオーダーできるけど、アナログ、CD、カセット、そして32ビット、FLAC、MP3などのフォーマットでこのリンクから購入できる。

 『PBX Funicular Intaglio Zone』は日本で9月12日、北米では9月25日、その他の国では9月24日にリリースされる。『Letur-Lefr』と同様、『PBX Funicular Intaglio Zone』もアナログ、CD、カセット、そして32ビット、FLAC、MP3などのフォーマットでリリースされる。

 『PBX』のプレオーダー・リンクは8月上旬に発表する予定だ。

ありがとう

ジョン

Hello people,

There are two new John Frusciante records coming out. The first is an EP entitled Letur-Lefr, and the second is an LP entitled PBX Funicular Intaglio Zone. I sing, play the instruments and am the engineer. The EP features a few friends on vocals, mostly MC’ing. The LP has one feature, the rest of the vocals being my own.

I consider my music to be Progressive Synth Pop, which says nothing about what it sounds like, but does describe my basic approach. I combine aspects of many styles of music and create my own musical forms by way of electronic instruments.

The tracks on Letur-Lefr are from 2010 and PBX was made in 2011. Letur is a compilation, a selected portion of music I made that year while PBX was conceived as an album, the songs having been recorded in succession. The records are very different from each other, so prior to the release of the LP, I will make available a free download of a song called Walls and Doors. This song pointed the way towards PBX, but was recorded 7 months earlier. I always took it for granted that Walls and Doors would be part of the record, but as it turned out the record was better off without it.

Letur-Lefr will be released in Japan on July 4th, in North America on July 17th, and in the rest of the world on July 16th. You can pre-order the EP, which will be available on vinyl, CD, cassette and in 32 bit, FLAC and MP3 digital formats here https://johnfrusciante.com/letur-lefr/

PBX Funicular Intaglio Zone will be released in Japan on September 12th, in North America on September 25th and in the rest of the world on September 24th. Like Letur-Lefr, PBX Funicular Intaglio Zone will be available on vinyl, CD, cassette and in 32 bit, FLAC and MP3 digital formats.

We will provide a pre-order link for PBX sometime in early August.

- Thanks, John

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Part.2

Album Titles

 「PBX」は内部のコミュニケーション・システムを意味する。自然界だと、ビジネスやオフィスではなく人間の内部にも似たようなシステムがある。「Funicular(フニキュラー)」とは、ふたつのケーブルカーが1本のケーブルに繋がれていて、ひとつのケーブル・カーが上がるときに、もう1台が下がる仕組みのことだ。音楽というのは、さまざまなレベルで常にそれと似たことが起きている。「Intaglio(インタリオ、沈み彫り)」は彫刻におけるひとつのテクニックなのだが、彫刻家が作品の裏側から彫ることで、徐々に見物人には前面から肖像がレリーフで見えるようになる。しかし彫刻家は、前面とは対極のアングルから肖像を彫っているわけだ。僕が魅力を感じる音楽には、これに似たアプローチが取り入れられていて、このアプローチが多ければ多いほど好きになるのだ。「Zone」は、自分の感情と身の回りの環境が一体化し、他の世界がすべて消えてしまう心理状態のことだ。この4つの言葉を組み合わせることで、僕のクリエイティブ・プロセスを深いところまで描写できるのだ。

 「Letur-Lefr(レター・レファー)」という言葉は、ふたつの異なるものが連結部分によってひとつになることを意味している。それは、アルバムの1曲目がアルバムの最終曲の続編であることに象徴されている。

PBX refers to an internal communication system. There is a natural version of this, wherein the “business or office” is a person. A funicular involves two trams connected by a cable, one going up while the other goes down. All music perpetually does this on many levels simultaneously. Intaglio is a technique in sculpture where one works on the opposite side of the image, whereby the image will eventually appear to the spectator in relief, but the angle the sculptor works from is the negation of that. In music that I like, an approach analogous to this was employed, the more so the better. Zone refers to a state of mind wherein the rest of the world seemingly disappears, and nothing matters but the union of one’s immediate surroundings with one’s feelings. These four words linked together go far to describing my creative process.

Letur-Lefr for me signifies the transition of two becoming one, notably symbolized by the first song on the album being the sequel to the album’s last.



Part.3

My Recent History

 エレクトロニック・ミュージックを作り、エンジニア作業もすべて自分で手掛けたいという夢を実現することに、5年前から真剣に取り組みはじめた。その10年前から、僕はさまざまなタイプのシンセサイザー・ミュージックやサンプリング・ミュージックを模倣してギターをプレイしていた。マシンの言語は、マシンをプログラミングする人に新たな音楽ボキャブラリーを与えたことに気がついた。過去22年間に生み出されたエレクトロニック・ミュージックは、新たなリズム、メロディ、ハーモニーの原理を導入した。以前はプログラミングで作られたエレクトロニック・ミュージックを聴いても、どのようなプロセスで曲が作られたかが解明できなかった。80年代のマシンや、90年代のトラッカー・ソフトウェアを熟知している人たちは、理論的なアプローチでプログラミングをしていたが、僕がポップ/ロック、ジャズ、クラシックから知っていた理論とはちがう体系のものだった。手と楽器の密接な関係性は、ミュージシャンが作り出す音楽の基礎となっているが、ポップ/ロックを演奏する上で、自分の頭が手によってコントロールされている傾向が強いことに気づいて、それを修正したいと強く願っていた。マシンの知能と人間の知能が刺激し合って、その相互作用によって生まれる音楽に僕は強い関心を抱くようになった。

 2007年から僕はアシッドハウスで使用される機材やハードウェアのプログラミングを学ぶようになった。7ヶ月間は何もレコーディングしなかった。その後は、10個の機材を同期させ、ミキサーに通してCDバーナーに録音するようになった。最初は実験的アシッドハウス・ミュージックを作っていたが、ロック・ミュージックで学んだスキルはいっさい使わなかった。僕は伝統的なソングライティングに興味を失って、音楽をクリエイトする新たな方法を見つけたいと感じていた。マシンに囲まれ、次々とマシンをプログラミングし、その興味深いプロセスを楽しんだ。それまでは筋肉を使って楽器を演奏していたが、同様に数字を使ってマシンをプログラミングする作業が楽しくなった。数学的で理論的な方法でリズム、メロディ、サウンドに取り組むようになったため、これまで無意識に使っていたスキルが徐々に意識的になった。

 その後は2人の友人と演奏するようになったわけだが、これまでひとりでリビング・ルームでやっていたことを仲間とやるようになった。この編成はいまでも僕の性分に合うバンドだと考えている。

 仲間と演奏するようになった直後から、僕はコンピューターを使用するようになった。最初は、僕がハードウェアで作り出していた音をレコーディングするためにコンピューターを使っているだけだったが、徐々にコンピューターがメインの楽器になった。僕の制作方法と考え方に特化した理想的なスタジオも同時に作り始めた(この作業は今も進行中)。この時期に作っていた音楽はCDバーナーに録音していた音楽よりも冒険的なインスト・アシッドハウスだった。コンピューターで2曲レコーディングしてから、自分が作り出している新しい音楽が“プログレッシヴ・シンセ・ポップ”という言葉にふさわしいと感じはじめた。当時作っていた音楽では、アシッドが中心的要素だった。

 1年ほどコンピューターを音楽制作に使うようになってから、自分のヴォーカルを導入するようになった。それまでは、ギターとヴォーカルをエレクトロニックに取り入れたくないと考えていた。僕が大好きなタイプのエレクトロニックのルールに基づいた音楽を作りたいと思っていたからだ。ギターとヴォーカルをエレクトロニック・ミュージックとミックスすると、以前僕がやっていたポップ/ロック・ミュージックのソングライティングとギターのルールに戻ってしまうから、避けたかった。エレクトロニック・ミュージックをギターやヴォーカルとブレンドしたら、エレクトロニクスが僕の曲、ヴォーカル、ギターの補助的な役割になってしまうと考えていた。そのアイデアには不快感を覚えた。僕はロック・ミュージシャンとしての経験が長かったので、ロックのルールが優先されてしまい、新しいことを発見するペースが遅れてしまうと考えていた。“ルール”という言葉を使うときは、特定の音楽スタイルを定義づけ、その境界線を設定する根本的原理や抽象的現象を指しているわけであって、その境界線のなかで人間はクリエイティブな探求をしているわけだ。

 ソングライティングは続けていたが、必要性を感じたときに、そしてその方法で表現しなければいけないときに曲を書くようにしていた。僕は長年、曲を量産することでソングライティングのスキルを磨くものだと考えていたが、それが違うということに気がついた。最近は、ソングライティングというのは呼吸のように、自然に起きるものだということが分かった。最初のうちは、事前に作曲した曲をレコーディングする作業が窮屈のように思えたが、新たな曲作りのメソッドを吸収し、プログラミングのスキルとスピードも上達していたので、インストを作っていたときと同じくらいヴォーカルとギター入りの曲のレコーディングが楽しくなった。この時期に『Letur-Lefr』の曲をレコーディングし始めた。このときはまだロックの要素は遠ざけていたが、R&Bとヒップホップは自然と僕がやりたかった音楽にブレンドできることがわかった。ソングライティングとプログラミングを統合する上で、R&Bは有効な方法だということに気がついた。ヴォーカルがインスト・トラックを支える曲作りの方法を見つけることができたわけだが、その逆ではないことが僕にとって重要だった。

 この時期が経過すると、僕は新たなアプローチでギターを演奏するコンセプトを練り始めた。そのために定期的な練習が必要だった。その数年前は、レイヴやシンセ・ポップのレコードに合わせて練習することが多かった。僕がやりたかった音楽では必要性を感じていなかったため、ギターを演奏するための筋肉を訓練させるような練習はしたくなかった。僕の妻のセカンド・アルバムで特定の演奏法がしたかったので、定期的に練習していた。しかし、その後に僕はまったく新しいギター演奏のアプローチを発見することができた。僕のメインのエレクトロニック楽器はMC-202だったが、最初の頃は202をプログラミングするときは、ギターの知識を使ってプログラミングしていた。しかし、長く202を使ったことで、僕のギタリストとしての知識と202奏者としての知識が同じレベルになり、僕のギター演奏が202のプログラミング方法に影響されるようになっていた。ギターを演奏するとき、ロック・ミュージシャンとしての指と筋肉の使い方から完全に離れることができるようになっていた。違うギターに変えたということもあるが(Yamaha SG)、202を使うときは指のポジションによって音符を演奏するわけではないので、そのアプローチによってギターを演奏する新しいアイデアが芽生えていた。この時点から、ギターが完全に僕がやろうとしている新しい音楽と一体になった。ギターに対する新しいアプローチが見つかり、音を加工する新たなテクニックを吸収していたので、シンセ、シーケンサー、ドラム・マシンに対するエキサイトメントをギターにも向けられるようになった。したがって、僕はロック/ポップスの音楽理論を他の好きな音楽要素と同じように、僕の音楽に応用できるようになった。考え方が変化したので、クリシェを避けることを意識する必要もなくなった。新しい癖が身についていたので、そこから様々な新しい音楽的方向に進むことができた。古い癖は完全に捨て去っていた。コンピューターも完全に僕にとって楽器になっていたので、ドラムンベース(そしてその他の作りたかった音楽的スタイル)も僕の音楽に完全に取り入れられるようになっていた。この時期から、僕は過去のエンジニアリング・スタイルを理解できるようになっていたので、新旧のプロダクション・スタイルを、様々な音楽スタイルと同様に組み合わせられるようになった。数ヶ月が経過すると、僕は『PBX Funicular Intaglio Zone』をレコーディングし始めた。何年間も僕は1曲ずつ制作するアプローチをとっていたが、新たなプロダクションの経験を積んだことで、ひとつの作品のコンセプトの中で完全に没頭しながら制作できるようになっていた。この時期から僕が長らく求めていたバランスを見つけることができた。ボーカルと曲の構造があっても、ミュージシャンとして完全に自由でいられる境地に達していた。

 『PBX』では僕が何年も前に頭の中で想像していた音楽的要素の組み合わせが実現しているが、当時はどうやって形にすればいいか分からなかった。純粋に音楽に取り組むチャンスを与えられたことが幸運だと思っているし、音楽ビジネスの中に長年いても、音楽に集中することができたことに感謝している。僕は長年レコードを聴きながら演奏したり、曲を書いたり、夢見ることにほとんどの時間を費やすことができた。それを手助けしてくれた人々にとても感謝している。

 最後に、アシッド・ミュージックは僕にとってよい出発点となった。そこから徐々に、僕はワンマン・バンドとしてあらゆる音楽的スタイルを自由に組み合わせられるようになったわけだから。

ジョン

I started being serious about following my dream to make electronic music, and to be my own engineer, five years ago. For the 10 years prior to that, I had been playing guitar along with a wide range of different types of programmed synthesizer and sample based music, emulating as best as I could, what I heard. I found that the languages machines forced programmers to think in had caused them to discover a new musical vocabulary. The various forms of electronically generated music, particularly in the last 22 years, have introduced many new principles of rhythm, melody, and harmony. I would learn what someone had programmed but their thought process eluded me. Programmers, particularly ones fluent on machines from the early 80s and/or tracker programs from the 90s, clearly had a theoretical foundation in their employ but it was not the theory I knew from pop/rock, jazz or classical. The hands relationship to the instrument accounts for so much of why musicians do what they do, and I had come to feel that in pop/rock my mind was often being overpowered by my hand, which I had a strong desire to correct. I was obsessed with music where machine intelligence and human intelligence seemed to be bouncing off one another, each expanding with the incorporation of what it received from the other.

In 2007 I started to learn how to program all the instruments we associate with Acid House music and some other hardware. For about 7 months I didn’t record anything. Then I started recording, playing 10 or so synced machines through a small mixer into a CD burner. This was all experimental Acid House, my skills at making rock music playing no part in it whatsoever. I had lost interest in traditional songwriting and I was excited about finding new methods for creating music. I’d surround myself with machines, program one and then another and enjoy what was a fascinating process from beginning to end. I was so excited by the method of using numbers much in the same way I’d used my muscles all my life. Skills that had previously been applied by my subconscious were gradually becoming conscious, by virtue of having numerical theoretical means of thinking about rhythm, melody and sound.

Then I began a musical relationship with two friends, wherein I could do basically the same thing I had been doing in my living room, only with other people. This continues to be a band which is perfectly congruent with my nature.

Right after we started playing together I started using a computer. Initially it was just something to record what I was doing with hardware but it eventually became one of my main instruments. I gradually built up a studio ideally set up for the specific ways I work and think (this is a continual work in progress). The music I did at this stage was a more adventurous kind of instrumental Acid House than what I’d been doing onto CD, and by the time I recorded my second song on a computer, I was aware that Progressive Synth Pop was an accurate description of what I was doing. Acid was nevertheless the central musical style involved.

After a year or so on the computer, I occasionally began using my voice again. Prior to this, incorporating guitar and singing had posed a problem because I wanted to make music based on the rules, as I perceived them ? inherent in the various kinds of electronic music I loved ? and did not want to blend this with what I previously did with songwriting and guitar wherein many rules of pop/ rock music would then naturally be employed. If I’d attempted to blend the two at that time my electronics would have served as support to my songs, voice, and guitar. This idea was repugnant to me. Because I was so much more developed as a rock musician, rocks characteristics and rules would have dominated, thereby slowing down the rate at which I was discovering new things. To be clear, when I say rules, I mean the underlying principles and abstract phenomena which define a particular style, marking its boundaries and limits, within which exists an area proven to be worthy of human creative investigation.

I continued to write songs, but only when I had to out of necessity, because something had to be expressed that way. I no longer looked at songwriting as a craft to prolifically hone, as I had for so long. In these recent years, it is just something that happens sometimes, a natural thing, like breathing. At first, recording pre-written songs felt like a restriction, but I eventually found myself having acquired enough new work methods of my own and enough skill and speed at programming that when I recorded a pre-written song I had as much fun as when I made instrumentals. This is the point at which the tracks on Letur-Lefr were recorded. I was still steering clear of most rock music characteristics, but R&B and Hip Hop were blending well with the various types of music I was combining. R&B seemed to me a path through which to integrate my songwriting with my programming, being that I could do it in such a way that the song served as support for the things I was doing instrumentally ? and not the other way around ? which was very important to me.

As this phase passed, I began developing a concept for a new approach to playing guitar, which required regular practice. For the preceding couple of years, practice consisted of playing along with this or that Rave or Synth Pop record or whatever. I didn’t see a point in developing my playing musculature-wise because there was no call for that kind of playing in my music. I originally was practicing in a disciplined manner because I wanted to play a specific way on my wife’s second record. But I found an approach to the instrument, which was brand new for me, in which I saw a lot of room to grow. My main melodic electronic instrument being the MC-202, I had gone through a long period where my knowledge of guitar informed much of my 202 programming. But I had now reached a point where I thought as much like a 202ist as I did a guitarist, and my guitar playing was now being informed by my knowledge of the 202. I was using the muscles I was developing in a way completely divorced from the way I used them as a rock musician, partially because I switched to a different type of guitar (a Yamaha SG), but mainly because my musical ideas stemmed from my understanding of an instrument on which the choice of notes is not limited by the position of ones hand. So at this point guitar became fully integrated into my music. The combination of having a new approach to the instrument, combined with all the ways I was now well versed at processing sound, resulted in my having the same excitement about guitar that I had long had for my synths, sequencers and drum machines. This, and other factors, resulted in my being able to pick and choose specific musical principles from rock/pop to apply to my music, just as I had been applying specific aspects of every other type of music I love. I no longer had to be concerned with avoiding cliches because I just didn’t think that way anymore. I had developed new habits which were taking me all kinds of new places, and the old habits were now foreign to me. Also the computer had now become an instrument for me, so Drum n’ Bass (as well as a number of other styles I’d been reaching for) had now become fully integrated into my music. At this point, I also had begun to grasp the characteristics of engineering styles of the past, allowing me to combine aspects of old and modern styles of production just as I’d been combining different styles of music.

A few months into this period, I began the recording of PBX Funicular Intaglio Zone. For years I had just approached everything one song at a time, but my experience in production now allowed me to comfortably work within a record concept while remaining completely absorbed in the process. By this time, I had found the balance that I’d been searching for, wherein the presence of a vocal and the structure of a written song actually provided me with additional freedoms as a musician.

Aspects of PBX are the realization of combinations of styles of music I saw in my head many years ago, as potentials, but which I had no idea how to execute. I’m so happy that I’ve had the opportunity to focus exclusively on music for music’s sake, and also so thankful that I got to spend all those years active in the music business whilst keeping my head in music all the time. I was free to spend most of my time playing along with records, writing, and dreaming. I have so much gratitude for everyone who made that possible.

In summary, Acid served as a good starting point for me, very gradually leading me to be able to combine whatever styles of music I want, as a one man band.

- John

(訳:バルーチャ・ハシム)

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