「S」と一致するもの

Golem Mecanique - ele-king

「私たちは、皆、危険にさらされている」
 ピエル・パオロ・パゾリーニが最後のインタヴューで残した言葉だ。まもなく、彼はローマ近郊のオスティア海岸で暴行され、車で轢かれ命を落とすことになる。この謎めいたフレーズに触発され、フランスのドローン・アーティスト、ゴーレム・メカニック(カレン・ジェバン)はアルバム『Siamo tutti in pericolo』を制作した。タイトルはそのまま、「私たちは、皆、危険にさらされている」という意味を持つ。カレン・ジェバンがパゾリーニに出会ったのは14歳のとき。『アッカトーネ』(1961)、『テオレマ』(1968)を観て衝撃を受けた。静かな暴力、エロスと欲望、生々しい美学、神話的なモチーフ、そして怒り――そのすべてが彼女の内面に刻まれた。それ以来、パゾリーニの映画は「人生の伴侶」となった。

 カレン・ジェバンは、ドローン・アーティスト、ヴォーカリスト、実験音楽家として活動する一方、スイスの45人編成の音楽集団 Insub Meta Orchestra の一員でもある。ゴーレム・メカニック名義では2009年頃から音源を発表しており、2020年の『Nona, Decima et Morta』以降はスティーヴン・オマリー主宰のレーベル〈Ideologic Organ〉からリリースを続けている。本作は、2021年の『Luciferis』に続く、同レーベルからの3作目となる。
 2020年、パンデミックの最中のことだ。緊急事態宣言下、自室に籠もりながら聴いたオルガン、ハーディ・ガーディ、声によるドローン・サウンドは、私を深い瞑想状態へと導いてくれた。そのサウンドには、瞑想的でありながら儀式的でもあった。近代化によって切り捨てられてきた「音楽の魔術性」が蘇るようでもある。近代への抵抗――、地中海フォークとドローンの融合から生まれるサウンドスケープは、感情と無感情、ノイズと音楽、魔法と現実、フォークとフランス近代音楽が静かに共存していたのだ。

 『Siamo tutti in pericolo』でも、カレン・ジェバンはオルガン、ハーディ・ガーディ、ヴォイスといった楽器を駆使し、従来の作風を継承している。ただし、本作が特別なのは、敬愛するパゾリーニの “言葉” そのものをモチーフにしている点にある。サウンドは、過去作よりも整理され、簡潔に、そしてより豊潤に。ドローンを土台にしながらも、儀式性がより強調された印象がある。それはまるで、パゾリーニの「最後の言葉」を媒介に、その精神と幽霊を召喚しようとする試みに思える。カレンはレーベルのインフォメーションでこう記している。「私は、暗闇の中で見通す目になりたかった。彼の最後の昼と夜を語る声、記憶を呼び覚ます幽霊に」

 このスタンスは、あえて言うなら「スピリチュアル」だろう。しかしそれは、近代が排除してきた “残滓” であり、「抑圧されたものの回帰」でもある。無慈悲な死への救済――それは決して実現しない祈りであっても、捧げることはできる。ドローン音楽の瞑想性には、近代以前の “精神” への回帰がある。ゴーレム・メカニックの音に包まれていると、そんな感覚が静かに満ちてくる。今作では、過去作以上に「声=歌」の役割が大きい。ドローンとヴォーカルの鋭い対比により、私などは初聴で90年代以降のスコット・ウォーカー作品を思い出した。特に、彼とSunn O)))による『Soused』(2014)を連想したほどだ。実際、カレン自身も本作について「マリア・カラスとスコット・ウォーカー」の名を挙げている。

 収録は全6曲、計36分。短いが、密度は高い。1曲目 “La Notte” では、硬質なドローンと声が絡み合い、聴き手を現実の外へと誘う。続く2曲目 “Il giorno prima”、3曲目 “Teorema” もその延長線上にある。4曲目 “Il giorno” では、持続音が切れるとアカペラに移行する。その “空白” が際立ち、やがて高音のドローンが訪れる。和声感覚にはフランス近代音楽――ドビュッシーやラヴェルを思わせる浮遊感があり、前半のプリミティヴな儀式性が、20世紀初頭の音響へと移行する。その構成は見事だ。5曲目 “La tua ultima serata” は、前曲の余韻を引きずりながら、感情を排した硬質なドローンが支配する。そこに薄くレイヤーされる声が、やがて “歌” に変わっていく。アルバム前半への回帰だ。そして最後の6曲目 “Le lacrime di Maria” では、再びドローンにカレンの声が重なるが、今回はまるで讃美歌のように透明な響きを持つ。それは、パゾリーニの魂を浄化するようでもある。パゾリーニの「魂」と、カレン・ジェバンが「対話」をするような音楽作品とでもいうべきか。

 「私たちは、皆、危険にさらされている」パゾリーニが語った言葉であり、本作のタイトルでもある。だが2025年のいま、それは彼の死を越えて響く。戦争の暴力、ネット上の言説の混迷、身体と精神への静かな圧力……。私たちは、確かに “危険な時代” を生きている。けれどこのアルバムは、不安を煽るための作品ではない。その言葉の奥にある “祈り” の気配を、静かに響かせる音楽でもある。カレン・ジェバンはこう書いている。
 「私はただ、彼の遺体が、あの冷たい浜辺にひとりで横たわらないことを願った」

downt - ele-king

 昨年ファースト・フル・アルバムをリリースした東京のオルタナティヴ・ロック・バンド、downt。まもなくWWWでのワンマン公演(すでに売切)を控える彼らから、2025年一発目のニュー・シングルの到着だ。題して「AWAKE」。6/27より公開される映画『YOUNG&FINE』の主題歌にもなっているとのこと。チェックしておこう。

映画「YOUNG&FINE」主題歌、downtの2025年初となるブランニューシングル「AWAKE」本日より配信スタート!

6/27より公開の映画『YOUNG&FINE』(原作:山本直樹/監督:小南敏也/脚本:城定秀夫/出演:新原泰佑、向里祐香、新帆ゆき他)の主題歌に決定した本作シングル「AWAKE」。
削ぎ落とされたサウンドながら、メロディアスで高揚感のある曲調は、シンプルな毎日に生々しく響き、“はじまりつつある何か”を予感させる一曲に仕上がっている。

また、今週末4月26日には渋谷WWWにて、自身初となるワンマン公演を開催。チケットはすでにSOLD OUTとなっている。オルタナ、ポストロック、エモなどの枠には収まらず、風通し良くジャンルの境界線を越え着実に広がり続けるdownt。そのさらなる進化から今後も一瞬たりとも目が離せない!!


【AWAKE - Streaming / Download】
https://p-vine.lnk.to/OfwRyN


2025年6月27日(金)新宿武蔵野館他全国順次公開!
『ビリーバーズ』のカリスマ漫画家・山本直樹の傑作青春漫画を、 新原泰佑主演で奇跡の実写化!!

映画『YOUNG&FINE』
原作:山本直樹
脚本:城定秀夫
監督:小南敏也
出演:新原泰佑、向里祐香、新帆ゆき他
主題歌:downt「AWAKE」(P-VINE RECORDS)


【公演情報】
SOLD OUT
■downt "LIVE"
アーティスト:downt
公演タイトル:LIVE
開催日程:4/26(土)
開場/開演:18:15/19:00
会場:渋谷WWW

企画/制作:downt / SMASH CORPORATION
お問い合わせ:スマッシュ 03-3444-6751 www.smash-jpn.com

downt:
https://linktr.ee/downtjapan

Knxwledge & Mndsgn - ele-king

 現代〈Stones Throw〉を支える2アーティスト、ノレッジとマインドデザインが揃って来日を果たす。6/7の東京公演を皮切りに、福岡(6/13)、大阪(6/14)、名古屋(6/15)をまわります。STUTS&KM&ISSUGI(東京)、OLIVE OIL(福岡)、MURO(大阪)と、各地で強力な出演者も決定。これは行くしかないでしょう!

KNXWLEDGE + MNDSGNによる
〈Stones Throw〉ジャパンツアー2025(6月)
東京公演の国内出演アーティストが発表
大阪に続き、福岡・名古屋公演も開催決定
STUTS|KM|ISSUGI(東京)
MURO(大阪)、OLIVE OIL(福岡)らが出演

STONES THROW JAPAN TOUR 2025
KNXWLEDGE | MNDSGN

presented by CARHARTT WIP

6.7(Sat)Tokyo 東京 @ O-East (Midnight East)
6.13(Fri)Fukuoka 福岡 @ THEATER 010
6.14(Sat)Osaka 大阪 @ JOULE
6.15(Sun)Nagoya 名古屋 @ JB'S

LA発―世界最高峰のインディレーベル〈Stones Throw〉から、2大アーティスト―KNXWLEDGE(ノレッジ)とMNDSGN(マインドデザイン)が揃ってジャパンツアーを開催。6月7日(土)東京公演 @ Spotify O-EAST「MIDNIGHT EAST」の国内の出演者が本日発表、さらに大阪に続き、福岡、名古屋公演の追加公演の開催も決定した。

アンダーソン・パークとのユニット: NxWorries(ノーウォーリーズ)でグラミー賞を受賞したばかりのヒップホップ・ビートメイカー:ノレッジ。マッドリブやJ.ディラを継承するヒップホップ・ビートメイキングで、ケンドリック・ラマー、ジョーイ・バッドアス、アール・スウェットシャツなど数多くのアーティストたちにもビートを提供してきた、現LAシーンを代表するアーティストだ。

そして、ビートメイキングから鍵盤や歌もこなすLAシーン屈指の多才アーティスト:マインドデザインは、ヒップホップをベースにディスコ、ブギー、R&Bなど多様なエレメンツを織り交ぜたオリジナルなスタイルで現在のLAビートシーンを牽引する最注目アーティスト。フライヤーのアートワークはMndsgn自らが手がけた特別仕様となる。このツアーでは、シーンの最前線で活躍する2人のエクスクルーシブな音源が多数披露される予定。

東京公演には、Stones Throwに所縁のある国内の実力派アーティストたちが集結。STUTS、KM、 ISSUGI & GRADIS NICE、ZEN-LA-ROCK、仙人掌のDJ名義DJ SLOWCURVらがラインナップに。

大阪公演にはDJ MUROがゲスト出演。福岡公演にはOLIVE OIL × POPY OILが出演決定。

Carhartt WIP x Stones ThrowのコラボTシャツが会場限定で販売予定だ。
東京公演では、パーティーを彩る、モンキーショルダーのスペシャルなドリンクも販売決定。

LAの空気を日本で堪能できる、貴重な一夜をお見逃しなく。

Don't miss Stones Throw's very own Knxwledge and Mndsgn's Japan Tour

June 7(Sat) Tokyo @ O-EAST (MIDNIGHT EAST)
June 13(Fri) Fukuoka @ THEATRE 010
June 14(Sat) Osaka @ JOULE
June 15(Sun) Nagoya @ JB’S

Fresh off a Grammy win as one half of NxWorries (alongside Anderson .Paak), hip-hop beatmaker Knxwledge! And one of LA’s most versatile artists, Mndsgn, who seamlessly blends beatmaking with keys and vocals!

With an exclusive collaboration with Carhartt WIP also in the works, this will be a truly special tour!

Knxwledge, a defining figure of LA’s current scene, carries the legacy of Madlib and J Dilla in his hip-hop beatmaking. He has crafted beats for the likes of Kendrick Lamar, Joey Bada$$, and Earl Sweatshirt. And Mndsgn, who is at the forefront of the LA beat scene, blending hip-hop with disco, R&B, and other eclectic elements creating a signature sound.

Expect an exclusive showcase of new material from these two trailblazing artists. Plus, top-tier domestic artists will join in - STUTS, KM and more for Tokyo show, DJ Muro for Osaka show and Olive Oil for Fukuoka show.

Limited-edition Carhartt WIP x Stones Throw collaboration T-shirts will be available exclusively at the venues.

Experience LA’s vibrant energy in each city of Japan.

東京 TOKYO Event Info

STONES THROW x MIDNIGHT EAST presents
KNXWLEDGE & MNDSGN
Live in TOKYO
supported by CARHARTT WIP

2025.6.7(SAT) June 7th
at MIDNIGHT EAST (Spotify O-EAST & AZUMAYA)

【 O-EAST 】
KNXWLEDGE (NxWorries | Stones Throw | LA)
MNDSGN (Stones Throw | LA)
LIVE : ISSUGI & GRADIS NICE | STUTS
DJ : KM | ZEN-LA-ROCK

【 AZUMAYA 】
DJ : DAH-ISH | 凸凹。| DJ SLOWCURV | GRADIS NICE | WATTER

【 EAST 3F 】

DJ Dreamboy | DJ KENTA | 原島"ど真ん中"宙芳 | 矢部ユウナ & more

*Lineup-AtoZ-

OPEN/START: 24:00
ADV ¥4,000 | DOOR ¥4,500 | Under23 ¥3,500

Support : MONKEY SHOULDER

EVENT PAGE: https://shibuya-o.com/east/schedule/0607-stonesthrow/

Tickets available at
Zaiko
RA
e+

INFORMATION:
Spotify O-EAST 03-5458-4681
https://shibuya-o.com/east/club/
NOTES:
※ドリンク代別途必要。
※U23チケットは当日券のみの販売になります。(要顔写真付き身分証明書。)
※20歳未満入場不可。(要顔写真付き身分証明書。)
※出演者は予告なく変更になる場合がございますので、予めご了承ください。
※客席を含む会場内の映像・写真が公開されることがあります。
※ 1 Drink fee will be charged upon arrival.
※Under23 tickets are only available on the day of the event. (Photo ID required.)
※ Must be 20 or over with Photo ID to enter.
※Please note that the performers are subject to change without notice.
※Please be aware that videos and photos during the event, including the audience , may be released.

Brian Eno - ele-king

 かねてよりお伝えしてきたブライアン・イーノのジェネレイティヴなドキュメンタリー映画『Eno』が、ここ日本でも上映されることになった。字幕は坂本麻里子。東京では、プレミア上映が6月21日(土)、一般上映が7月11日(金)〜7月17日(木)、ともに109シネマズプレミアム新宿 シアター7にて公開。名古屋では7月12日(土)、7月13日(日)に109シネマズ名古屋 シアター4にて、大阪も7月12日(土)、7月13日(日)に109シネマズ大阪エキスポシティ シアター5にて、限定上映される。詳しくは下記をば。

[7月23日追記]
 この7月、各地で上映され完売続出となった映画『Eno』。大反響につき上映劇場を拡大、追加上映が決定している。詳しくは下記をチェック。なお、監督インタヴューはこちらから。

・日程
2025年8月23日(土)、8月24日(日)

・劇場名
109シネマズプレミアム新宿
109シネマズ二子玉川
109シネマズ港北
109シネマズ湘南
109シネマズ名古屋
109シネマズ箕面
109シネマズHAT神戸
109シネマズ広島

・チケット販売開始:7月25日金曜 AM 10:00〜 

・詳細:https://enofilm.jp/

BRIAN ENO

ブライアン・イーノのジェネラティヴ・ドキュメンタリー映画『Eno』上映決定!
観るたびに内容が変わる映画の常識を覆す革新的映画体験!

音楽、そしてアートにおける「革新」の概念そのものを体現し続けてきた伝説のアーティスト、ブライアン・イーノ。ミュージシャン、プロデューサー、ヴィジュアル・アーティスト、そして活動家、そのすべてにおいて時代の先を走り続け、50年以上にわたり明確なビジョンを提示してきた唯一無二の存在。そんなイーノの真髄に迫る、世界初・完全ジェネラティヴ・ドキュメンタリー映画『Eno』が、ついに日本上陸!ギャリー・ハストウィット監督による本作『Eno』は、ブライアン・イーノへの長時間のインタビュー、そして500時間を超える貴重なアーカイブ映像を組み合わせ、アーティストのブレンダン・ドーズと共同開発した自動生成システム「Brain One(ブライアン・イーノのアナグラム)」を導入。観るたびに構成や内容が変化する映画の常識を覆す全く新しい体験を実現。2024年サンダンス映画祭で世界初公開され、世界中の映画祭で話題となった本作が、ついに日本初公開決定!アジア圏での劇場上映はこれが初となる。プレミア上映には、ギャリー・ハストウィット監督が来日。日本語字幕監修を手がけたピーター・バラカン氏とのスペシャルトークショーも開催。イーノの魅力を語り尽くす貴重な一夜に。その後、東京・名古屋・大阪にて一般上映も決定。変化し続けるイーノのように、一度きりの上映体験をお見逃しなく!

「ブライアン・イーノのキャリアの多くは、プロデューサーとしての役割だけでなく、『オブリーク・ストラテジーズ』や音楽アプリ『Bloom』のようなプロジェクトでのコラボレーションを通して、彼自身や他の人々の創造性を可能にすることでした。私は、映画『Eno』をクリエイティビティを題材にしたアート映画だと考えていて、ブライアンの50年にわたるキャリアがその素材です。ブライアンの音楽とアートへのアプローチと同じくらい革新的な映画体験を創り出すこと、それがこの作品を制作した目的です。」
ギャリー・ハストウィット

『Eno』トレーラー
Youtube https://youtu.be/ygxdXRUev68

監督:ギャリー・ハストウィット
字幕翻訳:坂本麻里子 / 字幕監修:ピーター・バラカン
配給:東急レクリエーション / ビートインク
サイト: enofilm.jp

BRIAN ENO|ブライアン・イーノ プロフィール
ミュージシャン、プロデューサー、ヴィジュアル・アーティスト、アクティビスト。1970年代初頭、イギリスのバンド、ロキシー・ミュージックの創設メンバーの一人として世界的に注目を集め、その後、一連のソロ作品や多様なコラボレーション作品を世に送り出す。プロデューサーとしては、トーキング・ヘッズ、ディーヴォ、U2、ローリー・アンダーソン、ジェイムス、ジェーン・シベリー、コールドプレイなどのアルバムを手がけ、さらに、デヴィッド・ボウイ、ジョン・ハッセル、ハロルド・バッド、ジョン・ケイル、デヴィッド・バーン、グレース・ジョーンズ、カール・ハイド、ジェイムス・ブレイク、フレッド・アゲイン、そして実弟ロジャー・イーノとのコラボレーションでも知られる。2025年夏には、ビーティー・ウルフとのコラボ作品2作をリリース予定。これまでに発表されたソロ作品およびコラボ作品は60タイトルを超え、現在も増え続けている。音楽活動と並行して、光や映像を用いたヴィジュアル・アートの創作にも力を注ぎ、世界各地で展覧会やインスタレーションを開催。ヴェネツィア・ビエンナーレ、サンクトペテルブルクのマーブル・パレス、北京の日壇公園、リオデジャネイロのアルコス・ダ・ラパ、シドニー・オペラハウス、そして記憶に新しい京都での大規模なインスタレーションなど、世界中で多彩なアート・エキシビションを展開している。また、長期的視野で文化的施設や機関の基盤となることを目指す「Long Now Foundation」の創設メンバーであり、環境法慈善団体「ClientEarth」の評議員、人権慈善団体「Videre est Credere」の後援者も務める。2021年4月には「EarthPercent」を立ち上げ、音楽業界からの資金を集めて、気候変動の緊急事態に取り組む有力な環境慈善団体への寄付を行っている。そして2023年、その生涯にわたる功績が称えられ、ヴェネツィア・ビエンナーレ音楽部門よりゴールデン・ライオン賞を受賞。

GARY HUSTWIT|ギャリー・ハストウィット プロフィール
ギャリー・ハストウィットは、ニューヨークを拠点に活動する映画監督兼ビジュアル・アーティストであり、ジェネレーティブ・メディアスタジオ兼ソフトウェア企業「Anamorph(アナモルフ)」のCEO。これまでに20本以上のドキュメンタリーや映画プロジェクトを制作しており、ウィルコを題材にした『I Am Trying To Break Your Heart』、アニマル・コレクティヴによる実験的な長編映画『Oddsac』、ゴスペル/ソウル音楽のレジェンド、メイヴィス・ステイプルズを描いたHBOドキュメンタリー『Mavis!』など、数多くの話題作をプロデュースしている。2007年には、グラフィックデザインとタイポグラフィに焦点を当てた世界初の長編ドキュメンタリー映画『Helvetica(ヘルベチカ)』で監督デビューを果たし、その後も『Objectified(2009年)』『Urbanized(2011年)』『Workplace(2016年)』、そしてブライアン・イーノが音楽を手がけた『Rams(2018年)』といった作品を通じて、デザインが私たちの生活にどのように影響を与えているかを探求し続けている。これらの作品はPBS、BBC、HBO、Netflixをはじめ、世界20か国以上のメディアで放送され、300以上の都市で上映されている。最新作『Eno』は、2024年のサンダンス映画祭で初公開され、サウス・バイ・サウスウエストやトロント国際映画祭などでも上映された。ギャリーの映画および写真作品は、ニューヨーク近代美術館(MoMA)、スミソニアン・クーパー・ヒューイット国立デザイン博物館、ロンドン・デザイン・ミュージアム、ヴェネツィア・ビエンナーレ、ヴィクトリア&アルバート博物館(ロンドン)、ポール・カスミン・ギャラリー(ニューヨーク)、アトランタ現代美術センター、ニューヨークのStorefront for Art and Architectureなど、世界各地の美術館やギャラリーで展示されている。ギターにも強い情熱を持ち、エレキギターメーカー「Koll(コル)」ではデザイン協力も行っています。また、オリンピック開催都市の“その後”を追うスローフォト・ジャーナリズム・プロジェクト『The Olympic City(ザ・オリンピック・シティ)』にも参加。

レビュー

「画期的」 — Rolling Stone
「驚くべき作品」 — Forbes
「スリリングなほど創造的… 映画のルールを破り、上映されるたびに自らを再発明する画期的なポートレート」 — The Guardian
「革命的」 — Screen Daily
「デジタル時代における“映画”の新たなかたちを提示する革新的テンプレート」 — The Quietus
「2024年のベスト映画10選のひとつ」 — New York Times
「このような映画は、映画とは何か、そして新しいテクノロジーが映画制作のプロセスにどう関わるのかを考えるきっかけを与えてくれる」 — BBC News


THEATER
劇場・上映スケジュール・チケット情報

■ 上映スケジュール
特別プレミア上映(トークイベント付き)
【会場】109シネマズプレミアム新宿 シアター7

【日時】2025年6月21日(土)
【登壇者】ギャリー・ハストウィット監督 × ピーター・バラカン(トークショーあり)
※特別プレミア上映は1回目と2回目でそれぞれ別のヴァージョンとなります。

【上映時間】
・1回目:14:00〜
・2回目:18:00〜

【チケット】
<先行販売(抽選)>受付期間:2025年4月24日(木)12:00 〜 4月27日(日)23:59
<一般発売>発売日:2025年5月3日(土)10:00〜
・CLASS A:7,500円
・CLASS S:9,500円
※ チケット金額にウェルカムコンセッション(ソフトドリンク・ポップコーン)サービス料金を含む
※ 1時間前からメインラウンジ利用可能
※ 各種割引サービス使用不可・無料招待券使用不可
【チケット販売URL】
https://eplus.jp/eno/

一般上映
【会場】109シネマズプレミアム新宿 シアター7
【期間】2025年7月11日(金)〜 7月17日(木)

※1週間限定上映
※一般上映は日毎に上映ヴァージョンが変更となりますので、別ヴァージョンを鑑賞希望のお客様は別日の上映チケットをお買い求めください。

<平日>
・1回目:18:00〜
・2回目:20:30〜

<土日>
・1回目:15:30〜
・2回目:18:00〜

【チケット料金】
・CLASS A:4,500円
・CLASS S:6,500円

※ チケット金額にウェルカムコンセッション(ソフトドリンク・ポップコーン)サービス料金を含む
※ 1時間前からメインラウンジ利用可能
※ 各種割引サービス使用不可・無料招待券使用不可

【会場】109シネマズ名古屋 シアター4
【上映日】2025年7月12日(土)、7月13日(日) ※土日限定上映

※一般上映は日毎に上映ヴァージョンが変更となりますので、別ヴァージョンを鑑賞希望のお客様は別日の上映チケットをお買い求めください。

・1回目:15:30〜
・2回目:18:00〜

【チケット料金】
・一般:3,000円
・エグゼクティブ:4,000円
※ 各種割引サービス使用不可・無料招待券使用不可

【会場】109シネマズ大阪エキスポシティ  シアター5
【上映日】2025年7月12日(土)、7月13日(日) ※土日限定上映

※一般上映は日毎に上映ヴァージョンが変更となりますので、別ヴァージョンを鑑賞希望のお客様は別日の上映チケットをお買い求めください。

・1回目:15:30〜
・2回目:18:00〜

【チケット料金】
・一般:3,000円
・エグゼクティブ:4,000円
※ 各種割引サービス使用不可・無料招待券使用不可

■一般上映・ 一般発売(共通)
2025年5月3日(土)10:00〜
【チケット販売URL】 https://eplus.jp/eno/


リリース情報

Beatie Wolfe and Brian Eno『Luminal』
2025年6月6日リリース
https://BeatieWolfe-BrianEno.lnk.to/LUMINAL

トラックリスト:
1. Milky Sleep
2. Hopelessly At Ease
3. My Lovely Days
4. Play On
5. Shhh
6. Suddenly
7. A Ceiling and a Lifeboat
8. And Live Again
9. Breath March
10. Never Was It Now
11. What We Are

Brian Eno and Beatie Wolfe『Lateral』
2025年6月6日リリース
https://BrianEno-BeatieWolfe.lnk.to/LATERAL

CDトラックリスト:
1. Big Empty Country

Vinylトラックリスト:
1. Big Empty Country (Day)
2. Big Empty Country (Night)

Digitalトラックリスト:
1. Big Empty Country Pt. I
2. Big Empty Country Pt. II
3. Big Empty Country Pt. III
4. Big Empty Country Pt. IV
5. Big Empty Country Pt. V
6. Big Empty Country Pt. VI
7. Big Empty Country Pt. VII
8. Big Empty Country Pt. VIII

label : Opal Records
artist : Brian Eno
Title:AURUM
release:2025.3.20
TRACKLISTING:

01 Fragmented Film
02 Gorgeous Night
03 The Dawn of Everything
04 The Understory
05 Lamented Jazz
06 Material World
07 Lonely Semi-Jazz
08 North Side
09 Cascade
10 Friendly Reactor Near Menacing Forest
11 Dark Harbour
https://music.apple.com/jp/album/aurum/1802013049

SEEDA - ele-king

 去る3月に約13年ぶりとなるアルバムを発表し話題となったSEEDA。そのCDとTシャツのセットが販売されることになった。完全受注生産で、〆切は4月30日。欲しい方は急ぎましょう。

SEEDAの話題のニューアルバム『親子星』が完全受注生産のCD+Tシャツのセットで販売決定!Tシャツは原宿Awesome Boyとのコラボレーションになり、本日より予約受付開始!

 約13年ぶりにリリースされたSEEDAの話題沸騰中なニューアルバム『親子星』、待望となるCDのリリースが決定!今回は原宿Awesome BoyとのコラボレーションによるTシャツとのセットでの販売となり、Tシャツは『親子星』ジャケットTシャツ(ホワイト)とSEEDAフェイスTシャツ(ブラック)の2タイプで完全受注生産となります。
Tシャツのボディはオーガニックコットン製/8.2オンスの通常のTシャツよりも厚手の生地を使用しており、CDはデジパック仕様で歌詞カードを封入。の特製ジップロックにTシャツとCDを封入したスペシャルな仕様でお届けいたします。またCD単体、Tシャツ単体での販売予定はございませんのでご注意ください。
 本日より予約受付を開始しており、締切は4月30日(水)正午となります。

*SEEDA 『親子星 (CD+Tシャツ)』ご予約ページ
https://anywherestore.p-vine.jp/products/seeda_oyakoboshi

<商品情報>
アーティスト:SEEDA
タイトル:親子星 (CD+Tシャツ)
カラー:ジャケットTシャツ(ホワイト) / フェイスTシャツ(ブラック)
サイズ: M / L / XL / XXL
販売価格: 9,800円(税抜)
受注締切:2025年4月30日(水)正午
発送予定:2025年5月下旬頃予定

※オーダー後のキャンセル・変更は不可となります。
※商品発送は5月下旬頃を予定しております。
※配送の日付指定・時間指定は出来ません。
※ボディはオーガニックコットン製/8.2オンスの厚手の生地を使用しております。

*SEEDA : 親子星 (Music video)
https://www.youtube.com/watch?v=uLpaiRGld3Q

<トラックリスト>
01. G.O.A.T.(prod by D3adStock)
02. Slick Back ft. Tiji Jojo, Myghty Tommy & LEX(prod by D3adStock)
03. OUTSIDE ft. IO & D.O(prod by ZOT on the WAVE & Homunculu$)
04. Kawasaki Blue(prod by ghostpops & D3adStock)
05. The tunnel to tomorrow skit(prod by Bohemia Lynch)
06. L.P.D.N. ft. VERBAL(prod by HOLLY)
07. 4AM ft. D3adStock(prod by Chaki Zulu)
08. ニキskit
09. みたび不定職者 ft. Jinmenusagi & ID(prod by BACHLOGIC)
10. Summer in London ft. Amiide(prod by D3adStock)
11. Daydreaming pt.2(prod by KM)
12. 親子星(prod by ZOT on the WAVE, NOVA & Homunculu$)
13. SUKIYAKI ft. Kamiyada+ & Braxton Knight(prod by Ryuuki)

Bon Iver - ele-king

 2025年のヴァレンタイン・デーのことは忘れない。その日発表されたボン・イヴェールの“Everything Is Peaceful Love”は、「すべては平穏な愛」という曲名もさることながら、何よりもその歌が、ただの甘いラヴ・ソングだった。打ちこみの簡素なリズムと夢見心地のシンセのテクスチャー、そしてマーヴィン・ゲイを真似したようなジャスティン・ヴァーノンの歌唱。『Bon Iver, Bon Iver』(2011)の“Beth / Rest”のようにソフト・ロック路線はこれまでにもなかったわけではないが、それにしても、こんな愛の歌をボン・イヴェールとしてヴァーノンが歌ったことがあっただろうか。この歌のサウンドから立ちのぼってくるフィーリングは、新しい恋に落ちる瞬間の興奮や喜びであり、そして……「のんきであること」だ。それは楽観性と言い換えてもいい。
 この曲につけられたジョン・ウィルソンが手がけたミュージック・ヴィデオは、街にいるふつうの人びとがただ楽しそうにしている光景を繋ぎ合わせたものだった。彼らの政治的立場や主張はわからない。とにかくみんな、嬉しそうにしている……。ウィルソンは『ニューヨーカーの暮らし方/HOW TO WITH JOHN WILSON』というとぼけたヴィデオ・エッセイ・シリーズを作っていたクリエイターで、なんというか、あくまでのんきに庶民の素朴な善意を信じ抜くようなそのドキュメンタリー・コメディが僕は好きだったのだけど、その感覚が“Everything Is Peaceful Love”のヴィデオにも詰まっている。ヴァーノンは「それが最初に共有したいフィーリングだとずっと思っていた。ヴィデオは、ただ人びとが抑えきれずに微笑んでいるようなものにしたかった」と語っている。
 本当にそうだった。それは僕が、この殺伐とした時代にずっと感じたいと思っていたフィーリングだった。ヴァーノンは続ける。「幸福と喜びが最高の形であり、生き残るための真の浮力であり、自分自身をあまり深刻に考えなくても世界を癒すことができる、という考えだ」

 いや、昨年ボン・イヴェールとしてリリースした『SABLE』(漆黒)は内省的な弾き語りフォークをベースとしたEPで、自分が予想していた通りのものだった。というのは、これまでの4枚のアルバムは、心に傷を負って雪に閉ざされた山小屋にこもった『For Emma, Forever Ago』(2007/2008)の「冬」から始まり、そこから「秋」まで季節が一巡するものだとされていたからだ。とすれば、ヴァーノンはまた孤独な冬からやり直すだろう……。それはたんにコンセプト的なことではなく、ボン・イヴェールという「人びと」がどのように衝突し調和するかという理想を巡るプロジェクトが拡大しきったがゆえに、また彼は「ひとり」から始めなければならないだろうと思っていたのだ。分断と衝突の時代に、わたしたちはまず、そもそも「ひとり」であることを思い出さなければならない。『SABLE』はそして、彼個人の後悔や傷を巡るパートであり、その繊細なフォークは誰もが山小屋の歌を思い出すものだった。実際、このアルバムもそんな痛みにまつわるフォークから始まる。わかりやすいまでの原点回帰だ。こういう歌を作ったときのヴァーノンは、簡単に聴き手の傷ついた心にたどり着いてしまう。

 ところが、『fABLE』(寓話)と題されたサーモン・ピンク色のパートに入ると、もはやエクスタティックとすら言える“Short Story”で一気に雪は解け、春の訪れとともに新たな恋がやって来る。“Everything Is Peaceful Love”、そして続く“Walk Home”はボン・イヴェール史上もっともスウィートなR&Bチューンだ。たとえば『22, A Million』(2016)の頃のようにわかりやすく実験的なことをしているわけではないが、これまでの成果(エフェクト・ヴォイス、サウンド・コラージュ、複数のジャンルのスムースな融合などなど)を生かして気持ちいいポップ・チューンを鳴らしている。ディジョンとフロック・オブ・ダイムが参加したアブストラクトなゴスペル・チューン“Day One”、Mk.Geeがロマンティックな響きのギターを鳴らす“From”、ヨット・ロックなんて言葉が頭をよぎるイントロの“I'll Be There”……これはボン・イヴェールによるはじめてのポップ・ソウルのレコードであり、喜びと高揚がそこらじゅうで跳ねまわっている。想いを寄せる誰かにいますぐ身を任せたくなるような、長年の友人とお気に入りのバーにいっしょに出かけたくなるような、はじめて会うひとにたまらなく親近感を覚えるような……そんな明るいポップ・ソングに溢れている。かつてダサいとされていたようなAOR風のサウンドを真正面からやっているのは、ある種の俗っぽさを肯定することでもあるだろう。

いや、カーテンはいらないよ
光を入れられるからね
そして地上の苦悩を捨て去るんだ
ぼくは確信しているよ:
きみはぼくのために作られたんだと
(“Walk Home”)

取り戻すべきリズムがある
背筋を伸ばして歩き去ろう
(“There’s A Rhythmn”)

 愛と平穏な心にまつわる前向きな言葉がたくさん並んでいる。ガーディアンのインタヴューなどを読むとそれはヴァーノンのパーソナルな動機から生まれたものだそうだが、だけどずっとボン・イヴェールを「人びと」をめぐる音楽として聴いてきた僕には、彼がどうしてもいま世界に向けて届けたいものだったように思えてならない。微細なすれ違いに拘泥し、ありとあらゆる場所に溝ができ、お互いが疑心暗鬼にがんじがらめになっている現代に向けて……この、楽観性こそが必要なのだと。
 ダニエル・ハイムとの官能的なデュエット“If Only I Could Wait”を経て、“There’s A Rhythmn”でヴァーノンは、またしてもとろけるようなシンセ・サウンドに乗せて「そろそろ去るべきときなのかもしれない/雪をあとにして」とついに宣言する。孤独な山小屋と決別すること――それはボン・イヴェールの歩みを思うとあまりによくできたストーリーかもしれないが、いまを生きる「人びと」に向けた励ましにもなっているだろう。不安や恐怖を押しつけてくるものが溢れている時代だからこそ、そこに留まることは簡単だ。いつだって足を踏み出すのはあなた自身なのだ。そう、だから、すべては平穏な愛である。いま、この困難なときに、ボン・イヴェールは甘い音楽とともにラヴ&ピースを掲げるという挑戦をやり遂げた。

Sherelle - ele-king

 この10年のドラムンベースを聞き続けた人ならわかると思うけれど、相変わらず破天荒なスクリームや新進のティム・リーパーなどDJはガンガンいっているのに、ハーフ・タイムが停滞して以降、新作としてリリースされるものは紋切りでつまらないものが増えている。もちろんいい作品を出し続けている人はいる(Dev/Null, Sully, Nebula, Pugilist, etc)。最近だとレイクウェイだとかゼアティス(Xaetis)などEDMと絡み合った動きの方がまだしもユニークに感じられるところがあり、先に進めないのなら後に戻るということなのか、ゴールディ『Timeless』の25周年記念盤を筆頭にクラシックの再発がやたらと続き、何事もなかったように黄金時代のクリシェが反復されていく。咋24年も〈1985 Music〉や〈Over/Shadow〉といったレーベルはクリシェの波を立て散らかし、〈Samurai Music〉だけが相変わらず踏ん張り続けたという印象がある(ドラムン・ベースとダブ・テクノを融合させたリーコ(Reeko)『Urmah』やテクノの中堅がいきなりスタイルを変えてコービー・セイをMCに起用したブレンドン・メラーにはけっこう驚いた)。そして、今年の初めにトルコ(現ベルリン)のDJストロベリーことエムレ・オズトゥルク(Emre Öztürk)がリリースしたセカンド・アルバム『Playground』はグルーヴのあるドリルン・ベースであると同時にダブ・テクノと交錯させたアシッド・ジュークともいうべき属性を兼ね備えていて、これが久しぶりのブレイクスルーとなった。『Playground』のリリースを待っていたかのようにその後はどんどんユニークな曲が続き(Baalti“Overbit”、Patås“Bontelabo”、Svagila“Niteee”、Briain“Coma Cluster”etc)、ドラムン・ベースのタグから旧態依然としたものとそうではないものを聞き分ける楽しみが1ヶ月半ほど続いた。そして、なんの予告もなくシェレルのデビュー・アルバムがサプライズ・リリースされたのである。なんというタイミングだろう。シェレルはここ数年、ティム・リーパーと並んでハードコアの復権を促してきたアイコニックなDJであり、自分の作品をリリースすることにはそれほど意欲的ではないのかと思っていたら、実はアルバムをつくっていたとは。これが、そして、なんとも痺れる内容で、間違いなくハードコアの刷新といえるものだった。アルバム・タイトルの『With A Vengeance』はイギリスの慣用句で「無闇に」とか、最近の日本でいえば「鬼のような」というニュアンスのイディオムである。「鬼のように」、そう、シェレルは鬼のようにスネアを叩き込んできた。

 6人編成のフットワークDJ、6フィギュアーズ・ギャングのメンバーでもあるシェレル・トーマスがソロで脚光を浴びたのはコロナ直前に行われたボイラールームのDJで、前半にUKガラージ、後半にハードコアを配した構成は現在の流行りからいつのまにか異次元へ飛ばされる驚きがあった。2010年代後半にTSTS: Radio Chillでシェレルが担当していたミックス・ショーはもっと幅広い選曲で、ときにAORやエキゾチック・サウンドを聞かせる時間もあったから、彼女がハードコアにスタイルを定めたのはコロナ直前ということになるのだろう。聞いていると体内から湧き上がってくる力を抑えきれなくなる彼女のDJはボイラールームの翌年にBBCエッセンシャル・ミックス・オブ・ジ・イヤー、さらに次の年にはDJ Magのベスト・ブリティッシュDJに選出され、bpm160で統一されたミックスCD『fabric Presents SHERELLE』へとつながっていく。その勢いで黒人とクィア専門のレコーディング・スタジオ「BEAUTIFUL」を設立し、最初のコンピレーション『BEAUTIFUL presents BEAUTIFUL Vol.1』には気鋭のナイア・アーカイヴスからヴェテランのロスカ、さらにはロレイン・ジェイムスや:3lONといった変わり種もフィーチャー。また、ダンス専門の〈Hooversound Recordings〉もスタートさせ、ドラムン・ベースにこだわらず、UKガラージやエレクトロにハウスと幅広くリリースを重ねていく。無観客のロンドン・コリセウムでティム・リーパーとb2bを行なった2022年には初の日本ツアーも行い(昨年、2回目のツアーも)、23年にはマルセル・デットマンやモデラートなどドイツ勢のリミックスを立て続けに手掛けるも、なぜか自分の作品はEPが1枚(「160 Down the A406」)とスプリット・シングルが1枚(「GETOUTOFMYHEAD」)のみで、レコード・プロデューサーとしての活動はあまり活発ではなかった。「160 Down the A406」はしかもまるで後期の808ステイトをアップデートさせたようなテクノ・ガラージだし、“GETOUTOFMYHEAD”もbpm160のソリッドなUKガラージ。さらに『fabric Presents SHERELLE』に提供した“JUNGLE TEKNAH”はジェフ・ミルズ“Change of Life”をサンプリングした(?)UR式のブレイクビーツ・テクノと、正直、DJとしてガンガンぶっ飛ばしてきた彼女が自分ではどんな曲をつくるのか、ほとんど未知数だったのである。

 ここにドカンと10曲入りである。期待を膨らませる助走期間も設けず、ヴィジュアル戦略もなく(サプライズ・リリースの2日後に“Freaky”のヴィデオが公開)、先入観が一切なく音が飛び込んでくる状態はとても理想的。最初は座って聞き、次はランニングをしながら聴いた。体を動かして聞いた方が圧倒的にいい。いつもより長い距離を走ってしまった。構成の骨組みは『fabric Presents SHERELLE』と同じで前半部がハードコア一辺倒。ハードコアを基本としながらもDJストロベリーと同じくフットワークとドラムン・ベースの境界がぜんぜんなく、独自のセンスでスネアを叩きまくる。フットワークはベースが16で、ドラムン・ベースはドラムが16だから両者が混ざるはずはないのに、どうしてそう聞こえるのだろう? 折り返し地点で意外にもジョージ・ライリーのヴォーカルをフィーチャーした“Freaky”。流れで聞くとそうでもないけれど、単独で聞くとかなりポップで、さすがにセル・アウトした印象を受ける。そうかと思うと“JUNGLE TEKNAH”をつくり変えた“Ready, Steady, Go!”は一転して実験的になり、次はURを思わせる“Speed(Endurance)”。これは『fabric Presents SHERELLE』でピック・アップしていたDJラシャド“Acid Bit”を自分なりにつくり変えたものだろう。様々なジャンルを横断していたTSTS: Radio ChillでもDJラシャドの曲をかけなかった日はないのでDJラシャドには相当な影響を受けていると思われる。最後にまたハードコアを畳み掛けるかと思いきや、最近のDJセットで試していたエレクトロ・ファンクや様々な音楽ジャンルが渾然となった“Thru The Nite”でクロージング。シェレルのDJはいつも終わった気がしない終わり方で、もっと続けろという気持ちになるけれど、ここでもそれは同じだった。『地面師たち』のピエール瀧とは正反対に「まだ行けるでしょう」と呟いてしまうというか。この感覚をサプライズ・リリースがあった次の日に早くもガーディアンでベン・ボーモン-トーマスは「最後までスピードを緩めない粘り強さと回復力の表現」と捉えていた。彼によると「イギリス中がスピードに取り憑かれ、そのなかでも最も早いのがシェレル」であり、「シンゲリやシャンガーンといったアフリカのダンス・ミュージックが異様に早いbpmだということが影響している」と。なるほど。どちらかというと長らく欧米から現れることがなくなった新しいリズムを次々とアフリカが生み出していることに対して、ロックでいえばブリット・ロックのような位置にハードコアがいて、ポップ・ミュージックにおけるイギリス人のアイデンティティを再確認していると考えた方がしっくりくるのではないだろうか。『fabric Presents SHERELLE』で要になっているのはアフロダイトで、93年と94年にそれぞれリリースされた“Feel Real”と“Navigator”が前半でも後半でも最もエモーショナルなポイントをなし、このダイナミズムを自作をもって置き換えようとしたのが『With A Vengeance』ではないかと(アフロダイトも16~21年にかけて『Classics』が6集までまとめられている)。それこそ冒頭に書いたように黄金時代のクリシェを反復しているのは基本の部分ではシェレルも同じで、イギリス人がイギリス人を演じたのがブリット・ポップなら、同じことを移民文化のフェイズでも繰り返し、「最後までスピードを緩めない粘り強さと回復力」をアンダーグラウンドの存在意義として再提示したのである。シェレルがレイヴ・カルチャーに待望されること。EUと分かれたイギリスが必要としているエネルギー。独立した経済圏とイギリスらしさの確保。コロナ禍を経てイギリスのクラブは1/3が閉店したままであり、それは観光資源の枯渇を意味している。

視点を変えれば街も変わる!
ノスタルジーではない新しい東京の歩き方

玄人と歩くと都市はバツグン!
──いとうせいこう(作家・クリエーター)

専門家と東京を歩けば見えてくるものがある! 接着剤、石、植物、タクシー、公園にある古墳など、単なる教養ではない「日常生活を捉え直す」視線から街を歩くとまた違った姿が見えてくる。ノスタルジーではない「いま・ここ」ならではの東京の歩き方読本。人気webメディア「デイリーポータルZ」の大好評連載から厳選&パワーアップした新感覚ルポルタージュ!

四六判並製/288頁

目次

まえがき(大北栄人)

■第1章 誰かの見えない街の仕事にうなる

接着剤×渋谷
街にはどれくらい接着剤が使われているのか?

飲食店×渋谷
渋谷の一階は一人飯の店

のぼり×武蔵小杉(神奈川出張編)
おしゃれな街に印刷物はない

散歩のはなし その1

■第2章 むき出しの自然を体感する

植物(1)×渋谷
渋谷駅前の線路沿いに長芋やラズベリーが生えている

植物(2)×久が原
植物図鑑を作ってる人と街を歩いてへぇへぇ言わされたい

石×二子玉川
百貨店には化石が埋まっている

散歩のはなし その2

■第3章 タイムカプセルを発見する

日本中世史×世田谷
日本史の研究者と世田谷を歩いてみたい

考古学×大井町
大井町駅前の通りは歴史を横断できる

散歩のはなし その3

■第4章 本当の財産について考える

建築×祐天寺
家ってどうしてこんな形ばかりなんだろう?

タクシー×三軒茶屋
「どの道から行きますか?」「知らねーよ」のつらさ

散歩のはなし その4

■特別編 

鳥あるある「駅前の木に群れて騒ぎがち」←なんで?

あとがき(林雄司)

【著者プロフィール】
大北栄人(おおきた・しげと)
2006年からwebメディア「デイリーポータルZ」で執筆を始じめ『リカちゃん人形をダンボールで作ると泣けます』などの記事が話題に。一貫して興味がユーモアにあり、2015年より舞台『明日のアー(現・アー)』を主宰し映像作品で第10回したまちコメディ大賞を受賞。2023年TBSテレビ『私が女優になる日』にコメディの先生として登場する。

林雄司(はやし・ゆうじ)
1971年生まれ、人気WEBメディア「デイリーポータルZ」編集長。編著書は『死ぬかと思った』シリーズ(アスペクト)、『テレワークの達人がやっているゆかいな働き方』(青春出版社)、『日本地図をなぞって楽しむ 地図なぞり』(ダイヤモンド社)、共著に『1日1つ、読んでおけばちょっと安心! ビジネスマン超入門365』(太田出版)などがある。

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お詫びと訂正

このたびは弊社商品をご購入いただきまして誠にありがとうございます。
『あたらしい散歩──専門家の目で東京を歩く』に誤りがありました。
謹んで訂正いたしますとともに、お客様および関係者の皆様にご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます。

●8頁 目次内「特別編」のノンブル

誤 274
正 270

R.I.P. Max Romeo - ele-king

 もう一度ジュリエットに会いたいという思いがたかぶり、ロミオは彼女の家の敷地に忍び込む。――あの恋愛劇、屈指の名場面だ。ジャマイカはセイント・アン教区で生まれ、18歳でキングストンに出てきたカントリーマン、マックスウェル・リヴィングストン・スミスは、ある朝、ある女の子の家の門のところで彼女と話をしていた。彼女の父親は二人の脇を通って仕事に出かけていったが、その後も若い二人は時間を忘れて話し込み、そのうちに、なんと父親は一日の仕事を終えて帰ってきてしまう。「なんだオマエ! 同じ場所に……同じ服……あれからずっとここにいるのか? 帰れ! オマエはロミオか!」。周囲にいた人々は爆笑し、それ以降マックスウェルはその界隈で「ヘイ、ロミオ!」と冷やかされるようになった。というエピソードを気に入った芸名創作の天才、スーパー・プロデューサーのバニー〝ストライカー〟リーは、かくして〝MAXで愛に生きる男〟を世に送り出すことになるのだ……「夢精」というロマンティックな曲で(笑)。と、追悼文の冒頭にして、似つかわしくないファニーなオチがつくのだが、そのロミオはそこから三、四年のうちには社会派に転向し、以後終生そのパブリック・イメージとなる、ラスタ・コンシャスでポリティカルなルーツ・レゲエ界屈指のプロテスト・シンガーになってゆく。しかし実際のところ、2025年4月11日に80歳で没するまで、彼のメッセージは、その芸名にたがわぬスケイルの大きな愛に満ちていた。
 キャリアについて正確を期すと、マックス・ロミオになる前の彼は、ジ・エモウションズというヴォーカル・グループの一員だった。メンバーにはレゲエ史上最高のベイシスト、ロビー・シェイクスピア(スライ&ロビー)の兄であるロイド・シェイクスピアがいたが、そのエモウションズの流れからロミオは自身のバック・バンドとしてザ・ヒッピー・ボーイズを組織し、そのバンドがリー・ペリーのハウス・バンド:ジ・アップセッターズになり、それがボブ・マーリーのウェイラーズ・バンドに進展して世界的に成功する話と、その過程から派生してロビーとスライ・ダンバー、すなわちスライ&ロビーもワールドワイドにのしていったドラマティックな経緯については、以前ロビー・シェイクスピアの追悼文で書いた。ここで肝心なのはシェイクスピアつながりの二重オチではなく、マックス・ロミオがボブ・マーリー、スライ&ロビー、リー・ペリーの成功(要するにレゲエ史の中核である)の、その源泉に存在していたことだ。ある “星” の下に生まれた人物とは、経済的なあれこれは別問題としてそういうものなのだ。

 この数日で何ヶ国かから発信されたロミオの訃報記事を多数読んだが、どれも前掲曲、性的に露骨で直截的な “Wet Dream” に、そっと一言だけ(笑)言及している。同曲はまず1968年に本国で大ヒット。英《BBC》は放送禁止にするも、翌69年に彼にとって最初の国際的なヒット曲となり、かつ、ある記事によれば結局彼最大の商業ヒットとなったらしいから、ややもすれば代表曲扱いされてもおかしくないのであり、無論業績として触れないわけにいかない。その一方、レゲエ界で最も信用されるコンシャス・シンガーのひとりとして生きた晩年の重鎮は、半世紀前に「夢精」なる曲を書いて歌った “若気の至り” を恥じていたか? ……といえば、全くそんなことはない様子だった。映像やテクストでネットに上がっている近年のインタヴューでも、同曲の思い出について愉快そうに語っている。
 ――自分が書いた詞の内容を特に好んでいたわけでもないが、この曲を歌ってもらおうとしたスリム・スミスやジョン・ホルト、デリック・モーガンやロイ・シャーリーといた面々から歌詞のせいでことごとく拒否され、当時面倒を見てくれていたボス、バニー・リーの手前、誰も歌う人がいないならと、仕方なくボスのためにその “猥歌” を自分で歌うと決めたこと(しかし実際のレコードにプロデューサーとしてのリーの名前はクレジットされなかった)。また、同曲のレコーディングを《ジャメイカ・レコーディング・ステューディオ(ステューディオ・ワン)》を賃借りして行なおうとするが、リハで歌詞を耳にした同所のオウナー、コクスン・ドッドに追い出されそうになったこと、等々。
 しかし、彼は誇らしげにつけ加えている――こういう “口にしちゃいけないこと” を歌うことが、英国のタブー、性的な表現への偏見に対する挑発でもあったし、実際、イギリスのスキンヘッズは自分たちの性的な感情を解放するものとして、そしてタブーに対するアンチテーゼとしてこの曲を受け入れた。半世紀経って、いまだにスキンヘッドがオレのショウにやってくるとこの曲を要求される。自分から進んで歌いはしないが、リクエストされたら応えられるようにバンドは常にリハーサルしてるんだよ、と。
 以前、世界中のジャーナリストからこの曲について訊かれ過ぎてうんざりしたのか “敬虔なラスタファリアン” ロミオは、「あれは単に雨漏りの歌だ」とうそぶいたこと自体が今日伝説化しているが、そのユーモアを含め、義理堅さ、タブーに挑戦する姿勢、誠実さ、サーヴィス精神といった篤実家ロミオのキャラクターは既にこの曲にまつわるエピソードだけで全開になる。
 さらにこの “Wet Dream” (a.k.a. Leaky Roof・笑)は、聖俗、ときに清濁さえ併せ持ってこそのジャメイカン・カルチャーであるという、我々が愛する文化の本質を思い起こさせてくれる。ロミオは、今はなき『レゲエ・マガジン』の41号(1994年)、小玉和文によるとてもいいインタヴューの中でこう自認している――「ロイド・チャーマーズ、プリンス・バスター、デリック・モーガン、そしてオレが最初のスラック・シンガー四天王だった。でも、我々は今の連中の様にそうあからさまじゃないよ。オレのスラックをちゃんと理解するには想像力が必要なんだ」
 スラック(slack:卑猥)な歌の文化はどの国にもあったし、そんな歌を嬉々として歌っていたストリート・ボーイが敬虔なラスタファリアンに転身することは社会構造と歴史に開眼したゆえの成長であり、その点においてもマックス・ロミオはスラックネスからホーリーネスへと転じた現在のスーパースター、ブジュ・バンタンやケイプルトンの大先輩であった。
 エモウションズ~スラックネス・シンガーまでが第一期だとすると、そのロミオも第二期で社会派歌手へ転身、となる。彼の71年作『Let the Power Fall』のタイトル・チューンをPNP(人民国家党/民主社会主義政党)が72年の総選挙のキャンペイン・ソングに採用したとか、同党を支持したのに政権を奪取したあとのPNPの改革の遅さに失望したロミオが、同党首を批判するディス・ソング “No Joshua No” をリリースしたといったエピソードはロミオの訃報報道の多くに載っているし、政治とレゲエ(とラスタ思想)とが明確なリンケージを示した最も初期の例としてレゲエの教科書には必ず出てくる話なので詳述は割愛し、ここではロミオが、ジャマイカで音楽がポリティカルな力を持ち、武器にすらなることを示したパイオニアでもあることの確認にとどめる。このエピソードも、掘っていけば、国の行く末を案じた彼の真摯な思い、純真さや率直性が明らかになってくるのだが。
 盟友リー・ペリーと組んだ76年作、彼の最高傑作の誉れが高い『War Ina Babylon』についても、例えば収録曲の “Chase the Devil” が1992年にザ・プロディジー “Out Of Space” でサンプリングされヒットし、さらに10年を経て2003年にはジェイ=Zの “Lucifer” で、プロデューサーのカニエ・ウェストが同曲の天才的引用を見せたこと、さらには2005年にマッドネスがデニス・ボヴェールのプロデュースで名カヴァーを残していることまで含めて、もはや語り尽くされている。特に前者二曲がマックス・ロミオ(とリー・ペリー)の功績を、世代を超えて世界中に知らしめた功績には絶大なものがあった。この調子で、追悼文はもう少し続くが、長くて嫌になった人は文末まで飛ばして最後だけ読んで欲しい。先発のおそらくどの追悼文にも書いていない大切なことを書いたつもりなので。

 ずっと他の報道と重複することを書いてもつまらないので、自分の体験談として1980年代中期、オレが10代末に初めて買ったロミオの想い出深いレコードの話をしたい。それは日本盤のLP『ラヴィング・ユー』(ウーレル/ユピテル)だった。ジャケットは永井博のトロピカルなイラスト。当時最先端をいっていた、その絵のイケてるモードに惹かれないはずがなかった。今ならレゲエのレコードのヴィジュアルとしてはおよそ首肯しかねる種のものだが、何しろ大瀧詠一との『A LONG VACATION』の数年後、依然としてあの音楽とイラストが一世を風靡している時代の画伯の真骨頂たる図案の威力は絶大だったし、同時にそれをまとう音の中身も相当にイケてるのだろうと想像させた。しかし、そのジャケットの裏面にはロミオ、プロデューサーのジェフリー・チャンとキース・リチャーズの、言ってみれば “むさい” 写真がドカンと鎮座し、その表と裏のギャップに没入していくことをマゾヒスティックに欲した上に、盤のオビのうたい文句は〈サマー・インテリア1983 小麦色ミュージック~マックス・ロメオのおしゃれなレゲエ・アルバム〉とくるのである(……レコード会社の仕事は楽ではない)。だからといってやぶれかぶれな気持ちで買ったわけではなく、動機は明確にキース・リチャーズだった。ローリング・ストーンズ “Dance (Pt. 1)” にロミオがバッキング・ヴォーカルで参加したことのお返しに、リチャーズがロミオのアルバムで弾いていることを友人から聞き、ストーンズ・フリークとして〈買い物リスト〉に入っていたアイテムだったからだが、その晩、そいつに針を落とし、1曲目“Wishing for Love” がスピーカーから飛び出してきた瞬間、目に映る世界の色彩が変わったような衝撃を受けるのだ。スライ&ロビー、チナ・スミス、そして確かに『エモーショナル・レスキュー』期に多用していた奏法のキースらによるアンサンブルは、ファットでロックでスタイリッシュ(そのすべてがある!)だし、そのうわべをたゆたう優しげでセクシーでソウルフルなロミオの声の美しさに鳥肌が立った。それが、当時その言葉も知らなかった “ラヴァーズ・ロック” を生まれて初めて聴いた(もしくは初めて意識に刻まれた)瞬間である。つまり、オレにとっては初めてのラヴァーズ・ロックもロミオだったのであり、この原体験は、現在に至るまで自分のラヴァーズ・ロックに対する審美眼の基準になっている。同時に、本稿の冒頭に書いたロミオの芸名の由来を後年インタヴューで知った際、そのエピソードがまさしくストンと腹落ちしたのだった。
(ちなみに、アルバム『ラヴィング・ユー』の米オリジナル盤のタイトルは『Holding Out My Love to You』だ。また、この『ラヴィング・ユー』の他にも83年から85年にかけて『メイク・ウィ・ロック(Mek-Wi-Rock)』『アイ・ラヴ・マイ・ミュージック』『One Way』と、続々ロミオの日本盤が出ていたことが分かって次々に買い集めることになるのだが、それらの音源をライセンスしていたのが日本レゲエ界のゴッドファザー、石井志津男その人であることをのちに知ることになる。日本のレゲエ文化の黎明期にマックス・ロミオがこんなに熱心に紹介されていたことは今、再確認するに値しよう。《_WAH! Radio》に最近アップされた《24×7 RECORDS》の八幡浩司がホストのインタヴュー番組〈IN THE BEGINNING 石井志津男編〉でもその時代の話が聴けて非常に興味深い。https://soundcloud.com/radio-wah-328329842/sets/in-the-begining)

 80年代は、日本でも他に《NECアベニュー》や《タキオン》からのリリースもあった事実が、この国のリスナーがロミオを高く評価していたことの証左となる。当時の国内リリースからもう一曲印象深い曲として、前傾『One Way』収録の “The Birth of Reggae Music” を挙げておきたい。〈ジャーがベイスを入れて4分の4拍子をロックさせる。レゲエは山々の霊気から、ゲットーの飢えから、人々の魂の響きから生まれる。そのメッセージをバビロンに送りつけるんだ。闘いをギブアップすることはない〉と厳かに歌われる米《ワッキーズ》プロダクションの(2007年には独《ベイシック・チャンネル》から再発された)大名曲だ。
 90年代のUKジャー・シャカ・プロダクション二作とダブも忘れ難い。ロミオは80年代の後半に公私共に難しい時期を送ったらしいのだが、そのことと関係しているのか、この時期にあの立派なドレッドロックスを一度切り落としている。そうすることで「ジャーに対して自分がやり直すという意気込みを伝えたんだ」(前傾『レゲエ・マガジン』41号)ということだったようだ。シャカ制作の92年作『Fari - Captain of My Ship』のジャケット写真を見て、その風貌にとても驚いたことまでハッキリ覚えているが、そうまでして心機一転し、改めて立派なロックスをいちから大切に伸ばしていった後年の彼にも、その生真面目な一本気が偲ばれるのだ。
 新たな世紀に入っても、寡作ながらリリースを続け、むしろ積極的にヨーロッパを中心にツアーやフェス出演を何度となく行なったから、この頃のライヴ映像はDVD化もされたし、容易に目にすることができる。
 この一週間でそんなロミオの映像のいくつかを観、アルバムを初期から晩年までランダムに10枚ほど聴いた。そうすると、青々として瑞々しい美声から、艶が増し、円熟味を帯び、渋さが出てきて、枯淡の境地に至る、とても美しいグラデイションを生きた歌手だったことが実感される。もちろん冴えを欠くスランプ期もあったし、チープなサウンド・プロダクションのせいで美点が抑圧された作品もあるが、どんなときでも誠実さが温度感のある安心をくれたものだった。
 つい先頃、2023年にはヨーロッパを中心に約60箇所を回る〈フェアウェル・ツアー〉を敢行したことも記憶に新しい。彼は自分でキャリアの最期を決め、そこから逆算して大規模な最終ツアーを企画し、ファンに律儀にさよならを告げに行った。そうやって最後まで積極的に経験を積み重ね、魅力を増し、アーティストとして見事な着地を果たしたロミオの代表作が、遠い昔60年代や70年代にしか存在しないかのようなそのへんの追悼報道は一体どんな了見なのかと思う。この、まさしくセルフ・コントロールと “自己完結” を旨とした晩年、最終期にこそ、彼のキャリアの集大成、真の代表作があるとしたい。それが彼にふさわしい評価ではないか?
 2019年、フランスの《バコ》からリリースされた、おそらく純粋な意味での最後のフル・アルバムという扱いになるのだろう『Words from the Brave』がそれだ。“勇士の言葉” などと自らの作品を具体的に、そして力強く形容したアルバム・タイトルは過去になかった。また、シングル “The Farmer's Story” ではキャリア初のMVまで制作し、自身のルーツともいえる18歳以前の貧しい農夫時代の記憶に立ち返っているのも何やら暗示的ではある。16年のツアーでバックを務めたフランスのルーツ・ヘリティッジ・バンドとの録音群に、マックス本人と息子のアジージ・ロミオが伴奏を用意した3曲を加えた全10曲。拙著『レゲエ・ディフィニティヴ』でも力を込めて激賞したが、この作品の激しさ、重厚さ、リッチさ、滋味深さは、遺作として驚異的としか言いようがないばかりか、全キャリアを通して見ても紛う方なき大傑作である。

 連中はオレたちをスポーツと戦争に使うのみだ。そして教会と酒場さえ与えておけばいいってんだろう。今吸ってる息がきみの最後の呼吸になるかもしれない。よこしまな政治屋に火を放て。苦しむ人々に圧をかけてくる奴らに。意味不明な説教を垂れる牧師にもだ。

 炎、炎、世界が燃えている。腐敗した政治家が炎をさらに煽っている。人は謙虚で柔和であるべきなんだ。蒔いた種は自分で刈り取ることになるのだから。

 このアルバムを聴いて弔いとすることをおすすめしたい。あなたが聴きたいマックス・ロミオはこれではないだろうか? というか、あなたが聴きたいレゲエはこれではないだろうか?

Actress - ele-king

 アクトレスは2022年以降、キャリア15年目のアーティストとしては意外なほどリリースのペースを加速させている。世のなかの移ろいゆく情勢や経済状況に追いつけず、レーダーから姿を消してしまうアーティストは珍しくない。パンデミックが多くのアーティストが自身のキャリアにおける2〜3年の空白期間を省略するきっかけとなったのだろうか?  あるいは、それはInstagram的で過剰な情報社会への反応なのだろうか? アーティストは、もちろんアーティストとしてあるべきであり、彼らがどのようなキャリアパスや表現のフィールドを選ぶにしても、私たちはその作品をまずは恐れや偏見なく受け止めるべきなのだ。
 インスピレーションや創造性には、経済状況における「量と質の呪い」が関わっている。果たして、「少ないこと」は本当に「より多く」や「より良いマーケティング」に繋がるのか?  頻繁なリリースは編集的フィルターの欠如の表れなのだろうか? もし4年待って34曲入りのアルバムが出たとして、果たして誰かが全曲をちゃんと聴くだろうか? そんな問いの数々に明確な答えはない。
 そうした葛藤の最中に、アクトレスはわずか1ヶ月のあいだに2つの作品をリリースした。「量と質」を比較検証してみよう。

 まずはその1枚、『Grey Interiors』(Smalltown Supersound)。これはActual Objectsとのコラボで「ベルリナーフェストシュピーレのインスタレーション作品として制作された」1トラック構成のアンビエント作品だ。
 2枚目は、『Tranzkript 1』(Modern Obscure Music)という4曲入りのEP。

 アクトレスのアンビエント色が増す最近の作品群は、若かりし頃の彼がレコードでやることを恐れていた領域——すなわち、自らの多様な感情に深く潜り込み、定型的な繰り返しから解放され、トラックに人間味ある呼吸を与える——へと踏み出している。彼のライヴを観たことがある幸運な人ならわかると思うが、最近の彼のアンビエントに対するスタンスは、彼のライヴ・セットに近く、従来の6分以内の楽曲が多いアルバム群はどちらかといえば風景スケッチ的だった。それゆえ、ライヴを体験したことのないファンには、これらの長尺トラックが単なる高慢な実験のように見えるかもしれない。

 『Grey Interiors』は、彼のディスコグラフィーのなかでももっとも尖った作品とは言えないが、2024年の『Дарен Дж. Каннінгем』に続き、確実により冒険的な作品のひとつである。他のアンビエント系アーティストの作品に似た響きを持っているかもしれない。しかし、成長とは、開花して初めて明らかになるものだ。その途中の過程は評価されず、結果だけが見られる——それは実に残念なことだ。
 20分間にわたって『Grey Interiors』は、柔らかく曖昧なシンセの層に支えられながら、浮遊する雲の上へと上昇していく。そこにはアクトレスらしいインダストリアルな美学を象徴する、機械的で独特な緊張感が常に流れている。繰り返される機械音が互いに語り合い、やがて全体の会話そのものへと変化していくなか、突然クラブ・ビートが介入し、ブレイクビーツのような親しみのある感触を呼び起こす。そうしてアンビエントからは脱し、緊張感もやわらぎ、まるでバレエを見ているような感覚に包まれて終わる。

 一方、『Tranzkript 1』は、これまでの作品と同様の音的領域に存在している。各トラックは短く、捻れたアンビエント・メロディがぶつかり合いながら、より簡潔に展開していく。たとえば“Kjj_”や“Guardians”などの曲は、まるで宇宙飛行士が地球を見下ろしながら帰還について考え、カプチーノを飲んでいるようなSF映画を思わせる心地よさがある。『Tranzkript 1』は、巨大な芸術的声明ではないが、深い思索や内省に浸るための心地よい一滴だ。

 長く続くムードのうねりであれ、アヴァンギャルドな短編小説のようにミニマルな音にスポットライトを当てたものであれ、アクトレスが音を通じて聴覚の楽しみに捧げる献身こそが、「質と量の両立は可能である」という議論において彼を勝者たらしめている。そしてそれは、ありがたいことに本当なのだ。


Actress’s pace in releases since 2022 has accelerated much faster than one would expect for an artist 15 years in. Falling off the radar is a common trend with artists sometimes not able to keep up with the progressive and economic state of the evolving world. Was the pandemic an impetus for forgoing the 2 to 3 year hiatus that many artists including himself steer their careers by? Or more of a reaction to our hyper Instagram information culture? Artists should be artists, of course and the course they decide to take in their career trajectory and field of expression should be allowed and accepted without fear or prejudice so that the well of their artistry can overflow.

The pain of inspiration and creativity in the world economy derives from the curse of quantity vs quality. Is less really more and better for marketing? Are frequent releases a sign of lack of an editorial filter? If I wait 4 years for a new album of 34 tracks, does anyone actually listen to all the tracks? Questions upon questions are not easy to answer. In the middle of this ongoing dilemma, Actress has released not one but two releases within one month. So now the quantity vs quality can now be tested.

First is Grey Interiors (Smalltown Supersound), a one track ambient track made “as an installation piece for the Berliner Festspiele” with Actual Objects. The second, a four track ep, Tranzkript 1 (Modern Obscure Music).

Actress’s growing ambient tinged work does what the younger artist was more afraid to do on record ; dig deeper into his many moods, break away from formulaic repetition and let the track breathe more humanly. If you have had the luck to see Actress live, then you know that his current headspace with ambient music is closer to his live set whereas his many albums of cuts, mostly under 6 minutes, are closer to scenic sketches. Those of his fans without the pleasure though may view these longer tracks as just vein experiments.

Grey Interiors isn’t the edgiest Actress album of his discography but it is definitely one of the more adventurous ones following in line with 2024`s Дарен Дж. Каннінгем. It may be reminiscent to other ambient releases by other artists in tenor. But growth isn’t clear until it’s finished flowering. The in between process isn’t valued. Only the result and that is a shame.

In 20 minutes, Grey Interiors ascends above floating clouds supported by soft, amorphous plushy synths continuous under an underlying mechanical distinctive tension typical of Actress`s industrial ethos. Machine repetitions that grow to talk more to each other eventually becoming the total conversation before a club beat interferes with mild breakbeat familiarity. No longer ambient, the remaining edge of anticipation is relieved leaving with a feeling of watching a ballet.

Tranzkript 1 (Modern Obscure Music) exists on more familiar sonic territory along with previous releases. Briefer in track length, more concise with off-kilter ambient melodies colliding into each other like the track Kjj_ or Guardians, which pleasantly reminds me of a sci-fi film where astronauts are above the earth contemplating return while sipping cappuccinos. Tranzkript 1 isn`t a giant artistic statement but rather a pleasant dip into deep thoughts and ruminations.

Whether elongated mood swings or spot light focused on minimal sound a la avant garde short stories, Actress`s dedication to aural enjoyment means he wins the argument of quality / quantity showing thankfully you can have both.

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