「P」と一致するもの

Stormzy - ele-king

 ロンドンのバッド・ボーイ、Stormzy のギャングスタ・ラップは強さと弱さを曝け出す。

 ロンドンの地下鉄のいたるところに、真っ黒の最後の晩餐のポスターを見る。〈#MERKY〉 という Stormzy 自身のレーベルから、『Gang Signs & Prayer』(以下、『#GSAP』)がリリースされ、巨大なジャケット・ポスターがロンドンの地下鉄のプラットフォームに貼られていた。しかし、そんな「メジャーな」アルバムのタイトルが「ギャング・サインと祈り」というのもかなり意味深である。
 Stormzy はリリースはミックステープ作品を除けば、5枚のシングルのみで、初のスタジオ・アルバムである。公園でラップしたビデオ“Shut Up”、Stormzy のお母さんまで登場する“Where You Know Me From”など凝ったミュージック・ビデオで人気を獲得してきた。そして発表された『#GSAP』は、彼の人生そのものを描こうとする野心に溢れている。

 アルバムの序盤、“First Things First”はこのアルバム全体のイントロにもなっている。

 一言あるカラード(意:有色の)のブラザー
 だが、スマッシュするぜ
 俺が銃をぶっ放そうとするときに逃げるんじゃねぇぞ、
 俺たちが祈りを捧げる前には、ギャング・サインがあったんだ

 A coloured brother with a bone to pick
 But I still get to gunning, don't be running when I bang mine
 Before we said our prayers, there was gang signs (Gang signs)

 ギャングが用いるハンドサインである「ギャング・サイン」と祈りがどのような関係を結んでいるか物語る。
 ギャングスタで暴力的な一面を見せる一方で、彼は自分の弱さも曝け出す。

 お前が彼女と喧嘩している間に、俺は鬱と戦ってたんだ

 You was fighting with your girl when I was fighting my depression, wait

 彼はこのラインで、単にマッチョなゲームや時間を無駄にすることに没頭するMCではないと宣言する。彼自身を曝け出すこと、そしてそれを克服したことをラップすることで、彼の本当の強さを獲得する。続く“Cold”、Ghetts(ゲッツ)をフィーチャーした“Bad Boys”、そしてグライムのヒットメイカー Sir Spyro のプロデュース・シングル曲“Big For Your Boots”は一貫して「俺の方が優れている」というテーマを、コミカルかつストレートにラップしている。MCの聞き取りやすさは、エンターテイナーとしての成長を示している。チキン・ショップでラップする姿は、リアルで面白くもある。

 6曲目のインタールード以降は、彼のストーリーがより前面に出る。Kehlani(ケラーニ)との“Cigarettes & Cush”では、Lily Allen のバック・コーラスとともに「俺が遅れて電話を取れなくてごめんね」と優しく謝り、“21 Gun Salute”では友の死にマリファナとともに祈りを捧げる。“100 Bags”ではお母さんへの愛と感謝を伝える。

 「ママは10万ポンドを見たことがなかったかもしれないけど、今の俺なら100個のバッグを買ってあげるよ」

 'Cause mummy ain't never seen a hundred bags Now I'm like 'Mum, buy a hundred bags'

 14曲目で伝説的なギャングなグライムMC Crazy Titch のシャウト(終身刑に服役中で、なんと7年ぶりに声を届けてくれた)から、Stormzy のヒット曲“Shut Up”になだれ込む。アルバムの最後に作られたという、“Lay Me Bare”では、

 銃を取り主張する、痛みを撃ち、恐怖を殺す
 死ぬ前には祈りの言葉を捧げる。

 Grab this gun and aim it there
 Shoot my pain and slay my fear Before I die, I say my prayer

 アルバムのタイトル「ギャング・サインと祈り」は、“First Things First”とのコントラストでさらに意味深いものとなる。ギャング・ライフとの決別、亡くなった古き仲間への祈り、鬱の克服、Stormzy は『#GSAP』でその全てをグライムというアートフォームで表現している。

Throbbing Gristle - ele-king

 ダニエル・ミラーは自分の趣味に忠実な人間で、〈ミュート〉はこのたび、バンドの協力のもとスロッビング・グリッスルの全カタログをリイシューすると発表した。
 フルクサスのパフォーマンス・アートないしはメール・アートの影響下、1969年から1970年代のロンドンのアンダーグラウンドにおける伝説となったアート集団、COUMを前身にもつスロッビング・グリッスルは、セックス・ピストルズがデビューした1976年、彼らとは別の場所で、翌日タブロイド紙を激怒させることになる、過激なポルノと、そして血と小便と嘔吐にまみれたショーを試みていた。そして同年、インダストリアル・レコーズを立ち上げて作品を発表していく彼らだが、それらは後のエレクトロニック・ミュージックにおいて大きな影響を残すことになる……という話は電子音楽が好きな人にはよく知られている。
 今回再発されるのは、代表作として知られる以下の4枚+ベスト盤1枚+近年の成果2枚。
 『The Second Annual Report』(’77年)
 『D.O.A. The Third And Final Report』(’78年)
 『20 Jazz Funk Greats』(’79年)
 『Heathen Earth』(’80年)
 『Greatest Hits』(’80年)
 『Part Two The Endless Not』(2007年)
 『Thirty-Second Annual Report』(2008年)
 まずはApple MusicとSpotifyでも配信され、ボックス・セットや各アルバムのリイシューが予定されている。


Donato Epiro - ele-king

 〈ルーピー〉は、〈4AD〉のA&R、サミュエル・ストラングが設立したレーベルで、〈サブテクスト〉からのリリースでも知られるFISのアルバム『ザ・ブルー・クイックサンド・イズ・ゴーイング・ナウ』を、2015年に送り出している。まさに現在、注目すべきアンダーグラウンド・エクスペリメンタル・ミュージック・レーベルのひとつといえよう。
 その〈ルーピー〉の2017年におけるファースト・リリースが、イタリア人アーティストのドナート・エピロ『ルビスコ』である。ドナート・エピロは、カニバル・ムーヴィーのメンバーでもあり、ソロとしても、あの〈ブラッケスト・レインボウ〉や〈ブラック・モス〉からダーク/アヴァンなエクスペリメンタル・ミュージックをリリースしている。また、00年代後半からレーベル〈スタームンドラッグス・レコード(Sturmundrugs Records)〉を主宰し、あのディープ・マジックやTHEAWAYTEAMなどの作品を送り出してきたという重要人物でもある。
 本作は、これまで少部数のCD-R作品として発表した曲をまとめたアルバムだが、しかし、その廃墟のような音響空間は、まさに2017年的ポスト・インダストリアル・ミュジーク・コンクレート・サウンドである。聴き込むほどにドナート・エピロの先見性と、この作品を、2017年の今、リリースするレーベルの審美眼の鋭さに唸らされてしまう。

 細やかなノイズ、鼓動のようにパルスをベース、打撃のようなリズム、分断される環境音。それらは断片化され、まるで終わりつつある世界を描写するようにインダストリーなサウンド・スケープを展開していく。それはドローンですらない。新しい時代のミュジーク・コンクレートが生みだすアンビンエスがここにあるのだ。
 アルバムは、環境音らしき音の持続/反復から幕を開ける“Rubisco”からスタートするわけだが、いくつもの霞んだ音色のミュジーク・コンクレート的なトラックは、まるで世界の廃墟を描写するように静謐に、そしてダイナミックに展開する。さながら映画の環境音のように、もしくは夢の中の環境音のように、である。そして、アルバムは次第に音楽としての反復を獲得しながら、反復と逸脱を重ねていくだろう。特に5曲め“Nessuna Natura”、6曲め“Scilla”のサウンドを聴いてほしい。

 私には、このアルバムに収録されたトラックは、いわば、ジャンクな世界に満ちたジャンクなモノの蠢きによって再構築し、それによって、廃墟的なロマンティズムをコンポジションした稀有な例に思えた。これが2009年から2010年までに少部数リリースされたCD-R作品からの曲というのだから、そのあまりの先見性に、もう一度、唸ってしまう。音楽とSFは世界を預言するもの、とはいえ。
 世界が最悪になっているのなら、その最悪さを引き受け、人というモノ以降の世界の廃墟のセカイを音によって描き切ってしまうこと。そのような「廃墟のアンビエンス」が本作にはある。美しさと郷愁がともに存在し、そして鳴っている。私には、その「ヒトのいない世界のザワメキ=音響」が、とても穏やかなアンビエンスに聴こえてしまうのである。

RAINBOW DISCO CLUB 2017 - ele-king

 GWの5月3日~5日にかけて伊豆の稲取で開催されるRAINBOW DISCO CLUB 2017の魅力について、渡辺健吾と野田努が語り合いました。詳しいラインナップと入場料、アクセスなどはホームページを見ていただくとして、ここでは何故2人がこの野外フェスを推すのかを読んでいただけたら幸いです。

野田:昨年初めてRAINBOW DISCO CLUB(RDC)に行ったんだけど、行って良かった。いろいろな意味で。
健吾:僕は晴海でやってた時代は何度か行っていて、ビル群や海がすぐそこに見えるロケーションでさっと行けるし、割りと好きだったんだよね。夕暮れの雰囲気とか、海風が気持ちいいとか、いい点もたくさんあった。だけど、やはり伊豆で開催になってまるで違うパーティというくらいよくなったと感じたなぁ
野田:昨年のが伊豆になってから1回目なの?
健吾:いや、2回目だよね
野田:健吾は2年連続だったんだ?
健吾:いや、僕も去年が初なんですよ。伊豆の初回がすごくよかったという話をあちこちでたくさん聞いていて、これは行くしかないだろうと
野田:なんだよぉ~、すっかり行き慣れたベテラン面してるからさー、「ヨロシクお願いします」なんって言っちゃったじゃない。
健吾:いやいや、そうだっけ?
野田:もうすっかり、場慣れしてたじゃん。水道場で食器とか洗っててさ。なにがプチアウトドアだよ。俺なんか、民宿だぜ。
健吾:春先から秋までは、キャンプ含めて子供連れで楽しめる野外のパーティによく行くようになっていて、毎年数ヶ所の野外パーティやフェスに行っているからね。そういう中であそこは楽しいぞ、雰囲気いいぞ、とか、そういう嗅覚は結構磨かれてるんじゃないかと。
野田:俺なんか、多摩川に釣りに行くぐらいだからなー。それはともかく、RDCは素晴らしいよね!
健吾:素晴らしいですね! 噂以上だった。
野田:じゃあ、お互い、どこが良いと思ったのか、理由をいくつか挙げていこう。まずはロケーションだね。これ、重要。
健吾:そうですね。あんな場所よく見つけたなと思うけど、ただの山の中でもないし、かといって日常の空間でもないから、不思議な魅力がある。
野田:公共の交通手段を使って、2時間ぐらいで行けて、山と海がある。ホントによく見つけてくれたって感じ。
健吾:そういう会場だと、他にいくつも違うイベントが開催されて、スペシャル感が薄れるケースもあるけど、あそこはRDCだけだからな
野田:日本の初夏の青々しい風景、そして伊豆の小さな港町……子供がいようがいなかろうが、行きやすいし、場所だけでも気持ちが上がるね。
健吾:突飛な場所でやりすぎて、1年でできなくなっちゃうっていうケースもたくさん見てきてるから、3年続けてやって年々よくなっているという継続ができたらすごくいいなと思うしね。前に千葉のビーチであったパーティに行って、感動するくらいロケーションよかったんだけど、ビーチだから夜中になったらみんな勝手に入ってきちゃって、大変だったらしい(笑)。
野田:野外パーティの難しさってやつか。ぼくが泊まった民宿では、民宿だから共同風呂なんだけど、風呂に入ってくる人がみんなRDCのバンド捲いてんだよ。で、「同じっすね」とか言うと、「去年も来たんですよー」なんてね。今年もリピーター多いんだろうなぁ。
健吾:あれは口コミで広がるタイプの良さだから、そう思う。
野田:そもそも健吾は野外フェスに何を求めているの? なんで、いまも行き続けているの?
健吾:一言では言い表せないけど、遠慮会釈なくいい音、でかい音で踊りたいっていうのがいちばんかな。クラブという日常の延長にある場所では、なかなかそういうことができなくなってしまった。
野田:野外フェスなら家族で行けるのは、たしかにオレら世代にとっては魅力だよね(笑)。でも、オレが野外に目覚めたのはまだ自分がギリギリ20代のときの1993年、最初はグラストンベリーだったんだよね。
健吾:いきなりグラストンベリーか。インパクトがすごそう。僕はあまりロック・フェスで楽しかった記憶がないんだけど、グラストンはどこが良かったの?
野田:どこがって……とにかくカルチャー・ショックだよ。なんていうか、ヘッドライナーがスピリチュアライズドだろうがオーブだろうがヴェルヴェッツの再結成だろうが、そんなことは最終的にはどうでもいいわけ。自分たちがその場にいて、その場にいることを楽しんでる。多様な人間がそこはいたし、年齢層もヒッピーからインディ・ロック、レイヴ世代までと幅広い。そして、その場にいる人たちもそのフェスの重要な要素なんだよ。あの感じ……クラブやライヴとは違った、過激なまでの「ゆるさ」とでも言おうか、あれがオレのなかの理想としてあるんだ。つまり、出演者のタイムテーブルに合わせて客も移動するみたいな、あの感じはまったくないよ(笑)。とことんレイドバックしてるのよ。
健吾:なるほどね。RDCでいいと思ったポイント、僕が嬉しいのは「ゆるさ」なんですよね。もちろん、歴史あるイギリスのグラストンベリーとは違うタイプのものだろうけども、運営サイドと客が信頼しあっていて、ゆるく運営されているっていうのは日本においては貴重だからね。
野田:あのゆるさは素晴らしい。しかもさ、良い音楽が良いオーディエンスを集めるってことを実践してるジャン。
健吾:うん、そう思う。日本だとクラブ系のDJやアーティストがたくさんでるフェスですら、「出演者のタイムテーブルにあわせて客が大移動」みたいなことが起きるから。そうすると、どうしても有名で、たくさんファンを呼べるような人中心のブッキングになってしまったりして。ポスターにずらずら名前が並んでいるのを見るとすげえって思っても、実際にその場に行くと、楽しめないっていうことも多いんだよね。RDCの場合は、たぶん敢えてその逆いってるという。
野田:ヨーロッパのフェスっぽいんだよね。極端に言えば、ライヴを見ずにただテントで生活して帰ってく人も珍しくないっていう感じ。そういう場を作るってホントに難しいと思うんだよ。さっき健吾が言ったように、雰囲気って、オーディエンスや出演者なんかとの信頼関係で築かれるものだからね。その信頼関係をうながすかっていうと、音楽愛じゃない? RDCはそこがしっかりしているよね。
健吾:そこまで裏話やなんかを知ってるわけではないけど、ステージや楽屋の写真を見たり、発言を読んだりしていると、出演者にもRDCという場やコンセプトが愛されているんだと感じるね。
野田:ハンモックとかさ、ああいうのが並んでいるのもいいよね。キッズ広場まであるし。適度に逃げ場もあるし、適度に散歩もできるし。
健吾:キッズ・スペースはだいたいどこの野外パーティでも設けてるけど、ちゃんと遊び場として機能してると感じたのは数少ないね。RDCのキッズ広場はあってすごく助かった。
野田:絵本もいっぱいあるしさ。
健吾:そういえば去年、結構早い時間帯だったけど、瀧見さんがプリンスかけたの覚えてる? まだ昼くらいでそんなに客もいなかったし、皆のんびりした雰囲気で座ったり寝そべって見ていたら、セットの最後の方でいきなりプリンスかけたんだよね。たしか、「Sometimes It Snows In April」だったかな。
野田:それってプリンスでオレがいちばん好きな曲!
健吾:去年は4月の終わりだったし、気がきいてるよね
野田:さすがベテラン。今年も出るんでしょ。彼みたいなのがいるのは心強い。
健吾:僕はハンモックのあたりでそれ聴いてて、少し立ち上がって、高いところからフロアの様子を見ていたら、皆「プリンスだ!」とか騒ぐ感じでもなくて、ゆっくりそこここで立ち上がって、レクイエムみたいにゆらゆら踊る人が増えるのがわかったんだよね。なんかすごく心にしみた。
もちろん瀧見さんの、あそこであのタイミングでプリンスのしかもあの曲っていうのがすごいと思ったけど、客もそれに応えてる感じだったなぁ
野田:あんな良い天気のなかで、あんな切ない曲を……。そういう、その場の物語が生まれるんだよね。クラブでもそうなんだけど、良い野外フェスにはとくにそのときでしか経験できない物語が生まれる。これから2日後にはどうなっているんだろ? っていうワクワクした感じがあって、わずか3日のあいだにいろんなことが起きるんだよな。
健吾:ほんとそう。で、ワガママかもしれないけど、子持ちだと、ピークタイムが深夜~明け方に設定されてるフェスでは、いちばんいいところを絶対に経験できないんだよね。夜通し踊った皆が休みにテントに戻りだす朝はやくにようやく活動し始める。RDCの場合は、夜は平等にみんな寝るというタイムテーブルだから、みんなと同じようにいい経験ができるチャンスがあるのよ。
野田:なるほど。で、テント生活はどうよ?
健吾:もちろん、楽しいよ。半分それが目的だからね。
野田:夜はまだ寒いだろ?
健吾:装備によると思うけど、うちは冬用のシュラフ持っていくからそうでもないね。もちろん、民宿とかホテルでもいいと思うし、お風呂は入れたほうが体も休まるんだけど、テントの場合、子連れだったら一度寝かせてからまたちょっと踊りに行くとかもできるしね。テントサイトからフロアまでそんなに距離がないのもいいね。野田さんもテント張ったらいいのに(笑)。
野田:オレは今年も民宿ですが、稲取の金目鯛はぜひ味わって欲しいですね。港の近くに市場があってさ、そこにもRDCに来た人たち大勢いたぜ。
健吾:実は、今年は前日の夜から行こうかなと思ってて、その日は民宿に泊まる予定なの。だから、金目鯛も食べられるかな(笑)。そうそう、テントと言えば、去年は風がすごく強かったんだよ
野田:いいじゃない。風が強いくらいがちょうどいい。
健吾:いやいや、どこの人気フェスもそうだけど、テントサイトはそんなに広くないし普通よりくっついてちょっと無理にテント張ってるから、きちんと張れてないのね。ペグダウンしてないとか。それで、去年の2日目は奥さんが踊って僕子供の世話っていう担当になってたので、夕飯食べて子供連れてテントに帰ったら、強風でテントが崩壊しそうになっててさ。子供と2人で協力して、1時間以上かけてなんとか風でテントが吹っ飛ばないように張り直して、事なきを得たけどちょっと泣きそうだったよ。深夜に周囲でバンバン物が飛んだりテント崩壊したりしてたから、みなさん自然をなめないようにしましょう、という話はしておいたほうがいいかな。
野田:野外っていうのはリスクもあるから。しかし渡辺家は前泊とは、すげー気合いを感じるな。
健吾:なはは。民宿も楽しそうだなぁと思ってね。気合入ってます。
野田:出演者も相変わらずイイよね! 日本人の出演者だけでも充分なメンツですよ。
健吾:そうだね。個人的には、ここ5年位ずっと気になっていたヘッスル・オーディオの3人が揃って来るのが本当に嬉しい。でも、それ以外のメンツもRDCらしさもあり、とても楽しみだわ。
野田:ベンUFOは、ベース世代を代表するもっとも人気/評価の高いDJだしね。しかし今回は、いろんな世代が混じっている感じが出たね。
健吾:日本だとああいうダブステップ以降のものが混沌としてるパーティあまりないし、今の彼らがどういうプレイするか興味ある。
野田:欧米は、数年前からベース世代とハウス世代が混じり合ったじゃない。日本ではまだその溝があるけど、これからはどんどん溝が埋まっていくと思う。だから今年のRDCは、チャレンジしているよ。
健吾:NOBUくんと一緒にB2Bでやる、フレッドPは、どんな感じか知ってる? NOBUくんは、去年のブラック・マドンナとのスペシャル・セットがすごくよかったから、今年も期待してるんだけど。
野田:フレッドPは作品しか知らないけど、ずっと評価高い人だよね。とくにブラック・ジャズ・コンソーティアム名義の作品はディープ・ハウスが好きな人にはたまらないものがある。
健吾:だよね。僕も彼の曲いくつか聴いたくらいだけど、DJも良いといいな。普段やらない人と一緒にやってしかもいいプレイが聴けるって、フェスの醍醐味だから
野田:しかしフレッドPとNOBUくんのB2Bというのは、まあ音楽を追究して好きでなきゃ、まず思い付かないよ。RDCは、いまでもちゃんとレコード店に行ってる感じが出ているもんな。
健吾:ふふふ。野田さんの注目アーティストは?
野田:さっきも言ったように、主催側のセンスを信用しているんで「おまかせ」って感じなんだけど、敢えて他に名前を挙げるとしたら、寺田創一さんとKUNIYOKIとsauce81のライヴ、野外が似合う井上薫、あとはフローティング・ポインツかね。野外であれを聴くのは楽しみ。
健吾:寺田さんとKUNIYUKIさんとSauce81のセッションってすごそうだよね
野田:今年はディープ・ハウス色が強いね。
健吾:とは言っても、その場にならないとどんな音が出てくるのかわからないのがRDCの楽しさでもあると思う。去年も、ウェザオールが急遽キャンセルになって、マット・エドワーズ (aka レディオ・スレイヴ)が代役で出たでしょう。以前、RDCにマットが出たときはかなりディスコ寄りのセットだったから、去年もパーティのテイストにあわせてそういう感じになるかと思ったら、完全にレディオ・スレイヴ・モードで、ゴリゴリのテクノだったしね。
野田:いずれにしても、良いメンツだよ。話をぶった切るようだけど、弘石君たちがどさくさに紛れて、マッサージ屋を出していたよね。あのお店のエリアに古本屋さんも出店していたの憶えている? ああいうのもナンかイイよね?
健吾:弘石くんの会社がやってるマッサージ屋は、結構老舗だよ。晴海でやってた時代からRDCに出店てしてたんじゃないかな。とはいえ、たしかにRDCでは他ではあまり見ないような出店があるんだよね。他のフェスで食事しようとして、だいたいいつも同じような、フェスに行くたびに目にする店ばかりで食傷気味になるところ、RDCは地元の店が多いよね。
野田:弘石マッサージテントの隣で、地元の魚屋さんが焼き魚と定食売っていたのが良かったな。野外フェスで魚って、なかなかないでしょ(笑)。
健吾:そうだね。少し店のおばちゃんと話したけど、もろに地元の人って感じだった。
野田:さあ、これで、まだ行っていない人も、だいぶイメージが湧いてきたんじゃないのかな。良いダンス・ミュージックも聴けて、伊豆の魚も味わえるなんて……。あとはテント組は自然を舐めるなと。
健吾:3日だからガツガツしないで気候や音楽や景色の移り変わりも楽しめるといいよね。あと5分〜10分ほど歩いたところにあるレッドブル・ミュージック・アカデミーのキュレーションする体育館の会場も、雰囲気違っておもしろいよね。今年はNORIさんや、サファイア・スロウズ、アキコ・キヤマなんかもでる。去年はあまりにメイン会場が良すぎて、ほとんどレッドブル側に行けなかったから今年はあっちでも踊りたい。
野田:最近UKでは、レイヴ・カルチャーが見直されているっていう話だよ。あの暗い時代における、ひとつの抵抗のカタチとして再評価されているんだって。
健吾:そうなのかぁ。まぁわかる気がするなぁ。
野田:オレらもまだまだ伝えていかないとね! なーんて。
健吾:そうですねぇ
野田:じゃあ、オレは伊豆踊り子号の指定席でビールを飲みながら駆けつけるわ! 現地で会おうぜ!
健吾:ははは、飲み過ぎないように(笑)。今年もひとりで来るの?
野田:昨年も家族で来てるって! 今年も子供連れて行くつもりでーす。ダンス・ミュージックを愛するみなさん、当日お会いしましょう!
健吾:あれ、そうなんだ。ひとりで楽しそうにフラフラしてる姿しか見なかったから、てっきりひとりで羽を伸ばしているのかと!
野田:いや……
健吾:ふふふ。まぁ今年も去年以上に盛り上がるでしょう。今から楽しみ!
野田:です!


RAINBOW DISCO CLUB 2017

日程:
2017年5月3日(水・祝日)9時開場/12時開演 ~
2017年5月5日(金・祝日)19時終演(2泊3日)予定

会場:
東伊豆クロスカントリーコース特設ステージ
(〒413-0411 静岡県賀茂郡東伊豆町稲取3348)

出演:
FLOATING POINTS / RDC EXCLUSIVE: DJ NOBU B2B FRED P
HESSLE AUDIO (BEN UFO / PANGAEA / PEARSON SOUND)
20 YEARS OF RUSH HOUR: SPECIAL GUEST: SADAR BAHAR
RUSH HOUR ALLSTARS (ANTAL / HUNEE / SAN PROPER)
LIVE SESSION: SOICHI TERADA × KUNIYUKI × SAUCE81
LIVE: FATIMA YAMAHA / DJ DUSTIN From GIEGLING
KENJI TAKIMI / KAORU INOUE / KIKIORIX / SISI

GERD JANSON / PALMS TRAX
SKEME RICHARDS B2B DJ NORI / KEITA SANO
AKIKO KIYAMA / 77 KARAT GOLD × KASHIF
SAPPHIRE SLOWS / WONK / MISO

料金:
一般発売チケット(3日通し券)(16,000円)

場内キャンプ券(3,000円)
*炭を使用するBBQは禁止。コンロ、バーナーのみ可能。
*アルコール類、瓶、缶の持ち込みは固くお断り致します。

駐車券(2,000円)
*駐車場出入庫は1回1000円別途必要。

当日券(18,000円)
*前売券が規定枚数に達しましたら当日券の販売はございません。
*20歳未満の入場は保護者同伴の場合のみご入場いただけます。
*中学生以下はチケット不要。

チケット購入:
https://www.rainbowdiscoclub.com/#ticket

店頭販売
テクニーク 03-5458-4143
JETSET 03-5452-2262
ライトハウス 03-3461-7315
GAN-BAN/岩盤 03-5391-8311

ディスクユニオン取り扱い店舗

ディスクユニオンclub music online
渋谷クラブミュージックショップ 03-3476-2627
新宿クラブミュージックショップ 03-5919-2422
下北沢クラブミュージックショップ 03-5738-2971
お茶の水駅前店 03-3295-1461
池袋店 03-5956-4550
吉祥寺店 0422-20-8062
町田店 042-720-7240
横浜西口店 045-317-5022
千葉店 043-224-6372
柏店 047-164-1787
北浦和店 048-832-0076
立川店 042-548-5875
高田馬場店 03-6205-5454
大宮店 048-783-5466
大阪店 06-6949-9219
中野店 03-5318-583

RAINBOW DISCO CLUBとは?
東京を拠点に2010年にスタートした音楽とアートを結ぶフェスティバル「RAINBOW DISCO CLUB」は、良質なダンス・ミュージックを届ける日本の都市型イベントとして、世界的な音楽情報サイト「Resident Advisor」の「世界TOP 10フェスティバル」に毎年選出され、国内外から注目を浴びていました。

その「RAINBOW DISCO CLUB」が、2015年からは伊豆半島 稲取高原の「東伊豆クロスカントリーコース」で大自然に囲まれた野外フェスティバルへと大きく姿を変え、ダンスミュージックの本質を捉えた豪華ラインアップはもちろん、ハンモックカフェ、焼きたてパン、東伊豆の地元食材など充実のフードコート&バー、キッズエリアも備えており、のどかな環境の下、子供から大人までが一緒に楽しめる野外フェスティバルとして心機一転、生まれ変わりました。

https://www.rainbowdiscoclub.com


Kendrick Lamar - ele-king

 去る3月24日、ケンドリック・ラマーが自身のツイッターで突如新曲のリリースを発表した。タイトルは“The Heart Part 4”。同日 Apple Music および Spotify で解禁されたこの曲は、リリックにトランプへの言及や誰かへ向けての強烈なディスが含まれており、すでに大きな注目を集めている。その前日にインスタグラムに投稿された画像とあわせて考えると、同曲はおそらく来るべき4枚目からのリード・シングルなのだろう。となれば、近いうちにアルバムのリリースも告知されると期待してよさそうだ。『To Pimp A Butterfly』から2年。続報を待て。

https://itunes.apple.com/us/album/the-heart-part-4-single/id1219120815

https://open.spotify.com/track/41eiwHEX8iegmqmS2cf7oX

Ulapton(CAT BOYS) - ele-king

なつかしの90年代HIP HOP

昨年リリースしたセカンドアルバムのカセットバージョンが3/24リリースされます。

CAT BOYS new7inch "LOVE SOMEBODY"
Release 0422

ダーク・ドゥルーズ - ele-king

文:小林拓音

 2014年に出たミリー&アンドレアの『Drop The Vowels』はひとつのサインだったのかもしれない。「醜いままであれ」と謳う“Stay Ugly”なんてもろにそうだ。イキノックスから逆輸入的に影響を受け、独自のエクスペリメンタリズムを爆発させたデムダイク・ステアの新作にも、そのダークネスは受け継がれている。「幸福(ハッピー)であることが強制される」この時代にあって、ダークであることはひとつの反時代的な態度表明と言えるだろう。

 だいたい、世の中は喜びやポジティヴに溢れすぎている。ブラック企業の問題だったり老老介護の問題だったりを反映しているのかもしれないが、「いまいる環境で頑張れ」だとか「置かれた場所で咲け」だとか、前向きであることを押し付けるような肯定の言説が自己啓発としてありがたがられている。でもそれって結局、「甘んじて現状を受け入れよ」という命令でしかないじゃないか。ありていに言えば、周囲の条件は変えられないのだから自分の気持ちを変えて我慢しなさい、ってことでしょ。それは要するに「世界を憎むな」という要請であり、自己責任への誘導である。なんと喜びに満ちたポジティヴな世の中なんだろう。
 あるいはこういう言い方もできる。世の中は繋がりを称揚しすぎている。デキる経営者やビジネスマンが吐きそうな「人脈は財産である」という箴言が気持ち悪いのと同様に、「いいね」の堆積で肯定が確認されていくSNSの惨状もまた気持ち悪いことこの上ない。世の中はコミュニケイションで溢れ返っている。ここまで来るともう繋がりを断つだけでは十分ではない。繋がりを憎むこと。それこそがいまわれわれにとって必要なのではないか。

 アンドリュー・カルプによるこの本は、「喜び」や「肯定」の哲学者として知られるジル・ドゥルーズからその否定性や破壊性を取り出し、「ダーク・ドゥルーズ」を生成しようと試みるプロジェクトである。それはドゥルーズを「否定」の哲学者として読み直すことであり、その闇の部分にタッチすることである。おそらくカルプの念頭には、「差異」や「リゾーム」や「スキゾ」といったドゥルーズのタームが、まさにいま資本主義のものとなってしまっていることに対する危機感があるのだろう。言い換えれば、いまドゥルーズのタームをそのまま使い回すことは、きわめて時代的な行為であるということだ。では、そんな状況において反時代的であるにはどうすればいいのか。この本の主張を一言に縮めるなら、「世界を憎悪せよ」、「世界を破壊せよ」、ということになる。「喜び」や「肯定」の哲学者であるはずのドゥルーズがどんどんダークなそれへと読み直されていく様はじつにスリリングである。
 細かいトピックや事例もおもしろい。USにおける警官の人種差別的暴力や、日本における「失われた10年」も登場する。TAZへのダメ出しもあるし、近年話題になっているクァンタン・メイヤスーやニック・ランドに対する批判もある。寛容を強要するリベラリズムや、全体主義の同類である民主主義に対する容赦ない批判もある。それに何より本書は、昨今「共謀罪」なる言葉が世間を賑わせているこの国で、共謀することの重要性を教えてくれる。さらに音楽との関わりで言えば、サマー・オブ・ラヴや「ノー・フューチャー」への言及もある。

ダーク・ドゥルーズの成功の道は、死を避けることではなく、死を招くことである。ドゥルーズ=ガタリは、このことを死の欲動をめぐる改訂作業において仄めかしているのだが、これと似たような感覚は、「ノーフューチャー」と叫ぶパンク精神のなかに響いている。逆説的にもパンク精神が悟っているのは、現状の再生産をやめるとき、私たちが手にできる唯一の未来が到来するということである。だから、もう生をロマンスにするのはやめよう。 〔本書30頁〕

 本書は、われわれが喜びや繋がりに汚染されて過ごすなかで忘れてしまったダークなものを思い出させてくれる。われわれに必要なのは喜びや肯定ではない。いまわれわれに必要なのは否定であり、憎悪である。「古いものを条件にして新しい世界を創設したとしても、そんな世界の地平が既存のものを超えて広がることはない」〔本書126頁〕。だからまずは端的に「ノー」と言おう。破壊することから始めよう。思う存分、共謀しよう。ひたすら世界を憎悪しよう。

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文:山田俊

 もしブラック・ブロックがドゥルーズを読んだら――
 ワシントンやニューヨークでのアンチ・トランプの映像で黒いパーカの群れ=ブラック・ブロックの勇姿を久しぶりに見ることができた。『ele-king』の読者にはいわずもがなだが、スターバックスを破壊し、オルト右翼にパンチをくらわす彼らと大衆的なデモを展開する市民たちの関係はかつての新左翼と旧左翼のような関係ではない。新左翼と旧左翼は変革という同じ夢を共有していたが、ブラック・ブロックと市民左派には決定的な断絶がある。そんなブラック・ブロックがもしドゥルーズを読んだらどうなるか。いま思想界にささやかな衝撃を与えつつある小著『ダーク・ドゥルーズ』はそんな本である。
 カルプの意図は明快だ。かつて革命的であったドゥルーズが肯定性のゆえに牙をむかれてしまった、ならそんな「明るいドゥルーズ」「喜びのドゥルーズ」など葬り去って、かわりにその破壊性を「ダーク・ドゥルーズ」として甦らせよう。そうしてネグリらによって市民デモに紛れ込まされたドゥルーズをブラック・ブロックのストリートへ奪い返せ、というわけだ。そこでカルプは微温的なドゥルーズ論者たちをなで切りにするだけでなく、思弁的実在論や人類学など現代思想のあらゆる新潮流にもはげしく批判の刃をむける。正直、カルプのドゥルーズ解釈には乱暴なところもあるが、たぶんそこは重要ではない。

 それらをふまえた上で本書の核心をなすのは、現在、われわれに要請されているのは「世界の死」をもたらすことであるという新たな宣告である。かつてニーチェが「神の死」を伝え、フーコーが「人間の死」を預言した。しかし「神」も「人間」も死なないどころか不吉に復活している。「神」と「人間」ともども「世界」に死をもたらすことがこの時代の任務なのだ。こう煽動するカルプはフランスのアナキスト・グループ「不可視委員会」による「文明の死をひきうけよ」というテーゼの影響下にある。そしてここでこそ市民デモとブラック・ブロックの断絶点が明快になるだろう。端的にいって前者が世界の救済を望んでいるとしたら後者は世界の破壊を欲しているのである。

 世界を破壊しているのはトランプや安倍ではないか、あるいは地球温暖化と人口爆発は遠からずこの世界を終息させるのではないか、と問いたくなるかもしれない。現在、必要なのはそれらをすべて受け止めて、「世界の死」を問うことではないか。

 ドゥルーズ自身が哲学におけるブラック・ブロックであったように、世界の破壊はストリートだけで行われるのではない。たとえば坂口恭平の『けものになること』は「ダーク・ドゥルーズ」の実践でなくてなんだろう。もちろんこれは音楽でも同様である。

FUNGI-菌類小説選集 第Iコロニー - ele-king

ペーパーバック仕様のキノコ+SF+海外文学

ようこそ、真菌(しんきん)の地へ。

ロマン・ノワールからダーク・ファンタジー、スチーム・パンクからボディ・ホラーまで。


植物よりも動物に近く、どちらともまったく異なる存在である「キノコ」。
本書は、共編者のオリン・グレイとシルヴィア・モレーノ=ガルシアが、
日本の怪奇映画『マタンゴ』の話題で意気投合し、不思議な菌類の小説を集めたアンソロジーだ。
目のくらむような、キノコの物語の森へようこそ。


■FUNGIとは……

菌類、菌類界の意。
広義ではバクテリヤ類、(Schizomycetes)をも含むが、
狭義では粘菌・カビ類・酵母菌類・キノコ類など真菌類(true fungi)をいう。
「新英和大辞典 第六版」(研究社)より


■序文より

菌界の仲間は、植物よりは動物に近いが、
それでいてどちらとも根本的に異なる別種の神秘的なしろものである。

編者は、ボディ・ホラーやウィリアム・ホープ・ホジスン流きのこ人間を越えて、
菌類小説の潜在的可能性を広く探究する作品を求めた。
作家たちは、彼らの胞子を遠く、かつ広範囲に放出してくれた。

読者はあらゆるたぐいのキノコが、多様な役割を演じ、
ホラーからダーク・ファンタジーにいたる全領域にわたるあらゆる種類の物語を味わうであろう。


■解説より

何よりも嬉しかったのは、編者たちがこの本を構想するきっかけになったのが、
「マタンゴ」だったということだ。
「マタンゴ」(1963年公開)はいうまでもなく、
古今東西のきのこ映画の最大傑作というべき作品である。
「ゴジラ」(1954年)の名コンビである本多猪四郎(監督)と円谷英二(特撮監督)が、
「変身人間シリーズ」の番外篇として製作したこの映画は、
男女七人がヨットで遭難し、無人島に漂着する所から始まる。
食料が尽き、島に生えていた「マタンゴ」と称するきのこを口にすると、
一人、また一人とおぞましいきのこ人間に変身していくのだ。
「マタンゴ」は、全身にきのこが生えてくるという生理的としかいいようのない恐怖感と、
遭難者の一人を演じた女優の水野久美の妖しげなエロティシズムが相まって、
観客にとってはトラウマ的な衝撃を与えるカルト映画となった。
編者たちもアメリカで公開されたこの映画を見て、
「片方はこの映画を恐怖し、他方は大いに楽しんだ」というから、
その時点できのこの胞子に取り憑かれてしまったのだろう。
そこから、じわじわと、このアンソロジーを編み上げるようにという指令が、
脳細胞に伝わっていったのではないだろうか。


■訳者あとがきより

原本の刊行後、編者二人が応じたインタビューに於いて、
あまりにもテーマが狭すぎるため、
どれだけの作家たちが寄稿してくれるか心配したと語っていたのは印象的だった。
最初にこの企画を聞いたときの訳者も、真っ先に同じ危惧の念を持ったからである。
当然だろう。テーマ・アンソロジーはあまた存在するが、
キノコに特化したものなど聞いたことがない。
ユニークであるのは疑いないが、野心的に過ぎるだろう。
だが、いざ仕事にかかってみると、それが杞憂であるのがたちどころにわかった。
本書の実現に執念を燃やした、具眼の士はこちらにもいたのである。
長短さまざま、完成度や狙いもさまざまながら、
ホジスンの焼き直しや無理矢理キノコにこじつけただけの作品は、嬉しいことに皆無だった。
さらに喜ばしい驚きは、堰を切ったように書き始めた若手を中心とする作家たちならではの、
意欲と熱気があふれていることだった。
スチーム・パンクからクリエイティヴ・ノンフィクション風、
ニュー・ウィアードからダーク・ファンタジー風までジャンルも広範囲に及んでいる。
だが、この精華集の本当の良さはもう少し別のところにあると思われる。
それは、野放図感につきる。
ほかでもない、小説本来の醍醐味、初心と言い換えてもいい。生き生きとした想像力が横溢しているところだ。
もちろん、その自由奔放なフィクションの翼に乗りたければ、個々の作品に直接触れてもらうしかない。
ちなみに、ジェフ・ヴァンダミアとジェーン・ヘルテンシュタインの二篇以外、
すべて本アンソロジーのための書き下ろし作品である。

■収録小説

1
菌類が匂い立つほどの粘着質な描写に戦慄する正当派ホラー
「菌 糸」ジョン・ランガン

2
奇妙なキノコ辞典から抜粋してきたようなキノコ・クロニクル
「白い手」ラヴィ・ティドハー

3
ある目的のためにキノコの潜水艦に乗った男の悲しいストーリー
「甘きトリュフの娘」カミール・アレクサ

4
スチーム・パンクと魔法とラヴクラフトをミックスしたウエスタン風の冒険活劇
「咲き残りのサルビア」アンドルー・ペン・ロマイン

5
共同幻覚体験をもたらす奇異なキノコが異世界へと誘うダーク・ファンタジー
「パルテンの巡礼者」クリストファー・ライス

6
現実と非現実が交錯する幻想的なゴシック・ロマンス
「真夜中のマッシュランプ W・H・パグマイア

7
人間をゾンビ化させる菌類が潜むメキシコの密林にある小さな村を舞台にしたスリラー
「ラウル・クム(知られざる恐怖)」スティーヴ・バーマン

8
ハードボイルド探偵小説仕立てのボディ・ホラー・ノベル
「屍口と胞子鼻」ジェフ・ヴァンダミア

9
保守的な植民村に暮らす人々の欲望の物語
「山羊嫁」リチャード・ガヴィン

10
擬人化された動物たちとずる賢い貴族たち、キノコ、そして意匠陰毛のお話
「タビー・マクマンガス、真菌デブっちょ」モリー・タンザー& ジェシー・ブリントン

11
チェコからの移民の娘が綴った心に沁み入るキノコ小説
「野生のキノコ」ジェーン・ヘルテンシュタイン

■編者

オリン・グレイ
超自然的な恐怖小説を書いている。その作品は、インスマス・フリー・プレス(Innsmouth Free Press)の多くのアンソロジーに収録されているのみならず、「邪悪行き」(Bound for Evil)や「デリケートな毒素」(Delicate Toxins)といった他社の舞台でも発表されている。彼の第1短篇集「悪魔に賭けるなかれとその他の警告」(Never Bet the Devil & Other Warnings)は2012年エヴィルアイ・ブックス(Evileye Books)から刊行された。彼の怪物や菌類、そしてキノコ・モンスターに寄せる積年の愛着ぶりは、当分弱まるきざしはない。

シルヴィア・モレーノ=ガルシア
小説では「イマジナリウム 2012年:ベスト・カナダ・スペキュレイティヴ・ライティング」(Imagina rium 2012:The Bes t Ca nadianSpeculative Writing)、「クトゥルーの書」(The Book of Cthulhu)、〈Bull Spec〉誌ほか多数の出版物に発表されている。2011年シルヴィアは、グロリア・ヴァンダービルトと〈Exile Quarterly〉誌の後援によるカーター・V・クーパー記念賞を受けた。その年には、マンチェスター小説賞の最終候補にもなった。また、「歴史的ラヴクラフト」(Historical Lovecraft)、「屋根裏窓のろうそく」(Candle in the Attic Window)、「未来のラヴクラフト」(Future Lovecraft)の各アンソロジーの共編者をつとめた。彼女の第1短篇集「この奇妙な死にざま」(This Strange Way of Dying)は、2013年に上梓された。

Gabby & Lopez - ele-king

 最近の流れであるとか傾向とかトレンドのようなものと、このアルバムはいっさい関係ないところにあるので、極めて主観的なレヴューになってしまうだろうが、まず言っておきたいことは、ここ数年間でもっとも軽い音楽、空気のように軽い音楽がこれで、その軽さゆえに人は選曲を間違えたDJのように戸惑いを覚えるだろう。みんなが怒っている/もしくはどうでもよくなっている/もしくは不安がっている/もしくはやる気満々のこの時代に、いやなにこの軽さ……である。個人的に追い続けている音楽のひとつ、ギャビー&ロペスの5年ぶりの新譜を一聴したときに感じたのは、自分がふだん聴いている(ある種ファナティックな)音楽とのあまりの落差からくる違和感だった。
 なに言ってるんだよ、これがいつものギャビー&ロペスじゃないか。さてそうだろうか? (故・中西俊夫氏の功績のひとつと言える)ナチュラル・カラミティの時代から大筋は変わっていない森俊二のギターの音色……石井マサユキとのギャビー&ロペスを結成し、自分たちの表現を追求し、思い出したかのように作品をぽつぽつと出し、そしてぼくは毎回同じように個人的に好きになり……だが、時代と格闘している音楽がとくに印象深かったここ1〜2年の流れで聴いたときは、うーん、これでいいのだろうか、と思ったのが正直なところだった。時代と切り離されているということは、孤立しているということである。庶民的なるものからは隔絶されているということだ。
 が、2回、3回と通して聴いて、4回目を聴いたころには、リフティングを10回できるようになった少年がすぐさま100回できてしまうように、むかつくぐらいリラックスしているこの新作をぼくは何回も繰り返し聴いているのである。そしていまは、本作が彼らにとってのひとつの高みではないかとさえ思っている。一聴したところ地味に思えるこの音楽は、じつに繊細な構造を持っており、変化の乏しく思える曲調もじつは華麗に変化する。前作までにあった物語性はさらにまたミニマルに、つまり何かが起こることのないものへと発展している。深読みすればそれは、これだけ何もかもが起きている時代への、涙と汗に濡れたTシャツと過剰さへの反論とも受け取れる。
 ふたりのギタリストは、さらにまた引くことで足しているのだ。ストイック、とも違う。出しゃばることはないが、自由に弾いてもいる。ふたりはこの30分強のなかで、混沌とした調和の境地に達している。ベスト・トラックは“DROPED BLUE”だろう。メロウで非日常的な“ACROSS THE RIVER”よりもこの曲だ。なぜならこの曲は、本作の1曲目の“SWEET THING”における日常的ミニマリズムの註釈とも言える。つまり、何も起こらないことの逆説的なドラマ。ギャビー&ロペスがこの作品で教えるのは、日常こそが最高のトリップということである。騙されたと思ってやって欲しい。このアルバムを聴きながらいつものように駅に向かい、電車やバスに乗ることを。
 

スカート - ele-king

 思春期を失敗したひとにありがちな、これは僕だ、という誤解がある。青春パンクに悪態をついた15歳のころ、「冷凍都市」とは何かを知りたくて上京した19歳のころ、中古のアナログ・ターンテーブルを捨てたあとでも MUJI の据付ラックに飾り続けた『スピッツ』、ブルー・クリア・ビニール仕様の12インチ、よしもとよしとものオマケ漫画つき。そういえば漫画『青い車』は生活に困った学生時分に泣く泣く売ろうとしたらなぜか売れなかったから、まだ本棚に残っている。だから20歳を越えれば〈Plus 8〉や〈Minus〉レーベルのカタログを漁るものだと思い込んでいた。結果、Beatport にばかり課金した。東京での学生生活は沙村広明の『おひっこし』のような世界のはずだと夢見ていたが(それもそれでディストピア・コメディだけど)、異界の果て、コンクリート・ジャングルの見えない東京砂漠を体感した以外、だいたい予想ははずれた。三億円事件が起きた現場のすぐ近くでした。
 おそらく後半はズレている。けど、東京のすみっこかその周辺、小田急線、京王線、そして西武線の風景に転がり込んだオールド・スクールの音楽マニア志望などこんなもんだろう。とタカをくくったうえで、スカートこと澤部渡は僕だと誤解した。4、5年前の渋谷、たぶん O-Crest あたりのミツメ目当てで見に行ったライヴ以来、そう思っていた。一聴してわかる雑多かつ重厚な音楽的背景と素養、ある意味で向井秀徳的なルックス、何より圧倒的な曲の素晴らしさ。何度も何度でも聞くに耐えうる曲自体とアルバム全体の構成、のひねくれたあの感じ。列挙すればするほど自分がかつて持ったことないものばかりだけれども、それでも同い歳の僕は澤部渡だと信じてやまなかったのだ。ポップ・スターはそういうものだということにしておいてほしい。
 先日、広島にある STEREO RECORDS に12インチを売りに行こうとした。手持ちのそれらの相場をいやしくも調べていたら、スカートが『CALL』のアナログを出すことを知った。
 〈カクバリズム〉の一員となって以降の澤部渡が、さらなる名曲を量産しているのは周知のとおりで、2016年にCDで発売された後、先述のとおりアナログで再発される予定の『CALL』はこれまでの総決算であると同時に、新たなデビュー・アルバムのような作品だった。収められた曲たちの多彩さ、ポップネスはそのままに、あきらかに豊穣になったサウンド・プロダクションを武器に、一粒一粒の音の輪郭がより聴き手に馴染みやすいものとなっていた。メディアのベスト・アルバム・ダービーには意外にもあまり顔を出していなかったけど、それはこのアルバムのポップネスのひとつの機能だと考えている。つまり、いかなる流行、潮流、世界的な趨勢とも切り離されながら、それでも必然しか感じないポップ・ソング。8分のルートを走るベースラインが印象的な表題曲の“CALL”は、これまでの複雑性から解放されたかのようなストレートなうたで、そこには衒いなど突き抜けた強度があった。
 それから約半年の短いスパンで上梓された初の全国流通シングル「静かな夜がいい」の表題曲は、ディスコグラフィー上では“都市の呪文”(『サイダーの庭』)から“回想”(『CALL』)につらなるような、ギターのカッティングで運ぶアーバン・ファンク・マナーの1曲だった。イントロのリフ、そしてブレイク後の跳ねるベース・ソロなど、一聴して誰しもが思い浮かべるのはシュガーベイブの“DOWN TOWN”に違いない。しかしその元ネタの下敷きとされた The Isley Brothers から滲むような「黒さ」は、“静かな夜がいい”からは感じない。むしろ Bruce Roberts の“Cool Fool”あたりを引き合いに出したくなるような、「白い」ファンクネスやAORの趣をもっている。この点は D'Angelo からの影響をもとに、『Obscure Ride』から「街の報せ」にいたる、cero の提示する曲群との分岐点ともなるのだろう。
 澤部のフェイバリットのひとつだろうムーンライダーズの『DON'T TRUST OVER THIRTY』は1986年の作品で、その1年後に生まれた僕たちは今年30歳になる。15歳のときに遠くに聞こえた青春パンクのバンドも、同じ名前の違う曲を歌っていた。
 そういえば前田司郎による映画『ジ、エクストリーム、スキヤキ』(2013年)は、30歳を超えた大学の同級生たち(とひとりのカノジョ)が、ただ最高のスキヤキを食べるために繰り広げるロード・ムービーだった。こう書くと未見のひとはいったい何の映画だと思うに違いないが、岡田徹が劇中音楽を手がけていて、いくつかムーンライダーズの曲がかかる。それらがこの映画の中の風景に完全に溶け込んで、思い当たる節のある(と誤解する)僕たちは幾度となく涙腺が緩んでしまう。エンディングに“Cool Dynamo, Right on”のギター・イントロがかかるところなんかもう嗚咽が止まらない、なんて、何かしらの病である。
 その曲には、こんな歌詞がある。

 Coolなはずの 今日のパーティ
 道に迷った みたいだな
 君のスカートの
 中に地図は 宿るかい

 “静かな夜がいい”は30歳を目前にした澤部渡が、ポップ音楽家としてさらなる成長を遂げていく最中に残した1曲となった。この表題曲を含めた4つの曲を地図に、さらなる旅程をかさねていくスカートを同じ時代に遠くから見続けられることが素直に嬉しいし、3月25日に最終回を迎える『山田孝之のカンヌ映画祭』に提供した“ランプトン”(名曲!)では、早速の新機軸を打ち出したようにも思える。しかしまずは「静かな夜がいい」こそが、僕にとって『ジ、エクストリーム、スキヤキ』と同様、不意に見返す、聞き返す作品となってしまうだろう。それはもう、すでに重ねすぎている過去を思い出すための大切な道標として。

 君に預けた 僕のハッピー
 冷凍にして 持ってておくれ
 そうすれば いつでも
 あの頃が 戻るだろう
(ムーンライダーズ“Cool Dynamo, Right on”)

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