「S」と一致するもの

 Hello Hello! hey hey! heykazmaですッ!!
 今年もよろしくねん!!
 今回は~~~⟡‎♡‧₊˚
 2/2にリリースした、わたしの1st EP「15」について!!
 ライナーノーツ的なやつ、書いちゃいますよ!!

https://www.ele-king.net/news/012128/

 まず、EPタイトルの「15」ってなに? と思うあなたへ。ズバリ言うと、わたしの年齢です♪ このEPは “15歳までの時間” をぎゅっと詰め込むことをコンセプトにしています。これまでの思い出や感覚、その時々で感じていたことを、そのまま音に残すようなイメージで制作しました。
 ジャンルは特に縛りなく、わたしが好きなものを全部詰め込んでいます。Juke / Footwork、Techno、ノイズなど、そのときつくりたかった音を素直に形にしました!!!!!!!!
 アートワークは飯田エリカっちの撮影した写真をベースに、msmsちゃまが可愛い猫の絵&heykazmaのロゴを描いてくれました!! 超お気に入りアートワークすぎる、ナイスワーク感謝すぎます!!!
 てことで、楽曲の解説をしていきますで〜♪

1. 15

 EPのリード曲 “15”⟡‎♡‧₊˚
 “ALL THAT’S FOOTWORK” という、以前わたしが制作した曲をベースに、音を足したり引いたりしながら、いまの自分の感覚で作り直した曲です。今回はポエムコア、ラップ、ビート、ベースを入れて、かなり “いまの自分” を前に出した一曲になってます•¨•.¸¸☆*・゚
 近頃は、ヘイトスピーチやレイシズムに満ちた言葉を、SNSどころかまさかの路上で(もしくは車の上から汗)聞くこともあり、正直びっくりしています。世の中がそういう傾向にある? だとしたらとてもダサい。
 わたしは、誰に何を言われても「わたしはわたし」っていう気持ちを絶対に手放したくない。
 その感覚を、そのままポエトリーとしてラップに込めています。
 どこで生まれて、どこで息して、どこで育って、どこで学んでも「わたしはわたし」。メイクすること、好きな服を着ること、誰を好きになってどこで暮らすか、全てはわたしの自由だし、あなたの自由でもある。人を傷つけなければ、それで全部OKじゃん❣️ って思ってる。
 つまり、I am Iってことや⭑
 ベースはあっしの大親友・MAIYA(illiomote)に弾いてもらいました!!
 以前、マヴのあっこゴリラちのライヴを観に行ったとき、サポートでベースを弾いているMAIYAを見て「この人最高すぎっしょ」ってなって! 今回、曲にもう一段階深みを足したいなって思ったとき、「MAIYAにお願いしよう」って自然に思えて、参加してもらうことに。結果、最高すぎて感謝しかないっすわ✩*・

2. Pre Pariiiiiiiiiiiiiiin
3. Pariiiiiiiiiiiiiiiin

 この2曲は、セットでひとつの流れとして制作しました˖⁺‧₊˚✦
 リード曲 “15” とは対極にある存在で、空気が一気にexperimentalな方向へ傾いていきます。
 “Pre pariiiiiiiiiiiiiiin” はノンビートの楽曲として始まり、音の質感や余白そのものを意識した構成に。そこから “Pariiiiiiiiiiiiiiin” でビートが立ち上がり、Technoとして再構築されていく流れになっていますっっ!
 制作のきっかけは、以前栃木県・益子町を訪れたときの体験でした。益子陶器市の会場近くで、割れた陶器の破片が地面一面に散らばっている場所があり、そこを歩いたときの音をボイスメモで録音していました。陶器が擦れる乾いた音や不規則なリズムを細かくチョップし、ビートの素材として組み立てています。
 サウンド面で特に影響を受けたのは、Mick Harrisの別名義・FRETによる『Over Depth』や、Mark Fellの『multistability』。ビートを単なるリズムではなく、構造そのものとして扱う姿勢に強く惹かれました。
 踊れるけれど安定しすぎない、気持ちいいけれどどこか落ち着かない。その曖昧なバランスを大切にしながら制作した2曲です☆≡。゚.

4. Cat Power

 “Cat Power” も “15” と同じく、もともと “€at P0wer” という曲をBandcampでリリースしていて、そのトラックをベースに、音を足したり引いたりしながら、いまの自分の感覚で再構築していった一曲です꙳·˖✶
 この曲では、私の声に加えて、飼い猫のNancyの声をサンプリングしています。
 愛おしい猫ちゃん。my sweet catって感じで、何気ないおうち時間を、いつの間にか癒しの時間に変えてくれる存在です˚✧ ˖
 全部そばで受け止めてくれる感じがして。猫、ほんとに最高。猫の力は偉大!!!
 “15” でも影響を受けているけど、この曲は特に、関西のJukeアーティスト・PICNIC WOMENや、Satanicpornocultshopから影響を受けまくって制作しました₊♪‧˚*

5. Acid Noise

 さあさあ、EPいちばんの問題作、“Acid Noise” でございます!!! 名前のとおり、Noise Music。正直、EPのなかでもかなり振り切った一曲になってますし、完成に辿り着くまでいちばん時間がかかりました……。一歩間違えると、ただ効果音を並べただけみたいになっちゃうので、そのあたりはかなり工夫しています
 この曲は、仲良し・食品まつりちゃまの “KOUGEKI ROBOT” や、我らがmasonna先生、そして今回のEPプロデューサーであるカワムラユキの旧名義、VENUS FLY TRAPPの『Egology』などをリファレンスに制作しました!!!
 EPの流れのなかで、少し空気を壊すというか、耳と感覚を一回リセットするような存在になってたらうれしいです。これもいまの自分!!˚₊‧⁺˖

 てな感じで楽曲解説は以上です。ぜひこれを知った上で聞いてみてほしいな! リファレンスをまとめたプレイリストも作ったのでよければチェックしてみてくださいな。


https://youtube.com/playlist

 こっからはEPリリースのお祝いコメントを、わたしの大好きなアーティストの方々に書いていただきました!!
 ele-king編集長・野田氏、編集部・小林氏からもいただいております!!

EPリリースおめでとう!!
DJ、パーティーオーガナイザー、コラムニストなど、様々な視点からカルチャーを俯瞰している。その中で自由な泳ぎ方を見せている。決して誰かを強制したり、価値観を押しつけているわけではなく、私はあくまでこうあり続けるという一つの個として音楽を表現しているように感じる。その異色でありながら、色彩を選び抜く力というものは、オーガナイザーとしても培った、出会うことを知らない引力を、引き合わせる力を持ち合わせているからこそ生まれてくるものだと思う。
これからまだ見ぬ化学反応を起こしてくれることでしょう。
それを目撃し続けたいです。
- 北村蕗

ビートのバリエーションの豊富さ、サウンドもトライバル感ありつつ、フィールドレコーディング的なサウンドも織り交ぜて音響的にもめちゃくちゃヤバいepです
- 食品まつり a.k.a FOODMAN

ここにエレクトロニック・ミュージック界の新星、耳を澄ませ! - 野田努 / ele-king 編集長
最初の輝きはいつまでも色あせない――期待の原石がついに転がりはじめた - 小林拓音 / ele-king 編集部

衝撃の15歳!!! 1st EPリリースおめでとうございます!!!
この年齢で、ここまで自分の世界観と音を持っているなんて、可能性しか感じません!!!
これからどんな景色を見せてくれるのか、どんな進化をしていくのか、今から楽しみすぎます!!!心からのリスペクトと応援を込めて。
- もりたみどり / WAIFU

ついにこの時が来た!!!hey様の、踊りながら飛び出してくるような立体的な躍動エネルギーを、世界が、浴びたがっている!!!!
- ShiShi Yamazaki

高円寺のあれこれレコードショップLOS APSON?周辺にて勃興するイベント、DDMメンバーとしても登場してもらっている高一エクスペリメンタル妖怪系クリエイター!?heykazmaが、新しいEPをリリースするというので聴いてみたっ!!! 現代のテンポ感で刻まれる鳴りの良いフレッシュダンサブルサウンドと、ライトなコラージュ感覚で、ポジティブなバイブスを無限に放っています!
- 山辺圭司 / LOS APSON?

heyちゃんの楽曲でベースを弾きました!オファーをもらった時にえ、ベース!?
となったんですがheykazmaの頼み断るわけがない!みんなを新しい世界に引き込んでしまうようなheyちゃんにいつもパワーをもらっているし、こうした形で大きなスタートに関われて嬉しいです。ありがとう。未来でしかない!EPリリース本当におめでとう。
- Maiya Toyama / illiomote

素晴らしいスタートライン!ポップなフットワークビートも、エクスペリメンタルなノイズも、heykazmaの血肉となって通過した痕跡を残し、めちゃくちゃエネルギッシュ!heykazmaが本格的にプロデューサーとして活動を始めたことは、これからのテクノの希望でしかない˚. ✦
- 壱タカシ

「15」。原子記号で言えば燐。空気中で自然発火する元素だ。ギリシャ語Phosphorusフォスフォロスとは、「光をもたらす者」もしくは「明の明星」。明け方太陽に先立ち光輝く金星だ。奇しくもプロデューサーのカワムラの通称はヴィーナス(金星)。このデビューEPがクラブシーンにおいて、いち早く光もたらすアルバムにならんことを!
- ヴィヴィアン佐藤

 そんなわけで、heykazma 1st EP「15」特集でした。
 ぜひみなさんサブスクで1000000000000回聴くのはもちろん、Bandcampでも音源販売中ですのでサポート何卒よろしくお願いします!!!!

 そして、お知らせ!
 heykazmaのHPができました。
 いろんな情報ここからチェックできるようになってるので、ぜひみんなみてみてね〜
 https://sites.google.com/umaa.net/heykazma-official/

 最後に、私が都内でお気に入りのベニューであり、桜台poolのオーナーでもあるカイライバンチの清水さんが、先日お亡くなりになりました。
 poolのような文化的な場を自らつくりあげ、その空間を守り続けてこられた清水さんのような先輩方がいたからこそ、私たちは自由に、そして尖った表現を続けることができたのだと心から思います。
 つい先日、友人の魔女・円香さんが主催するイベント「Circle 2026」が桜台poolで開催され、私もDJとして出演させていただきました。その際に清水さんにお会いしたばかりだったので、二週間後に訃報を知り、あらためて日々のかけがえのなさを強く感じました。
 心よりご冥福をお祈り申し上げます。
DuctronTwin2020
 ではではまたどこかでお会いしましょう.
 またね ࣭ ⭑

Arthur Nolan (Blue Bendy) - ele-king

 ロンドンのブルー・ベンディは、2024年のファースト・アルバム『So Medieval』が高く評価され、注目を集めたバンドだ(昨年はブラック・カントリー・ニュー・ロードのO2アカデミー・ブリクストン公演でサポート・アクトに抜擢されてもいる)。
 そんなブルー・ベンディの中心人物、アーサー・ノーランによる初の来日公演が開催されることとなった。3月14日(土)@大阪Alffo Records、3月16日(月)@下北沢BASEMENT BARの2都市、前者ではHue’sメンバーによるユニット、龍と旭が、後者では水いらずがサポートとして出演。貴重な機会を逃すなかれ。

BLUE BENDY (ARTHUR SOLO LIVE) - ALONE IN JAPAN -

【大阪公演】
2026年3月14日(土)
at ALFFO RECORDS(大阪府大阪市西区新町1-2-6 3F)
OPEN 18:00

with 龍と旭 (Hue’s)
DJ: SEO | ナカシマセイジ | レオス
TICKET
・DOOR ONLY ¥3000 1Drink込

【東京公演】
2026年3月16日(月)
at 下北沢BASEMENT BAR(東京都世田谷区代沢5-18-1 B1F)
OPEN 18:30

with 水いらず
DJ: 村田タケル | SPOT
TICKET
・RESERVED ¥3500
・DOOR ¥4000
※共に1Drink別

東京公演チケット情報
https://lit.link/bluebendysoloJapan2026

PRIMAL - ele-king

 去る2025年、12年ぶりのアルバム『Nostalgie』を送り出したMSCのラッパー、PRIMAL。このタイミングで彼のファースト『眠る男』(2007)とセカンド『Proletariat』(2013)が初めてアナログ化されることになった。帯付き2枚組、完全限定プレス。発売は5月20日。ご予約はお早めに。

MSCのラッパー、PRIMALの名盤1st『眠る男』と傑作2nd『Proletariat』が帯付き2枚組仕様/完全限定プレスで待望の初アナログ化!

盟友・漢 a.k.a. GAMI率いる9sari GROUPから約12年ぶりとなるカムバック作『Nostalgie』を昨年リリースしたことも話題となっているMSCのラッパー、PRIMALが2007年にLIBRA RECORDSからリリースした名盤ファースト・ソロ『眠る男』と2013年に自身のMUJO RECORDSからリリースしたセカンド・ソロ『Proletariat』が帯付き2枚組仕様/完全限定プレスで初アナログ化!
『眠る男』にはその漢を筆頭にMSCの面々やMAKI THE MAGIC、Bay4Kらが客演として参加し、そのMAKI THE MAGICやDJ BOBO JAMES(D.L/Dev Large)、I-DeA、The Anticipation Illicit Tsuboi、Malik、Hardtackle_33、Hardtackle_66らがプロデューサーとして参加。DJ BOBO JAMESのプロデュースによるリード曲"武闘宣言"やブッダ・ブランドの名曲"ブッダの休日"オマージュな"ブッダで休日" feat. MEGA-G、MSCが再結集した"戒壊"、漢とのユニットである新宿路団としての"情熱と快楽に生きる今"、メシアTHEフライとのコラボ"東京Discovery2"などの人気曲を多数収録。
『Proletariat』にはMSCの面々やメシアTHEフライ、Satellite、RUMI、PONYらが客演として参加し、MAKI THE MAGICやThe Anticipation Illicit Tsuboi、OMSB、DJ HIROnyc、DJ TAIKI、DJ BAKU、KOHAKUらがプロデューサーとして参加。名曲"武闘宣言"の続編的な"武闘宣言 2.0"(プロデュースはMAKI THE MAGIC)、活動休止状態だったMSCから漢とTABOO1に同世代のRUMIが参加した"岐路"(プロデュースはThe Anticipation Illicit Tsuboi)などの人気曲を収録。また、『Proletariat』はアナログ化にあたってSUE(76-77)が新たにリマスタリング。
MSCファンや日本語ラップ・ファンにとっては正に待望と言えるアナログ化!!

アーティスト: PRIMAL
タイトル: 眠る男
レーベル: LIBRA RECORDS / P-VINE, Inc.
仕様: LP(帯付き2枚組仕様/完全限定プレス)
発売日: 2026年5月20日(水)
品番: PLP-8330/1
定価: 6,930円(税抜6,300円)
*P-VINE SHOPにて予約受付中!
https://anywherestore.p-vine.jp/products/plp-8330-1

トラックリスト
SIDE A
1. 武闘宣言
2. ブッダで休日 featuring MEGA-G
3. 器用貧乏
4. 存在
5. 情熱と快楽に生きる今 / 新宿路団
SIDE B
1. 東京Discovery2 featuring メシアTHEフライ
2. 実態 featuring 麻暴 , GENIUS
3. とことん病
4. 反骨精神 featuring 少佐
SIDE C
1. Emotional / SIDERIDE featuring ViVi
2. 眠る男
3. 今を生きる
4. SHADOW featuring MAKI THE MAGIC
5. My Way
SIDE D
1. 川崎 Back In The Day featuring bay4k
2. 1week featuring WATASHI
3. 田園都市 -WATASHI REMIX-
4. 戒壊 / MSC

アーティスト: PRIMAL
タイトル: Proletariat
レーベル: MUJO RECORDS / P-VINE, Inc.
仕様: LP(帯付き2枚組仕様/完全限定プレス)
発売日: 2026年5月20日(水)
品番: PLP-8332/3
定価: 6,930円(税抜6,300円)
*P-VINE SHOPにて予約受付中!
https://anywherestore.p-vine.jp/products/plp-8332-3

トラックリスト
SIDE A
1. MY HOME
2. 武闘宣言2.0
3. 性の容疑者
4. 大久保 Street
SIDE B
1. 御江戸のArea
2. 子供とママと家庭
3. おむつがとれるまで
4. Proletariat feat. PONY
SIDE C
1. 続Proletariat TD4 feat. MESS
2. Skit
3. MS Pride feat. SATELLITE
4. 地下プロRun
5. 血
SIDE D
1. 日本 feat. O2
2. 共倒れ
3. 岐路 feat. TABOO1, 漢, RUMI

Jill Scott - ele-king

 ニッキ・ジョヴァンニの『双子座のおんな』を、ものすごく久しぶりに読んだ。この本を初めて手にしたのは、かれこれ40年も前のこと。呆れるほど無知な若造だった頃で、まあ、端的に言えばそのときは読んでもまったくわからなかった。
 だいたい黒人文化について無学だった。自慢じゃないが、60年代の政治の季節(ロング・ホット・サマー)についても、リロイ・ジョーンズのブラック・アーツ・ムーヴメントに関しても、ましてや、白人が牛耳る国の黒人であり、男性が牛耳る世界の女性の書いたエッセイなど、まるっきり理解できるはずもない。すべてが他人事であり、20歳くらいの若い女性から発せられる「ママ、世界中で黒人の革命がおこるのよ、準備しなくちゃ」という言葉も、なんだか絵空事に思えてしまうのだった。

 ジル・スコット──クラブ・ミュージックに親しんでいる人にとっては、アースラ・ラッカーと並んでもっとも馴染み深いネオ・ソウル/ニュー・フィリー系の歌手──の10年ぶりの新作、まずはアートワークに惹かれた。黒人女性の顔に細かく文字が描かれたそのカヴァー──「We can save ourselves(私たちは自分たちを救える)」「Your rules are nothing(あんたらのルールなど無意味だ)」といった力強いアファメーションが目に入る。目を凝らせば、「one day we will destroy of all those who wish to harm us(いつか私たちは、私たちを傷つけようとする者たちをことごとく打ち滅ぼすだろう)」が読めるし、首飾りには何重にも、ほとんど言霊か呪詛のように「we fight(私たちは闘う)」とある。
 クールだ。
 ベル・フックスによれば、アメリカの白人至上主義社会のなかで創出された「クール(格好いい)」なる黒人英語がほんらい意味するところは、黒人が家父長制的な支配力を持つことなんぞではない。クールとは──「精神を荒廃させることなく、いかに人生の苦難に立ち向かうか」「苦しみを受け入れ、それを錬金術のようにして黄金へと変えること、その燃焼のプロセスに必要とされる凄まじい熱量にも耐え、自分を見失わない能力」だという。

 ここでもう一冊、米国文学の研究者、新田啓子の『アメリカの黒い傷痕』を紹介したい。このすばらしく魅力的な書物のなかの、「生を肯定する理由」と題された論考には黒人音楽ファンにとって必読の洞察がある。いまでは黒人霊歌と知られる、すなわちかつての “奴隷たちの歌” には、死に関する歌が多く、恋愛に関する歌が少ない(なぜならそれは日常的に手の届かないものだった)という史実を前提に、在りし日の、アメリカ黒人の〝人生における限界〟について延べながら、しかし、──

ゲットーで滅びることが意図されている社会を生きてこられたのは、彼らの愛する能力ゆえのことであったと断言する思想家が現れる。それはジェイムズ・ボールドウィンであった──

 と、新田啓子は綴る。そして、ボールドウィンの名エッセイ集——BLM以降、世界中で再評価された——『次は火だ』の序文を引用しつつ、こう続ける。

愛が欠如の、また不可能性の別名であるとの理解に基づくリアリズムは、逆に黒人たちを、愛という積極的な活動に、意識的に駆り立てたのだという理解がここにある。黒人たちは絶滅することを拒絶して、つまり生きたいという意志を行使して、おのれの「滅び」を期する社会の思惑に敢然と抗してきたとボールドウィンは主張する。

 人間から、金も地位も、家も、服も、尊厳さえも、人生にかかわるありとあらゆるものすべてが奪われても、それでもその人間たちを生かしてきたのは「愛」である、とボールドウィンは言っている──そのことを新田啓子は「生を肯定する理由」のなかで書いた。

 いつまでも清志郎と言ってるな、という人たちに言ってやりたい。同じように、いつまでもボールドウィンと言ってるな、と言えるのかと。
 地球の数字上では、何をしようがしなかろうが時代は進み、子供が生まれる限りは新しい世代が台頭する。それは当たり前のことである。ブラック・ミュージックはしかし、かつてもいまも、いや、おそらくは70年代初頭のPファンク(ジョージ・クリントン)あたりから、古き自分たちの先駆者たちを敬い続けている。

 ブラック・ミュージックにおける「愛」の強度——その「愛」が、波瀾万丈で、苦難に満ち、歯の浮いたようなものではないことは、ここであらためて言うまでもない話だが、本を読みながら、愛の謳歌が、ブラック・カルチャーの文脈においては革命的なことだった、と言いたくなってきた。いずれにせよ、60年代の黒人解放闘争に身を投じたひとりの黒人女流詩人=ニッキ・ジョヴァンニを、10代における影響源のひとつとするジル・スコットが愛の歌を歌うことも、60年代の理想主義を現代に掲げたザ・ソウルアクエリアンズ(ザ・ルーツ、コモン、モス・デフ、Jディラ、エリカ・バドゥ、ディアンジェロたちから成る左派系コレクティヴ)に合流することも必然だったのである。
 もっともジル・スコットはフィラデルフィア、そもそも彼女を見出したザ・ルーツのクエストラヴやアースラ・ラッカーと同郷で……てことは、キング・ブリットやムーア・マザーとも同郷なのであって、いや、すごい、サン・ラとアーケストラが最後に住居を構えたのもフィラデルフィアだし、最近ではDJハラムもそうだった。(フィラデルフィアは、それこそダンスフロアの基準となったキックの四つ打ちの故郷である)
 
 ジル・スコットの新作『To Whom This May Concern(関係者各位)』は、出だしが抜群に格好いい。フリー・ジャズと詩/ラップが、リズムのうねりに乗って胸躍るように流れていく。フランキー・ベヴァリー[*フィリー・ソウルの代表。Mazeで知られる]のようになりたいと語っているスコットは、確実にベヴァリーのように、人生の積み重ねのなかで作品を磨いている。50歳になったことを喜ぶ彼女は、ポップの世界で言えば、若作りに励む万能の威厳たちとは対極にいる。太ってもかまわないし、それが人間にとってのマイナスだとも思っていない。

私は「あっち側」の美意識エステティックじゃなかった
ええ、わかってる、わかってる
綺麗で、飾り立てられた外見
初歩的で、型にはまった世界
彼女らと同じように見えなきゃいけないっていう、
すごいプレッシャー

 これは“The Aesthetic”という曲の、スコットらしくユーモラスに時代を風刺したリリックの断片である。こうした〝囚われていない〟ことの余裕、優雅さ、資本主義的な価値観から自由な感性が、そのまま音楽にも反映されるのは当然だ。ニューオーリンズのミュージシャン、トロンボーン・ショーティによるビッグバンドをフィーチャーした大らかな“Be Great”、そしてキレキレのファンクに乗った“Beautiful People”、ウエストコースト・ヒップホップの先駆者トゥー・ショートを招いた“BPOTY”、アトランタの(非トラップ系)ラッパー、JIDを迎えた“To B Honest”等々、アルバムは活気に満ちてる。

 『双子座のおんな』には、(当時白人聴衆にバカ受けした)スライ・ストーンが、しかしじつは密かに黒人に向けて歌った言い回しの(きわめて政治的な)歌詞の一節が解読されている。『To Whom This May Concern』という、日本語でいうところの「関係者各位」や「ご担当者様」にあたる英語のフォーマルな言葉を題名とした新作は、〝(人種に関係なく)受け取るべき人が受け取ればいい〟、そういうメッセージでもあるとぼくは受け取った。スコットはこのアルバムについてこう語っている。
 「聴き終えたあとに、静寂がうるさすぎて耐えられないような、ぽっかりとした穴を感じてほしい。そこから立ち上がって何か行動を起こすか、あるいはもういちど最初からレコードをかけ直すか、自分がいまどこにいるのか、それが本当に自分の望んでいることなのかを、真剣に考えるきっかけになってほしい」

 ブラック・ミュージックとは、世界がこうなったらいいよね、という音楽ではない。こうでなくちゃ私ら困るんだよ、だ(でなきゃ、次は火だ)。
 ジル・スコットには、こんなポジティヴなエネルギーをありがとう、とぼくは言いたい。ジェイムズ・ボールドウィンは、人種差別(対白人)だけではなく、異性愛モダニズムとも闘わなければならなかった文学者だ。ニッキ・ジョヴァンニは、人種差別だけでなく、運動内部の家父長制(対男性)とも戦わなければならなかった女流詩人である。スコットの新作には、“ニッキに捧ぐ詩(Ode to Nikki)” という詩の朗読からはいる曲がある。ジル・スコットはもともとは、歌手ではなく、詩人(スポークン・ワード・アーティスト)としてはじまっているのだ。愛と革命の詩人がいまも自分たちのなかで生きていることを祝福するこの曲は、彼女自身の音楽について語っているようにも思えてしまう。

ニッキに捧げる頌歌

彼女は終わりのないループに閉じ込められてなんていない
彼女は自分自身のシンフォニーに合わせて体を揺らし
ハンモックに揺られながら、そよ風を感じている
自ら動機づけ、自らを満たし
驚きに満ちた好奇心、
エキサイティングな高揚感、
打ち砕かれた檻
大いなる誇りと、謙虚さ、そして多くの失敗
これ以上、自分を卑下する必要なんてない
(何のために? 誰のために?)
絶景、意図的な贅沢
精神でスプーンを曲げるような力、複雑な単純明快さ
親密で、太陽に触れられた美しい存在たち
輝きを再定義し、音の振動となって共鳴している

私たちは共にいる、同じ羽を持つ鳥のように
立ち上がり、昇り続け、繁栄し、見つけ出していく
最高に美しく、最高に魅惑的で、最高に心を奪われる
そんなエネルギーを

■参考文献↓

world's end girlfriend - ele-king

 2年前のあの日のことをおぼえているだろうか。前年にひさびさのアルバム『Resistance & The Blessing』が発表され、満を持しての開催となったスペシャル・ライヴ「抵抗と祝福の夜」。world's end girlfriendによるこの特別な一夜が、2026年もとりおこなわれることとなった。6月13日(土)、会場は前回同様EXシアター六本木。強烈な音と光の体験があなたの人生を塗り替える──。なお収益の一部は、生活困窮者を支援しているNPO法人、抱樸に寄付されるとのことです。

world's end girlfriendワンマンライブ
「抵抗と祝福の夜 2026」が
6月13日(土)EXシアター六本木で開催決定。

本公演は全席指定。
拍手、歓声、私語、立見禁止。
MC、アンコール、終演後物販無し。

「抵抗と祝福の夜 2026」はworld's end girlfriendが理想とする
ライブコンサートの形式で行われ、
これまでの集大成となる強烈なライブ公演になります。

本公演は強烈な爆音と強い光を伴います。
耳栓の持参など耳と目は各自で保護ください。

スマホによる撮影は許可されますが、
ライブ全編や1曲全編を撮影するのはご遠慮ください。
周りへの思いやりと想像力を持って行動ください。

また、本公演のライブ・チケット売上の20%、
ライブ音源、ライブ映像データ売上の80%が寄付されます。
寄付先は
NPO法人抱樸 https://www.houboku.net/
を予定してます。寄付完了後にSNSで報告します。

公演名:world's end girlfriend『抵抗と祝福の夜 2026』

日程:2026年6月13日(土)
開場 18:00 開演 19:00

会場:EXシアター六本木
https://www.ex-theater.com/access/

チケット販売ページ:
https://virginbabylonrecords.bandcamp.com/album/special-ticket-2026

特別チケット:
SS席 45ドル
S席 40ドル
A席 38ドル
B席 31ドル
*座席は座席表画像の各枠より抽選にて選ばれます。
*チケットは5月中旬に送付予定。

LIVE AUDIO DATA:
world's end girlfriend『抵抗と祝福の夜 2026』
[2026/06/13ライブ音源データ](11月より発送開始予定)
価格39ドル

LIVE VIDEO DATA:
world's end girlfriend『抵抗と祝福の夜 2026』
[2026/06/13ライブ映像データ](11月より発送開始予定)
価格49ドル

Artwork by Yu Anthony Yamada

P-VINE × FRICTION - ele-king

 フリクションの公式グッズが、Pヴァイン設立50周年を記念した特別企画として登場することになった。フリクションの複数のアートワークを落とし込んだ4種類のTシャツと、『軋轢』のジャケをあしらったアクリルスタンドの計5アイテム。限定品とのことなので、お早めに。

P-VINE 50TH ANNIVERSARY
FRICTION MERCHANDISE CAMPAIGN

日本のパンク/ニューウェイヴ・シーンを切り裂いた先駆者、FRICTION。その公式グッズが、Pヴァイン設立50周年を記念したスペシャル企画として、ついに登場。

日本の音楽史に確かな足跡を残してきたFRICTION。強烈なエネルギーを放つサウンド、前衛的なアートワーク、そして今なお色褪せない衝撃を、そのままウェアに落とし込みました。
P-VINEによる本キャンペーンでは、第三弾までTシャツを中心に関連グッズを連続リリース。複数のアートワークによる多彩なデザインは、どれも強烈で、どれも文句なしにかっこいい仕上がり。
単なる復刻ではなく、バンドのレガシーを現在進行形で更新する周年記念コレクションとして展開します。

・FRICTION T-SHIRTS 101 S~XXL 4,800円

・FRICTION T-SHIRTS 102 S~XXL 4,800円

・FRICTION T-SHIRTS 103 S~XXL 4,800円

・FRICTION T-SHIRTS 104 S~XXL 4,800円

・FRICTION ACRYLIC STAND 01 1,600円

2月25日(水)正午より受注開始。
店頭販売および発送は4月1日(水)を予定しています。
※全国一部のレコード店でも取り扱い予定です。

※Tシャツには、特典として 150mm × 30mm のオリジナルステッカー が付属いたします。
カラーはデザインごとに異なり、
101・102 には赤、103・104 には黒のステッカーが付きます。
あらかじめご確認のうえ、お買い求めください。

※限定品につき無くなり次第終了となりますのでご了承ください。

https://anywherestore.p-vine.jp/collections/friction-merchandise

FRICTION - ele-king

 日本のパンク/ポスト・パンクの開拓者、フリクションの初期2枚の7インチが復刻されることになった。1枚は、記念すべきデビュー7インチ「Crazy Dream」(1979)。もう1枚は『軋轢』と同時リリースされた「I Can Tell」(1980)。さらにこの復刻に合わせ、『79ライヴ』もCDでリイシューされる。ほか、長らく品切れとなっていたタイトルも一挙に追加生産されるとのことなのでチェックしておきたい。

 なお現在制作中の『別冊ele-king J-PUNK/NEW WAVE - 革命の記憶』は3月31日発売。お楽しみに。

日本のロック/パンク史を語る上で絶対に欠かすことのできない最重要バンド、フリクションの2枚の7インチ・レコードを完全復刻!長らく品切れとなっていた『79ライヴ』をはじめ、関連CDの再発&追加生産も決定!

フリクションが1979年にリリースした記念すべきデビュー・7インチ・EPと、傑作ファースト・アルバム『軋轢』(1980年)からのシングルとして同作と同時にリリースされた7インチ・シングルを完全復刻!

併せて、2005年にCD+DVDの形で再発された、レック自ら「奇跡の演奏」という『79ライヴ』(1980年)をCDのみの形でリイシュー!
さらに、長らく品切れとなっていたフリクション関連CDの追加生産が決定!
また、映画の公開に伴い、3月にJ-PUNK/NEW WAVEキャンペーンを実施予定!詳細は後日発表!

《リリース情報》

PASS NO PAST
アーティスト:フリクション
ARTIST: FRICTION
タイトル:Crazy Dream
Title: Crazy Dream
商品番号:SSAP-023
フォーマット:7インチ・EP
価格:定価:¥3,300(税抜¥3,000)
発売日:2026年3月25日(水)
初回生産限定盤

収録曲
A) Crazy Dream
B1) Big-S
B2) Kagayaki

日本のロック史に燦然と輝く名盤『軋轢』(80年)に先立つこと8ヶ月、79年8月にリリースされたフリクションの記念すべきデビュー・EPをオリジナルどおりのジャケット仕様で完全復刻!ファースト・アルバム『軋轢』であらためて取り上げる「Crazy Dream」と「Big-S」の2曲にくわえて、のちに『レプリカント・ウォーク』(88年)で正式に録音することになる「Kagayaki」の3曲を収録。ポスト・パンクの香りも漂う『軋轢』版よりも速いテンポで演奏される「Crazy Dream」と「Big-S」の2曲の疾走感がすばらしい。レック(b/vo)、チコ・ヒゲ(ds)、ツネマツ・マサトシ(g)のすさまじくテンションの高い演奏に圧倒される。『軋轢』未収録の「Kagayaki」のソリッドさも尋常ではない。このEPこそがフリクションという向きも多い無双の3曲。レックの希望により、オリジナル盤とは異なる赤黒ジャケットで再発。

PASS NO PAST
アーティスト:フリクション
ARTIST: FRICTION
タイトル:I Can Tell
Title: I Can Tell
商品番号:SSAP-024
フォーマット:7インチ・シングル
価格:定価:¥2,970(税抜¥2,700)
発売日:2026年3月25日(水)
初回生産限定盤

収録曲
A) I Can Tell
B) Pistol

日本のロック史に燦然と輝くフリクションの傑作ファースト・アルバム『軋轢』(1980年)からのシングル・カットとして同作と同時にリリースされた、ピストル人間ジャケットも最高にクールな7インチ・シングルをオリジナルどおりに復刻!チコ・ヒゲのソリッドなドラムに導かれて、グルーヴィにうねるレックのベースと切れ味鋭いツネマツ・マサトシのギターがクールに絡み合う「I Can Tell」。洗練されていながらもフリーキーなそのサウンドは、ニューヨークでノー・ウェイヴ・シーンを体験したレックとヒゲの二人がいたからこそ生み出しえたものだ。『軋轢』未収のカップリング曲「Pistol」は、荒々しくスピード感あふれる当時のフリクションのライヴでの姿をとらえたカセット・テープ一発録りによる破壊力あふれる一曲。

PASS NO PAST
アーティスト:フリクション
ARTIST: FRICTION
タイトル:79ライヴ
Title: 79 Live
SSAP-025
フォーマット:CD
価格:定価:¥2,750(税抜¥2,500)
発売日:2026年3月25日(水)

『軋轢』の4ヶ月前、あの3人は疾走していた
ジャパニーズ・パンク史に燦然と輝く傑作1stアルバム『軋轢』をリリースする4ヶ月前の1979年12月、京都・磔磔におけるフリクションのライヴ・パフォーマンスを捉えた『79ライヴ』。フリクションのベスト・パフォーマンスとして語られてきたこのライヴは、80年に私家盤10インチLPという形で発表された、ごくわずかのマニアのみが体験し得たもの。2005年に新たに発見されたテープを使用してCD+DVDの形で再発された、レック自ら「奇跡の演奏」というこの伝説のライヴをCDのみの形でリイシュー。『軋轢』リリースの数ヶ月前、頂点を迎えつつあったフリクションのおそろしくテンションの高い演奏が圧倒的だ。とくにレックのヴォーカルは、全編を通してすさまじいばかりの迫力。『軋轢』に未収録の「Pistol」「Kagayaki」を収録。フリクションを語る上で外すことのできない作品のひとつ。

《追加生産タイトル》

PASS NO PAST
アーティスト:フリクション
ARTIST: FRICTION
タイトル:軋轢
Title: Friction
商品番号:SSAP-003
フォーマット:CD
価格:定価:¥2,200(税抜¥2,000)

PASS NO PAST
アーティスト:フリクション
ARTIST: FRICTION
タイトル:ライヴ・イン・ローマ
Title: Live at "Ex Mattatoio" in Roma
商品番号:SSAP-010
フォーマット:CD
価格:定価:¥2,420(税抜¥2,200)

PASS NO PAST
アーティスト:フリクション
ARTIST: FRICTION
タイトル:マニアックス
Title: Maniacs
商品番号:SSAP-013/4
フォーマット:2CD
価格:定価:¥3,366(税抜¥3,333)

PASS NO PAST
アーティスト:フリクション
ARTIST: FRICTION
タイトル:ライヴ PASS TOUR '80
Title: Live - Pass Tour '80
商品番号:SSAP-016
フォーマット:CD
価格:定価:¥2,530(税抜¥2,300)

アーティスト:フリクション
ARTIST: FRICTION
タイトル:2013―ライヴ・フリクション
Title: 2013 - Live Friction
商品番号:PCD-18629/30
フォーマット:2CD
価格:定価:¥3,520(税抜¥3,200)

アーティスト:3/3
ARTIST: 3/3
タイトル:3/3
Title: 3/3
商品番号:PCD-18516/7
フォーマット:2CD
価格:定価:¥3,457(税抜¥3,143)

Amanda Whiting - ele-king

 ここ数年来、ハープが重要な役割を果たすジャズ作品が増えていると感じる。アメリカでは自身の作品やさまざまなアーティストへの客演で知られるブランディ・ヤンガーの活躍が目につく。イギリスに目を向けると、ギリシャ出身でロンドンを拠点に活動するハープ奏者のマリー・クリスティーナ・ハーパーを擁するハーパー・トリオが近年の注目アーティストだ。そして、マンチェスターのマシュー・ハルソールはハープ奏者を大きくフィーチャーする作品を作ってきており、そのなかからレイチェル・グラッドウィン、マディ・ハーバート、アリス・ロバーツといった演奏家が登場してきた。アマンダ・ホワイティングもマシューのグループで演奏してきたひとりで、マシューとも関係の深いチップ・ウィッカムの作品でもたびたび共演している。

 ウェールズ出身のアマンダは6歳のときにハープに触れ、最初はクラシックを学び、その後ジャズや作曲技法も学んできた。2007年より自主制作でソロ・アルバムを作ってきて、そして2020年にクラブ・ジャズ系レーベルの〈ジャズマン〉から『Little Sunflower』をリリースする。フレディ・ハバードの名作をカヴァーしたこのアルバムによって彼女は注目を集め、マシュー・ハルソール、チップ・ウィッカム、グレッグ・フォートなどと共演するほか、ミスター・スクラフジャザノヴァ、ヒーリオセントリックス、レベッカ・ヴァスマン、DJヨーダなどクラブ系アーティストにもフィーチャーされるようになる。彼女のハープ演奏の特徴として、非常にメロディアスでソウルフルな要素が強いことが挙げられる。その点はブランディ・ヤンガーとも共通するもので、1950年代から1980年代に活躍した女性ハープ奏者の草分けであるドロシー・アシュビーの影響を色濃く受けている。ドロシーの作品では〈カデット〉時代の『Afro-Harping』(1968年)、『Dorothy's Harp』(1969年)、『The Rubáiyát Of Dorothy Ashby』(1970年)の3作品が特に有名で、これらはアーマッド・ジャマル、ラムゼイ・ルイス、マリーナ・ショウなどを手掛け、自らもソウルフル・ストリングスという楽団を率いたリチャード・エヴァンスがプロデュースしている。当時のリチャード・エヴァンスがプロデュースしたジャズ作品はソウル、ファンク、ロック、ラテン、ボサノヴァなどを融合したミクスチャーなもので、ドロシー・アシュビーの3作に関してもアフロ・キューバンやエキゾティック・サウンドから、ソフト・サイケの要素も世取り入れた前衛的で独特の世界観を持ち、後年にレア・グルーヴ的な再評価を経て、現代のアーティストに多大な影響を与えている。クラブ・ジャズやクラブ系アーティストの共演が多いのも、そうしたドロシー・アシュビーの影響が見られるだろう。

 〈ジャズマン〉からは『After Dark』(2021年)、『Lost In Abstraction』(2022年)と続けてアルバムをリリースし、その後は〈ファースト・ワード〉に移籍して『Beyond The Midnight Sun』(2023年)をリリースする。〈ファースト・ワード〉はクラブ・サウンド系のレーベルで、クラブ・ジャズやファンク、ソウル、ヒップホップなどのリリースもあるが、『Beyond The Midnight Sun』はDJ/プロデューサーのドン・レイジャー(ダークホース・ファミリー)との共作だった。そして、2024年にリリースした『The Liminality Of Her』は、『After Dark』と『Lost In Abstraction』にも参加したチップ・ウィッカムのほか、女流DJ/シンガー/プロデューサーのピーチが参加する。2024年はほかにクリスマス・アルバムをリリースしたが、年が明けて2025年に『Can You See Me Now?』というEPをリリースし、それと『The Liminality Of Her』をまとめたのが日本編集版の本アルバムとなる。『Can You See Me Now?』はスクリムシャー名義で2000年代後半から活動するDJ/プロデューサーのアダム・スクリムシャーがキーボードやトラックメイクで関わり、クアンティックとのコラボで知られるアリス・ラッセルもゲスト・ヴォーカル参加する。

 『Can You See Me Now?』は基本的にはハープ、ベース、ドラムスという編成で、スクリムシャーのピアノやキーボード、シンセ、パーカッションなどが出過ぎることなくサポートする。ホーン類が一切入らないので非常にシンプルであり、その分ハープの奏でるメロディが際立つ印象だ。オープニング曲の “Contented” は幽玄のようなコーラスが薄く被さる美しい作品で、1960~1970年代のムード音楽やライブラリーなどの分野で活躍したハープ奏者のデヴィッド・スネルやジョニー・トイペンらの流れを汲む。アリス・ラッセルが歌う “What Is It We Need?” も荘厳で、ハープ演奏はクラシックや教会音楽などでの技法を用いている。“Intent” はクラブ・ジャズ的なビートの強い作品で、スクリムシャーらしい作品と言える。DJ/プロデューサーとも多くの仕事をしてきたアマンダの個性が生かされた楽曲だ。“It Could Be” も同様のビート感覚を持つ楽曲で、ここでも中性的なコーラスとハープが絶妙のコンビネーションを見せる。

 『The Liminality Of Her』は “Waiting To Go” でチップ・ウィッカムがフルートを吹く場面があるものの、あとはハープ、ベース、ドラムス、パーカッションのみというこれまたシンプルな編成。ピーチをフィーチャーした “Intertwined” と “Rite Of Passage” は美しいメロディと繊細なムードに包まれ、モーダル・ジャズとソウル・ミュージックが最良の地点で結びつく。“Liminal” はアフロ・キューバンとジャズ・ファンクが融合したようなリズムで、ドロシー・アシュビーの〈カデット〉時代を彷彿とさせる。“Nomad” は琴のような音色を奏でるハープが印象的で、「遊牧民」というタイトルどおりのエキゾティシズムに溢れている。“No Turning Back” はクラブ・ジャズ的な作品で、アフロ・キューバン調の転がるパーカッションに乗った軽快な演奏を披露する。そして、コルトレーンの演奏で有名な “My Favorite Things” を取り上げているが、この曲はさまざまなアーティストが取り上げてきたモーダル・ジャズの定番のような曲で、ハープでは日本の林忠男が1977年のアルバム『見果てぬ夢』で取り上げていた。このアルバムは超レア・アルバムとして和ジャズ再評価のなかで発掘されたアルバムだが、ふとそれを思い起こさせる演奏だ。

2月のジャズ - ele-king

Tigran Hamasyan
Manifeste

Naïve

自身の出目であるアルメニアの民謡から教会音楽やクラシック、ロックやヘヴィ・メタル、プログレ、ダブステップやビート・ミュージックなどエレクトリック・ミュージックの影響を受け、独自の活動を続けているティグラン・ハマシアン。2020年に発表した『The Call Within』は、20世紀初頭にオスマン帝国との民族紛争を逃れてアメリカに渡ったアルメニア移民についての楽曲があるように、アルメニアン・ディアスポラとしてのティグランの在り方を示す作品でもあった。その後はアメリカのジャズ・スタンダード集である『StandArt』(2022年)、アルメニアの国鳥である火の鳥を題材にアルメニアの民話に基づいた『Bird Of A Thousand Voices』(2024年)と、異なる色合いのアルバムをリリースしている。これらのレコーディング時期は大体2019年から2021年にかけてのもので、『The Call Within』については2019年の録音だったが、最新作の『Manifeste』は2023年から2025年にかけ、アルメニアの首都であるエレバンから、アテネ、モスクワ、ロサンゼルスと世界各地でおこなわれたレコーディングをまとめたものとなる。

 参加メンバーはマーク・カラペティアン(ベース)、エヴァン・マリネン(ベース)、ネイト・ウッド(ドラムス)、アーサー・ナーテク(ドラムス)といったこれまでも共演してきたメンバーはじめ、アルティョム・マヌキアン(チェロ、ベース)、アルマン・ムナツァカニャン(ドラムス)、ダニエル・メルコニャン(トランペット)などアルメニア人のミュージシャン、クリスティーナ・ヴォスカニャン指揮によるエレバン国立室内合唱団など。“Prelude for All Seekers”はクラシック的なピアノ演奏が精密なテクスチャーを導くなか、ビート感覚に溢れたリズム・セクションと交わるテクノ・ミーツ・ジャズというような作品。後半に向けてアグレッシヴに進むなか、エンディングに美しいピアノ・ソロが訪れる構成も秀逸である。“Ultradance”はダブステップにインスパイアされたダイナミックなビートを持つナンバーで、ビートの谷間に訪れる静穏なピアノ・フレーズとの対比が素晴らしい。アルメニア語で“悩みや悲しみを取り除いてくれる人やもの”という意味を持つ“Dardahan”は、シンセを通して変調されたヴォイスを交えたアルメニア特有のメロディを持つ。“One Body, One Blood”はエレバン国立室内合唱団による幽玄のようなコーラスをフィーチャーし、中世の教会音楽のような荘厳な世界とクリック・テクノのようなトラックが融合する。戦時下で生きる子どもたちに捧げられた“War Time Poem”には、プログレのような強烈なサウンドとレクイエムのように静かな悲しさを湛えた世界が交錯する。今作もティグランのアイデンティティが強く反映された独自の作品集となっている。


Momoko Gill
Momoko

Strut

 モモコ・ギルは日系英国人のドラマー/ヴォーカリストで、即興演奏から作曲/プロデュースもおこなうマルチ・アーティストである。オックスフォードで生まれ、京都、横浜、アメリカのサンタバーバラへと移り住みながら育ち、独学で学んだドラムをはじめキーボードなども操り、現在はロンドンを拠点に音楽活動をおこなう。ロンドンのジャズやインプロヴィゼイション・シーンからオルタナティヴ・シーンと縦横無尽に活動し、アラバスター・デプルーム、コビー・セイティルザなど幅広いアーティストと共演してきた。エレクトロニック・ミュージックの分野ではマシュー・ハーバートコラボ作『Clay』(2025年)が知られるところで、またラッパーの、ナディーム・ディン・ガビージと一緒にアン・エイリアン・コールド・ハーモニーというプロジェクトもおこなっている。そんなモモコ・ギルが満を持してソロ・アルバム『Momoko』をリリースした。

 セルフ・プロデュースとなる『Momoko』は、ロンドンのトータル・リフレシュメント・センターでレコーディングをおこない、マシュー・ハーバートがミックスを担当する。ドラム、キーボードはじめ楽器演奏などは基本的にモモコひとりによる多重録音がおこなわれ、彼女自身のヴォーカルのほかにシャバカ・ハッチングス、ソウェト・キンチ、アラバスター・デプルーム、コビー・セイ、マリーシア・オスーらが名を連ねた50名にも及ぶコーラス隊がフォローする。“No Others”は軽やかにシャッフルするリズムに乗って、モモコの伸びやかなヴォーカルが浮遊感に包まれたムードを作り出す。アルバムのなかでもっともジャズの要素が強い作品だ。“When Palestine Is Free”はコーラス隊とホーン・アンサンブル(クレジットはないが、おそらくシャバカ・ハッチングス、ソウェト・キンチ、アラバスター・デプルームらが演奏していると思われる)をフィーチャーした重厚な作品で、モモコのドラムはマーチング・ソングとブロークンビーツを混ぜたようなリズムを作り出す。そして、フィールド・レコーディングや環境音も取り入れた作曲がおこなわれている点は、コラボレーターでもあるマシュー・ハーバートの影響があるのかもしれない。


Amir Bresler
See What Happens

Raw Tapes

 イスラエルのジャズ・シーンで新世代ミュージシャンとして注目を集めるキーボード奏者/マルチ・ミュージシャン/プロデューサーのリジョイサーことユヴァル・ハヴキン。彼はいろいろなグループやプロジェクトをやっているが、そのなかのひとつである4人組グループのアピフェラや、ヒップホップとジャズのミクチャー・バンドのL.B.T.、ユヴァル周辺のミュージシャンが集まったタイム・グローヴでドラマーを務めるのがアミール・ブレスラーである。ほかにも世界的なベーシストのアヴィシャイ・コーエンのグループ、ピアニストのオメル・クレインのトリオ、サックス奏者のアミット・フリードマンのグループ、トランペット奏者のセフィ・ジスリング、キーボード奏者のノモックと組んだアフロ・ジャズ・バンドのリキッド・サルーン、フォーク・ロック・バンドのフォリー・トゥリーなどで活動するなど、現在のイスラエルを代表するミュージシャンのひとりである。ジャズ、ファンク、ロック、サイケ、プログレ、フォーク、オルタナ、R&Bなどいろいろな音楽に通じたヴァーサタイルなミュージシャンで、これまでソロ作品も『House Of Arches』(2022年)、『Tide & Time』(2024年)などを発表。これらの作品はリジョイサー、ノモック、ニタイ・ハーシュコビッツなど、日頃から一緒に演奏をしてきた仲間たちが参加しており、ジャズ、アフロ、ファンク、サイケなどが融合した内容となっている。

 最新アルバムの『See What Happens』は過去12年間に渡るレコーディング音源やセッションなどをまとめたものである。アミール・ブレスラーはドラム以外にギター、ベース、キーボード、パーカッションなどを演奏するマルチ・ミュージシャンぶりを発揮し、プログラミングなどトラック・メイクもおこなう。共演者にはリジョイサー、ノモック、セフィ・ジスリング、ニタイ・ハーシュコビッツ、ジェニー・ペンキン、ケレン・ダン、イツァーク・ヴァントーラなどイスラエル・シーンの仲間たちが名を連ねる。今回も彼のさまざまな音楽性が融合した内容だが、おすすめはケレン・ダンをフィーチャーした“See What Happens”と“Who Will Hold Your Hand”。ケレンはリジョイサー、ベノ・ヘンドラーとのバターリング・トリオで活躍し、L.B.T.のメンバーでもあるマルチ・ミュージシャン/シンガーであるが、今回はヴォーカリストとしてこの2曲に参加している。原初的でエキゾティックなグルーヴに包まれた“See What Happens”、変拍子による不思議なグルーヴを持つジャズ・ファンク“Who Will Hold Your Hand”と、フェアリーな魅力を持つケレン・ダンの歌声が生かされている。リジョイサーをフィーチャーした“Lesoto”など、アンビエントなフィーリングを持つ作品も印象的。


Joabe Reis
Drive Slow - A Última das Fantasias

Batuki

 ジョアベ・ヘイスはブラジルの新進トロンボーン奏者/作曲家で、ジャズ、ファンク、MPB、サンバ、ヒップホップなどを吸収してきた。1970年代から活動するベテランのキーボード奏者/作曲家のネルソン・アイレス率いるビッグ・バンドで演奏をしてきたほか、エルメート・パスコアール、エヂ・モッタなどブラジルのアーティストから、アメリカのロビン・ユーバンクス、マーシャル・ギルケス、メイシー・グレイなどとも共演してきた。自身のソロ作品としては2024年にファースト・アルバムとなる『028』をリリース。オリジナル曲のほかにジャヴァン、ジルベルト・ジル、アジムスとフローラ・プリムの楽曲をカヴァーしていて、そのアジムス/フローラ・プリムの“Partido Alto”ではイエロージャケッツなどの活動で有名なアメリカのサックス奏者のボブ・ミンツァーと共演している。

 新作の『Drive Slow - A Última das Fantasias』は、ダニエル・ピニェイロ(ドラムス)、デデ・シルヴァ(ドラムス)、アジェノール・デ・ロレンツィ(キーボード)、ジョシュア・ロペス(テナー・サックス)、シドマー・ヴィエイラ(トランペット)、マルチェロ・デ・ラマーレ(ギター)といった『028』でも演奏していた面々に加え、新進ピアニストとして注目を集めるエドゥアルド・ファリアスやベーシストのフレデリコ・エリオドロらがバックを固める。ほかにゲストでラッパーのズディジーラとシンガーのエオラ・オランダ、アメリカからトランペット奏者のシオ・クローカーも参加する。“Simbiose (Nefertiti)”は人力ブロークンビーツのようなビートでソリッドに展開するジャズ・ファンク。全体にエズラ・コレクティヴなどUKジャズに近い雰囲気を持ち、エドゥアルド・ファリアスのピアノもジョー・アーモン・ジョーンズあたりを彷彿とさせる。ジョアベ・ヘイスのトロンボーンをはじめとしたホーンの掛け合いもスリリングだ。“Baile Real”はサンバにブギーやファンクをミックスしたブラジルらしい楽曲で、かつてのバンダ・ブラック・リオあたりを思い起こさせる。

ambient room - ele-king

 2023年より開催されているBias & Relax主催のイベント〈ambient room〉が今年も開催されることになった。
 5月9日(土)代官山UNITにて開催される今回は、岡田拓郎が6人編成のバンドセットにて出演するほか、メディテーション・ライヴが予定されているmaya ongaku、2025年にはアルバム『taba』を送り出したSatomimagae、そしてビートメイカーのBudaMunkがラインナップに加わっている。じつに豪華な一夜、お見逃しなく。

"ambient room"
Curated by BIAS & RELAX adv.
Line Up
Takuro Okada Sextet / maya ongaku / BudaMunk / Satomimagae

2026年5月9日(土)
東京|代官山UNIT
時間:OPEN 17:00 / START 18:00
チケット:前売り ¥5,000 / 当日 ¥5,500(税込/スタンディング)

一般発売:3月7日(土)10:00〜

主催/企画/制作:BIAS & RELAX adv.

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361 362 363 364 365 366 367 368 369 370 371 372 373 374 375 376 377 378 379 380 381 382 383 384 385 386 387 388 389 390 391 392 393 394 395 396 397 398 399 400 401 402 403 404 405 406 407 408 409 410 411 412 413 414 415 416 417 418 419 420 421 422 423 424 425 426 427 428 429 430 431 432 433 434 435 436 437 438 439 440 441 442 443 444 445 446 447 448 449 450 451 452 453 454 455 456 457 458 459 460 461 462 463 464 465 466 467 468 469 470 471 472 473 474 475 476 477 478 479 480 481 482 483 484 485 486 487 488 489 490 491 492 493 494 495 496 497 498 499 500 501 502 503 504 505 506 507 508 509 510 511 512 513 514 515 516 517 518 519 520 521 522 523 524 525 526 527 528 529 530 531 532 533 534 535 536 537 538 539 540 541 542 543 544 545 546 547 548 549 550 551 552 553 554 555 556 557 558 559 560 561 562 563 564 565 566 567 568 569 570 571 572 573 574 575 576 577 578 579 580 581 582 583 584 585 586 587 588 589 590 591 592 593 594 595 596 597 598 599 600 601 602 603 604 605 606 607 608 609 610 611 612 613 614 615 616 617 618 619 620 621 622 623 624 625 626 627 628 629 630 631 632 633 634 635 636 637 638 639 640 641 642 643 644 645 646 647 648 649 650 651 652 653 654 655 656 657 658 659 660 661 662 663 664 665 666 667 668 669 670 671 672 673 674 675 676 677 678 679 680 681 682 683 684 685 686 687 688 689 690 691 692 693 694 695 696 697 698 699 700 701 702 703 704 705 706 707 708 709 710 711 712 713 714 715 716 717 718 719 720 721 722 723 724 725 726 727 728 729 730 731 732 733 734 735 736 737 738 739 740 741 742 743 744 745 746 747 748 749 750 751 752 753 754 755 756 757 758 759 760 761 762 763 764 765 766 767 768 769 770 771 772 773 774 775 776 777 778 779 780 781 782 783 784 785 786 787 788 789 790 791 792 793 794 795 796 797 798 799 800 801 802 803 804 805 806 807 808 809 810 811 812 813 814 815 816 817 818 819 820 821 822 823 824 825 826 827 828 829 830 831 832 833 834 835 836 837 838 839 840 841 842 843 844 845 846 847 848 849 850 851 852 853 854 855 856 857 858 859 860 861 862 863 864 865 866 867 868 869 870 871 872 873 874 875 876 877 878 879 880 881 882 883 884 885 886 887 888 889 890 891 892 893 894 895 896 897 898 899 900 901 902 903 904 905 906 907 908 909 910 911 912 913 914 915 916 917 918 919 920 921 922 923 924 925 926 927 928 929 930 931 932 933 934 935 936 937 938 939 940 941 942 943 944 945 946 947 948 949 950 951 952 953 954 955 956 957 958 959 960 961 962 963 964 965 966 967 968 969 970 971 972 973 974 975 976 977 978 979 980 981 982 983 984 985 986 987 988 989 990 991 992 993 994 995 996 997 998 999 1000 1001 1002 1003 1004 1005 1006 1007 1008 1009 1010 1011 1012 1013 1014 1015 1016 1017 1018 1019 1020 1021 1022 1023 1024 1025 1026