「F」と一致するもの

Road 2 Battle Train Tokyo - ele-king

 恵比寿のリキッドルームで、日本初のフットワーク・バトル・トーナメントが開催されます。3月29日(土曜日)に、激しいダンス・バトルが見れます。興味のある方、ぜひ、足を運んで……いや、足を高速に動かす人たちを見物しましょう!

 昨年10月にリキッドルーム2階奥のKATA + Time Out Cafe & Dinerにて開幕した日本初のフットワーク・バトル・トーナメント=Battle Train Tokyo(略してBTT)。今年6月28日(土曜日)に開催されるBTTに向け、その前哨戦となる"Road 2 Battle Train Tokyo(略してR2BTT)が3月29日(土曜日)に決定! まずはR2BTTを勝ち抜きBTTのシード権をその手につかもう! 競いしフットワーカー/ダンサーの勇姿をみなで刮目しましょう!

 シカゴ・ハウスを源泉にまさにそのシカゴのローカル・シーンにて独自の進化を続け高速化した音楽スタイル「ジューク」が、足技に重きを置いたダンススタイルと密接に関連し、低音と三連譜などトリッキーなリズムが強調され「フットワーク」という音楽/ダンス・カルチャーとして広がり進化/発展。この国でもさまざまなイヴェント/パーティー/ワークショップなどが開催されるなか、BTTはBPM160のジューク/フットワーク・トラックの上でさまざまなダンサーたちがスタイルやルーツ、世代を超えて競い合えるオープンなバトル・トーナメントの場として、この国のジューク/フットワーク・シーンを支えるDJやトラックメーカー、ダンサーたちと一緒にさらなるこのシーンの燃焼と循環を目指します。毎月第三水曜日にはフットワークDOJO=Battle Train Tokyo Express(略してBTTE)も同会場にて開催中。

※3月19日(水曜日)19:00(ジューク日、ジューク時)より、同会場にて第三水曜日に定期開催されているフットワークDOJO=Battle Train Tokyo Express(略してBTTE)が開催! 概要は下記リンク先をご参照ください。
https://www.kata-gallery.net/events/BattleTrainTokyoExpress_3/

《概要》
Road 2 Battle Train Tokyo

@KATA
Judge:HARUKO(RudeGirl3),
KENT ALEXANDER(PPP/PAISLEY PARKS), Takuya(HaVoC) and You
Host:ヒューヒューBOY(GROSS DRESSER/MAGNETIC LUV)
Exhibition:HARUKO(RudeGirl3) x Takuya(HaVoC)
Guest DJ:SEX山口
Chicago Legacy Set:D.J.April(Booty Tune)
Sound by:Booty Tune, DjKaoru Nakano, DJ SEKIS & DJ DIKE, SHINKARON

@Time Out Cafe & Diner
BTT Lounge presents
JINTANA&EMERALDS "DESTINY" pre-release party supported by PPP
special oldies B2B and live session:JINTANA&STRINGSBURN
DJ:LUVRAW, iga-c, Kent Alexander

《バトルへのエントリー/ルールについて》
・バトルは個人戦のみです。2ターン(1バトル5分ほど)になります。
・ダンス・スタイルは自由ですが、バトル中に流れる楽曲はジューク/フットワーク・トラック(BPM160)のみとなります。
・バトル時の選曲は主催者側でご用意させていただきます。
・オーディエンスの声援と審査員によるジャッジ・システムを採用致します。
・バトル・トーナメントへのエントリー・フィーは2,000円となります。
・優勝者には6月28日(土曜日)に開催されるBattle Train Tokyoのシード権、優勝賞金10,000円を進呈させていただきます。
・前回のBTT優勝者、準優勝者のエントリーは今回はありません。
・バトル・トーナメントへのエントリーは件名を「3.29 R2BTT」として<entry@liquidroom.net>までメールにてお願い致します。ネーム表記と連絡先(氏名/電話番号)も合わせてお送りください。なお、お送りいただきました個人情報は今回の「R2BTT」に関わる目的にのみ使用し、他の目的には使用致しません。

2014.3.29 saturday evening
KATA + Time Out Cafe & Diner[LIQUIDROOM 2F]
open/start 17:00/18:00-22:00
battle tournament entry fee 2,000yen / admission fee 1,500yen

info
Battle Train Tokyo twitter | Facebook
KATA https://www.kata-gallery.net
Time Out Cafe & Diner 03-5774-0440 https://www.timeoutcafe.jp/
LIQUIDROOM 03-5464-0800 https://www.liquidroom.net

《出演者紹介》
▼HARUKO(RudeGirl3)
コンテスト受賞歴:BIGBANGダンスコンテスト特別賞/femal trouble 3位/tokyo dance delight特別賞/BTT準優勝
13歳の頃ブラックミュージックと出会い、ヒップホップダンスを踊り始める。その後レゲエミュージックと出会い、ヒップホップ、レゲエを共に、独自に踊り始める。2003年ニューヨークで本場のストリートダンスのレッスンをうける。その後クラブでのショータイムに出演しつつ、インストラクターとして活動、2009年にはジャマイカに渡り現地のdancehallqueenコンテストにも出場。セカンドラウンドまで勝ち残る。そしてヒップホップ、レゲエなどをミックスした独自のダンススタイルを確立する。そして、2013年BTTにて準優勝。footworkの活動を開始する。現在は都内のクラブでのショーやバトルで活躍中。

▼Takuya(HaVoC)
東京都在住。本場シカゴでも有数のフットワーク・クルーHaVoCに唯一の外国人として名を連ねるフットワーカー。高校時代よりダンスを始め、ブレイキン、ソウルダンス、ハウスなど様々なジャンルをどん欲に学ぶ。2011年、ダンスバトルの世界大会Juste Deboutで活躍するFootworKINGzに衝撃を受け、フットワーカーとしてのキャリアをスタート。ほどなくして開設したYouTubeチャンネルにアップした動画をきっかけにH.a.V.o.Cにスカウトされる。その多彩なステップはフットワーク専門サイトFORTUNE&BANGに取り上げられるなど、本場シカゴでも高く評価されている。2012年10月に開催されたTRAXMANの来日公演にダンサーとして帯同。そのフットワークで各地に熱狂をもたらした。2013年はPaisley Parks、MOP of HEADのミュージックビデオに出演するなど、活躍の場を広げている。
https://twitter.com/TAKUYAxHaVoC

▼KENT ALEXANDER(PPP/PAISLEY PARKS)
ヨコハマ【PAN PACIFIC PLAYA / Бh○§†】所属。BAYなJUKE/FOOTWORKチーム【PAISLEY PARKS】構成員。まるでRAVECOREなDJチームTERROR Pとしても爆笑中。ゲットーレイブ育ちのDJ。インターナショナルスクール時代からアングラパーティー活動のしすぎでアメリカへ落ちる。2012年末、横浜帰還。シカゴのラジオ局のDJMIX SHOWに出演して、PAISLEY PARKSオンリーミックスを披露したり、日本で初めてのFOOTWORK大会【BATTLE TRAIN TOKYO@KATA】を主催するなど、JUKE/FOOTWORK周辺に集まる最もクレイジーな連中の1人。これまでにSWEET SOULのMIX ”Sweet Temptation”と、PAISLEY PARKS音源をアシッドEDITした”THE MIX”を発表。和訳、英訳のお仕事承ります。陽気な大きい弟系の通訳/アテンドもお気軽に◎
https://twitter.com/kent045
https://www.panpacificplaya.jp/blog/
https://ghost045.bandcamp.com/

▼ヒューヒューBOY(GROSS DRESSER/MAGNETIC LUV)
ヨコスカン&ミウラーノ光る海岸系DJユニット『GROSS DRESSER』で活動中。チルってなんぼなメロウトリッピンMIXCDをALTZMUSICAより発表。ハッピーな目つき「MAGNETC LUV」所属。LUVRAW&BTBのライブで、にぎやかしい司会を担当。好評と酷評の間で居眠り一千万。江ノ島OPPA-LAの便所や各種野外パーティーでUP&DOWN、毎年好評の秘密ビーチパーティーも欠かさず解放中。彼の作るホットサンドを食べた内、3人くらいが人生を成功させたようだ。司会、ホットサンド、DJのご用命はお気軽に☆

▼SEX山口
1976年生まれの牡羊座。神奈川県出身の脱力系アイドル。マイケル・ジャクソンと井手らっきょを同じ目線で愛し、FUNKとお笑いを同じ目線で体現したパフォーマンスを得意とする。ダンサー・エロ本編集者・DTPデザイナーを経て、最近はやたらしゃべるディスクジョッキーとして各所でメイクサムノイズ中。インターネットラジオ、block.fmにて生放送でお届けする「SEX山口のGWIG GWIG RADIO」(毎月第2月曜日20時~)ではメインMCとしてZEN-LA-ROCKと共にグイグイっとおしゃべり中。自身のアパレルブランド「S.E.X.Y. by NAOKI YAMAGUCHI」のアイテムや各種おMIX CDも随時デリバリーしてまっす♪
https://secscreativeworks.tumblr.com/
https://twitter.com/sexyamaguchi
https://sexybyny.theshop.jp/
https://block.fm/program/gwig_gwig_radio.html

▼D.J.April(Booty Tune)
Hardfloorでシカゴハウスに目覚め、そんなサウンドをらりくらりと追いかけつつ、Jukeレーベル「Booty Tune」のPR&ARをしております。
https://twitter.com/deejayapril
https://bootytune.com/

▼Booty Tune DJs[D.J. Kuroki Kouichi, Yuki aka 3D, D.J.April]
https://bootytune.com/
https://bootytune.bandcamp.com/
▽D.J.Kuroki Kouichi
1999年 DJ開始。同時期に1人焼肉デビュー。
2001年 DJデビュー。地元の焼肉屋を卒業。都内各地の焼肉屋にて武者修行開始。
2004年 100%ゲットーパーティー「CHICAGO BEEF」を、焼肉屋の上にあるクラブで主催。DJと肉が融合。
2007年 肉好き集団を率い肉を食べまくる肉パーティー「肉GROOVE」を主催。
2008年 下北沢「肉人」に出会う。ホルモン革命が起きる。
2009年 赤身からホルモンまで、あらゆる肉の部位を完璧に焼けるようになり、「肉マスター」就任。
2010年 焼肉対決で「焼肉大王」に勝ち、2タイトル制覇。日本一の焼肉屋「スタミナ苑」の常連入り。
2011年 Juke/Ghettotech専門レーベル「Booty Tune」に加入。
2012年 Booty TuneのCOO(スィーオウオウ)就任。狩猟免許取得。
2013年 シカゴハウスの伝説的レーベル「Dance Mania」の全カタログをコンプリート。
あまり意味が無くてカッコいいダンスミュージックをプレイするよう心がけています。
▽Yuki aka 3D
Booty Tune所属22歳のJuke/Footwork DJ。通称てっどまん。
▽D.J.April
Hardfloorでシカゴハウスに目覚め、そんなサウンドをらりくらりと追いかけつつ、Jukeレーベル「Booty Tune」のPR&ARをしております。

▼DjKaoru Nakano
大阪府出身。14才頃からblack music, rockのレコードを集めだし、18才頃DJを始める。garage, houseなどを経て2009年頃からminimal dub, technoなどでDJ活動をリスタート。2010年頃からjukeに傾倒。2013年11月にNODEレーベルよりmix CD「footwork & smooth」をリリース。Track makerとして日本初のjukeコンピレーション"Japanese Juke & Footwork Compilation"に参加。
https://soundcloud.com/kaorunakano

▼DJ SEKIS & DJ DIKE
JUKE/FOOTWORKのPRODUCER。ホームグラウンドである吉祥寺・西荻窪にて主に活動中。
▽DJ SEKIS
https://twitter.com/djsekis
https://soundcloud.com/dj-sekis
▽DJ DIKE
https://twitter.com/DJ_DIKE
https://soundcloud.com/dj-dike

▼SHINKARON
FRUITY、BoogieMann、Weezy、吉村元年、芝田創、VaEncから成るクルー。 2009年3月よりノンジャンルパーティとしてスタートし、現在はjuke/footworkのレーベルとしても活動中。所属メンバーの他DJ Roc、Paisley Parksなど、国内外問わず様々なアーティストのリリースを手掛ける。
https://shinkaron.info/


 日本のフットボールクラブのサポーターが「Japanese Only」と書かれた横断幕をスタジアムに掲げて問題になったという。
 日韓共同開催W杯のときに日本に行った英国人にその話をすると、「あのときも日本の飲食店には『Japanese Only』と書いた紙を貼っている店があった」という。あの「Japanese Only」も、当時UKではちょっとした話題になった。日本人の排外主義は甚だしいと憤った人もいた。が、実際には日本の飲食店には英語を喋れる店員が少なく、海外発行のクレジットカードやデビッドカードが使えないから、会計時に揉め事になるとややこしいと思った飲食店主たちが「Japanese Only」の札を掲げていた。という日本側の理由が説明されると、なんとなく辺境の国ふしぎ話になって終わった。
 が、今回の「Japanese Only」はちょっと違う。そもそも、Jリーグなんてのは、発足当時を知るばばあから言わせてもらえば「Japanese Only」だったら成立しなかったのだ。ジーコやリトバルスキー、「日本で何もせずに大金を稼いできた」と今でも本国でジョークのネタにされているリネカーなど、著名な外国人選手が来たからこそ客が入るビジネスとして成立するようになったのだ。それがいつの間にか「Japanese Only」の横断幕がかかるようになったとは、なかなか感慨深いものがある。
 「ブライトンの柔道教室に『English Only』って書いた札を下げてるようなもんだよな」
 フットボールの母国イングランドのある男性はそう言って笑った。
 とは言え、ある国に余所者が入ってくると排外的リアクションが出るのは当然だ。が、昨今のUKでは、排外ではなく、排内主義の問題が深刻化している。

               **********

 隣家の息子が失業保険を打ち切られてやむなく社会復帰を果たし、たいへん非人道的な会社に入った。というのは以前も書いた話だ
 「おめえの会社、ヒューマンライツはどうなってんの?」
 隣家の息子が仕事の話をするたびにうちの連合いはそう言うが、「仕事があるだけでもありがたいと思え」な時代に、溺れる若者が掴むのは人権の藁ではない。
 「だって、ヒューマンライツじゃ食えないもん」
 暗い目をしてため息をつく隣家の息子は、最近、気になることを言い出した。
 「俺、UKIP支持に回るかも」
 UKIP(英国独立党)とは、ゴリゴリの右翼政党である。が、この政党が不気味に支持を伸ばしているため、保守党政権が著しく右に傾いているとも言われている。「アンチ移民」ポリシーを掲げるUKIPに隣家の息子が共感しているというのは、十代の頃から彼を知っている移民の隣人としては聞き捨てならない。
 彼が最近、ポーランド人の同僚たちに不満を感じているのは知っていた。彼やうちの連合いが働いているダンプの運ちゃん業界でも、近年は外国人労働者の台頭が著しい。公営住宅地で育った隣家の息子がUKIPに走るのはよくあるルートだ。が、しかし彼の場合は、わたしと酒を飲みながら折り紙を折ったり、柿ピーとおにぎりせんべいのうまさについて熱く語り合ったりして、異人や異文化にはオープンだった筈である。
 「外国人の同僚が増えると、中にはムカつく奴もいるだろうから、PCなことばかりは言ってられないだろうけど」
 わたしが言うと、隣家の息子は言った。
 「っていうか、雇用主が英国人を切って外国人を雇うのがムカつく」
 話を聞いてみれば、平素から上司に対して「これは雇用法違反ではないか」みたいなことを言うタイプの英国人青年が、業務上の些細なミステイクを理由に解雇され、代わりにポーランド人労働者たち(みんな身内らしい)が連れて来た運転手が雇用されたという。
 「あいつら、ファミリー&フレンズのグループでがーっと来て、違法だろうが滅茶苦茶な時給だろうが黙って働くんだよ。そら雇用主にとっては一番便利だよね。で、あいつらはみんなで一時的に家を借りて雑魚寝してて、金を貯めたら国に帰るからいいだろうけど、彼らと同じ時給じゃ、英国人が英国で生活していけない」
 過重労働でめっきり痩せて老け込んだ隣家の息子はいう。
 たしかに、映画『This Is England』の時代の移民と、現代の出稼ぎ移民とは、異なる性質のものだ。EUのおかげで自由に行き来できるようになった移民には、昔のように「この国で生きる」みたいな決意はない。どれだけ時給が安かろうと、それが自国でそれなりの収入になれば、がんがん働いて国に帰るだけだ。「英国で生きる」どころか、現代の移民の多くは「こんなに物価が高くて治安の悪い国に根を下ろすのはまっぴらご免だ」とさえ考えており、その構図はさながら田舎ののんびりした場所に家を持ちながら、都会に通勤する人びとにも似ている。

 サッチャーが製造業を破壊する前、全国各地の工場は労働者階級の人びとの職場だった。で、90年代にそれに代わる新ワーキング・クラスの職場と言われたのはコールセンターだった。しかしコールセンターも今ではインドなどの人件費の安い国(先日、PCが壊れてメーカーに電話したら、マジでエジプトに繋がれた)に拠点を移している。それに加え、国内に残された仕事までも外国人たちに占領されたら、英国のワーキング・クラス民には働く場所がなくなる。
 「英国人の若者は下層の仕事はしたがらない」というのは一昔前の話で、失業保険や生活保護打ち切りの時代には、彼らは社会復帰しようとしている。しなきゃ食えないからだ。そんな切羽詰った貧民たちと外国人労働者が競争して下層職を取り合えば、時給はどんどん下がる+待遇は悪くなるの一方で、これが「インディヴィジュアルの競争に任せる」キャピタリズムの有り様ならば、この競争に勝てる者は「黙って雇用主に蹂躙されることができる者」ということになる。市場競争の掟とは「コストを下げ、利潤を上げる」ことだが、人件費というコストは有機物だ。そこには労働を提供する人間の命や生活がかかってくる。
 英国の人件費を押し下げている外国人と、賃金が下がって貧困している英国人労働者。
 UKIPが支持を伸ばすのも道理だが、問題の本質は、下層で低賃金の仕事を取り合っている外国人と英国人の衝突ではなく、非人道的なまでに人件費コストを抑えて競争に勝とうとしている上層のキャピタリスト魂だろう。

               **********

 Obscenely Richという表現が英語にはある。
 Obscenelyをマニュアルどおりに「不愉快なほど」と訳せばどうということはない表現だが、Obsceneは本来、「猥褻」を意味する。「淫らなほど金持ち」とは日本語では言わないので、何処から来た表現なんだろうと考えていた。
 「ソーシャリズムの発端はキリスト教の誕生まで遡る」と言った学者の話は以前も書いたが、実際、新約聖書の時代と現代社会は似ている。貧困者や病人、障碍者が切り捨てられ、「神の怒りに触れた者たち」と見殺しにされた社会と、敗者が切り捨てられ、「自主責任」というキャピタリズム信仰のもとに見殺しにされている現代。世の中は、2000年の時を隔ても相変わらず野蛮だ。
 「それじゃいかん」と反旗を翻したダイハードなソーシャリストがキリスト(実際、聖書を読むと彼はしょっちゅうキレている)であり、彼の種々の言葉が西洋思想のベースにあるとすれば、「淫らなほど金持ち」という表現の出所はそこら辺なのかとも思う。
 英国では、社会がキャピタリズムに傾き過ぎると、必ず反対側に戻そうとする動きが出て来るそうだが、それも「Obscenely Rich」という表現を現代まで絶やすことなく使い続けてきた文化を持つ国だからなのかもしれない。

 ハッピー・マンデーズのべズが来年の総選挙への出馬を表明した。
 労働党候補として出馬する彼は、富の再配分を公約に掲げている。彼が出馬するサルフォードは、英国でもっとも家庭の貧困率の高いマンチェスターでもとくに貧しいこどもが多い地域だ。
 最近、やたらとこういう話を耳にするようになってきた。
 何かの兆しのようなものが、ほのかに表出をはじめたのかもしれない。

                *******

 さて、日本は?

SIMI LAB - ele-king

 シミ・ラボの3年ぶりのセカンド・アルバム、『Page2 : MIND OVERMATTER』は素晴らしい作品だ。ラップ、リリック、トラックのどれもクオリティが高い。たとえば、2003年のMSC『マタドール』、2007年のNORIKIYO『OUTLET BLUES』、2011年のERA『3 WORDS MY WORLD』のように、先鋭的なトラックとリアルな言葉、ラップのエネルギーが調和した、この先も記憶されるべきマスターピースだ。

 トラックのベースは、OMSBによって作られている。よって、本作は彼のソロ・アルバム『Mr. "All Bad" Jordan』の発展型だとも言える。『ele-king vol.13』でのOMSBのインタヴューを読んでなるほどと思ったのは、影響を受けたトラックメイカーについて「RZAとプリモ(DJプレミア)ってでかくて。あとはJ・ディラ、カニエも大きい」と発言していたことだった。なんという、幅の広さ……。そしてヒップホップへのこだわり。ベスト・ソングとして挙げたい“Come To The Throne”──この曲は微妙にブレたビートの上に激しいサックスのブロウのサンプリングを複雑にかぶせたナンバーで、絶え間ない編集作業のなかから生まれた──をはじめ、OMSBのヒップホップへの情熱が具現化されている。

 新作には、OMSB、DyyPRIDE、QN、MARIAを中心にしたファースト・アルバムと比べて、参加ラッパーの人数が圧倒的に多い。それぞれの楽曲にテーマを据えて、各メンバーが大喜利的にストーリーテリングするさまはそれだけでも刺激なのだが、ブロークンなトラックの上で披露される“Karma”はとくに強烈だった。1ヴァースめを担当するOMSBは、ビートを無視しつつもさり気なく韻を踏んでいく。それに対して、2ヴァースめのUSOWAはがっつりビートに合わせて韻を踏んでいく。こうした構成上の工夫が作品の随所にある。スリリングで、聴いていて楽しい。

 とにかく、のびのびとやっているのだが、前述の通り、1曲でひとつのテーマを複数視点で展開しているので、ヴァースごとにメンバーの個性が如実に表れている。「Worth Life」では、冒頭でUSOWAが「今日の繰り返しがほら 来たるべき明日さ 回すKey Chain」と冷めた人生観を披露すると、JUMAは「難しい事は言えないけど太陽に手かざして血潮が見えれば life goes on !」とおおらかに歌う。さらにトリのDyyPRIDEは「不甲斐無え過去のてめえとおさらば」と現在の自分を讃え、明日への活力をみなぎらせる。ライムも言葉も十人十色で、若者たちの人生の縮図がそれぞれの曲に描かれているようだ。

 最近の日本のヒップホップ・シーンにはスターがいないと言われるが、そんなことはない。SIMI LABはもちろん、5lack、PUNPEE、サイプレス上野とロベルト吉野、AKLO、SALU、田我流、SEEDA、NORIKIYO、KOHH、MSC、ERA、Fla$hBackS……、彼らはストリートのスターである。『Page2: MIND OVER MATTER』を聴いていて、AKLOの「ダサいものと戦うのが俺のREBELだ」という発言をあらためて思い出した。ヒップホップへの情熱によって生まれたこのアルバムは、今日の日本のストリート・カルチャーの豊かさを証明するものであり、ヒップホップのリスナー以外にも聴いてほしい傑作である。

interview with Cloud Nothings (Dylan Baldi) - ele-king


Cloud Nothings - Here And Nowhere Else
Carpark / ホステス

Review Tower HMV iTunes

 インディ・ロックが2014年にもっとも期待する盤のひとつがリリースされた。年若き才能ディラン・バルディが率いるクリーヴランドの4人組、クラウド・ナッシングス3枚めのフル・アルバムだ。バルディの書く曲はデビュー当初から大きく注目を浴びていたが、結成から約5年の間、彼らはてらうことなく活動を充実させてきた。

 本インタヴューへのディラン・バルディからの返答は、どれもとても率直なものだった。アーティストとしてのエゴがきちんとありながら、しかし自らの像に下駄を履かせない。それは彼の表現に直接的に結びついていていることでもある。シンプルでまっすぐなパンク・ロック。そのまっすぐさがともすれば危うく感じられるほどロウに切り出されたのがスティーヴ・アルビニ録音の前作『アタック・オン・メモリー』(2012年)だとすれば、それをまさにエモとして咀嚼し、控えめながらポップ・ミュージックとしての洗練を加えているのがジョン・コングルトンとの今作『ヒア・アンド・ノーウェア・エルス』ではないかと思う。バルディという中心はいつでもただ率直に音楽に向かい、そして抜きんでて印象に残るメロディを生みつづけている。

 音楽に祝福されているとしか言いようのない、その若い生の喜びと憂愁にみちたパフォーミングについては、気づけばもう3度もレヴューを書いているので割愛するとして、棒立ちに近かった彼らの音のたたずまいが、枚数を重ねながら、そのまま人生における時の積み重なりにつられるように自然にカーブしていくさまに感動を覚えたことを記しておきたいと思う。今作において「完璧に仕上げることを自分に要求するようになった」というバルディは、勢いや生々しさ、青春の追い風によってはアルバム一枚しか作れないということを感覚で知っているのかもしれない。そして、それが職人になることではなく、心の中の衝動に目をつむるということでもなく、「自分がどういう人間なのか、自分はこの世界でどこに位置するのかっていうことについて語ってるんだ。成長するにおいてそれが大事だって俺は思うんだよね」──成長するということに自覚的であることを通して思考されていることに、彼のまっすぐさの深みがのぞいているように思う。10代のように思いあがっているのではない、10代のように真剣なバルディのこの先の時間には、パンクやロックにとっても重要な契機がふくまれているはずだ。

いまは卓越した楽曲を書き上げることに満足してる。だけど何年か経ったら、それに疲れてなんか狂ったことをするんだろうね。

今回、ジョン・コングルトン(John Congleton)をプロデューサーに迎えたことにはどのような意図があったのでしょう?

DB:ジョンは、去年俺たちのマネージャーをしていた人に薦められたんだ。ジョンについてはあまり詳しくなかったんだけど、いろいろ調べてから彼がふさわしいんじゃないかって思ってね。俺のテイストの音楽じゃないものでも、彼が手掛けたものはすべて素晴らしかったんだ。だからきっといいものができるって確信を持てたんだ。

新しく彼から学んだことはありますか?

DB:完璧に仕上げることを自分に要求するようになった。そうすればいいアルバムができるってことがわかったんだ。普段は「完璧」なサウンドになるようにっていうようなこだわりは持たないんだけど、ジョンと仕事をしてから、すべてのパートにベストを尽くせばもっと強い主張性を持ったアルバムを届けられるってことがわかったんだ。

“パターン・ウォークス”には大胆にギターのインプロヴィゼーション・パートがフィーチャーされていますね。こうしたさまざまな模索があなたの音楽の次の段階をひらいていくように思われますが、ご自身としてはどうですか?

DB:インプロを入れるのは大好きなんだ。俺たち曲にいつも入れている。ツアーで毎晩毎晩同じ曲をやるとき、狂わないで済む理由はまさにインプロだね。そこで新しいことを試すのがすごく楽しいんだ。

前作はアルビニ録音ということもあって生っぽさが意識されてもいたと思いますが、今作はさらにノイジーになっていますね。前作リリース後から今作制作にいたるあいだ、ご自身の音楽についてどのようなことを考えていましたか?

DB:『アタック・オン・メモリー』では転機を迎えて、それがあったこそ『ヒア・アンド・ノーウェア・エルス』にたどりつけた。音楽が前作では暗くなりすぎて、いまの自分とはちょっとすれ違うものがあったんだ。だから『ヒア・アンド・ノーウェア・エルス』ではまた俺のちがう面、新しい感情を入れ込みたかったんだ。

“ヒア・アンド・ノーウェア・エルス”とはどのような場所のことを言うのでしょうか?

DB:「いま」だね。いま、この瞬間を示している。場所じゃないんだ。自分の前にあるもの、後ろに置いてきたものじゃなくて、ただ「いま」を生きることが大事だっていうことを伝えたかったんだ。

今作は「ポジティヴな」作品であるとも語っておられますね。それはハッピーで明るい曲が増えたということではなくて、むしろ勢いやアグレッシヴさが増したということであるように感じます。あなたにとってのポジティヴな状態についてもう少し教えていただけませんか?

DB:歌詞はこのアルバムの方がポジティヴだね。音楽はアグレッシヴだし、生身のエネルギーを感じられるものだと思うんだけど、歌詞は自分がどういう人間なのか、自分はこの世界でどこに位置するのかっていうことについて語ってるんだ。成長するにおいてそれが大事だって俺は思うんだよね。

大人になったら何になろうと思っていました?

DB:何かをつくり上げる人。将来自分が何をしているかって考えたときに、何かしらアートを作り出している自分しか想像がつかなかった。

音楽制作において、「新しい音楽をつくりたい」「見たことのないものをつくりたい」という思いは強いですか?

DB:いまはそうでもないかな。いまは卓越した楽曲を書き上げることに満足してる。だけど何年か経ったら、それに疲れてなんか狂ったことをするんだろうね。

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歌詞は本当にギリギリになって書くんだ。じゃないと考えすぎて、自分が言おうとしていることはアホなんじゃないかっていう思いに陥いりそうでさ。


Cloud Nothings - Here And Nowhere Else
Carpark / ホステス

Review Tower HMV iTunes

あなたはシンプルながら本当に忘れがたいメロディを持った曲を作られますね。パワーポップやガレージ・パンク、あるいはサッドコアなどの名作と比較されることも多いかと思うのですが、意識したりリスペクトするバンドやアーティストはいますか?

DB:リスペクトしてるアーティストはたくさんいるよ。いまのお気に入りはザ・ワイパーズ(The Wipers)、スウェル・マップス(Swell Maps)、ザウンズ(Zounds)、プロトマーター(Protomartyr)、タイベック(Tyvek)……リストはキリがないよ!

歌詞は熟考しますか?

DB:いや、歌詞は本当にギリギリになって書くんだ。じゃないと考えすぎて、自分が言おうとしていることはアホなんじゃないかっていう思いに陥いりそうでさ。

本当に、ある意味ではすべてシングル曲と呼べるくらい1曲1曲が独立し完結した魅力を備えていると思うのですが、「アルバム」というフォーマットについてはどのように考えていますか? また、次のアルバムの構想はありますか?

DB:楽曲を順に並べるのは楽しい作業なんだ。実際、筋の通った順っていうのは一つしかないんだよ。『ヒア・アンド・ノーウェア・エルス』の曲順はあれ以外に考えられないね。次のアルバムの予定はまだないよ。先に曲を仕上げないとな。

フィジカル・リリースへの思い入れはありますか?

DB:レコードを集めるのは大好きなんだ。だけど実際なくなって空虚感が残るかって言われたらわからないな。

昨年(2013年)よく聴いた音楽を教えてください。

DB:プロトマイティア(Protomartyr )の『ノー・パッション・オール・テクニーク』。デトロイト発のバンドで、飛びぬけてるアルバムなんだ。俺がいままで聴いてきたなかで完璧だと思った楽曲がこのアルバムにはたくさん収録されているんだ。

小説やコミック、映画、ゲームなど物語系のコンテンツで好きなものを教えてください。

DB:手塚治虫の『ブッダ』をちょっと前に読んだんだ。とてもよかったよ。一つ一つの絵が映画みたいなところが好きなんだ。言葉がなくても、何を物語っているかがちゃんと伝わってくるんだよ。

THE KLO (TIGER HOLE) - ele-king

カクカクシカジカで少しの間足を休めてましたが、また踊りはじめました THE KLOと申します。
以後お見知り置きを。
今年2/15におよそ2年ぶりにやったTigerHole@bonobo。
久しぶりだしKURUSUとTARO AKIYAMAと自分の寅年レジデント3人でやろうと動きだしてからCola&JimmuのLIVE追加決定!
喜んでた所にKURUSUくん骨折!
そんな中遊びに行ったTerrence Parker@oppa-laでCMTと遭遇し快くピンチヒッターを引き受けてくれる(踊りに行けば未来は開ける)も当日大雪の為無念のリタイヤ!それを知ったNOBU君が急遽DJやってくれることに!!
そんなこんなで最高な友達と一緒に遊んでくれたパーティーアニマルな皆様のお陰で無事お昼過ぎまで素敵な時間をつくれました。
後日ジミテナーから最高のパーティーだったと連絡あり感激!!
次回TigerHoleはCMTリベンジ!KURUSU復活?
お楽しみに!
今回選んだのは そんなTigerHoleで最高の瞬間をつくってくれた10曲(順不同)です。


1
Music Hall - Levantis - TTT

2
Port Side Waves - Stephan Laubner - Perlon

3
Trade(Ricard Villalobos Mix) - Mono Box - Logistic Records

4
Everything - Rampa feat Meggy - Keine Music

5
Frequency Sexxx - Reade Truth - Planet E

6
Out Of Breach - MU - Out Put

7
Let Me See You Butterfly - Traxmen - Dance Mania

8
Situation(Hercules Love Affair Remix) - Yazoo - Mute

9
Deputy Of Love - Don Armandos Second Avenue Rhumba Band - ZE Records

10
Bad Driver(Aroy edit) - Chicago Skyway & Dcook - Mos Recordings

DJ予定
3/29 ハメ太郎@福岡TSUTI
GUEST DJ
YAZI(BLACK SMOKER/TWIN PEAKS)
THE KLO(TIGER HOLE)
DJ
DEE/IMMA/TAKENAWA/Michitoki KT
VJ
Livera Rhythm
FOOD
博多手いっぽんJr

4/17 PENINSULA@代官山saloon
4/21 @千駄ヶ谷bonobo
5/10 TOXICO@渋谷EN-SOF TOKYO
5/18 @歌舞伎町BE WAVE

Ø(Mika vainio) - ele-king

 ミカ・ヴァイニオ。ミカ・ヴァイニオ。その言葉を何度も繰り返して発してみる。とても不思議なリズムの言葉。まるで彼が生み出す音やリズムのようだ。非反復的な持続と接続。 彼の生まれはフィンランドなのだから、この名も、この言葉も、その土地の名であり、言葉なのだろう。そう、土地の名、名。わたしは、この新譜を聴いて、彼の生まれ育った土地のことを、行ったこともない未知の土地のことを想像した……。

 ミカ・ヴァイニオ。いうまでもなく、彼はあの伝説の接触不良電子テクノイズ・ユニット、元パン・ソニックの元メンバーである。さらには現在最高峰のエクスペリメンタル・サウンド・アーティストのひとりひとりでもある。フィンランド出身のミカは、90年代から00年代にかけて、同じく同郷のイルポ・ヴァイサネンとともにパン・ソニックとして活動した(初期は3人組)。彼らが繰り出すバキバキガキガキと律動するノイズとビートの横溢・奔流・震動に、世界中のテクノイズ・マニアの耳は強烈にアディクトさせられた。接触不良なノイズの快楽と、マシンビートの交錯。そして彼らは、2010年に傑作『グラヴィトニ』(ブラスト・ファースト・ペティ)をリリースし、その長年の活動を停止した。しかしミカの旺盛な活動意欲はとどまることを知らない。ソロ・アーティストとして、ソロ名義、コラボレーション、ライヴなど、多方面で活躍を続けている。

 とくに昨年のリリース・ラッシュは凄まじいものだった。ソロ名義(『キロ』)や、ヨアヒム・ノードヴァルとのコラボレーション作『モンストランス』(〈タッチ〉)、スティーブン・オマリーとのユニットÄÄNIPÄÄの『スルー・ア・プレ・メモリー』(〈エディションズ・メゴ〉)など傑作を矢継ぎ早にリリースした。続く本年もパン・ソニックのライヴ盤やアルネ・ディフォースとのコラボレーション作品が発表される。

 本作は、そんなミカ・ヴァイニオのØ名義の新譜である。彼はパン・ソニック時代からソロ作品もリリースしてきたが、Øはミカ活動初期から続いている名義だ。これはソロ名義よりも先にスタートしていたプロジェクトで、最初のリリースは1994年(『メトリ』)。つまりパン・ソニックのファースト・アルバム『ヴァキオ』(1995年)以前のことなのだ。これだけ長く続けているということは、ミカ本人にとっても、定点観測的な重要な仕事ではないのかとも思える。事実、このØ名義の音は、彼のどの作品とも違う。テクノという形式に、ミカ特有の非反復的なリズムが導入され、そこでノイズやアンビエントな感覚が密やかに鳴り響いている。パン・ソニックからノイズ成分を大幅に抜き取り、静寂なサウンド・スケープにテクノのコンテクストへ接続してみせた、とでもいうべきか。

 今回リリースされた新作『Konstellaatio』は、Ø名義作品としては2011年のEP『Heijastuva』から数えて3年ぶり、アルバムとしては2008年の『Øleva』より6年ぶりの作品である。本作も、Øらしく、これまでの路線を受け継ぐサウンド・スケープが展開されている。テクノを基調とした冷たくクールな質感、横溢する音の連なり。そこではソロやコラボレーション作品とはまったく違う透明な音が鳴り響いている。ノイズよりも、つるんとしたガラス細工のようなクリスタルなサウンドが主体なのだ。そして、そのガラス細工のような音の芯には、ミカの極めて個人的な響きが深く鳴り響いているように思えるのだ。そう、Øにおいて、ミカは自分の内面や人生を振り返るようなサウンドを出しているのではないか(たとえば2008年の『Øleva』ではピンク・フロイドのカヴァー・トラックが収録されていた)。そして、テクノというフォームを内側からずらしていくコンストラクション/コンポジションには、彼の個人性(リズム感や音響への感性)を強烈に感じることができるのだ。

 本作にもまた、そのアルバム・タイトルやアートワークを見てもわかるように、ミカ・ヴァイニオというフィンランドに生まれたアーティストの記憶やノスタルジアが圧縮されているように思える。まるで幼年期に見上げた星空の記憶が、クリスタルかつ非反復的な電子音によって鳴らされるような──煌くような連なりを持ったサウンド・テクスチュア。それほどまでに、このアルバムにはどこかノスタルジックな空気と時間が充満している。パン・ソニック的な壮絶なノイズの炸裂とは違う、静謐で繊細、クリアなサウンド。深く淡く響くダヴィな低音。その非連続的な音響/リズムの持続と切断。地に響くような低音と星空に煌くような高音。重力と上昇。これらにミカ・ヴァイニオというアーティスト/音楽家の本質が静かに息づいている。そう、本作は、大地と空を繋ぐ電子=音(響)楽であり、たとえるならば、密室から星空を見上げるような垂直性が表現されているように思えるのだ。

 このアルバムは、インダストリアル/テクノが人気のシーンに距離を置きつつも、同時に、北欧の土地だからこそ生まれたインダストリアル感覚を基調に、テクノと、アンビエントと、ミュージック・コンクレートが交信することによって、まるで個人史と電子音楽の歴史が(結果として)重なり合うような音楽/音響に仕上がっているのだ。ベルナール・パルメジャーニ、ピエール・アンリ、リュック・フェラーリなどのフランス電子音楽の大家たちが作り出した音響空間を密やかにのみこみ、そして俳句を彷彿させるような静謐な音……。

 個人史と音楽史が、ミカ・ヴァイニオの記憶の中で、必然/偶然に結びついているのだ。ベンヤミンの『ベルリンの幼年時代』のように、彼自身の記憶と人生が、断章的/包括的に鳴っているとでもいうべきか。その音響空間は記憶の中で煌くオーロラである。静寂で、非連続的で、密室的でもあり垂直的であり、時間が圧縮された記憶の結晶。そして、その郷愁には湿った感傷などまるでない。硬質なマシニック・ノスタルジア! このアルバムを、エクスペリメンタルな電子音楽を愛するすべての人に聴いてほしいと思う。そんな愛すべき作品である。

Gay Disco/House - ele-king

 ハウス、ハウス、ハウス……。これだけイーヴン・キックが鳴らされる時代なら、ゲイ・カルチャー界隈が盛り上がるに決まっているのです。というわけで、アンドロジニックなダンス・トラックをいくつか紹介。

Annie feat. Bjarne Melgaard / Russian Kiss



 コラムでも書いたけれども、それはまさにいま、たったいま起こっているのだ。僕はアメリカ大統領選があった2012年ごろがピークだろうなーと思っていたけれど、先日のソチ五輪をきっかけにして、おもに欧米のLGBT活動家がロシアのアンチゲイ法(「伝統的ではない関係性」を促進するのを禁じるとする法律で、「ホモセクシャリティの助長」が罰せられる)に対抗して、ゲイ・ライツを高らかに訴えている。たぶん、LGBTの歴史上でも最大の波が来ていると言っても過言ではないと思う。
 ノルウェーのエレポップ・アイコン、アニーはホモセクシュアル・アートも手がけてきた現代アート畑のビャーネ・メルガードを呼んで、なかなかラディカルなヴィデオとともにシンセ・ポップとしてプロテスト・ソングをドロップ。「ロシアのキスのために拳を振れ」。けれどもハーヴェイ・ミルクの70年代サンフランシスコの政治活動がそうだったように、この闘いには愛が溢れていて、それはゲイだけではなくあらゆるはみ出し者に捧げられている。「Show your love for the lovers, the others, the fighters, outsiders, people like you」。そう、あなたのようなひとたちのために。ポップでセクシーで、そして決意に満ちたダンス。

Pet Shop Boys feat. Panti Bliss / The Best Gay Possible - Oppressive Dance
Mix



 ペット・ショップ・ボーイズがここまでダイレクトに政治的な振る舞いをするのは珍しいのではないか? しかも、楽曲の上で、だ。アイルランドのドラァグ・クィーンのパンティ・ブリスによるホモフォビアについてのスピーチ(こちら、日本語字幕あり)にハウス・ビートをつけたトラックで、どこか切なげでフワフワしたヴォーカルはなるほどPSB。パンティ・ブリスの発言も非常にわかりやすくていいけれども、その上でどうしてもダンスせねばならないところにゲイ・カルチャーの底力を覚える。というか、PSBがそれを堂々と背負う日がついに来たのかと思うと感慨深い。

Hercules & Love Affair / Do You Feel the Same?



 そして真打登場。さあ、四半世紀前の薄暗いダンスフロアにタイムスリップしよう。そこにはセックスとドラッグの匂いが充満している。この先行シングルでは、得意のディスコのグルーヴで耳元に囁く……「あなたもそう思うでしょ?」
 もちろんだとも!! 新たなゲイ・アイコンの座へと登りつめたジョン・グラントも参加するアルバムは5月。すべての機運が熟している。

Friendly Fires & The Asphodells - ele-king

 夢見るロック・バンド、フレンドリー・ファイアーズ、そしてUKテクノ番長所属のジ・アスフォデルス(アンドリュー・ウェザオール+ティモシー・J・フェアプレイ)の共作が出ます。3月31日、フレンドリー・ファイアーズの自主レーベル〈Telophase〉からそのシングル「Before Your Eyes/Velo」が限定リリースされます!
 レコーディングはウェザオールのショーディッチにあるスタジオとフレンドリー・ファイアーズのフロントマン、エドのファリンドンのスタジオでおこなわれ……、そしてミキシングにはコニー・プランク(クラウトロックの父)がかつて所有したデスクを使用するという懲りよう。
 インディ・ロックとDJカルチャーの溝を埋めるというのは、エレキングのテーマでもあるので、実に興味深く、嬉しいニュースです。
 なお、フレンドリー・ファイアーズは2011年のセカンド・アルバム『パラ』に続くニュー・アルバムを現在制作中だそうです。


「Before Your Eyes」試聴:

Marii (S/LTD) - ele-king

女3人でパーティ「S」をオーガナイズしています。
次回は3/29(sat)、ゲストにKABUTO(CABARET/LAIR)を迎えて開催します!

DJスケジュール
29th Mar 2014 S@KOARA
25th Apr 2014 JACARANDA@M

Sblog :https://ameblo.jp/s-3djs/

Soundcloud : https://soundcloud.com/mariiabe

むいしきにダンシングできる10曲を選んでみました。
のどに詰まった魚の骨、満員電車でひっかかった私のカバン、よく覚えていないけど気になるアノヒト。
地面におちてゆくID。すべてむいしきの仕業。今夜はどこかへ遊びに行こう、そんなときに踊りたい10曲。
(順不同)

むいしき10トラック


1
Cola&Jimmu - Enigmatic - Herakles Records

2
French Fries - Smoke Wine(Goldffinch Remix) - Dirtybird

3
A Man Called Adam - Que Tal America?(Robert Mello's Filter Edit) - Other Records

4
Jon Kwest - That's Love(Love Movements) - ?

5
Guillaume&The Coutu Dumonts - Indigo Shower - Oslo

6
Point G - Braka - Point G

7
Madteo - Insider - Morphine Records

8
Beat Freak feat.Maria - Loop Trick Original Mix - King Street Sounds

9
Enrico Mantini - Dont't Think About It - Traxx Underground

10
Thomas Schumacher - You got me(Onno Remix) - Get Physical Music

『いじわる全集』 - ele-king

 柴田聡子のセカンド・アルバムは、本人によるレーベルからのリリース。録音も自らが行っており、弾き語りのスタイルは変わらないものの、〈浅草橋天才算数塾〉から生まれたデビュー・フル『しばたさとこ島』(2012年)以降、彼女が何を歌い何を感じてきたのかということがしっくりと盤として落とし込まれている。タイトルは『いじわる全集』。〈レコード・ストア・デイ〉に際し、限定7インチもリリースとなるようだ。ele-kingは〈レコード・ストア・デイ〉を応援します!

柴田聡子『いじわる全集』

■柴田聡子『いじわる全集』
初回限定プレスのみ豪華紙ジャケット仕様
レーベル:柴田聡子
発売日:2014年5月21日
金額:2,300円+税
曲目:
01.部屋を買おう
02.おまつりの夜
03.ベンツの歌
04.しんけんなひとり
05.はやいスピード
06.緊張のあいだ
07.(わたしが)ほんとうになったら
08.いきすぎた友達
09.ふしぎね
10.とさだより
11.三つの屋根
12.責めるな!
13.会いに行きたい
14.お別れの夜
15.いじわる全集
16.ストレートな糸

全曲 作詞・作曲・演奏・録音:柴田聡子
ゲスト:植野隆司(e.guitar M.4.16)
マスタリング:大城真

■先行シングル「いきすぎた友達」(7”)
RECORD STORE DAY限定アイテム
発売日:2014年4月19日
金額:1,500円+税
B面収録曲:アルバム未収録曲として、昨年惜しくも解散したいまや伝説のバンド“MAHOΩ”の代表曲“しかけの恋”のカヴァーを収録。
オマケとして同内容音源を収録した8センチCDを同封。
曲目:いきすぎた友達/しかけの恋(MAHOΩカバー曲)
演奏・録音:柴田聡子
マスタリング:大城真

■RECORD STORE DAY
https://www.recordstoreday.com/
https://www.recordstoreday.jp/

■柴田聡子コメント
このアルバムを録ろうと思って、家でひとりでデモを録ったのが、2012年の12月30日。
年をまたぐ頃、デモが完成。今回参加していただいた植野隆司さんをはじめ、何人かにこれを渡す。その後、途中、何回か録音したけれど失敗したりする。一年間、ライブでこれらの曲をずっとやって、偶然にも、2013年の12月30日にもう一度、録音開始。録音は自分ですることにした。神保町試聴室をお借りした。植野さんにお願いして、ギターを弾いて頂いたり、音を聴いて頂く。集中力が無いので、一日の録音時間はきっと短かった。2014年1月2日、録音終了。植野さんがこの録音の音源を大城真さんに聴かせたところ、マスタリングを依頼することが出来た。1月21日、マスタリング。1曲削った以外は、一年前とほとんど同じ曲順だった。(デモは17曲あった。)タイトルも、一回考え直して、これだ、となったけれど、やっぱりやめてしまい、迷っていた。三沢洋紀さんのところに音源を渡しに行った時、タイトルが決まっていない、というはなしをしたら、曲目の中から「いじわる全集」を選んで、これかな、とおっしゃった。すっかり忘れていたけど、それは一年前に思ったタイトルのそれだったので、納得がいった。
こういう経緯で、できました「いじわる全集」というアルバム、お手に取って聴いていただけると、とても嬉しいです。

■プロフィール
1986年札幌市生まれ。2010年より都内を中心に活動を始める。2011年、夏と冬に2枚のデモCD(計20曲)を発表。東京芸術大学大学院映像研究科2011年度修了制作展「MediaPractice11-12」のテーマソングにボーカルで参加。2012年6月、1stアルバム「しばたさとこ島」を浅草橋天才算数塾より発表。2012年11月には同アルバムの10インチ・アナログレコードをなりすレコードより発売。2013年8月、12インチ・アナログレコードシングル「海へ行こうかEP」をなりすレコードより発売。また山本精一と岡田徹(ムーンライダーズ)のユニットya-to-iの12年ぶりの新作『Shadow Sculpture』にゲスト・ボーカルとして全面参加。2014年5月、2ndアルバム「いじわる全集」発売予定。

■オフィシャル・ウェブサイト sbtstk.tumblr.com


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