「Re」と一致するもの

Cuushe - ele-king

 とにかく可愛らしいアートワーク......、このイラストだけでも相当にヒキがあると思われる。クーシーが日本人女性だという以外のこと、たとえば彼女がどこに住んでいて何歳ぐらいの方なのか僕は知らない。僕が知っているのは、昨年、彼女は8センチCD3枚組の素晴らしい作品を出して、そこにはジュリア・ホルターとモーション・シックネス・オブ・タイム・トラヴェル(Motion Sickness Of Time Travel)がリミキサーとして参加していたこと。海外には、彼女のファンが多いこと。まあ、日本人女性は、基本的に海外で人気がある。
 『バタフライ・ケース』は、ツイン・シスターの洒落たエーテル系ラウンジを彷彿させる。ギターがきゃんきゃん鳴っているわけではない。もっとエレクトロニカ寄りで、アンビエント/ダウンテンポの柔らかい、生ぬるい、心地よい、力が抜けていく感覚が全体を貫いている。
 この手のサウンドを語る上で、いまでもコクトー・ツインズが持ち出されることが多々あるが、そんな重荷は感じない。コクトー・ツインズにはジョイ・ディヴィジョンの亡霊、暗い時代の暗い青春があったが、いまはもうそんなものはない。メロディアスだが、歌は何を歌っているのかさっぱりわからない。ある意味これほどまでに何も言っていないところがすごいとういか、ふわーーーーーーっとして、ぼーーーーーっとしている。彼女の、そんなところが世界的な共感を呼んでいるのだと思う。暗い時代だからこそ、ふわーーーーーーっとして、ぼーーーーーっとしているのだ。がんばれ、がんばれっていうほうがつらく、この夏の空のように空しい。『バタフライ・ケース』の脱力感は、しかしがんばれがんばれの日本では、やっぱ浮いてしまうのかな。

 東京の〈flau〉は日本的線の細さ、潔癖さを前向きに展開しているレーベルで、エレクトロニカ、アンビエント、エーテル系フォークなんかを得意にしている。クーシーの『バタフライ・ケース』と同時に、レーベルのコンピレーション『FOUNDLAND』もリリースされた。コンピといっても、これはレーベルが原宿の〈VACANT〉で企画していたライヴ・イヴェントを録音したもの。最近デビュー・アルバムを発表したばかりのYOK、ベテランのテニスコーツ、中堅どころのPoPoyans、ブリストルのRachael Dadd、レーベルの看板のひとりMayMay、すでに人気のあるPredawn他、惑星のかぞえかた、AOKI,hayato、ASPIDISTRAFLY、扇谷一穂 、カラトユカリ、加藤りまといった女性シンガーの曲が計12曲収録されている。
 青葉市子や平賀さち枝といった人たちに続くような、フォーク路線の人もいるにはいるが、それとは別の、ヴァシティ・バニヤンというか、いやむしろトレイシー・ソーンのソロ・アルバムをちょっと彷彿させるような、アコースティックに走った〈チェリー・レッド〉的な、ある種ネオアコ・リヴァイヴァルと言ってもいいのではないでしょうかと思える人たちもちらほら。グルーパー以降を感じさせる人もいる。何にせよ、静かで、新しい鼓動を感じる好コンピレーション。

Chikashi Ishizuka (Nice&Slow) - ele-king

自身のレーベル、Nice & Slow より
Chikashi Ishizuka - Step Forward / Boogie Man
リリースされました。

www.chikashi.ishizuka@facebook.com

can you feel it 2013/08/09


1
George Duke - Feel - Mps

2
Chateau Flight - La Pregunta - Permanent Vacation

3
Pacific Horizons - Witches Of Castaneda - Pacipic Horizon

4
Claudio Passivanti - Fantasy - Sunlight

5
Mat Anthony - Lune Afrique - Aficionado

6
Finis Africae - Last Discovery - Em

7
Michael Booth Man - Waiting For Your Love - Invisible Touch

8
Manu Dibango - Kusini - Lpk

9
Missa Luba - Les Troubadours Du Roi Baudouin - Philips

10
Chikashi Ishizuka - Boogie Man - Nice&Slow

Detroit Report - ele-king

 廃墟、破綻、暴動、モーター・シティ。デトロイトと聞いてテクノ以外に対となる言葉はこんなとこだろう。愛、暖かい光、力強さ。そしてその間にある荒廃。眩しいぐらい前進する言葉が並ぶが、わたしが見たデトロイトは、まさにそれだった。乱反射する輝きに、荒廃する街は少し滲んで見えた。
 「デトロイト市財政破綻」のニュースが流れた直後の、7月31日から8月5日までのあいだデトロイトに滞在した。そんなにすぐに街に何か変化が出るわけではないとわかってはいたが、わたしは少々ナイーヴな時間を成田からデトロイトに到着するまでのあいだ過ごした。到着後、滞在予定のモーテルに向かう車内から外を眺めていると、瞬きをするように目に廃墟が飛び込んでくる。生気がなくなっている街には夏が似合わないな、と思いながら車に揺られた。しかし、この日からの毎日は報道されている「危険な街デトロイト」とはほど遠いものだった。
 水面が輝くデトロイト・リヴァー沿いを家族連れが散歩し、対岸に見えるカナダのウィンザーを眺めながらカップルは穏やかな休日を過ごしている。朝食を食べるダイナーは朝から賑わいを見せ、これから仕事に向かうであろう男性は隣の席に座る知らない青年に「おはよう」を投げかける。わたしはたくさんの人に抱きしめられ、「ようこそデトロイトへ!」と、そう、誇りに満ちた声で何度も歓迎を受けた。失礼かもしれないと思いつつ、わたしは出会った人たちに聞いてみた。「財政破綻で何か変わりそう?」と。「何も変わらない。ここでいつも通りの生活をするのみだよ」誰もがそう答えた。

 最終日の深夜、マイク・バンクスの案内により、この数日のあいだに感じたものと対極にあるデトロイトを見せつけられることになる。「廃墟は美しい」なんて軽い言葉は出ない、車の製造を辞め直視ができないぐらい朽ち果てたフィッシャー・ボディ社のビル。東側にある"リッチな"白人が住むエリア。ここは黒人が車で通ることさえも許されず、警察に見つかれば事情を聞かれる。黒人と白人が住む、ふたつのエリアを分ける光──。
 全体がオレンジ色に光る大きな家が並ぶエリアを通りぬけると、突然やってくる街灯はもちろん、店の明かりも何ひとつない闇の世界。輝く月さえも敵に回したようなこの闇から、あの空が明るく見えるほどの暖かい光はどんな風に見えていたのだろうか。
 4時間ほどかけた深夜のガイド・ツアーを終え、その夜に見たすべての景色を飲み込むようにマイク・バンクスは言った、「ここは素晴らしい人とたくさんの愛がある場所だ」と。それはありきたりだけど、この街には十分な言葉だった。
 綯い交ざる6日間の風景をうまく消化できないまま、数時間後には帰りの飛行機に乗り、きっとこれからもここデトロイトからたくさんの音楽が生まれ続けるのだろうと考えていた。

 さて、デトロイトのネクスト・ジェネレーションといえば、今年自身のレーベル〈Wild Outs〉からファースト・アルバム『The Boat Paty』をリリースしたカイル・ホールがいる。そのカイル・ホールとデトロイトで活動を共にしているジェイ・ダニエルは3年前にDJをはじめた。
 今回、デトロイトのBelle Isle Park で開催された「Backpack Music Festival」でジェイ・ダニエルのDJを聞くことができたが、わたしが見たデトロイトの風景とオーバーラップしたそのストーリーは、美しさと荒さが気持ち良いぐらいに混ざり合っていた。スモーキーなディープ・ハウスで空気を暖めたかと思ったら、乾いたパーカッションのみが青空の下で鳴り響いている。ときにはデトロイト・エレクトロや荒削りのシカゴ・ハウス、そしてそこに追い打ちをかけるようにトライバルなアフロリズムが投下される。縦横無人に行き来しながらも途切れないファンキーなグルーヴの力強さに、現在進行形のデトロイトを感じることができた。

 ジェイ・ダニエルとカイル・ホールはふたりで「Fundamentals」というパーティを定期的に開催している。2年程続いている、"基本"とか"根源"とかの意味をもつこのパーティでは90年代のテクノやハウスも惜しみなくプレイされる。それは客層が10代~20代の若めのパーティということもある。もちろん、この地で生まれた音楽を紹介する意味も込められている。
 ハウス・ミュージックを聴く年齢層が高いデトロイトでは、このようにキッズが集まるパーティは少ない。本来、音楽というものは外側と内側、両者からの受容を繰り返し、その土地の人びとの魂とともに生きながらえているものだ。先人が作り上げたものを次の世代にへ伝えていくという彼らの意識の高さに、デトロイト・テクノやハウスにある種の伝統芸術を見ているような気がした。

 インタヴュー当日、彼は「オススメのレコード屋があるんだ」とデトロイトの街案内もかねて連れて行ってくれた。そこはジェイ・ダニエルが以前働いていたデトロイト西側にある〈Hello Record〉。主にファンク/ジャズ/ソウルを揃えているお店だ。テクノ/ハウスのコーナーはとても少ない。
 途中、彼の友人たちも合流し、その場はアニメや映画の話で盛り上がりを見せていた。ひとり寡言なジェイ・ダニエルに友人は「彼は音楽にしか興味がないのよ」と柔らかい表情で笑った。
 そんなジェイ・ダニエルにとっての初めてのEPがセオ・パリッシュのレーベル〈Sound Signature〉から発売される。その新曲についても話してもらいました。

ジェイ・ダニエル

このデトロイトで、エレクトロニック・ミュージック・シーンを先駆してきたアーティストたちはもう少しデトロイトの音楽シーンに貢献できたんじゃないかなって僕は思うんだ。デトロイトに1ヶ月滞在しても自分たちが観たいと思っているデトロイトのDJを観ることができないことだってあるからね。

デトロイト生まれですか?

ジェイ・ダニエル(JD):ワシントンDCで生まれて、2歳のときに母親とデトロイトに移り住んだ。いま22歳。DJをはじめてから3年かな。高校はメリーランドの高校に通っていたけれど、2009年に再びデトロイトに戻ってきて、後にDJをはじめたんだ。そこから1年後、カイル・ホールに出会ってすぐに打ち解けた。デトロイトにはいいレコードもたくさんあって、いつも何か新しいものが生まれている場所なんだ。

どういう音楽に影響を受けてきましたか?

JD:僕の母親もシンガーなんだ。1993年にカール・クレイグとレコードもリリースしてるよ(なんとあの名曲、"Stars"と"Feel the Fire"で歌っているナオミ・ダニエル!)。彼女の影響は大きかったね。幼少時代にハウス・ミュージック、オルタナティヴ・ミュージックもたくさん聴いていたよ。ジャズもね。WJLBっていう、地元のジャズのラジオ番組なんだけど、それをよく聴いていたよ。いろんな音楽を聴いて育って、折衷してきたものがいま僕のサウンドに反映されているんだ。

いつからDJはじめたのですか?

JD:DJをはじめたのは2010年。それ以前にはDJソフトをラップトップのなかにインストールしていて、「DJ」はかじっていたんだ。そのあとmp3で使っていたけれど、ターンテープルを持ったのは2010年だった。

デトロイトの音楽シーンをどう思っていますか?

JD:このデトロイトで、エレクトロニック・ミュージック・シーンを先駆してきたアーティストたちはもう少しデトロイトの音楽シーンに貢献できたんじゃないかなって僕は思うんだ。デトロイトに1ヶ月滞在しても自分たちが観たいと思っているデトロイトのDJを観ることができないことだってあるからね。ビジネス的なことを考えると、海外でDJをすることが多くなるのは自然なことだとわかっているけれど、ここデトロイトには他の場所にはない音楽のルーツ、基盤が存在するんだ。その基盤をもっと呼び起こしていきたいと、カイル・ホールと僕はここでの活動に力を入れているんだ。

「バックパック・ミュージック・フェスティヴァル」で他のDJたちはCDやPCでプレイをしていたのに対して、あなたが誰よりも若いDJなのにアナログを使ってたのが印象的でした。いつもアナログですか? アナログにこだわる理由があれば教えてください。

JD:そう、いつもレコードでプレイするよ。たまにCDも使うけどね、大抵はレコードだね。ラップトップは壊れたらそれっきりだけど、レコードはレコードをなくさない限りプレイできる。より強く音楽性を感じられるし、フィジカルに音楽と触れ合えるレコードにやっぱり魅力を感じるんだ。ラップトップのテクニカルな面だったり、DJコントローラーのことを気にする必要もない。レコードでしかみつけられない曲もあるしね。アナログがなによりも一番だと僕は思うんだ。

好きなDJや影響を受けたDJは誰ですか?

JD:デリック・メイとセオ・パリッシュ、リック・ウィルハイトかな。僕をはじめ、彼らから影響を受けたDJたちはたくさんいるよ。

デリック・メイとセオ・パリッシュのDJスタイルは違いますが、どちらがあなたのDJスタイルに影響していますか?

JD:おそらく、セオ・パリッシュのほうかな。ジャズやフュージョンをDJに多く取り込んでいる彼のスタイルに影響を受けていると思う。デリック・メイはもっとテクノ色が強いDJスタイルでビッグ・オーディエンス向けだよね。DJをはじめた当初、自分のスタイルを模索していたときに言われたことは、自分のセンス、音楽性で、自らの手で作り上げてくことでDJのスタイルは確立されるということ。僕のDJスタイルはリズムなんだ。

いつもレコードでプレイするよ。たまにCDも使うけどね、大抵はレコードだね。ラップトップは壊れたらそれっきりだけど、レコードはレコードをなくさない限りプレイできる。より強く音楽性を感じられるし、フィジカルに音楽と触れ合えるレコードにやっぱり魅力を感じるんだ。

新譜について訊かせてください。何故〈Sound Signature〉からリリースすることになったのでしょうか?

JD:ディープ・ハウスにテクノが融合しているトラックだよ。テープでレコーディングしたから独特の音色に仕上がっているんだ。あまり機材を持っていないから持っているものでできる限りのことをしたよ。セオ・パリッシュがデトロイトでDJをしているときに彼に僕の曲を手渡したんだ。その夜彼は僕の曲をプレイしなかったけれど、その後海外でプレイしてとても気に入ってくれて、〈Sound Signature〉からのリリースが決まった。

曲作りにおいてあなたのイマジネーションはどこからきてますか?

JD:どこからかな。過去の経験かな。人はひとりひとりそれぞれの人生を歩んで、それぞれの経験をするよね。アーティストの表現、イマジネーションにはそんなそれぞれが経験してきた良い出来事も、辛い出来事もすべてが糧になってアーティストの表現するものに投影されているんじゃないかな。僕は無口なほうなんだけど、僕が感じることを音楽を通して表現しているんだ。

もうその次の新譜も制作していますか? もし予定があるなら教えてください。

JD:作っているよ。〈Wild Out〉から年内にリリースを予定しているよ。いつも制作には取り組んでいるし、ミックスも手がけている。新しい機材も増やそうとしているんだ。もちろん音楽をつくるときに大事なのは機材を増やすことで音が良くなることよりも、どれだけクリエイティヴに自分のアイディアを作品に投入できるかだと考えているけどね。

ちなみに、どのような機材を使って曲作りをしていますか?

JD:使っている機材は、MPC1000、JUNO106、KORG DW-8000 テープを収録するミキサーをひとつ。 ドラムマシンはMPC、たくさんサンプルが入っているんだ。僕自身ドラムを演奏するんだよ。

これからDJと曲作り、どっちをメインにやっていきたいですか?

JD:もっと曲作りをやっていきたいと思っているよ。作曲をはじめてから自分のDJスタイルも変わってきたんだ。リズムが大事なんだ。いい楽曲があってのDJだから曲作りに力を入れていきたいと考えてるんだ。

デトロイト出身のアーティストは、海外に拠点を移し活動している人もいれば、絶対にデトロイトから離れない人もいますが、制作活動するにおいてデトロイトを拠点にするということは、あなたにとって重要ですか?

JD:制作する場所に関しては、どこに住んでいるかは関係ないと思うんだ。たしかにデトロイトはアーティストにとって、創作するスペースが十分にあるのではないかと感じる。ニューヨークや他のアメリカの都市はアーティストで混み過ぎているからね。とはいってもやっぱりどこに住んでいるかはあまり問題ではないと思う。自分の表現したいこと、クリエイティヴな発想が自分にしっかりある限りね。僕はおそらく、しばらくはデトロイトを拠点にすると思う。もし拠点を移すとすればロンドンかな。アメリカ国内ではないね。

続く

Lil Ugly Mane - ele-king

 僕のようなラップ・ミュージックのバッグ・グラウンドの乏しい人間がレヴューを書くべきでないのは重々承知の上であるが、本国での盛り上がりをよそに誰も書いてくれないので書きます。もう我慢できなかったんですよ!

 オッド・フューチャーをスケート・パンクとすれば、リル・アグリー・メーン(Lil Ugly Mane)はバンダナ・スラッシュであろうか。どちらも現在のUSを象徴するラップ・ミュージックだ。

 ショーン・ケンプ(Shawn Kemp)ことリル・アグリー・メーンはどうやら彗星のごとくシーンに現れたわけでもないようだ。現在もアクティヴなのかは定かでないが、ヘッド・モルト(Head Molt)という一聴するところのどうしようもないノイズ/パワエレ・バンドで活動していたトラヴィス・ミラー(本名)は、どうしようもないノイズ/パワエレを炸裂させる片手間、ショーン・ケンプとしてMCとビートを制作していたらしい。故郷のリッチモンドからフィリー、そしてウェスト・ボルチモアとマウントバーノンでこの『ミスタ・サグ・アイソレーション』を完成させ、再びリッチモンドで暮らす彼のドリフト生活遍歴。これらの土地から想起されるここ10年のUSインディー・シーンを照らし合わせば、なるほど彼の音楽遍歴がおのずと見えるではないか。ページ99(PG99)世代のヴァージニアの激情ハードコア・シーンで思春期を過ごした歪んだ美意識は、時を経て当時ドロ沼化していたであろうボルチモアの変態シーンで洗礼を受け、ある種のポップネスを開花させた。ピクチャープレーン(Pictureplane)やDJドッグディック(DJ Dogdick)、ソーン・レザー(Sewn Leather)らとの絡みも共鳴ゆえのものなわけだ。

 満を持してドラキュラ・ルイス(Dracula Lewis)率いる〈ハンデビス〉からの豪華極まるフィジカル・ヴァイナル盤がリリース。近年のUSアンダーグラウンド(でもイタリアのレーベルなんですけど......)発のトレンドを並べたレーベルから出ることは必然ともいえよう。

『ミスタ・サグ・アイソレーション』に捨て曲はない。ウィッチハウス、ヴェイパーウェーヴ、インダストリアルと昨今のキーワードがブラウン管に発光しながらもスクリュードされ、シンプルで野太いビートが際立った極上のトラック、偏執的サグ思考のリリック、これって何? ニューエイジ・ギャングスタラップ? あがるわー。

TRANCE - ele-king

 出だしのベタなはじまり方におっ、ついにダニー・ボイルもセル・アウトしたかと思ったが、だんだんとトランスな感じになっていく展開はさすがである。しかし、新作『トランス』は難しい映画である。

 難しいと言っても難解とかじゃなく、おもしろいような、おもしろくないような、どっちなのだろうと判定するのが難しいという意味である。

 『トランス』はダニー・ボイルのデビュー作『シャロウ・グレイブ』と同じく、利己主義者がどんどんと泥沼にハマっていく小洒落たサスペンスなのだが、どうも『シャロウ・グレイブ』のようにシャープでない。『ビーチ』が『トレインスポッティング』のようにシャープじゃなかったように。

 催眠療法というネタを持ってきたところが、物語からシンプルさを奪ってしまったと思う。いや、催眠療法があるから物語にトランス感を生んで、ドラッギーな部分が不安感からくる気持ちよさを生むのだが、無理があると思う。

 催眠で人間をコントロールできないというのは、僕でも知っている一般常識なので。

 でも、世の中変わっているかもしれないですよね。主人公が催眠治療を受ける治療院はアメリカの高級な精神科医の病院みたいで、僕が知っている頃の催眠治療って、中華街の片隅にあるようなうさん臭いところでしたから。

 『トランス』を観て、僕もいまから催眠術の資格とって金持ちになろうかと思った。

 犯罪者も変わっていている。金持ちそうだった。

 ダニー・ボイルの映画はそうやって時代の変化をちゃんと描いていると思う。

 日本の変化は全然気づいてないけどね。『トランス』のオチのひとつが日本ではまだ全然だめなことをダニー・ボイルは知らない。日本で観た人はオチを説明されるまでクエスチョン状態だと思う。

 そのオチが『クライング・ゲーム』と同じで笑った。やっぱダニー・ボイル、イギリスの先輩監督、ニール・ジョーダンに影響受けているのかと思った。

 『クライング・ゲーム』の方は笑いとばすことじゃなく、深刻な問題ですけど。『トランス』は、えっ、そんな細かいことヨーロッパはまだ気にしているの、と思った。

 すいません、観てないと人には何の話かわからないですよね。でも、観たらこのネタは絶対大爆笑すると思う。

 難しいという意味はこういうことなのだ。恋人と観に行ったら、「いろいろ考えさせられるよね。」とオシャレにしゃべることもできそうな映画なのだが、友だちと見に行ったら、「なんかむちゃくちゃ過ぎない」とバカにして終わるような映画、一人で見に行ったら、友だちにどう説明したらいいのか悩む映画。

 ダニー・ボイルらしい映画だけど、もうちょっとシンプルにした方がよくなかったかいと思った。

オン・ザ・ロード - ele-king

 学生時代にアレン・ギンズバーグの詩集を読んでいたら、同級生の友人に笑われたことがある。要するにビート文学をいま読むことに意義はあるのか、ということで、当時そのことに腹が立ったのは図星だったからだろう。いまではいい思い出だ。ポスト・インターネット時代にこの国で生活をしていると、カウンター・カルチャーもビートもはるか遠い世界のことのように思えてくる。

 ジャック・ケルアックの『路上/オン・ザ・ロード』の映画化にいま、喜ぶのは誰なのだろう。......いや、そのような問いは不毛なのかもしれない。「ビート文学の不朽の名作」を、「フランシス・フォード・コッポラが長年の苦難の末に実現した」ものなのだから、それだけでありがたいものなのだろう。が、どうしても気にかかってしまうのは、いまこれが、若者のための映画となり得るかどうかだ。「おっさんたちのノスタルジー」だと若者に言われたら、誰がどんな風に反論するのだろう。

 実際、監督ウォルター・サレス、撮影エリック・ゴーティエの『モーターサイクル・ダイアリーズ』タッグによる風景映像はどこまでも瑞々しく、美しい。そしてその瑞々しさ、美しさがこの映画の最大の魅力であり、最大の問題点であるだろう。主人公サル、すなわちケルアックを『コントロール』でイアン・カーティスを演じたサム・ライリーにやらせるというのも、何だか周到すぎるように思える。絵に描いたような青春映画、ロード・ムーヴィーとして『オン・ザ・ロード』はあり、しかしこれ以外に映画化の着地点が思いつかないという点で、製作総指揮のコッポラは何も間違ってはいないだろう。全編にわたって生命力に満ちたジャズが流れ、インターネットが若者を部屋に閉じ込めてしまうはるか以前の物語が、「路上」に自由を求めた魂たちが活写される。結局このノスタルジックな輝きにどうしても抗えない僕は、同世代の連中に笑われても仕方ないのだろう。(そしてこれは、現在の洋楽受容問題とどこか似ている。)
 映画は断片的なエピソードの積み重ねであった小説を再構築し、サルと破天荒なディーンとの関係を中心に据えることで、一種のブロマンス的側面をかなり前に出しているように見える。ここは今回の映画化では現代的なところで、自由を求めて旅に出るようなことが過去の遺産になったのだとしたら、当時の彼らの青春を観客と近いものにするために、そこにあるきわめて緊密な関係性を見せることは理に適っている。ただそれゆえに、ジャズ文体と言われた即興的な原作の持ち味はここにはあまりなく、ふたりの友情と愛憎の物語に回収されてしまう面もある。

 だから、非常にアンビヴァレントな気持ちで映画を......ふたりの出会いと別れの物語を僕は観ていたのだが、映画の終わりでこの映画化の意義を「耳にする」。3週間でこの小説を書き上げたというケルアックによる、タイプライターの激しい打音。それ自体が、この映画の鼓動になっていくようだった。普遍的、なんて言葉は簡単に使いたくはない。なぜなら、ここにある「自由への渇望」も「路上」も、「魂の開放」も、過去の遺産になってしまった時代にわたしたちは生きているからである。けれども、タイプライターのその音は、おそらくいまもまだどこかで鳴っているものだ。
 いまビート文学を回顧することは、ノスタルジーか、さもなければたんに歴史の確認なのかもしれない。しかしこの映画には、そのことを理解した上で、先達の創作欲求を深くリスペクトする。現代の路上はもはやインターネット上にあるのかもしれない、が、そこから何かを生み出す若い才能はきっと似た目をしている。

予告編


Volcano Choir - ele-king

 この熱。火山を名前に冠したこのバンドの音は、まさに山から噴出する溶岩の赤の鮮烈さを思わせる。脈を打つようなドラム、あまりにも雄弁なギター・ワーク。血液の流れのようなドローン、陶酔的なアンビエンス、繊細なエレクトロニカ、ときに烈しさすら伴うゴスペルとソウル......。ヴォルケーノ・クワイアの音楽はつねに実験性の高さに貫かれながらも、それ以上にほとばしるような熱さこそがたまらない。これはまるで、生き物そのものだ。彼らが好んでモチーフに使う自然の風景それが、たしかに生きていることを音で示すようだ。

 このエモーションの奔流がどこで生まれたか、それを思うたびに僕はジャスティン・ヴァーノンの左胸のタトゥーのことを考える。誇らしげに刻まれたウィスコンシンの地形図......ボン・イヴェールのデビュー作が人びとの心を奪ったのは、その豊かな叙情がアメリカの片田舎のその奥からひっそりと声を上げたからである。だがそれは、けっして彼個人の才能に集約されるものではなかった......そこには彼のファミリーがいた。血縁だけでない、ともに音楽すなわちハーモニーを奏でる仲間たちだ。古くからの友情で成り立っているヴォルケーノ・クワイアは、ヴァーノンがグラミー賞のレッド・カーペットのその嘘くさい華やかさに背を向けて、帰る場所として選ぶのに相応しいバンドであり、共同体であったと、そういうことだ。
 ここからは堅い信頼が聞こえてくる。すでに豊かな叙情性に恵まれていたデビュー作『アンマップ』ですら、本作『リペイヴ』を聴くとまだ未完成のプロジェクトによる習作だったのだと思わされる。『アンマップ』の時点では、前身をペレとするコレクションズ・コロニーズ・オブ・ビーズポスト・ロック、ジョン・ミューラーのドローン、トーマス・ウィンセックのエレクトロニカ、ジャスティン・ヴァーノンのアンビエント・フォークとゴスペル、といったように簡単に見取り図が描けたのだが、日本ツアーを経てファームなバンドとなった後の本作では、それら個々人の音楽的語彙がすべてシームレスになり、そしてその上でスタジアム・バンドを思わせるほどのアンセミックな展開が用意されている。とくに前半4曲の勢いはドラマティックで、"タイドレイズ"でのじっくりと演奏されるアコースティック・ギターのイントロが、シングル"バイゴーン"でのヴァーノンの叫びに向かって開かれていく流れはそれだけでひとつの物語のようだ。全体的に言えばボン・イヴェールのセカンドと『アンマップ』の間のどこかに位置しているかもしれないが、前者より複雑な実験性があり、後者よりもメロディアスでポップな感触がある。
 穏やかなアンビエント・フォーク・ナンバー"アラスカンズ"で始まるアルバム後半は、よりねじれたソウルへと分け入っていく。なかでもロバート・ワイアットがブライアン・イーノのサウンドで聖歌を歌うような"キール"、そしてエレクトロニクスとギターがスリリングなせめぎ合いを見せる"アルマナク"のラスト2曲は、メロディ・ラインの半音のニュアンスに背中を撫でられているような生々しさを覚える。今回ヴァーノンは楽器をほとんど弾かずに歌に専念しているせいもあるだろう、アルバムを通して低音からファルセット、エフェクト・ヴォイスまでを駆使しながらほぼひとりで「聖歌隊」の多彩なエモーションを次々と産み落としていく。

 "アラスカンズ"で引用されているサンプリングは、死について書かれたチャールズ・ブコウスキーの詩の朗読だという。思えばブコウスキーもまた、強烈なパーソナリティを持っていながらも、アメリカの埋もれた生を象徴するような存在だ。忘れ去られた場所から生まれるエモーションや死生観......ヴォルケーノ・クワイアが鳴らしているのもまた、そのようなものではないか。
 しかしながら結局のところ、バンドは素朴な前向きさに突き動かされているように僕には思える。この凛とした音には、太い背骨があるからだ。浮ついた世界とは無縁の連中が、地面に足をつけてまっすぐに立っている音楽だ。"バイゴーン"でヴァーノンが「Set Sail!」、すなわち「出帆だ!」と叫ぶとき、それを聴くわたしたちの視界はどこまでも開かれている。

- ele-king

PRIMAL - ele-king

 前作『眠る男』の"1week feat. Watashi"が大好きでいまでも年がら年中聴いているせいか、あまり時が経ったように感じない。自分が中年になったせいか。いや、しかし。6年といえば小1が小6に、中1が高3になるわけで。やはり長い。PRIMALはいったい6年も何をやっていたのだろうか?

「バンドでアルバムやろうとしてたけど、ベースができないって言いはじめてポシャって、クルーでアルバムって話もあったけどそれもダメで。2009年の夏から1年ぐらいはラップはもうフィーチャリングとライヴ言ってくれたのをやるだけでした。ラップやめる気はありませんでしたけど、病んだり、働いたりの繰り返しでしたね。その生活の打破を目指したのがこのアルバム製作です」(『Proletariat』資料より)

 なるほど。この話を聞くとリード曲"Proletariat feat. PONY"の「働き蜂 磨く己の暮らし 勝ち取る価値 親から巣立ち 猫からタチ」というパンチラインが素直に頭に入ってくる。――まったくうまくいかない。生活の歯車が噛み合ない。空回る。だけど気合い入れなきゃいけない。

 そんなおのれを鼓舞する表現に「猫からタチ」って言葉を選ぶあたりはさすがの一言。「てめえがマグロじゃオンナはイカせらんねえぞ」と。PRIMALも悶々としてたんだなあ。でもそんななかからひねり出したきた言葉だから強い。ラッパーのリリックにおいて最も重要なのはリアルだ。

 たとえばKOHEI JAPANのアルバム『Family』。このアルバムでKOHEI JAPANは、リアルの定義を文字通りの意味に置き換えた。つまり、当時の彼のとってのリアルは、ドラッグディールでも、デカい車でも、セクシーな女でもなく、小さな子どもとの生活、そして家族との日常だった。たとえ刺激的ではないトピックであっても、それを自分にとってウソのない言葉でおもしろく表現することこそがリアルなのだと宣言した。

 この『Family』がリリースされたのは奇しくもPRIMALのファースト・アルバム『眠る男』が発売される3カ月前、2007年6月。『Proletariat』には表現の方向性こそ違うが、『Family』と同じベクトルのリアルが込められている。子どもができて以前よりも自由になる金も少なくなり、おまけに景気はどんどん悪くなっていく。「IQ高くてもThank You 言えぬ奴」(「Proletariat feat. PONY」)が跋扈し、生きるだけでストレスが溜まる。だが「ぶっちゃけ病んでるRapperのパパ」は「必死にやってる一児のママ」と息子のために、「働き蜂 磨く己の暮らし 勝ち取る価値 親から巣立ち 猫からタチ」と『眠る男』とは違う意味での武闘宣言、"武闘宣言 2.0"を叫ぶのだ。

 最後に。最終曲"岐路 feat. TABOO1, 漢, RUMI"について。この曲はThe Anticipation Illicit Tsuboiがプロデュースしたもので、Theo Parrishの"Friendly Children"を思わせる子どもの歌声がサンプリングされた、メランコリックなナンバーだ。この曲の冒頭でPRIMALは先日急逝したMAKI THE MAGICへの弔辞ともいえるフリースタイルを披露する。本編のリリックでは、TABOO1、漢、RUMIとともに友情をテーマにしたラップを聴かせてくれる。そして最後の最後に収められているIllicit Tsuboiの約1分以上におよぶスクラッチはクレイジーで美しく、悲しい。

 今後どんな作品がリリースされるかわからないが、俺はこのアルバムが2013年最高のアルバムだと断言する。

ele-king presents PARAKEET Japan Tour 2013 - ele-king

 いよいよ9月5日(木)から初ジャパン・ツアーがスタートするパラキート(PARAKEET)! UK産ロック・バンド、ヤック(YUCK)のメンバーである日本人ベーシスト、マリコ・ドイと、同じくUKで活動し、今年リリースのデビュー・アルバムが絶賛を浴びている若手注目バンド、ザ・ヒストリー・オブ・アップル・パイ(THE HISTORY OF APPLE PIE)のジェームス・トーマスによって結成されたこのバンドは、ピクシーズ(PIXIES)からディアフーフ(DEERHOOF)、ポルヴォ(POLVO)などにも通じるミラクルでユニークなギター・サウンドがとってもス・テ・キ。ぜひこの目でこの肌でヒリヒリと感じ取って欲しいものです。
 そしてこのツアーにスペシャル・ゲストとしてお付き合いしていただくのがTHE GIRL!! シンプルでキッチュなガレージ・ロックンロール・テイストにニューウェイヴィーなポップ・アプローチが絡まって、これまた超ス・テ・キ。夢のドリーム・マッチですな! そんな二組から来日直前インタヴュー......っちゅーかアンケートに答えていただきました。さぁ、タッチ&ゴーしてそのまま会場にお越し下さい!



PARAKEET

■最初に買った(買ってもらった)レコード(CD)は?

PARAKEETジェームス:ニルヴァーナ(NIRVANA)の『ネヴァーマインド』。

THE GIRL:ザ・モンキーズ(THE MONKEES)のベスト。

■バンドをやろう! というきっかけになったアーティストは?

PARAKEETマリコ:単に音楽が好きだったから。13歳のときにギターを弾きはじめて洋楽への道がどかっと開かれました。それからバンドを組むようになって、そのままズルズルとイギリスまで来てしまいました。

PARAKEETジェームス:10歳のとき、ニルヴァーナの『MTVライヴ&ラウド』を見てから。

THE GIRL:特にこれといったアーティストは最初いなかったけど、ソニック・ユース(SONIC YOUTH)かな。

■最初に結成したバンドの名前は?

PARAKEETジェームス:ミラージュ(MIRAGE)というバンドを弟と、10歳、8歳のときに。父の親友がベースを弾きました。

THE GIRL(日暮愛葉):Seagull Screaming Kiss Her Kiss Her。

THE GIRL(おかもとなおこ):free alud

■それはどんなサウンドでした?

PARAKEETジェームス:最悪。TOTOのコピーを。

THE GIRL(日暮愛葉):いまで言うオルタナティヴ。

THE GIRL(おかもとなおこ):ファンク・ロック。

■初めて人前でライヴをやったときの思い出を。

PARAKEETジェームス:両親がハウス・パーティーをしたときに居間で演奏しました。両親の友だちが見ていて当然奇妙でした。そのときはレディオヘッド(RADIOHEAD)のコピーをしました。

THE GIRL(日暮愛葉):ギターウルフとジャッキー&ザ・セドリックスが対バンだったことです。

THE GIRL(おかもとなおこ):機材トラブルばかりだった。

■PARAKEET/THE GIRL結成のいきさつを。

PARAKEETマリコ:レヴェルロード(LEVELLOAD)というバンドをやっていて、アルバムを出してからその後解散しました。それでそのときドラムを叩いていたジェームスとツー・ピースでパラキートの原型ができあがって、曲を作りはじめたときにヤックへの参加のオファーがありました。ツー・ピースも面白かったんですが、ギター・バンドもやっぱり好きなので、浮気をした訳です。パラキートがはじまった頃はトランザム(TRANS AM)の赤ちゃんみたいな感じで、ベース・リフとドラムの絡みがタイトな楽曲ばっかりで、それが今回のEPの軸みたいになってます。
 いまの形になったのはBO NINGENのコウヘイ君と1枚目のシングルにギターを付けてもらうようになってから。他の曲はわたしがギターを弾いたりして、楽曲上スリー・ピースになりました。

THE GIRL:日暮はLOVES.を経て、おかもとも男性とばかり組んでいたのでガールズ・バンドをやってみたくなったのです。

■PARAKEET/THE GIRLをはじめるにあたりコンセプトなどありましたか?

PARAKEETジェームス:ふたりだけでとてもうるさい感じで......だったんですが、何か足りない、何か完成されてないと思い、BO NINGENのコウヘイとしばらくいっしょにやって、去年はジョンといっしょに、そしていまはトムがギターを弾くようになりました。

THE GIRL:特に無いけど、華奢な女の子が芯のあるソリッドな音を出すということをやりたかったかも?

■PARAKEET/THE GIRLの長所や武器みたいなものを教えてください。

PARAKEETジェームス:音を作ることにしても、その他すべてのことに関しても、自分たちでコントロールできるので、すごく満足している。そういうところです。

THE GIRL:かっこいいこと、信じてることをちゃんと表現できているところ。あと曲の短さです。

■逆に短所・マイナス点は?

PARAKEETジェームス:いまの段階でパラキートはサイド・プロジェクトと見られていて、そのためにあまりちゃんとしたバンドとは認識されていないところです。そして他の自分たちのバンドを優先しなくちゃいけなくって、自分たちが好きなだけ時間を費やせていないところです。次にアルバムをリリースするときにはその状況が変わっていればいいと思います。

THE GIRL:とくにありません。

■現在いいなぁ〜と思えるアーティスト/バンドはいますか?

PARAKEETマリコ:コロコロ変わります。最近はマック・デマルコ(Mac DeMarco)です。いまいちばん会いたくて、彼のセカンドをずっと聴いています。きっとそのうち会うと思いますが、そのとき何を話そうかぼんやり考えています。とりあえず彼の化粧をわたしがするという感じでいこうかな。しかしながら、自分のなかでずっとヒーローでいる人は作家の方が強いかもしれません。それを考えたら松本隆さんがヒーロー的な存在かもしれないです。バンド・マンとしても、あと詩人としても尊敬しています。いま、彼の本『風街詩人』を読んでいて、面白くて、たまりません。

PARAKEETジェームス:ロンドンに拠点を置いているバンドのなかでもザ・ホラーズ(THE HORRORS)は、素晴らしいレーベル(〈XL〉)に所属して、自分たちのスタジオも持っている。彼らはそこで自分たちの好きなように曲を書いてレコーディングしていて、そういう環境があるというのはいいなあと思います。

THE GIRL:バンドであることも大切だけれど、そのなかでどれだけ自由にオリジナルを表現できるかが重要だから、ソニック・ユースやザ・キルズ(THE KILLS)、ザ・ホワイト・ストライプス(THE WHITE STRIPES)、ドーター(DAUGHTER)などの秀逸なバンドが支えになってます。

■そうはなりたくないけど、アイドル的アーティストはいますか?

PARAKEETジェームス:たぶんほとんどのバンド......。

THE GIRL:マドンナ(なれるならなってみたいけど)。

■お互いの音楽性についてどのような点が魅力だと思いますか?

PARAKEETマリコ:シンプルで即効性のある楽曲と、脱力ボーカルがいいなと思いました。

PARAKEETジェームス:オンラインで聴いてみていいなと思いました。いっしょにツアーできることを楽しみにしています。

THE GIRL:COOL でありつづけているところです。

■それぞれの国で活動したいとは思いませんか? だとしたらその理由は?

PARAKEETマリコ:日本はやっぱり生まれ育った場所だし、なんでもかんでも直接自分に入ってくる。そのへんは創造性やらも掻き立てられるし、反面プレッシャーも倍に感じる。日本は何においてもやりやすいようにすべてが上手に整った国だと思うので、バンド活動もやりやすいかなと思います。

PARAKEETジェームス:日本大好きです。日本はイギリスよりもとってもリラックスしていて、友好的だと思います。

THE GIRL:いつでもどこの国でもやってみたいとは思ってます。

■それぞれの国で活動する際、注意すべき点、素敵だと思える点をお互いに教えてあげてください。

PARAKEETマリコ:イギリスは不便な面が多いぶん、人間がゆるいのです。だから平均や常識から外れないことをしろというプレッシャーがなく、個性が生かせる国ではないかと思います。日本に比べて、変わった人が多いというか、個人差があるのが歓迎されていると思います。ハコの環境やら質やら、そんなのは日本のハコの細やかさとかと比べると雲泥の差ですが、とりあえずみな遊び上手なので、お客さんも楽しんでいるということが日本に比べてわかりやすいかなと思います。

PARAKEETジェームス:あんまりいいところはないです。イギリス、特にロンドンはライヴをするには最悪なところです。一般的に待遇も悪いし、ギャラも低い。まあ例外もあって、UKには数カ所素晴らしいハコもありますが。しかし他のヨーロッパの国の方が断然いいです。

THE GIRL:素敵なことしか思いつかない。素敵なバンドとライヴすることです。

■このツアーでいちばん楽しみにしていることは何ですか?

PARAKEETマリコ:THE GIRLをはじめ、たくさんのバンドと共演することで、また新しい音楽や人間に会えることです。

PARAKEETジェームス:マリコと4年前に別のバンドでツアーをしたことがあって、そのときが自分にとって人生で最高の時間でした。だから今回も楽しみで待てないです。日本の文化も、人も食べ物も大好きです。そして日本のハコも最高です。機材もいいし、待遇もすごくいい。まったくイギリスとは逆です。

THE GIRL:パラキートをいろんな角度から見られることと、ツアーそのものが楽しみ。

■では心配していることは?

PARAKEETマリコ:楽しすぎて二日酔いですかね。

PARAKEETジェームス:Gejigeji(ゲジゲジ)。

THE GIRL:ホテルでよく眠れるか、パラキートのメンバーに日本食のおいしいところを紹介できるか。

■お互いに一言お願いします。

PARAKEETマリコ:飲みましょう!

PARAKEETジェームス:ハローーーー!!

THE GIRL:パラキートみたいなかっこいいバンドとツアーできることがほんとうに光栄です。パラキートにもTHE GIRLの良さを見てもらいたい、そしていっしょにおいしいものを食べて飲みたいです。

■最後にファンにひと言お願いします。

PARAKEETジェームス:ハローーーー!!

PARAKEETマリコ:飲みましょう!

THE GIRL:おかもとなおこと二人組になった新生THE GIRLとイギリスのパラキートとの初日本ツアーなのでスペシャルなライヴをお見せできると思います。ぜひ皆さん足を運んでいただいて楽しんでほしいです! 新生THE GIRLは新曲満載です! お楽しみに!


THE GIRL

ele-king presents
PARAKEET Japan Tour 2013
special guest : THE GIRL

詳細はこちらです!
https://www.ele-king.net/event/003112/

■9/5 (木) 渋谷O-nest (03-3462-4420)
PARAKEET / THE GIRL
special guest : uri gagarn
adv ¥3,800 door ¥4,300 (+1drink)
open 18:30 start 19:00
チケットぴあ(Pコード:205-168)
ローソンチケット(Lコード:74729)
e+

■9/6 (金) 名古屋APOLLO THEATER (052-261-5308)
PARAKEET / THE GIRL
adv ¥3,800 door ¥4,300 (+1drink)
open 19:00 start 19:30
チケットぴあ(Pコード:205-387)
ローソンチケット(Lコード:42027)
e+

■9/7 (土) 心斎橋CONPASS (06-6243-1666)
PARAKEET / THE GIRL
adv ¥3,800 door ¥4,300 (+1drink)
open 18:30 start 19:00
チケットぴあ(Pコード:205-168)
ローソンチケット(Lコード:56704)
e+

■9/8 (日)「BON VOYAGE ! 〜渡る渡船は音楽ばかり〜」
尾道JOHN burger & cafe(0848-25-2688)、 福本渡船渡場沖船上
PARAKEET / THE GIRL / NAGAN SERVER with 韻シスト BAND / ウサギバニーボーイ他
adv ¥3,500 door ¥4,000 (渡船1day pass付 / +1drink)
open / start 12:00
ローソンチケット(Lコード:66873)*7/6よりチケット発売
主催:二◯一四(にせんじゅうよん)
共催:Buono!Musica!実行委員会
後援:尾道市、世羅町、尾道観光協会、世羅町観光協会、ひろしまジン大学、三原テレビ放送、中国放送
協力:福本渡船、ユニオン音楽事務所
INFO : 二◯一四(にせんじゅうよん)080-4559-6880
www.bon-voyage.jp

【追加公演】
9/10 (火) 渋谷O-nest (03-3462-4420)
PARAKEET / toddle / TADZIO (この日のTHE GIRLの出演はございません)
adv ¥3,800 door ¥4,300 (+1drink)
open 18:30 start 19:00
チケットぴあ(Pコード:209-089)
ローソンチケット(Lコード:71161)
e+

*尾道公演を除く各公演のチケット予約は希望公演前日までevent@ele-king.netでも受け付けております。お名前・電話番号・希望枚数をメールにてお知らせください。当日、会場受付にて予約(前売り)料金でのご精算/ご入場とさせていただきます。

主催・制作:ele-king / P-VINE RECORDS
協力:シブヤテレビジョン ジェイルハウス 二◯一四(にせんじゅうよん)
TOTAL INFO:ele-king 03-5766-1335
event@ele-king.net
www.ele-king.net


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