ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. THE CROWD──ele-king presents HIP HOP JAPAN
  2. doooo ──立方体のレコード!? 岩手出身のDJ/プロデューサー、ドゥーによるぶっ飛んだ新作がリリース
  3. AMBIENT KYOTO ──2027年春、レイ・ハラカミの展示が決定
  4. 下津光史 - @青山 月見ル君想フ  | 踊ってばかりの国
  5. 未来マニア──エレクトロニック・ミュージック・ガイド
  6. heykazmaの融解日記 Vol.9:₊ ˚⊹ 文月₊ ˚⊹ 会お!
  7. Columns 7月のジャズ Jazz in July 2026
  8. GEZAN - I KNOW HOW NOW
  9. Kukangendai × odd eyes ──ともに京都を拠点に活動するバンド、空間現代とodd eyesによるスプリット7インチが登場
  10. mary in the junkyard - Role Model Hermit | メアリー・イン・ザ・ジャンクヤード
  11. Terry Johnson × P-VINE ──湯村輝彦によるロゴをあしらったPヴァインのTシャツが発売
  12. Simon Reynolds ——レイヴ・カルチャーの本質にあるのは政治性ではない、どれだけぶっ飛べるかだ:サイモン・レイノルズ『未来マニア』刊行のお知らせ
  13. Seefeel - Sol.Hz | シーフィール
  14. Aho Ssan - The Sun Turned Black | アホ・サン
  15. 別冊ele-king 音楽が世界を変える──プロテスト・ミュージック・スペシャル
  16. R.I.P. Miru Shinoda 追悼:篠田ミル
  17. Kamui - YC2.5
  18. 天野龍太郎
  19. 吉岡誠 - 江戸アケミ、四万十川から
  20. Columns Holy Tongue UKダブを更新するバンド、ホーリー・タンの初来日公演

Home >  Reviews >  Album Reviews > Lil Ugly Mane- Mista Thug Isolation

Lil Ugly Mane

Hip HopNoiseSlash

Lil Ugly Mane

Mista Thug Isolation

Hundebiss

倉本諒   Sep 03,2013 UP

 僕のようなラップ・ミュージックのバッグ・グラウンドの乏しい人間がレヴューを書くべきでないのは重々承知の上であるが、本国での盛り上がりをよそに誰も書いてくれないので書きます。もう我慢できなかったんですよ!

 オッド・フューチャーをスケート・パンクとすれば、リル・アグリー・メーン(Lil Ugly Mane)はバンダナ・スラッシュであろうか。どちらも現在のUSを象徴するラップ・ミュージックだ。

 ショーン・ケンプ(Shawn Kemp)ことリル・アグリー・メーンはどうやら彗星のごとくシーンに現れたわけでもないようだ。現在もアクティヴなのかは定かでないが、ヘッド・モルト(Head Molt)という一聴するところのどうしようもないノイズ/パワエレ・バンドで活動していたトラヴィス・ミラー(本名)は、どうしようもないノイズ/パワエレを炸裂させる片手間、ショーン・ケンプとしてMCとビートを制作していたらしい。故郷のリッチモンドからフィリー、そしてウェスト・ボルチモアとマウントバーノンでこの『ミスタ・サグ・アイソレーション』を完成させ、再びリッチモンドで暮らす彼のドリフト生活遍歴。これらの土地から想起されるここ10年のUSインディー・シーンを照らし合わせば、なるほど彼の音楽遍歴がおのずと見えるではないか。ページ99(PG99)世代のヴァージニアの激情ハードコア・シーンで思春期を過ごした歪んだ美意識は、時を経て当時ドロ沼化していたであろうボルチモアの変態シーンで洗礼を受け、ある種のポップネスを開花させた。ピクチャープレーン(Pictureplane)やDJドッグディック(DJ Dogdick)、ソーン・レザー(Sewn Leather)らとの絡みも共鳴ゆえのものなわけだ。

 満を持してドラキュラ・ルイス(Dracula Lewis)率いる〈ハンデビス〉からの豪華極まるフィジカル・ヴァイナル盤がリリース。近年のUSアンダーグラウンド(でもイタリアのレーベルなんですけど......)発のトレンドを並べたレーベルから出ることは必然ともいえよう。

『ミスタ・サグ・アイソレーション』に捨て曲はない。ウィッチハウス、ヴェイパーウェーヴ、インダストリアルと昨今のキーワードがブラウン管に発光しながらもスクリュードされ、シンプルで野太いビートが際立った極上のトラック、偏執的サグ思考のリリック、これって何? ニューエイジ・ギャングスタラップ? あがるわー。

倉本諒