「PAN」と一致するもの

Mouse On Mars - ele-king

 マウス・オン・マーズが2月26日に新作『AAI』をリリースする。ビッグなゲストを多数招いた『Dimensional People』以来3年ぶりのアルバムだ。
 タイトルは「アナキック・アーティフィシャル・インテリジェンス」の略だそうで、すなわちA.I.シリーズのさらなる解放と拡張……というわけではなく、作曲ツールとしてガチのAIを使用していることに由来するみたい。なんでもこの新作のために、AI技術者やプログラマーたちと新たなソフトウェアまで制作したそうで。すごいです。
 現在シングルとして “The Latent Space” と “Artificial Authentic” の2曲が公開中。どちらもドラム部分と上モノの応酬がとんでもないことに。これはアルバム、かなり期待できそうじゃない?

Mouse On Mars『AAI』
マウス・オン・マーズ『AAI(Anarchic Artificial Intelligence)』

企画番号:THRILL-JP 53 / HEADZ 250(原盤番号:THRILL 537)
価格:2,100円+税
発売日:2021年2月26日(金)※(海外発売:2021年2月26日)
フォーマット:CD / Digital(デジタル配信も同時リリース)
バーコード:4582561393624

01. Engineering Systems 00:22
 エンジニアリング・システムズ
02. The Latent Space 06:26
 ※2020年10月29日リリースの海外での1stシングル(配信のみ)
 ザ・レイタント・スペース
03. Speech And Ambulation 07:06
 スピーチ・アンド・アムビュレイション
04. Thousand To One 05:31
 サウザンド・トゥ・ワン
05. Walking And Talking 06:19
 ウォーキング・アンド・トーキング
06. Youmachine 04:08
 ユーマシーン
07. Doublekeyrock 02:25
 ダブルキーロック
08. Machine Rights 01:42
 マシーン・ライツ
09. Go Tick 04:20
 ゴー・ティク
10. The Fear Of Machines 01:43
 ザ・フィア・オブ・マシーンズ
11. Artificial Authentic 03:35
 ※2021年1月13日リリースの海外での2ndシングル(配信のみ)
 アーティフィシャル・オーセンティク
12. Machine Perspective 00:43
 マシーン・パースペクティヴ
13. Cut That Fishernet 05:31
 カッツ・ザット・フィッシャーネット
14. Tools Use Tools 00:31
 トゥールズ・ユーズ・トゥールズ
15. Loose Tools 01:02
 ルース・トゥールズ
16. Seven Months 02:31
 セヴン・マンスス
17. Paymig 00:47
 ペイミグ
18. Borrow Signs 01:50
 バロウ・サインズ
19. New Definitions 04:15
 ニュー・ディフィニションズ
20. New Life Always Announces Itself Through Sound 01:16
 ニュー・ライフ・オールウェイズ・アナウンシズ・イットセルフ・スルー・サウンド
21. How Will They Talk 05:54
 ハウ・ウィル・ゼイ・トーク

※ Track 21 …日本盤のみのボーナス・トラック

Andi Toma - Instruments, Electronics, Production
Jan St. Werner - Instruments, Electronics, Production
Dodo NKishi - Drums & Percussion
Louis Chude-Sokei - Text & Voice
Yağmur Uçkunkaya - Voice
Tunde Alibaba - Percussion
Drumno - Drums
Eric D. Clarke - Loose Tool
Nicolas Gorges, Yağmur Uçkunkaya, Florian Dohmann, Rany Keddo, Derek Tingle - AI
Zino Mikorey - Mastering(Zino Mikorey Mastering)
Kitaro Beeh - Vinyl Cut
Casey Reas - Computer Graphics
Rupert Smyth Studio - Art Direction
Paraverse Studios Berlin 2020

https://www.mouseonmars.com/

あのポップでキャッチーなエレクトロニック・サウンドが戻って来た。
常に革新的なサウンドを追求しながらも、人懐っこさを失わず、ダンス・ミュージックとしても秀逸で、圧等的なオリジナリティを更新し続けるマウス・オン・マーズの最新作。

マウス・オン・マーズは(2011年より)ドイツのベルリンを拠点とした、ヤン・エスティー(St.)・ヴァーナーとアンディ・トーマの電子音楽デュオ(以前はヤンはケルン、アンディはデュッセルドルフを拠点としていた)で、1993年の結成以来、実験性とポップさを持ち合わせた、常に刺激的なエレクトリック・サウンドを追求してきた(近年、海外ではIDMにカテゴライズされることが多いが、それに留まらない多彩な音楽性を持ち合わせている)。

ジャスティン・ヴァーノン(ボン・イヴェール)、アーロン&ブライス・デスナー(ザ・ナショナル)、ザック・コンドン(ベイルート)、サム・アミドン他が参加した(生楽器や生演奏をフィーチャーし)壮大で重層的な2018年のThrill Jockey帰還作『ディメンショナル・ピープル』以来、約3年振りとなる新作アルバムは、AI(人工知能)技術を大胆に導入し(作曲ツールとしても活用)、アルバム・タイトルそのものが『AAI(Anarchic Artificial Intelligence)』となった。

ライブではドラム&ヴォーカルとして欠かせない存在であったドド・ンキシがドラム・パーカッションで復帰して(前作には未参加)、作家・学者・(英語)教授であるボストン大学アフリカン・アメリカン学部長Louis Chude-Sokei(ルイス・チュデ=ソキ)の言葉(彼のテキストをベースにした)や声を大々的にフィーチャーし、新進気鋭のコンピュータ・プログラマー集団(AI技術集団のBirds on MarsのNicolas Gorges、Yağmur Uçkunkaya, Florian Dohmannの3人と、元SoundcloudプログラマーのRany KeddoとDerek Tingle)と共に、またしても独創的で革新的な、最先端なサウンドを創り上げた。

ヤンとアンディは、Birds on Mars、Rany Keddo(ラニー・ケド)、Derek Tingle(デレク・ティングル)と共同で、スピーチをモデリングすることができる特注のソフトウェアを制作し、Louis Chude-SokeiやYağmur Uçkunkaya(ヤムア・ウツコンカヤ)のテキストや声を入力し、シンセサイザーのようにコントロールして、演奏できるようにした。ナレーションとして聞えるものも実際はAIが話しているものだったりする。

タイトルや、コンセプト、制作方法から難解な作品を想像されがちであるが、意外にも近年では最もポップで、フュー_チャリティックなダンスフロアーの高揚感を期待せずにはいられない、ユーザー・フレンドリーな内容となっており、サウンドだけでも十二分に楽しめる作品に仕上がっている。
まず、海外で先行シングルとなった「The Latent Space」と「Artificial Authentic」を聴いて欲しい。

本作のアートワークは、電子アートとヴィジュアル・デザインのためのプログラミング言語Processing(プロセシング)の開発者であるCasey Reas(ケイシー・リース)が担当している。
(ICCでも展示を行っているCaseyはマウス・オン・マーズの二人が参加したザ・ナショナルの2017年作『Sleep Well Beast』収録曲の4曲のMVの監督をしている。Caseyはザ・ナショナル結成前の Scott Devendorf、Matt Berningerとバンドも組んでいた)

マスタリングは、Nils Frahmの2020年の『All Encores』や2018年の『All Melody』、Penguin Cafeの2019年の『Handfuls Of Night』等のErased Tapes作品のマスタリングも手掛けているZino Mikorey(Zino Mikorey Mastering)が担当している。

◎ 全世界同時発売
◎ 日本盤のみ完全未発表のボーナス・トラック1曲収録


Mouse on Mars, the Berlin-based duo of Jan St. Werner and Andi Toma, approach electronic music with an inexhaustible curiosity and unparalleled ingenuity. Operating in their unique orbit within dance music’s nebulous echosystem, the duo’s hyper-detailed productions are inventive, groundbreaking but always possessing a signature joyful experimentation. A genre-less embrace of cutting-edge technologies have ensured that each Mouse on Mars release sounds strikingly modern, a fact made more remarkable when one reflects on the duo’s 25 years of making music. New album AAI (Anarchic Artificial Intelligence) takes Toma and Werner’s fascination with technology and undogmatic exploration a quantum leap further. Collaborating with writer and scholar Louis Chude-Sokei, a collective of computer programmers and longtime Mouse On Mars collaborator/percussionist Dodo NKishi, the duo explores artificial intelligence as both a narrative framework and compositional tool, summoning their most explicitly science-fiction work to date.

AAI compiles some the most immediate and gripping music in Mouse on Mars’ extensive catalogue. Emerging from a primordial ooze of rolling bass and skittering electronics, hypnotic polyrhythms and pulsing synthesizers propel the listener across the record’s expanse. Hidden in the duo’s hyper-detailed productions is a kind of meta-narrative. Working with AI tech collective Birds on Mars and former Soundcloud programmers Rany Keddo and Derek Tingle, the duo collaborated on the creation of bespoke software capable of modelling speech. What appears to be Louis Chude-Sokei narrating through the story is in fact the AI speaking. Text and voice from Chude-Sokei and DJ/producer Yağmur Uçkunkaya were fed into the software as a model, allowing Toma and Werner to control parameters like speed or mood, thereby creating a kind of speech instrument they could control and play as they would a synthesizer. The album’s narrative is quite literally mirrored in the music - the sound of an artificial intelligence growing, learning and speaking. Artwork was provided by the inventor of the computer graphics language Processing, Casey Reas, a further exploration of technology’s application in the context of art.

In Chude-Sokei’s text, as machine learning advances, robots begin to develop language, conscience, empathy - “anarchic” and unpredictable qualities. Drawing parallels between the evolution of human and machine, AAI uses technology as a lens to examine deep philosophical questions. The question of how we use technology and world resources feels particularly poignant and timely as we head into 2021. AAI posits that we must embrace AI and technology as a collaborator to break out of our current cultural and moral stagnation, and to ensure our survival as a species. As Werner explains: “AI is capable of developing qualities that we attach to humans, like empathy, imperfection and distraction, which are a big part of creativity. We need to get past the old paranoia that fears machines as the other, as competitors who will do things faster or better, because that just keeps us stuck in our selfishness, fear and xenophobia. Machines can open up new concepts of life, and expand our definitions of being human.”

ベルリンを拠点に活動しているヤン・エスティー・ヴァーナーとアンディ・トーマのデュオ、マウス・オン・マーズは、尽きることのない好奇心と比類のない創造力で、エレクトロニック・ミュージックにアプローチしている。
ダンス・ミュージックの漠然とした残響(エコー・)システムの範囲内で、唯一無二な軌道で活動している彼らデュオの、非常にきめ細かいプロダクションは、独創的で、革新的でありながらも、常に楽しそうな実験性を有しているのが特徴となっている。ジャンルレスな最先端のテクノロジーを積極的に取り込むことで、マウス・オン・マーズの各リリース作品のサウンドは際立って現代的なものとなっており、デュオの音楽制作の25年間を振りかえってみると、この事実は更に注目に値するものとなっている。ニュー・アルバム『AAI』(Anarchic Artificial Intelligence:アナーキク・アーティフィシャル・インテリジェンス:無秩序な人工知能)は、トーマとヴァーナーのテクノロジーへの強い興味と教養にとらわれない調査を、なお一層、飛躍的に前進させる。作家であり、学者であるLouis Chude-Sokei(ルイス・チュデ=ソキ)、コンピュータ・プログラマー集団、長年のマウス・オン・マーズのコラボレーターでパーカッショニストのドド・ンキシとのコラボーレーションにより、デュオはAI(人工知能)を物語の構想(フレームワーク)として、また作曲ツールとして、これまでで最も明確なSF作品を呼び集めながら、探求している。

『AAI』はマウス・オン・マーズの豊富なカタログの中で、最も即時的で、とても面白い(人を魅了する)音楽をコンパイルしている。
とどろくような低音と素早く軽快に動いているエレクトロニクスの根源的な分泌物から生まれた、催眠術のようなポリリズム、パルシング・シンセサイザーが、リスナーをレコードの範囲を超えたところに駆り立てる。デュオの非常にきめ細かいプロダクションの中には、ある種のメタ・ナラティヴ(歴史的な意味、経験、または知識の物語)が隠されている。AI技術集団のBirds on Mars(Nicolas Gorges、Yağmur Uçkunkaya、Florian Dohmann)、元SoundcloudプログラマーのRany KeddoとDerek Tingleと協力して、デュオは、スピーチをモデリングすることができる特注のソフトウェアを共同制作した。Louis Chude-Sokeiが物語を終始ナレーションしているように思えるのは、実際にはAIが話しているものである。Chude-SokeiとDJ/プロデューサーのYağmur Uçkunkaya(ヤムア・ウツコンカヤ)のテキストと声がモデルとしてソフトウウェアに入力され、トーマとヴァーナーが速度やムードのようなパラメーターをコントロールすることが可能になり、それによって彼らがシンセサイザーのように制御して、演奏することが出来る音声楽器のようなものが作成された。アルバムの物語は、まさに文字通り、人工知能が成長し、学習し、話すというサウンド(音)が、音楽に反映されている。アートワークは、コンピュータ・グラフィックス言語「Processing」の発明者であるCasey Reas(ケイシー・リース )によって提供されており、アートの文脈におけるテクノロジーの活用の更なる探求となっている。

Chude-Sokeiのテキストでは、機械学習が進歩するにつれて、ロボットが言語、自制心、共感、つまり「無秩序」で予測不可能な資質を発達させ始める。人間と機械の進化の間での類似点を引用しながら、『AAI』はテクノロジーをレンズとして、難解な哲学的な問題を検討する。私たちがテクノロジーと世界の資源をどのように使用するかの問題は、2021年に向けて、とりわけ切実で、時宜を得ているように感じる。『AAI』は、現在の文化的で道徳的な停滞を打破し、種(人類)としての生存を確保するために、AIとテクノロジーを協力者として受け入れなければならないと、結論を下している。ヴァーナーが説明しているように、「AIは、共感、不完全さ、気晴らしのような、人間に付随している資質を開発することが出来、創造性の大きな部分を占めている。私たちは、機械を別のものとして、物事をより速く、またはより良くする競争相手として恐れる、古い被害妄想を克服する必要がある。なぜなら私たちがずっと、身勝手さ(利己主義)、恐怖、外国人恐怖症(外国人排斥)で行き詰まったままでいることになるからだ。機械は人生の新たな概念を解放し、人間であることの私たちの定義を拡大することが出来る。」

Jamael Dean - ele-king

 カマシ・ワシントン『Heaven And Earth』にも参加経験のあるLAの新星ピアニスト、ジャメル・ディーン。〈Stones Throw〉から送り出された『Black Space Tapes』につづいて、今度はソロ・ピアノ・アルバムがリリースされることになった。
 趣向を凝らした前作とは対照的に今回はピアノ1本で勝負、サン・ラーのカヴァーで幕を開けるところもイキだ。カルロス・ニーニョなどからも信頼の厚いジャメル・ディーン、その美しきタッチに耳をすましたい。

JAMAEL DEAN
Ished Tree

Thundercat や Kamasi Washington が信頼を寄せる、ロサンゼルスの天才ピアニスト、プロデューサー Jamael Dean (ジャメル・ディーン)。Mary Lou Williams や Sun Ra のカヴァーも含めて、宇宙と対話するように奏でられた、待望のソロ・ピアノ・アルバムが完成!! ボーナス・トラックを加え、日本限定盤ハイレゾMQA対応仕様のCDでリリース!!

Official HP :
https://www.ringstokyo.com/jamaeldeanishedtree

星座と幾何学にインスパイアされた多面的な美しさを持つ楽曲が、リリカルなタッチで演奏されていく。LAジャズのレジェンドであるホレス・タプスコットに捧げてネイト・モーガンが書き、一度も録音されなかった名曲 “Tapscottian Waltz” も大切に取り上げている。そして、目を惹き付けるドローイングとテキストに包まれたパッケージも、深みのある佇まいを見せる。ジャメル・ディーンは、ピュアで特別なピアノ・ソロを作り上げた。(原 雅明 rings プロデューサー)

アーティスト : JAMAEL DEAN (ジャメル・ディーン)
タイトル : Ished Tree (イシェド・ツリー)
発売日 : 2021/3/24
価格 : 2,800円+税
レーベル/品番 : rings / The Village (RINC75)
フォーマット : MQACD (日本企画限定盤)

* MQA-CDとは?
通常のプレーヤーで再生できるCDでありながら、MQAフォーマット対応機器で再生することにより、元となっているマスター・クオリティのハイレゾ音源をお楽しみいただけるCDです。

Jamael Dean - Piano
AK Toney - Vocals on "Soul Of The Griot"
Sharada Shashidhar - Album Art
Mixed and Mastered by Wayne Peet

Tracklist :
01. When There Is No Sun
02. Introspection
03. Journey In The Night Boat
04. Anpu
05. Duat
06. Cancer
07. Black Sheep
08. Tapscottian Waltz
09. Soul Of The Griot ft. AK Toney
10. Ballad For Samuel
&
japan Bonus Track

interview with Bicep - ele-king


Bicep
Isles

Ninja Tune / ビート

HouseTechno

Amazon Tower HMV iTunes

 前作から約3年半程のインターバルをおいて「上腕二頭筋の2人組」が2枚目のフル・アルバムを発表した。またも〈Ninja Tune〉からのリリースである。〈Ninja Tune〉とバイセップの相性はとても良さそうで、特定のジャンルに囚われないスタイルや、どこかギークっぽい部分も見せながら洗練されたサウンドやデザインが光る部分など共通項はとても多い。彼らの代名詞とも言えるブログ「FeelMyBicep」もペースが早まることもなければ遅くなることもなく、黒い無機質なバックグラウンドのブログページに毎月淡々と自分たちが気に入ったアーティストのミックスや音源を紹介していくスタイルは2008年にスタートさせた当初から何も変わっていない。イギリス国内で1万人規模の公演チケットを即完売させるまでの人気に上り詰めても地に足をつけた活動があるからこそ、彼らのアイデンティティーはブレることなくより先へ先へと進化していくのだろう。
 そんな彼らが2枚目のアルバムにつけたタイトルは『Isles』。出身地である島国の北アイルランドはベルファストから飛び出して、世界を飛び回り続けた2人が自身のキャリアやアイデンティティーを振り返って作ったとされる今作にはどんなメッセージが込められているのだろうか? アルバムの制作秘話だけでなく、近年の活動やコロナ禍で変化したライフスタイルやマインドなどに迫ってみた。(Midori Aoyama)

必ずしもクラブで盛り上がるものに縛られる必要はないという考え方だったんだよ。曲には長生きしてもらいたいから、まずは曲としてのしっかりとした土台を作って、それを発展させていこうと。(アンディ)

前アルバムから約3年での新しいリリースです。アルバムのプロモーションやリリース・ツアーなど多忙ななか、どのようなキッカケやモチベーションで今作に挑んだのでしょうか?

マット・マクブライアー(以下マット):2019年の1月にツアーが終わって2週間休んで、そのあとすぐにスタジオに入ったんだ。そのあと4ヶ月くらいはツアーの予定がなかったから、毎日スタジオに通って、特に曲を書こうということもなく、4ヶ月ひたすら楽しんでジャムっていろいろアイデアを試したり、毎日違うことをやって、デモの分量もすごいことになって。ただし20秒くらいの短いアイデア程度のものばかりだったけどね。

具体的にアルバムの制作にかかった期間はどれくらいですか?

マット:そんな感じで4ヶ月くらいいろいろ試して、2019年の夏あたりにアルバム制作に向けてアイデアがまとまりはじめて、とはいえそのあとも結局8、9ヶ月ほどかけて、完成したのは2020年の2月くらい。だから1年と1、2ヶ月だね。

いままでのプロダクションで見せたいわゆるストレートなハウスやディスコというよりも、UKガラージやブロークンビーツ、レイヴ・サウンドがさらに色濃く表現されているように感じました。アルバム全体のサウンドやコンセプトで特に気をつけた部分はありますか?

アンディ・ファーガソン(以下アンディ):たしかに制作過程の早いうちに、あまり四つ打ちやハウスは入れないようにするっていうのを決めたんだ。というのもそういうのをやりたければライヴでいつでもできるから。だからアルバムにはもっといろんなビート・パターンやサウンド・デザインに時間をかけて作って、必ずしもクラブで盛り上がるものに縛られる必要はないという考え方だったんだよ。それでかなり自分たちを解放できた部分はあったと思うし、自由にやれたと思う。アルバムのコンセプトとしては、アルバムとして家で聴くヴァージョンがありつつ、ライヴで曲を発展させていこうっていう。というのも前作も2年ツアーしてるうちに最終的にはかなり違うものになってて、それがすごく面白かったからさ。曲には長生きしてもらいたいから、まずは自由に曲としてのしっかりとした土台を作って、それを発展させていこうということだね。

冒頭の “Atlas” ではイスラエルの歌手オフラ・ハザがサンプリングされています。この曲で彼女を使おうと思ったのはなぜでしょう?

マット:彼女はイタロ・ディスコのレコードを作ったことがあって、それを聴いたのがきっかけ。ちなみに bicepmusic.com って僕らのサイトに特設サイトを作って、今回使ったサンプルをどこで見つけたかとか全部書いてあるよ。かなり詳しく書いてあって便利だからぜひチェックしてみて。

(訳注:以下ウェブサイトより抜粋→彼女のアルバム『Shaday』に収録された “Love Song” というアカペラ曲を聴いて、カタルシスを生むそのエネルギーに圧倒され、その声をサンプラーに取り込み、それが “Atlas” の出発点となった)

いろんな音楽をディグるのは本当に面白い。でもそこに自分たちの印を刻みたいとも思ってるんだ。あまりその影響を濃くしすぎないようにはしてる。ひとつのルーツだけではなくいろんなものがせめぎ合ってる感じを出そうと。(アンディ)

シングル曲 “Apricots” には Gebede-Gebede “Ulendo Wasabwera Video 1” と The Bulgarian state radio & television choir “Svatba (The Wedding)” がサンプリングで用いられていますね。両者の声がうまい具合に同居して独特のグルーヴを生んでいますが、かたやアフリカの音楽、かたやベルギーの合唱です。対照的な素材ですが、これらの民族音楽をこの曲で同時に使おうと思ったのはなぜでしょう? また、それらの音源にはどのように出会ったのですか?

マット:“Apricots” は元々インストゥルメンタル曲で、ストリングスとコードだけだったんだ。多くの場合僕らはピアノで曲を作りはじめて、実際の音楽を先に考えて、あとからそれを速くしたり遅くしたりといった提示方法を考えるんだよ。というわけでコード進行がまずあって、そこからいろいろアイデアを試したんだけど、どれもうまくいかなくて、たしかブルガリアのサンプルが先だったと思うけど……まあここ10年くらい、ダンス・ミュージックを作るようになってからというもの、スポンジみたいにいろんなものを吸収してきて、レコード・ショップに行くたびに、クラブでかけたいレコードだけじゃなくてサンプルに使えそうとか、つねに獲物を追いかけてる感じなんだよ。しかもロンドンに住んでるから世界中のあらゆるカルチャーに触れることができるし、あらゆる音楽を聴くことができる。店で耳にした曲が気になったら Shazam して、つねに探しててさ。というわけで僕らのパソコンに入ってるライブラリーは膨大なものになってて、曲を作ってて煮詰まったりするとライブラリーをチェックして、これはいいかもと思ったらサンプラーに取り込んでピッチをいじって。ただ問題は、それをやっても95%は失敗すること(笑)。“Apricots” はおそらくサンプルを組み合わせてうまくいった最良の例じゃないかな。ふたつ掛け合わせてうまくいくことなんてほとんどないからさ。世界の全然違う場所の、全然違うヴォーカル・スタイルがうまい具合に対照をなしているんだよ。

似たような合体の試みをしていたアーティストに、アフロ・ケルト・サウンドシステムがいます。彼らの音楽は聴いたことがありますか?

アンディ:知らなかったけど、ケルトとアフリカ音楽ってそれ最高だな! 聴いてみる!

“Atlas” のサンプルも “Apricots” のサンプルも、いわゆる西洋のポップ・ミュージックではないものです。“Rever” や “Sundial” などのヴォーカルもエキゾチックさを感じさせます。そこは意識的にそういう素材選びをしたのでしょうか? たまたまですか?

アンディ:さっきマットも言ってたけど、ロンドンに住んでるからあらゆる音楽を吸収するんだよね。そうやっていろいろ聴いたものが自分が作る音楽にも反映されるんだと思うし、ただあくまで自分たち独自のハイブリッドにしたいというのはある。ふたりともノースイースト・ロンドンに住んでて、文化的にとんでもなく多様な街だし、通り過ぎる車からも通りがかった店からも世界中の音楽が聴こえてきて、フェスティヴァルがあってカーニヴァルがあって、そういう環境でいろんなカルチャーのいろんな音楽をディグるのは本当に面白い。でもそこに自分たちの印を刻みたいとも思ってるんだ。あまりその影響を濃くしすぎないようにはしてるんだ。それは自分たちの曲を作ってるときもそうで、あまりにトランスっぽすぎるなとかディスコっぽすぎると感じたら、ちょっと違う方向に持ってったりして、ひとつのルーツだけではなくいろんなものがせめぎ合ってる感じを出そうとしてる。たとえばヴォーカルがインドだったら他の要素はインド感ゼロにして対比させるとかね。他の文化の音楽を複製しようとしてるわけじゃないからさ。

UKガラージ風の “Saku” には Clara La San が参加しています。彼女は〈Hyperdub〉の DVA の作品やイヴ・トゥモア作品への参加で知られるシンガーですが、この曲で彼女を起用しようと思ったのはなぜ?

アンディ:たしか Spotify で彼女を見つけたんだよ。自分たちが探してた声の特徴がいくつかあって、それで彼女の声を聴いたときに、何と言うか、間違いなく僕とマットが「これぞ90年代のR&Bだ!」って共感できるようなものだった。それで連絡取りたいとなって。僕らのように音楽を作ってて歌えないとなると(笑)、つねに頭のなかで歌を想像してるんだけど、彼女の声は瞬間的に僕の頭のなかの空白を埋めてくれたんだよ。

マット:それにコントラストが大事だから、彼女の声って僕らの音楽とすぐに結びつくようなものではなくて、それが面白いと思ったんだよね。昔のR&Bというか、甘くていい感じで、“Saku” のあの岩のごとく堅牢なドラムと彼女の声が、まさに僕らが求めるコントラストだったんだ。

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ライヴ中にちょっとミスっても次の日誰も覚えてないけど、ストリーミングだとビデオカメラで録画されてて最悪(笑)。運転免許の試験みたい。ライヴってそもそもの趣旨がライヴであって、記録じゃないんだよね。(マット)


Bicep
Isles

Ninja Tune / ビート

HouseTechno

Amazon Tower HMV iTunes

今作も〈Ninja Tune〉からのリリースになりますが、レーベルから特別なオーダーはありましたか?

アンディ:いや、レーベルからは全然なくて、むしろ自分たちの目指すところがあって、ファースト・アルバムの成功があったから、その前作の感じを引き続き楽しんでもらいたいっていう思いと、新しいものを提示したいという思いの狭間でどうしようかという。でも〈Ninja〉はこっちから送るものに対してはものすごくオープンだった。

おふたりもレーベルを運営されていますが、自分たちのではない別のレーベルからリリースすることのメリット、デメリットはなんでしょうか?

マット:僕らのレーベルはいわば愛で成り立ってるもので、商業面はまったく考えてないんだ。かなりアンダーグラウンドな音楽を中心に扱ってて、ラジオでかかるような音楽を狙ってるわけではなく、DJ向けのアンダーグラウンド・ダンス・ミュージックだからさ。自分たちが出会った無名のアーティストを育てるのも素晴らしいことだしね。一方〈Ninja〉が組織としてやってることはまさに驚異的で、彼らがやってるような仕事を自分たちがやるなんて絶対に不可能だよ。

アンディ:だね。つねに新しいアイデアを提案してくれたり、僕らのアイデアを具現化してくれたりするんだよ。多くの場合、〈Ninja〉が音楽以外の、たとえばアルバム・カヴァーのデザインだったり諸々の負担を軽くしてくれて、自分たちは音楽に集中できるんだ。

Instagram を通してスタジオの風景やカスタムした機材を鳴らしたりしてますね。フローディング・ポインツリッチー・ホウティンがDJミキサーをプロデュースしたように、いつか自分たちオリジナルのミキサーやシンセサイザーを作ってみたいと思ったことはありますか?

アンディ:お気に入りの機材って結構1、2ヶ月で変わったりして、それが面白いというか、音楽を作る上で新たな機材から刺激を受ける部分はあるんだよ。僕らは古い機材も好きだしモジュラーシンセのような現代的なものも両方好きなんだけど、基本的にはモジュラーシンセがオリジナル機材のようなものだよね。自分で組み合わせて新しく追加できるから。それに音楽を作る際にシンセをそのままで使うことはほとんどなくて、たとえばギターペダルを3つかませたりしてつねに独自の音を作ろうとしてるんだ。

マット:そうだね、モジュラーがあればいいかもな。あと今作で結構やろうとしてたのが、たとえば実際の80年代のシンセサイザーを使ってそれをモジュラーにフィードしてある種のハイブリッドな音を生み出すとか。“Atlas” なんかはそういう40年もののテクノロジーと最新テクノロジーから生まれた交配種なんだ。

9月におこなわれた『BICEP LIVE GLOBAL STREAM』も素晴らしい反響があったようですね。過去のインタヴューで「クラウドが大きいほど緊張する」と言っていたのを拝見しました。観客が目に見えないライヴ・ストリーミングは緊張しましたか?

アンディ&マット:さらにひどかったかも(笑)。

アンディ:観客の数はストリーミングの方が多いかもしれないのに、その場にはマットと僕以外誰もいないっていう。普段はステージ上で雑談したりしてるんだけど……

マット:大体ステージ前は軽く飲んだりしてるけど、ストリーミングはめちゃくちゃ明るいところでシラフでさ。あと普段ならライヴ中にちょっとミスっても次の日誰も覚えてないけど、ストリーミングだとビデオカメラで録画されてて最悪(笑)。ライヴってそもそもの趣旨がライヴであって記録じゃないんだよね。

アンディ:大きいクラウドを前にしたときの緊張とは全然種類が違う。

マット:なんか運転免許の試験みたいな感じ。

2月に予定している2回目のライヴストリームではロンドンのサーチ・ギャラリー(Saatchi Gallery)を舞台にすることが決まっていますね。ふたりにとってこの場所への特別な想いはありますか?

マット:というか一般論としてロンドンには無数にアート・ギャラリーがあって、つねに展示が入れ替わってて目新しいものが見れるから、ふたりとも休みのときにギャラリーを巡るのが好きなんだよ。だからギャラリーが閉まってるこの時期にそこを使うっていうのは自分たちにとっては理にかなった選択だった。というか、空っぽのギャラリーを使える機会なんておそらく二度と訪れないだろうからね。特にサーチ・ギャラリーなんてさ。パンデミックによっていろいろ最悪なことが起こってるけど、サーチ・ギャラリーを使えることは唯一僕らにとって良かったことだな。

アンディ:空っぽのギャラリーを歩き回って録音してみると、いまの世の中の不気味で奇妙な感じが反映されてすごく興味深いんだよね。だからある意味でいまライヴストリームをやるには完璧な場所だと思う。

僕らの地元の北アイルランドもすごく美しいところで、ほとんどが田舎で丘や山や海だし緑が多いからその影響も受けてると思う。それは自分の一部であり、そういう風景のなかで育ったからさ。(マット)

コロナ禍で突如いままでと違った生活様式をしいられることになりましたが、2020年の1年を振り返って生活面で何か変わったことはありましたか?

マット:まずふたりとも以前よりも健康になったと思う。たくさん寝てるし。ツアー中は必然的に空港で食事したり、ほとんど寝れなかったりして、アドレナリンが出てる状態で生きてて。去年はそれがなくなって、ゆっくり食事したり、睡眠のサイクルもいい感じになって、規則正しい生活になってさ。それは非常にポジティヴな変化だね。

アンディ:あと一歩引いて自分たちが音楽でやりたいことや楽しいと思うことについてじっくり考えられた。もちろんツアーが恋しいっていうのはあるけど、もし元どおりになったら(元どおりになって欲しいけど)、そのときはそれを当たり前だと思わずに感謝の気持ちが芽生えるだろうと思う。それにツアーがあるときは見落としていた、他の大事なことにも目を向ける必要があるっていうことも改めて考えたしね。

Instagram で拝見しましたが、夏にアイルランドの自然の写真も掲載していましたね。自然や地元の風景、スタジオやクラブとかけ離れた空間が自分たちの音楽に与える影響はありますか?

マット:それは間違いなくある。

アンディ:うん。曲を書いているときはいろんな風景を想像するんだよ。クラブでかかってるところはあんまり浮かばないかもね。これはアイスランドで雪が降ってるなかを歩いてる感じとか、アイスランドに行ったことはないんだけど想像したり(笑)。

マット:機材持ってノルウェーやスウェーデンの北の方まで行って氷河を眺めながらEP作りたい、っていうのはずっと言ってるね。

アンディ:リアルじゃない、記憶と想像が生み出す氷河でもいいのかもしれない。

マット:まあ逃避だよね。でも僕らの地元の北アイルランドもすごく美しいところで、ほとんどが田舎で丘や山や海だし緑が多いからその影響も受けてると思う。それは自分の一部であり、そういう風景のなかで育ったからさ。ベルファスト出身だけど、実はベルファストも緑が多いんだよ。

アンディ:普段は気づかないけどね。でも世界を旅してみるとアイルランドの緑の多さに改めて気づくよ。

制作のスピードもさることながら、並行してブログの更新やレーベルのリリースも引き続き精力的ですね。「Feel My Bicep」としての2021年の予定を教えてください。

マット:今年はレーベルにも力を入れて行こうと思ってる。いくつかリリースが控えてるんだ。それ以外は基本的にスタジオに入っていろいろ実験しながらやってみようと思ってる。あとダンスフロア向けのものを書くつもり。最近あまりそっちにフォーカスしてなかったからね。

この3つの上腕二頭筋のロゴがここまで大きな存在になると、ふたりで音楽をはじめたときは想像していたでしょうか? 

アンディ:それちょうど今日話してたんだよ。あのロゴはマットが10年前に20分で描いたものなんだ(笑)。

マット:あとでもっといいロゴを考えるつもりだったんだけどね。すごいシンプルだし、シチリアとかマン島とかいろんな旗に似てて、3つの上腕二頭筋ってアイデアは別にオリジナルじゃないんだよ。でもまあロゴだからシンプルな方がいいんだよね。

アンディ:あと、完璧じゃないから不思議なバランスが生まれてるところもいい。

マット:手描きだから左右対称じゃないんだよ。若い頃って無邪気であんまり深く考えてないからさ。でも丸だからデザイン的に使いづらいこともあって、Tシャツにはいいんだけど、バランスをとるのが難しいんだ。

最後に、日本でも多くのファンがアルバムのリリースを楽しみにしています。オーディエンスに向けてメッセージをお願いします。

マット:日本の人たちに聴いてもらうのがめちゃくちゃ楽しみだし、このアルバムを楽しんでくれることを願ってる。それからまた日本に行ける日を待ち望んでる。日本は僕らが大好きな国のひとつで、行くたびに最高の時間を過ごしているんだ。あと、みんな安全に過ごしてほしい。

Stereolab - ele-king

 2019年、10年ぶりに再始動を果たしたステレオラブ。彼らのなにが偉大だったのか、その功績についてはこちらのコラムをお読みいただくとして、オリジナル・アルバムのリイシュー企画に続き、今度は98年を最後に止まっていたシングル集シリーズの最新作『Electrically Possessed』が2月26日にリリースされる。入手困難なツアー7インチの曲や未発表曲も収録されるとのことで、これは楽しみ。現在同作より “Dimension M2” が先行公開中です。

STEREOLAB

再始動したステレオラブが23年振りにシングル集シリーズの最新作
『Electrically Possessed [Switched On Volume 4]』を
2月26日にリリース決定!
数量限定のTシャツ・セットも同時発売決定!
先行シングル「Dimension M2」を解禁!

90年代に結成され、クラウト・ロック、ポスト・パンク、ポップ・ミュージック、ラウンジ、ポスト・ロックなど、様々な音楽を網羅した幅広い音楽性でオルタナティブ・ミュージックを語るのに欠かせないステレオラブ。

2019年に10年ぶりに本格再始動した彼らは、音楽史に燦然と輝く7タイトルのリマスター盤再発企画をスタートさせ、音楽ファンを喜ばせたが、今回は1992年の第一弾『Switched On』、1995年の第二弾『Refried Ectoplasm』、1998年の第三弾『Aluminum Tunes』と続いたシングル集シリーズの実に23年振りとなる第四弾『Electrically Possessed』を2月26日にリリースすることを発表した。

再発タイトル同様、〈Warp Records〉と〈Duophonic UHF Disks〉のダブルネームでリリースされる本作には、1999年から2008年までのステレオラブの歩みを網羅した25曲を収録。ほとんどの音源において、メンバーのティム・ゲインの監修の元、電気グルーヴのマスタリングも手掛けるボー・コンドレンの手によってリマスタリングが施されている。

廃盤となったミニアルバム『The First Of The Microbe Hunters』の全曲を収録しており、入手困難なツアー7インチ、コンピレーション曲、アート・インスタレーション作品、アルバム『Mars Audiac Quintet』と『Dots and Loops』のレコーディング・セッションからの未発表曲も収録される。

Stereolab - Dimension M2 (Official Audio)
https://youtu.be/HPKQgMGWot0

今回の発表と合わせてシングル「Dimension M2」が公開されている。本楽曲は、2005年にコンピレーション作品『Disco Cabine』に提供された楽曲で、ティム・ゲインは次のように解説している。

コンピュータを使ったレコーディングが楽しかった『Dots and Loops』の制作の後、自分たちの小さなホームレコーディングスタジオを作りたいと思ったんだ。AppleのデスクトップとMOTUサウンドカード、Logic 2を買って、主にサンプルを使ってシンプルなトラックを録音し始めたんだけど、それにギターやキーボード、そしてレティシアとメアリーが歌詞のない歌声を加えたりもした。個人的には、音やリズムをカットしたり、切り刻んだりするのが好きで、ステレオラブのメインのレコーディング作品よりも、ずっと小さくてシンプルな信号音のような曲を作ろうとしたんだ。そうやって作ったトラックのほとんどはツアー限定シングルかコンピレーション作品に提供した。「Dimension M2」は、Cabineというデザイン会社を持ってた友人のPaul & Hervéが手がけたコンピレーションに収録された。彼らのために何かアップビートでパーティーっぽいものを作りたくて、なるべくそのイメージに近づけたんだ。それでもまだクールで冷めた感じがするけどね。

初回盤特殊パッケージ

通常盤CD

Tシャツ

本作『Electrically Possessed [Switched On Volume 4]』は、CD、LP、デジタルのフォーマットで2月26日に世界同時リリースされる。国内流通仕様盤CDとLPの初回盤は、ミラーボード仕様の特殊パッケージを採用し、ステッカーが封入される。数量限定の国内流通仕様盤+Tシャツ・セットも同時発売される。さらに対象店舗でCDおよびLPを購入すると、先着でジャケットのデザインを起用した缶バッヂがもらえる。

なお公演延期となっていたステレオラブの来日公演は、2021年9月に振替日程が決定している。
https://smash-jpn.com/live/?id=3304

label: BEAT RECORDS / DUOPHONIC UHF DISKS / WARP RECORDS
artist: STEREOLAB
title: ELECTRICALLY POSSESSED [SWITCHED ON VOL. 4]
release date: 2021/02/26 FRI ON SALE

国内流通仕様盤CD
解説書+ステッカー封入
BRDUHF42 ¥2,400+税

国内流通仕様盤CD+Tシャツセット
BRDUHF42S~XL ¥5,900+税

BEATINK.COM:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=11675

Tracklist:

DISK 1
01 - Outer Bongolia
02 - Intervals
03 - Barock-Plastic
04 - Nomus Et Phusis
05 - I Feel The Air {Of Another Planet}
06 - Household Names
07 - Retrograde Mirror Form
08 - Solar Throw-Away [Original version]
09 - Pandora's Box Of Worms
10 - L'exotisme Interieur

DISK 2
01 - The Super-It
02 - Jump Drive Shut-Out
03 - Explosante Fixe
04 - Fried Monkey Eggs [Instrumental version]
05 - Monkey Jelly
06 - B.U.A
07 - Free Witch and No Bra Queen
08 - Heavy Denim Loop Pt 2
09 - Variation One
10 - Monkey Jelly [Beats]
11 - Dimension M2
12 - Solar Throw-Away
13 - Calimero
14 - Fried Monkey Eggs [Vocal]
15 - Speck Voice

interview with Sleaford Mods - ele-king

 「まったく国民に自粛を押しつけといてさ」、いきつけのクリーニング屋の親仁は吐き捨てるように言った。「あいつらは好き勝手やってんだよ、とんでもないよね」。昨年末のことである。かれこれ10年以上世話になっている個人経営の店の、もう白髪さえ頭にまばらなこの爺様とは、いままでずっと天気の話しかしてこなかったから、突然の政治的憤怒にはフイを突かれる格好となった。ええ本当にそうですねと、そのぐらいの言葉しか返せなかったが、あんな温厚な年寄りさえも怒っているのだと念を押された思いだった。
 このところニュースは、失業者、ホームレス、そして自殺者について報道している。コロナ第三波に対してとくになんの対策もなく、意味のある支援策も解雇防止策もないまま、だらだらと非常事態宣言がでたばかりだ。ニュースはそして最近では、トランプの信じがたい暴力的な脅しを報じている。この一大事に、他の先進国と違って我が国の政治リーダーはコメントすらできないようだが、まあ、ワシントンの議事堂における支持者たちの暴動では、警察の対応がBLMデモとは明らかに違っていることを世界に見せてしまったと。その点でもBLMの成果はあったと言えよう。だが、あの憎しみや怒りは、ぼくがアリエル・ピンクのCDをたたき割って捨てたところでは、とうてい消えはしない根深いものであることを知らしめてもいる(ジョン・ライドンに関しては……紙エレ年末号をどうぞ)。
 さっきからテレビの画面では飲食店の店主たちが悲鳴をあげている。一家の稼ぎ手がまたひとり職を失っているときに自助(自分でなんとかせぇ)を第一とする菅政権は、就任以来中小企業の事業再構築をうながしているが、これは中小企業の何割かの淘汰を意味している。こんな与党を前に野党はいまもって存在感を示すことができず、その支持率は一向に上がらない。いま、目の前にあるのは幻滅ではない、絶望だ。

バズライトイヤーの髪型をしたおまんこ野郎が
労働者たちを呼びつける
自分の将来について考えたほうがいい
自分の首のことを考えたほうがいい
仲間を作ることやクソな髪型について考えたほうがいい 
俺は25セントのパスタと
スミノフの温かいボトルの夢を叶える
“Fizzy”

 ポップ・ミュージックにできること。気張らし。慰め。逃避。夢。熱狂。ダンス。カオス。笑い。快楽。幻覚。励まし。内省。趣味の競い合い。性の解放。愛の増幅。社会参加。孤独な魂に寄り添うこと。批評。罵倒。失意。絶望。悲しみの共有。挑発。炎上。攻撃。ヒーローはいつだって私をがっかりさせる。異議申し立て。疑問。気づき。目覚め。言いたくても言えないことを言うこと。頭のなかの革命。

俺はなぜ、穿いているブーツの二の次なのか?
俺はなぜ、着ているコートや髪型の二の次なのか?
俺はなぜ、自分の車の二の次なのか?
腕時計やジーンズ、ポロシャツよりも下
“Second”

 スリーフォード・モッズは、間違いなくいまもっとも面白いバンドのひとつである。その立ち振る舞い、音楽性、言葉、ユーモア、見た目、政治的スタンス、勇気、ぶち切れ方……スリーフォード・モッズは怒りにかまけて理想を忘れるようなことはしない。ものごとは昔よりも複雑化している。だからスリーフォード・モッズは走っているが、ただ走っているわけでも、考えてから走っているわけでもなく、調査し、挑発し、不条理を受け入れて、真剣に考えながら走っている。ザ・KLFが、ポップ・ミュージックがその随所に渡って市場化され、金が神となった現代を見据えながら象徴的な意味合いとして100万ポンドを燃やしたのだとしたら、そのがんじがらめの資本主義リアリズムのなかで目一杯ジタバタして、泥にまみれてもがいているのがスリーフォード・モッズだ。彼らは、地元の保守的なコミュニティにも、居心地良さそうなリベラルのコミュニティにも属さない。言うだけ言って、やるだけやってやろうという腹づもりなのだろう。
 また、いまのような時代ではスリーフォード・モッズには希少性という価値まである。パンク・アティチュードはほかにも、たとえばシェイムのような若いバンドストームジーのような賢明なるMCにもあるのだろう。だが、ジェイソン&アンドリューというふたりのおっさんがそのなかで際だった存在であることは間違いない。昨年もロックダウン中にUKで起きた介護者への国民からの讃辞に対して、こうした美談は政府の怠惰を隠蔽すると発言したことで、当たり前だが物議を醸し、また、「階級の盗用」だとアイドルズを大批判したビーフはファット・ホワイト・ファミリーまで巻き込んでの騒ぎとなった。
 それで、まあ、スリーフォード・モッズは進化しているのだ。新作『スペア・リブズ(Spare Ribs)』には、まずはサウンド面の変化がある。『オースタリティ・ドッグズ(Austerity Dogs)』の頃のモノクロームな煉獄ループに比べると音色も多彩で、曲もずいぶん親しみやすくなっている。セックス・ピストルズやストゥージズの幻影も霞んではいるが、ドイツの冷たいエレクトロや後期ザ・スペシャルズ風な内省とメランコリーもあったりで、曲のヴァリエーションが増えている。とはいえ、ジェイソンの激怒するヴォーカリゼーションとアンドリューのミニマルなトラックが古き良きロックに回収されることはない。

 UKのモッド・カルチャーとは、本来の意味を思えば60年代回帰のレトロ志向のことではないはずだ。あれはモダンな(新しい)ものを好み、たとえば最先端のUSブラック・ミュージック(ないしはUK移民の音楽=レゲエ)を愛好する尖った文化だった。ノーマティヴな社会に溶け込みながら、人とは違った趣味を持ち、人とは違った方法で自分をしっかり着飾る文化。ジェイソンも服が大・大好だが、彼はウータン・クランに触発されたあくまで現代のモッドである。ポップ・ミュージックにできること。いまリアルに起きていることのレポート。

ここにアンセムなどない
あるのはコンクリート
チップス
汚れたソーセージ
3ポンドの花束
“The Wage Don’t Fit ”

 スリーフォード・モッズはイギリスのノッティンガムの、ジェイソン・ウィリアムソンいわく「レイシストだらけ」の保守的な街で誕生した。2006年のある日のこと、パジャマ姿のまま近所に発泡酒とチョコバーを買いに行ったときにアイデアが閃いたという。ちなみにその名前だが、彼らがスリーフォードという土地に縁があるわけではない。ただその響きが良かったから採用したという。
 ジェイソンは、他人の曲をループさせたトラックに自分のラップをかぶせるという初期スリーフォード・モッズのやり方で地元のスタジオエンジニアと4枚のCDR作品を出している。昔はストーン・ローゼズやオアシスが好きだったというジェイソンだが、彼が自分のパートナーに選んだのは地元のDJ/プロデューサーで、ソロでは荒涼としたエレクトロニカ作品を多発しているアンドリュー・ファーンだった。長身で痩せこけたアンドリューと5枚目のCDR作品を作ると、2013年には正式なアルバムとして『オースタリティ・ドッグズ(緊縮財政の犬たち)』をリリースする。時代をみごとに捉えたその勇敢で独創的な音楽はWire、NME、ガーディアン、Quietusなどなど、イギリスの有力メディアからいたってシリアスに、そして知的に評価され、翌年の『ディヴァイド・アンド・イグジスト(分断と出口)』にいたってはマーキュリー賞にもノミネートされた。(いまではブリストルの巨匠マーク・スチュワートからロビー・ウィリアムスのようなセレブにまで愛される人気バンドになったが、曲の歌詞でNMEをバカにしたので、同メディアが選ぶ最悪なバンドの1位にもなっている
 スリーフォード・モッズはその後3枚のアルバムを出している。2015年の『キー・マーケッツ』、2017年には〈ラフトレード〉から『イングリッシュ・タパス』、2019年には自分たちのレーベル〈Extreme Eating〉から『イートン・アライヴ』。再度〈ラフトレード〉からのリリースとなる『スペア・リブズ』は、昨年話題となったベスト盤『オール・ザット・グルー』を挟んでのアルバムで、ロックダウン中に録音された。まるでDAFのようなエレクトロなミニマリズムとともに『スペア・リブズ』はこんな風に、失意と疲弊感からはじまる。この気持ちは我々日本人もシェアできるのではないだろうか。

俺らみんなが保守党に疲れている
そのせこさにやられている
浜辺はファックされ、波もないから
ここじゃもう誰もサーフィンしない
“The New Brick”

 

イーノは全然好きじゃない。彼は、俺のハマってる連中の多くにすごく影響してきた人なわけだ。でも俺自身は一切影響を受けてない。彼にはまったく興味を惹かれたことがないな。だってさぁ、あのみてくれだぜ(笑)。

新作、とても楽しませていただきました。音楽的にヴァリエーションが増えたことで、歌詞がわからずとも楽しめます。ある意味アクセスしやすい作品だなと。

JW:(うなずきながら)うん、それは間違いない。

ロックダウン中に『スペア・リブズ』の録音に取りかかったそうですが、最近はどんな風に過ごされていますか?

JW:うん、なんとかやってる。ポジティヴであろうと努めているし……かなり妙だけどね、ただじっとして、働かずにいるってのは。いやだから、ギグをやれないわけでさ。でも──うん、俺たちは大丈夫だよ。とにかくいまは、他の多くの人びとに較べりゃ自分たちの状況はずっとマシなんだし、常にそれを思い起こすようにしなくちゃいけないな、と。

日々、読書や映画鑑賞に明け暮れているとか?

JW:(笑)いやぁ、俺は読書が苦手でさ。マジにからっきしダメな読み手だよ。もっと本を読めればいいなとは思うけど、ほら、自分はものすごく──これ(と携帯をカメラにかざす)の中毒なわけで。

おやおや。

JW:(携帯スクリーンを猛スピードでスクロールするふりをしながら)ピュッピュッピュッピュッ! 始終そんな感じで、何か見て「おっ、すげえ!」みたいな。わかるだろ? うん、よくないのは自分でもわかってるんだけど。それ以外だと、俺は子持ちだから、父親業だね。子供の面倒をみて過ごしてる。そうやってとにかく心持ちの面で忙しさを保とうとしているし、クリエイティヴな面で言うと、アルバム(=『スペア・リブズ』)以来、自分は実際何もやってないな。それでも何やかんやと時間はふさがっているし、きっとそれは親だと忙しいってことだろう。

あなたがフランクフルト学派やマルクーゼを読んでいるとどこかの記事で見かけたんですけど、それは本当ですか? たしか『一元的人間』を読んでいる、とのことで。

JW:ああ、とてもいい本だ。あれは助けになったというか、本当に影響された。そうは言っても1、2章かじった程度だけどね、(顔をしかめながら)すごく、すご〜く難解でおいそれと読めない本だから。ただ、あれを読んだおかげで自分はものすごくこう──目覚めさせられたっていうのかな。この……国による支配ってものから、資本主義の抑圧から、我々は決して自由になれない、という観念を意識するようになった。彼らがこちらを欺き、資本主義の経済モデルに一生貢献し続けるように我々をだます、その様々なやり方からね。

でもほんと、その管理・抑圧からは逃れられないですよね。たとえば、こうしていま素晴らしいテクノロジーを使って取材していますが、これですら資本主義モデルに準じた一種の社会的なコントロールじゃないかと感じることがありますし。

JW:うん……。だけど、と同時に俺はそれを気に入ってもいるんだ。金を使うのは好きだし、高価なスニーカーを買うのも好きだ。外食するのも、いい服を着るのも好き、と。だから俺はまた、そのモデルを自らに割り振ってもいるっていう。

先ほど言ったように、まずは音楽的に以前よりもヴァリエーションが増えたと思います。そこは意識されましたか? 様々なヴォイスやサウンドがミックスされていますし、ギターを弾いているのはあなたですか?

JW:ああ。

ギターを弾くのは本当に久しぶりだったと思いますが、どんな気分でした?

JW:たしかにずっと弾いてなかったけど、まあ、とにかく音楽の方がギターをいくらか必要としていると思えた。アンドリューは“Nudge It”でギターを弾いたし、俺は“Thick Ear”で弾いてる。だからときおり……そう、とにかく今回はギターが必要だって風に自分には感じられた、ギターをちょっと加えようと思ったっていう。だから、以前の自分ほどギターっていうアイディアに敵愾心を抱かなくなっているんだよ。

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モッズというのはいつだって真実を伝える連中だった。だから俺は自分のバンドに「モッズ」の単語を含めた。自分たちもその同じ流れに沿っている、俺はそう思ったから。

スリーフォード・モッズのサウンドスケープを拡張するというのは──『Key Markets』以降、確実にその幅は広がってきていましたが──意識的でしたか? スリーフォード・モッズの音楽はそぎ落とされたミニマルなものになりがちですが、今回はもう少し聴き手に緩衝材を与えている気がします。

JW:ああ、そこは確実にそうだ。思うに、俺は……どう言ったらいいのかな、これまでよりもう少し層の重なった、もうちょっとカラフルなものにしたかったんだ。

ちなみに、アンドリューがひたすらチープな機材を使って音楽を作っていますが、それは高価な機材でしかモノを作らないことへの反論なのでしょうか? 

JW:そうは言っても、ここ数年で奴の機材の幅は間違いなく以前より広がったと思うけどね。でも、あいつは以前「ACID」っていうソフトを使ってビートを作っていたはずで、っていうかいまも使ってる(笑)。だから、そうね、あいつはこう……効果音だとか、奇妙なサウンドだのに入れ込んでるんだよ。で、それらを入手するのには、そんなに大枚はたかずに済むわけじゃない? 
あいつのいま使ってるセットアップも、かつてに較べりゃずいぶんでかくなった。ただ、それでもあいつはいまだに、歌にビート/音楽を組み込む際は最小限の要素みたいなものにしか頼らない。あいつも近頃じゃ、いくつか良質な機材の一式をいつでも使えるよう、手元に揃えたがるようになってるけども。

スリーフォード・モッズはある意味、音楽を作ることに、音楽界にインパクトを与えるのに大金を費やす必要はないという、その好例じゃないかと思うんですが。

JW:そうそう、その必要はまったくない。俺たちはそういうのに興味なし。とにかく俺たちは大抵ミニマルにまとめているし、アンドリューはそれにうってつけなんだ。というのもあいつの音楽は、たとえばソロでやってるExtnddntwrk(=extended network)にしても、どれも一種の音のランドスケープ、サウンドスケープ郡みたいなことをやっているし、やっぱりミニマルなわけで。だからほんと、あいつのやることはそこと完璧にマッチするんだ。

Extnddntwrk名義の作品は、じゃあよくご存知なんですね。彼のアンビエントな側面もお好きですか?

JW:ああ、もちろん! 好きだしいいと思う。もっとも、あれは自分が普段聴くような類いの音楽じゃないけども。だから、そんなに聴かないけど、ちゃんと評価はしてる(笑)。

ちなみにアンビエントの巨匠イーノに関してはどんな印象をお持ちですか?

JW:ファンではないな。(苦手そうな表情を浮かべて)全然好きじゃない。でも彼は、俺のハマってる連中の多くにすごく影響してきた人なわけだよね? テクノだとか、エレクトロニカ全般なんかに多大な影響を与えてきた人だとされているけれども、俺自身は一切影響を受けてない。彼にはまったく興味を惹かれたことがないな、うん、それはない。だってさぁ、あのみてくれだぜ(と、頭を丸めた坊主頭のジェスチャーをする)? でかい頭で、すげえ妙なルックスでさ。フハッハッハッハッ……!

(苦笑)。いや、イーノはあなたと同じようにコービン支持者ですし、政治的には共感できるんじゃないかなと。

JW:(真顔に戻って)ああ、うんうん、それはもちろんだよ。だから要は、俺はあの手のミュージシャンにエキサイトさせられることはまずない、ってこと。いつだってもっとこう、ストリート系な、「ウギャアアアァァッ!」みたく騒々しいバンドなんかの方に感心させられるっていうか、そういうのなら「おう、よっしゃ!」とそそられるっていうさ。

2020年にはこれまでのキャリア総括盤『All That Glue』も出しましたし、自分たちを振り返る時間もあったかと思います。

JW:(うなずいている)

あらためてスリーフォード・モッズの原点を、あなたが友人のサイモン・パーフと2006年か07年あたりにこのプロジェクトをはじめた、その当初のコンセプトを教えていただけないでしょうか? 

JW:あれは本当に……いま君たちが耳にしているもの、そのごくごくベーシックなヴァージョンだったんだ。当時の俺たちは他の人間の作った音楽をループして使っていた、という意味でね。

(笑)無断サンプリングしていた。

JW:(苦笑)そう! で、俺はとにかく……そのループにシャウトを被せていただけで。個人的な実体験の数々、酔っぱらった経験や失敗談、アルコールとドラッグへの依存、セックスとか、まあ何でもいんだけど、そういった事柄すべてについて語っていた。いまやそこは変化したけどね、それとは別のことを俺は歌ってる。ただ、それらは人生のなかのごくちっぽけな立ち位置/存在の観察だ、というのは常にあって。で、それが念頭にありつつも──うん、昔の自分の怒号ぶりを思うと、いまよりもうちょっと早口でまくしたてていたしラウドだったし、たまに自分で制しきれなくなることもあり、実はそんなによくはなかった、みたいな? だからとにかく、いまやっていることと基本的には同類の、でもその初期ヴァージョンだった、という。

スリーフォード・モッズは、モッズと言いながらいわゆるモッズ・サウンドではありません。ポール・ウェラー的なネオ・モッズ、あるいはスモール・フェイセズといったタイプの音楽ではないわけですけど、そもそもなぜ「モッズ」を名乗ることにしたんでしょう?

JW:それは、俺たちは基本的に──いやまあ、俺自身はモッズ的なものには入れ込んでるんだけどね。あれは常に俺の興味をそそってきた。で、俺のモッズ観は、あれは他の何よりも際立つことができるものだ、ということで。もしもバンドがモッズなるものをばっちりモノにできれば、そいつらは他の何よりも抜きん出ることができる、みたいな。というのも、モッズ(モダーンズ)というのはいつだって真実を伝える連中だったし、クリエイティヴィティに対してもっとずっと正直なアプローチをとってきた連中なわけで。だからなんだ、自分たちのバンド名に俺が「モッズ」の単語を含めたのは。自分たちもその同じ流れに沿っている、俺はそう思ったから。

で、今回のアルバムの“Nugde It”の歌詞は興味深いなと。

JW:へえ、オーケイ。

あれはスリーフォード・モッズの現在の立ち位置を歌っていると思いますよね。で、スリーフォード・モッズに対する評価に対しても苛立っているように読めるのですが、もしそうだとしたら、これはどういうことなのでしょうか? ちょっと説明をお願いできますか? 

JW:あの曲で言わんとしているのは、異なる生い立ちを持つ連中がいかにして、実際にその経験がないくせに自分たちとはバックグラウンドが違う者たちの物真似をしているか、ということだね。そうやって物真似することで、彼らは自分たちをもっとエッジーに、あるいは実際より興味深いものに見せようとしている、という。で、多くの場合、人びとはその点に気づいてすらいないわけ。そういった連中は、自分たちがやっているのは本当はなんなのかすら考えずに、他の人びとのユニフォームを借り着してるっていう。俺は、それってマジに無礼な侮辱だと思う。かつ、その物真似を鵜吞みにして支持する人間が山ほどいるって事実、それに対しても本当に怒りを感じる。そういうことをやってるバンドのいくつかは、とんでもなく人気が高いわけだろ? というわけで、あの曲で取り上げているのはそういうことだね、「階級見学ツアー(class tourism)」みたいなものについてだ。
(※ここでジェイソンの話しているのは、上流・中流・下層と階級が分かれる英国で、上位に位置する人間が不思議がりときにバカにする意味合いで一時的に=物見遊山で立ち寄るごとく下層階級のファッションやスラングやカルチャーを真似する行為を指す。「貧民見学ツアー」を意味するpoverty safariというタームもある
だから、お前さん自身は繫がっていない、お前さんには実体験の一切ない、そういう人びとだったり彼らの生き様をお前は物真似しているんだろうが、と。お前がそれを利用するのは、そうやって真似ることで自分をパワフルに見せたいだけだろ、と。

──それは、アイドルズみたいなバンドのことですか?

JW:ああ、まったくねぇ! うん、そう。

ソーシャル・メディア他であなたと彼らとのビーフが広まりましたよね。先ほどもおっしゃっていたように、アイドルズはいますごい人気ですけれども──

JW:(苦虫をかみつぶしたような表情で)ああ。

あなた自身は彼らの言うことは信じていない、と。

JW:信じないね。なんて言えばいいのかな、「学が足りない/ちゃんと勉強してない」っていうの? 一元的で浅薄だし、中身がまったくない。とにかくやたらポーズばっか、と。で、いまって本当にひどい時期なわけだし、「自分は生きているんだ」と実感できるような何かを求めるわけだろ。これは俺個人の思いだけど、ああしたかっこつけやポーズから、俺はそういう感覚を受けないんだ。

ちなみに、主にCD-R作品を出していた初期のことをわたしは「スリーフォード・モッズMK.1」あるいは「Ver.01」と捉えているんですが──

JW:ああ、うん。

で、アンドリューが加入し、いわば「スリーフォード・モッズ Ver.02」がはじまった、と。そのブレイク作である『オースタリティ・ドッグズ』以降とでは、音楽への向かい方はどう違っていますか? 

JW:うん、変化したね。絶対にそう。だから……質問は、俺の音楽に対する姿勢がどう変化したか、ということ?

ええ。基本は変わっていないと思うんですが、『オースタリティ・ドッグズ』を境に、それ以前に較べてもうちょっとプロっぽくなった、「これは自分たちのキャリアだ」と考えはじめたんじゃないかと。そこで、音楽作りや作詞へのアプローチは変化しましたか?

JW:ああ、なるほど。うん、変化した。それは、さっきも話に出たマルクーゼみたいな人の考えだとか、現代世界に対する様々な類いの批評等に触れたことが影響しているんだと思う。
それと同時に、俺自身のなかで育ち続けている、「自分はこの世界のどこに位置してきたのか」みたいな意識/目覚めもあるんだ。自分という存在はこの世界でどんな意味を持ってきたのか? 自分は自分にとってどんな意味があるのか? 自分は何を学んできたんだろう? と。ぶっちゃけて言えばケアしているのは唯一それだけ、ほんと、成功と物質的な豊かさに伴うあれこれがひたすら重要な世界のなかで、自分はこれまでどんな人間として生きてきたのか、そうしたすべてをひっくるめたあれこれが、『オースタリティ・ドッグズ』を作った後で、よりはっきりしたものになりはじめていった。

それだけヘヴィになった、とも言えますね(苦笑)。

JW:ああ、もちろん! そりゃそうだって。歳を食えば食うほど、たくさんのことがかなり、こう……だから、ドラッグだのセックスだの、そんなんばっかの人生なんざもうご免だ、タイクツなんだよ! って風になり出すもので。それらがやがて問題になってくるし、となると自分の人生からその要素を取り去るよう努力する他なくなる。いや、セックスは残しておいていいな、タハッハッハッハッハッ! ただまあ、ドラッグ摂取/飲酒等々の問題面は取り除こうぜ、と。
アルコールとドラッグのツケは、最終的に非常に大きく俺に回ってきたから。あれを乗り越えるのには本当に長くかかった。で、そうしていったん克服してみると、この世界は自分にどんな意味を持つのかという面に関して、これまでとは違う物事が作用してくるようになって(※数年前からジェイソンは飲酒もドラッグも断っている)。
というわけで、スリーフォード・モッズに備わったメッセージはある意味『オースタリティ・ドッグズ』以降も変わっていないんだけど、ただそのコンテンツは常に変化し続けている。

スリーフォード・モッズは、マルクス主義者やフランクフルト学派を研究するような知識人からも評価されていますよね。個人的には興味深く思っているのですが、こうした左翼的な分析に関しては、あなたはどんな感想をお持ちでしょうか? 

JW:彼らの分析には大いに賛成だ。もっとも、自分を左翼人だとは思っちゃいないけどね。でも、右翼じゃないのは間違いない。

(笑)それはありがたい!

JW:(爆笑)。うん、ああした分析は好きだよ。インテリの立場にいる人たち、おそらく俺も興味を抱くであろう、そういう人びとが俺たちのやっていることをすごく気に入ってくれてるのはいいことだと思ってる。

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彼らの分析には大いに賛成だ。もっとも、自分を左翼人だとは思っちゃいないけどね。でも、右翼じゃないのは間違いない。

オーウェン・ジョーンズの『チャブ』は読んでいると思いますが、あの本は好きですか? 

JW:もちろん読んだ。すごく気に入ったね。あの本もまた、俺が政治に関してもっと建設的なフォルムみたいなものへと浮上していく、その助けになったもののひとつだ。

“Elocution”では誰かの偽善性を批判しているようですが、具体的に誰とかあるのでしょうか? それとも音楽シーンに対する観察?

JW:ああ、うん、あれは……だからこの国の音楽シーンじゃ、マジにがっくりさせられる、そういう手合いはいくらでも跡を絶たないわけで。

(爆笑)

JW:ハッハッハッハッハッ! なんかこう、そういう連中がどこからともなく次々に湧いてくる。っていうか、ほぼ毎年出てくるな。本当にシャクに障りイラつかされる、そういうアクトが毎年かならず、1、2組は登場する。

(苦笑)なるほど。

JW:で……あれはほんと、そうした連中をあれこれ組み合わせたコラージュだね。連中は社会正義を謳った色んなキャンペーン活動のフロントを張るわけだけど、たまに「こいつら、自分たちのキャリアを向上させるのが目的でこういう活動をやってるんじゃないの?」という印象を抱かされることがあって。音楽そのものの力じゃ勢いが足りないからそれをやってる、と。才能が平均以下のミュージシャンの多くは、人気者のポジションを狙うなかで、大抵はネットワーキングに頼るものなんだ。各種音楽賞だの、なんであれそのとき焦点の当たっている、メディアに取り上げてもらえる問題に対するキャンペーン活動を通じて、という意味でね。だから連中は多くの場合、自分たちの地位を向上させるために、そのメカニズムに相当に依存しているわけ。
そうは言っても、彼ら自身は自分たちがどういうことをやっているかに対する自覚がないのかもしれないよ? ただ──そういうのにはウンザリなんだって。そんなんクソだし、お前らの音楽は特にいいわけでもない。こっちにはそれはお見通しなのに、それでもお前は「音楽をケアしてます」って言うのかよ、と。まあ、彼らもたぶん少しは気にかけているんだろうな。けど、それ以上にお前が気にしているのは自身のキャリアだろ、っていうさ。

そこはミュージシャンにとっての難問ですよね。たとえば『スペア・リブズ』が売れてあなたたちがさらにビッグになったら、「ソールドアウトした」と批判する人は出てくるでしょうし。

JW:ああもちろん! っていうか、その批判を俺たちはこれまでも受けてきたし、いまですらそうだ。ただ、俺たちがかっこつけた気取り屋ではないこと、セレブではないっていう事実、そこは人びとだって俺たちからもぎ取れない。俺たちは常に、自分たちのままであり続けてきたんだしさ。

“Glimpses”や“Top Room”はロックダウン中の情景を歌っていますよね? で、“Glimpses”ですが、これは曲調こそパンク・ソングなのですが、歌詞がずいぶん抽象的というか詩的に思いました。ここにはどんな意図があるのでしょうか?

JW:“Glimpses”ね。あれは……もっとこう、子供を連れて近所の公園に出かけると、みたいな話だね。で、行ったもののCOVIDのせいで公園は封鎖されてた、と。それと、消費主義についての歌でもある。それがいかに……だから、とあるスニーカーの宣伝をちょこっとやっただけでそのスニーカーをタダで5足もらえる奴もいる、と。ところがこちらは、その同じスニーカーを買うのに500ポンドだのなんだの、大金をはたくことになる。となると、こっちはほとんどもうなんの価値もない人間だ、ってことになるよな。商品そのものの話ではなくて、マネーのことだよ。
でもいずれにせよ、俺たちだってみんな、そこは承知しているわけで。誇示的消費(=conspicuous consumption。富や地位を誇示するための消費)なんて、別に目新しいものでもなんでもないんだし。で、俺としてはある意味、その点をあそこで論議したかったんだけど──うん、果たしてそのふたつの意味合いをあの曲でちゃんと表せたか、それは我ながらよくわからないな。あれはとてもいい歌だし、すごく気に入ってる。ただ、曲のメッセージという意味では、まだほんの少し、言葉が足りないのかもしれない。

2014年のガーディアン紙の取材であなたはスリーフォード・モッズの音楽の根幹には「怒り」があると話しています。いまでも「怒り」はモチベーションだと思いますが、それはあの頃とまったく同じ「怒り」がいまも持続している感じですか?

JW:うん……だから、俺の怒りのほとんどは、他の人びとに対して感じる苦々しさや嫉妬、うらやましさから派生したものなんだよ。それとか他人をおいそれと信じないところだったり、政府に対する軽蔑もその主な要因になっている。で、その点は変化していないと思う。それらのアイディアから、俺はいまだにこうしたエネルギーのすべてを得ているわけで。ネガティヴィティにシニシズム、そして自己批判もあるけど、そうしたものからエネルギーを得ている。
というわけで、そこはいまだに継続中だな。ただ、思うにほんと唯一、自分にとって重要なことという意味で……自分にどうしても語れないのは愛だなぁ。愛というのは、(歌にして)宣伝するよりも(苦笑)、実際に体験する方がずっといいアイディアだと俺は思っているから。だからまあ、ポジティヴィティがほとんど存在しない、ポジティヴさがわずかな隙間にちょこちょことしか見出せない状況で、常にポジティヴなことばかり語るのは、どうしたって興味深いこととは思えないだろう。

トランプやボリス・ジョンソンのような右派ポピュリストは、新自由主義によるグローバリゼーション(安価の移民労働)と「Austerity」(福祉予算のカット)によって追いやられた労働者たちの心情にうまくコミットしていましたが、コロナによって、例えばトランプが選挙に負けたように、右派ポピュリズムにほころびが出てきています。しかし、それでも日本では、コロナを企業社会の新自由主義的な再編の機会として捉えている向きもあり、ますますやばい状況になりそうです。イギリスも失業者がハンパないと報道されていますが、そうした社会不安や追い詰められていくメンタリティの問題、見えない恐れの感覚は今回のアルバムに大きな影響を与えていると感じたのですが、いかがでしょうか?

JW:そうだと思うよ、うん。もちろん。だからこの、自由がみるみる奪われていくという実感に、疎外感に……日常的に同じ経験を繰り返しているなという感覚。終わりがどうにも見えてこないフィーリングに、いったい何を信じればいいのかわからないという感覚。情報よりもむしろ、「これは大丈夫だ」と思える自分のいい本能/直観に常に頼らなくてはならない状況だとか。正確な情報ってのは、誰にでもすぐ入手できるものであるべきだというのに。うん、そういったことが作品に影響したね。──と言いつつ、と同時にこれは……パンデミックが襲った際の人びとの振る舞い方とそこから生まれた結果というのは、資本主義システムの下では人びとはそう振る舞う以外にないんだし、いずれにせよそれと同じ結果になる、ということでもあって。だから今回の作品にしたって、ずっと継続している物語のエピソードのひとつというか、『オースタリティ・ドッグズ』以来俺たちが語り続けてきたこと、そのなかの一話なんだ。
というわけで、俺はその面はあまり述べたくなかった。この試練だって、後期資本主義のまた別の一面に過ぎないんだし、あまねく広がった腐敗の現れであり、遂に本当に真剣な決断を下さなくてはならない地点にまで達した文明の側面なんだから。自分たちは何を信じるのか、そして自分たちはどう振る舞っていくのか、そこについて人類はシリアスな決断を下さなくちゃならないところまで来ているわけでさ。うん、そうした思いはたしかに、アルバムにある程度までは影響を与えた。おっしゃる通りだ。

ネガティヴィティにシニシズム、そして自己批判もあるけど、そうしたものからエネルギーを得ている。というわけで、そこはいまだに継続中だな。ただ、思うにほんと唯一、自分にとって重要なことという意味で……自分にどうしても語れないのは愛だなぁ。

たとえば、ビリー・ノーメイツが参加した“Mork n Mindy”なんかはそういう気味の悪い不安をうまく捉えた曲だと思いましたが、あの曲はあなたの子供時代を反映したものらしいですよね?

JW:ああ、そうだ。あの曲は俺が子供だった頃についての歌で、そうだな、あれと“Fish Cakes”の2曲は、子供時代について歌ってる。自分の子供時代や、子供のときはどう思うんだろうといったことを考えるようになりはじめて……。俺は生まれつき、難病の二分脊椎症(spina bifida)を患っていてね。11歳のときに脊椎の大手術を体験したんだ。

ああ、そうだったんですか。

JW:うん。でも、当時は二分脊椎症だったとは知らなくて、今年の夏に(コロナの影響で)ジムが閉鎖され、自宅の庭でエクササイズ中に背中を怪我して、はじめてそうだったと知った。で……うん、そのおかげで、手術を受けた頃に引き戻されたね。あれは、かなりエモーショナルな時期だったから。というわけであの頃を思い返したし、子供だった自分のことをまた考えるようになって。それにもちろん、いまの自分には子供もできたし、彼らの子供時代と自分自身の子供時代とをしょっちゅう比較するようにもなったわけ。だから……あの曲はアルバムに入れたかったんだよ、子供時代を考えれば考えるほど、自分のなかに色んな思いがたまっていったから。

ビリー・ノーメイツは今年アルバムを出しましたが、あなたも1曲参加していますよね。彼女は抜群だと思いますが、あなたは彼女のどんなところを評価していますか? 

JW:やっぱ、あの声だよね。それと、彼女の曲の書き方も。彼女は本当に、すごく、すごく才能があるし……うん、ちゃんとした、本当にオリジナルな人で。それに、彼女を聴いていると自分の頭にかつてのグレイトなシンガーがたくさん思い浮かぶんだ。とくに、過去の優れたソウル・シンガーの数々を思い起こす。音楽という概念を実践する面でも非常に腕の長けた人だし……とにかく彼女には、どこかしらすごくソウルっぽいところがあるんだよなぁ。と同時に、80年代っぽいところもかなり備えていて。そうした点が、ほんといいなと思う。

Amyl and the Sniffersのエイミー・テイラーも参加していますが、今回なぜ女性シンガー2名とコラボしようと思ったんでしょう?

JW:俺たちも女性の存在を求めていたんだよ、だから、ほら……全般的に、女性が欠けてるわけだしさ(苦笑)。

(笑)テストステロン値が高過ぎる、と。

JW:そう(笑)! 野郎が多過ぎだって。ハッハッハッハッ……ぎゃあぎゃあ騒いでる男どもが多過ぎる(苦笑)。

アルバム名は「肋骨」で、女性はアダムの肋骨(=リブ)から作られたと旧約聖書にありますよね。それで女性が必要だったのかな?と。

JW:ああ〜! たしかに! なるほどねぇ。(笑)いや、そういうわけじゃないけど、でも実に古典的なポイントだな、それって。そういう風に自分が考えたことはなかったけどさ。

このアルバム・タイトルを知ったときに、イギリスで70年代に発刊されたフェミニスト雑誌『Spare Rib』を思い出したんですよ。その書名はもちろん、聖書の「女性は男性の一部である」という発想を茶化したもので。

JW:うん、うん(うなずく)

とはいえ、このタイトルの「スペアリブ」は、まさしく我々のことを指しているわけですよね。一本くらいなくなっても平気なあばら骨、いわば使い捨てライターのように取り替え可能な存在、という。

JW:イエス! でも……君がそうやってアルバムの概要をまとめてくれた方が実際よりはるかに面白いかもな、クハッハッハッハッ!

(笑)ふざけないでください。全部、ちゃんと考えてるんでしょ?

JW:いやいや、そうやってあれこれ言われると、俺は「違う」って言い出すっていうね! アッハッハッハッハッァ〜……! 
(ひとしきり笑った後で真顔に戻って)いや、うん、そうだよ。あのタイトルは基本的に、俺たちの政府は2020年のはじまり以来人びとをどんな風に扱ってきたか、ということで。無駄死にした死者の数──だから、あれだけ(コロナで)死者が出たけど、そのある程度までは防げたはずだった、俺はそう思っていて。そこで考えさせられたんだよ、政府は経済モデルに貢献している人民の生命よりも、その経済モデルを維持することの方に心を砕いているんだな、と。いやもちろんこれは、政府側はその点を意識してそうやっている、という意味ではないんだ。ただ、世のなかには常に、この経済モデルに貢献する人間たちが絶え間なく流入してくるわけでさ。ということは、この経済モデルを保存するためにだったら、政府の側には20万人であれ百万人の命であれ、たまにちょっとばかり人口を削ってもなんとかなる、そういう余裕があるってことだよ。
で、2020年のはじめからイギリスの公衆に対しておこなわれてきた安全対策の数々を考えれば考えるほど──わかるだろ? 英政府は(人民よりも)経済モデル維持の方をもっとケアしてきたんだな、という印象を抱くわけ。だから、政府の考え方は「肋骨をいくつか取り除いても、身体そのものはなんとか機能するからOK」みたいなものにはるかに近い、と。ということは、俺たちはみんなスペアリブだってことだよ。でも……このタイトルは、イギリスではおなじみな、中華料理のテイクアウト・メニューにもちなんでいて。

ほう。

JW:わかるかな、スペアリブ? イギリスじゃどこでもお目にかかるありふれた食い物なんだけど(※ばら肉を骨付きで揚げたりバーベキューした、イギリスのお持ち帰りチャイニーズの定番料理)。ある意味、そこにも目配せしているタイトルだし、子供時代とも繫がっていて。

……あなたはよく、食べ物について書きますよね?

JW:うん。

どうしてですか?

JW:当たり前だろ、それって。

「スペアリブ」はもちろん、これまでも「マックフルーリー」とか「イングリッシュ・タパス」とか。あなたは身体を鍛えていて、大食いしなさそうですけど、歌詞には食べ物や食べることに関する妙な執着があるように感じるんですが(笑)?

JW:いやとにかく、多くの人間が食えるのってそれくらいなわけじゃない? たとえば……ひとり分のチップス、その人が手に入れられるのはそれだけ、みたいな(※チップスはフライド・ポテト。日本のそれより厚めにカットされていてボリュームがあるにも関わらずひと袋200〜300円程度なので、本来は副菜であるチップスを主食代わりにする人もいる)。それとか、食べられるのは卵サラダサンドだけ、とか。だから、それって人びとはいかに……んー、あまりお金がない状態にいると、そういう安くてしょうもない食べ物でも美味く感じて大事に味わえる、そこに落ち着くんじゃないかと思う。それに、俺とアンドリューがふたりで話すのって、ほんと、食い物についてばっかだし。

(笑)マジですか。

JW:いやだから、そこはまた……さっき言われたイングリッシュ・タパスだとか、マックフルーリーだとか、まあなんでもいいんだけど、そうやって俺が歌で取り上げてきたことって、俺がそういった食い物を食ってる日常の周辺で起きた色んなことを表象するものでもあるんだよ。それは子供時代の話も同様で、ガキの頃はとんでもなくひどいものを食わされてたよなぁ、みたいな文句をね(笑)。その手の話はしょっちゅうやってる。

表題曲の“Spare Ribs”の歌詞にエイフェックス・ツインが出て来ますが、お好きですか?

JW:うん、彼はいいんじゃない? いやだから、あの歌詞で彼の名前を持ち出したのは、あの曲で歌っているのは──

──知ったかぶりの、マウントしたいタイプ?

JW:(顔をしかめて)うんうん、あの手合いはね〜、ほんと、もう……

(歌詞を引用して)「エイフェックス・ツインや/スペインのアナキストについてえんえん語ってる奴」と。

JW:うん、そうそう! だからさ、ああいう難しそうなことをぺらぺら触れ回ってる連中って、いざ「それってどういうことですか?」と突っ込まれると、実はそれをよく知っていないのがバレるっていう。となると、やっぱ思うよね、お前は常に「自分はこの手の世界にどっぷり浸かってますよ、熟知してます」って雰囲気を醸してきたのに、なんで自分の言ってきたあれこれをよく知らないんだい?と。

“Fish Cakes”で繰り返されている「At least we lived」という言葉に込められている感情は、やはり絶望感なのでしょうか?  すごく悲しい曲だなと思いますし、「少なくとも自分たちは生きたんだから」という一節にあなたが込めたのもそういう思いなんでしょうか。

JW:うん、ある意味、そうなのかもしれない……。うん、そうした悲しみをあの曲で伝えたかったのかもね。というのも、俺が子供の頃は……いや、そんなに悲しい子供時代だったとは思わないな。それよりもこう、とにかく退屈だった。狭く限られていたし、周囲にも大して何もなくて。しかも大人たち、当時接することになった大人のほとんどは、子供たちよりもひどい状態で。だから、とにかく何もかもがつまらなくみじめだと思えたし、憂鬱に映った。そこを歌にしたいなと。それらの体験を曲に含めたいと思ったんだ。それをやるのには、本当に苦戦したけどね。というのも、俺はあれを哀れっぽい曲には、聴き手に憐憫の情を掻き立てるような曲にはしたくなかったから。そうではなく、あの情景を表に見せたかっただけで。

今年亡くなったアンドリュー・ウェザオールから受けた影響についてお話しいただければ。Two Lone Swordsmenの“Sex Beat”(ガン・クラブのカヴァー)には影響を受けたという話は読みましたが、それ以外で彼について思うことがあればお願いします。

JW:TLSのアルバム『From the Double Gone Chapel』(2004)で、彼らは──あれはたぶん4枚目か5枚目だったはずじゃないかな? あれを聴いて、俺の抱いていた……シンガーが歌う際のいいバッキング・サウンドとはどういうものになり得るか、そこについての考え方を部分的に変えさせられた。いいサウンドってのは何かという、その見方をね。あの雷みたくゴロゴロと鳴るベース・ラインに、あのアルバムでのアンドリュー・ウェザオールの歌い方に……それにキース・テニスウッド。彼とは知り合いで、たまに話す間柄だよ。本当にいい人だけど、うん、彼の用いたプロダクションの手法だとか。そういや、彼もブライアン・イーノの大ファンなんだよな。彼に「あのアルバムであなたが影響されたのは何だったんです?」と尋ねたら、「ブライアン・イーノにめっちゃ影響されたぜ!」って答えが返ってきて、俺は「クソッ、そうなのか!」みたいな(笑)。

(苦笑)それはもう、あなたもイーノを聴かないと。意地を張らず、諦めて聴きましょう。

JW:(笑)あー、そうだねぇ、聴かないと……。ともあれ、うん、そういう話で。それに、アンドリューとも2回くらい実際に会ったことがあって。ほんと、イイ奴でね。本当にナイス・ガイで。全然──お高くとまったところや自己中心的なところのまったくない、じつに愛すべき人だった。だからうん、そこはものすごく感銘を受けたよね。でも、それだけじゃなく、彼の佇まいも印象に残ったな。ほら、あのタトゥーだったり……着る服を通じて自己表現する彼のやり方だとか、あれは無類のものだったっていう。ああいうことをやる人は決して多くなかったし、そこからも本当に影響された。とにかく、「自分の頭で考えろ」っていうこと。もっとも、その点については、他の人たちからも俺は多く学んできたんだよ。ただ、アンドリュー・ウェザオールはそのなかでもグレイトな人物のひとりだと思ってる。

ウェザオールには「彼のスタイル」がありましたよね。そこが、他の人とは違っていたんだと思います。

JW:(うなずく)ああ。

来年の抱負をお願いします。

JW:それは……やっぱ、またライヴをやることだよね。俺たち、日本にぜひ行きたいと思ってるし。

ぜひ!

JW:うん、ほんと、日本に行けたらいいなと思ってる。とにかく日本で演奏するだけでいいんだ。そうやって向こうに行って……ギグをやって守り立てることで、『スペア・リブズ』にふさわしいだけのことをちゃんとやってあげたいな、と。いまは視界も開けた状態なわけだし、うん、もっと後になってからではなく、できれば早めにそれを実現したいと思ってる。

アルバム音源も好きですが、あなたたちのエネルギーはライヴだと一層パワフルなので、日本でのショウが実現するのを祈っています。というわけで、本日はお時間いただき、ありがとうございました。

JW:こちらこそ、ありがとう。

★了

(2020年12月17日取材)

 2020年の顔、スピーカー・ミュージックことディフォレスト・ブラウン・ジュニアはそのすばらしいアルバム『Black Nationalist Sonic Weaponry』において、方法論的にフリー・ジャズを参照している。とくに大きな影響源として言及されているのは、ノア・ハワード、アーチー・シェップ、そしてアルバート・アイラーだ。添付のブックレットに掲載された推薦盤10枚のうち、1枚は『Spiritual Unity』である。かつてのラディカルな試みがべつのかたちで──それこそゴーストのように──みごと現代に蘇ったというわけだ。
 60年代、フリー・ジャズの領野で重要な役割を果たしたアルバート・アイラー。2020年はちょうど彼の没後50周年でもあった。それにあわせ、このレジェンドの魅力を紐解く濃密な本が刊行される。題して『AA 五十年後のアルバート・アイラー』。編んだのは細田成嗣で、総勢30名以上のミュージシャン/批評家/研究者が参加している。
 出版記念イベントも予定されているとのことなので、詳しくは下記をチェック。

AA 五十年後のアルバート・アイラー
編者 細田成嗣
装丁・組版 田中芳秀
四六判並製:512頁
発行日:2021年1月下旬
本体価格:3,800円(+税)
ISBN:978-4-910065-04-5

ニューヨークのイースト・リヴァーで変死体が発見されてから半世紀——未だ謎に包まれた天才音楽家アルバート・アイラーの魅力を解き明かす決定的な一冊が登場!

34歳で夭折したフリー・ジャズの伝説的存在、アルバート・アイラー。ジャズ、ロック、ファンク、R&B、カリプソ、民謡、ノイズ、インプロ、現代音楽、または映画や文学に至るまで、ジャンルを飛び越えて多大な影響を与え続けるアイラーの全貌を、2020年代の視点から詳らかにする国内初の書籍が完成した。

総勢30名以上のミュージシャン/批評家/研究者らによる、緻密な音楽分析をはじめ、既存の評論やジャーナリズムの再検討、または社会、文化、政治、宗教にまで広がる問題を多角的に考察した“今読まれるべきテキスト”を収録。さらに初の邦訳となるアイラーのインタビューのほか、アイラーのディスク紹介、ポスト・アイラー・ミュージックのディスクガイド、アイラーの年譜、全ディスコグラフィー、謎多きESP盤に関するマニアックなウンチクまで、500頁以上にも及ぶ超濃密な内容!

「今アイラーについてあらためて考えることは、“偉人”をその偉大さにおいて再評価することではなく、むしろわたしたちがどうすればよりよく生きることができるのかといった、きわめて卑近な問題について考えることでもあるのだ」
——序文より
「かつて『AA』なるインタビュー映画を世に出した。 そのタイトルは「間章(あいだ・あきら)」を意味した。 そこにしばしの躊躇がなかったわけではない。 「AA」といえば「アルバート・アイラー」ではないか。 ダブルイニシャルの呪術の無闇な濫用への畏怖は、 それでもいま現れるこの書物とのさらなる「一にして多」を言祝ごう。」 ——青山真治(映画監督)

▼執筆者一覧
imdkm/大谷能生/大友良英/大西穣/菊地成孔/工藤遥/纐纈雅代/後藤雅洋/後藤護/齊藤聡/佐久間由梨/佐々木敦/竹田賢一/長門洋平/柳樂光隆/奈良真理子/蓮見令麻/原雅明/福島恵一/自由爵士音盤取調掛/不破大輔/細田成嗣/松村正人/村井康司/山﨑香穂/山田光/横井一江/吉田アミ/吉田野乃子/吉田隆一/吉本秀純/渡邊未帆

▼目次

●序文

Ⅰ アルバート・アイラーの実像
●アルバート・アイラーは語る
——天国への直通ホットラインを持つテナーの神秘主義者 取材・文=ヴァレリー・ウィルマー 訳=工藤遥
——真実は行進中 取材・文=ナット・ヘントフ 訳=工藤遥
——リロイ・ジョーンズへの手紙 訳=工藤遥
——アルバート・アイラーとの十二時間 取材・文=児山紀芳
●アルバート・アイラー 主要ディスク・ガイド 柳樂光隆 細田成嗣

Ⅱ コンテクストの整備/再考
▲鼎談 フリー・ジャズの再定義、あるいは個別の音楽に耳を傾けること 後藤雅洋 村井康司 柳樂光隆 取材・文=細田成嗣 註釈=山﨑香穂
●ユニバーサルなフォーク・ソング 竹田賢一
●星雲を象る幽霊たち——アルバート・アイラーのフォーメーションとサイドマン 松村正人
●抽象性という寛容の継承——アメリカの現代社会と前衛音楽の行く先 蓮見令麻
●英語圏でアイラーはどのように語られてきたか——海外のジャズ評論を読む 大西穣
【コラム】アルバート・アイラーを知るための基本文献

Ⅲ 音楽分析
▲対談 宇宙に行きかけた男、またはモダニズムとヒッピー文化を架橋する存在 菊地成孔 大谷能生 取材・文=細田成嗣 註釈=山﨑香穂
●アルバート・アイラーの音楽的ハイブリッド性について——〈Ghosts〉の様々な変奏に顕れるオーセンティシティ 原雅明
●カリプソとしてアイラーを聴く——根源的なカリブ性を内包する〝特別な響き〟 吉本秀純
●アルバート・アイラーの「ホーム」はどこなのか?——偽民謡としての〈ゴースツ〉 渡邊未帆
●アルバート・アイラーの技法——奏法分析:サックス奏者としての特徴について 吉田隆一
●サンプリング・ソースとしての《New Grass》 山田光
【コラム】シート・ミュージックとしてのアルバート・アイラー

Ⅳ 受容と広がり
●アルバート・アイラーへのオマージュ——ヨーロッパからの回答 横井一江
▲インタビュー 《スピリチュアル・ユニティ》に胚胎するフリー・ミュージックの可能性 不破大輔 取材・文=細田成嗣 註釈=山﨑香穂
●むかしむかし『スイングジャーナル』という雑誌でAAが注目を浴びていた——六〇年代日本のジャズ・ジャーナリズムにおけるアルバート・アイラーの受容過程について 細田成嗣
▲インタビュー ジャズ喫茶「アイラー」の軌跡——爆音で流れるフリー・ジャズのサウンド 奈良真理子 取材・文=細田成嗣 註釈=山﨑香穂
●アイラーとは普遍的な言語であり、体系をもたない方法論である——トリビュートを捧げるミュージシャンたち 齊藤聡
●ポスト・アイラー・ミュージック ディスク・ガイド 選・文=細田成嗣

Ⅴ 即興、ノイズ、映画、あるいは政治性
▲インタビュー 歌とノイズを行き来する、人類史のド真ん中をいく音楽 大友良英 取材・文=細田成嗣 註釈=山﨑香穂
●現代から再検証するアルバート・アイラーの政治性と宗教性——ブラック・ライヴズ・マター期のジャズの先駆者として 佐久間由梨
●録音/記録された声とヴァナキュラーのキルト 福島恵一
●アルバート・アイラーによる映画音楽——『ニューヨーク・アイ・アンド・イヤー・コントロール』をめぐって 長門洋平
●制約からの自由、あるいは自由へと向けた制約——アルバート・アイラーの即興性に関する覚書 細田成嗣

Ⅵ 想像力の展開
●破壊せよ、とアイラーは言った、と中上健次は書いた 佐々木敦
●少年は「じゆう」と叫び、沈みつづけた。 吉田アミ
▲対談 祈りとしての音楽、または個人の生を超えた意志の伝承 纐纈雅代 吉田野乃子 取材・文=細田成嗣 註釈=山﨑香穂
●ジャズとポスト・ドキュメンタリー的「ポップ」の体制——《ニュー・グラス》について imdkm
●アイラー的霊性——宗教のアウトサイダー 後藤護
【コラム】ドキュメンタリー映画『マイ・ネーム・イズ・アルバート・アイラー』について

Ⅶ クロニクル・アイラー
●アルバート・アイラー 年譜 一九三六—一九七〇 作成=細田成嗣
●ALBERT AYLER DISCOGRAPHY 自由爵士音盤取調掛
——Index of Recording Dates
——第3巻の真実
——スピリッツ講話
——ベルズ報告

●後書
●索引 註釈=山﨑香穂
●執筆者プロフィール

編者:細田成嗣
1989年生まれ。ライター/音楽批評。早稲田大学文化構想学部文芸ジャーナリズム論系卒。2013年より執筆活動を開始。『ele-king』『intoxicate』『JazzTokyo』『Jazz The New Chapter』『ユリイカ』などに寄稿。主な論考に「即興音楽の新しい波」、「来たるべき『非在の音』に向けて──特殊音楽考、アジアン・ミーティング・フェスティバルでの体験から」など。2018年5月より国分寺M’sにて「ポスト・インプロヴィゼーションの地平を探る」と題したイベント・シリーズを企画/開催。Twitter @HosodaNarushi

アルバート・アイラー
Albert Ayler(1936-1970)
1936年7月13日、米国オハイオ州クリーヴランドで生まれる。62年にスウェーデン・ストックホルムで最初のアルバム《サムシング・ディファレント!!!!!!》を録音。その後ニューヨークの前衛ジャズ・シーンに進出し、65年に名盤《スピリチュアル・ユニティ》をESPディスクからリリース。従来のジャズに囚われることのないフリーなアプローチと歌心溢れるサックス演奏が注目を集める。67年にはジャズの名門インパルス・レーベルと契約し、《イン・グリニッジ・ヴィレッジ》を発表。68年以降はヴォーカリスト/作曲家のメアリー・マリア・パークスとともにロック、ファンク、R&Bなどにも接近した音楽を展開。独自のフリー・ミュージックを追求するも、70年11月25日、謎の水死体となってニューヨークのイースト・リヴァーに浮かんでいるところを発見される。享年34歳。


『AA 五十年後のアルバート・アイラー』出版記念

国内初となるアルバート・アイラーに関する書籍『AA 五十年後のアルバート・アイラー』が2021年1月末にカンパニー社より刊行されます。そこで出版を記念し、編者の細田成嗣とカンパニー社代表・工藤遥によるリスニング&トーク・イベントを開催いたします。アイラーの名演を流し、その魅力に触れつつ、アイラー本の制作経緯や裏話などを語ります。また、会場では『AA 五十年後のアルバート・アイラー』を先行販売いたします。ぜひお越しください。なお、ご来場いただいた方には「①マスク着用でのご来店」「②ご来店時のアルコール消毒」「③休憩時間の店内換気」のご協力をお願いしております。

※イベントは定員15名・事前予約制となっております。ご来場をご希望される方は、お手数ですがcompanysha.aa@gmail.comまで、メールにて「来場者名」「人数」をご連絡ください。

出演:細田成嗣(ライター/音楽批評)、工藤遥(カンパニー社)
日時:1/23(土)18:00~
料金:チャージ1000円、別途1オーダー(学割:チャージ600円、別途1オーダー)
会場:ART×JAZZ「M’s」(エムズ)
   東京都国分寺市本町2-7-5赤星ビルB1F
   TEL:042-325-7767
   https://www.ms-artjazz.com/
予約:companysha.aa@gmail.com

Thundercat & Squarepusher - ele-king

 重要なお知らせです。今月下旬に予定されていたサンダーキャットの来日公演、および、2月に予定されていたスクエアプッシャーの来日公演が、ともに再延期となりました。
 海外で猛威をふるう変異種ウイルス、日本国内での入国制限強化、緊急事態宣言再発令の予定など、現在の厳しい状況を受けての判断です。楽しみにしていた方も多いと思いますが、状況が状況ですのでここはぐっとこらえましょう。
 振替や払戻しについては近日あらためて発表されます。チケットをお持ちの方は大切に保管を。

THUNDERCAT、SQUAREPUSHER
来日公演に関するお知らせ

海外での変種ウイルスの感染拡大を受け、12月24日以降の当分の間において、英国からの新規入国拒否および米国からの入国制限を始め、海外から水際対策強化に係る措置が実施されることとなりました。さらに現在では、外国人の新規入国の全面停止も検討されています。またPCR検査の陽性者の拡大を受け、緊急事態宣言の発令も予定されており、そして未だイベントに対する規制緩和も延期されている状況です。

弊社並びにアーティストサイドは互いに協力し、ビザ取得に加えレジデンストラックでの入国、また公演前に15日間の隔離期間を設ける等々、様々な対策を講じることで、予定通り公演を開催すべく準備を進めてまいりましたが、今回の政府による規制強化及び、開催会場のキャパシティ制限などの規制を受けて、公演を再延期せざるを得ない状況となりました。

THUNDERCAT、SQUAREPUSHERともに来日に対する意欲は強く、新たな日程で開催を実現できるよう再調整中です。ご来場を心待ちにしていらしたお客様には、大変ご心配とご迷惑をお掛けいたしますが、振替公演、払戻し等の詳細についても、現在関係各所と調整中ですので、近日改めて発表いたします。

2021.01.27-29 THUNDERCAT JAPAN TOUR 2021 << 公演延期
2021.02.16-18 SQUAREPUSHER JAPAN TOUR 2021 << 公演延期

・現在、振替公演を開催すべく調整中です。既にチケットをお持ちのお客様は、お手持ちのチケットで振替公演にご来場いただけますので、大切に保管していただくようお願いいたします。

・振替公演に都合がつかないお客様には、払戻しの対応をさせていただきます。払戻しの詳細につきましても、現在調整中ですので、お手持ちのチケットを大切に保管していただくようお願いいたします。

外務省:新型コロナウイルス感染症に関する水際対策の強化に係る措置について

お客様には、ご迷惑をおかけすることになりますが、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。

お問い合わせ:ビートインク info@beatink.com

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ENGLISH

INFORMATION REGARDING
THUNDERCAT AND SQUAREPUSHER TOURS IN JAPAN

Due to the spread of a new variant of the novel coronavirus overseas, on December 24 the Japanese government decided to enforce new restrictions on travel from all foreign countries, including refusal of new entry from the United Kingdom and the United States. In addition, due to an increase in the number of local positive PCR tests, the deregulation of events has once again been postponed.

BEATINK along with both artists were fully prepared to comply with all government regulations including undergoing quarantine in order to make these performances happen. However due to the further tightening of regulations by the government and restrictions imposed on venue capacity, we are now left with no choice other than to again postpone both tours.

Both THUNDERCAT and SQUAREPUSHER are highly motivated to perform for fans in Japan and fully intend to announce new tour dates at the earliest possible moment. We sincerely apologise for any inconvenience caused to customers who have purchased tickets, and we are currently coordinating with all parties regarding new performance dates and refunds, which will be announced very soon.

2021.01.27-29 THUNDERCAT JAPAN TOUR
2021.02.16-18 SQUAREPUSHER JAPAN TOUR 2021

- As the above performances cannot take place as scheduled, we are now in the process or arranging new dates for each performance. If you already have a ticket, please hold on to it and use the ticket to attend the rescheduled performance;

- We will gladly provide a refund to customers who are unable to attend the rescheduled performance date. Details of the refund are currently being arranged, so keep your ticket in a safe place until further notice.

Ministry of Foreign Affairs announcements may be read here.

We sincerely apologise for any inconvenience these new arrangements cause and trust that all understand that these are circumstances completely beyond the artists' or Beatink’s control.

Once again we thank you for your support and understanding.

BEATINK: info@beatink.com

Rainbow Disco Club - ele-king

 2020年、中止になったフェスのひとつ〈Rainbow Disco Club〉。当日(https://www.ele-king.net/review/live/007571/)は、配信という手段でダンス・ミュージック好きを喜ばせてくれたことがもう遠い昔のように感じられる。あまりにも、もう、あまりにもいろんなことがあったからね、今年は。
 で、そのときの放送をこのお正月に無料配信すると、RDC主催者が発表した。以下、主催者からのメッセージ。

https://rainbowdiscoclub.zaiko.io/e/RerunofSomewhereUnderTheRainbow

 激動とも言える2020年も残す所あと僅かとなりました。
 今年は新型コロナウイルスの世界的パンデミックにより、多くの方が様々な面で疲弊する年になったかと思います。
 ご存知の通り、我々Rainbow Disc Clubも伊豆や世界各地での公演の中止を余儀なくされ、精神的にも経済的にも非常に苦しい年となりました。
 しかし、そのような中にも今までは無意識のうちに遠ざけていた感覚に、気付けたことも多かったように思えます。
 今までは想像できなかった人の辛さ、苦悩について考える時間を持てたこと。
 日常の小さな変化、家族や友人の些細な気遣いに、大きな幸せを感じたり。
 オンラインでの開催となったRDC 2020 。
 あの日、私たちは離れた場所で、それぞれのやり方でパーティーに参加しましたが、大切な部分は確実に繋がっていると感じました。
 アーティストたちの素晴らしいパフォーマンスとともに、SNSでのやり取りや投稿も強く思い出されます。
 ダンサーたちはテキストや写真となって確かにダンスフロアを形成していました。!
 何度でもお礼を言わせてください、本当にありがとうございました。

 あと数日で2020年は終わり、新しい年がやってきます。我々は来るべき、2021年のために、RDC 2020をZAIKOさんの協力のもとに、1月2日 12:00より無料で再放送いたします。
 なぜお正月なのか?  2020年ではなく、2021年のために年が明けてから、新しい気持ちの中で皆さんにまた会いたいと考えたからです。
 途中で初詣に行ったり、おせちを食べたり、友達とZOOMを繋いで新年の挨拶をしたり、それぞれが迎えるお正月の中で、 #rainbowdicoclub 一緒の時間を過ごせたらこれほど嬉しいことはありません。
 寒く不安な日が続きますが、どうか健康にお気をつけてお過ごしください。
2021年、ダンスフロアでの再会を楽しみにしております。

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There are only a few days left in the turbulent year of 2020.

We assume that many of you are exhausted in various ways due to the global pandemic.

As you know, Rainbow Disco Club were forced to cancel the festival in Izu and parties around the world, which put us in very difficult condition both mentally and financially.

However, even in such a situation, we could become aware of important things that we unconsciously ignored before. Having time to think about the pain and suffering of people that we rarely think about before.

We could feel great happiness in small changes in daily life and little care of families and friends.

RDC 2020 was held online. That day, we attended the party in different ways, far away, but we felt connected with the wonderful performances of the artists. We vividly remember the exchanges and posts on social media.

All of you made the dance floor virtually through posting comments and pictures. How can we ever say thank you enough for the loves you shared.

We decided to rebroadcast RDC 2020 "somewhere under the rainbow" with free of charge from 12:00 (JST, GMT-9) on January 2nd in 2021, with the cooperation of ZAIKO, for the new year to come.

Why did we choose the New Year? Because we wanted to see you all again with a new feeling of 2021. It would be great if we could spend time together with #rainbowdicoclub during the New Year.

There are still cold and uneasy days to come, but please be extra careful and stay healthy.

We very much look forward to seeing you all again on the dance floor in 2021.

Various - ele-king

 ときに、人は生きるために踊ることがある。社会に変革をもたらすダンスを。反戦、反差別のメッセージを掲げ、巨大なスピーカーから流れるダンス・ミュージックと共に国家権力や法体制に対抗するサウンドデモは社会運動のひとつとして定着し、いまもなお世界各地でおこなわれている。日本も例外でなく、最近では Mars89、Mari Sakurai、篠田ミルといった東京のパーティー・シーンを率いるDJ陣を中心としたサウンドデモ・Protest Rave が都市部で定期的に開かれ、非道な法改正などに対抗すべく爆音のダンス・ミュージックで街全体を轟かし、人びとの意識を奮い立たせている。
 彼らの強烈なプレイは怒れる民衆の叫びにさも似たり。耳をつんざくサウンドが社会に示すのは、新たなる未来へ生きのびようと奮闘する我々のスタンスでもあるのだ。〈Live From Earth Klub〉と〈Never Sleep〉による共同コンピレーション・アルバム『United Ravers Against Fascism』は、まさにそういった反ファシズムを掲げるサウンドデモ的なスタンスで、ガバというダンス・ミュージックの未来を切り開く革命を起こそうとしているように思えた。

 ダンス・ミュージック・シーンの最先端を走るヨーロッパ発の二大コレクティヴが贈る本作は、HDMIRROR の “Burst Open” をはじめに、昨年渋谷WWWで開催されたネオレイヴパーティー・FREE RAVE にて来日公演をおこなった Von Bikräv が所属する Casual Gabberz の “F Le 17” と、けたたましくも華々しいトラックで幕を開ける。Merzbow 的なジャパノイズの影響を感じる Lizzitsky の淡々とした “Hd is off Anxiety Attack” に並ぶのは、TRANCEMAN2000 としても活動中の Falling Apart が繰り出すダークでアシッドな “Sex With God”。Skander による7分越えの “Paraphobia” のあとには、対照的に Powell の2分にも満たないエクスペリメンタルなショート・トラック “Z-Plane” がやってきて……と、ときおり変化球も飛んでくる現代的な進化系ガバ・サウンドがふんだんに詰め込まれている。

 メッセージ性の強い本作のコンセプトを象徴するのは、重厚な雰囲気を歪みに歪んだキックが切り刻む “Grande Raccordo Anulare” だろう。The Panacea と共にこのトラックを手がけた Gabber Eleganza ことアルベルト・ゲリーニは、2011年に tumblr で同名のアーカイヴ・プロジェクトを開設以降、コレクティヴとしての活動のほかガバのアーキヴィストとしても知られている。DJ、プロデューサーといった楽曲面以外にも、ZINEの出版やアパレルの販売、アート・キュレーションを手掛けたりと各方面でガバの魅力を発信する彼は、次のステップとして2019年にレーベル〈Never Sleep〉を立ち上げた。ガバの新しいプラットフォームとなる〈Never Sleep〉が目指すのは、古き良き時代を懐かしみ楽しむだけでなく、新世代のアーティストと共同しガバのカルチャーを新たに発展させてゆくこと。明確なヴィジョンを持ってガバの美学を追求する彼らは今回、ガバがオランダの労働者階級のユース・サブカルチャーからヨーロッパの中で突出したジャンルへと成長していった90年代において、ナショナリズムやファシズムなどの政治的イデオロギーにも結び付けられていたという複雑な歴史的背景を本作でアーカイヴすることで、今日のシーンに対してポスト・ガバ視点でのアプローチを仕掛けた。

 ダンス・ミュージックのサブジャンルを鋭く捉えたサウンドでシーンのさらなる展望を描く〈Live From Earth Klub〉と手を取り合い、忌避しがたい過去を踏まえいまの時代にガバの再解釈に挑んだ〈Never Sleep〉一行。なかなかに先鋭的なトラックが全体を彩ったのち、参加アーティストの中では大ベテラン枠に位置する Ilsa Gold の “Autre Chien” で王道ともいえるオールドスクール・ガバから、最近 Bladee との共作をリリースした注目株のプロデューサー・Mechatok の “Powder” と、透き通ったアンビエントへとつながるラストの流れは、彼らがかつてのシーンと現在をつなぐ架け橋となる様をもアーカイヴ的に物語っているようにも聴こえる。この屈強で愛すべきダンス・ミュージック、ガバがこれからも生きながらえる明るい未来を目指す勇姿を。

ele-king vol.26 - ele-king

増ページ特別号!

オウテカ4万5千字インタヴュー
──ヒップホップ、海賊放送、そしてシュトックハウゼンからレイヴまでを語る
使用機材についてのコラムやディスクガイド付き

特集:エレクトロニック・リスニング・ミュージックへの招待
──1992年に提唱された概念を軸に、部屋で聴く電子音楽を再考する
「90年代サウンド」「追悼アンドリュー・ウェザオール」「ダブ・テクノ」「ヒプナゴジック・サウンド&エスケイピズム」「ジョン・ハッセル再評価」「モダン・クラシカル」の6つの切り口から必聴盤134枚を紹介、マイク・パラディナスのインタヴューも

2020年ベスト・アルバム30発表
総勢32組によるジャンル別2020年ベスト10&個人チャート
──この激動の1年、もっとも心に響く音楽は何だったのか?

目次

オウテカ──その果てしない音の世界を調査する

4万5千字インタヴュー (野田努)
part1/part2

[コラム]
オウテカの使用してきた機材を考察する (Numb)
作り手側から見たオウテカ (COM.A)
生成と創造性──オウテカとMax/MSP (松本昭彦)
 
[ディスクガイド]
オウテカ厳選30作 (河村祐介、久保正樹、COM.A、小林拓音、野田努、松村正人)

特集:エレクトロニック・リスニング・ミュージックへの招待

[コラム&チャート]
エレクトロニック・リスニング・ミュージック=家で楽しむ電子音楽の大衆化 (野田努)
多くのプロデューサーが「マッド・マイク病」にかかっていた──90年代テクノについて (三田格)
90年代ELM──わたしの好きな5枚 (河村祐介、KEN=GO→、小林拓音、佐藤大、杉田元一、髙橋勇人、野田努、三田格)

[ディスクガイド]
(河村祐介、小林拓音、野田努、三田格)
90年代エレクトロニック・リスニング・ミュージック
追悼アンドリュー・ウェザオール
ダブ・テクノ
ヒプナゴジック・サウンド&エスケイピズム
ジョン・ハッセル再評価
モダン・クラシカル

[インタヴュー]
マイク・パラディナス (野田努+小林拓音)

2020年ベスト・アルバム30
──selected by ele-king編集部

ベスト・リイシュー15選

ジャンル別2020年ベスト10

エレクトロニック・ダンス (髙橋勇人)
テクノ (佐藤吉春)
アンビエント (三田格)
ハウス (Midori Aoyama)
ジャズ (小川充)
USヒップホップ (大前至)
日本語ラップ (磯部涼)
インディ・ロック (木津毅)
アフロ・テクノ (三田格)

2020年わたしのお気に入りベスト10
──アーティスト/DJ/ライターほか総勢31組による2020年個人チャート

Midori Aoyama、天野龍太郎、磯部涼、荏開津広、大前至、小川充、小熊俊哉、海法進平、河村祐介、木津毅、クロネコ(さよならポニーテール)、坂本麻里子、篠田ミル(yahyel)、柴崎祐二、高島鈴、髙橋勇人、デンシノオト、tofubeats、德茂悠(Wool & The Pants)、ジェイムズ・ハッドフィールド(James Hadfield)、原摩利彦、ジャイルス・ピーターソン(Gilles Peterson)、二木信、細田成嗣、Mars89、イアン・F・マーティン(Ian F. Martin)、増村和彦、松村正人、三田格、yukinoise、米澤慎太朗

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