今週末のフリードミューン、もはや宇川直宏のアート作品とも呼べそうな「あり得ない」ブッキングについていまここで何を言っても野暮というもの。詳しくは、ココをチェック→(https://www.dommune.com/freedommunezero2013/)
さて、たいへん名誉なことに、昨年に引き続き不肖「ele-king TV」(野田努、三田格、松村正人)も、司会:五所純子とともに、この歴史的イベントの16:00からの開会宣言に出席します。ハードコアな参加者および日帰り参加を予定している方、是非とも冷やかしついでに見に来て下さい。まだタイムテーブルは発表していないようですが、早い時間からビッグ・アーティストのライヴもあるようだし、夕方から翌朝まで目が離せないです。直に発表されるでしょうが、トークのほうもすごいブッキングですよ。ちなみに明け方のトークは、坂口恭平、磯部涼、九龍ジョーだそうで、これはいまからご苦労様としか言いようがない......。
「Fã€ã¨ä¸€è‡´ã™ã‚‹ã‚‚ã®
当時『NME』といえば、ポストパンクやアンダーグラウンド・ミュージックの発信源でもあり、筋金入りのアンチ・サッチャリズム、アンチ・レイシズムのデモ行進を表紙にしたほどの音楽紙。理屈屋で、「アシッド・ハウスは音楽か?」議論の戦場でもあった。ディスコにはさしたる興味を見せなかったが、80年前後にはレゲエ、80年代なかば以降はヒップホップ、そしてシカゴ・ハウスとデトロイト・テクノに情熱を注いだ。
そんなメディアが1988年、たった1枚の「ビート・ディス」で大ヒットを飛ばしたボム・ザ・ベースを表紙にした理由は、それがポップ・チャートをも席捲した、サンプリングの痛快さがほとばしる、若い世代(当時20歳)のエネルギッシュなダンス・ミュージックの出現だったから......だけではない。経費8万円弱、レコードとサンプラーのみで作られた曲が爆発的に売れて大金を稼いだことも大きかった。ポストモダンの列車強盗として、持たざるモノがやってのけたということだ。
これと同じ論法で、ザ・KLFがザ・タイムローズ名義で「ドクトリン・ザ・ターディス」をヒットさせ、コールドカットが「ドクトリン・ザ・ハウス」と続いた。著作権法によってサンプリングの自由が奪われた後も、初期レイヴではこの手のギミックが氾濫した。ギミックだらけになって飽き飽きもしたが、良くも悪くも当時のダンス・カルチャーはディスコ・クラシックに出る幕を与えなかったのである。〈DJインターナショナル〉や〈トランスマット〉にはチャンスを与え、ボム・ザ・ベースを格好良く思わせた。たとえ音の善し悪しなどは主観的なものだとしても、コンテキストにおいては善し悪しが言える。「素人のディスコ」と揶揄されながらも、コンテキストにおいては、ハウスやボム・ザ・ベースは立派に格好良かったのである。
さて、こんなに回りくどい前口上を書いてしまった理由とは、何を隠そう、テイ・トウワの新作をいざ聴くと、「ビート・ディス」やその時代を思い出したからである。チップ・Eの"ライク・ディス"については言わずもがな。1曲目のイントロの、サンプラーの使い方が88年風で、高橋幸宏が歌うその曲"Luchy"も、バート・バカラックをブレイクビーツに組み込んだりした『イントゥー・ザ・ドラゴン』と重ならなくもない。随所に見られる効果的なカットアップの使い方も似ている。
コンテキストにおいては、むしろ対極だ。サマー・オブ・ラヴに馴染んだディー・ライト在籍時だったら話は別だが、今日「ビート・ディス」のポジションにいるのは、PC1台とR&Bサンプルで作られるベース・ミュージックだ。斎藤が好きな〈ナイト・スラッグス〉や〈フェイド・トゥ・マインド〉のような連中である。ゲイ・ラップやヴェイパーウェイヴもその一部かもしれない。それでもアルバム『Lucky』が、「ポップとして優れたダンス・アルバム」というクリシェにとどまらず、「ビート・ディス」まで蘇らせるのは、この作品が初期レイヴ・リヴァイヴァルと気持ち的にどこか繋がっているんじゃないだろうかと思わせるフシがあるからだ。まあ偶然だろう。だが、繰り返し聴いている度に、草間弥生のデザインもその機運にリンクしていると思えてくる。セイホーの「アイ・フィール・レイヴ」や瀧見憲司のBeing Boringのアルバム(小野田雄が自分がreviewを書くと言って、いまだに書いてくれていない傑作)と並んで、新たな上昇を感じる。
僕は、日本では、ダンス・カルチャーやクラブ・カルチャーは、ある世代以降はしぼみつつあると思っていたところがある。若者の週末の深夜は自宅で過ごし、サマー・オブ・ラヴはオヤジの郷愁としてある。シーンには内輪受けの小宇宙が増え続け、クラブは自分のジャンルしか知らない専門家化されたDJに支配され......いや、しかし、そうではなかったようなのだ。たとえば、先日のDUM DUM PARTYの最初のDJを務めたtomadoのプレイにも兆候が見られた。それはいま起きつつあることの断片なのだとはある情報筋からの入れ知恵である。
「ラッキー!」という言葉が印象的だったことは、88年や初期レイヴにはない。グラスゴーの〈ラッキーミー〉、テイ・トウワの「ラッキー!」は、20年前の「ラヴ」に相当するのかもしれない。「勘が働いた」ということなのだろうか。ダフト・パンクの新作と同じように豪華ゲストを招いて作ったダンス・ポップのアルバムだが、『Lucky』の遊び心にシニシズムはない。「ラッキー!」なる言葉は、この作品ではシニカルに使われていない。太くはないが軽快かつ繊細なグルーヴがあり、グッド・ヴァイブレーションが作品を支配している。ビートレスの曲"GENIUS"が作品の表情を象徴しているし、"KATABURI"や"LICHT"のようなインスト曲が、実はアルバムでは重要な役目を果たしている。だいたいクローザー・トラックは"LOVE FOREVER"。ベタな曲名だが、これが不思議とクサくない。ゆえに、この曲がいま起こりつつあるレイヴ・リヴァイヴァルのクローザーとなっても僕は驚かない。いや、驚きたい。
https://soundcloud.com/ryokawahara
比較的最近リリースされた曲を中心に、フロアでかけているものをセレクトしました。
最近は特にsoul,discoなど旧譜を中心とした現場が多いですが、
今回のチャートはハウスミュージックに的を絞って選んでみました。
<DJスケジュール>
7/14(祝前日)Third Eye @ Organ Bar
https://www.facebook.com/events/476064709155076/
7/25(木)ブロークンビーツ酒場@club Ball
https://www.facebook.com/events/268548589950377/
8/2(金)cheek cheek cheek@club BALL
https://www.facebook.com/events/645449485482849/?fref=ts
![]() 1 |
Jimpster - Hold my Hand - Freerange |
|---|---|
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Claes Rosen - Daydreaming - Local Talk |
![]() 3 |
Djeff - Make Me Stronger - Tribe Records |
![]() 4 |
Pablo Fierro - Whistle (Atjazz Astro Remix) - Atjazz Record Company |
![]() 5 |
Azymuth - 'E Mulher' (Ashley Beedle 'Afrikanz On Marz Voyage Remix) - FAR OUT RECORDINGS |
![]() 6 |
Paul Randolph - Soldier - Offering Recordings |
![]() 7 |
Blackbelt Andersen - Klapp Og Trans - FULL PUPP |
![]() 8 |
Masanori Ikeda - Mu - Flower Records |
![]() 9 |
Become One - Toto Chiavetta - Yoruba |
![]() 10 |
Urban Sound Lab feat. Selina Campbell - Nothing New - Room Control |
ウィスパーズや、タツロー・ヤマシタが......、踊っている。いや、踊らされている。なにかの亡霊のような姿で。深夜3時に、YouTubeでディスコ・クラシックの巡回中にたまたま完成してしまった最高のプレイリスト――『HIT VIBES』は、その記憶の断片を大急ぎでかき集め、突貫工事で復元したミックステープのように聴こえる。
妙なこもりというか、1枚の靄を隔てて聴いているような聴覚へのソフトな接触は、ゴーストリー・フュージョンとでも呼べばいいのだろうか。ウェルメイドな往年のディスコ、アーバン・クラシックをあえてローファイに、しかも音のタッチを均一化するかのごとく、ある種のスクラップ作業(のようなエディット)が延々と続いていく。
これをリミックス集と呼ぶのは、ちょっと違うのだろう。ビート・プロダクションは差し替えられつつも、実質はサンプリングのピッチ操作とエフェクト程度の拙い二次創作のようにも聴こえる。アートとしてのサンプリングを盗窃と呼ぶなら、このコピペ感は間違いなくあのけったいな蒸気音楽、ヴェイパーウェイヴ以降のものだ。
そう、この限りなく貧しい場所で、セイント・ペプシを名乗る人間はディスコによる甘い夜間遊泳と、すべての音源をクリエイティヴ・コモンズたらしめる、あのイリーガルな蒸気が描いた夢の続きを見ている。
あなたは『Life of Leisure』という作品を覚えているだろうか。夜の23時に、ディスコをひとりで部屋聴きするということ。それがすなわち、チルウェイヴという概念だった。だが、いま思えば、ドリーミーなディスコをインターネットに流布することで世界への接続を望むとは、なんと素朴で純粋な夢だったことだろう。それは言わば、インターネット・インディにおける表の世界といったところだ。
裏の世界に蔓延っていたのは、チルウェイヴにおける一部の成功者に対する逆恨みのような嫉妬である(少なくとも僕はそう推測している)。実際、この微小ジャンルにおける首謀者のひとり、通称ヴェクトロイド(LASERDISC VISIONS a.k.a MACINTOSH PLUS a.k.a情報デスクVIRTUAL a.k.a FUJI GRID TV a.k.a ESC不在a.k.a Sacred Tapestry a.k.a ......、『Tiny Mix Tapes』はそれを「偽造されたオンライン・コミュニティ」と呼んだ)は、元を辿れば一介のチルウェイヴァーだったことで知られている。
そして、すでに削除されている某作に引用された「スーパー・チャンスが溢れてる(時代はスーパーだ!)」という、おそらくはその意味を理解しないままサンプリングされていた広告のコピーは、結果的にはチルウェイヴの成功者たちへのアイロニーにも聴こえたわけだが、現実はさらに皮肉めいていて、「誰でもミュージシャンになれる」というこの時代ならではの希望に対するアイロニーだったはずのこのトラッシーなサンプリング・ミュージックは、むしろ「本当に」誰しもをミュージシャンにしてしまったのだった(暇な人はどうぞ→https://bandcamp.com/tag/vaporwave)。
こうなってくると、さすがにもう終わりだろう。いや......、間違いなくそれは終わった。iTunesに降り積もっていく一度聴くか聴かないか程度のフリーダウンロードを前にウンザリもする、そんな後遺症に悩まされているのは、きっと僕だけではあるまい。あとには、間延びした惰性だけが残る。それだけの話だ。
だが、そんなヴェイパーウェイヴの最終章に彗星のようにキラッと現れたのが、このセイント・ペプシだった。コピペとしてのサンプリング、とりあえずのスクリュー、謎めいた日本への関心、それら「芸」として蒸着されたヴェイパー・マナーを踏襲しつつも、R&Bやソウル、シンセ・ファンク、そしてディスコと、2013年だけでも10近い矢継ぎ早なリリース群のなかに、おそらくはヴェイパーウェイヴからもっとも遠く離れた世界の、言わば魂の音楽が注入(ないし略奪)されている(彼はそれをVaporboogieと呼ぶ)。
そしてなんと言ってもこれ、『Hit Vibes』は、インターネット世代による仮想のミラーボールとなった。ここに連れ出されているディスコとは、おそらくはチルウェイヴの原風景であり、仮想敵としてのミュージシャンシップ、その象徴でもあるのだろう。もし、最高のディスコ・バンドを自分の手で組めたら? もしくは、最高のアーバン・ポップの作家に自分の才能だけでなれたら? セイント・ペプシは、そのような夢をアイロニカルに叶えることによって、むしろその続きを永遠に見続けることを選んだのだろう。
変な話、これを作ったのが神戸のDJニュータウンなんかだったら面白かったのに、とも思ってしまったが、ここに並べられたディスコはそれくらい、シニカルで、際どい場所に立ちながら、それでもなお(図々しくも)ポップを夢想している。そう、ゴミは、ゴミでなくなりつつある。が、その先に何が待っているのかを、僕たちはまだ知る由もない。
ともかくこれは、すべての音楽をクリエイティヴ・コモンズ化しなければ本来は成立し得ない夢だ。だが、それは実際に鳴っている、このグレーな場所で。ダフト・パンクの新作『Random Access Memories』が、本当に夢を「実現してしまった」音楽だったとしたら、セイント・ペプシは悪い夢でも見ているのだろう。だが、、、夢は、実現するよりももう一度見る方がいい。『Hit Vibes』は、音楽とインターネットへの愛憎で引き裂かれた2013年におけるカルトだ。
『テラ(大地)』だからといって、『メア(雄馬)』だからといって、『バッファロー・ソングス』だからといって、ジュリアン・リンチに自然崇拝や大地讃賞のモチーフなんてあるだろうか? もし彼にインタヴューする機会があったらまずは訊いてみたい。あなたはサバンナの土を蹴り、オーロラを眺め、密林を、砂丘を、流氷の上を歩き、動物と戯れたりしたいと思いますか......。「そんなことはない」という筋書きになってほしいというのが、筆者の彼の音楽に寄せる解釈であり勝手に寄せている親しみの情である。
アーシーだなどとは言いようもない、むしろ土から足の離れた人間がやわらかい壁に四方を囲まれながら思いめぐらせる自然。あるいは杉本博司の『ジオラマ』シリーズのように、世界の「真実らしさ」にはひらかれない視線。彼の動物はミニチュアか、神話の挿絵のような顔をしている。あるいは今作のジャケットのように、びりびりに裂かれている。そうした地点に彼のベッドルームはあり、彼のサイケデリアは花ひらいている。大学で民俗音楽を学んでいたというのも、なにもポンチョを着てケーナを吹きたかったというわけでないことは明白だ。
リアル・エステイトにもタイタス・アンドロニカスにも在籍していたシーンきっての才人、ジュリアン・リンチ。若いながらも幅のある表現、「フォーク」をめぐるほとんどライフ・ワーク的ともいえる研究・実験、そこにきちんと音楽的な洗練を加えられる卓越したセンス、などなど挙げきれない美点によってほんの数年の間にアーティストもメディアも一目置かざるを得ない存在になっている。ブルックリンから出てこなかったダーティ・プロジェクターズ......ニュージャージーが生んだフォーキー・エクスペリメンタルの巨才とも言えるだろう。そこにはリアル・エステイト/マシュー・モンダニルのベッドルーム・サイケ(2000年代USインディ・ロックの知性の粋だ)も、タイタス・アンドロニカスの歌心やエネルギーも隠されている。
クラリネットやバス・クラリネットの重奏のように聴こえる柔らかいアンサンブルが、この2年ぶりのフル・アルバム『ラインズ』の基調をなしている。リヴァーブ使いのインフレが止まらなかったこの10年、何がそれを代替してくれるのか楽しみに見守っていたのだが、なるほど木管楽器はブレイクスルーかもしれない。残響感がドリーム・ポップを保証する時代は終わりかけているが、リンチの今作の音作りはそのオルタナティヴとして、新鮮なプロダクションとフィーリングを引き出している。
"ホース・チェスナット"などにおいてはサックスが馬の声のようにあしらわれるが、これも重奏の整合感をバラしながら自然に現れてくるもので、これみよがしなところがなく、じつに心地よい。ジャンベか何かのようなパーカッションが軽やかにリズムを刻み、アコースティック・ギターのたゆたうようなストロークが心地よく添えられるのも今作の特徴だ。ダックテイルズのUS版「終わりなき日常」的な覚醒と夢幻のギター・セッションを思わせる。ヒプナゴジックなインプロヴィゼーションとしてとくに前半の流れには水際立ったものがある。本当にどれも隙なく素晴らしいのだが、この流れが頂点を迎えるのは"Carios Kelleyi I"だろうか。彼の音の来し方行く末を美しい線のように描き出している。
かつて『ピッチフォーク』誌上の企画で、リンチはマイケル・ハーレーからの影響を詳らかにしていた。ひところ無調無拍の不定形な音楽性に浸かっていた彼に「まさか自分が再び"ソング"を作るようになるなんて思わなかった」と言わしめ、いまの音に向かわせたのが、マイケル・ハーレーによるファースト・ソロ・アルバム『ファースト・ソングス』(1965年)であったという。狼男のイラスト・ジャケが有名だが、画家としてもファンの多いこのアヴァン・フォークの生ける伝説が、リンチの導きの糸となったというのは素敵な話だ。彼もまた、アシッディでアウトサイダー的でありながらも、フォークにしかめ面をさせなかった音楽家であったから。
リンチの音楽は、実験性を折込みつつも関節やわらかく、隅々まで音楽している。こうした彼の呼吸のなかに自然があるのであって、大自然のなかにそれが見つかるわけではない。ベッドルームの自然にわれわれは注意を払わなさ過ぎる。
中原昌也、浅野忠信、FourColor、ダエン、そしてDJにMichitoki KTを迎える福岡の電子音楽フェス〈ex〉が8月2日に開催される。
主催するのは、福岡を拠点に「アンビエントの自己解釈」というコセンプトでカセット主体のリリースを展開している〈ダエン〉。これまでに白石隆之、RIOWARAI、NYANTORA、MERZBOW、YOSHIMI(ボアダムズ)ら電子音楽家のカセット音源を手掛けてきた一方で、USB対応のポータブルのカセット・プレーヤー「CHILL OUT」をリリースするなど、オンライン時代のアナログ・メディアの楽しみ方を包括的にサポートしてくれるレーベルだ。
電子音楽というジャンルに良質な音楽が存在することをひとりでも多くの人に知ってもらいたい――このイヴェントをはじめるきっかけは? との問いに、主宰のダエン氏が答えてくれた。
「ジャンルは違うんですが、〈山形国際ドキュメンタリー映画祭〉のような。ドキュメンタリー映画の聖地といえば"YAMAGATA"と認知されているように、電子音楽の聖地といえば"FUKUOKA"と認知されるように取り組んで行きたいです」
なかなか大きく、そして夢のある目標だ。そしてこの目標とは一見矛盾するようだが、彼らは「大きくなる」ことを望んでいない。次に掲げるのは彼らのイヴェント運営理念だが、じつにいまらしく、クリティカルなポイントを突いている。
「ご来場いただいたお客様に対して、痒いところに手が届くようなきめ細かいサービスを目指しています......と書くと少し堅苦しいですが、ひとりでも多くのお客様に楽しんでいただくために次の事項を遂行します。
1. 出演アーティストは4組前後。今回は限定150人とかなり小規模なフェスです(出演者を厳選することで22:00過ぎにはイヴェントを終了させる予定です。終電前には帰宅できるので明日の学校や仕事に備えてください)
2. 1フロアで行うのでお客様がステージ間を移動することもありません。もちろんトイレ休憩有です(快適な状態で鑑賞なさってください)。
3. すべての時間を圧縮することで、短時間に濃縮された各アーティストのパフォーマンスを堪能できます(皆さまの大事な時間をいただき、拘束する以上、量より質を追求していきたいです)。」
ここには、規模の拡大によって失われてしまうものへの、細かな配慮が働いている。かたちはまるで異なれど、〈月刊ウォンブ!〉とも通じる、現在形のイヴェント運営をめぐるリアリティと挑戦が見えてこないだろうか(https://www.ele-king.net/interviews/003001/)。
「このイヴェントに関して、少人数のスタッフで運営していくというスタンスは変えないつもりです。毎年動員数を右肩上がりに増やす方向ではなく動員数が常時200~300人の規模で、できるだけ長く続けていきたいと考えております」
小規模で、質を守り、長く続ける。かくも明確に打ち出されたコンセプトには、先の10年を牽引してきた大規模イヴェントへの2013年からの回答とも呼ぶべき視点が感じられる。「帰宅」を保証することで、非日常ではなく日常と折り合うスタイルを模索するかのような姿勢にも、いまでこその批評性が働いていると言えるだろう。
「今回開催する〈アクロス福岡円形ホール〉という場所は、福岡市の公共施設で、"天神"という九州有数の繁華街のなかに位置します。会場の目の前には天神中央公園という市民の憩いの場があり、ちょっと歩くと遅くまで営業している屋台やラーメン屋なども見つかります。昼間でしたらアート系のギャラリーや、こだわりを持ったセレクト・ショップなども多数開いていますので、県外から来られた方は、これを機会にぜひ福岡の街も散策されてみてはいかがでしょうか」
東京から気軽に参加というわけにはいかないが、未来の電子音楽の街"FUKUOKA"に期待したい。
「招聘したいアーティストが数多くいるので、来年以降は2日間にわたっての開催を検討しております。それには今回のイヴェントに皆さまご来場いただかないことには計画が計画で終わってしまいますので(笑)、ご来場を心よりお待ちしております! 今後このイヴェントが皆さまにとっての大事な行事になりますよう祈りつつ」
■日時
2013.8.2 (fri) OPEN 18:30 START 19:00
■場所
アクロス福岡円形ホール(福岡市中央区天神1-1-1)
■料金 ADV/3800 DAY/4300
■TICKET
e+
enduenn@gmail.com
*チケット購入希望の方は件名にex-fesと書いて住所・氏名・枚数をお教えください。
■公式サイト
https://exfes.tumblr.com/
■アーティスト情報
ASANO TADANOBU
73年生まれ、横浜出身。映画を中心に国内外問わず数多くの作品に出演し日本を代表する国際的俳優。同時に、溢れるイマジネーションを形にするアーティストでもある。監督作品に、DVD「TORI(トーリー)」の他、ドローイング・ペインティングの展示から作品集の出版等、ハードコアバンドsafariやPEACE PILLの活動、Tシャツ・デザイン、ソロアルバム"CRY&LAUGH"では10年以上前から書きためてきた曲から、21曲をアコースティックギターとマイク1本で収録する等、溢れるイマジネーションを自由に表現している。ここ数年はダンストラックを制作。コンパクトなシーケンサーをリアルタイムで操作し極限まで研ぎ澄まされたミニマルなテクノをフロアに響かせる。その唯一無二なパフォーマンスはクラブ、野外イベント、レセプションなど幅広い分野から絶賛・注目を集めている。
中原昌也
小説、映画評論など文筆活動の傍らで前世紀末より継続されている中原昌也による音楽プロジェクト。テーブル上にぎっしり並べられた夥しい量の機材(発振器、エフェクター、サンプラー、リズムマシン、アナログシンセetc)を同時にあやつる剛胆さと聴衆の前に提示されるその音の複雑さ/繊細さにより、行為としての即興演奏を更新し続けるヘア・スタイリスティックスのありかたは、ノイズ・ミュージックの文脈のみならず多分野からの注目を集め、熱心なリスナーを獲得している。boidからの月刊ヘアスタや自主制作100枚シリーズなど、Hair Stylisticsとしてのリリース作品はきわめて多数。
FourColor
FilFla、Vegpher、Minamoの名義でも活動するサウンドアーティスト/コンポーザー杉本佳一によるソロプロジェクト。調和不調和、曖昧と明瞭、デジタルとアナログ、必然と偶然、これら相反する物を同次元で扱う事でユニークな音楽を生み出す事を目指している。杉本の作品はニューヨークの「12k」をはじめ、ドイツ「TOMLAB」、日本の「HEADZ」など国内外の音楽レーベルから発表されており、英「THE WIRE」誌ベ スト・エレクトロニカ・アルバムに選出されるなど、海外での評価も非常に高い。また、数多くの映画/映像、演劇、エキシビジョンへの楽曲提供・制作や、CMをはじめとする広告音楽を手掛け、担当作品がカンヌ映画祭・監督週間「若い視点賞」、フランス・エクスアンプロヴァンス映画祭「オリジナル映画音楽部門賞」を受賞するなどの実績も残している。
最新作は2011年12kレーベルより発表した「As Pleat」。
https://www.frolicfon.com/
https://vimeo.com/27304187
ダエン
福岡を拠点に「アンビエントの自己解釈」というコセンプトでカセット主体のリリースを展開している「ダエンレーベル」主宰。これまでに白石隆之、RIOWARAI、koji nakamura a.k.a NYANTORA、MERZBOW、YOSHIMI(ボアダムズ)らのカセット音源のリリースを手掛ける。自身の制作及びLIVE演奏ではROLAND SP-404一台というミニマムな環境でどこまで表現できるかを追及している。エキソニモ主宰IDPW正会員。
Michitoki KT
道斎(みちとき)KT。実験ターンテーブリスト。数台のターンテーブルを楽器として用い、「音と空間のコラージュ」という自身の奏法を追究し続ける。2013年6月duenn labelよりリリースのsuzukiiiiiiiiii×youpy/dnn012にリミキサーとして参加(Canooooopy・NH-Trio+・Yaporigami)。
■主宰・問い合わせ
duennlabel (enduenn@gmail.com)
PS. exではイベントの趣旨に賛同頂き文化的な活動に関心及び既に取り組まれてる企業様や団体(個人でも可)様の協賛を常時募集しております。詳しくはenduenn@gmail.comまでご連絡下さい。宜しくお願い致します。
duennlabel
今週の木曜日、7月11日は、代官山ユニットへ行こう。踊ってばかりの国、新ベーシストの通称シド・ヴィシャス加入後の、公式では最初のワンマン・ライヴだ。会場に行って、歴史的なライヴを目撃したことを友だちに自慢しよう。日本にもストーン・ローゼズに負けないくらい最高のチンピラ・バンドがいるってことを知ろう。名曲「踊ってはいけない」で踊ろう。自慢の新曲「東京」がどれほどのものかしっかり聴こう。下津光史を大笑いしてあげよう。ステージでビールを飲ませるな。会場内で、ele-kingも物販やります! たのむから買ってください。
https://odottebakarinokuni.com
代官山Unit
OPEN : 18:30
START : 19:30
CHARGE : ADV 2,500yen (ドリンク代別)
■アンチ・ギーク・ヒーローズ──神にならない神々
新しいエレキングはすごいよ。何がって、おそらくこれから、この国の音楽シーンを面白いものにするであろう、"未来"を表紙にしているから。そいつらは、このハードな時代のリアリティを直視しながら、自分たちが好きな歌を生き生きと歌っている。いま世のなかが酷いことになっていようがどうだろうが、たったいま、この瞬間、この時代が連中(そして我々)の生きている時代なんだ。
君も、ライヴハウスやクラブから聴こえる音に耳に傾けてみればわかるよ。20代前半の連中がいまやっていることが、いかに素晴らしい"未来"を感じさせるものなのか。ためしに彼らの言葉を読んで欲しい。若い連中はPCを万能の道具だとは思っていないし、ツイッターにも依存していない。酷い時代なりに、面白いことを探して楽しく生きている。自分の言いたいことを言っている。セシウムや風営法についても、虚無や生き方について。
紙エレキングの『vol.10』。表紙は、福田哲丸(快速東京)と下津光史(踊ってばかりの国)。特集は「アンチ・ギーク・ヒーローズ──神にならない神々」。
◎インタヴュー:福田哲丸、下津光史、ジェイク・バグ、THE OTOGIBANASHI'S、ミツメ、Fla$hBackS、マヒトゥ・ザ・ピーポー、カタコト。
■ベッドルーム・チルアウト──最強の「部屋聴き」スタイル 2013
小特集もある。今年の前半の洋楽で話題となったインクやライに代表されるチルなサウンド。最高にユルいチルアウト・ミュージック特集。名付けて「ベッドルーム・チルアウト」。世界中が注目する新作を控えたウォッシュト・アウトのロング・インタヴュー、夏がよく似合うニュージーランドのソウル・ジャズ・ダブ・バンド、ファット・フレディーズ・ドロップのインタヴュー。最強の「部屋聴き」をガイドする、部屋聴きディスク・ガイド40!
※他にも注目記事があるります!
■Sk8ightThing、ロング・インタヴュー
必読! 我らがヒーロー「スケシン」本紙初登場です!!! UKのゾンビーも虜にする、世界が注目する日本のストリート・ファッション界のカリスマ・デザイナー(生きる伝説級)が、相棒のトビー氏と共に音楽について熱く語る。本誌のための書き下ろしの作品もアリです。
■保坂和志×湯浅学「音楽談義 その1」
同世代人でもあるふたりの巨匠が、ビートルズとローリング・ストーンズの話を皮切りに、邦楽洋楽と音楽話に話を咲かせる! とくに保坂和志がここまで音楽について話したことはいままでなかった。
■これは便利! 購読者限定の電子書籍アクセスキー付き!
アナログ盤に付いているダウンロード・コードみたいなものですが、これがすごい機能。スマホ、PCですべて見れます。検索機能も付いています。通勤/通学中にお気軽にエレキングが読める!
恐縮ながら、今号、価格が100円上がっています。しかし、実際この電子版を見ていただければご理解いただけるはずです。電子版だけでも価値アリです。
■新連載もスタート!
web ele-kingでも大人気、UKカルチャーのご意見番・ブレイディみかこ&BL批評の最強刺客・金田淳子が登場します。
そういうわけで、今号も、どうぞよろしくお願い申し上げます!!
(ele-king スタッフ一同より)
今月の24日、結成20周年を祝する編集盤『ReDiscoVer. Best, Re-recordings and Remixes of Buffalo Daughter』のリリースを控えたバッファロー・ドーター、アルバムのなかでもとくに注目曲のひとつ(というか、最大の注目曲)、KAKATO (環ROY×鎮座DOPENESS) のラップを加えた"New Rock"のセッション風景の動画がアップされました。格好いいですよ。
なにせスタジオは、エンジニアを担当するzAkのホームスタジオ"ST-ROBO"、ドラマーはZAZEN BOYSのメンバーであり、長年バッファロー・ドーターのライヴ・サポートをつとめている松下敦。どうぞ!
「 KAKATO Freestyle 3 with Buffalo Daughter」
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(part.1から続く) interview with Seiho part.1- テクノ新世紀・立志編 |
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レコード聴くのとCD聴くのは、明らかに感覚が違うじゃないですか。それは理解してるんですけど、CDをiTunesに入れて聴くのと、CDをコンポで聴くのと、僕のなかでは違うんですよ。まったくおんなじデータのはずやのに。それに近いです。
■セイホー君はガキの頃からネットに馴染んで、ナップスターも経験してている。音楽はカネで買うもんじゃないってことを最初に覚えてしまった世代かもしれないじゃない? それなのにレーベルやって、配信ではなく、CDというモノとして売るってさ......
セイホー:僕がお金を出して買っているものは、さっき言ったような〈12K〉とか、どっちかって言うと美術品として買ってるようなCDが多かったんですよね。それと、TSUTAYAに並んでるシングルCDとは明らかに違うじゃないですか。そこですかね。
■ああ、そういう感覚って僕らの世代ではあんまりないけど、たしかにセイホー君ぐらいの世代から見たら、その辺の線引きがはっきりしちゃってるのかもな、って感じがするね。
セイホー:レコード聴くのとCD聴くのは、明らかに感覚が違うじゃないですか。それは理解してるんですけど、CDをiTunesに入れて聴くのと、CDをコンポで聴くのと、僕のなかでは違うんですよ。まったくおんなじデータのはずやのに。それに近いです。
ほんとに感覚だけの話なんですけど。別にiTunesから出そうが、そのPCが繋がってるスピーカーは同じやし、これが読み取ってるだけなんですけど、それをコンポに入れてスピーカーで聴くのと、なんか違うんですよね。わかんないですけど。それと、パッケージを開けて聴く、その行為も含めて。
■レーベルとしてとくに意識してること、作り手として意識してることってありますか?
セイホー:大阪も含め地方都市のイヴェントに行って思うのは、まあそれも対東京になっちゃうんですけど、東京は「チャラい」っていうジャンルでも細分化されてイヴェントがあるんですよ。「ひとりでどうにかせなあかん」ぐらいの感じなんですよね(笑)。僕らはどっちかって言うと、全員集めてどうにかせんとパーティとして完結できないっていうのがあって。だから、4つ打ちのビートをやってる子らも、ジュークやってる子らも、ヒップホップから来てビートやってる子らも、同じ場所に来てお披露目っていうかライヴをせんと、パーティとして成立しないっていうのがひとつです。
もうひとつは、そんなガチャガチャやってるなかでお客さんが「今日はやっぱりジューク良かったなー」ってなると、ダンス・ミュージックをやってる子のBPMが上がっていくんですよね、やっぱり(笑)。そのなかで、135とかで作ってた子が、155ぐらいまで行ったときのジュークっていうのもまた、新しくて。それで違う進化をしていくというか。更新されていくところが楽しいなと。
■PCがここまで普及したこんにちでは、家でユースト観たらいいやってやつも逆に増えてきちゃって。べつにクラブに行かなくてもいいや、っていう人もセイホー君の世代では多いじゃない?
セイホー:うーんと、ひとつは、ユーストリーム観てて楽しいのはほんまにわかります、っていう。やっぱこう、再生数が上がっていく感じのテンションの上がり方っていうのは、ドミューンができる直前ぐらいにオカダダくん(註:関西拠点の、その界隈で人気のDJ)がクリスマスの日に自宅からぽっと放送したら、すごい数の再生になったんですよ。なんかもう、爆発しちゃって。べつに、なんとわなしにDJしてただけなんですけど。「寂しい夜にひとりでDJします」みたいな感じで。ツイッターが盛り上がってきたときと、ユーストリームができ出した頃やったんで、ドミューンができる前にバーンと再生数が増えて。
ああいうのがあって、やっぱ面白いなっていうところと、けれども、さっき言ったジュークとかハドソン・モホークのトラックとかをヘッドフォンで聴いても面白くないですよね、みたいな。クラブのウーハーが鳴っているところでしか味わえないもの、僕のなかでは「アトラクション音楽」って呼んでるんですけど。
■はははははは。
セイホー:アトラクションっぽい音楽ってやっぱあるんですよね、クラブ・ミュージックでは。
■音を体感するっていうね。
セイホー:そうですね。だから3D映画は自宅でもいいけど、USJぐらいの規模になるとやっぱ行きたいな、みたいな。
■なるほどね。橋元が観たのはゴールド・パンダのときだよね。
橋元:そうですね。
■わりと最近、いろんなところに呼ばれてるでしょ? 〈ロウ・エンド・セオリー〉とか、そのゴールド・パンダ、あるいはソナーであるとか。やっぱ意識してるの? 壁を作らないようにというか、小宇宙化しないようにとか。
セイホー:僕はそうですね。僕はけっこう意識してます。
■いまはDJが専門家化しているから、それが意外と難しいんだよね。
セイホー:そうですね。だからさっきの大阪の話で言うと、対応力だけはついてるんですよ。場数は踏んでて。たとえば全然知らんバンドの前座に呼ばれてみたいなときにどうするか、ってさんざん悩んだ挙句、編み出した方法とか(笑)。あと4つ打ちのパーティに呼ばれて、「こんなオシャレなとこで俺どうしたらええねん」みたいなときに編み出した手法とか。っていうので積み上げてきたものがあって、それをフルに生かしてる感じですね、いまは。
■あと、なんでそんなにカセットが好きなの?
セイホー:カセット好きなのはさっき言ったのといっしょで、フェティッシュな部分っていうか、CDをコンポで聴くのといっしょで、カセット・ウォークマンで聴く行為そのものが好きで。で、〈リーヴィング・レコーズ〉がやっぱ好きやって、マシュー・デイヴィッドから〈リーヴィング〉のカセットを直接こっちに送ってもらったりしてて、カセットが好きやっただけですね。レーベルを立ち上げたちょうどぐらいのときに、〈リーヴィング〉をずっと聴いてたっていうのがありますね。
■〈リーヴィング〉やマシューデイヴィッドって、日本ではストイックに受け止められてるフシがあるからさ。もっとイージーというか快楽的というか、いい意味でテキトーだと思うけど。
セイホー:そうなんですよ。雑多な音出すし、それこそカセットテープとかもチャチいしひずんでたりもするんですけど、でもそれが面白いなっていうか。ほかに〈ノン・プロジェクツ〉っていう、もうちょっとマイナーなレーベルなんですけど、そことかは......うちのマジカル・ミステイクがLA出身ニューヨーク育ち、で、いま日本で仕事してるんですよ。で、彼がアメリカ行ったときにカセットのレーベルからカセット買って来てくれたり。
■音はめちゃくちゃデジタルなのに、そういうアナログ愛みたいなものがあったり、いろんなところで重層的に矛盾があるんだね。
セイホー:そうなんですよ! その矛盾をずっと話し合ってるんですけど、結果的によしとしようかってなってるんで。いろいろ話し合ってても、「あれ? さっき言ってた美的感覚とちょっとズレてない?」ってことがよくあるんですよ、僕らのなかで。
■矛盾がないものなんてつまらないからね、ほんと。
セイホー:それはその瞬間に立ち会ったときに、どっちがカッコいいかを言えればいいか、ぐらいの(笑)。
■(笑)じゃあその辺りも話し合うんだ。
セイホー:話し合いますね。それこそ美的感覚をきっちりしたいって言ってる連中もいるし、でもけっこう雑多な人間が集まってくるんで。
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フィジカルで僕がいちばん大事にしてるのは、アーティストの責任というか。バンドキャンプでデータで3枚4枚出してても、「うわーあれダサいなー」と思ったら消せるんですよ。でも、フィジカルで出しちゃうと残るんですよね。
![]() ![]() Seiho Abstraktsex [Limited Edition] Day Tripper |
■今回のアルバムのアートワーク。あれは外国人の女性?
セイホー:そうです。
■アリエル・ピンク(笑)?
セイホー:(笑)でもあのジャケットは、僕のなかで言うタンブラー感というか。タンブラーであれが流れてきたらファボるな、みたいな。いいね! つけるな、みたいな。ちなみにあの人はフィンランドですね。北欧のほうですね。あの子も、PVを撮ろうって決めてスタジオを押さえてから、クラブいろいろ行って、ナンパしたんですよ(笑)。
■ナンパして、「いいよ」って?
セイホー:1日だけ空けてもらって。
■あのポーズとかも全部決めて?
セイホー:そうです。僕のなかでは"アイ・フィール・レイヴ"の映像も、断片的なGIF画像の積み重ねのなかのエモーションみたいな部分があって。短く印象的なものが積み重なって1本になってるみたいな。プラス、僕らのジャンルはユーチューブとかでああいう女性の写真とかとくっつけられてアップされまくるんですよ。
■へえー。そうなの?
セイホー:僕もこの現象が何なのかよくわかんないんですけど、音源をエロい女の子の画像と合わせてアップされるんですよ。有名なサイトやったら〈マジェスティック〉とか、ユーチューブのサイトで。フォトグラファーの紹介でもあると思うんですよ、あの場所は。向こうのフォトグラファーとモデルといまの音楽っていうのを3つ同時に紹介する場所としてあって。だからまったく知らん女性のちょっとエロい写真と、〈マジェスティック〉のロゴと、自分らの曲がアップされてるんですよ。まあ、そこのサイトはフリー・ダウンロードの曲に限るんですけど。〈マジェスティック〉を運営してるやつらとも、いまはもう知り合いになって、フェイスブックとかでコミュニケーション取ったりするんですけど。向こうではそれはそれで一種のメディアになってるんですよね。〈マジェスティック〉さえ聴いといたら最近の音楽聴けるみたいな感じで、みんな〈マジェスティック〉から聴いてますね。
■へえー。全然知らなかったよ。
セイホー:で、海外のアーティストはけっこう〈マジェスティック〉に嫌悪感があるらしくて、「〈マジェスティック〉に発表せんといてほしい」って感じなんですけど、僕は敢えて面白がってああいう感じのジャケットにしてるんですよ。だからタイトルの感じも、見てもらったらわかるんですけどユーチューブの動画まんまなんですよね。
■デジタルな世界とリアルな世界を両立させるっていう。
セイホー:くっつけてるというか。とにかく、エロいっていうのが僕のなかでは重要ですね。
■セイホー君は大雑把に言えばオタク世代だからさ、エロと言えばアニメじゃない? 日本のアニメって、あれがフランスで受けているのはエロだからだと思うし。
セイホー:そうなんですよ! そこは僕もあんまりわからない。僕はやっぱり、生身の女性が好きなんで。
■しかもロリータだしな。
セイホー:そうなんですよ。わかんないですね、そこは。
■橋元からはどう?
橋元:わたしが面白いなと思ったのは、お父さんとの関係が大きいのかなって。いまごろ音楽のモチーフで父が出てくることってあんまりないっていうか。
セイホー:でも僕のなかでも、おかんもデカいですよ。服は全部おかんのお下がりなんですよ。
■えっ、それも!?
セイホー:これ、おかんのお下がりです。
■お母さんすごくいいセンスしてるね!
セイホー:最近、アルバムを見てたらおかんがこれ着てるの見つけて、「これどうなってるねん」みたいな(笑)。で、「押入れのなかにあるはずや」ってなって、実家帰って押入れのなかから探したら出てきたっていう(笑)。ここに僕を抱っこしたときのヨダレがついてるんですよね(笑)。
■そうなんだ!
セイホー:だからいまだにおかんとふたりで服買いに行きます、僕は。
橋元:なるほど、おかんですか。共有できる服をいっしょに買いにいくとか、母と息子の関係としてはわりと新しいですよね。一種のフェティシズムとして先ほど生身の肉体の女性の話も出てきましたが、そういうおかんからの連続性ってあるんですかね?
セイホー:そうですね。僕のアルバムの1曲目でランス(RHEIMS)って入ってるんですけど、それはベティーナ・ランスのことで。ベティーナ・ランスのマドンナとかを撮ってる写真って、その両面を持ってるんですよね。エロいんですけど、男だけがわかるエロじゃないエロさみたいな。そこにけっこうこだわって作りましたね。
■ダンス・ミュージックはそこ重要だよね。セイホー君が赤ちゃんだった頃に比べて、情報社会っていうのはさらにカオティックになってるじゃない?
セイホー:そうですね。さっき、CDをコンポで聴く話をしたじゃないですか。あれが僕のなかでいちばんやりたいことで。データのなかでももっともフィジカルに近いデータっていうものが僕らのなかであるんですよね。「もの」に近いデータっていうのがあるはずなんですよ(笑)。この感覚は、僕らのなかで話してても誰にも通じないんですけど、iTunesで買ったなかでも大事じゃないデータと大事なデータってあるじゃないですか。でも、おんなじはずなんですけど。でも、それが好きな曲か嫌いな曲かってことだけじゃなくて、フィジカルに近いデータっていうのがあるんじゃないかって僕のなかでは思ってて。
■なるほどねー。
セイホー:で、その感覚っていうのを突き詰めたことをしたいなっていうのがいちばんにあります、いまは。難しいんですけどね(笑)。
■セイホー君が「レイヴ」っていう言葉を使うときの「レイヴ」っていうのがさ、ダンスの「レイヴ」だけじゃなく、こんにちの情報社会のカオスのなかにおける「レイヴ」って感じだと思うんだよね。
セイホー:それはあります。
■セカンド・サマー・オブ・ラヴみたいなああいう60年代ぽいものではなくて。カオスなんだけど、カオスとして受け入れたなかでのある種の祝祭空間みたいなものだから、すごくアッパーになってるのかなって。
セイホー:サンプリングができた頃からそういうような感覚があったのかもしれないですけど、たとえば808のカウベルが鳴るだけで、「はい、80年代っぽい」とか、1音のマイクロ・サンプリングのなかに文脈を感じられるっていうのをみんな持ってて。たとえば「このキックやったら、はい、誰々で」、「このキックやったら○○年代ぽくって」、みたいなものが、すごく複合的に頭のなかで処理できるスピードの勝負みたいなものが――。
■すごいところで勝負してるんですね。
セイホー:それと、文脈をどう併せ持つか、というか。
■インターネットと、セイホー君や〈デイ・トリッパー・レコード〉がどのようにして付き合っていくか、どんな考えがある?
セイホー:〈デイ・トリッパー〉は、この形態を続けようと思うんですよ。で、もしも変わるとしても、データ配信10本、20本して、10枚組のボックスめちゃくちゃ高いのを出すみたいなものになったりするのかな、って思ってるんですけど。まあでも、〈デイ・トリッパー〉は〈デイ・トリッパー〉で単純に場所なだけなんで。〈デイ・トリッパー〉としては、まあ〈ファクトリー・レコード〉みたいになりたいな、と。装丁がいまみても、やっぱ豪華やし。あんだけカネ使ったフィジカル出せる余裕っていうか......まあそれで潰れるんですけど(笑)。でもそれがおもろい、やっぱあれぐらいやりたいなっていう。
フィジカルで僕がいちばん大事にしてるのは、アーティストの責任というか。バンドキャンプでデータで3枚4枚出してても、「うわーあれダサいなー」と思ったら消せるんですよ。でも、フィジカルで出しちゃうと残るんですよね。そこのケジメを踏むか踏まんかっていうので、ミュージシャンが進むか進まないかっていうのが僕のなかではけっこう大きくあって。同世代よりも下の世代にそれを踏ませたいっていうか。だからフィジカル・リリースに関しては、対お客さんに関してはどうでもいいことなんですけど、僕のなかではけっこう重要なことで。やっぱそこを踏んだアーティストと踏んでないアーティストは、僕のなかではライヴの質が違うような感じがするんですよ。
■いまは、下手したら現在の音楽よりも過去の音楽のほうが売れる時代だと言われていて、新しい音楽をやってる立場としてはさ、いま起きてることにもうちょっと注目してほしいという気持ちはない?
セイホー:僕のなかのさっきのバランスの話で言うと、僕らが直面してる問題として、1回きりの音楽が大量にあるんですよ。僕らの仲間で言うと。ツイッターで流れてきてサウンドクラウドで聴いて、しかも30秒ぐらいだけ聴いて、一生聴かれない音楽が山ほどあるわけじゃないですか。それと繰り返し聴けるアルバムが両方あったときに、僕らはどっちがいいか決められないんですよ。「明らかにこっちやろ」っていうのはないし、1回きりの音楽も、スリリングで魅力的なんですよ。一生出会えへんけど、ツイッターで流れてきたから聴いた音楽のスリリングさとか、アーティストもそれが誰かの耳に1回きりしか入らんことを前提に作ったスリリングなものへの魅力と、通して聴く作品の魅力と両方あるから、そこは何とも言えないですよね。
■音楽が売れなくなった理由として、非合法のフリーダウンロードがあるからだって意見があるわけだけど、それに関してはどう思う?
セイホー:それはまったく関係ないですね、僕のなかでは。フリーダウンロードして良かったら、買うっていう(笑)。
■俺も、そう思う。
セイホー:そうですよね。そこはあんま関係ないっていうのと、あと作り手も多くなってるし、聴き手も減ってはないと思うんですよ。だから分散されただけで、危機的な状況じゃ全然ないと思う。だからノイズとかやってる人らからしたら、状況はずっと変わらないんかな、みたいな。
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誰と会っても音楽の話しかしないですからね。まあ僕がかもしれないですけど。立ち呑み屋行って、まあ僕も1杯2杯なら飲むんで、5、600円だけ使って、飲んで出て、あとはファミレスでずっとコーラで音楽の話みたいな。
■ トーフビーツみたいな人はさ、無料配信した曲が後からパッケージして売れているわけで、ポップスのあり方を更新していると思うんだけど、セイホー君はそういうことは考えない? メインストリームに自分がどう絡んでいくかっていう。
セイホー:僕が相方とやってるシュガーズ・キャンペーン(Sugar's Campaign)は、けっこうメインストリームのバンドなんですよ。そっちはメインストリームに行きたいなと思うんですけど。
■バンド?
セイホー:バンドっていうよりは......でもふたりともビート・メイカーなんですけど、ドラムとギターなんですよ。
■ニューウェイヴ・ユニット?
セイホー:ふたりとも久保田利伸と山下達郎が好きなんで、そういう感じっす。AORみたいなバンドをやってて、そっちはスキマスイッチになりたいなと(笑)。
■(笑)おおー。それは聴かせてほしかったね。
セイホー:ユーチューブで"ネトカノ"っていう曲を1曲だけアップしてます。アヴェック・アヴェックとふたりでやってます。
■〈デイ・トリッパー〉としては、音楽的なコンセプトを曲げないまま、もうちょっと大多数にアピールするってことはすごく意識してる?
セイホー:意識はしてます。繰り返しになるけどバランスの話で言うと、僕のなかで譲れる部分は100パーセント譲りたいんですよ。音を作ってる上で譲れない部分はあるじゃないですか、絶対。それもあるけれども、どうでもいい部分もけっこうあって(笑)、たとえばツイッターでの発言とかも管理するレーベルは管理するらしいんですけど、そんなんはどうでもよくて。広がったらいいんちゃう、ぐらいの感じで。譲れる部分を100パーセント譲ることで、どうにかメインストリームに行けへんかな、みたいな。
■ははははははは! やっぱ音楽性で行かないと、そこは(笑)。
セイホー:まあ音楽性の部分でも、譲れる部分はあって。「や、これ4つ打ちに変えてください」って言われたときに、その音楽が本質的に4つ打ちじゃないって思ったら譲れないですけど、これ4つ打ちでもいいなと思ったら、そこは譲るみたいな。たぶん音楽のなかで譲れる部分と譲れない部分があって、譲れる部分を多くの人に聴いてもらうっていう目標は確実にあります。自分の音楽性を変えないって目標よりも、多くの人に聴いてもらいたいってほうが優先されます。僕のなかでは。
■じゃあ自分たちの上の世代の文化で、これは違和感があるっていうものはある?
セイホー:うわー、これはいっぱいありそうやなー。
■はははは。遠慮しないで言っていいよ。
セイホー:でも、いちばん僕のなかで大きかったのはドラッグですね。さっき言ったアルコールお話もそうなんですけど、ものすごくクリーンなんですよね、僕らのまわりって。
■橋元と同じだね!
橋元:いやー、ほんとに共感します。
■ははははは! いま活動しているレーベルで、すごく気になるレーベルっていうと何になる?
セイホー:〈ラッキー・ミー〉ですかね。レーベルがやってることというより、〈ラッキー・ミー〉に関してはやっぱキャラですね。キャラが全員立ってるっていう。
■ああー、そうだよね。
セイホー:あとはディプロの〈マッド・ディセント〉。そのふたつは憧れですね。
■音楽以外では遊ばない?
セイホー:誰と会っても音楽の話しかしないですからね。まあ僕がかもしれないですけど。立ち呑み屋行って、まあ僕も1杯2杯なら飲むんで、5、600円だけ使って、飲んで出て、あとはファミレスでずっとコーラで音楽の話みたいな。
■いや、素晴らしいですね。それは、うちらの世代も同じですよ。お金ないし、そんなに酒も飲めないしね、若い頃って。友だちと音楽の話してるのがいちばん楽しいもんね。
セイホー:たぶん僕らのなかでは、遊びのフィールドそのものが拡張されてて、「インスタグラム」のおもしろ写真とか、ツイッターのおもしろワードとかがそこに置き換わってるのかもしれないです。より面白い写真撮ってきたもん勝ちのフィールドで、世界を相手に戦うみたいな(笑)。
Day Tripper Records Discography
文:Redcompass
コンピレーション企画"FOGPAK"主宰。 魔術とおばけをキーワードとした選曲で、DJにはiPadを使用する。フリーフォークからはじまり、アブストラクト・ヒップホップやIDMなどを経由、そしてチルウェイヴの海に漕ぎ出す。 その後の消息は不明。曲の買いすぎで瀕死になることもしばしば。 甘いもの全般とコーラが大好き。健康診断は苦手。
https://fogpak.bandcamp.com/
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Seiho - MERCURY (DTR-001) Seihoの第一作目のアルバムであり、〈Day Tripper Records〉の第一弾のリリースでもある本作は、まさに関西のもうひとつの「水星」ともいえよう。マーキュリーという名前の元となったメルクリウスという神は、商業や旅人の守り神であり、まさに「デイトリッパー」の門出に相応しいアルバム名である。収録曲には全体を通して"濡れた"空気感があり、鍾乳洞や湖面などの水辺を連想させる。内側にたたずむ山羊のアートワークも象徴的で、"No Space... No Time..."には今の作風にも通じるものを感じる。 |
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mfp -
Mindful Beats Vol.2 (DTR-002) 前作『Mindful Beats Vol.1』は〈OILWORKS〉より、Ichiro_とのスプリットとして発売されたが、今作のVol.2は〈Day Tripper Records〉からのリリースとなった。サンプリングを駆使した多面鏡のようなきらびやかなビーツが印象的だ。かすれたテープのようなシンセに存在感のあるベースが蛇のようにうごめき、複雑な動きのドラムがそれを刻み、脳をほどよく刺激してくれる。 |
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And Vice Versa -
E.Tender
(DTR-003) 一概にどのようなジャンルといえばいいのか難しいが、エレクトロニック寄りのBibioといった印象だ。瞬間瞬間で放たれるマイクログルーブが心地良く、一発一発のキックと後を引いていくベースラインが、水平線上に浮き上がる波のうねりのように視界に現れる。低音の圧や処理が都市のような整然さを持つのに対して、メロディを構成するサンプルにはアコースティックギターや巻き戻したような声が使われており、それらが不思議と調和しているのがなんとも面白く、魅力的に感じられる。たとえるなら、終電の地下鉄の中で故郷の星空を思い出す時のような。 |
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Leggysalad -
Verda Planedeto
(DTR-004) 第四弾のリリースとなった「緑の惑星」という名前をもつこのアルバムは、fhánaとしての活動でも知られるkevin mitsunagaによるソロプロジェクト、Leggysaladの作品だ。〈Day Tripper Records〉からのこれまでのリリースの中で、最も強く「昼」を意識させるアルバムである。ギター、ドラム、ヴォーカル、使われているありとあらゆる音とその結びつきが、太陽に照らされた新緑のような爽やかな心地良さを描き出している。metomeとLASTorderによる特典リミックスも素晴らしい。 |
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Magical Mistakes -
Everything Uncertain (DTR-005) 海外から日本に移り住み、大阪のエレクトロニックシーンに立つErik Luebsによるソロ・プロジェクト。ポスト・ロックの影響下にある生音を用いた独特のビートミュージックを奏でる。メロディの音色には「哀愁」のようなものがあり、それは昔のRPGの海沿いの村のような空気を感じさせる。ジャケット光るキノコの灯台だが、パッケージを開くと内側には日没(あるいは日の出)のアートワークが姿を表す。それを踏まえて考えると、輝く盤面がまるで太陽のようにもみえ、まわる1日、そして過ぎていく日々の時間を意識させてくれる。 |
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Ogiyy -
Duality (DTR-006) 第六弾のリリースとなるこのアルバムは、ヒップホップの影響を受けた良質なシティービーツだ。本作においてもっとも注目すべきトラックは2曲目のYadosu Kono Toki (feat. Nadsroic)だろう。NadsroicはHudson Mohawkeにも曲提供を受けている女性ラッパーだが、実は日本に板敷もあるそうだ。街を遠目にながめる川を月のゆりかごがゆっくりとしたBPMで流れていく、その川はやがて海へと繋がりどこか遠くの岸辺にたどり着き、やがて誰かの手に渡る。果てなき旅路への一歩を表す作品だ。 |
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DEATH FLAMINGO into the Memai -
fictional pop (DTR-007) まず断りを入れさせてもらうと、実はこのアルバムには本人たちによる曲解説があるので、ぜひネットの荒野を探していただきたい。ここでは私が感じたことを書かせていただく。ブロークンなビートにありとあらゆるジャンルから引っ張ってきた要素を絡みつかせており、ピンボールの針という針に片っぱしから色とりどりの紐を巻きつけて遊んでいるような音楽だ。普通の遊び方に飽きた人が、色々と工夫して自分なりのやり方を見つけるような、そういう面白さを感じる。この緻密なアートワークも自作というこだわりである。 |
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Madegg -
Kiko (DTR-009) 彼の音楽が語られるとき、その年齢の若さが引き合いに出されることも多いが、彼が何歳であるかなど関係なく、この作品は本当に素晴らしいと思える。インディー・ロック、フリーク・フォーク、ローファイなどといった音の質感のもっとも良いところを"参考"にして構成されており、サンプリングではなく、音という文字を作るところからはじめ、曲という文を書き連ね、それを綴った本がこのアルバムだ。本作にはFour Tetの影響も感じられるが、私には既にそれを超えているように感じる。青は藍よりいでて藍より青しという言葉があるが、まさにその通りであると。 |
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Seiho -
ABSTRAKTSEX (DTR-01-) そして、今回リリースされたSeihoの2枚目のアルバム、"ABSTRAKTSEX"は、これまで彼が聴いてきた音楽の道標であり、さらにそれらを吸収して構築した"これから"でもある。同時に、彼が率いるDay Tripper Recordsに所属する全てのアーティストのエッセンスが組み込まれているようにも感じる。特に、4曲目の"Diamond Cloth"には同レーベルからカセットをリリースしているEadomnnの気配がある。このアルバムには「これがDAY TRIPPER RECORDSだ!」という彼からの強いメッセージがあるのではないだろうか。内側のアートワークに書きこまれた"「ヴァーチャル・リアリティと柔らかな肌」という"文面には、彼がこのレーベルを設立した存在意義の全てを象徴している。(そして、この内側の文面は他のリリースと異なり、ネット上では閲覧することができない! まさに、手に取り開封して初めて出会うことのできる体験である!!)そうこれは、リアルとネットを繋ぐ、まさに「アブストラクト・セックス」なのである。 |





