「S」と一致するもの

 90年代のドラムンベース・シーンが生んだスター、ゴールディー。彼のレーベル〈メタルヘッズ〉は今年で20年を迎える(1994年は、ドラムンベースが最初に爆発した年でもあった)。ワックス・ドクター、ディリンジャ、ドック・スコット、アレックス・リース、フォーテックなどなど、ハードコア〜ドラムンベース〜ダークコア/アートコア……、レイヴ・ミュージックをより音楽的に洗練させたこのレーベル(そして4ヒーローの〈リーンフォースト〉)があればこそ、今日のUKベース・ミュージックがあると言っても過言ではない。マーラ、アントールド、アコードなども〈メタルヘッズ〉からの影響を認めている。
 今週末、ゴールディーは盟友ドック・スコットと共に東京でプレイ。彼らがどのようなプレイをするのか是非体感してほしい。日本からはマコトやDX、テツジ・タナカなど、国内のドラムンベース・シーンの第一線で活躍するDJたちも出演。

DBS 18th Anniversary
"METALHEADZ HISTORY SESSIONS"

2014年12月20日
@代官山ユニット

OPEN/START 23:30
CHARGE:ADV 3,300YEN  DOOR 3,800YEN

feat.
GOLDIE x DOC SCOTT

with.
MAKOTO
TENDAI
MC CARDZ
MC LUCID

vj/laser: SO IN THE HOUSE
live painting: The Spilt Ink

SALOON:
DX x JUN
TETSUJI TANAKA x DJ MIYU
STITCH x PRETTY BWOY
DJ DON x JUNGLE ROCK
DUBTRO x HELKTRAM

info. 03.5459.8630 UNIT
www.unit-tokyo.com
https://www.dbs-tokyo.com

<UNIT>
Za HOUSE BLD. 1-34-17 EBISU-NISHI, SHIBUYA-KU, TOKYO
tel.03-5459-8630
www.unit-tokyo.com

Ticket outlets:NOW ON SALE!
PIA (0570-02-9999/P-code: 246-233)、 LAWSON (L-code: 78221)、
e+ (UNIT携帯サイトから購入できます)
clubberia/https://www.clubberia.com/store/

渋谷/disk union CLUB MUSIC SHOP (3476-2627)、TECHNIQUE(5458-4143)、GANBAN(3477-5701)
代官山/UNIT (5459-8630)、Bonjour Records (5458-6020)
原宿/GLOCAL RECORDS (090-3807-2073)
下北沢/DISC SHOP ZERO (5432-6129)、JET SET TOKYO (5452-2262)、
disk union CLUB MUSIC SHOP (5738-2971)
新宿/disk union CLUB MUSIC SHOP (5919-2422)、Dub Store Record Mart (3364-5251)
吉祥寺/Jar-Beat Record (0422-42-4877)、disk union (0422-20-8062)
町田/disk union (042-720-7240)
千葉/disk union (043-224-6372)

GOLDIE (aka RUFIGE KRU, Metalheadz, UK)
"KING OF DRUM & BASS"、ゴールディー。80年代にUK屈指のグラフィティ・アーティストとして名を馳せ、92年に4ヒーローのReinforcedからRUFIGE KRU名義でリリースを開始、ダークコアと呼ばれたハードコア・ブレイクビーツの新潮流を築く。94年にはレーベル、Metalheadzを始動。自身は95年にFFRRから1st.アルバム『TIMELESS』を発表、ドラム&ベースの金字塔となる。98年の『SATURNZ RETURN』はKRSワン、ノエル・ギャラガーらをゲストに迎え、ヒップホップ、ロックとのクロスオーヴァーを示す。その後はレーベル運営、DJ活動、俳優業に多忙を極めるが07年、RUFIGE KRU名義で『MALICE IN WONDERLAND』をMetalheadzから発表、08年に自伝的映画のサウンドトラックとなるアルバム『SINE TEMPUS』を配信で発表。09年にはRUFIGE KRU名義の『MEMOIRS OF AN AFTERLIFE』をリリース、またアートの分野でも個展を開催する等、英国が生んだ現代希有のアーティストとして精力的な活動を続けている。12年、Metalheadzの通算100リリースに渾身のシングル"Freedom"を発表。13年には新曲を含む初のコンピレーション『THE ALCHEMIST: THE BEST OF 1992-2012』をCD3枚組でリリース。そして今年7月、ロンドンの名門クラブ、Ministry of SoundからのヴィンテージMIXシリーズ『MASTERPIECE』の3枚組CDを発表している。
https://www.goldie.co.uk/
https://www.metalheadz.co.uk/
https://www.facebook.com/Goldie
https://twitter.com/MRGOLDIE

DOC SCOTT (aka NASTY HABITS, 31/Metalheadz, UK)
"King of the Rollers"と称される至高のDJ、ドック・スコットはダークコア、テックステップ、リキッドファンク等の潮流を生む革命的トラックの数々でドラム&ベース・シーンの頂点に君臨する最重要アーティストの一人である。14歳よりヒップホップDJを開始。その後、デトロイト・テクノ/シカゴ・アシッドハウスに触発され'91年から制作を始め、第1作"Surgery"がグルーヴライダーの支持で大ヒット、ハードコア・テクノ/レイヴ・シーンに頭角を現わす。華やかなレイヴ時代の終焉と暗い現代社会を反映したダークかつハードなサウンド、ダークコアを先駆けた彼は、ドック・スコット及びナスティ・ハビッツの名義で"Drumz"、"Dark Angel"、"Last Action Hero"等の傑作をReinforced、Metalheadzから送り出し、ドラム&ベースの革新に貢献する。'95年には自己のレーベル、31を設立し、"Shadow Boxing"に代表されるテックステップと呼ばれるサイバー・サウンドの急先鋒となり、オプティカル、ペンデュラムらの才能を逸早く見いだした。DJとしては伝説のMetalheadz Sunday Sessionsのレジデントをつとめ、シャープなミキシングと独自のプログラミング・スキルでクラウドを絶頂へ誘う、シーンの至宝である。実に7年ぶり、待望のDBS帰還!
https://www.facebook.com/DOCSCOTTOFFICIAL
https://twitter.com/docscott31
https://soundcloud.com/docscott31


デンシノオト - ele-king

2014年 年間ベスト・アルバム

Sound Patrol - ele-king

 萩原健太さんはオソロしい。何日も何日もぶっ続けで『ボブ・ディランは何を歌ってきたのか』を書きつづけ、ということは、その間も繰り返しボブ・ディランを聴きつづけ、ほぼ400ページを書き終えたと思ったら、「じゃー、ボブ・ディランでも聴くかな」と、実際に聴いたそうなのである。信じられない。僕はといえば、今年は1月2日から『ハウス・ディフィニティヴ』のために何万曲というハウス・ミュージックを聴きつづけ、2ヵ月を過ぎた頃にはハウスが嫌いになってきて、3月もなかばになると、憎しみさえ芽生えつつあったというのに。時間に追われながら、来る日も来る日もトントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントンヘイヘイホートントントントントントントントントントントントントントントン……(足立正生『幽閉者 テロリスト』参照)。もう、とにかくほかのリズムが聴きたかった。ハウスというより、4つ打ちのリズムが拷問だった。そのときは何を聴いたのか忘れてしまったけれど、ようやく『ele-king Vol.15』の編集作業から解放され、特集と関係ないものが聴けるようになったら……以下のようなものに埋没しているわけですね。細かく調べるのは面倒くさいので、正確なことが知りたい人は竹内正太郎のツイッターをフォローしてくださいね(間違っていたら、きっと彼が調べてくれる……)。校了してから聴きはじめたので、ここに挙げたものは年末号には載っていません!


felicita / Mmmhm


 フェリチータ。イタリア語で「幸せ」。思わずミニ・アルバムを買ってしまいましたが、「幸せ」というのにはあまりにアヴァンギャルド。ロンドンに住むアジア系の女性だそうです。ケロ・ケロ・ボニトに対するマウス・オン・マースからのアンサーか。

Night & Tickets / August Morning In My City

 フィッシュマンズをドローン化させたような1曲。これも思わずカセットを買ってしまいましたが、こういうのはコレだけでした。アルバム・タイトルは『本当に夏が嫌いなんだよ(actually i really hate summer)で、どうやらロシアの人らしい。

Rabit / Sun Dragon


 何が起きているのか考えたくないグライムの新星。ロティック(Lotic)とかテキ・ラテックス(TTC)とかロクな人がミックスに使ってません。スラック(Slackk)といい、2015年はグライムですね(希望的観測)。

Raaskalbomfukkerz


 アムステルダムでスクォッテイングをしている人たちだそうです。ノイエ・ドイッチェ・ヴェレをちょっとヒネッた感じ。手術前の患者の体を使って演奏するとか、スウェーデンの『サウンド・オブ・ノイズ』という映画と発想が似てるのかな。

Vince Staples / Blue Suede


 これはもうあちこちで騒がれてます。西海岸のラッパーです。ジェイ・ミルズ“フー”を悲しいモードに切り替えた感じ?

Gypsy Mamba / BLESS THA RATCHET


 西海岸からまた変り種。ルーマニア系だそうです。あったようななかったような。EPには入ってなかった。

Nederlandse Maatschappij Ontwikkeling / Full Spectrum Intercourse


 アムステルダムの2人組。ひとりはジャズ系のようで、タイコたたきまくりのちょっと変わったミニマル。

Russo / Purple Earth


 トーン・ホークのレーベルからデビューしたアリ・ルッソのデビュー・シングル。この人もニューヨークの映像作家だそうです。

NxxxxxS / Vaporlove


 デビュー・アルバムも出ましたが、これはそれ以前の曲。渋谷のスクラッブル交差点を映せば、なんでもヴェイパーウェイヴになると思ってるだろー。「エヌ・ファイヴ・エックシーズ」と読むみたい。パリから。

One Circle / Transparency


 コード9が持ち上げていたイタリアのダブステップ、ヴァーゲ・ステーレことダニエル・マナがセーラーかんな子のDJチャートでもおなじみスターゲイトことロレンツォ・センニらと組んだグライムの変り種。

(おまけ)

Dinner Music / Blood Quantum 2013


DJ WADA (Dirreta, Sublime) - ele-king

12月Dirretaより2枚目のアナログEP 「Flax, SaivoA13」発売されました。
皆様よろしくお願いします!
https://www.facebook.com/beetbeat?ref=hl
https://www.facebook.com/beetbeat/app_109770245765922
https://soundcloud.com/dj_wada

 

PLAID - ele-king

 『セレクティッド・アンビエントワークス 85 -92』やポリゴン・ウィンドウと比肩できうる作品とは、ずばり、『バイツ』(93)だ。いや、AFXよりも評価する人も少なくなかった。『サイロ』の2曲目からいくつかはブラック・ドッグみたいじゃんと言った人もいたように、『バイツ』、そして『スパナーズ』(95)は、オールドスクールIDMのトップ10入り間違いナシのマスターピースなのだ。その2枚の傑作がプラッド名義もしくはプラッドがそのままブラック・ドッグ名義で続いていたら、歴史は変わっていたかもしれない。
 2014年、プラッドは、この名義では10枚目のアルバム『リーチー・プリント』をリリースしている。たしかに彼らは、先にも書いたように、AFXらとともにIDMの起点を作っているが、彼らが92年~93年に高評価されたのは、彼らの音楽には多彩なリズム、たとえばラテン風のリズムなどがあって、それがクラブ・ジャズ系のDJにまで幅広く受けたからだった。そういう意味で、彼らのライヴは穏やかな彼らの作品とはまた違った面白さがある。ぜひ、注目して欲しい。

PLAID - Reachy Prints - Audio/Visual Live in Tokyo
2014年12月19日 (金)
@代官山UNIT

OPEN/START 19:00
ADVANCED TICKETS 4,000yen (tax incl./without drink)

PLAID (WARP / UK) with Benet Walsh

Guest live:
Ametsub (nothings66) / Kyoka (raster-noton) / Eli Walks

今年結成25周年を迎え、通算10枚目のオリジナルアルバム『Reachy Prints』をWARP RECORDSよりリリースしたブリティッシュ・テクノの重鎮にしてエレクトロニカの始祖、PLAID(プラッド)の3年振りとなる来日公演決定!  当日は最新A/V Live Setを披露!!

Advanced tickets now on sale.
Ticket outlets:
LAWSON TICKET (L:73253) https://l-tike.com/
e+ https://eplus.jp/
Peatix https://peatix.com/?lang=ja
Clubberia https://www.clubberia.com/ja/
RA https://jp.residentadvisor.net/
disk union 渋谷 Club Music Shop
disk union 新宿 Club Music Shop
disk union 下北沢 Club Music Shop
disk union 吉祥寺
Technique
UNIT店頭

more info.: UNIT 03-5459-8630 www.unit-tokyo.com
https://www.unit-tokyo.com/schedule/2014/12/19/141219_plaid.php

PLAID (WARP / UK)
ブラック・ドッグ・プロダクションズのメンバーとして活動し、〈WARP RECORDS〉が誇るエレクトロニック・ミュージックのオリジネイターとしてUKテクノの黎明期に数多くの革新的な 作品を発表してきたアンディ・ターナーとエド・ハリスンによるユニット。活動初期からメロディアスでダンサンブルなエレクトロニック・サウンドを展開し、後のエレクトロニカや IDM といったテクノ・シーンにおいて多大な影響を与え、エイフェックス・ツインや残念ながら今年急逝してしまったLFOことマーク・ベルなどと肩を並べる重鎮的存在としても知られる。またこれまでのアルバムでは、ビョークやニコラ・コンテ、そしてアコーディオン奏者コバなど多彩なゲストが参加し話題になる。さらに近年では映像作家ボブ・ ジャロックと「音と映像」をリンクさせた共同作『Greedy Baby』のリリースを始め、マイケル・アリアス監督から直々のオファーで、アカデミー賞の最優秀アニメーション作を受賞した松本太陽の『鉄コン筋クリート』、2年後には長瀬智也主演の『ヘブンズ・ドア』のサントラ担当するなど幅広いジャンルで活動を展開。今年、結成から25周年を迎え5月に10枚目となる最新アルバム『Reachy Prints』をリリース。今回の来日では最新のaudio/visual live setを披露する。

Ametsub (nothings66)
東京を拠点に活動。2013年は山口の野田神社で、霧のインスタレーションを交えながら坂本龍一と即興セッション。TAICOCLUBの渋谷路上イベントにてパフォーマンス。Tim HeckerやBvdubといったアーティストの来日ツアーをサポート。夏にはFLUSSI(イタリア)、STROM(デンマーク)、MIND CAMP(オランダ)といった大型フェスへ招かれる。アルバム「The Nothings of The North」が世界中の幅広いリスナーから大きな評価を獲得し、坂本龍一「2009年のベストディスク」に選出される。スペインのL.E.V. Festivalに招聘され、Apparat, Johann Johannson, Jon Hopkinsらと共演し大きな話題を呼ぶ。最新作「All is Silence」は、新宿タワーレコードでSigur Rosやマイブラなどと並び、洋楽チャート5位に入り込むなど、大きなセールスを記録中。FujiRock Festival '12への出演、ウクライナやベトナム、バルセロナのMiRA FestivalへActressやLoneと共に出演。2014年はTychoの新作をリミックス、Plaidと共にスペイン発、Lapsusのコンピに参加。ActressとThe Bugのツアーをサポート。秋にはArovaneやLoscilらの日本ツアーをサポート。Ovalから即興セッションの指名を受ける。YELLOのボリス・ブランクによるFACT Magazine「10 Favorite Electronic Records」に選出される。
北極圏など、極地への探究に尽きることのない愛情を注ぐバックパッカーでもある。

Kyoka (raster-noton)
坂本龍一のStop Rokkasho企画やchain musicへの参加、Nobuko HoriとのユニットGroopies、Minutemen/The Stoogesのマイク・ワットとのプロジェクトを行う、ベルリン~東京を拠点に活躍するスウィート・カオス・クリエイターKyoka。これまでにベルリンのonpa)))))レーベルからの3枚のミニアルバムを発表後、Alva NotoとByetone率いるドイツのRaster-Notonからレーベル史上初の女性アーティストとして2012年に12インチ『iSH』、2014年には待望のフルアルバム『IS (Is Superpowered)』をリリースする。そのポップとエクスペリメンタルを大胆不敵に融合させた、しなやかなミニマル・グルーブは様々なメディアで高く評価され、Sonar Tokyo 2012、FREEDOMMUNE 0<ZERO>ONE THOUSAND 2013へも出演を果たす。

Eli Walks
音楽一家に生まれたイーライ・ウォークスは、幼い頃から豊潤なサウンドに刺激を受け続け、すぐに音楽の魅力に取りつかれる。若くして、ギタリスト、作曲家、そしてプロデューサーとして活躍し、早い段階で才能を見出される。2005年までは日本でバンド活動を行っていたが、その後LAに渡米。2006年には本格的にサウンド・デザイン、プログラミング、エンジニアリング、作曲を勉強するため、名門カリフォルニア芸術大学に入学。Monolakeが開発した画期的な音楽ソフトウェア「Ableton Live」に関するレクチャーを行えるまでになるなど、音楽理論を徹底的に吸収。eli walksの原点となる多様なスキルを身につけていく。
再び拠点を日本に移した後、2011年4月に開催された「SonarSound Tokyo」でのサウンド・インスタレーションを皮切りに、Prefuse 73来日公演、Flying Lotus率いるレーベルの名を冠したショーケース・パーティ「BRAINFEEDER2」、オーディオ・ビジュアル・イベント「REPUBLIC」、年末カウントダウンのGOLD PANDA来日公演など、2011年多くのビッグ・イベントに出演。2012年もModeselektorやSNDの来日イベントにて、オーディエンスを圧倒するパフォーマンスを披露。各方面から大きな注目を集める中、満を持して初のオリジナル作品となるデビュー・アルバム『parallel』を<MOTION±>から同年3月にリリース。7月には「FUJI ROCK FESTIVAL ’12」への出演を果たし、錚々たるラインナップと共に、深夜のRED MARQUEEを沸かせた。
常に音楽を作り続け、現在までに400曲以上作曲。磨き続けた類まれなセンスと確かな嗅覚によって創り出されるトラックはいずれも瑞々しい魅力を帯びている。叙情的でアトモスフェリックな旋律と立体的に重なり合う音像。繊細にして大胆、美しくスリリングなエレクトロニック・ダンス・ミュージックを鳴らす、日本発の超大型トラック・メイカー。
現在待望の2ndアルバムを制作中。来年初頭のリリースを予定している。


Powell - ele-king

 90年代のエレキングに寄稿していたイギリス人から「パウウェルを紹介しなきゃまずいだろ」と言われたので、聴いた。なるほど面白い。とくにリズムに個性がある。
 『11 - 14』は、アンダーグラウンドでの名声をたしかなものにした5枚のシングルの編集盤。2011年に自身の〈Diagonal〉からデビューした彼は、少ないリリースでリスナーの心掴み、自分のレーベルからはデス・コメット・クルー(ラメルジーが在籍したことで知られる)やラッセル・ハズウェル(メゴからの作品や秋田昌美との共作で知られる)といったアンダーグラウンドの大御所の作品まで出してファンの信頼をたしかなものにしている。〈ミュート〉傘下の〈Liberation Technologies〉(ローレル・ヘイローの新ユニットやマーク・フェルもソロを出している)からも作品を出し、〈The Death Of Rave〉からのシングルも話題になった。

 リズムが面白いといっても、パウウェルは、アフリカ直系のリズムではない。巷では、「インダストリル」という言葉で形容されているようだが、パウウェルのリズムは、ポリリズムを好むデリック・メイというよりは、スリーフォード・モッズのほうに似ている。ポストパンクめいているのだ。機能的なミニマル・テクノと違って、あるいは闇雲にドープなインダストリアルよりも明らかにパンキッシュで、たとえば6曲目の“Rider”などは現代版「デス・ディスコ」というか、PiLやフォールを、8曲目の“Grand Street”はザ・スリッツを、11曲目の“So We Went Electric”はワイヤーを、さらに骨組みだけに削ぎ落としたように思える。
 こう書いていると10年前のポストパンク・リヴァイヴァルを思い出す人もいるだろうけれど、パウウェルにはノスタルジーやディスコめいた感覚はないし、〈ブラッケスト・エヴァー・ブラック〉ほどヴィジュアル重視でもない。アクトレスの1曲目をポストパンクに変換したというか、そういう意味で2014年は、アクトレスにはじまりアクトレスに終わったとも言えるのか……パンクが好きな人なら14曲目の“Fizz”なんか身体を動かさずにはいられないだろう。

 グローバリゼーションに牙をむく地方のちんぴらオヤジの最新パンク(しかもメンバーのひとりは元々はIDM系という考えさせられる経歴……以下、紙エレキングvol.15参照)と、ちょっとインテリジェントなロンドンのテクノ・ミュージックと同じ扱いにするには無理があるのかもしれないけれど、しかし、リズム感というのは本人の自覚が無くても何かを物語っていることが多い。
 

Phew - ele-king

 いつだったか、Phewがツイッターで「後衛を期待した前衛なんて、くそくらえだ」とつぶやいているのを目にしてすこぶる気分が高まったりもしたのだが、近年の彼女のあまりにも独創的な声とエレクトロニクス、そして、いつになく活動的でひたすら攻めまくる一挙手一投足からはまったくもって目と耳が離せない。はらはらどきどき、というか、おっかなびっくり、というか。わくわくする、というか、ぶるぶるする、というか。背筋が伸びる、というか、背筋が凍る、というか。個人的な話になるけど、学生時代に後追いながらもニューウェイヴに出会い、とりわけキャバレー・ヴォルテール、レインコーツ、レッド・クレイオラ、ヤング・マーブル・ジャイアンツ、ディス・ヒートら〈ラフ・トレード〉周辺の音楽や〈ノイエ・ドイチェ・ヴェレ〉のあれこれに夢中になっていた頃の発見の連続、そんなスリルとテンションを思い出させてくれる。

 2010年にソロ名義としては15年ぶりの全編カヴァー・アルバム『ファイヴ・フィンガー・ディスカウント〜万引き』(寺山修司、永六輔/中村八大、加藤和彦/フォーク・クルセダーズ、坂本龍一からエルヴィス・プレスリーまで取りあげている)をリリースして以降、声というよりも(古いカヴァーであるがゆえに、逆にいまの時代と向き合った)歌を前面に押し出した活動が続いていたが、漫画家・小林エリカとのユニット=プロジェクト・アンダーク(音楽はクラスターのディーター・メビウスが担当)を始動したあたりから、Phewの表現方法がより意識的になり、さらなる広がりと鋭さを増したような気がする。第一次大戦後、ニュージャージー州のラジウム工場での夜光塗料の塗装作業中に被爆したラジウム・ガールたちを、悲劇的にではなく、古き良きフラッパーの時代に目いっぱいオシャレした、高給取りの華やいだ女性として描いたラジウム・オペラは、Phewと小林によるテキスト&リーディングがメビウスのエレクトロニクスと融け合って妖しくも美しく蛍光緑に発光していた。

 そんなプロジェクト・アンダークを経て(3.11以降と言ってもいいだろう)たどり着いたPhewの新しいライフワークとでも呼びたくなる宅録エレクトロニクス作品が、3種類のCD-Rという形で自主リリースされた。当初はライヴ会場のみで販売されていたものだが、現在は通販サイトからも入手可能となっているので、機を逃して、もしくは彼女の気まぐれで生産終了にならないうちに手に入れておきたいところだ(https://phew.stores.jp/)。これは、今年リリースされた電子音響作品のなかでも抜きんでて刺激的な作品だから。

 自ら「電気弾き語り」と呼ぶこの作品。冒頭でも述べたように、筆者が知るかぎりデビュー以来(79年にアーント・サリーでデビューしているから数えて35年!)もっとも活動的なPhewの「現在進行形」をもれなく真空パックしたもので、わんさか出てくる彼女にまつわる歴史的音楽事象──それは日本最初期のパンクだったり、坂本龍一とのコラボだったり、ドイツの重鎮たちとの交流だったり、ゴールデン・パロミノス周辺とのからみだったり、ノヴォ・トノだったり、ビッグ・ピクチャーだったり、モストだったり、ラジウム・ガールズだったり──とつながっているようでどれとも違う、もう一つ向こう側にあるまっさらな境地を拓いたものである。信じられないけど、Phewの新しいデビュー作を聴いているようなのだ!

 卓上に所せましと並べられた数々のアナログ機材を駆使して鳴らされる発振音。時に重厚に、時に柔らかく。軋むノイズから忘我の一瞬を永遠に引き延ばすかのようなドローンまで。そこに不意に差しこまれるヴィンテージのリズムマシンのビートが、まるでコニー・プランクの霊が宿っているかのように、鋭敏にして温もりのある唐突な存在感をもって立体的に立ち上がる。この質感。ビリビリくる。『01』の曲名に“アンテナ”“ドローン”“ニュー・ワールド”とあるように、まさに電波の新世界。また、『02』の1曲めに無線通信における一括呼び出しの略符号「CQ」をタイトルに掲げた“CQ トーキョー”なんて曲があるように、もはや彼女そのものが電子の一つと化したような、いやちがうな、まるで呼吸をするように極めて自然に電子と手を取り合うPhew(なんと日本のオリジナル・パンクロッカーは電信士の資格をもっている!)の音がある。そんな電子の波に身を任せるように大きく身体と頭を揺らしながら発せられる声。抑揚のなさが抑揚となり、冷めた言葉が抽象的な電子音響に熱を与える。ぽつぽつとした呟き、ざわざわとした囁き、詰めこまれる早口な言葉の羅列にぞくぞくする絶叫。また、時おり、それらの声が変調され、テープ・エコーが仕掛けられたりして、あちこち飛び交ったりするのだからもう、目の前は一瞬にしてはるか彼方。ずっと向こうの果てにまで響く声と電子音は、まだ認識されていない「ニュー・ワールド」の扉をこじ開けてどこまでもどこまでもこだまして……やがてどこかに消えていく……。

 『ファイヴ・フィンガー・ディスカウント』でのカヴァーもしかり、プロジェクト・アンダークでのラジウム・ガールズもしかり、本CD-R作品で使用されている多くのヴィンテージ機材もしかり。近年のPhewは運命的ともいえるタイミングで過去のアイデアを引き寄せ、強い探究心でそこに新しい光沢を与える。そして、そのアイデアに重きを置くのではなく、ただそれを追憶するのでもなく、いまとしっかり線でつながりながらも、過去にあった点からは遠く遠く離れたところにある聴点にピントを合わせた電子エクスペリエンスをさらりと差し出してくれる。
 3枚の作品のなかのハイライトともいえる『03』に収録された“Mata Aimasyou”が圧巻だ。初期衝動とも熟練の技ともまったくちがう、急進的で、反骨的で、この世ならぬ音を繰り出すPhew。

また あいましょう
どこかで いつか また
あえるでしょう
そのうちに きっと また
あえるでしょう

 コンクリートのように寒ざむとしたドローンノイズを背景に、ぬっと立ち現れる声と口笛。凛とした姿勢をくずさず、折り目正しくいながらも、語りかけるように、危ういトーンで、がらんどうのような未来をつつつとつむぐ。静寂な死のにおいも漂わせる、異様な緊張感に包まれた声の震えが空気を伝わりこちらの耳に届くとき、じりじりと迫るもの恐ろしい感覚。同時におとずれる得体の知れない感動……この気高いユーモア、香り立つDIY精神には、ただもう畏まるしかない。

保坂和志 - ele-king

 「たびたびあなたに話してきたことだが僕は鎌倉が好きだ」この書き出しはヴィクトル・ユーゴーの『ライン河幻想紀行』から借用した、とそれこそ保坂さんはたびたび語っておられる。先日の『朝露通信』の刊行記念のトークでもいっていた。そうやってはじまる『朝露通信』は読売新聞夕刊紙連載の新聞小説で、単行本化にあたり、連載1回分をひと見開きに、2013年11月から今年6月までの185回をおさめたこの本は、『未明の闘争』以後であらたな領域にはいった保坂和志の『未明の闘争』以後の、こういってよければ、いくらか凪いだてざわりの中編である。

 物語は冒頭のとおり鎌倉と、3歳まで暮らした山梨の情景と記憶が錯綜するというより、入れ子状になったというより、まるでパズルのピースがちりぢりになりながら、関係するその全体が動いていくたたずまいをみせる。保坂和志は同じくトークで、2枚強(800字とちょっと)の文字数のなかで、右から左へ読みすすめるうちに右に書いてあったことを忘れる書き方をこころみたといっている。それは小説の制度と形式にたいする保坂和志のデビューから一貫する違和というより恒常的な思考の再帰であり、『未明の闘争』という大仕事を終えたあとであっても、その問題意識にはいささかのゆらぎもない。いやゆらぎはなくはない、水面は凪いでいても明鏡止水の状態などではなく、三千世界を映しだす朝露は静的なようでいながらふるふるふるえ、次の瞬間には蓮の葉から流れ落ちる、そのようなゆらぎ方で『朝露通信』はせわしなく過去をゆききする。

 幼稚園に小学校、そのころ流行った遊びにテレビに音楽にマンガ、1956年生まれの作者にとっての子ども時代だから1960年代を中心とした記憶のピースが散りばめられる。奈緒子姉に英樹と清人の兄、過去作品にも登場した人物がここにもひょっこり顔を出し、『カンバセイション・ピース』の舞台となった山梨の実家を鎌倉に移った高志は休みのたびに何度もおとずれる。私は発売中の『音楽談義』の取材で今年8月21日そこをおとずれた。甲州街道は調布をすぎ相模湖をかすめるあたりからどんどん山深くなり、トンネルを抜け甲府盆地にはいり、笛吹川と釜無川の合流する富士川にかかった橋をこえたとき、『朝露通信』にあるようにたしかにのぼり勾配になっている感触を車内でも感じた。保坂さんの母方のご実家におじゃますると、『カンバセイション・ピース』で描写されたとおりの間取りがそこにほんとうにあっていたく感激した。東西に縦に長い建物で、玄関からの二間つづく部屋の縁側がL字型にとりまき、階段は吹き抜けになって東の窓から陽がさしている、そこからの写真は『音楽談義』の187ページに載っているのでぜひ手にとってみてください。

 とはいえ『朝露通信』は『カンバセイション・ピース』のように稠密な細部を読み風景をたちあげるのではなく、家から外へ、ひととひとのかかわりが育む生活のなかへ思いを遊ばせていく。そのうち、冒頭の二人称であったはずの「あなた」は作中に回収され、現在時の作者とともに東北を旅することになるだろう。すると北上川(またしても川だ)をわたる前の平坦なまっすぐな道を郵便配達のオートバイが猛スピードで走っていく。この場面(28回)はとても印象深い。そのすこし前にはこうある。「郵便配達夫というとどうしてもシュヴァルのことを書かなくてはいられない」
 ここでいうシュヴァルとは「シュヴァルの理想宮」のシュヴァルである。
 保坂和志はおりにふれシュヴァルのことを書いてきたが、私は1990年の夏、壁がなくなった後のベルリンを見たいと、ドイツ在住の叔母を頼って渡独したついでに理想宮にもいったのは叔母の夫であるドイツ人のピーター(ドイツ語では「ペーター」)に、マサト(ドイツ語では「マザトゥ」)、おまえのオヤジは郵便屋らしいなと訊かれ、私は「ヤー」といった。
 「祖父も曾祖父もポストオフィサーだった」私の答えにピーターは「?」といったふうに首を傾げながらも「だったらなおさらだ。シュヴァルの理想宮にいったらどうだ。パリで美術館をめぐりするより価値がある、なにせ郵便屋がひとりでつくったものだからな」とつづけた。
 叔母は大学だか短大だか、それとも学校とは関係なく当時奄美のひとたちにとっての東京である大阪(横浜にあたるのが尼崎)に出てきて、どういうめぐりあわせか知らないがジャズ喫茶をはじめたのはいいがある日突然店をたたみ、メールスのジャズ祭にいくといったきり日本に戻らず、向こうで所帯をかまえた、その連れ合いがピーターなのだが、彼は船の設計の仕事をしていたものの、そのときは勤め先を告発したかどでクビになりかつての雇い主と係争中の変わり者だと私の母はいっていた。私はシュヴァルなんて聞いたこともなかったが、そういったピーターの窄まった真剣な目つきはよく憶えていて、数ヶ月欧州大陸をうろついたあげく、イギリスからフランスに戻り、パリから電車とバスの本数がすくなかったのでヒッチハイクで私は理想宮にたどりついた。その偉容は思ったより小ぶりなせいでかえって異様さを増し、浜際の隆起珊瑚がなにかを象っているように見えるのに似ているものの、自然の造形よりはあたりまえだが人工的――なのに構造物が自己増殖するようないまだ途上の不安定さと、なにかが発生することが根源的にもつ構築への意思のようなものを同時に、というより一挙に感じさせた。あらゆる様式の元がある建築の「胚」みたいだった。私はそのときはバルセロナにはいかなかったので、ガウディ建築は目にしなかったのだけど、サグラダ・ファミリアを見てもきっと理想宮に含まれていると思ったにちがいない。

 といったとりとめのないことを『朝露通信』は思い起こさせる。しかしそれだけではない。

 たとえば95回はこんな一文ではじまる。
「僕はもしあと十年遅く生まれていたら小説を書いてないで音楽をやっていたと自分で確信する、僕は音感は楽譜的に悪いというか学校で習う音楽的に悪いというか、とにかくろくなもんじゃないから音楽をやっていたとしてもきっと成功しなかっただろう、でもそんなこと関係ない、「そんなこと関係ない」という生き方の証明と実践こそが僕にとっての音楽だ、」
 私はこれを読んで胸が熱くなった。これこそロックの原点だ。私はあと10年遅く生まれたなら音楽にかかわっていただろうか。その仮定は検証できないから意味はない、と看破することはしかし悪い大人のいい方でしかない。ましてやノスタルジーなどでもない。そしてこの一文は『朝露通信』のまさに10年後の世界である70年代を(おもに)語った『音楽談義』ともたぶんに響きあっている。『朝露通信』と『音楽談義』との関係は、保坂さんは前者を書いていた裏で湯浅さんと後者をしゃべっていたからだけではない。音楽から、虚構や批評、もっといえば歴史と私たちひとりひとりの記憶にいたるまで、放っておけば奥行きを失いがちなものへ、同学年のふたりが記憶をもちよることで光をあてなおす作業だったかもしれない、余白を埋めながらあたらしい余白をつくりだしたのかもしれない、というようなことをあさってのトークではお話しするかもしれませんし、あさっての方向にいくかもしれませんが、ともあれ、みなさん、12月14日は万障お繰り合わせのうえ、青山ブックセンター本店へぜひおこしください!

■『音楽談義 Music Conversations』(Pヴァイン)刊行記念
保坂和志×湯浅学 トークイベント

 それぞれ小説家と音楽評論家として活躍する同学年のふたりが、おもに70~80年代のロック、ポップス、歌謡曲までを語り明かす、紙『ele-king』の同名人気連載が『音楽談義 Music Conversations』としてついに単行本化! 音楽論にして文学論であるばかりか、時代論で人生論。他の記事とは圧倒的に流れる時間の異なるこのゆったり対談は、このスピードでしか拾えない宝物のような言葉と発見とにあふれています。今回はその番外出張版トークイヴェント! 雑誌のほうでは毎度紙幅の都合で泣く泣くカットする部分もありますが、
イヴェントとこの新刊(保坂氏ゆかりの山梨での出張対談を含め、8時間におよぶ追加対談を含めた充実の内容!)はそんな部分もばっちり収録のディレクターズカット版。
このふたりにしか出せないグルーヴを堪能してください!

■概要
日時 2014年 12月 14日 (日)
開場 14:30~
開始 15:00~
料金 1,080円(税込)
定員 110名様
会場 本店 大教室
お問合せ先 青山ブックセンター 本店
03-5485-5511 (10:00~22:00)
ウェブサイト https://www.aoyamabc.jp/event/hosaka-yuasa/

■著者紹介
保坂和志(ほさか・かずし)
1956年山梨県生まれ。90年『プレーンソング』でデビュー。93年『草の上の朝食』で野間文芸新人賞、95年『この人の閾(いき)』で芥川賞、97年『季節の記憶』で谷崎潤一郎賞、平林たい子文学賞を受賞。著書に『カンバセーション・ピース』『小説修業』(小島信夫との共著)『書きあぐねている人のための小説入門』『小説の自由』『小説の誕生』『小説、世界の奏でる音楽』『カフカ式練習帳』『考える練習』など。2013年『未明の闘争』で野間文芸賞受賞。近刊に『朝露通信』。
湯浅学(ゆあさ・まなぶ)
1957年神奈川県生まれ。著書に『音海』『音山』『人情山脈の逆襲』『嗚呼、名盤』『あなのかなたに』『音楽が降りてくる』『音楽を迎えにゆく』『アナログ・ミステリー・ツアー 世界のビートルズ1962-1966』『~1967-1970』『ボブ・ディラン ロックの精霊』(岩波新書)など。「幻の名盤解放同盟」常務。バンド「湯浅湾」リーダーとして『港』『砂潮』など。近刊に『ミュージック・マガジン』誌の連載をまとめた『てなもんやSUN RA伝 音盤でたどる土星から来たジャズ偉人の歩み』(ele-king books)がある。

■書籍情報

Amazon

『音楽談義 Music Conversations』
70年代、僕たちは何を聴いていただろう。
ボブ・ディラン、レッド・ツェッペリンから、歌謡曲、フォーク、ジャズまで! 保坂和志と湯浅学が語りつくす。
レコードへの偏愛を語り、風景が立ち上がる。
小説家、保坂和志。音楽評論家、湯浅学。同学年のふたりが語るフォーク、ロック、ジャズ。音楽メディアでも文芸誌でも絶対に読めない、自由奔放な音楽談義。
著:保坂和志・湯浅学
発売日:2014年11月28日
四六判、ソフトカバー、全256頁
定価:本体1,800円(税別)


ゴーン・ガール - ele-king

 尋ねる人間を間違っているとしか思えないのだが、ごく稀に「デートにオススメの映画ってある?」と質問されることがあり、面倒なので「映画とは基本的にひとりで観るものであって、デートに“使える”ものではありません」と答えるようにしている。すると相手は訊く人間を間違えたという顔をするのだが(だから間違ってるんだってば!)、困ったことに今年はこのクリスマス・シーズン、僕のイチオシのデート映画がある……それがデヴィッド・フィンチャーの新作『ゴーン・ガール』で、なぜならこれは一種のロマンティック・コメディになっているからだ。

 原作は女性作家ギリアン・フリンの同名小説。ミズーリ州の子どものいないある夫婦の妻が、5年めの結婚記念日の朝に失踪する。現場となった自宅には争った跡があり、そして大量に血を拭きとった反応が出てきており、さて……というところから物語は始まる。原作を読むにしても映画を観るにしても、これ以上中身について知らないほうが楽しめることは間違いないので、できるだけ前情報を入れずに劇場に足を運んでほしいと思う。犯人は誰なのか? トリックは? などと普通のミステリーの観方をしていると、ド肝抜かれること間違いなしだ。
 だから以下の文章は余計な情報に過ぎない。が、ひとつ言いたいのは、これは世間を覆うミソジニーに対するブラック・コメディになっているということである。原作もけっこう笑いながら読んだけれども、映画は相当笑いながら観た。ベン・アフレックによる呆けた顔の鈍感なハンサムくんがあまりにもピッタリ過ぎて、ロザムンド・パイク(『ワールズ・エンド』のヒロインのイギリス人女優です)演じる「手に負えない女」の見事さと相まって、2人のベスト・カップルぶりを見ているだけで愉しい。ここで描かれるような女が怖い男(たち)と、そのことにひるまない女(たち)の闘いはたぶん、今日も世界のあらゆるところで繰り広げられている。思えば、『セブン』、『ファイト・クラブ』、『ゾディアック』、『ソーシャル・ネットワーク』と、その代表作において基本的に「男どもの映画」を撮ってきたフィンチャーは、前作にあたる『ドラゴン・タトゥーの女』と本作では、かつて『エイリアン3』や『パニック・ルーム』でやろうとしていた(そしてあまりうまくいっていなかった)闘う女についての映画にあらためて取り組もうとしているのではないか。その意味では本作の脚本を原作者のフリンが手掛けていることは奏功しており、ここで「男の手に負えない女」であるエイミーは何やら新時代のヒーローのようにも見えてくる。女性から見るとどうなのだろう。

 では、やっぱり女と男はわかり合えないのだというシニカルな映画かと言えば、そんなことはないように僕は思うのだ。物語は想定外の展開を見せながらやがて、不思議な「共闘」体制へとなだれ込んでいく。それを皮肉と見なすかは意見のわかれるところだろうけど……僕には強烈にロマンティックなものに感じられる。絶対に相容れないものをお互い抱えながら、しかしそれすらのみ込んでいく夫婦という不条理。それが149分たっぷりエンターテイメントしており、フィンチャーのベストではないにしても余裕たっぷりの充実作だ。
 ちなみに、スタイリッシュなサウンドトラックはすっかりフィンチャー組となったトレント・レズナー&アッティカ・ロス。

予告編

原作
https://www.amazon.co.jp/dp/4094087923


Ariel Pink Parade! - ele-king

 アニマル・コレクティヴに見出だされたサイケデリック奇人にして、現USインディ最高峰のソングライターであるアリエル・ピンクが、ソロ名義では初となるフル・アルバム『ポン・ポン』をリリース。
 サン・ローランのキャンペーン・モデルに抜擢されるなど近年その存在感をセレブかつアーティに変化させた彼だが、本作においては憧れのキム・フォーリーとの共作を果たし、自らの揺るぎないバックボーンと彼独自の世界をあらためて示している。
 この一見しただけでは到底うかがい知ることのできない『ポン・ポン』の魅力を、ヴィジュアル、レヴュー、インタヴューの3本立て“パレード”でお伝えしよう。


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Dayzed Inn Daydreams
──アリエル・ピンクと『ポン・ポン』に寄せる9つのイメージ
デザイナー西村浩平の手掛けるブランド〈DIGAWEL(ディガウェル)〉制作のヴィジュアルを公開

Albun Review
Ariel Pink - Pom Pom
4AD / ホステス

ケヴィン・エアーズ? ピーター・アイヴァース? 言葉をすりぬけて踊る怪作ポップ・アルバムを吉田ヨウヘイと松村正人がつかまえにいく

interview
完熟サイケデリック!
──アリエル・ピンク、インタヴュー

キム・フォーリーと「ジェロー」の関係から日本人女性の結婚問題まで。人生をめぐってユーモアとアイロニーが半ばしもつれる、アリエル・ピンクの舌好調トーク

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