「Nothing」と一致するもの

Siamgda - ele-king

 ディスク・レヴューを書くということが個人的にポジティヴな行為であるようにしたい。というのも、僕はアレはクソだとか、コレはファックだとか、現実世界のすべてに文句を垂れ流しながらそれを改善する術も見い出せず怠惰に生きているわけで。だからこそ書き記すことくらいせめて生産的でありたい……だからヴァチカン・シャドウ、ファンクションとプルリエント、ウガンダン・メソッズ(Ugandan Methods)のコラボ盤それぞれがいかによくなくて、前回ほのめかしたエンドンによって昨今のオカマ系インダストリアル・ムーヴメントに引導が渡され、マジで終焉を迎えようとしているのではないか? と危惧していることなんてぜんぜん書かない。

 と、うしろ向きな書き出しをしているのも、このレコードがひさびさにガチだから。ひさびさにディグった感があるからである。踊れる系ノイズ、インダストリアル老舗レーベル、〈アントゼン(Ant-zen)〉が世に送り出すジャーマン暗黒電子ズンドコ節、シアムグダ(Siamgda。読めないので正確な発音がわかればご指摘ください)は朝5時にピークを迎え、昼まで飲んだくれるような墓場の運動会的パーティにはまさしくうってつけの一枚だ。
 ネパールを旅行中のマーク・フィッシャーによって2001年春にカトマンズ近郊のヒマラヤの山腹にて始動したというリアルにゴルいエピソードを持つ本プロジェクトは、彼がそれまで培ってきた西洋的ポスト・クラシカル、ノイズ/インダストリアルの素養がネパールでタブラと出会い、その後インディアン・ミュージックにのめり込んだ結果であるらしい。彼が油ギッシュな長髪をドレッドにして、ゴスとレイバーとクラストを足したような格好に転身したであろうくらいは想像に容易いけども。
 だがこの『トレマーズ』を世に氾濫する中古で投げ売りされるメタル・パーカッション系のレコードといっしょにしてはあまりにもったいない。ギラギラと黒光りする電子音とパーカッション、イースタン・メロディが渾然一体と化し、魑魅魍魎となってあなたをフロアで発狂させるだろう。スカルディスコあたりからカットハンズをヘヴィロテするDJには、ぜひともこれを投入して僕をブチ上げてほしい。

 でも白人も日本人もちょっとスピるとドレッドでインディアな風貌になるのはもういい加減にしてくれ。

Goth-Trad in Mexico - ele-king

チョルーラのレコード屋ディスコフレニアを訪れたGoth-Trad (Photo by Karenillo)
チョルーラのレコード屋
ディスコフレニアを訪れたGoth-Trad
(Photo by Karenillo)

 日本のDJ、プロデューサーのゴストラッドが、メキシコに来るというニュースを知ったのは、プエブラ州都プエブラの郊外の町、チョルーラのレコード屋、ディスコフレニアを経営するリカルド・グスマン(通称ニック)のフェイスブックの書き込みだった。何でも、ディスコフレニアの1周年記念と、彼が所属するプエブラのベース・ミュージック・コレクティヴ、アンダーベースのパーティで、ゴストラッドを呼ぶというのだ。
 ゴストラッドは2014年8月に初のラテンアメリカ・ツアーで、ブラジル(リオ・デ・ジャネイロ、サンパウロ)、アルゼンチン(コルドバ)、米国(デンバー)、メキシコ(カンクン、メリダ、グアナファト、メキシコシティ)をまわり、それを締めくくるのが、プエブラ州都プエブラとなったわけだ。
 私が住む首都メキシコシティの電子音楽シーンは、業界人のたまり場となるだけで盛り上がりに欠けるので、車で片道3時間かけても、ニックの仕切るプエブラのイヴェントへ行くと決めた。ニックはジャイアンのようなキャラで、突っ走り過ぎるのがタマにキズなのだが、その強引さと頼もしさでパーティを確実に成功させる。私はメキシコ在住8年目だが、記憶に残るほど楽しいイヴェントには、ニックが関わるものが多い。
 ところで、ゴストラッドとメキシコというのに違和感を覚える人もいるかもしれないが、メキシコとベースミュージックは相性がいいと思う。たとえば、メキシコでは1970年代から存在するゲットーの路上サウンドシステム=ソニデロの発展により、低音を効かせたメキシコ独自のクンビアが根強い人気を誇っている。若者の間ではルーツやダブのレゲエ・イヴェントも頻繁に行われているし、ドラムンベースやダブステップも好まれている。日本の某音響メーカーの人がメキシコで売れるスピーカーは、音質よりもとにかく低音が響くものだと言っていて、その確信を深めたものだ。

プエブラのイベント風景


 イヴェント当日の8月30日。メキシコ人の私の夫を運転手に、メキシコ人の友人たち3人と、日本人の友人1人を含める計6人が、無理矢理自家用車に乗り込んで、プエブラへ向かった。
 高速道路へ入るときに、メキシコ人たちは皆一斉に胸の前で十字を切って、道中の無事を祈る。かつてはその仕草に「大げさだな」と驚いたけど、カトリック教徒が人口の8割以上のメキシコでは一般的だ。物騒な話だが、メキシコの人びとは、いつ死んでもおかしくないと常に自覚している気がする。山間部では大雨でスリップして横転した車も見て、夫が再び十字を切った。
 プエブラに着いたのは夜11時ごろ。会場の「アコピオ・ブラボー」は、世界遺産に登録される華やかなプエブラ中心部から少し離れた住宅街に位置するが、今回のイベントが、なぜかロードレースのゴール地点となっていて、たくさんの自転車乗りたちが入り口にたむろっていたので、すぐにわかった。

 入場の際にガタイのいい警備員からボディチェックが入り、銃刀や、ドラッグ、酒を所持していないかチェックされる。だいたい、どの場所でもこのチェックは怠らないので、メキシコの夜遊びはハコに入ってしまえば意外と安全だ。
 中に入ると、そこはクラブではなく、民家の中庭のようだった。ステージは、コンクリートの土台に簡素なテーブルが置かれているだけ。照明やスモーク、音響などは完備し、頭上には雨よけの大きなシート屋根も張ってあった。ドリンクを売るスペースでは、カクテルも販売している。ちょっと村祭りっぽい雰囲気だ。
 すでにニックがDJをはじめていて、ルーツ・レゲエを中心にかけていた。音響もいい感じだ。続いてアンダーベースの代表のケインスターBが、ダブやダブステップをかける。ふたりともアナログを使っているのがいい。その後、地元のブレイクビーツのアーティスト、ルイドがライヴを披露する。彼は足下もおぼつかないほどラリっていたのだが、信じられないほど機敏に観客の反応を汲み取って、ラテン、レゲエ、ヒップホップ、ゲームミュージックを盛り込んだ演奏で楽しませてくれた。深夜1時をまわった頃には入場者数はさらに増えて、ゆうに500人は居る。

 そして、いよいよゴストラッドの登場だ。前半はダブステップでもかなりノリのいい曲をかけていた。10年ほど前にゴストラッドの演奏を日本で見たが、当時はインダストリアルな轟音を操る印象があったので、そのギャップにちょっと戸惑う。
 しかし、次第に、硬質な音が耳を刺激してきた。複雑なビートと、変化する太いベースで、みるみるうちに音像を作り上げる。この闇を求めていたんだ! と、私は心で叫んだ。数日前に行われたグアダラハラ公演の現地メディアのレポートでは、「骨や脳味噌をシャッフルする音響体験」と書かれていたほどの、ゴストラッドの奏でる強いうねりに合わせて、皆が身体を揺らしている。
 会場には、学生も、おっさんも、おばちゃんも、ヘルメットを被った自転車乗りたちも、外国人も、金持ちのボンボンやピンヒールでこけそうになってる女も、フラフープのダンサーも、火を操るヒッピーな曲芸師たちもいて、ありとあらゆる人たちがごちゃ混ぜになって踊っている。一緒に来た夫や友人たちも心から楽しんでいるようだ。ジャンルや嗜好はもはや関係なく、この空間に響く闇を共有する人たちがいた。

 会場内の写真を撮っていたら、スティーヴ青木みたいな男が、声をかけてきた。「ここの場所の名前知ってる? ここはアコピオ・ブラボー(日本語だと“歓喜の集積所”)っていって、いろんないいパーティやってるよ。へへ、実は俺ここに住んでるの。え? 取材しにきたの? 俺の家が日本のメディアに載るの? ヒャッホ〜!」......やっぱり、人の家だったのか。でも、メキシコシティのハイプなクラブより、確実に多くの人を満足させてるのだから、この民家パーティは凄い。

プエブラのイベント風景


Goth-Trad   (Photo by Miho Nagaya)
Goth-Trad
(Photo by Miho Nagaya)

 ゴストラッドの出演後には、米国のダブステップ・シーンを牽引するジョー・ナイスのDJがはじまり、フロア(というか庭)は歓喜の渦に包まれていた。ゴストラッドが、しばらくジョーのDJを楽しんでいたところを割り込んで申し訳なかったが、ラテンアメリカ・ツアーを終えての感想を語ってもらった。今回なぜツアーが決まったのだろうか?

 「ブラジルのサンパウロのオーガナイザーから最初にやりたいという声が上がって、それからアメリカのエージェントがラテンアメリカ周辺に声をかけて、10本公演が決まった。サンパウロでは、俺がやっているような、プログレッシヴなベースミュージックのシーンは小さいみたい。他の国と同様に、コマーシャル寄りなブロステップやトラップは人気がある。
ダブステップを7、8年やってきて、その集大成的なアルバム『New Epoch』を2年前に出したけど、現在は自分が昔やってたノイズやインダストリアル寄りの音を振り返っている。今日の後半でやったような、インダストリアルとエクストリームなベース・サウンドとをミックスした音は最近の傾向。このところ以前に比べて米国からの依頼が多くて、ここ3年間は、年に2回ツアーを回って来た。米国ってブロステップのイメージが強いかもしれないけど、アンダーグラウンドのお客さんは、より新しい音を求めていると感じる。実際、今アメリカには、TriangleやType、Ghostlyなど面白いレーベルもたくさんあるしね。しかし、ラテンアメリカは初めてだから、ダブステップのDJという印象を持たれているだろうし、実験的な方向性を露にするときは、大丈夫かなーと思うんだけどね。でも今日は盛り上がって嬉しかった! ブラジルでも実験的なことやると、なんだ? 面白い! って反応があったし、皆新しいものを求めている気がする」

 今回のツアーでは、メキシコでの公演が最も多く、計5都市を巡るものだった。

 「メキシコは、まずリゾート地のカンクンへ行って、オーガナイザーはダブステップに興味はあるけれど、普段野外でサイケトランスのパーティをやってる子たちで。そんな感じだったから少々不安ではあったし、全然ダメなサウンドシステムだったけど、やれることはやった。客層はサイケトランスのイベントに来ている子たちだったと思うけど、結果的に盛り上がって良かったな。
 メリダはアートギャラリーcvのクルーで、彼らは音楽に詳しくて、いわゆるベース・ミュージックだけじゃなく、日本のバンドやノイズ・シーン、GodfleshとかSunn O)))みたいなバンドの話でも盛り上がって、ダブステップ以外の新しいアプローチも受け入れられる。ただカンクン同様にシーンははじまったばかりで、サウンドシステムは不十分だったね。
 グアダラハラはメキシコで2番目の都市だから、木曜だったけど300人くらい集まった。会場は昨年できたハコで、サウンドシステムはイマイチだったけど、他の場所よりは良かった。  
 しかし、首都メキシコシティは、ハコのサウンドシステムがモニターも外の音も全くダメで、フロアは埋まってたけど、基本的に自分が楽しめなかった。音がクソだったとオーガナイザーに伝えたけどね。メキシコシティよりも、グアダラハラのほうが盛り上がったのには、音質の問題がある。いいプレイしても音がショボかったら何にもならない。
たとえば、リオ(ブラジル)は千人以上、コルドバ(アルゼンチン)は800人以上のお客さんが入ったけど、両方とも良いサウンドシステム(のクラブ)を使ってるから人が集まってると思うんだ。
 そこまでお金をかけれる事情もあるのかもしれないけど、音の設備は自分がやってるような音楽の要だから、ちゃんとしてほしい。
 今回に限ってってわけじゃないけど、イベントをオーガナイズしてくれたプロモーターに対して、こういうネガティヴなことは正直あんまり言いたくないんだよね。ただ、自分の音のためにも言わなきゃいけないし、何よりシーンの発達には一番重要なことだから、過去の自分の経験して感じたことは素直に伝えるようにしている。
 あとメキシコは、時間にとてもレイジー(苦笑)。アルゼンチン、ブラジル、デンバー(米国)はちゃんとしてた。でもメキシコは本当にユルい! メリダ、グアダラハラはしっかりしてたけど、メキシコシティはとくにひどくて、まず、約束時間から30分遅れそうって連絡がきた後に、そこから2時間近く待たされた。で、理由は『交通渋滞がすごくて』とか。それ言い訳にならないから(笑)。そういやカンクンの人たちも、メキシコ人の(あと5分)は30分の意味だから、って言ってたな(笑)。俺はそこでブチ切れたり、もうギグやらないとか言わないけど、なかには遅刻に厳しいアーティストだっているわけだしね」

 欧米や日本で活躍しているアーティストにとったら、やはりメキシコの全般的ないい加減さは、ハンパないのだろう。では、良かった面はあったのか?

 「お客さんの反応が良かった。とくにグアダラハラとメリダ 、そして今日のプエブラは本当に面白かった! しかし、この会場って、人の家らしいよね。なんか、それもよくわからないというか.....(笑)。今日のギグが良かったのは、後半の実験的な音の方で盛り上がったから。わかりやすいDJやるのは、パーティ的には無難でいいかもしれない。でも、その場所の音楽の偏差値を伺いながら、それに合わせてDJやるのは、見に来てる人たちに対して、すごく失礼だから。"GOTH-TRADがいわゆる「DUBSTEP」をプレーする"と期待されてるのは自分でもよくわかってるんだけど、やはり、自分が今一番新しくて最高だと感じるセットを、どんな場所でもやらなきゃ。今回のツアーでは、全部その姿勢でやりきった。新しい試みに対して受けがよかったり、反応がなかったりする場所もあったけど、今回10箇所ギグできて、強い手応えがあった。
 総括したら、メキシコは良かったよ。ダメだな〜嫌だな〜ってことも全部含めて、すごく楽しい経験だった。あと、実際に訪れたことで、ラテンアメリカの見方が変わったね。ラテンだから陽気っていうよりも、ラテンだからこそ暗い部分が結構あると気づいた。意外に意外にエクスペリメンタルでダークな音/アートが好きな層も多いし。ラテンアメリカがヨーロッパとは違うのは、やはり侵略された歴史があるからかもなと思う。本当にまた、ぜひ来たいね」

 今回のプエブラのイベントを仕切ったアンダーベースの代表のケインスターBと、ディスコフレニアのニックにも今日の感想をきいた。ゴストラッドの作品をリリースするUKのレーベル、〈ディープ・ミディ〉のことは好きだが、ゴストラッドのことはイベントをブッキングするまで知らなかったそうだ。プエブラは大学都市で、若者の熱気が常にある場所だ。音楽のイベントも頻繁に行われていて、レゲエやアフロビート、ベースミュージックのシーンもあり、ふたりはその中心にいる。
 「ゴストラッドが才能あるアーティストだと理解していたけど、メキシコで認知度の低いアーティストを呼ぶのは大きな課題だった。でも俺たちはよくやったと思ってる。彼は凄いよ。とてもエネルギーにあふれ、観客をカタルシスへ誘いながら、自由に実験する術も知っている」(ニック)
 「僕たちクルーは懸命に働いていたので、あまり楽しめなかったけど、ゴストラッドのセットは、素晴らしかったよ。皆を瞬発的にトランス状態へ導き、踊らせた。そのビートで魔法にかけたんだ。それが観客ひとりひとりの顔にも表れていたよ。ゴストラッドは最高の夜を作り上げていた」(ケインスターB)

 宴は続いていたが、私たちメキシコシティ組は長旅のために、プエブラを後にした。運転手である夫は、また高速道路に入る前に十字を切り、車をかっ飛ばした。メキシコシティに着いたら、台風の接近でバケツをひっくり返したような大雨が降っていた。にも関わらず、町は目を覚まし、活発に蠢いている。メキシコシティは東京と同様に町のスピードが速い(時間にかなりユルいが)。ふと、東京の空気を懐かしく感じた。友人たちを家へ送り届けた後に、私たちは自宅のあるダウンタウンへ着いた。奇しくもメキシコシティ国際マラソン大会の開催日で、無数のランナーたちが、どしゃ降りのなかスタートを切ったところだった。「朝早くから、ずぶ濡れになって無茶するよなあ」と言ったあとに、「うちらも楽しむために相当無茶したよな」と、夫と笑いあった。疲れた身体を引きずりながらも、こんな充足感に満ちた朝を迎えたのは久々だった。

Agradecimiento a: Acopio Bravo,Underbass (https://www.facebook.com/underbasspuebla)y Discofrenia(https://www.facebook.com/Discofrenia

メリダのギャラリーresonanteでのゴストラッドのDJ

RESONANT - GOTH TRAD from Resonant on Vimeo.

Basement Jaxx - ele-king

 この夏ベースメント・ジャックスのライヴを観ていていまさらながら気づいたのは、ステージ上にさまざまな人種や性別や、そして体型の人間がごった返しているということだった。そこに韓国系の女性が加わっているのは日本で観る上で胸がすく思いだったし、彼らが着ていたアフリカの部族の衣装のようなローブには大きく虹の絵が描かれていて、それが非常に自覚的な振る舞いであると思い知らされたのだ。今年のワールドカップであれだけアンチ・レイシズムがわざわざ掲げられたのはそれがのっぴきならない問題だということに他ならないが、そんななか世界的なビッグ・アクトとして長いキャリアを持つベースメント・ジャックスは自分たちの果たすべき役割をよくわかっている。

 通算で7作めだという『フント』はディスコグラフィを振り返れば平均的な内容のアルバムで、大きな驚きはないが、そのぶん安心して楽しむことのできるパーティ・アルバムだ。昨今のハウス・ブームやダフト・パンクの復活にもとくに動じることなくマイ・ペースを貫いている。“ロック・ディス・ロード”や“マーメイド・オブ・サリナス”のラテン・フレイヴァーやシングル“ユニコーン”に代表されるようなR&Bテイストなど、基本的には自分たちの得意なフィールドに持ち込んでいるトラックが中心。もっとも色気を見せたのがミッキー・ブロンコを呼んでヘンテコなドラムンベースをやっている“バッファロー”で、クィア・ラップ・シーンに与するブロンコを参加させていること自体が、ジャケットに虹が掲げられているアルバムのコンセプトの表れだろう。前作でオノヨーコを招聘し、そして本作で“パワー・トゥ・ザ・ピープル”というタイトルのトラックを実質のオープニングにするのはあまりにもリスナーに親切なやり方だが、逆に言うとそれぐらいしなければ伝わらないのかもしれないという気持ちもあったのだろう。このわかりやすい多文化主義、スペイン語で「トゥギャザー」を意味するアルバム・タイトルは、おそらくベースメント・ジャックスにとって切実なメッセージである。
 アンダーグラウンドのハウス・シーンから出てきた彼らにとって、世界的な成功の代わりに失ったものも大きかったのではないかとずっと感じていたのは僕だけはないだろう。実際、ディジー・ラスカルと手を組んだりしていた『キッシュ・キャッシュ』(2003年)あたりの彼らは音楽的にもメッセージ的にももっと怒っていて、地下との接点を証明しようと懸命だったようにも思える。が、キャリアも20年近いいま、どこか達観したようにも見えるベースメント・ジャックスがあらためて示すのはハウス・ミュージックの愛である。クロージング・トラックの“ラヴ・イズ・アット・ユア・サイド”における「愛はきみのそばにある」という言葉やアトモスフェリックなサウンドによる妙なスピリチュアリティには、だから、彼らの真剣な横顔が見える。小さなハウス・クラブで愛を掲げることがもう彼らには許されないのだったら、世界中の雑多な音楽や人びとを混ぜ合わせ、踊らせることによって実践するしかないのだと。
 『スプリング・ブレイカーズ』のなかでEDMを浴びながら馬鹿騒ぎしていた大学生たちが本当に誇張でも何でもないのだとしたら、ベースメント・ジャックスがここで繰り広げる大げさに猥雑なハウス・パーティは立派なカウンターとして機能することだろう。国内盤にボーナス・トラックとして収録されたトライバルでミニマルなハウス・トラック“バック・トゥ・ザ・ワイルド”における「裸になろう!」の叫びのバカっぽさにはしかし、貫禄と誠実さがある。

interview with Perfume Genius - ele-king

 わたしたちはあるドキュメントに立ち会っている。それは、自らを傷つけていた過度に内向的なゲイ青年が、何も持たず、内側に湧き上がる音楽だけを頼りに外界に立ち向かっていくという……。と、書けば一種典型的なストーリーのようだが、自らをパフューム・ジーニアスと名づけたマイク・ハッドレアスの足取りは非常にドラマティックなものだ。そしてそれは、現代に生きるゲイたちが置かれた状況と無関係であるとは、僕にはどうしても思えないのだ。

E王
Perfume Genius
Too Bright

Matador/ホステス

Indie Rock

Tower HMV Amazon iTunes

 まるでボロボロの自分をそのまま差し出すかのようなローファイさ自体が衝撃的だった『ラーニング』、ミュージシャンとしてのハッドレアスの覚醒を印象づけた『プット・ユア・バック・イントゥ・イット』を経て、3作めとなる『トゥー・ブライト』においてパフューム・ジーニアスは華麗にドレスアップし、そしてサウンド面において大胆に変身を遂げている。ピアノの弾き語りを基調としたトーチ・ソングめいたバラッドという骨格は変わらないが、アリ・チャントとポーティスヘッドのエイドリアン・アトリーという玄人肌のプロデューサーを迎えバンド・サウンドやシンセを大部分で導入し、よりゴージャスで、よりダークで実験的で、より挑発的な態度を晒しているのだ。ドゥーム・メタルすら連想させる不穏な3拍子のナンバー“マイ・ボディ”や、アブストラクトなシンセ・ポップ“ロングピッグ(人肉)”など、これまでのパフューム・ジーニアスにはまったくなかったものだ。“アイム・ア・マザー”のようにおそろしくヘヴィなダーク・アンビエントもあり、感情の振れ幅においても手加減していない。

 以下のインタヴューは先日の〈ホステス・クラブ・ウィークエンダー〉のライヴ後に行ったものであり、この時点でまだテクストとして歌詞は目にしていなかったが、いくつか耳に残ったフレーズについて尋ねることができた。その言葉の強さゆえである。歌詞において自己嫌悪や劣等感を隠そうとしないその痛ましいまでの姿はこれまでと変わらないが、しかしながら、その正直さゆえに彼は作品を重ねるごとに、歌をひとつ歌うたびにタフになっていったように思える。“クィーン”は自らを女王と……すなわち、この世界における異物だと宣言し、だからこそ誇り高く振る舞おうとするアルバムを象徴する一曲だ。

 ジョン・グラントでもルーファス・ウェインライトでもアントニー・ハガティでも……フランク・オーシャンでもいいが、いまゲイやトランスジェンダーのシンガーソングライターたちは異端者としての生をその表現において隠そうとしない。それは、社会が無視してきた「クィーン」たちからの逆襲のようだ。マイク・ハッドレアスはつねに自分へのセラピーとしてその歌を紡いできたと言うが、しかし同じように悩みを抱える誰かに自分の音楽が届くことも確信している。だからアルバムのラスト2曲……“トゥー・ブライト”から“オール・アロング”へと至るじつにパフューム・ジーニアスらしいスウィートでフラジャイル、そして美しいピアノ・バラッドは、その力強い眼差しに貫かれているように感じられる。

Perfume Genius/パフューム・ジーニアス
シアトル出身のシンガー・ソングライター。2010年にファースト・フル・アルバム『ラーニング』を、2012年にセカンド・フル・アルバム『プット・ユア・バック・イントゥ・イット』をリリースし、多くのメディアやアーティストから高い評価を受け、注目を集めた。3作めとなる今作にはプロデューサーの一人にポーティスヘッドのギタリスト、エイドリアン・アトリーが参加している。


敵対心とか、そういうものはないよ。ひとを傷つけたくはないしね(笑)。

(〈ホステス・クラブ・ウィークエンダー〉の会場にて)今日はお疲れのところすいません。

マイク・ハッドレアス(以下MH):だいじょうぶだよ。

今回は新作について訊きたいんですけど、その前にいくつか違う話題をさせてください。2年前にお会いしたとき、YouTubeから削除された“フッド”のヴィデオの話をしましたよね。あのヴィデオに出演していたポルノ俳優のアルパッド・ミクロスが亡くなってしまって、ゲイ・コミュニティにも衝撃が走りましたし、僕もすごくショックでした。もしあなたがつらくなければ、彼の話を聞かせてくれませんか。

MH:彼とはあのPVの撮影のときに会っただけだから、思い出を語ること自体が申し訳ないなって感じるんだけど……でも、亡くなったことはほんとに悲しかったよ。

その前に発表された“テイク・ミー・ホーム”のヴィデオも印象的でした。あなたがアメフトか何かのユニフォームを着て、ハイヒールを履いて夜の街を闊歩するという。あれはどういうところから出てきたアイデアだったんでしょうか?

MH:あれは自分のクローゼットにあったものを選んできちゃったんだけど(笑)。ちょっとシリアスさもあって、でもジョークっぽさもあって、悪っぽさもあって、そのバランスを取るようにして。アメフトのジャージっていうのはヒップホップのヴィデオなんかでもよく使われてて……リアーナなんかも着てるし、おもしろいかなって思って。

ヒップホップのヴィデオっていうのは、ああいうマッチョさに逆らいたい気持ちもありました?

MH:敵対心とか、そういうものはないよ。ひとを傷つけたくはないしね(笑)。もっと感覚的な部分での表現なんだよ。

じゃあ、ちょっと話題を変えて。フランク・オーシャンのカミングアウトとアルバムについてはどう思いましたか? というのは、あの正直さやセンチメントっていうのに、僕は少しあなたのことを連想したんですよ。

MH:フランク・オーシャンのカミングアウトは、本当に勇敢だったと思う。クリエイティヴな仕事をしていると、そうやってオープンにすることでファン・ベースを狭めてしまう可能性もあるんだよね。ただ、ゲイだからと言ってゲイの音楽だけを聴くわけじゃないし(笑)、フランク・オーシャンもR&Bやヒップホップのフィメール・アーティストの音楽も聴くけど女性じゃないよね。だからそういう意味で、100パーセント共感できなくても音楽は聴いてもらえると思うんだ。(カムアウトすることで)ファンを狭めるって意見もあるけど、僕は必ずしもそうは思わないんだ。彼にはいま音楽しかないし、それを取ってしまったら何もなくなってしまうだろうから、カミングアウトすることはすごく怖かったと思うし、周りも勧めなかっただろうけど、自分を表現するってことはとても大切なことだから、それは正しかったと思う。

もっとこだわらず、自分の好きなようにやればいいと思ったときから自分らしい音楽が書けるようになってきて……

なるほど。では新作『トゥー・ブライト』について訊かせてください。アルバムを聴きましたが、すごく驚きました。録音も違うし、演奏もアレンジも違うし、アルバム全体のトーンも違います。アルバムを作る上で最初にテーマは何か設けていたんでしょうか?

MH:音楽をはじめてこの世界に入ったときっていうのは、もう何もわかってなかったんだけど、セカンド・アルバムからはより真剣にプロ意識を持って、チャンスを生かすようにしてきたんだ。あと、2枚めまではサウンドよりも歌詞に重点を置いてたんだ。で、そこについてはだんだん自信がついてきたんで、今回はサウンドのほうに重心を置きたかった。
 アルバムのトーンや内容が変わったことに関してなんだけど、曲作り自体はいままでと変わらなかったんだよ。曲を書いて作りはじめてから少しずつ変化が出てきたんだけど。3枚めだから周りからのプレッシャーも感じたし、家族や友だちを喜ばせたいって気持ちもあって、最初少し萎縮してしまってたんだ。だけどある時点でそれが弾けて。もっとこだわらず、自分の好きなようにやればいいと思ったときから自分らしい音楽が書けるようになってきて……で、前2作のセラピー的な感じで、より暗く、ワイルドで、怒りがこもった曲が仕上がっていったんだ。

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周りからはゲイ的な歌詞を入れるべきじゃないって意見もあったんだけど、それに反抗するために逆にもっと入れてみたんだ(笑)。もっと声を出して言うぞってね。

なるほど。今日のライヴでも、“マイ・ボディ”みたいな曲はすごくダークでみんなビックリしていましたね。ああいうすごく実験的な曲っていうのは、何か影響元があったんですか?

MH:さっき言ったようにまわりの意見を気にせず自分の作りたいものを作ろう、って切り替えたときに何を大切にすべきかを考えたんだ。たとえばPJハーヴェイ。彼女は秘密にしておきたいことを表現しながらも、とても力強く自信を持って表現しているから、そういう感覚を見習って曲を書きたいと思ったんだ。だから彼女には影響を受けたね。自分の見た目で恥ずかしいと思っているところを、自信を持ってパワフルに歌うっていうことが自分にとってのセラピーになっているんだよ。

前のアルバムのときでもそういった、自分に正直であることっていう話をしましたね。そうした感覚がさらに押し進められているのかなと思います。ただ、歌詞がまだ届いていなくて見られてないので、そこについてもいまから訊いていきたいと思うんですけど。全体を通しての歌詞のテーマはありますか?

MH:そうだね、前作からは自分の生活環境はよくなって、自分で家賃も払ってるし自立してる。ドラッグやアルコールもやめたし。だけどいまでもいつも何かを心配してるし、落ち込むし、自意識過剰になったりするし、急に悲しくなったりする。状況がよくなっても気持ちは昔と変わらない、自分は周りよりも劣っていると思ってしまうときがあるんだ。だけど、それに対して闘っている、周りにも尊重されて、自分自身でも尊重できるように意識できるようにはなってきたから……それが全体のテーマなんだ。音楽的なテーマでもあり、僕自身の人生のテーマでもあるんだよ。

 僕が気取って歩くのは
 ファミリー向けじゃないんだって 
(“クィーン”)

では曲単位でいくつか訊きたいと思います。2曲めの“クィーン”は新しいアルバムの新しいサウンドを印象づけるバンド・サウンドのナンバーですね。「No family is safe」という歌詞が聞こえてきますが、これはひょっとしたら“フッド”のヴィデオがリジェクトされた件と関係あると思ったんですが、どうでしょうか。
(※ヴィデオが削除されたとき、その理由は「not family safe」であると説明された)

MH:直接関係したわけじゃないけど、いろいろなことがインスピレーションになってるんだよね。
アメリカでは家族の価値を守ること、イコール、同性結婚に反対する運動っていうところがあるんだけど、僕にはまったく理解できない。ストレートの夫婦でも離婚率はじゅうぶんに高いし……その恐怖心がどこから来ているか、どうしてゲイのひとたちをそんなに怖がるのか、理解できないんだよ。僕がそんなに害を与えることもないし、サンドイッチを食べたりして普通に暮らしてるだけなのに。周りのひとをみんなゲイにできるんだったらすぐにやっちゃうけど(笑)、そんなことできるわけないんだよ。そういう考え方に対する怒りが、その言葉に反映されているんだ。
 周りからはゲイ的な歌詞を入れるべきじゃないって意見もあったんだけど、それに反抗するために逆にもっと入れてみたんだ(笑)。もっと声を出して言うぞってね。

クール!

MH:(笑)

僕はいままで、いかにまわりに大切にされるか、まわりに尊重されるかってことを考えてきたんだけど、でも大人になるにつれてそんなことは必要ないってことに気づいたんだ。その意識を自分に向ければよかったのに。

ヴィデオがリジェクトされたとき僕もすごく怒りを感じたので、あなたのそういう姿勢は本当にカッコいいですね。“クィーン”っていうタイトルにはクィアネスに対する誇りが込められているんでしょうか?

MH:いろんな意味はあるんだけど、ちょっと自意識過剰になってるときに自分のなかにロイヤル・ファミリーが登場するんだ(笑)。周りから自分を守るために高貴に振る舞うっていう意味もあるし、ゲイを指す意味での「クィーン」でもあるし、すごくパワフルな女性を指しているときもあるし、いろんな意味が混ざってるタイトルなんだ。
 ……なんでいま、ロイヤル・ファミリーみたいに振る舞うって言っちゃたんだろう(笑)!

(笑)いやいや、意味するところはわかりますよ。

やってみるよ
このままでいるよ
首をくくられ 腸をとられ
高いところに横たえられていても
(“トゥー・ブライト”)

E王
Perfume Genius
Too Bright

Matador/ホステス

Indie Rock

Tower HMV Amazon iTunes

では、アルバム・タイトルの『トゥー・ブライト』はどうでしょう。「トゥー」が入ることで「ブライト」の印象が変わってくるんですが、このタイトル・トラックはどういうことを歌ったもので、なぜこのタイトルになったのでしょうか。

MH:ひとっていうのは物事に対して希望も見えるしダークな部分も見えるんだけど、ダークな部分もほうがより複雑なんだ。だけど、希望を見るほうがより努力が必要で、僕自身正しくないほうを選んでしまう。好きじゃないのにね。それがこの曲のテーマなんだ。

僕がとくに好きな曲が最後の“オール・アロング”という曲なんですけど、そこで「きみは僕の時間を無駄にした」と繰り返されるのが印象的です。複雑なリレーションシップを歌っているのかなと想像していたのですが、これはどういうところから出てきた曲なんでしょうか。

MH:僕はいままで、いかにまわりに大切にされるか、まわりに尊重されるかってことを考えてきたんだけど、でも大人になるにつれてそんなことは必要ないってことに気づいたんだ。その意識を自分に向ければよかったのに、っていう意味で、それだけ時間の無駄だったって歌詞なんだ。愛情を自分に向ければよかったって、聴き手にも言っているし、自分自身にも言ってるんだ。

なるほど。前回のインタヴューでもまさに、「悩んでもいいんだ」って話してくれたので、あなたにとってすごく一貫したテーマなんですね。そこに心を動かされました。

MH:そうだね、ありがとう。

Half Japanese - ele-king

 もとはといえば、ジャド・フェアとデヴィッド・フェア兄弟が74年に自宅で結成した(ピストルズよりも早く、ラモーンズと同じ年!)生粋のアメリカ人ユニットのくせに、「半分日本人」などと人を食ったようなバンド名を掲げるこのハーフ・ジャパニーズ。おふざけにもほどがありますね。筆者もそうなのだけれど、90年代初頭にインディ・ミュージック・シーンを席巻した(?)ジャンク/スカム〜ローファイ・ムーヴメントのあおりで、彼らのキテレツな音楽を知った人は多いかと思う。もしくは、カート・コバーンが自死したときに着用していたというTシャツからか? いや、もっともっと若いリスナーなら2011年にリリースされたジャドとテニスコーツの共作『エンジョイ・ユア・ライフ』でだろうか。

 そんな長い歴史をもつハーフ・ジャパニーズにまつわる人脈をたどると、新旧オルタナティヴ・シーンの何某かが見えてくる。一時期バンドに在籍し、黄金期を支えた〈シミー・ディスク〉の総帥でありプロデューサーのクレイマー、ドン・フレミング(ヴェルヴェット・モンキーズ/ボールほか)。元ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのモー・タッカー。ジョン・ゾーン、フレッド・フリスらダウンタウンのフリーミュージック一派。ソニック・ユースにヨ・ラ・テンゴ。同じ香りしかしない盟友ダニエル・ジョンストン。そして、共作もリリースしているパステルズやいまも交流が続くティーンエイジ・ファン・クラブら英国勢。さらに日本のイシマルーからテニスコーツまで、まるでレッド・クレイオラのメイヨ・トンプソンばりの吸人力でその周りに愉快な仲間があつまるあつまる。

 さて、ハーフ・ジャパニーズの新作がリリースされた。じつに13年ぶりの出来事である。気がつけばデヴィッドも正式メンバーから外れているけれど、それはここでは野暮な話。ジャド・フェアがいて僕たちがいる。もうそれだけでハーフ・ジャパニーズなんだから。しかし、本作、ジャドのヘロヘロわめいて、コロコロ転がり、ペチャクチャしゃべりたおす愛くるしい歌こそまったく変わらないものの、バックの演奏がひと味ちがう。例のごとく、崩壊すれすれのところで綱渡りをかましてなんとかギリギリセーフ! そんな危なっかしいガレージ・パンクはいつもどおりだが、ポンコツ感というよりも端正なアヴァン・ポップ感が耳についてすごくヒート・アップする。それもそのはず、今回のメンバーに名を連ねるのは、90年代初頭からハーフ・ジャパニーズとして苦楽を共にする、元デビル・メントール〜アンサンブル・レイエのジャイルス・V・レイダー(ドラム/シンセサイザー)、90年代USジャンク/スカムの最重要レーベル(いやマジで!)〈メガフォン〉の張本人ジェイソン・ウィレット(ベース)。そして、そこに加えて、元ザ・ワーク〜オフィサー!〜ザ・モームスのミック・ホッブスもギターで参加しているのだ! というわけで、ニューウェイヴ〜レコメン色が濃ゆ〜い内容となった本作は、90年代オルタナティヴがもっていたラフな感触が緊張の糸をほどいたかと思えば、次の瞬間、巧妙に、スピードに乗った複雑なアンサンブルが再び緊張の糸をむすび直したりしてテンヤワンヤ。ハラハラドキドキ。じつに大忙しなのである。

 そんな、いつになく建築的(?)な演奏とは裏腹に、まっすぐすぎるがゆえにあらぬ方向にねじ曲がるジャドのロックン・ロールへの愛情。ぐるぐるぐるぐるとぐろを巻いて、じりじりじりじりねじりはちまき状態になって、ねじれすぎてプチンとちぎれて、そのちぎれた先には何もない。答えは風の中になんてない。それはいたってシンプル。もはや、狂喜(not 狂気)と衝動だけをぶら下げたジャドの表現行為は、「ストレンジ!」という常套句を期待する僕たちのあざとい思考を余裕で飛び越えて、考えても考えてもまったくもって正解の出ない「爽快なもどかしさ」を投げかけてくれる(アートワークにあしらわれた、お馴染みのジャドによる切り絵からもほっこりとした物語とリズムを感じとれるが、その奥にあるモチーフはまったく謎だらけ……)。

 ささやかな幸福感への扉をいくつも用意して、聴くものを選ばずに手招いてくれる妖精のようなおじいちゃん。世界の片隅で、「愛」と「モンスター」を叫ぶ60歳のパンクスを想像してみよう。これはもう奇跡の野蛮である。

OGRE YOU ASSHOLE vs森は生きている - ele-king

 今年のベスト・ソングのひとつは、オウガ・ユー・アスホールの「見えないルール」でしょう。間違いない。ポップ・ソングとしてもよくできているので、最近は、会話に何かと「目ないルール」が使われています。「ばかやろう、いいか、ここには見ないルールってもんがあるんだよ!」と悪用されることもあるのです。つーか、10月2日って、もう間近じゃないすか。

 待望の新作(初回はカセットテープ付き)『ペーパークラフト』のリリースを10月なかばに控えたオウガ・ユー・アスホール、年内に待望のセカンド・アルバムのリリースを控えている森は生きている。10月2日木曜日、恵比寿リキッドルーム、夜7時から、このふたつの素晴らしいバンドのライヴがあります。来て下さいよ~。
 ライヴを見ている方は、このふたつのバンドのぶっ飛び方をよくご存じでしょう。森は生きているはピースなトリップ、最近のオウガは、ややディープなサイケデリックかもしれませんが、ふたバンドともにリズムがしっかりしていて、実はけっこう踊れます。ひとつひとつのライヴにこだわりのあるバンドですから、当日になってどうなるのかわかりませんが、最高に気持ち良い体験は約束できるでしょう

 編集部は、滅多にありえないこの組み合わせのライヴを記録すべく、当日Tシャツを販売します。気鋭のデザイナー、鈴木聖デザインの、アブストラクトで、けっこう格好いいデザインになったと思います。当日会場で現物を見てください! (値段は未定ですが、高くはしないつもりです)
 それでは10月2日、会場でお会いしましょう。


■OPEN / START 18:00 / 19:00
■ADV ¥3,500(税込・ドリンクチャージ別)
■LINE UP:OGRE YOU ASSHOLE/森は生きている
■DJ:ALTZ
■TICKET チケットぴあ [232-675] ローソンチケット [79610] e+ LIQUIDROOM 7/13 ON SALE
■INFO  LIQUIDROOM 03(5464)0800
https://www.liquidroom.net/schedule/20141002/19248/

Syro 2014 西島大介 - ele-king


西島大介
1974年東京都生まれ、広島県在住。2004年に『凹村戦争』でデビュー。代表作に『世界の終わりの魔法使い』、『ディエンビエンフー』などがある。2012年に刊行した『すべてがちょっとずつ優しい世界』で第三回広島本大賞を受賞、第17回文化庁メディア芸術祭推薦作に選出。装幀画を多く手掛け、「DJ まほうつかい」名義で音楽活動も行う。映画『世界の終わりのいずこねこ』脚本&出演など、活動は多岐に渡る。初の作品集『くらやみ村のこどもたち』を刊行。ワタリウム美術館地下オンサンデーズで「くらやみ村のこどもたち」展開催中。

Aphex Twin - ele-king

 彼の前に道は無し、とは言わないが、彼のうしろに道ができたのは事実だろう。エイフェックス・ツインとは、ポップにおける重要な分岐点である。クラフトワークやNYのガラージ・ハウスは理解できたとしても、92年のコースティック・ウィンドウの諸作や160bpmのハードコア・アシッドの「Digeridoo」、青いレーベル面にTHE APHEX TWINというスタンプが押されただけの12インチに関してはさっぱりだった、という人は少なくなかった。いや、その前にそんなものチェックもしてないか。ディスコの文脈では到底聴けたものではなかったろうし、一種の権威たちから評価されなかったものの代表格が、シカゴのアシッド・ハウス、デトロイトのUR、UKのジャングル(あるいはガバ)、そしてエイフェックス・ツインなのである。
 ことAFXに関しては、公に聴かせる音質としては掟破りなまでに歪んだTR606とTB303、それまでの宅録文化の標準クオリティからすればありえない音質……この点に関しては初期シカゴ・ハウス/デトロイト・テクノが先だが、しかしAFXのそれは、退行的な、機械をいじりながらほくそ笑んでいる、ただの子供のいずらに感じられなくもなかった。
 が、しかし、ある世代以降になると、そしてある人たちにとっては、彼の荒削りなテクノ・サウンドは悦び以外の何ものでもなかった。それは来るべき時代のはじまりを意味したのだから(で、実際にそうなった)。
 AFXが、それ以前のUKテクノ(ハウス)──ア・ガイ・コールド・ジェラルドや808ステイト、ベイビー・フォードやLFO──とは異質の存在感をはなっていたことは、デビュー当時の彼が、メディアから天才児扱いされるいっぽうで、「bedroom bores(こもり系)」、「ゲームボーイ世代」などと揶揄されていたことからもうかがい知れる。彼からは、旧来のポップスター文化がよくは思っていなかったパーソナリティー──恋人を誘って外に出かけるようなことはなく、部屋にこもってマニュアル片手に機材をいじり続けるような、ある種のオタク性──が前面に匂ってはいたが、ウケ狙いのDJをすることはなかったし、人に媚びることもなかった。リチャード・D・ジェイムスには、人が求めるようなロックのイディオムというものがなかったし、話題のロック・バンドからのリミックス依頼に関しても「そんなバンド、知らないし」と言う始末だった。

 だからこそ彼は歴史の起点に、ポップに新たな流れをもたらす起爆剤になりえたのだ。彼はメディアから賞賛され、顔が売れてからも、匿名性を捨てず、基本ひとりで作り、作品それ自体においてはアンダーグラウンドな姿勢を崩さなかった(『 ...I Care Because You Do 』以降の露悪的自己パロディも反ポップスター的な性格のねじ曲がった表出とも言えなくはない)。
 彼は、初期アシッド・ハウスやURの過剰さ、アホらしいジャングル(ときにはガバ)とコネクトしながら、最高にいかれた曲を作り、最高にロマンティックな曲を作った。こと90年代前半のエイフェックス・ツイン名義の作品には、無邪気で、彼のドリーミーな気質が録音されているわけだが、僕が『サイロ』の1曲目の“Minipops 67”を最初に聴いて思ったのは、「これって“Analogue Bubblebath”(92)じゃん」、だった。

 冒頭のドラムに続いて入る太いシンセ音とメロディは、間違いなくあの頃の「サウンド」だ。目隠しで聴かされても誰の曲かわかる。録音の良さや緻密に変化する曲のディテールには20年以上の経験が反映されてはいるものの、その出だしが暗示するように、『サイロ』には誰もが思い抱いているであろうAFXテイストが通底している。驚きはないが、親しみやすい作品である。ユーモアはあっても、聴き手を困惑させるような意地悪さもない。「あ、AFXだ」と、20年ぶりにケレンミのない、まとまりの良いアルバムになったと言えるだろう。
 1曲目が“Analogue Bubblebath”なら、2曲目の“Xmas_Evet10”は、『Surfing On Sine Waves』(92)を彷彿させる曲で、当時の言葉で言えば「リスニング系テクノ」だ。美しいメロディは、ある世代にとってレイヴのオプティミズムがいっぱい詰まったあの時代の空気を思い出させるかもしれない。今回のスリーヴ・デザインに使用されているAマークも、『Chosen Lords』(06)のときよりもはるかに、1周まわったからなのか、新鮮に感じられる。リチャード・D・ジェイムスは、「On」(94)以前の、自由気ままに作っていた頃の自分に戻っているんじゃないだろうか……そう思わせなくもないし、実際それは少しあるだろう。

 20年以上前の、機材で埋め尽くされた彼のベッドルームは、クラブのダンスフロアと田舎の牧草地帯の両方に通じていたものだが、『サイロ』にもそのふたつの側面がある。リチャード・D・ジェイムスはエレクロニカ/IDMの起点にもなった人なので、年齢を考えても、そちら側に大きく振れるということも予測されたわけだが、結果、そうはならなかった。
 ひとつ驚きがあったとすれば、『サイロ』ではファンク、ダンス・ビート/ジャングルにこだわっているということである。“4 Bit 9d Api+e+6”なる曲は、アシッディなシンセのうねりとドレクシア直系のマシン・ファンクとの結合だ。ストリングスの入り方はAFXらしいドリーミーな響きを有しているが、ドライで硬質な質感は、クラウトロッカーのメビウス&プランクの一連の作品とも似てなくはない。
 相変わらずよくわからない曲名の“Circlont6a”や“Circlont14”は、コースティック・ウィンドウ名義で試みていたような、悪戯っぽく、コミカルなトラックで、『サイロ』が楽しみながら作られた作品であることをほのめかしている。とくに高速ブレイクビートの“Circlont14”には、リチャード坊(©三田格)の子供っぽさが、あまりにも真っ直ぐ出ている。曲の細部において暴れまわる電子音は、玩具を持ってドタバタ騒ぎまくる幼児そのもので、ふたりの子供がいながらも自身もここまで子供でいられるのは、ある意味すごいとしか言いようがない(笑)。紙エレキングのインタヴューでは、「自分は成熟することを拒否していると言えるだろう」「シニカルな大人になりたくないから」と答えているリチャード・D・ジェイムスだが、『サイロ』を3回目に聴いたとき、僕はこの音楽のあまりの無心さに涙したことを告白しよう。

 実を言えば、『サイロ』を聴きながら「そーいやー、リチャード・D・ジェイムスって、デビュー当時はURのファンだったよなー」と思い出したのは、“Syro U473t8+e”のリズムがURの“Moor Horseman On Bolarus 5“”に似ているからだ。もちろんAFXにあのような勇敢な突進力はない。その代わりに何があるのかは、もう繰り返して述べる必要もないだろうけれど、たとえば、クライマックスとして配置された2曲のドラムンベース、“Papat4”と“S950tx16wasr10”には、彼の「ガール/ボーイ」哲学、いわばシャルル・クロス的ナンセンスが猛スピードで炸裂している。
 ダンスを意識していたとしても、いかんせんガキなので、セクシーに踊っているのではない(やはり、どうがんばっても、グルーヴィーには踊れないだろう)。ただただ身体を動かし、ぎゃーすかと騒いでいる、風に感じられる。試しに、まず覚えられない曲名の“S950tx16wasr10”を僕は5歳の娘に聴かせることにした。反応は予想通りで、AFXの最高作のひとつ、“Girl/Boy Song”の系譜の小刻みなブレイクビートに合わせて彼女は身体をガタガタと震わせた。サブベースが部屋に響くなかで、「ヘンな音楽ー」と感想をもらしたが、良かった、そう言われなければAFXではないのである。

 とはいえ、オリジナル・アルバムでは最後の曲になる“Aisatsana”は、クラスター&イーノ/レデリアスのソロ作品並みにロマンティックな曲だ。彼にとっては異例とも言える、とても真っ当なピアノの独奏によるアンビエントで、13年ぶりの新作を締めるには充分なほど美しい曲である。

 ひとつ種明かしをすれば、あわててスペシャル・リクエストのアルバムをレヴューしたのも、音楽的に『サイロ』と重なるところが多々感じられたからである。『Selected Ambient Works 85-92』(92)がそうだったように『サイロ』も時代と切り離される作品ではない……なんて書きながらも、ここしばらくのあいだAFXばかり聴いていたのですっかり洗脳されてしまったですよ。まずいよなぁ……。

 10月はエレキング月間! いや、正確にはフライング・ロータスを表紙に据えた『別冊ele-king プログレッシヴ・ジャズ 進化するソウル──フライング・ロータスとジャズの現在地』が発売となる9月30日がその皮切りとなります。10月15日には『ele-king』の新刊(エイフェックス・ツイン号!)が登場。そう、10月は“別冊”と“最新号”が揃う特別な月なのです。そして久々のele-king TVも企画進行中。毎度のことながらどちらの内容もウェブでは読めないのですが、お見せできないのがほんとにもったいなくてたまらない……という記事が目白押し。ぜひご購読くださいね!

 では本日は「別冊ele-king」のお知らせから!

■別冊ele-king プログレッシヴ・ジャズ
進化するソウル──フライング・ロータスとジャズの現在地


別冊ele-king
『プログレッシヴ・ジャズ』

Tower HMV Amazon

監修:松村正人
価格:本体 1,700円+税
仕様:152ページ、菊判
ISBN:978-4-907276-20-1
発売日:2014年9月30日

ele-king 別冊第一弾!
ジャズはどこまでジャズか?
ソウル~R&B、ヒップホップ、インディ・ロック、音響、即興、世界と日本、あるいは90年代とゼロ年代に2010年代……いま考えるべきジャズの命題を網羅し、ジャズを逆照射する、一冊まるごとの「ジャズ」号が登場。

●新譜を控えたフライング・ロータスの最新ロング・インタヴュー
●ディスクガイド、ブックガイド100
●FLYING LOTUS、SANABAGUN、Thundercat、Robert Glasper、菊地成孔、SUN RA、スガダイロー、Elizabeth Shepherd、Daniel Crawford、市野元彦×藤原大輔×田中徳崇、大島輝之×大谷能生、中尾勘二×牧野琢磨

 いま欧米のストリートで、ダンス・カルチャーで、エレクトロニック・ミュージックのシーンで、もっともクールなトレンドが「ジャズ」。ロンドンのレコード店に入れば大音量で「ジャズ」が鳴り、ラジオをつければジャズが流れる。DJカルチャーはジャズを堀り、インディ・リスナーはアヴァンギャルドを探求する。テクノにもダブステップにもヒップホップにもジャズが大量に注がれはじめている。
 周知のように、ロバート・グラスパーのグラミー賞受賞をきっかけに、ソウル~R&B~ヒップホップのなかでジャズが再解釈されている。が、現在の「ジャズ」には、さらにもっと自由な風が吹いている!

 プログレッシヴ・ロックのアフリカ・ヴァージョンとも呼べるジャズの新局面。シュギー・オーティスの流れを引く俗称「プログ&B」(プログレ+R&Bの略)。デトロイト新世代のカイル・ホールがうながすブロークン・ビーツ・リヴァイヴァル、サン・ラー生誕100周年で再燃するコズミック・ジャズ、デレク・ベイリー再評価のなか広がるアヴァンギャルドへの情熱、そして大友良英の上昇、シカゴ音響派の再評価、ワールド・ミュージックとしてのジャズ、吉田ヨウヘイgroupやサナバガンなど日本の新世代に見るジャズへの偏愛……。
 活況あるジャズの現状を分類しながら、新旧交えて「いま聴くべき」ディスク・カタログ100枚も収録。
 表紙&カバーストーリーは、近々待望の新作リリースが噂されるフライング・ロータス!


Marian McLaughlin - ele-king

 『dérive』と名づけられた美しい(アシッド・)フォーク・アルバム── 「dérive」とは英語で「drift」、漂流の意である。シンプルな弾き語りを基本スタイルとし、スペースのある音づくりのなされた本作には、たしかに身ひとつで漂白するような自由さを感じる。ただし、このタイトルはギー・ドゥボールの「漂流」から採られたということだから、ニュアンスとしては気ままな放浪というのとはすこしちがうようだ。おそらくは能動的に何かを見つけ、動き、展いていくためのひとつの方法、活動、もしくは実験というような意図があるのだろう。だから自由といってもただ束縛がないという状態のことではない。『dérive』には、なにかが生まれる前のような柔軟なエネルギーがたっぷりとふくまれている。そう、このジャケットの写真のように。

 ボルチモアで活動する女性ギタリスト/シンガーソングライター、マリアン・マクラフリン。クラシック・ギターを修め、現在はミュージシャンや詩人や画家などさまざまなアーティストたち集うコミュニティ・スペースで暮らし、音楽活動を行っている。アーティスト同士の共同生活を行ったり「漂流」の概念を引いていたりするからといって、ことさら政治性や運動性を帯びていたりするわけではない。ニック・ドレイクと比較されたりもしているが、どこかブリティッシュ・トラッドな雰囲気の旋律とアレンジには森と霧の匂いがあるし、それに誘い込まれるようにして幻想的な景が広がりさえもする。ときおり感じられるバロック風も、フリーフォークを通過した感性のなかで、一種独特のサイケデリアを築いている。よく聴けばテクニカルなのだろうけれど、なにか太い感覚やイメージの帯のようなものがあり、それにひきずられてぐいぐいと聴いてしまうというところが素晴らしい。
 “ホース”などバンドがバックをささえる曲でも、あくまでマクラフリンの単独の世界はくずれずに、録音のライヴ感とは裏腹に、まるで宅録のごとき趣がある。そしてそのすべてが彼女のギターによって先導される。彼女のアートの芯のようなものに火を点す楽器として、ギターはまるで生き物かなにかのようにふるまう。ギターはマクラフリンにとって、イメージをぶつけ、それを描きこむためのキャンバスのようなものだというが、ただ黙っているキャンバスではない。彼女にたいしてもきっとギターからの応答があるのだろう。そんなふうに、どこかしらにひっそりと生けるものの息吹がまつわりつくようなところも、フリーフォークと呼ばれたアーティストたちの幾人かを思い出させる。マクラフリン自身も特定のものからインスパイアされるわけではないとしながら、ジョアンナ・ニューサムやラーキン・グリムの名を挙げている。もちろん、そこには同時にニック・ドレイクやペンタングルの名も並ぶ。組み立てるのではなく弾き、歌い、イメージに流されることなくそれを操る技量を持つ──シンガーソングライターとして、ギタリストとして、そのどちらの強さも持ち合わせた本当に自由なアーティストだ。

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