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MORITZ VON OSWALD TRIO
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HONEST JONS / UK /
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RAHAAN
On & On
STILOVE4MUSIC / US /
»COMMENT GET MUSIC
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MORITZ VON OSWALD TRIO
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K' Alexi Shelby - I Can Go/Vol. 1 - detelefunk |
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V.A. - Philpot Records 50 - Philpot |
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Robag Wruhme - Proviant - Circus Company |
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DJ Duke - Techdisco EP Vol.3 - Power Music |
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Terry Hunter - Madness EP - House Music Records |
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Mike Dearborn - Back To the Future - House Music Records |
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Leron Carson - Red Lightblub Theory - Sound Signature |
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Grimpse - Runner Remix EP - Crosstownrebels |
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Delphic - Doubt - White |
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Dahlback & Krome - The Real Jazz - DK Records |
今週末はどこのクラブに行けば良いのか迷っている人たち、「新しいダンス・ミュージックで踊りたい」と思っている人たちにはこのパーティを推薦しよう。ロンドンの〈ナイト・スラッグス〉(UKガラージ経由のさらなるダンス・ミュージックへの冒険)レーベルから作品を出しているキングダムが来日する!


2011.3.4 FRI
MISHKA TOKYO 1st ANNIVERSARY PARTY with KINGDOM (Night Slugs)
at module
OPEN: 23:00
ENTRANCE FEE: 2500yen-1d(with flyer) / 3000yen-1d(door)
先着100名様にMISHKA特製ステッカーをプレゼント!!
[B2F]
Kingdom (Fools Gold / Night Slugs / from New York)
DJ KYOKO (Roc Trax)
POL x NARG (Laguna Bass / Numbers)
Eccy x BROKEN HAZE (Slye / Raid System)
FYS aka BINGO (Height)
[MC]
Mr. Tikini (Spexsavers)
[B1F]
Dj Ken-ske
Yanatake
Dj Toyo
Shinya
JE$$ROTULL
NOTE
Hosted by Greg Rivera & Mikhail Bortnik (Mishka NYC)
MISHKA TOKYOの1周年記念パーティ開催! Mikhail Bortnik とGregory Rivera、2人のデザイナーが2003年にブルックリンでスタートさせ現在、人気上昇中のストリート系ファッションブランドである"MISHKA"。ニューヨークでの人気も非常に高く、日本でもその人気と価値を確かなものとしているMISHKAの東京店がこの春で1周年を迎えます。ダブステップ以降のベースミュージックを軸に貪欲に音楽性を拡張し続けるレーベル〈Night Slugs〉 〈Fools Gold〉からのリリースが高い評価を得ているKINGDOMが、1周年を祝うべくMISHKAと同郷ブルックリンより来日! DJ KYOKO、ECCY、POL STYLEなどアンダーグラウンドな音楽を積極的にサポートするMISHKAらしい布陣でお届けします。
■KINGDOM (Night Slugs / Fools Gold)
ニューヨークはブルックリンをベースに活躍するプロデューサー/DJ。2006年のファーストミックステープのリリースで話題を集め、Diploや BBCのAnnie MacなどのDJに取り上げられる。L-Vis&Bok Bokの[NIGHT SLUGS]、A-Trakの[FOOLS GOLD]からリリースされたデビューEP「Mind Reader」は、最近のアメリカ発の作品の中でも最も注目すべき作品と言える。また、彼のトレードマークでもある、R&Bボーカルをサンプリングしたプロダクション・スタイルは、"ブルックリンとUKガラージ・サウンドの融合" とも評され、そのヘビーなベース、熟練したダンスサウンドは、"The Fader" や "XLR8R" などの雑誌、ブログ界のトレンドセッター "Pitchfork" や"Discobelle" などからも高い評価を得ている。
https://kkingdomm.com
ダブステップが、若い世代におけるテクノ・ダンス・ミュージックであることを示す1枚。これは、ザ・バグとは別人のケヴィン・マーティン(混同しないように!)によるデビュー・アルバムで、リリースは昨年の暮れだが、この3月に来日するので紹介する。
レーベルの〈セヴン〉はパリのダブステップ・レーベルで、昨年リリースしたFによる『エナジー・ディストーション』がフランスで最初のダブステップ・アルバムとして話題になった。今年に入ってからは日本人プロデューサーのENAのシングルも切っている。ヘリクシアは、Fと並ぶ〈セヴン〉レーベルの看板プロデューサーで、すでに4枚のシングルをリリースしている。田中哲司くんがSound Patrolで紹介しているように、「聴けば聴くほど深みにハマッていく。細切れのスペーシーなシンセが揺れている。リズム自体はさほど存在感はない。キックが軽く鳴り響く程度。規則的にリヴァーブをかけたパーカッションがこだまする」、「スキューバやラマダンマン、Fなどのミニマル・ダブステップとは感覚が異なる」、「シャックルトンが彼の音楽性を賞賛しているように、シンプルなのだが奥深い」という言葉がそのまま当てはまるアルバムである。本当に「聴けば聴くほど深みにハマッていく」タイプの音楽だ。
シャックルトンを薄味にした感じ......というとネガティヴに思う人がいるかもしれないけれど、そうじゃない。前向きに言うところの薄味の良さが、AFXとカジモトとリッチー・ホウティンに触発されたこのフレンチ・ダブステッパーの音楽にはある。アンビエント・テイストと言ってもいい。押しつけがましいベースやドラミングがないことを、その長所としている音楽である。そういう意味では僕は......たとえばスウェーデンのレーベル〈スヴェック〉のテクノを思い出した。そう、ヘリクシアにしてもFにしても、ある種そよ風のようなさわやかな感覚があるのだ。
そしてヘリクシアに関しては、もともとジャズ・バンドのメンバーだっただけあって(彼はドラム、ギター、ベースを演奏する)、魅惑的なメロディとハーモニーを作ることができる。そして......シャックルトンめいたパーカッションも、ダブの応用もこってりすることなく、とてもスムースで、ときにメロウで、あるいはスモーキーで、とにかく聴いていて心地よいのだ。うまくいけば3月23日にDOMMUNEに出演してくれそうなので、ぜひ注目していただきたい。
話は変わるけど、今年はUKファンキーがよーやく日本にも本格的に上陸しそうで、それも楽しみである。また、〈ナイト・スラッグス〉のような若くて勢いのあるレーベルが素晴らしいダンス・トラックを発表してくれそうだし、ワクワクするね、メタル君!
これは「好きになるべきレコード」か?文:野田 努
![]() PJ Harvey Let England Shake ユニバーサル インターナショナル |
家のレコード棚には2種類のレコード(CD)がある。ひとつは「好きなレコード」。そしてもうひとつは、「好きになるべきレコード」だ、そう、レスター・バングスやカート・コバーンが薦めるような、たとえばサン・ラ、ファウスト、キャプテン・ビーフハートのような連中のレコードである。PJハーヴェイのレコードは、その2種類に重なっている――昔、『ガーディアン』の記者は彼女のことをこのように表現していた。PJハーヴェイがUKでいまだ特別なリスペクトと愛情を集めているのは、彼女が2000年に発表した『ストーリーズ・フロム・ザ・シティ、ストーリーズ・フロム・ザ・シー』への評価からもうかがい知ることができる。UKのどのメディアからもゼロ年代を代表するアルバムに選ばれたこの作品の評価は、「彼女の作品のなかでもっとも前向き」という点に集約される。端的に言えば、PJハーヴェイが高揚すればみんなも嬉しいのだ。そして『レット・イングランド・シェイク』は、『ストーリーズ・フロム・ザ・シティ、ストーリーズ・フロム・ザ・シー』以来のずばぬけた評価を得ている「好きになるべきレコード」というわけだ。
『レット・イングランド・シェイク』は、音楽的にも魅力的な作品だ。これは寒々しいブルース・ロックやダーティなノイズ・ロックではない。英国風のフォーク・サウンドを取り入れつつ、エディ・コクランとザ・バッド・シーズに会釈しながら20世紀初頭のミュージック・ホールに戻ってくるような......ニック・ケイヴ的なアコースティックなサウンドで、実際アルバムではミック・ヘーヴェイ(ザ・バースデイ・パーティ~ザ・クライム&ザ・シティ・ソリュージョン~ザ・バッド・シーズなど)がピアノやオルガンを担当して、ベースを弾いて、ハーモニカを吹いている。そして、彼女らしいコード・ストロークがあるいっぽうで、鼓笛隊のリズムがあり、ラッパが鳴っている。苦痛に満ちた声の代わりに誰もがアプローチしやすい親しみのあるメロディがあり、美しいハーモニーがある。アルバムの主題を知らなくても充分に繰り返し聴かれるであろう、つまり「好きなレコード」になりうる作品である。
が、やはり興味深いのは今回の主題だ。『レット・イングランド・シェイク(英国を揺さぶれ)』は、主に第一次大戦のイギリスを題材にしている。そして、それまで内面ばかりを歌ってきた女性シンガーが、8枚目にして初めて外の世界を歌ったときの題材が第一次大戦というのは気になる話である(いま思えば前作『ホワイト・チョーク』はその題名通り、本作への予兆とも言える)。
ちなみにUKにおける第一次大戦とは......ヴィクトリアニズムからモダニズムへの架け橋となったイングランドにおけるターニング・ポイント、イングランドの近代国家のはじまり......で、考えてみればフランツ・フェルディナンド暗殺が第一次大戦開戦のきっかけなっているので、僕は不勉強でまだよく知らないけれど、UKにおいてその意味は大きい。帝国主義という観点において。
日本盤のライナーノーツによれば「政治をちゃんと理解していない以上、あまり話してはいけないと思う」という旨の本人の発言があるけれど、『ガーディアン』によれば彼女は、2年半かけて戦争の研究している。報告書を読み、ドキュメンタリーを見て、生存者と話したという。その努力を聞いただけでも僕は胸が打たれる。そして彼女は「歴史は繰り返すということを示したくなった」と打ち明けている。アルバムの最後から2番目の曲のみが、唯一、イラク戦争に関する曲である。
もうひとつ僕が興味を抱くのは、彼女の母国への愛についてである。セックス・ピストルズの"ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン"の背後からは愛国心がうかがえるという議論がUKではあったように、好きだからこそ否定するというニュアンスはUKの音楽からはたまに滲み出る。王室や政府は嫌いだけれどUKは好き、というわけだ。マニックスはウェールズを実直に愛し、USのロックでは星条旗がたびたび登場するが、それはもちろん国粋主義ではなく民主主義への忠誠心である。ブラジル音楽ではそれがさらに顕著だ。カエターノ・ヴェローゾのような反抗者もみんなみんなブラジル万歳だから。が、しかし、さすがにクラウトロックはドイツ最高とは言えないぞ(それを考えると『クラウトロックサンプラー』と『ジャップロックサンプラー』に対する新たな興味も湧いてくる)。
とにかく彼女はイングランド思いである。が、PJハーヴェイがアルバムで描写しているイングランドは、残酷で、絶望的で、悲しみに満ちた、気が滅入るイングランドである。「私は生き、そして死ぬ、このイングランドで」と彼女は歌う。そしてこう続ける。「残るのは悲しみ/口に残るのは苦い味」
さて、『レット・イングランド・シェイク』は「好きなレコード」であり、「好きになるべきレコード」だろうか。むしろサン・ラ、ファウスト、キャプテン・ビーフハートのほうが「好きなレコード」となっている今日において、彼女の真摯な態度は「好きになるべきレコード」というジャン分けを粉々にしているようじゃないか。
文:野田 努
[[SplitPage]]母性的な粘り強さをもった愛文:橋元優歩
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美しい声をひしゃげて歌う彼女のブルーズには、抜き差しならない彼女の心の現実がつねに痛々しく表現されていた。そんな彼女が41歳を迎えてリリースする8作目のフル・アルバム『レット・イングランド・シェイク』は、英国が歴史上経験してきた戦争を、それを強いられた側の視点から描く作品である。国内盤の帯にも引かれているように、「今回は、私の視点はとにかく外側へと向いている」......まさに新境地だ。
ポップ・ミュージックが政治的な問題を扱うということは冒険だ。マスな影響力を持つ者として、発信する内容に責任を求められる。また、単純に間違いを犯す可能性も膨らむ。作品外での賛否の議論を生みかねないリスクを含んだ表現は、彼女のキャリアの中では珍しいはずである。勇気の必要なリリースだ。
が、私にはこれはやはり彼女の物語であるように思える。いち日本人からすればちょっと驚くような愛国心が下燃えにのぞいているが、愛国とは国旗にではなく国土へ寄せる愛だ。全編を通して戦争の残酷さとパトリオティズムがリリカルに描かれている。そして「私たちの土地は戦車と行軍によって耕されてるのよ」("ザ・グロリアス・ランド")――多くの血が流れ染み込んでいった国土と歴史とをマクロに慨嘆し、「手を伸ばしているのよ/この国の汚泥のなかから/(中略)/怯むことのない、尽きることのない愛をあなたに/イングランドこそ/私がこだわるすべて」("イングランド")――まさに一大叙事詩だ。
イングランドの土は、彼女の両足につながり、親しいものたちにつながり、彼女自身を育んだ文化につながっている。異臭を放ち、酔っぱらいが殴り合う裏路地、年中じめじめとした霧深い街、安っぽく光るテムズ川の流れ("ザ・ラスト・リヴィング・ローズ")。それらひとつひとつを愛おしむ気持ちが作品全体を通して感じられる。ポーリーがシェイクしたいのはそうしたものの総体としての英国なのだろう。そして、ひいては自らの再生のように思える。
8曲目の"イン・ザ・ダーク・プレイシズ"まで、PJハーヴェイらしい無理に喉をきしませるようなヴォーカル・スタイルやブルージーなファズ・ギターはほとんど聴こえてこない。かわりに10代の少女のような透明な声に驚き、聴き入ってしまう。内面の吐露ではなく物語の叙述という形をとることで、ヴォーカルばかりでなく楽曲自体にもナラティヴな表情がついている。ここはジョン・パリッシュやミック・ハーヴェイ、そしてフラッドという優れた制作陣の力も大きい。小ホールのような奥行きを感じさせるクリアな録音、とくに"ザ・グロリアス・ランド"や"ザ・ワーズ・ザット・メイクス・マーダー"、"オン・バトルシップ・ヒル"などクリーン・トーンのギターにかかるリヴァーブがロマンチックで、戦闘へと駆り立てる不可解な力や鬨の声といったものを思わせる。
"イングランド"を聴きながら、オニの昨年のアルバムを思い出した。これは、スペーシーな残響感をともなってアコースティック・ギターが爪弾かれ、トラディショナルな楽器の音やフィドル、祝詞のような唄が幻影のように重なり、あとはただポーリーの歌うたいとしてのシンプルな力を最大限に引き出す曲だ。オニの『サンウェーヴ・ハート』も、彼女の裸足のヴォーカルに静かな迫力をみなぎらせた作品だった。詞もそうだが、日本の風土や風を思わせ、それがオニという母性や母体と渾然一体となっていく。ポーリーの場合は母というモチーフこそないが、国家という父権的な想像力ではなく、英国が朽ちようとも見守りつづけ、いつかもういちど芽吹くのを待つという母性的な粘り強さをもった愛が感じられる。イングランドという言葉が、長く引き伸ばして何度も繰り返される。
イングランドに生きて死ぬとポーリーは歌う。郷土や祖国への思慕や愛情にとくに理由など必要ないかもしれないが、アナクロニスティックにも思われるこの強い愛情には、上述のように祖国の土と自らの身体とを同一化するような視線がはさまれているのではないかと私には感じられる。それは母体であり自分だ。国を土になぞらえ、種子や果実を子孫に見立てていることにも表れている("ザ・グロリアス・ランド")。それが軍靴によって踏まれ汚されてきたことを想像し、彼女は胸を痛めている。
「揺り起こす」ということが具体的にどのような状態を指すのか明示されていないが、人びとの精神的な向上や成熟、そして「無関心」("レット・イングランド・シェイク")の克服といったことを指すのだろう。そしてそれはもちろん、彼女自身の古くからのテーマである。自分自身に接続するイングランド、そしてイングランドに接続する自分自身の再生と前進。"グロリアス・ランド"の「グロリアス」には皮肉と希望の両方のニュアンスがこめられているが、彼女が目指すのは、あの『ドライ』の頃から常に前進だ。その点では、じつに凛として胸を打つ説得力を持っている。
文:橋元優歩
またしても女性シンガーの登場。先週のリア・アイシスに続き美女二連発、この後、橋元優歩が書くことになっているジュリアナ・バーウィックで三連発......というわけだ。世間的な評価で言えば、リア=対抗馬、そしてこのアンナ・カルヴィ=本命、ジュリアナ=穴馬、といったところだろうか。いずれにせよ、アンナ・カルヴィはもっぱら2011年の本命と評されている女性シンガーである。リアとジュリアナはブルックリン、アンナはロンドン。リアは疲れた女、ジュリアナは打ち込み女、そしてアンナは......。
彼女はヴォーカリストであり、ギタリストだ。トム・ヴァーレインとライ・クーダーをブレンドしたような、魅力的なギターを弾く。スライドギターの名手で、フランメンコ・ギターも弾いている。アルバムの1曲目がギターによるインストゥルメンタルであることからも彼女のそれが飾りではないことをうかがい知ることができるが、歌手にしておくのがもったいないほど、アンナ・カルヴィはギター弾きとしても光るモノを持っている。
彼女への期待を膨らませたのは、最初に彼女がYouTubeにアップしたいくつかのカヴァー曲――デヴィッド・ボウイ"サウンド&ヴィジョン"をはじめ、レナード・コーエン"ジョーン・オブ・アーク(ジャンヌ・ダルク)"、TV・オン・ザ・レディオ"ウルフ・ライク・ミー"、エルヴィス・プレスリー"サレンダー"――だが、試しにひとつでも観ればわかるでしょう。ドイツ表現主義的な白黒の映像のなかで演奏するカルヴィは(その白々しい演出にもかかわらず......)実にキマっている。
ele-kingではスルーしてしまったけれど、アマンダ・ブラウン(LAヴァンパイアーズ)とコラボ・シングルも発表した、ゾラ・ジーザスが昨年欧米では3枚目のアルバムによって話題となっている。まだうら若きロシア系アメリカン人は目下ゴシック・リヴァイヴァルをうながす女として注目を集めている。スウェーデンのフィーヴァー・レイがこの流れのきっかけとなっているというが、ゾラ・ジーザスはなかなか妖美なルックスで、アンダーグラウンドのアイドルとしての資格充分である。そして、この手の、つまり稲妻が走る闇夜のミュージックホールのステージに立っているポップ・ヴァージョンがアンナ・カルヴィ......といったところだろうか。
エディット・ピアフのファンであるという彼女は、ピアフが歌っていた"イザベル"という曲でデビューしている。彼女の、ジム・モリソンめいた暗い情動を秘めた声とセクシャルな歌いっぷりは魅力たっぷりで、ニック・ケイヴがフロントアクトに彼女を抜擢するのもよくわかる。と同時に、ニック・ケイヴが惚れ込むのがわからないほど、彼女のデビュー・アルバムはキャッチーでもある。アルバムには"デザイアー"という、まるでブルース・スプリングスティーンめいたアップリフティングな曲まであるように、これはメインストリームのポップ・アルバムだ。"スーザン・アンド・アイ"と"ブラックアウト"という2曲が、アルバムにおける最高のポップ・ソングである。僕がもっとも好きなのは"ザ・デヴィル"という、彼女の美しいギター演奏と控えめなパーカッションで構成されている曲。なお、アルバムのプロデューサーは、PJハーヴェイとの仕事で知られるロブ・エリス。日本盤には彼女のデビュー曲である"イザベル"も収録されている。
先日、〈TempleATS〉よりデビュー・アルバム『12 Seaspnal Music』を発表したYAMAANですが、この度、その収録曲のゴールドパンダ・リミックスがフリーダウンロード解禁になりました! パンダ節とも言える叙情とつんのめり気味のチョップがYAMAANの潔癖な音楽性とみごとに合っています。
(試聴)
https://soundcloud.com/yamaan
(ダウンロード)
https://www.megaupload.com/?d=O0UUZN4U
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Yagya - Rigning - Sending Orbs |
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戸張大輔 - ドラム - Bumblebee Records |
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Gold Panda - Lucky Shiner - R&C LTD |
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Teebs - Ardour - Brainfeeder |
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Bibio - Vignetting the Compost - Mush |
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Inner Science - Elegant Confections - Plain Music |
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Mono Fontana - Cribas - Intoxicate Records |
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Pat Metheny - As Falls Wichita,So Falls Whichita Falls - ECM |
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Hikaru Utada - Heart Station - EMI Music Japan |
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Brian Eno - Ambient4:On Land - Astralwerks |
ここのところ毎日iPodの再生ボタンを押して、ダウンロードしたばかりのこの作品を聴いている。世界中でそれと同じことが同時におこなわれているかと思うと、やはりただならぬ興奮を覚える......世界でももっともビッグな場所にいる彼らレディオヘッドの新しいアルバムは、またしても唐突に届けられた。前回のように価格を自分で決めさせはしていないが、1週間も経たないうちに発売される作品の購入方法は各々の判断に委ねられた。評論家も業界人もコア・ファンも関係なく、まったく同じ条件で彼らの新作に向き合うことを余儀なくされたのだ。
レディオヘッドのこのリリースの狙いは、まず聴き手を能動的にさせるということである。ある程度プロモーションがおこなわれ、作品の情報が出回った頃に発売されるという旧来のシステムに慣れているリスナーを引きずり出し、まったくのバイアスのない状態で自分たちの音を聴かせる。するとそこにはある種の緊張が発生する。レディオヘッドはリスナーに自分たちの音楽を気軽に聴くことを許さない......というのは言い過ぎにしても、簡単に消費されることをきっぱりと拒絶している。それは消費社会の内部にいることを自覚しながら、そのことに対する違和感や抵抗を表現してきた彼らなりの実践である。
ともかく再生ボタンを押せば、レディオヘッドの新作ははじまる。オープニングの"ブルーム"は反復し続けるビートの上で、細かい音が出入りし続ける複雑な構造のナンバーだ。微細な電子音やノイズがざわめいている様はまるでフライング・ロータスのようだが、トム・ヨークの物憂げな歌とジョニー・グリーンウッドによる優雅なストリングス・アレンジがそれをレディオヘッドの楽曲にする。世界中から待望されたアルバムに相応しい、スリリングな幕開けだ。
アルバムには8曲しか収録されておらず、内容的にちょうど前半と後半に分かれている。前半を特徴づけているのは反復とダンサブルなアップ・ビートだ。2曲目、3曲目はギター・ロックの範疇ではあるものの、(トム・ヨークが好んで聴いているような)クラブ・ミュージックからの影響は確実に溶け込んでいて、とくにミニマル・テクノないしポスト・ダブステップからの反響を嗅ぎ取れる。4曲目の"フィラル"はアルバム中もっともアヴァンギャルドなトラックで、バタバタと鳴るドラムが神経質に繰り返されれつつ重たいベースラインが地を這い、トムの声が幽霊のように浮遊する。数年前なら恐らくIDMスタイルでやっていたであろう楽曲だが、それを生音のバンド・アレンジで挑んでいるところにレディオヘッドらしい変わらぬ前進への意志を感じ取れるだろう。ここまでアルバムは不穏なムードで進行する。
続く"ロータス・フラワー"は作品中もっともキャッチーなメロディを持ったナンバーで、本作のシングル的な役割を果たしている。トムのファルセット・ヴォイスの魅力がここから発揮される。"ピラミッド・ソング"を彷彿させるようななかばドリーミーな"コデックス"、そしてトムの声がループしこだまし続けるフラジャイルなラヴ・ソング"ギヴ・アップ・ザ・ゴースト"......そうだ、この曲は去年のフジ・ロックで初めて聴いた。そのときの夜の空気の冷たさを思い出す。アルバムはここでもっとも美しい瞬間を迎える。つまり後半は、レディオヘッドらしいエレガントでメランコリックなメロディが堪能できるということだ。
本作ではこれまでの彼らの音楽的な成果がしっかりと咀嚼され、また実験性と美しいメロディという彼らの魅力がもっともわかりやすく、また慣れた手つきで示されているアルバムにもかかわらず、繰り返し聴いていても不思議と掴みどころのない印象を受ける。不穏なようでいて上品で、細部はカオティックなようでありながら構造はシンプルだ。反復するビートのせいか、あるいは陶酔感のあるメロディのせいか......どこか催眠的な効果を持った作品でもある。何度聴いてもアルバムはあっという間に終わり、そして僕はまた再生ボタンを押す。
しかし思えば、レディオヘッドとはつねにそういうバンドであった。そのテーマの重さや抽象度の高いサウンドのために、作品を自分のなかに完全に取り込むにはかなりの聴きこみと時間を要するのだ。
それは彼らのディスコグラフィ中もっともポップな佇まいを持った前作『イン・レインボウズ』も例外ではなかった。はじめあのアルバムを聴いたとき、"ヌード"、"オール・アイ・ニード"、"レコナー"、"ヴィデオテープ"と、あまりに美しいナンバーが何曲も収められていたために、とてもスウィートな作品であるように僕には思えた。彼らが描いてきたような醜悪で陰鬱な世界のなかにも、「僕が必要なのはあなただけ」だと言える「あなた」が存在することについてのアルバムであると。そしてその「あなた」とは、年を重ねて父親になった彼らにとっての次世代のことだろう、と。
しかし何度も聴いているうちに、ことはそんな単純ではないように思われてきた。歌の主人公たちはむしろその「あなた」がいることで、苦悩しているような印象を受けるのだ。"オール・アイ・ニード"では誰かに愛を無防備に捧げることを躊躇い続けているし、"ヴィデオテープ"は家族に残す遺書のような内容だった。愛する者たちがいるからこそ、この世界に対する恐怖や不安が拭えない、というような......。加害者になることを余儀なくされる世界のシステムの醜さに対する苛立ちが描かれた『OKコンピューター』はむしろ、若さがなせる業だったのだとそのとき僕は理解した。次世代に素直に託すほど、この世界は美しくも素晴らしくもない。しかしそれでも、限られた時間のなかで無力さを噛み締めながら、「あなた」のことを想い続けるしかないのだと......スウィートで、とてもヘヴィなアルバムが『イン・レインボウズ』であった。
『ザ・キング・オブ・リムス』のリリックはネット上に聞き取りによるものが出回っているだけで、まだ完全にはわからない。だがラスト・トラックの、明るくも暗くもない奇妙な浮遊感のある"セパレーター"の言葉が何かのヒントになるかもしれない。「もしこれで終わりだと考えているなら、それは間違いだよ」というのは、何かしらの終わりをイメージさせた『キッドA』や『イン・レインボウズ』のエンディングとは異なるものだ。白昼夢のようなモチーフのこの曲で、トムは「起こしてくれ」と繰り返す。それは、この世界の晴れない憂鬱がこれからも続いていくことを覚悟しているのか、あるいはそれから目を覚ますことを望んでいるのか......それはまだよくわからない。しかし、「長く疲れる夢から目を覚ますようだ/ついに僕が抱えていたすべての重さから解放された」というのは、それがどんなものであろうとも現実に向き合い、悲観するのでもなく楽観するのでもなく、純粋に覚醒していたいという表明のように僕には思える。少なくとも、いまの時点では。
いずれにせよ、これから僕たちリスナーは平等な立場でじっくりとこのアルバムを聴きこみ、読み解いていくことになるだろう。それでいい。レディオヘッドの音楽は、聴き手が考え抜いたその先でこそ美しく響くのだから。 そうして彼らは、僕たちを長い夢からこの世界へと覚醒させようとしている。
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