ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Loula Yorke - speak, thou vast and venerable head / Loula Yorke - Volta | ルーラ・ヨーク
  2. interview with Martin Terefe (London Brew) 『ビッチェズ・ブリュー』50周年を祝福するセッション | シャバカ・ハッチングス、ヌバイア・ガルシアら12名による白熱の再解釈
  3. Actress - Statik | アクトレス
  4. 『ボレロ 永遠の旋律』 -
  5. Black Decelerant - Reflections Vol 2: Black Decelerant | ブラック・ディセレラント
  6. Brian Eno ──観るたびに変わるドキュメンタリー映画『ENO』のサウンドトラック収録曲のMVが公開、発掘された90年代イーノの姿
  7. Andrea Parker Et Daz Quayle - Private Dreams And Public Nightmares - Daphne Oram Reworked And Re-Interpreted By Andrea Parker Et Daz Quayle  / Laurie Spiegel - The Expanding Universe | アンドリア・パーカー、ダフニー・オーラム
  8. Cornelius 30th Anniversary Set - @東京ガーデンシアター
  9. Theo Parrish ──セオ・パリッシュがLIQUIDROOM 20周年パーティに登場
  10. Terry Riley ——テリー・ライリーの名作「In C」、誕生60年を迎え15年ぶりに演奏
  11. Mighty Ryeders ──レアグルーヴ史に名高いマイティ・ライダース、オリジナル7インチの発売を記念したTシャツが登場
  12. interview with salute ハウス・ミュージックはどんどん大きくなる | サルート、インタヴュー
  13. Cornelius ──コーネリアスがアンビエント・アルバムをリリース、活動30周年記念ライヴも
  14. Columns ♯7:雨降りだから(プリンスと)Pファンクでも勉強しよう
  15. Columns 6月のジャズ Jazz in June 2024
  16. interview with bar italia 謎めいたインディ・バンド、ついにヴェールを脱ぐ | バー・イタリア、来日特別インタヴュー
  17. Overmono ──10月に来日するオーヴァーモノ、新曲が公開
  18. High Llamas - Hey Panda | ハイラマズ
  19. KRM & KMRU - Disconnect | ケヴィン・リチャード・マーティン、ジョセフ・カマル
  20. 相互扶助論 - ピーター・クロポトキン 著小田透 訳

Home >  Reviews >  Album Reviews > Helixir- Undivided

Helixir

Helixir

Undivided

7even Recordings

Amazon iTunes

野田 努   Mar 03,2011 UP

 ダブステップが、若い世代におけるテクノ・ダンス・ミュージックであることを示す1枚。これは、ザ・バグとは別人のケヴィン・マーティン(混同しないように!)によるデビュー・アルバムで、リリースは昨年の暮れだが、この3月に来日するので紹介する。

 レーベルの〈セヴン〉はパリのダブステップ・レーベルで、昨年リリースしたFによる『エナジー・ディストーション』がフランスで最初のダブステップ・アルバムとして話題になった。今年に入ってからは日本人プロデューサーのENAのシングルも切っている。ヘリクシアは、Fと並ぶ〈セヴン〉レーベルの看板プロデューサーで、すでに4枚のシングルをリリースしている。田中哲司くんがSound Patrolで紹介しているように、「聴けば聴くほど深みにハマッていく。細切れのスペーシーなシンセが揺れている。リズム自体はさほど存在感はない。キックが軽く鳴り響く程度。規則的にリヴァーブをかけたパーカッションがこだまする」、「スキューバやラマダンマン、Fなどのミニマル・ダブステップとは感覚が異なる」、「シャックルトンが彼の音楽性を賞賛しているように、シンプルなのだが奥深い」という言葉がそのまま当てはまるアルバムである。本当に「聴けば聴くほど深みにハマッていく」タイプの音楽だ。
 シャックルトンを薄味にした感じ......というとネガティヴに思う人がいるかもしれないけれど、そうじゃない。前向きに言うところの薄味の良さが、AFXとカジモトとリッチー・ホウティンに触発されたこのフレンチ・ダブステッパーの音楽にはある。アンビエント・テイストと言ってもいい。押しつけがましいベースやドラミングがないことを、その長所としている音楽である。そういう意味では僕は......たとえばスウェーデンのレーベル〈スヴェック〉のテクノを思い出した。そう、ヘリクシアにしてもFにしても、ある種そよ風のようなさわやかな感覚があるのだ。
 そしてヘリクシアに関しては、もともとジャズ・バンドのメンバーだっただけあって(彼はドラム、ギター、ベースを演奏する)、魅惑的なメロディとハーモニーを作ることができる。そして......シャックルトンめいたパーカッションも、ダブの応用もこってりすることなく、とてもスムースで、ときにメロウで、あるいはスモーキーで、とにかく聴いていて心地よいのだ。うまくいけば3月23日にDOMMUNEに出演してくれそうなので、ぜひ注目していただきたい。

 話は変わるけど、今年はUKファンキーがよーやく日本にも本格的に上陸しそうで、それも楽しみである。また、〈ナイト・スラッグス〉のような若くて勢いのあるレーベルが素晴らしいダンス・トラックを発表してくれそうだし、ワクワクするね、メタル君!

野田 努