「S」と一致するもの

Lodsb - ele-king

 ちょうど1年ぐらい前、ジェイソン・フォレスト『ジ・エヴリシング』が『ピッチフォーク』で高く評価されていたのは少し驚いたけれど、ブレイクコアというジャンルが衰退し続けていることは明らかだろう。この5年以上、リリース量は減る一方だし、ゼロ年代のトップを切っていたヴェネティアン・スネアーズがラスト・ステップの名義でエレクトロニカのプロジェクトをはじめたことも象徴的なら、ドロップ・ザ・ライムやカードープッシャーのようにダブステップと結びつく動きも何かを物語っているといえる(その先頭にいるのはザ・バグだろう)。というより、音楽性という意味ではほとんどポテンシャルはないに等しいジャンルだったのに、よくぞここまで衝動が持続したと関心するべきなのかもしれない(ニコ動なんか、ある意味、まだ全盛だけど)。

 ディジタル・ハードコアやエイフェックス・ツイン周辺に起源を持つブレイクコアは、キッド606や前述のヴェネティアン・スネアーズを得ることで、むしろゼロ年代に隆盛を極めたといってよく、デフラグメンテイション、ファニー、ボング-ラー、シックボーイ、サウンドマーダラー+SK-1、エンドユーザー、デュラン・デュラン・デュラン、ウィスプと歩兵を増やし、日本でもZKやレッド・アラートといったレーベルを皮切りにサイケアウツ、OVe-NaXx、m1dy、CDR、DJスコッチ・エッグ、撲殺少女工房、フルイドと強力なラインナップを保ち続けたといえる。単に激しさを競い合っているだけのような海外のシーンに比べてミルキー・チューやデ・デ・マウスのように体力がない分(?)、取り入れ方にも工夫があったのは日本の方だったかもしれないし、もっとも洗練された例をコーネリアス『ファンタズマ』に聴くことができるという人も(海外には)いるくらいである。つーか、ヘルフィッシュやDJスカッドなど、ホントに海外勢はやかましくて、買ってまで聴いている自分がよくわからなくなってきたからなー(ゼロ年代も後半に入る頃には飽きてたけど)。

 そうしたなかで、ちょっとしたセンセーションだったのはフィラスタインのセカンド・アルバム『ダーティ・ボム』だった。99年にシアトルで起きた反グローバリズム運動(バトル・イン・シアトル)から頭角を現してきたフィラスタインは、その後、最新のダンス・ミュージックとワールド・ミュージックを結びつけるというディプロと同じコンセプトで世界を動き回りながら、その成果をシリアスでシャープな音楽性のなかに落とし込み、ディプロとは正反対の感情に訴えるベース・ミュージックを築き上げていった(どっちがいいという話ではない)。グライムであれ、クンビアであれ、使われるパーツのことごとくがディプロと同じだけに、この対比は非常に興味深いものだった。そして、そこに取り入れられたブレイクコアは驚いたことに知的なトーンを帯び、衝動が無限に拡散していくだけだったブレイクコアに抗議の矛先を与えたように感じられるものとなっていた(これもどっちがいいという話ではない)。

 それほど注意深く見ていたわけではないけれど、フィラスタインの後にインテリジェント・ブレイクコアとでも呼べる道ができた形跡はない。そして、あれから3年が経ち、フィラスタイン自身のサード・アルバムが完成した。姿勢は変わっていない。前作同様、ECDもディプロ風のユーモラスなダブステップでフィーチャーされ、のっけから「植民地崩壊」でガムランとブレイクコアが絡み合う(なんともドリーミングなリミックス・ヴァージョンが日本のみボーナス・トラックとして収録。これはかなりいいです)。「小競り合い」や「ニセの解釈を循環させる」で半分デタラメに打たれているようなパーカッションと管楽器のマッチングもよく、インドネシアのMCノヴァが伝統的な旋律を歌うバックでは奇態なリズムが細かく刻み続けられる。全体に迫力には欠けるというか、もしもドクター・ロキット(ハーバート)がPIL『フラワーズ・オブ・ロマンス』を丸ごとリミックスしたら、こんな感じになるかなーと。

 フィラスタインの後に道はできなかったとしたけれど、ブレイクコアにポスト・クラシカルを掛け合わせ、マウス・オン・マース式のアブストラクに落とし込んでしまった才能がどこからともなく出てきたことも付け加えておきたい。詳しいことはわからない。ファースト・アルバム『レイザー.アイズ.ラヴ』はドイツのレーベルから配信のみ。セカンド・アルバム『エアロ』は豪州のレーベルからアナログ・オンリーで、10分を超すオープニングからどう説明していいかわからず、ただ繰り返し聴き返すばかり。ジャケットがゲイトフォールド仕立てで、日本のアニメに影響されたらしきアートワーク(ディポットヴィジュアルズ)がとてもいいので、それを眺め続けること小一時間(ウソ)。本音をいうと、この音楽の前でまだしばらく言葉を失ったままでいたいのね。「音楽を言葉で語るな教」(岡田暁生『音楽の聴き方』参照)のパートタイム信者になったということで。......でも、これ(https://soundcloud.com/retort-records/lodsb-aero-preview)、ホント、どうやって説明します?(なるべく早い時期にヴィンセント・ラジオでかけます!)

Grouper / En Japan Tour 2012 - ele-king

 サイケデリック......と言う言葉を使うとき、受け手によってその解釈はさまざまだが、リズ・ハリスのそれは田園的だ。風が吹き、草原は揺れ、古い家が見える。日が暮れて、星が瞬く。まどろみの時間がいつまでも続く。
 リズ・ハリスがグルーパーの名義で昨年出した2枚、『ドリーム・ロス』と『エイリアン・オブザーバー』(どうしてもヴァイナルで欲しくて努力して買った)は僕の昨年のベスト・アルバムの1枚(というか2枚)である。まだ聴いてないが、1曲36分と1曲51分の新作も発表したばかりだ。
 彼女が来日する。今月は〈ソナー・フェス〉もあるんですけど(ラスティ、マウント・キンビー......とか、すごいメンツ)、しかし、夢見る人たちよ、敢えて言おう。これこそ「見逃すな」と!


■ Grouper / En Japan Tour 2012
  ポートランドを拠点に活動する女性アーティスト、Liz HarrisによるプロジェクトがGrouper。Tiny VipersとのMirroringやIlyas AhmedとのVisitorなどコラボレーション・ワークを活発化させるなか、ソロとして2年ぶり2度目となる来日を果たします!
 今回は、Grouperもリリースするサンフランシスコの人気レーベル〈Root Strata〉を運営するMaxwell Croy率いる美麗ドローン・ユニット、Enが同時来日。柔らかく爪弾かれるギター、幻想的なアンビエンスに溶けていく儚い歌声が人気のGrouper、日本の箏や様々な生楽器から至上のアンビエント・ミュージックを作り出すEn。Julia HolterやTeen Daze参加の新作EPを発表間近の新世代女性アーティスト、Cuusheも4公演に参加するアヴァン・フォーク/サイケデリック・ドローン最高峰のパフォーマンスをお見逃し無く!

04/21 (土) 東京@養源寺
live at Yogenji vol.3
open 12:30 / start 13:00
adv.: 3,500yen /door: 4,500yen
出演:Grouper, En, ILLUHA, 青葉市子, Yusuke Date
FOOD: 浅草橋天才算数塾
info: live at Yogenji / kualauk@gmail.com
https://www.kualauktable.com/event/yougenji3/

04/23 (月) 大阪@CONPASS
open 18:30 / start 19:00
adv./door 2,300/2,800yen(drink別)
出演:Grouper, En, Cuushe
info: CONPASS
https://conpass.jp/325.html

04/24 (火) 岡山@城下公会堂
open 19:00 / start 19:30
adv./door 2,500/3,000yen
出演:Grouper, En
info: moderado music / moderadomusic@gmail.com
https://moderado.jugem.jp/?eid=206

04/25 (水) 名古屋@parlwr
open 19:00 / start 19:30
adv/door: 2,800/ 3,300yen
出演:Grouper, En and more
info: Telefonbook
https://iscollagecollective.org/?page_id=407

04/28 (土) 京都@ヴィラ九条山
night cruising meets villa kujoyama
open 16:30 / start 17:00
door: 2,000yen
出演:Grouper, En, Cuushe, Rimacona
info: night cruising
https://www.nightcruising.jp/120428

04/29(日)金沢@アートグミ
open 18:30 / start 19:00
ticket: 2,500yen(会員・学生-500yen)
出演:Grouper, En, Cuushe, Asuna
予約メール:windowofacloudyday@gmail.com
電話:(080-4259-5823)
https://d.hatena.ne.jp/cloudyday/20120429

04/30 (月) 東京@VACANT
FOUNDLAND
open 16:00 / start 17:00
adv/door: 3,000/ 3,500yen
出演:Grouper, En, Cuushe, Sapphire Slows, Ikebana, Bun/Fumitake Tamura
DJ:真っ青
https://www.flau.jp/events/foundland10.html

参考URL
Grouper / En Japan Tour 2012
https://www.flau.jp/events/grouper_en.html

お問い合わせ
flau / info@flau.jp

Julianna Barwick - ele-king

 ディレイというと「遅れる」という語義に引かれてみえにくくなってしまうのだが、それはじっさい「先(未来)にのこす」ということでもある。音が放たれた瞬間は過去に、その反響音は未来にのこされる。ジュリアナ・バーウィックの音楽は、このディレイのパラドクスを輝かしく取り出してみせる。

 数年前にこの作品が現れたとき、筆者はその国内盤というか、輸入盤に帯とライナーを付属させたものをリリースしたいと思って会社に提案したが、そのタイミングではないと却下されてしまった。たしかにあの頃国内盤として枚数を売るのは難しかったかもしれない。だが一貫したヴィジョンのもとに活動をつづけてきたことで、彼女は着実に知名度を上げ、昨年は〈アスマティック・キティ〉から2枚目のフル・アルバムをリリース、またイクエ・モリとのコラボ作でも素晴らしい成果をのこしており、旧作が見直されてよい時期がめぐってきていた。こうしたなかで、先日ファースト・アルバム『サングイン』のCD盤が限定リイシューされ、ディスクユニオンからは帯ライナー付きの国内仕様盤もリリースされた。初となるヴァイナル盤もそろそろ国内に入ってきているようだ。筆者はやはり、この最初の作品に大きなインパクトを受けているから、ぜひとも『サングイン』がより多くの人の手に渡ることを期待したい。

 2000年代の後半は、インディ・ロック・シーンをリヴァーブやディレイが彩った。まるでそれが時代のエートスを象徴するものであるかのように、ガレージ・ロックからエレクトロニック・ミュージックにいたるまで、さまざまなフォームをリヴァーブやディレイがドリーミーに覆っていた。両者はいずれ分けがたく使用されているが、たとえばウォッシュト・アウトや(アトラス・サウンドにそれを聴くときは、とても逃避的な性格が浮かび上がる。ウォッシュト・アウトならば繭や母胎を思わせる心地よさがあるが、アトラス・サウンドともなればそのドリーム感がやがて現世を拒絶する荒野に直結してしまうようなおそろしさが忍び込んでくる。これとは対照的に、ジュリアナ・バーウィックやパンダ・ベアのリヴァーブ/ディレイはとても前向きな明るさを持っている。もちろんそれは「世界はいいところさっ」というような、粗雑な感性からみちびき出された、見当違いな肯定感とは異なる。大きくみれば、ウォッシュト・アウトらの逃避感覚を多く共有する音なのだが、逃避した先にひとつの脱出口があるというか、光がのぞいているような気持ちにさせるようなものが、彼女たちのアウトプットが持つ重要な個性だ。

 "ユニット5"のようなものもあるが、ほとんどの曲には詞らしいものはない。あってもききとることはできない。自らの声のみで巧みに編まれた和声のタペストリーを縫って、四方から波のようにその反響音が寄せあう。放たれることにではなく、のこることに彼女の音のダイナミズムは宿る。ディレイの性質にまつわるこうした転換をわれわれはあらためて意識させられるだろう。それは先の時間への意識である。小節線を感じさせない曲展開にも、時間や時代との摩擦をすり抜けて未来へと伸びていく光のような強度がある。なにより「歌姫」などという形容をはねつけるとても意志的な声と構成意識がたのもしい。声というプリミティヴな素材を全面的にもちいるがゆえに、歌い手やシンガー・ソングライターのようにとらえられがちな部分があるが、彼女はむしろそののびやかな声が響く舞台裏に待機し、ネジやスパナでもって反響板を調節するような仕事をしているというほうが近いかもしれない。板の角度を変えるとともに、きたるべき時間や時代の角度をも調節しようとしているのだ......筆者にはそんなふうに思われる。"ユニット1"から"ユニット9"までひと息に聴くといいだろう。すべてあわせて20分たらずの時間がいっきにうしろへ飛び去り、われわれは前を向く。

 後半部の曲にはブレスを加工したものだろうか、"ダンシング・ウィズ・フレンズ"のようにパーカッシヴなサンプル音が入るものもいくつかある。アルバムに動きや変化をつけるものとして、よいバランスを持っている。彼女の音楽はヘッドホンともなじみがよく、録音物として完成された作品だと思うし、ライヴを観たとしても、ひとりでそれをやっているという姿に表現としてのリアリティが宿るものであると思うのだが、ぜひいちど女声合唱団による演奏が聴いてみたい。女子高生に未来があると言いたいわけではけっしてないが、幼すぎず、かといって成熟はいまだ迎えない、無方向的な力にみちた名もなき声たちが、この音楽のもとに束になるのをみてみたいと思う。

Die Antwoord - ele-king

 ここ数年間ディ・アントウッドには腹が捩れるほど爆笑させられているのだが、不思議とこの新時代のポップ・アイコンについてはあまり日本国内の音楽メディアで語られていない。
 2009年にエンター・ザ・ニンジ、ビートボーイの鮮烈過ぎるユーチューブにあがったクリップとともにメディアに姿を表したニンジャ、ヨランディ・ヴィサー(Yo-Landi Vi$$er)、DJハイテック(DJ Hi-Tek)のレペゼン南アフリカ、自称ゼフ(Zef)、ラップ・レイヴ・クルーであるディ・アントウッドを初めて見た者は、これはCGなんじゃないかって思うほど無限のツッコミ所に腰が抜ける。僕は彼らの最初のふたつのクリップを見て悶絶し、またコラボレートしていたDJソラライズ(Solirize)ことレオン・ボッサというプロジェリアのアーティストの姿を見ながら、ディ・アントウッドの強烈なメッセージ性がギリギリのバランスを持って保たれていることに感動した。それはニンジャが10年の歳月を経て築き上げたいち部のスキもない緻密な計算に基づいたものなのだ。前身ユニットのマックス・ノーマル・TVなど、それまでポップ・アイコンとしてのラップ・ミュージックの実験性を模索して来た彼の素晴らしき最終回答がディ・アントウッドであり、ネクスト・レヴェルなのだ。

 南アフリカの訛りの英語という英語圏の人間がもっとも嫌う言葉遣いを全面にフィーチャーした爆笑リリック、ユーチューブの最高のセンスな自称DIYなクリップには(自称というのはおそらく最初のヴィデオにはディストリクト9の監督であるニール・ブロムキャンプの協力が噂される)世界中のポップ・ミュージックのアイコンのパロディを詰め込んだキャラクター、そして何より南アフリカの土着性と事実をユーモアを持ってアピールしている。
 先日「アルジャジーラ」で見たドキュメンタリーで、南アフリカにあるアルビノたちのコミュニティが恐れる、いまだに息づく土着のウィッカンにフォーカスしたものがあった。それは若いアルビノの体は幸運を運ぶ魔術のマテリアルになりうるとして、アルビノの死体が金銭対象となりしばしば襲われるケースを追ったものだった。
 そう言えば、ディ・アントウッドのイーヴル・ボーイのリリックで南アフリカでの伝説の淫獣トコロシを唄ったものがあり、彼らが地元でその魔術について取材したViceの番組があったっけ(そもそもあのクリップの衝撃はさらなる高みへ押し上げたであろう程の完成度だった)。まったくもって信じがたい話だが、この地球上で文化人類学的にこれほど良くも悪くもロマンチックな土地がまだ存在するんだろうか? この衝撃は、彼らを題材にしたショート・ムーヴィーがハーモニー・コリンに監督されたりと、音楽以外の文脈でのほうが広がりがあるようだ。オッド・フューチャーといい近年のユーチューブ・カルチャーにおいて最高のユーモアで切れ味のいいジョークを披露してくれる次世代を日本でももっと期待したい。片桐えりりかの素股ギターはアングラ・ミュージックの各方面からも話題だったが、僕はあれではモノ足りないのだ(僕はSUNN O)))のスティーヴンのブログで逆輸入的に知った)。

 〈インタースコープ〉との決別を経て、自身の合い言葉である〈Zef〉(南アフリカのスラングで呪いの言葉である)レコーズを立ち上げ、取り巻く巨額の金を管理し、新たにドロップした今作、よりダークに病んだヴィデオ・クリップ、よりスカスカのチャラーいトラックに乗るニンジャとヨランディ、そして(毎回異なるコラボレーターである)覆面DJハイテックの壮絶なスキルとリリック......、それは笑わせられながらもこちらの暴力衝動を掻き立てる魔力を秘めている。

Food Pyramid - ele-king

 ポール・ウェラーの新作がまさかのクラウトロックで、関心していいのか呆れていいのか。しかも"クリン・クラン"という曲名があったので、思わず確かめてしまったけれど、やっぱりクラフトワークのカヴァー......ではありませんでしたw(クラウトロックという呼称を蔑称だと思っている人と、むしろある種の尊称だと思っている人の両極端が日本にもイギリスにもいるようですが、それはファウスト『4』にまつわるエピソードを知っているか知らないかの違いに由来するようです。詳しくはマウス・オン・マース『パラストロフィックス』のライナーに書いたつもりなので、興味のある方は国内盤を手にとって揺すったり振ったり......しても何も起こりません)。

 そして、クラウトロック・リヴァイヴァルの先頭を突っ走るエメラルズにピタっとつけているのがミネアポリスの3人組で、昨年、これまでリリースしてきた3本のカセットから日本のワンダーユーがCD化した編集盤『プラトーズ』から10ヵ月、ついに正式なファースト・アルバムが! これがまあポール・ウェラーと同じで......ということはないんだけど、いきなりオープニングのタイトル曲からクラフトワークかと思うような(正確にはそのマネをしていたヴォルフガング・ライヒマンみたいな)空飛ぶエレクトロ仕様で、杉田元一が聴いたら昇天したまま戻ってこないのでは......と思わせた"E・ハーモニー"のようなギター・ユーフォリアの面影がなく、少し焦り気味。次もまた、ひたすら天を駆け巡るようなシンセサイザーがひらひらと鳴り続け、完全に軌道修正したのかと思い始めたところでギター・サウンドが戻ってくる......ものの、結論からいうと"E・ハーモニー"を超える曲はなく、全体的にはやはり路線を少し変えた部分に聴きどころは多い。シカゴ・アシッドまでやってるし。

 クラウトロックの特徴というのはブルーズに由来するロック・ミュージックよりも、どこか人間不在の自然崇拝めいた感覚があることで、アメリカのアンダーグラウンドからそういうものが出てくるということは、西欧的なヒューマニズムの基礎といえるキリスト教的な価値観が揺らいでいる証拠だとも考えられる(ドイツというのはローマに征服された際、キリスト教に改宗したフリをしただけで、実際には自然崇拝が残った国だといわれている。ヒトラーのつくったアウトバーンにも仕事が終わったら一刻も早く自然のなかに戻れるという意味合いがあった)。"コズモ・キャニオン"のような曲を聴いていると、複雑な人間関係のなかから生まれてくる様々な感情をすべて放棄して、ただ自然の中に吸い込まれていくことをよしとするような美学が横溢している。そして、エンディングに向かって、こうしたムードはとにかく増大していく。なんの迷いもない。あまりに屈託がなく、それこそスケール感だけをいえばエメラルズなど足元にも及ばない。スピリチュアライズドにやって欲しかったのは、むしろ、こういうことだったのではないだろうか......なんて。いや、しかし、徹底している。

 それでは、マーク・マッガイアーの来日まで1ヶ月を切ったところで、クラウトロック・リヴァイヴァルについて少しおさらいをしておきましょう。90年代にもステレオラブやライカなどクラウトロックを前面に押し出して、人気のあったバンドはいたし、ヴァス・ディフェレンス・オーガニゼイションやエコーボーイのようにぜんぜん人気の出ないバンドもいた。また、プライマル・スクリーム『ヴァニシング・ポイント』やオズリック・テンタクルズ『キュリアス・コーン』(共になぜか97)のように部分的に取り入れていた人はもっといたし、そもそもドイツでロックをやっていれば、そのままでクラウトロックだったとも(これについても詳しくはマウス・オン・マーズのライナー参照)。

 現在のリヴァイヴァルといえる流れはどこからはじまったのか。ひとつには、04年にやたらとジャーマン・ロックの古典がどかどかと再発されたことが挙げられる。これに触発されたのか、タッセル(現アープ)やグレイヴンハースト、あるいはカリブーやスパンク・ロックのミックスCD『ヴワラ!』にも影響は認められる。しかし、再発ブームが起きる直前にもそれなりに動きはあって、細かく拾えばDAFに移る前のピクセルタン「ビーツ・プリペアード・フォー・トーチャー」やスフィアン・スティーヴンス『エンジョイ・ユア・ラビット』が01年、自分でもかなり驚いたので、よく覚えているのがデス・イン・ヴェガスが『スコーピオ・ライジング』(02)で思いっきり方向転換したものがクラウトロック直球だったことと、02年から03年にかけてフジヤ&ミヤギやエンペラー・マシーンといったディスコ・ダブからの参入が続いたこと。この辺りが震源地だったことは間違いがない。アメリカのロック・バンドでは前述のタッセル『クリン・クラン』(04)やクラウドランド・キャニオン『レクイエム・デル・ネイチャー』(06)って、どっちもタイトルがそのままだし、同じくアメリカのダンス・カルチャーからはジョー・クラウゼルがマニエル・ゲッチングのリ-エディット集(アンビエント本P72)をリリースしたことはかなり驚きだったし、同じようにクラウトロックのリ-エディットを手掛けていたハッチャバック『カラーズ・オブ・ザ・サン』(08)には"エヴリンシング・イズ・ノイ"というオリジナル(?)も(イジャット・ボーイズのミックスCD『デス・ビフォア・ディステンパー3』もかなりクラウトロック攻め)。以後はもう、リンドシュトローム&プリン・トーマス、ドム・トーマス、ブルース・コントロール、コズモナウト、ディムライト、タイム&スペース・マシーン(リチャード・ノリス)、ファクトリー・フロアーイヴィル・マッドネス、プラネットY、マスター・ミュージシャン・オブ・ブッカケ......ときて、昨年末にリリースされたポーティスヘッドのシングル「チェイス・ザ・ティアー」でさえ、そんなようなものだったからなー。そう考えるとポール・ウェラーもクラウトロッキンしちゃうかもなー。いやいや。

■オブ・モントリオール @ウエブスター・ホール(3/30 & 3/3)

 オブ・モントリオールが3月末、2日連続でニューヨークの1000人規模の会場、〈ウエブスター・ホール〉に登場した。2日ともオープニングを変え(30日:ハード・ニップス、コンピュータ・マジック、31日:キシ・バシ、ロンリー・ディア)、セット・リストも少し変えた。両日行っても十分に価値のある演出だった。初日観て、翌日も行ってしまった人も少なくなかった。
 メンバーは、前回のツアーから比べてぐっと削ぎ落され、8人だった。演奏もタイトになっていた。新しいメンバーのサックスプレイヤー、パーカッション、ドラマー、バイオリンが、オブ・モントリオールの音をさらにフレッシュに、そしてセクシーに活気づけていた。
 フロントマンのケヴィンは、1日目はグレイのスーツに、下は赤のフリルシャツ、2日目は白のラインが入ったスカイ・ブルーのジャケット、下も青のシャツと鮮やかな色。目にはブルーのラメ・アイシャドーとファッションも抑えめながらいつも通りだ。他のメンバーも 多色使いのエスニック・パターンのポンチョ(BP:ギター)、白のAラインのワンピース(ドッティー:キーボード)、全身シルバーのラメのトップ(ザック:サックス)はなど、他のメンバーの個性的なファッションも全体のバランスを保っていた。
 ショーは、ニュー・アルバム『Paralytic Stalks』からの曲がほとんどで、1曲目はケヴィンがキーボードを弾きながらはじめた。今回のツアーでは、ケヴィンは、キーボード、ギター、ヴォーカル、そしてパーカッションなどさまざまな楽器も手がけていた。曲前半に白の風船を観客に向けて飛ばし、それがセット中いろんな所でふわふわしている演出で、スクリーンをそれぞれのメンバーの前において、サイケデリックなヴィジュアルと曲をシンクさせたり、いつものボディースーツのメンバーが所々に登場し、そして曲を盛り上げ、ケヴィンに絡んだり、奇天烈なパフォーマンスをぶちまけた。

 このアルバム『Paralytic Stalks』で、ケヴィンは自分の人生について突き詰めている。基本的に彼のアルバムはパーソナルなものだが、今回もさまざまな苦しみや、葛藤、精神的な危機、さらに「人間とは」というユニヴァーサルな域にも達している。楽器的にも、ペダス・スティール・ギター、ホンキー・トンク・ピアノ、チェロ、ホーン楽器など、いままでとは違う要素を取り入れ、いままでに使ったことのない手法で新しい曲を創造している。ケヴィンの表現がオーディエンスを引きつけて離さないのは、こうした深さがあるからだ。

 2時間ほどのパフォーマンスはいままで見たオブ・モントリオールのなかでも力強く、完成度も高かった 。ステージ全体をカレイドスコープのように使ったマジカルな音楽オーケストラはとてもリズミカルだった。私は1日目はいちばん前、2日目は2階席から見た。全体が見渡せる2階席からは、リズムをキープするバンドの姿、そして彼らが本当に楽しんで演奏している一面も見れた。スクリーンにはバックとフロントでは違う映像が映し出され、シンク感覚も興味深かった。スピリチャライズドをもう少しカラフルにした感じとでも言おうか、オブ・モントリオールをフジロックで見たら、曲といい、演出といい、場所とも自然とも、シンクロするのだろう。アンコールはアルバム『Skeletal Lamping』(2008)、『Hissing Fauna, Are You The Destroyer?』(2007)などからの往年のヒット曲を集めた物だった。バランスの取れた選曲の良さもショーをより価値のある物にしていた。

 観客は圧倒的に若者が多い。バンドをなかばアイドル化している感もある。ケヴィンやBPが少しでもステージ際に近づくと、みんな手を伸ばし、彼らに触れようとする。BPがアンコールで観客にダイヴしたときには、大騒ぎになり、後ろのほうまで流されていってしまった。

 ショーの後、ケヴィンといろいろ話した。彼は私と会うたびに、〈コンタクト・レコーズ〉がオーガナイズした最初の日本ツアーがどれだけ楽しかったのかを話する。日本の観客が熱く受け入れてくれたことに感動し、彼ら自身が心から楽しめたと語る。「あのときは日本のオーディエンス本当に僕らを好きだということがわかったんだ」と彼は言った。そのショーの最後の曲を演奏し終えると、ケヴィンは感極まってダイヴした後、そのままダンス・パーティに流れ込み、朝までみんなで踊った。「こんなことはほとんどない」と、彼は言う。商業的に成功したわけではなかった。贅沢なホテルに泊まれたり、ギアなども誰かが用意してくれるようなツアーでもなかった。それでもバンドにとって、最初の日本ツアーは最高の出来事だった。実はその後も彼は、何度か日本に戻っている。が、しかし、そのときはもう「日本の人はそこまで僕らのことを好きじゃないのかもね」と言っていた。


■ワイルド・フラッグ@ウエブスター・ホール(4/1)

 ......というわけで、私は3日続けてこの〈ウエブスター・ホール〉に来ている。今日はワイルド・フラッグのライヴだ。スリーター・キニーのキャリー、ジャネット、ヘリウムのメアリー、マインダーズのレベッカというガールズ・スーパー・バンドである。昨年10月のCMJで見て以来、私のなかでナンバーワン・ライヴに位置づけられている彼女たちのパフォーマンスを再び見に行った。チケットはもちろんソールドアウト。

 観客は、スリーター・キニーのファンだったに違いないある程度の年齢層(?)から最近の若者まで幅広かったが、昨日のオブ・モントリオールに比べると女の子が多かった。物販にはCD、レコード、Tシャツ、メンバーの顔Tシャツがあった。それらはショーの前から景気良く売れていた。
 オープニングはレーベル・メイト(マージ・レコーズ)であるホスピタリティ。彼女たちもCMJ(このときもワイルド・フラッグの前座)で見ているが、全体の印象的はまあ、......あどけないよちよち歩きの赤ちゃん。演奏はしっかりしているが、良くも悪くも若い。ナダ・サーフ(今週末4/6,7と2連夜でNYに戻ってくる!)のオープニングだったパロマーやラ・ラ・ライオットに音的にも姿的にも被るところがあった。

 さて、ステージにスモークが降り、ワイルド・フラッグが登場。メアリーは赤と黒の太めボーダー・シャツに黒のタイトパンツ、キャリーは黒のシャツ黒タイト・ジーンズ、ジャネットは幾何学模様のワンピース(自分用の扇風機持参)、レベッカはベージュのトップに黒のミニスカート......とメンバーの個性もばっちり。
 後ろからスポットライト、さらに電飾の色がめくるめく変わっていきステージに色を添える。オープニングはメアリーのヴォーカル曲でスタート。その後はキャリーと交互にヴォーカルをチェンジする。バンドのなかにヴォーカリストがふたり(メアリー、キャリー)、ギタリストがふたり(メアリー、キャリー)、ベースがなくて、キーボード(レベッカ)とドラム(ジャネット)。ふたつバンドができそうだ。

 今回はCMJで見たときとくらべ、がつんと来ることはなかった。別に演奏が悪かったわけではない。1回観ているため何となく読めてしまったのか、彼女たちが演奏を重ねて新鮮さが抜けてしまったのか......はわからない。観客を引きつけるパワー、ただならぬオーラーは相変わらずだが。
 私は写真を撮るために2階席にあがり、「1分だけ写真を撮らせてください」といちばん前にいた女性に頼み込んで写真を撮っていたら、本当に1分で「タイムアウト!」と後ろに返されてしまった。1分も見逃したくないほど好きなのだ。申し訳ない気分になった。
 ステージのいちばん前には男の子もかなり居て、一緒に歌など口ずさんでいる。メアリーとキャリーのギターの絡み、キャリーがバスドラの上に載って、ギターをかきならし続けるパフォーマンス(しかもハイヒールで!)などはワイルドフラッグの姿勢を表している。これこそ女の子がお手本にしたい、男に媚びないバンドの姿である。ラスト・ソングはシングル曲"ロマンス"で、シンガロングが会場に響き渡る。アンコールは、ビーチボーイズの"ドゥ・ユー・ウォナ・ダンス?"などのカヴァー・ソングを披露。

 今回ワイルド・フラッグを見に行った理由のひとつに、野田編集長から日本ではワイルド・フラッグはアメリカのように知られていないし、そこまで盛り上がっていないと聞いことがある。今回のオーディエンスはインディ・キッズからもっとゆるい音楽ファンまでいろいろだが、ショーに行くという行為はアメリカではお茶を飲みに行くのと同じぐらい日常的な行為だ。ライヴがはじまってもひたすら友だちとぺちゃくちゃお喋りして、飲み続けている人たちも少なくない(日本ではライヴ中に喋っていると怒る人がいるらしい!)。そもそもライヴとは、ビールを飲みにいったらバンドもやっていた、じゃあついでに見ていこうか、なんてのりだ。まあ、〈ウエブスター・ホール〉という場所がファンシーで、アンダーグラウンドではないのだけれど、ワイルド・フラッグはインディのなかでもより一般の人にも受け入れられている。音楽に使えるお金をそこそこ持っていて、前売りチケットを1週間前からオンラインで買う層である(byトッドP)。
 日本ではライヴを見に行くとなると、何かあまりにも特別な行為なのかもしれない。自分が楽しみたいというより、もっと緊張感のあるものなのだろうか。アメリカでライヴを観ることは、もっとリラックスしているし、テキトーだ。この考えの違いが日本でまだまだインディが受け入れられない理由なんだろうと思いつつ、ワイルド・フラッグの熱狂的なライヴを観ていた。日本とアメリカの温度差の違いもあるだろうし、言葉がわからないというハンデもある。しかし、ホントはシンプルに楽しめばいいだけのことなんだけど。

interview with Tanlines - ele-king

少しのあいだ迷子になって
別の方向を見た
何が問題かって
ひとりぼっちだってこと
"リアル・ライフ"


Tanlines
Mixed Emotions

True Panther/ホステス

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 ブルックリンのタンラインズ(ジェシー・コーエンとエリック・エムのデュオ)は、ニュー・オーダー/デペッシュ・モード......そして、そう、おまちどおさま、ヘアカット100・リヴァイヴァルを代表する。つまり、クラブ・ミュージックの影響を......全面的に思い切り受けているインディ・ロック・デュオである。と同時に、アニマル・コレクティヴの『メリーウェザー・ポスト・パビリオン』(2009)が火付け役となったトロピカルなるコンセプト――南国パーカッションとエレクトロニカとの融合によるこの2~3年のインディ・シーンに起きたバレアリック現象――と共鳴しながら、他方で彼らはトーク・ノーマル、ホリー・ファック、!!!などといったちょっとパンクな連中のプロデュースを手がけている。
 タンラインズをもっとも特徴づけるのは、強いポップ志向だ。ベッドルーム系にありがちな自己撞着はない。シザー・シスターズ(個人的にはそれほど嫌いではないブルックリンのグラム系4人組)のような陰謀性はなく、ダフト・パンクのようなシニカルな態度もない。もちろん急進性も実験性もない。ある種の実用的なダンス・ポップだ。
 ルーティンから逃れることが音楽のできる最良のことだとしたら、タンラインズの『ミックスド・エモーションズ』は優秀な1枚と言えるかもしれない。そのご機嫌なノリに反するかのような陰影のある言葉は彼らの音楽がファスト・フードのように浪費されることを阻んでもいるが、思うにこれはポップ・ソング復権運動の一種で、ラジオから"ブラザーズ"(アルバムの1曲目)が流れて、3回目にはそのメロディを覚え、そして10回目に聴いたときに好きになれたら、タン ラインズの勝ちだ。早い話、ヴァンパイア・ウィークエンドやMGMTのあらたな競争相手の登場である。たとえば......海辺のクラブのカフェで黄昏どきに流れ ているトンプソン・ツインズを想像したまえ、それはひょっとしたらタンラインズなのだ!

悲しいけど、同時にそれをジョークにできてしまうようなもののことさ。ちょっと大人な感情だ。すべての物は同時にいろいろな意味を持っているっていうことを認識できる。それが僕らの美学になっている。そして、それを表す言葉が欲しかった。

生まれはどこちらですか? 

エリック:僕(エリック)はピッツバーグ出身で、ジェシーはワシントンD.C.近くのメリーランド出身だよ。僕は10代の時に自分自身大好きなバンドだったドン・キャバレロに参加して、その後イアン・ウィリアムスと一緒にストーム&ストレスを結成しているよ。

そしてあなたがブルックリン(ニューヨーク)のシーンにアクセスするまでの話を教えてください。

エリック:僕らふたりともそれぞれ2002年か2003年ぐらいにブルックリンに引っ越したんだ。他のたくさんの若者にとっても同じようにね。僕らにとっても「21世紀にニューヨークに引っ越す」っていうことは=「ブルックリンに引っ越す」っていうことだった。

9.11のときは何をしていましたか? 

エリック:そのときはまだウィスコンシンの大学に行っていて、ニューヨークからは何千マイルも離れたところにいたよ。

いずれにしても、ブルックリンには若い才能を惹きつける理由があったということですよね? 

エリック:だね。ただ、ほとどの人にとって何より魅力的だったのは、もうホントに家賃が安いってことだったんじゃないかな。

80年代のシンセ・ポップからの影響は意識していますよね?

エリック:それは間違いない。子供の頃に聴いていたブルース・スプリングスティーン、REM、トーキング・ヘッズ、ティアーズ・フォー・フィアーズなんかに影響を受けていると思うよ、どんな人間でも子供の頃に耳に入っていた音楽に影響されずにいられないのと同じさ。ロバート・パーマーとかね......。

ダンス・ミュージックからは当然影響されていると思いますが......。

エリック:もちろん。決まったお気に入りはないけど、ぱっと頭に浮かぶものではジョン・タラボット、ユルゲンパープ、フォー・テットなんかは大好きだよ。

アルバムのエンジニアをジミー・ダグラスにした理由を教えてください。彼はティンバランド、アリーヤ、ミッシー・エリオットなどヒップホップ/R&Bからテレヴィジョンやロキシー・ミュージックまで手がけているベテランだそうですね。

エリック:僕らがジミーを選んだというよりも、お互いに選んだっていうほうが正しいな。もしかしてジミーが僕らみたいなプロジェクトと仕事をしたいと思ってくれるんじゃないかと思ってレコードを送ってみたんだ。彼がやったティンバランドの作品や、アレサ・フランクリン、レッド・ツェッペリン、ロキシー・ミュージック、テレヴィジョンなどアトランティック時代の作品からも彼の作風などは知っていたからね。彼はアルバムを気に入ってくれて、それで僕らはマイアミに10日間行って彼と仕事をすることになったんだ。素晴らしい経験だったよ。

『ミックスド・エモーション』というタイトルはアルバムの内容にとても合っていると思うのですが、どうしてこの言葉を思いついたのですか?

エリック:「Mixed Emotions」っていうのは僕らのマスコットで、僕が「ウィンキー・サッド」(ウィンクしている悲しい顔)って呼んでいる顔文字についての表現だよ。悲しいけど、同時にそれをジョークにできてしまうようなもののことさ。ちょっと大人な感情だよね。すべての物は同時にいろいろな意味を持っているっていうことを認識できるってことでもある。それが僕らの美学になっているんだ。そして、それを表す言葉が欲しかった。で、付けたのがこの名前さ。

エモーショナルで優しいメロディ、気持ちの入った歌いっぷりにタイラインズの心意気のようなものを感じるのですが。

エリック:僕らはタンラインズの音楽を「実存主義ポップ(エグジステンシャル・ポップ)」って呼んでいるんだ。僕らのスピリットはアップテンポなビートと粘っこいメロディにメランコリックなヴォーカルにある。あらゆるものはそれぞれ同時にいろんな意味を持っていて、同時にいろんなものでもあるんだ。80年代からの影響も感じられるだろうし、同時に現代的な影響もある。それぞれの曲は楽しくもあるし悲しくもある。そういう組み合わせが僕らの音楽のスピリットになっていると思うよ。

すべての歌詞は、ファンタジーでもロマンスでもなく、苦いリアリズムが描かれていると思うのですが、"イエス・ウェイ"や"ラフィング"のような曲は、いまの時代の暗い風に対するあなたたちのリアクションでしょうか? たとえば「いつだって笑っていよう/そこが安息の場所じゃなくても」"ラフィング"なんて、なかなか重たい歌詞じゃないですか。

エリック:それは幅の広い質問だね! 僕らの作るものにはどれも完全に前向きだったり明るいものっていうのはないと思う。だいたいはジェシーが明るいパートを書いて、エリックがダークな部分を作るんだ。陰陽思想みたいな感じなんだね。

「癌を患っている親類のために書いたファンク」なんていう書かれ方もされていますよね。いっけん前向きですが、悲しみや苛立ちもあるという?

エリック:僕らの曲のヴォーカルや歌詞の多くは、自分が世界のどこにいるのかよくわからないままに年をとることの不確実さや不安を反映していると思う。

そういえば、ニューヨークでは「オキュパイ・ウォール・ストリート」がありました。いま世界に動揺があるのはたしかだと思いますが、タンラインズはそこにどのように立ち向かっていこうと考えていますか?

エリック:良い質問だね。僕らはふたりとも個人的に、世界情勢について詳しいし、自分の意見も持っている。僕は「オキュパイ・ウォール・ストリート」の現場を訪れたし、震災(3.11)の義捐金を寄付したりもした。それが僕らの音楽にどういった影響を与えているかははっきりとはわからないけど、そういうことが僕らの人格に影響していると思うし、僕らの人格が作る音楽を形作っているんじゃないかな。他の多くの影響と同じように、明白というよりはもっと微かで無意識的な影響だと思うけれど。

メモリー・テープスやグラッサー、エル・グインチョなどリミキサーとしても活躍してますね。あなたによって良いリミックスとはどんなものでしょうか?

エリック:僕にとってのいいリミックスの定義は、「聴いたときにまったく新しいバンドみたいに聴こえる」っていうこと。個人的にお気に入りのリミックスはオ・ルヴォワール・シモーヌのやつだね。聴いてみると、誰かのリミックスじゃなくて新しいアーティストの作品みたいに聴こえるんだ。

ニッキー・ミナージュ、ラナ・デル・レイ、M.I.A.の3人のなかでもっとも評価しているのは?

エリック:たぶん、M.I.Aだと思う。

マドンナの新曲"MDMA"は?

エリック:聴いたことないんだ。マドンナのスーパー・ボウルでのパフォーマンスは見たんだけど面白かったよ。

タンラインズは明白なまでにポップ・ソングを追求していると思いますが、良い音楽の定義とはなんだと考えますか? それはいまも昔も同じだと思いますか? 

エリック:良い音楽っていうのはつまり、誰かの人生にとって何らかの意味がある音楽のことじゃないかな。僕にとってもいくつか聴いただけですぐに僕の人生のある時期に戻ったような気分にさせるような曲があるけど、そういう曲はとても強力な力を持っているし音楽の持つ魔法を証明していると思う。

理想とするポップ・ミュージックとはどういうものでしょうか?

エリック:初めて聴いたときにすぐにいっしょに口ずさめる曲っていうのが良質なポップ・ミュージックだと思うよ。

Delano Smith - ele-king

 先日、平日の火曜日に私用で静岡に帰ったときのこと。まあ、閉まっているだろうなと、ダメ元で〈ラディシャン〉に行ったら、なんと「1000円ワン・ドリンク」のDJパーティをやっていた。しかもこのご時世にターンテーブル2台を使ったアナログ盤主体の、いわばオールドスクール・スタイルのDJだ。もっとも、やっている本人たちにはそれが"オールドスクール"であるという意識はまったくない。
 「よくやってるね~、こんな平日の深夜に。なんかいいことでもあったの?」とDJのひとりに訊いたところ、「やっぱ平日から盛り上げたいじゃないですか」という返事が返ってきた。さすがやる気のないダメ人間の街=静岡だけのことはある。そこにいるほぼすべての人間が明日の朝から仕事で、DOMMUNEの放送も終わっている深夜過ぎだというのに、テクノのレコードをかけ、テクノで踊っている。いや~、まだまだ自分も甘い、そう思いながらお茶割りを飲んでいると「最近、何が好きっすか?」と客に訊かれたので、「テクノで気に入ってるのは、アンディ・ストットやクラロ・インテレクトみたいなのかな」と言うと、「誰すか、それ?」と言われた。さすがやる気のないダメ人間の街=静岡だ。

 1979年、高校生だったデレノ・スミスが初めて目撃した"立ってDJ"するDJがケン・コリアーだった。コリアーはデトロイトにおけるラリー・レヴァンないしはフランキー・ナックルズみたいな人で、デレノ・スミスがそれまで見たことのあるDJは1台のターンテーブルを使って、そして座ってプレイしていた。ショックを受けたスミスは友だちの2台のターンテーブルを使って練習した。1981年に高校を卒業すると、週末のクラブでスミスはまわすようになった。明け方になるとDJはコリアーにバトンタッチした。コリアーは自分の知っているテクニックを惜しみなくスミスら若い世代に伝授した。
 1982年、モーターシティはディスコからプログレッシヴの時代へと突入した。プログレッシヴとはドナ・サマー、クラフトワーク、イタロ・ディスコ(あるいはサイボトロン)などといった当時のエレクトロニック・ダンス・ミュージックのデトロイトにおける呼び名だ。そんな言葉が普及するほど、それら"黒くない電子音楽"はデトロイトにおいて特別な人気があった。
 プログレッシヴの時代、もっとも人気のあったDJがケン・コリアーで、デレノ・スミスはその門下生のひとりだった。5年後、プログレッシヴを終わらせて、そしてハウスの時代の到来を決定づけることになるデリック・メイやエディ・フォークスは、彼らの客でもあった。進学のために故郷を離れていたスミスが〈ミュージック・インスティテュート〉を訪れ、デトロイト・テクノの熱狂を知ったとき、彼は自分の時代が終わったことをしみじみと認識したようである。
 そんなデレノ・スミスを現場にカムバックさせたのは、マイク・クラークだった。デトロイトをテクノからハウスへ、ハウスからディスコへ......というバック・トゥ・ベーシックなコンセプトのクラーク(そしてノーム・タリーのふたり)による"ビートダウン"プロジェクトは、1999年、スミスにあらたな居場所を与え、同時にスミスをヨーロッパや日本に紹介した。この10年、スミスはコンスタントに作品を発表しているが、今年に入ってベルリンのレーベルからリリースされた本作『アン・オデッセー』は、彼にとって初めてのアルバムとなる。察するところ、スミスの年齢は僕やデリック・メイやジェフ・ミルズとほぼ同じであろうから、30代後半にして作品デビュー、そして40代末にして初のアルバムという渋いキャリア......いや、ある意味人生において夢を与えるような展開をしている。だいたいこの年齢になってもダンス・ミュージックを作れるということは、それなりのスタミナを証明している。僕がアンディ・ストットみたいなダビーで、アブストラクトで、IDMめいた方向に傾いているのは、自分の体力の低下に関係しているんじゃないだろうか。サウンド的にはたしかに新鮮だが、大勢で盛り上がるという感じではない(いやいや、それでも"We Stay Together"というくらいだから......)。
 若い頃はプログレッシヴのDJだけあって、『アン・オデッセー』は"ビートダウン"一派にしてはテクノ寄りだ。ベーシック・チャンネルのモーリッツィオ名義によるディープ・ハウスないしはアリル・ブリカあたりと同じ系列に感じられる。シンセサイザーの綺麗なコード弾きとシンプルなビートを基調としながら、130BPMの気持ちよさで走っていく。目新しさはないが、クラブ好きにとってはフレンドリーな音だ。UR風のビートもあるが、作家性を強く主張している作品ではない。場数を踏んでいるDJらしいというか、インパクトよりも「踊ってくれよ」ということを重視したアルバムだ。

 そうだとしても、平日火曜日の深夜にDJしたり、あるいは踊ったりしている場面はまるで、そう、90年代にタイムトリップしたようだ。この非生産的なライフスタイルこそ真の意味での90年代リヴァイヴァルと言えよう。もっともこれはリヴァイヴァルなどではなく、90年代からの地続きの空間だ。ただずっと続き、生存している......。静岡には本格的にデリック・メイを研究している若いDJがいる。彼はあるとき試しに家でデリック・メイと同じ選曲で同じ曲順でミックスして、「でも、どうしてもデリック・メイみたいなミックスにならないんすよ」と言う。「だよねぇ。で、明日は?」「もちろん朝から仕事ですよ~」......すでに午前3時半、この無駄なエネルギー、夢を見ないことの夢......クラブ・カルチャーよ、やる気のないダメ人間たちよ、永遠に......僕もそっち側の人間でい続けよう。

※静岡の名誉のために言っておくが、「やる気のないダメ人間」とはこのときに目にしたある求人広告に記されたキャッチコピー。いわく「やる気のないダメ人間募集!」――素晴らしいセンス。我が故郷を誇りに思う。さあ、今週末はダービーだ。

Chart by JET SET 2012.04.09 - ele-king

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1

SLUGABED

SLUGABED SEX »COMMENT GET MUSIC
300枚限定リリースされたリミックス・プロモ12"もヒット中、スクウィー勢との交流も盛んなカラフルUKベース人気者Slugabedが、淡く美しいシンセが舞う名曲を届けてくれました!!

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CUT CHEMIST

CUT CHEMIST OUTRO (REVISITED) »COMMENT GET MUSIC
トラックメイカー/DJ/コレクターとして世界的に知れ渡るCut Chemistがおよそ2年ぶりとなる新作をリリース。盟友DJ Shadowにも見られたハードロック/ノイズへ接近したキラー・ブレイクビーツを展開!

3

MIND FAIR PRESENTS NO STRESS EXPRESS

MIND FAIR PRESENTS NO STRESS EXPRESS REACH THE STARS »COMMENT GET MUSIC
Theo Parrish & Legowelt Remix収録で話題を集めた"International Feel"17番「Kerry's Scene」にて堂々のユニット・デビューを飾った注目の敏腕ユニットによる注目の第二弾。

4

KURUSU

KURUSU LOCAL ANESTHECIA »COMMENT GET MUSIC
Black Smokerミックス・シリーズにKurusu(Future Terror)が登場!Future Terrorのカラーを十二分に反映させた、ハメ系ディープ・ミニマル・ミックスを収録!

5

ERIK OMEN

ERIK OMEN GRADE E / PAYPHONE »COMMENT GET MUSIC
Midnight JuggernautsのDanielが運営するSiberiaからのニュー・カマー、Erik Omen!!衝撃的に最高すぎるデビューEP、遂に入荷しました!!

6

QUANTIC & ALICE RUSSELL WITH THE COMBO BARBARO

QUANTIC & ALICE RUSSELL WITH THE COMBO BARBARO LOOK AROUND THE CORNER »COMMENT GET MUSIC
数々の名曲を産み出してきたQuanticとAlice Russellのコンビが、キューバン・プロジェクトCombo Barbaroと組んで作り上げた待望のニュー・アルバム!!

7

KINDNESS

KINDNESS WORLD, YOU NEED A CHANGE OF MIND »COMMENT GET MUSIC
あの「Swingin' Party」から3年。遂に届きました。めくるめく引用、揺れ動くグルーヴ、淡いファンクネス。これこそ最先端のインディ・アーバン・シンセ・サウンド!!

8

SAN PROPER

SAN PROPER ANIMAL (RICARDO VILLALOBOS REMIXES) »COMMENT GET MUSIC
鬼才San Properがリリースを控えるデビュー・アルバム『Animal』から、Ricardo Villalobosによる超強力作をカップリングした話題の先行リミックス・カットが到着。

9

UNKNOWN ARTIST

UNKNOWN ARTIST UNTITLED »COMMENT GET MUSIC
これは最高です。ニュー・ディスコのようでシンセ・ダンスのようでハウスのようで、そのどれでもない。ディープで爽やかなブリージン・シンセ・ディスコ・キラー!!

10

FEADZ & KITO

FEADZ & KITO ELECTRIC EMPIRE »COMMENT GET MUSIC
説明不要のフレンチ・エレクトロ天才Feadzと、Skreamに見出され、タッグ名義ではMad Decentデビューも飾ったオージー・ブロンド美女ダブステッパーKitoによる電撃コラボ盤が登場!!

Music of Yann Tomita - ele-king

 大阪・中崎町NOONで2009年より毎年恒例となっている(2010年にはサマーワークショップも同場所で開催)ヤン富田ライヴ『Music Of Yann Tommita』を今年も開催します。2009年から恒例となった大阪での電子音楽家:ヤン富田 コンサート。数えること今回で5回目を迎えます。
 大阪NOONならではの、4時間半から5時間にわたる充実したコンサートを是非お楽しみください。また、2009年に同場所で行なわれたライヴの様子は「YANN TOMITA A.S.L. SPACE AGENCY」と題したアート作品集にも収められている。

Music of Yann Tomita

2012-04-29 SUN. at.NOON
OPEN 18:00 START 19:00
前売り¥4,500 当日¥5,000
NOON 06-6373-4919 / MarginalRecords06-6541-0039
info@noon-web.com
https://shop.marginalrecords.net
2012 Audio Science Laboratory
チケット予約
info@noon-web.com
tuttle@marginalrecords.net

LIVE:ヤン富田
OPEN:18:00~
OPENING DJ :TUTTLE
18:30~THE SOUNDS OF AUDIO SCIENCE LABORATORY ARCHIVES
LIVE START:19:00

 ここ数年お手伝いさせて頂いて、個人的には私がいつも思うことはひとつです。「ヤン富田が実践する電子音楽が聴きたい」ということに尽きるのです。毎年ご来場くださるオーディエンスの方々もそういう意識だと思います。
 ここ数年で海外からも新旧含め、様々な電子音楽のレコードやCDが活発にリリースされるようになりました。日頃その海外からの音源を聴くことが仕事柄増え、扱うことも多くなりましたが、90年代から一貫して感じるヤン富田さんの行う「電子音楽」とは印象が違います。そこには60年代から氏が聴いてこられ、体感された膨大な音源の蓄積と経験、さらにアシッド・カルチャーやエキゾチック、モンド・ミュージック、80年代初期のHIPHOPの衝動も的確に捉えた希有な人物像から生まれる寛容性をもって、無邪気、意識的に創造するという領域に勇気をもって、踏み込んでいく姿が投影されていると感じるからなのです。人から与えられたスタイル、様式に自分を誤魔化して参加するのは簡単だし、ある種の逃避でもあり、安堵感もある。だが、普通に暮らしても先の見えない時代に突入したいま、そのような行動は新たな表現、考え方を模索しようと気付いている人達には必要ありません。ここに到底追いつけない、とんでもない先人がいます。されど氏の「電子音楽」にはいつも魅了され、勇気をもらうのです。   
 いや本当になかなかありませんから。
 おかげ様で今回5回目の公演となります。アカデミックな領域を軽く飛び越えた圧倒的なヤン富田の個性溢れるLIVEを堪能して下さい。
(MarginalRecords:DJ TUTTLE a.k.a.MarginalMan)


ヤン富田
 最先端の前衛音楽から誰もが口ずさめるポップ・ソングまでを包括する 希代の音楽家。音楽業界を中心に絶大なるフリークス(熱烈な支持者)を国内外に有す る。日本初のプロのスティール・ドラム奏者、日本で最初のヒップ・ホップ のプロデューサー、また音楽の研究機関、オーディオ・サイエンス・ラボを主宰する。近年(2006~8年)の作品として、書籍「フォーエバー・ヤン・ミュージック・ミーム 1」ヤン富田著(アスペクト刊)、そのサウンド・トラックとして「フォー エバー・ヤン・ミュージック・ミーム2」、国内外にカルトな人気を誇るDOOPEESの「ミュージック・ミーム3」、2007年には 「エビス・ザ・ホップ」CFでコーネリアスとの競演が話題となる。
  2008年には、CD, DVD, BOOK からなるセット『変奏集』、電子音楽の講義とその演奏からなるドキュメンタリー、『サマー・ワークショップ・電子音楽篇』(DVDx2+BOOK)がある。2009年11月には、お台場の日本科学未来館に於いて「ヤン富田・コンサート」が開催された。また2009年冬期から2011年の展開として、アート作品集「YANN TOMITA A.S.L. SPACE AGENCY」(写真集、エッセイ、ライヴ・ドキュメンタリーCDx2からなる書籍、宇宙服のパジャマ、T-シャツ、キャップ、トランク・ケース、以上 TOKYO CULTUART by BEAMS) がある。

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