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スウェーデンの4人組のバンド、リトル・ドラゴンをどうして聴いたかと言えば、ロンドンのダブステッパー、サブトラクトのアルバムにフィーチャーされていたからで(『サブトラクト』のなかでもリトル・ドラゴンが参加している曲は3本の指に入るほど良かった)、その数年前にはトドラ・Tにリミックスを依頼させている。話によればビッグ・ボーイともコラボレーションもじきに出るという。こうなれば、クープなどいちども聴いたことのないような僕も興味を抱くようになるわけだ。まあ、ユキミ・ナガノは昨年のゴリラズのアルバムにも参加していたし、数か月前にリリースされたラファエル・サディークのような大物の新作にもフィーチャーされるくらいだから、はっきり言えばいまや売れっ子なのだ。
リトル・ドラゴンはジャズではない。強いて言えばR&B調のシンセ・ポップのバンドだ。ロンドンのベース・ミュージックとリンクしているだけあって、実に格好いいベースを有している。ベースはユキミ・ナガノのヴォーカリゼーションとともにこの音楽の魅力のひとつとなっている。
『リチュアル・ユニオン』は彼らにとって3枚目のアルバムで、間違いなく、いままでもっとも注目を集めている作品だ。それは先述したように、彼らの拡張しつつある活動領域ゆえであるが、ところでベース・ミュージックとリンクするR&B調のバンドといえば、そう、ジ・XXがいる。『リチュアル・ユニオン』にはたしかに『ジ・XX』と似た瞬間もなくはない......が、リトル・ドラゴンはより外向的だし、電子ポップ的だ。オープニング・トラックの"リチュアル・ユニオン"は、ジ・XXのベースラインが明るい場所で飛び跳ねれているような曲だし、続く"リトル・マン"もソフト・セル調のシンセ・ポップがダブステップの時代に蘇ったような曲だ。控えめな"ブラッシュ・ザ・ヒート"のような曲にはこのバンドのスキルがよく出ている。淡泊なミニマル・ビートを基調にしながら見せる巧妙な展開が際だっているのだが、それはまあ、器用なこのバンドのすべての曲に言えることか......。ファンキー調のリズムとアンビエントを組み合わせた"ウェン・アイ・ゴー・アウト"、ディスコ・ファンク調の"ナイトライト"といった曲も魅力的で、ドリーミーなクローザー・トラックの"セカンズ"も印象的だ。
熟練したバンドによる手の込んだポップ・アルバムで、多くの人に気に入られるタイプの作品だとは思うが、良くも悪くもエモーショナルな深さというものは感じない。スタイリッシュだが重さはなく、だから良いとも言えるし、MOR一歩手前とも言える......『リチュアル・ユニオン(儀礼的組合)』というタイトルで結婚式の写真てのもなー、金がなくて結婚式をさっさと諦めた人間が言うのもひがみっぽくて何だが、このタイトルにしてこのデザインではB級のJ-POPみたいな迎合主義というか。音楽はファッショナブルだというのに......まったく、レコードなんかで購入するんじゃなかったよ。
野田 努