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Ras G & The Alkebulan Space Program

Ras G & The Alkebulan Space Program

Spacebase Is The Place

Poo-Bah Records

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三田 格三田 格   Nov 04,2011 UP

 現代のサン・ラーを気取るグレゴリー・ショーター・ジュニアの2作目(? 3作目? デビュー・アルバム以前に発売が告知されていた『ダウン・2・アース』が今年になって、ようやく〈ランプ・レコーズ〉からリリースされたので、3作目と数えてもいいし、それがあまりにデモ・テープ的な内容だとしてカウントしなくてもいいし、いっそのこと〈ブレインフィーダー〉からファイルのみでリリースされた『ブラザー・フロム・アナザー・プラネット』や〈リーヴィング〉からのカセット、あるいは初期のCDRも加えて最大で6作目と数えることも可能。面白いのは、そのようにしてリリースの形態がまったく統一されていないことで、『スペースベース・イズ・ザ・プレイス』は初めて2×10インチというフォーマットとなっている)。

 LAのビート・メイカーをシリーズで紹介してきた〈オール・シティ〉が新たにはじめたサン・ラーのリコンストラクション・シリーズ「ビュー・オブ・サターン」でもトップを切って話題を集めたこともあり、まずはサン・ラーの代表作『スペース・イズ・ザ・プレイス』をもじったタイトルが期待を煽る。サン・ラー同様、プロジェクトの名義も前作がザ・アフリカン・スペース・プログラムだったものが、ここではザ・アルケビュラン・スペース・プログラムに変更され、サン・ラー気取りにも磨きがかかっている......とはいえ、ラス・Gはまったくのソロ・プロジェクト。発想はあくまでDJカルチャーのそれで、サン・ラーのバックからブラザー・アーことロバート・ノーゼムが突出したり......といったような局面は起こりえない。

 パーツを散りばめたようなオープニングから一筋縄では行かず、重いベースや唐突に鳴り始める高音のパーカッションが瞬時にして重力感覚を狂わせる。全体的にロー・ファイかつモンドな曲調が連打され、混沌としながらもどこかで丁寧にリズムを感じさせてくれる......と思ったら、いつの間にかメインのリズムが変化していて、リズムに耳が馴れてくる頃には、奇天烈な音をインサートさせるなど、わざとビートから意識を逸らせようとしているようで、サイケデリックという言葉が正しいのかどうか、ヒップホップをベースとしながらも、なるほどサン・ラーのフィーリングは再現されているといえる。断片に意識を持っていかれ、すぐに全体像を見失うという仕掛けはとにかく巧妙としかいいようがなく、"シリー・アースリングス"や"ディスコ4000"など思いがけず重層的で、トリップ・ミュージックとしての完成度は前作を遥かに上回る(前作でいえば"ビヨンド・ザ・スカイ""スロオオオオオオオオウ・ダアアアアアアアウン"といったトリップ・モードがアルバム全体に拡張されたというところか)。

 同じLAでも大幅にジャズを導入したフライング・ロータスよりも、あえてヒップホップの文脈に乗りながらサン・ラーを思わせるのは、やはりモンド=スペース・エイジのセンスによるところが大きいのだろう(少し前にベイ・エリアからデビュー・アルバムをリリースしたペイパー・アッパー・カッツにも似たようなことがいえる。パーカッションを駆使した"GLP"はとてもいい)。とはいえ、展開の妙に意識を傾けすぎたか、どの曲もかなり尺が短く、1曲をもう少し長く聴いていたいというのが正直なところ。それとも、ブラック・ミュージックには往々にしてそういうところがあるし、そのほうがサウンドの迷宮性というものは保てるのだろうか。

三田 格