「Not Waving」と一致するもの

Avey Tare - ele-king

 アニマル・コレクティヴでエイヴイ・テアーを名乗るデヴィッド・ポートナーにとっての最初のソロ・アルバムで、結論から言えば......、いや、結論は最後に書くべきだ。とにかく最高のモダン・サイケデリック・ポップが展開されているし、僕はかなり気に入っている。まず、アルバム冒頭の"ラフィング・ハイログリフィック(笑っている象形文字)"からして素晴らしい......というか間違いなくこれがベスト・トラックである。いわばエレクトロニック仕様のシド・バレットで、マーク・ベルが作ったトラックの上に『ザ・マッド・キャプ・ラフス』がミックスされていると想像して欲しい。IDMテクスチャーのトラックもさることながら、デヴィッド・ポートナーのエモーショナルなヴォーカルもなかなか味がある。2曲目の"スリー・アンブレラズ"はアニマル・コレクティヴの"マイ・ガール"と同じ系統に属する軽めのポップ・ソングで、3曲目の"オリヴァー・ツイスト"は子供じみた奇抜さを持ったIDMスタイル、そして4曲目の"グラス・ボトム・ビート"から"ゴースト・オブ・ブック"へとアルバムは奇行に走る子供のようにサイケデリックな度合いを高めていく......という展開だ。

 デヴィッド・ポートナーは、ブラック・ダイスのエリック・コープランドとのテレストリアル・トーンズによって実験性の強い作品を発表しているが、彼はこのアルバムでもそれぞれの曲でエレクトロニクスを活かしたユニークなサウンドを追求している。喩えるなら、エイフェックス・ツインやプラッド、LFOといった夢見る〈ワープ〉サウンドがブルックリンの動物農場で合唱しながら再生されているような感じだ。6曲目の"セメタリーズ(墓地)"はエイフェックス・ツインめいたアンビエント調のトラックにおぼろげな歌がミックスされるという、そう、まさに"入眠ポップ"である。7曲目の"ヘッズ・ハンモック"では、絡まった糸のように歌や音を捻り、引き延ばし、リスナーをわけのわからない世界へと連れて行く。8曲目の"ヒーサー・イン・ザ・ホスピタル"、そして最後の曲"ラッキー・ワン"に関しては、何も知らず曲だけ聴いたらアニマル・コレクティヴの新曲だと思うだろう。彼らの得意とするメロディのオンパレードだ、が、しかし、バックトラックのIDMテクスチャーがこのアルバムのすべてを代弁する。つまり、デヴィッド・ポートナーはチルウェイヴァーたちにこう話しかけていると想像して欲しい。どうだい、これもけっこう気持ちいいでしょう?

 はい、ご名答。これは、アニマル・コレクティヴからのチルウェイヴへのリアクションである......というのが僕の結論であり、誰かに訊かれたらそう答えている。いまではエイヴイ・テアーまでチルウェイヴにアプローチしていると。

Chart by UNION 2010.11.03 - ele-king

Shop Chart


1

RICARDO VILLALOBOS

RICARDO VILLALOBOS Sed 004 SEI ES DRUM / GER »COMMENT GET MUSIC
「VASCO」を彷彿とさせる流動的なサウンド・プロダクションにMARVYN GAYE"Ain't that peculiar"のセクシャルなアカペラをのせた必殺のA面、ファンクネス溢れるビートと空間的なウワモノが一体となった強靭なミニマル・トラックのB面共に、中毒性の高いヒプノティックな仕上がりがたまりません!!既にREBOOTがチャートに上げ、話題沸騰中の1枚です、お見逃しなく!!

2

RICK WADE

RICK WADE Best Of Rick Wade Vol.2 HARMONIE PARK / US »COMMENT GET MUSIC
Rick Wadeのベスト盤の第2弾は近年のヒットトラックを中心にピックアップ!ジャンルを越えてクロスオーバーヒットしたLoft Classicsネタの「Whistle Bump Track」やYOREからのサルソウルオーケストラネタ、現在話題のアンダーグラウンドハウスレーベルLAIDの音源も。そして特筆すべきはMoodymann, Theo Parrishもリリースしていた今は無きUKカルトレーベルに残した名曲「Night Station」をフルレングス収録!

3

AGORIA FEAT CARL CRAIG & LA SCALARS

AGORIA FEAT CARL CRAIG & LA SCALARS Speechless INFINE / FRA »COMMENT GET MUSIC
まさかの邂逅! フレンテクノのベテラン・AGORIAミーツCARL CRAIG!! 来年リリース予定のNEWアルバムからの先行シングルとなる本作、不思議な浮遊感に包まれる柔らかなトラックにCARL CRAIGの妖しげなスピーチが被さる中毒性の高いテックハウス! 既にRADIO SLAVE、MARCEL DETTMANN、DIXONらがフルサポートする話題作です!この音源は配信予定も無い12インチ完全限定盤、お早めに!

4

JACKSON 5

JACKSON 5 Forever Came Today (Remixed By Frankie Knuckles,Edits And Overdubs By Joaquin Joe Claussell) »COMMENT GET MUSIC
今年のBody&SOULでもプレイされ、フロアの密度と温度を一気に押し上げた正真正銘のダンストラックス!!! トラックに溶け込ませたヴォーカルとコーラスそして旋回するSEが陶酔感を生む中、ランニングベースがエンドレスに足を突き動かすこと必至のピークタイムナンバー!音数の少ないイントロからジワジワと込み上げピークを迎えるまでの独特な高揚感は鳥肌ものです!!

5

DEBBIE JACOBS

DEBBIE JACOBS Don't You Want My Love (Joe Claussell's 1988 Reel To Reel Edits) WHITE / US »COMMENT GET MUSIC
Joe Claussell自身もBody&SOUL他数々のパーティでピークタイムを印象付ける1曲として長年プレイしてきたトラック。今回ヴァイナルカットされるのは1988年にオープンリールテープによってエディットされたという注目せずにはいられない内容!

6

SIS

SIS Dejame 2/3 COCOLINO / GER »COMMENT GET MUSIC
RICARDO VILLALOBOS主宰レーベル・SEI ES DRUMからリリースされたBALKAN BEAT BOXネタのオリエンタル・ミニマル"Trompeta"が爆発的ヒットを記録し、一気にシーンを代表するアーティストとなったSIS。今作はこの後リリースが予定されている待望のファースト・アルバム「DEJAME」からのシングルカット第2弾!

7

LAUGHING LIGHT OF PLENTY

LAUGHING LIGHT OF PLENTY Laughing Light Of Plenty WHATEVER WE WANT / US »COMMENT GET MUSIC
DJ HARVEY関連作品のリリースで注目を集めるNYの『WHATEVER WE WANT』のNEW! RUB'N'TUG&MAP OF AFRICAのメンバーとして知られるTHOMAS BULLOCKと、EDDIE RUSCHAによるバンドTHE LAUGHING LIGHT OF PLENTYのファーストLP!!

8

GODSY

GODSY My Snow Does Not Melt WHATEVER WE WANT / US »COMMENT GET MUSIC
DJ HARVEY関連作品のリリースで注目を集めるNYの『WHATEVER WE WANT』 のNEW!過去に2タイトル同レーベルからリリースのあるGODSYのファーストLP! 様々な鉱石をスキャンして印刷されたスペシャル・アートワーク! 『LO RECORDINGS』などからリリースするCHERRYSTONESのプロジェクト!!

9

SCHERMATE

SCHERMATE Schermate 010 (Crystal) SCHERMATE / ITA »COMMENT GET MUSIC
イタリアの最地下レーベル・SCHERMATEも遂にカタログ10番突入! 今作ではいつもの変幻自在なグリッチ感を排し、GIORGIO GIGLI(ZOOLOFT/PROLOGUE)とも共振するインダストリアル・テクノを展開する"Abyss"、さらにヘビーなベースとコズミックなウワモノを重ね強烈なトビ感を演出した"Hypnotomia"という2トラックを収録、彼らの新境地が垣間見える傑作に仕上がりました! 大スイセン!

10

SADAR BAHAR

SADAR BAHAR Strange Affair SOUL IN THE HOLE / US »COMMENT GET MUSIC
RON HARDYをリアルタイムで体験、現在地元シカゴで"SOUL IN THE HOLE"という極めてアンダーグラウンドなパーティーを主宰し、多くのアーチストから絶大なリスペクトを受けるDeejay's Deejay" SADAR BAHAR(サダー・バハー)のMIX-CD。ブラックミュージックに対する愛情が注がれた真のHouse Music Eraがこの作品に詰め込まれてた傑作!THEO PARRISHのDJスタイルが好きなら即チェックの1枚!

Eskmo - ele-king

 昨年から今年にかけて20周年を迎えたロンドンの老舗ダンス・ミュージック・レーベルといえば、〈ニンジャ・チューン〉と〈ワープ〉に他ならないが、両レーベルが長年の歳月を経て磨き続けてきた嗅覚の鋭さには、あらためて驚かざるをえない。今年の頭〈ニンジャ・チューン〉は、スキューバも注目する新人フィメール・ダブステッパー、エミカの12インチ・シングル「ドロップ・ジ・アザー」(スキューバによるリミックスも収録)をリリースした。一方〈ワープ〉は、こちらもダブステップのトラック・メイカーでありながら、コマネチなどインディ・バンドのリミクスも多く手掛ける、カナダのベイブ・レインボウの12インチEPをリリースしている。昨今のポスト・ダブステップ・シーンの熱狂に華麗に切り込む両レーベルのその新たな一手に、それはもう興奮したものだった。

 その〈ニンジャ・チューン〉が今年もっともホットな新人として、ステッピーなコズミック・ハウサー、フローティング・ポインツとともに世界へ送り出そうとしているのが、このサンフランシスコ出身の新進気鋭のビート・メイカー、エスクモことブレンダン・アンジェリードだ。US西海岸出身のビート・メイカーといえばデイダラスをはじめとする〈ロウ・エンド・セオリー〉周辺のブロークン・ヒップホップを想像するが、彼の場合もご多分に漏れず、アンダーグラウンド然とした奇妙なウォンキー・サウンドを特徴としている。
 とはいえ、ダブステップ通過後ともいえる、ハイハットとスネアとキックのコンビネーションを活かしたそのトリッキーなビート・メイキングは、ハドソン・モホークやラスティら、プレイステーションのコントローラーを片手に作曲作業をする、グラスゴウ周辺のビート・メイカーたちの人を食ったクレイジーさも匂わせる。
 ちなみに彼は、このアルバムをリリースする以前に、すでに今年の春に、US西海岸の新世代ビート・ジャンキーの台頭を表すエプロムとのスプリット12インチEPを〈ワープ〉からリリースし、続いて夏には、かの〈プラネット・ミュー〉からのデビューを果たしている。〈ニンジャ・チューン〉、〈ワープ〉、〈プラネット・ミュー〉の3レーベルを行き来したアーティストというのは、歴史的に見ても、彼とルーク・ヴァイバートぐらいではないだろうか。

 とにかく、注目のなかでリリースされる『エスクモ』は、ガラクタ一歩手前の奇天烈なトライバル・ビートにアンビエント調のアトモスフェリックなシンセサイザーを重ねることで、アルバム全体を通して、原始と宇宙空間を繋ぐかのような、超現実的なサイケデリック・ワールドを構築することに成功している。充分にユニークな展開だが、〈ワープ〉からのスプリットEPや〈プラネット・ミュー〉からのシングルを聴いたときほどの驚きもない。それら先行シングルでの、スクウィーなどロウビット・ミュージックの要素を取り入れた革新的なビート・メイキングには胸が躍ったものだが、あまりにも期待し過ぎたせいだろうか、このアルバムは、どうにも斬新さを欠いているように思う。

 とはいっても、エスクモが作り出す摩訶不思議なブロークン・ヒップホップ/ウォンキー・サウンドが耳に心地良く聴こえるのは事実である。また、彼がヴォーカル・トラックを多く作り続けていることにも将来性を感じている。マグネティック・メンの"アイ・ニード・ジ・エア"の次は、もしかすると、このあたりからアンセムが生まれるのかもしれない......。フライング・ロータスやゴールド・パンダら世界のトップ・クリエイターたちがネクストを求めて新たなビートを生み出しているなか、エスクモもまた次世代を担うビート・メイカーのひとりであることに間違いはないのだ。
 
 11月5日に開催される〈ニンジャ・チューン〉の日本での20周年パーティでエスクモは、〈夕刻の巻〉と〈夜更けの巻〉の両方でトップバッターとしてプレイする。当日は開演時間に前に合うように行くこと。

Issugi - ele-king

 スラックもそうだが、イスギのアルバムにもリリックが掲載されていない。言葉は音ともにあることをダウン・ノース・キャンプ(DNC)は暗に主張しているのだろう。日本の音楽シーンの言葉好きに関しては、歌詞カードがあって当然というリリース形態に象徴されているが、それは世界共通の考えではないことは輸入盤を聴いている人なら当たり前のように知っている。音楽における言葉は音ともにある。しかし、われわれは言葉だけを聴いているときがある。音はせいぜい伴奏であり、言葉の意味のみをどこまでも追いかける。そして言葉に寄りかかり、ときとしてミュージシャンは道を示す導師のごとき扱いを受ける。そうしたある種の自己啓発めいたシーンから遠く離れた場所で、DNCのようなDIY主義者によるヒップホップは動き続けている。

 イスギはこのアルバムを発表する前に、超限定で前作『Thursday』のインスト&リミックス集を発表しているが、今年はスラックもブダムンキーとのリミックス・アルバムを発表しているように、DNCクルーはずいぶんと音作りの冒険にはまっているようである。イスギのセカンド・ソロ・アルバムとなる『ザ・ジョイント』というタイトルも、一面では、このアルバムに参加した多彩なトラックメイカー――マス・ホール(メダラ)、16フリップ(モンジュ)、パンピー(PSG)、ブダムンキー、マリク、グラディス・ナイス、およびラッパー――仙人掌、Mr.PUG、O.Y.G、タム、ヤヒコ、スラックたちとの協同作業を意味しているのだろう。イスギのハスキーな声は、彼らの作る素晴らしいうねりの数々のなかで息づいている。それらの楽曲は〈ストーンズ・スロー〉やジェイ・ディラのソウルフルな破壊衝動、ウータン・クランやMFドゥームの薄明かりの地下街へと連結するように感じられる。

 ビッグ・バンド・ジャズのホーン・セクションが不吉なイントロを吹くと、霧の中から1曲の"ザ・ジョイント"がはじまる。そしてひび割れた音とピアノのループによる"ニューデイ"へと続く。この2曲だけでも充分に、夜遅く静まりかえった通りに潜んでいる魔物たちの夢に連れていかれる......と、まあ、とにかく格好いいのである。
 16フリップによるエレガントでメロウな"ビッグ・マウス"は路上の叙情詩で、マス・ホールによる"ジ・アンセム"はファンクの部品をひとつづつずらしながら解体していくような幻覚を与える。イスギは、彼の日々の雑感のような言葉をラップしている。混乱、酩酊、生活と厭世、そして怒りと夢が語られている。"ミスター・ランページ"は容赦ない憤怒のスリリングな一撃だ。パンピーの手掛けるトラックは、尺八のような音とトライバルなビートが夜の新宿のような、独特な無国籍感を演出している。危険な風を運ぶストーンしたビートの"タイムイズナウ"とジャジーなピアノ・ループによる"ファイン・バット・サッド・ウエザー"はブダムンキーによる曲で、後者の曲でイスギは真夏のけだるいひとときを、海辺の青春のひとコマではなく、アスファルトと冷房の夏を描いている。16フリップによるメランコリックなヘヴィ・ファンク"ジャス・ミュージック"は地下室に深く反響し、アルバムがいよいよ佳境に来たことを告げる。そして『ザ・ジョイントLP』は、スラックが参加した"キングダム"でさらに激しさを増す――。

 だが、ある意味では『ザ・ジョイントLP』には、クライマックスがない。いわばアンチ・クライマックスと言える。彼のリリックにはリスナーを勇気づけるような気の利いた言葉もなければ、偉そうな教訓も色恋もなく、お涙頂戴のメロドラマもない。断片化された古いジャズやソウルの残骸の上から、何かを生み出そうとする衝動があり、そして東京で暮らすボヘミアンとしての小さな放浪が描かれている。正しくなくてもかまわないという意味においては、迷いのない現在が表現されている。いや......、彼はひょっとしたら、世間や音楽が押しつける正しさやポジティヴな態度に抵抗しているのかもしれない。

Chart by TRASMUNDO 2010.11 - ele-king

Shop Chart


1

DJ Holiday

DJ Holiday 『The music from my girlfriend's console stereo』
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2

ISSUGI from MONJU

ISSUGI from MONJU 『The Joint LP』
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3

D.O

D.O 『I'M BACK』
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4

PARAdice

PARAdice 『ijiVE』
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5

CE$&STARRBURST(SEMINISHUKEI)

CE$ & STARRBURST (SEMINISHUKEI)
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6

CMT

CMT 『OBSERVACION ASTRONOMICA』
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7

DA PENCH MOB

DA PENCH MOB 『MURDA MUZIK vol.1 EAST COAST SEVEN ISSUE』
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8

HVSTKINGS

HVSTKINGS 『BLACK FOCUS』
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9

ROCKCRIMAZ

ROCKCRIMAZ 『STRAIGHT UP MEMACE』
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10

blahmuzik

blahmuzik 『ONLY』
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Evil Madness - ele-king

 まずはスウェーデンからB・J・ネルソン。90年代後半からハザードの名義でアッシュ・インターナショナルやタッチからフィールド・レコーディングの作品を数々手掛け、00年代に移ってからは他の名義も加えてゼヴやクリス・ワトスンらともコラボレイト・アルバムを制作。そのなかにはアイスランドで実験音楽の限りを尽くしてきたスティルアップステイパとの持続的なシリーズもあり、そこからもふたり。そして、同じくアイスランドから現在、ポスト・クラシカルの代表とされ、すでに貫禄のある存在と化してきたヨハン・ヨハンソン(裏アンビエントP182)と、やはりアイスランド・テクノからまだ無名のDJミュージシャン(という名義)と、すでに脱退したロック系のカーヴァーというアイスランドのアンダーグラウンド・オールスターズ+1による3作目。前2作はアイスランドの地元レーベルからリリースされていたものが、なぜか癖のあるベルギーのレーベルからとなり、内容にも大きく変化が起きている。

 ひと言でいえば、ヨハン・ヨハンソンもメンバーにいるとはいえ、アンダーグラウンドの集まりにしては、これまでもエレクトロなどに色目を使っていたものが、ここへ来てはっきりとクラウトロックを意識したものにフォーカスされ、中期のクラフトワークやハルモニアをそのまま発展させたスタイルとなっている(エメラルズの変化も唐突だったけれど、もしかして世界同時クラウト・ロック化?)。スティルアップステイパやB・J・ネルソンがこれまでにやってきたことを知っている人にはとても信じられないだろうけれど、ちゃんと音楽になっているし、リズムもあればメロディもある(笑)。オープニングこそドローンじみたはじまりで、北欧の寒々しいランドスケープを想起させるものがあり、あえて00年代のすべてを切り捨てているとはいえないものの、ヘタをするとOMDにさえ聴こえるほどオプティミスティックなシンセサイザー・ミュージックは不況や右傾化が深刻化しているヨーロッパのそれではないし、そもそもユニット名にも合っていない。もしくは所々で差し挟まれるドローンには不安や恐怖などが凝縮されているような面があり、いわば現実とそこからの逃避がある種の葛藤状態にあることを表現しようとしているのかもしれない(し、ミュージシャンのつねで何も考えていないのかもしれない)。

 飽きないというより何度聴いても腑に落ちないアルバムである。あきらかにヨハン・ヨハンソンがイニシアティヴを取っていると思わせる曲もあるし、全体に彼のファンタジックな性格が吉と出たのだろうか、凶だったのか。何かが曲がり角に来ているのだろう(でも、何が?)。

 なお、ビヨークやシガー・ロス以降、急速に細分化が止まらなくなっているアイスランドの音楽シーンについては「アイスランディア」で。

Chart by JETSET 2010.11.01 - ele-king

Shop Chart


1

IFEEL STUDIO

IFEEL STUDIO THE COPTIC SUN »COMMENT GET MUSIC
International Feelから新シリーズ"Ifeel Studio"ファーストです!!レーベル9番のコンピレーションCDにてその全貌がより鮮明なものとなった International Feelに、新シリーズ"Ifeel Studio"が発足。第一弾となる本作へは、カントリー・ムード漂うレイドバック・ギターで織り成す極上のダウンテンポ・ナンバー"The Copic Sun"を収録。片面プレス/限定500枚でのリリースです。

2

DAM FUNK

DAM FUNK ADOLESCENT FUNK »COMMENT GET MUSIC
Funkの申し子、若き日の記録。CDに続いてアナログ2枚組で登場!!先の7"シングル"It's My Life!"、"I Like Your Big Azz (Girl)"も含む全14曲を収録! 当時の熱気が伝わって来そうなジャケも最高です。

3

DENT MAY

DENT MAY THAT FEELING / EASTOVER WIVES »COMMENT GET MUSIC
ダメすぎ込み上げすぎ奇跡のインディ・ブリージン・ブルー・アイド・ソウル。Ariel Pinkに並ぶ天才と言い切りたい!!Paw Tracksからのデビュー・アルバムが当店鬼ヒットしたDent May。Forest Familyからの新曲が到着!!絶対お買い逃しなく。

4

PETAR DUNDOV

PETAR DUNDOV DIATANT SHORES »COMMENT GET MUSIC
ディープ・テック一押し盤!!Sven Vath, Francois K, Ame, Agoriaらがフル・サポート!!'08年リリースの名作"Escapements"で知られるクロアチアン・プロデューサーPeter Dundov最新作が到着。自身の名曲"Oasis"を彷彿とさせる美しいシンセ・ワークを基調としたトランシー・テック、渾身の1トラック収録です。

5

J ROCC

J ROCC PLAY THIS TOO »COMMENT GET MUSIC
正にJ Roccの真骨頂。アルバムからの先行シングルは一撃必殺のファンキー・ブレイクス!更に装飾を削ぎ落としたボーナス・ビート、多国籍感が最高な"Party(Boogie Man Remix)"、パーカシヴなビートが心地よい"Star"の全4曲を収録。

6

DJ NATE

DJ NATE DA TRAK GENIOUS »COMMENT GET MUSIC
リスニングにも断然対応可能なエレクトロニカ・ジューク大傑作アルバム!!UK名門Planet Muが始動したシカゴ・ジューク紹介路線からの1st.LPリリース。ウォンキー・セットとの相性もバッチリのポップなキラー・ジューク満載です!!

7

GUMMIHZ & NIKOLA GALA

GUMMIHZ & NIKOLA GALA SAPFO EP »COMMENT GET MUSIC
エキゾチックでジャジーなモダン・ミニマル・ハウス大推薦盤!!Mobilee、Real Tone等からのリリースで着実に評価を高めるGummiHzと、プログレッシヴ系スタイルからシフトしてきたEscada Music主宰Nikola Galaによるコラボが新レーベルから登場。

8

GANGRENE

GANGRENE SAWBLADE EP »COMMENT GET MUSIC
いや、コレは(文字通り)危険過ぎる! AlchemistとOh Noの新プロジェクト作!来るフルアルバムを前に、サンプリング巧者の二人が最高にロウな4曲+各インストを収録した限定12"をリリース! 切れ味も抜群です。

9

VANDERVOLGEN'S HAUNTED HOUSE

VANDERVOLGEN'S HAUNTED HOUSE BLACKDISCO VOL.9 »COMMENT GET MUSIC
Justin Vandervolgen a.k.a. TBDも遂にBlackdiscoから!!リリースごとに大ヒット御礼のLee DouglasとのユニットTBD、そしてGolf ChannelからのTry To Find Meシリーズを始めとしたリリースも人気のJustin Vandervolgen(ex. !!!)がLovefingers主宰Blackdiscoからまたしても最高の新作をデリバリー!!

10

V.A.

V.A. SPACEBOUTIQUE »COMMENT GET MUSIC
温もりと煌きのアンビエント音響ミニマル・テック超強力トラックス!!Jazzmoonによる極上の10""White Tools"が当店ヒット&定番化しているジャーマン音響ミニマル・ハウスPlaytracksから、素敵過ぎるコンピ12"が到着しました~!!

iLL - ele-king

 90年代のバブル景気の余韻とその崩壊から忍び寄る空虚さ。ゆっくりと変わりゆく時代のなかのほんの一瞬のモラトリアムなムードから生まれたいわゆる「98年世代」を代表するバンドのひとつにスーパーカーがある。
 スーパーカーの魅力には、作品ごとに新たな音楽的邂逅を果たしてきた折衷主義は言うにおよばず、ある種の青春性、青春の蒼さとその煌めきがある。中村弘二の囁くような幽玄とした歌声。石渡淳治の文学的なリリック、フルカワミキがもたらすフェミニンな調和、そしてそれらを天高く昇華させる田沢公大によるダイナミックなビート。個々が描く"アオハル・ユース"な世界観が乱反射するように、バンドは化学反応を起こした。そしてその結果、彼らは「失われた10年を生きるボーイズ&ガールズのピーターパン・シンドローム」そのものを体現したとも言える。僕を含め当時のユースたちは彼らの音楽に自分自身を重ね、永遠の純真無垢を祈っていた。

 バンドは解散し、メンバーも年齢を重ねたことで、その後のソロ・ワークにスーパーカーのような青春性を見出すことはできなくなったものの、イルこと中村弘二の作品にはいまもなお、少年的なところがある。クラフトワークのライヴ盤のタイトルを拝借して自身の新作に使ってしまうように、中村弘二はいまでも純粋に音楽を愛する人間で、彼自身のサイトのレコメンド・コーナーでは、自らが影響を受けた音楽作品などについて少年が初めてロックのレコードを手にした瞬間のように目を輝かせながら語っている。そういった無垢な佇まいと折衷主義的な態度から見える彼の少年性は、スーパーカー時代からまったく変わることがない。

 新作は、前作『∀』に収録の、向井秀徳の歌をフィーチュアリングした"死ぬまでダンス"でも顕著に表れている、ミニマル・テクノ/クリック・ハウスからの影響が色濃く出ている。総じてロッキンなエレクトロ・ハウス仕立ての曲が目立っている。これまでにも"フライング・ソーサー"や"デッドリー・ラヴリー"など、似たような趣向の曲は数多くあった。が、アルバムのタイトルが表している通り、ここに収録された新曲は、どれも音数は必要最小限まで削ぎ落とされている。曲の展開や音色による抑揚の上下も抑えられ、まるで鋭く滑空するために最適なフォルムを突き詰めた飛行機のように美しい流線型を描いている。グランジ調の曲も2曲ほどあるが、そのどちらもミニマルな仕上がりとなっている(このあたりはThe XXからの影響も感じられた)。

 前々作『ロック・アルバム』と前作『フォース』では、往年のスーパーカー・ファンが思わず顔を赤らめてしまうような、初々しいシンプルなギター・ロック調の曲が多く見られた。そのような懐古主義的なものよりも、この新作で表現されている、しっかりと前を向いて前進しようとする冒険的な音楽のほうが間違いなく彼には合っている。「アイ・ワナ・ダンス・ウィズ・ユー」と歌った直後に「アイ・ドント・ワナ・ダンス・ウィズ・ユー」と歌ったり、相変わらず突拍子もないフレーズが多く飛び出すが、それもまた、彼らしいと言えば彼らしい。スーパーカーはもうこの世には存在していないが、中村弘二の音楽は前進している。『ミニマル・マキシマム』を聴きながら「死ぬまでダンス」することに思いを巡らしたい。

DJ MASACO - ele-king

TRIBE/HARDTEK/TRIBECORE 12" Top 10s for October 2010


1
69db & Mc Tablloyd - Rave Roover

2
Yumani - Putain d'Syatem

3
Jt Labo14 - Vitessoox

4
Alryk - Techno Pink

5
Cemtex - Eternal Torment(scratch's by Dj Zeb)

6
Sagsag23 - Sauve Toi

7
Disakortex - Mang ton Disak o Kortex

8
Azhot (xlr) - Bubles

9
Bassmaker - Kawatt

10
Suburbass - Cocaination Was Low Level

Darkstar - ele-king

 思いもよらなかった内容に、最初聴いたときは間違えて別のCDをセットしてしまったのかと思ったほどだ。いやいや、間違っていない、これだ、ダークスターだ。確認してからもういちど聴いてみる。ピアノが鳴り、霊妙なストリングスが聴こえる。彼らは美しいハーモニーを歌っているが、声は悲しみに耽っている。昨年の秋、〈ハイパーダブ〉からリリースした「エイディーズ・ガール・イズ・ア・コンピュータ」でダブステップ・シーンの外側からも惜しみない賛辞をもらったジェームス・ヤングとアイデン・ホエイリーのふたりによるダークスターは、実に思い切ったデビュー・アルバムを完成させた。『ノース』はロンドンのダブステップの激しいビートに背を向けて、北に広がる冷たい蜃気楼を向いている。

 『ノース』というタイトル、そして冷たく人間味を徹底的に欠いた工場の写真をあしらったスリーヴアートが暗示するもの――それはイングランド北部の灰色の工業都市とヒューマン・リーグやOMDといったシンセ・ポップ・バンドである。そして、ダークスターのデビュー・アルバムをジャンル分けするならば、シンセ・ポップとなる。だが、それはあまたに溢れる80年代リヴァイヴァルの最新ヴァージョンというわけではない。ブリアルの真夜中の美学を継承するエレクトロ・ポップであり、ある意味ではイギリスらしいダーク・ミュージックと言える。ダブステップから離れたとはいえダブステップを通過しなければなかったであろう暗い予感に満ちた音楽なのだ。

 それにしても......僕がここで念を押しておかなくてはならないのは、『ノース』は"エイディーズ~"のクラフトワーキッシュな響きに魅了されたリスナーでさえ困惑するかもしれないということだ。メランコリックで陶酔的な"ゴールド"や柔らかい"アンダー・ワン・ルーフ"のようなポップスとしての完成度が高い曲、あるいはザ・XXめいたギター・サウンドの暗い光沢が魅了する"デッドネス"のような曲ならまだしも、ポーティスヘッドの"マシン・ガン"にも似た"トゥ・コーズ"の軍隊めいたビートによる恐怖症的な息苦しさや、トム・ヨークやロバート・ワイアットにも似た"ディア・ハートビート"の悲しみの沼地をゆっくりと歩いていくようなやりきれなさは、誰にとっても親しみやすいものだとは言い難い。最後の曲"ホエン・イッツ・ゴーン"を聴き終えると、リスナーは真っ暗で冷たい地下室に置き去りにされたような気持ちにさせられる。
 アルバムにおいてもっとも明るく輝くのは4曲目に配置された"エイディーズ~"で、僕はこの曲名をある種のジョークであると疑っていなかったのだけれど、しかしアルバムを聴いた後ではそれが洒落ではなかったことを知る。"エイディーの彼女はコンピュータ"とは、真夜中に何時間もパソコンに向かい合っている男の孤独である(それは......言うまでもないことだが、まったく僕自身でもある)。ダークスターはそれを絶妙な切なさでリリカルに描いている。

 『ノース』はブリアルとコード9、あるいはキング・ミダス・サウンドといった〈ハイパーダブ〉のディストピア・ミュージックのリストに載った新たな1枚である。当たり障りのない音楽ではなく、何か突出した感情を秘めた音楽を探している人であるならば、決して悪い気にはならないと思う。

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