「Low」と一致するもの

Brian Eno - ele-king

 今年でアポロ11号の月面着陸から50年……というわけで、ブライアン・イーノがダニエル・ラノワおよび弟のロジャー・イーノとともに1983年にリリースしたアルバム『Apollo: Atmospheres & Soundtracks』がリイシューされることとなった。この時期のイーノといえば「アンビエント」シリーズを終え、並行してやっていたジョン・ハッセルデヴィッド・バーンたちとのコラボも一段落がついたころだ。その過程で関わることになったダニエル・ラノワとは非常に馬が合ったようで、ふたりは『Apollo』を皮切りにハロルド・バッドやマイケル・ブルックとのコラボ、あるいはU2のプロデュースというかたちで共闘関係を続けていくことになる。つまり『Apollo』は「イーノ=ラノワ」コンビの出発点と捉えることも可能なわけだけど、今回の再発にあたりなんと、リイシュー企画の裏側を追ったドキュメンタリー映像が公開された。字幕はないので、頑張って聴きとろう。

※今回のリイシューの日本盤は〈ユニバーサル ミュージック〉より7月19日に発売。ボーナス・ディスクには11曲もの新曲が収められているので、要チェック。
https://www.universal-music.co.jp/brian-eno/news/2019-05-08-release

BRIAN ENO

アポロ11号の月面着陸から50年。
ブライアン・イーノが1983年に発表した傑作
『アポロ』エクステンデッドVer.は絶賛発売中!
アルバム製作のドキュメンタリーがYouTube公開!

1969年の7月、ちょうどアートスクールに通うためにロンドンに移り住んだ時だった。私は教授の隣の部屋に住んでいて、ある日その教授が「彼らが月に着いたよ」って言ったんだ。それから一緒に小さくてぼやけた白黒のテレビの映像を見た。何が素晴らしかったかって……その映像を見て、窓から見える満月を見て思ったんだ。──「なんてこった、これはまさに今、あそこで起こっていることなんだ」って。世界が変わったって思えた瞬間だったよ。

1983年にブライアン・イーノが、彼の兄弟であるロジャー・イーノ、そしてプロデューサーのダニエル・ラノワと共に製作・発表した傑作『アポロ』。
もともと月面開拓のドキュメンタリー映画『宇宙へのフロンティア』のサウンドトラックとして制作され、その後も映画『トレインスポッティング』やロンドンオリンピックの開会式でも使用されるなど、時代を超えた名盤として愛され続けている本作が、オリジナル・アルバムの最新リマスター・ヴァージョンに、11曲の新曲で構成されたボーナス・ディスク(『宇宙へのフロンティア』のサウンドトラックを再構築したもの)を加えられたエクステンデッド・ヴァージョンで登場。

オリジナル・アルバム以来、36年ぶりの実現となったブライアン・イーノ、ロジャー・イーノ、ダニエル・ラノワのコラボレーションを追ったドキュメンタリーが、NASA所有の記録映像と共にYouTubeで公開された。
アポロの月面着陸50周年である2019年。リアルタイムでその瞬間を体感したイーノのインタビューで始まる本映像では、オリジナル・アルバム、そして今回のリイシューを製作する上でどのような過程があったのか、それぞれの言葉で裏付けされることによりさらに深く本作の真髄を感じられる内容となっている。

ドキュメンタリー【Brian Eno on Apollo】
https://www.youtube.com/watch?v=WTxkLGBkcO0

ミュージシャン、プロデューサー、ビジュアル・アーティスト、思想家、活動家……と多くの顔を持つブライアン・イーノ。発売中の『ミュージック・マガジン』8月号の特集「エレクトロニック・ミュージック・アルバム・ベスト100」では、彼の代表作の一つである『Ambient 1: Music For Airtports』(1978)が第1位に選出されている。

 音楽そのものに疑いをもつこと、ジョン・ケージがいまだ影響力があることの理由のひとつだろう。ひとはいつの間にか音楽を小学校で習った譜面の延長のなかでのみ考えがちだが、ケージは音楽がもっと広く自由であることをあの手この手を使って証明した。もっとも有名な“4分33秒”はそのひとつだが、この曲を、〈ミュート〉レーベルが設立40周年のメイン・プロジェクトとしてレーベルのいろんなアーティストにカヴァーしてもらうという、なんともじつに度胸ある企画をやっていることは先日お伝えした通り(https://www.ele-king.net/news/006694/)。
 今回、レーベル創始者のダニエル・ミラー伝説のソロ・プロジェクト、ザ・ノーマルによる“4分33秒”が公開された。

■The Normal「4分33秒」

https://smarturl.it/STUMM433J

 “4分33秒”のカヴァー全58曲収録の『STUMM433』は、10月4日に発売される。おそらくアルバムのトータルタイムは、“4分33秒”×58ということだろう(あるいは、“4分33秒”をたとえば2分で演奏するアーティストはいるのだろうか)。
 なお、『STUMM433』は、ボックス・セットとしてレーベルの通販サイトのみで販売され、LPはダニエル・ミラーのサイン入り限定盤として、CDは5枚組として販売。またデジタル配信(ダウンロード、ストリーミング)は日本の各サイトより購入可能。

■『STUMM433』 購入予約リンク
https://smarturl.it/STUMM433J
・タイトル:『STUMM433』
・発売日:2019年10月4日
・ボックス・セット(LP, CD):MUTEレーベル通販サイト Mute Bankのみで販売
・デジタル配信(ダウンロード、ストリーミング):日本の各配信サイト


photo : Diane Zillmer

 ダニエル・ミラー(レーベル創始者)はこのプロジェクトに関して次のように語っている。「ジョン・ケージの ‘4分33秒’ は自分の音楽人生の中で長い間、重要で刺激を受けた楽曲としてずっと存在していたんだ。MUTEのアーティスト達がこの曲を独自の解釈でそれぞれやったらどうなんだろう?というアイデアは、実はサイモン・フィッシャー・ターナーと話してるときに浮かんだんだよ。私は即座に、これをMUTEのレーベル40周年を記念する”MUTE 4.0 (1978 > TOMORROW) シリーズ”でやったら完璧じゃないか、と思ったんだよ」

 ダニエル・ミラーは、自身のソロ・プロジェクト、ザ・ノーマルの7インチ・シングル『T.V.O.D.’ / ‘Warm Leatherette』を発売するためにMUTEレーベルを1978年に創設した。ザ・ノーマル名義の「4分33秒」は、その7インチ以来、実に41年ぶりの発売となる。彼は今回の楽曲の録音をノース・ロンドンのある場所で行った。 16 Decoy Avenueという住所は、MUTEのファンにとってはレーベル発祥の地としてお馴染みの場所である。


■サイモン・グラントのアート作品

 今回、各アーティストが自身の作品とともにビジュアルも作成しており、MUTE所縁のデザイナー28名がそれぞれ「4分33秒」から発想を得たアートワークを披露している。その中の一部を紹介すると、サイモン・グラント、彼は初期MUTE作品、ザ・ノーマルやファド・ガジェット、それにデペッシュ・モード等のアートワークを担当。スティーヴ・クレイドン、Add N To (X)のメンバーでもある彼はゴールドフラップのデザインを担当し、スリム・スミス、彼は1980年代から90年代を通してMUTEと仕事を共にした。マルコム・ギャレットはヴィンス・クラークとマーティン・ウェア(ザ・クラーク・アンド・ウェア・エクスペリメント)のハウス・オブ・イラストリアスのボックス・セットのデザインを担当し、トム・ヒングストン、彼はこれまでイレイジャーと仕事を共にし、2000年台初頭よりニック・ケイヴ・アンド・ザ・バッドシーズやグラインドマンのアートワークを担当している。アントン・コービン、彼は特にMUTEとの距離も近く、1980年代初頭からデペッシュ・モード、ニック・ケイヴ・アンド・ザ・バッド・シーズ、それにファド・ガジェット等と数多くの仕事を行っている。

 ヴァイナルのボックス・セットにはキャンドルセットが付属し、そのデザインは著名なシックス・センツ・パルファンのジョセフ・クオルターナが「4分33秒」から発想を得て作成したものである。彼は古い木造の劇場の中で光る一瞬の閃光をイメージした。それはコンサートの余韻を比喩的に表したものであり、静寂の香りとは?という問いに答えたものである。

 この作品から発生する純利益は英国耳鳴協会とミュージック・マインド・マターへ寄付される。この団体が選ばれた理由として、インスパイラル・カーペッツの創設メンバーでもあるクレイグ・ギルが、自身の耳鳴りの影響による心身の不安から不慮の死を遂げたことが挙げられている。このボックスセットは2019年5月にリリース予定、詳細はここ数ヶ月後にアップデートされていく。

■公開済み映像

ライバッハ 「4分33秒」
ザグレブにあるHDLU’sバット・ギャラリー・スペースで行われたインスタレーション「Chess Game For For」開催中に撮影・録音され、クロアチアのパフォーマンス・アーティストのヴラスタ・デリマーとスロヴェニア製の特製空宙ターンテーブルをフィーチャーした作品だ。

■「STUMM433」参加アーティスト一覧
A Certain Ratio, A.C. Marias, ADULT., The Afghan Whigs, Alexander Balanescu, Barry Adamson, Ben Frost, Bruce Gilbert, Cabaret Voltaire, Carter Tutti Void, Chris Carter, Chris Liebing, Cold Specks, Daniel Blumberg, Depeche Mode, Duet Emmo, Echoboy, Einstürzende Neubauten, Erasure, Fad Gadget (tribute), Goldfrapp, He Said, Irmin Schmidt, Josh T. Pearson, K Á R Y Y N, Komputer, Laibach, Land Observations, Lee Ranaldo, Liars, Looper, Lost Under Heaven, Maps, Mark Stewart, Michael Gira, Mick Harvey, Miranda Sex Garden, Moby, Modey Lemon, Mountaineers, New Order, Nitzer Ebb, NON, Nonpareils, The Normal, onDeadWaves, Phew, Pink Grease, Pole, Polly Scattergood, Renegade Soundwave, Richard Hawley, ShadowParty, Silicon Teens, Simon Fisher Turner, The Warlocks, Wire, Yann Tiersen

■MUTE 4.0 (1978 > TOMORROW) シリーズ
https://trafficjpn.com/news/mute40/

mute.com

OGRE YOU ASSHOLE - ele-king

 嬉しいお知らせです。9月4日、オウガ・ユー・アスホールが3年ぶりのニュー・アルバムをドロップします。心機一転、新たにスタートしたレーベル〈花瓶〉からのリリース。タイトルは『新しい人』ということで、どうしてもフィッシュマンズを思い出してしまいますが、いったいどんな想いが込められているのでしょう。
 なお全国ツアーの開催も決定しており、9月末から11月頭にかけて全国6都市をまわります。ちなみに新たなアーティスト写真は、撮影を塩田正幸が、アート・ディレクションを紙版ele-kingでおなじみの鈴木聖が担当しているとのことで、ヴィジュアル面にも注目です。ひとまずは8月7日に先行配信される新曲“さわれないのに”を待ちましょう。

[8月7日追記]
 ついに来ました。新曲“さわれないのに”が本日リリース、MVも公開されています。配信はこちらから。

[9月13日追記]
 先日発売されたばかりのニュー・アルバム『新しい人』、そこに収録された“朝”のライヴ映像が公開されました。バンドは9月29日から11月4日にかけてリリース・ツアーをおこないます。詳細は下記より。

半分現実 半分虚構
OGRE YOU ASSHOLE の新しい感覚の音楽。
三年ぶりとなる NEW ALBUM にして最高傑作『新しい人』発売決定。

メロウなサイケデリアで多くのフォロワーを生む現代屈指のライブバンド OGRE YOU ASSHOLE の三年ぶりとなる NEW ALBUM 『新しい人』が9月4日にリリース決定。
それに伴い全国6カ所をまわるリリースツアーの開催も決定。
ツアーファイナルはEXシアター六本木にて開催。
また8月7日にはアルバム発売に先立って収録曲“さわれないのに”の先行配信とMVが公開。

本作には、シンセポップ、ファンカラティーナ~ミュータント・ディスコのエッセンスを含んだ多幸感と虚無感が共生するダンスサウンドやメロウでメディテーショナルなスローナンバー等が収録。
心地よいサウンドスケープに無意識に引き込まれ、たどり着く先にある世界は……
サウンド・歌詞共にバンドの可能性を更に広げる最高傑作が完成。
レコーディング、ミックス、マスタリングは前作同様、バンドを熟知するエンジニア中村宗一郎が担当。

同時に初公開となる新しいアーティスト写真は撮影を塩田正幸、アートディレクションを鈴木聖が担当。

OGRE YOU ASSHOLE
新しい人
2019年9月4日 (水) 発売
金額:¥2,700 (税別)
Label:花瓶
品番:DDCB-19005
収録曲:後日発表

収録曲『さわれないのに』8月7日 (水) 先行配信

OGRE YOU ASSHOLE『新しい人』release tour

9月29日 (日) 松本ALECX
 前売 ¥3,900 / 当日 ¥4,400 (ドリンク代別)
 松本ALECX:0263-38-0050
10月6日 (日) 梅田TRAD
 前売 ¥3,900 (ドリンク代別)
 GREENS:06-6882-1224
10月12日 (土) INSA福岡
 前売 ¥3,900 (ドリンク代別)
 BEA:092-712-4221
10月22日 (火・祝) 名古屋 CLUB QUATTRO
 前売 ¥3,900 (ドリンク代別)
 JAILHOUSE:052-936-6041
10月26日 (土) 札幌 Bessie Hall
 前売 ¥3,900 / 当日 ¥4,400 (ドリンク代別)
 WESS:011-614-9999
11月4日 (月・祝) EX THEATER 六本木
 前売 ¥4,200 / 当日 ¥4,700 (ドリンク代別)
 HOT STUFF PROMOTION:03-5720-9999

◆オフィシャルHP先行 (e+ / 1人4枚まで)
https://www.ogreyouasshole.com/
7/19 (金) 22:00 ~ 7/29 (月) 23:59

◆PG(各イベンター)先行
後日詳細発表

◆一般発売
松本、大阪、福岡公演:8/10 (土)10時~
名古屋、札幌、東京公演:8/24 (土)10時~

OGRE YOU ASSHOLE Profile
出戸学 (Vo,Gt) / 馬渕啓 (Gt) / 清水隆史 (Ba) / 勝浦隆嗣 (Dr)

メロウなサイケデリアで多くのフォロワーを生む現代屈指のライブバンド OGRE YOU ASSHOLE。
00年代USインディーとシンクロしたギターサウンドを経て石原洋プロデュースのもとサイケデリックロック、クラウトロック等の要素を取り入れた『homely』『100年後』『ペーパークラフト』のコンセプチュアルな三部作で評価を決定づける。
初のセルフプロデュースに取り組んだ前作『ハンドルを放す前に』ではバンド独自の表現を広げる事に成功し高い評価を得る。
2010年 全米・カナダ18ヶ所をまわるアメリカツアーに招聘される。
2014年 フジロックフェスティバル ホワイトステージ出演。
2018年 日比谷野外音楽堂でワンマンライブを開催。
https://www.ogreyouasshole.com/

Pasocom Music Club - ele-king

 昨年『DREAM WALK』で一気にその名を轟かせた関西のDTMユニット、パソコン音楽クラブが9月4日にセカンド・アルバム『Night Flow』をリリースする。去る5月には Native Rapper の名ダンス・チューン“TRIP”をスウィート・エクソシストばりにブリーピィに再解釈した、あまりに切ないリミックス(とくにインストがヤヴァい)を発表している彼らだけに、いったいどんなサウンドに仕上がっているのか、いまから非常に楽しみだ。リリース・ツアーも決まっているので、下記より詳細をチェック。

tofubeatsも大注目する「パソコン音楽クラブ」、ゲストボーカルにイノウエワラビ、unmo、長谷川白紙、マスタリングエンジニアには得能直也氏を迎えた1年ぶり待望のセカンド・アルバム遂にリリース! トレーラーも公開!!

関西発DTMユニット・パソコン音楽クラブ。2015年11月に結成。80年代後半~90年代の音楽モジュールやシンセサイザー、パソコンで音楽を製作。ロング・ヒットした前作をより深化させてポップ・チューンが満載。ゲストボーカルにイノウエワラビ、unmo、長谷川白紙、マスタリングエンジニアには、tofubeats、cero、石野卓球等を手掛ける得能直也氏を迎えた快心作が遂に完成!! 今年のサマー・アンセム!

夜から朝までの時間の流れにおける感覚の動きを描いた9曲入りの2ndアルバムです。

時間の経過とともに、夜が深まり、日を跨いで朝になるまで、見知ったはずの街並みは刻一刻と表情を変え、その中にいる僕たちの感覚も変化していきます。僕たちは夜を歩き、その特別さへの高揚感、底知れなさへの不安感を覚えます。最後に朝になり、再びいつもの世界へと戻るとき、僕たちの感覚は新しいものへと移り変わっているように思います。 前作『DREAM WALK』では記憶やイメージに焦点を当てましたが、今作はもっと現実と地続きに感じる異質さ、日常的なものが特異になる様子に着目しました。
──パソコン音楽クラブ

アルバム・トレーラー映像
https://www.youtube.com/watch?v=30kmoqeb7MQ

■商品情報
アーティスト:パソコン音楽クラブ
アーティスト かな:パソコンオンガククラブ
タイトル:Night Flow
タイトル かな:ナイトフロウ
発売日:2019年9月4日
定価:2,000円+税
JAN:4526180491194
仕様:CD1枚組
レーベル:パソコン音楽クラブ

収録曲:
1. Invisible Border (intro)
2. Air Waves
3. Yukue [vocal:unmo]
4. reiji no machi [vocal: イノウエワラビ]
5. Motion of sphere
6. In the eyes of MIND [vocal: イノウエワラビ]
7. Time to renew
8. Swallowed by darkness
9. hikari [vocal: 長谷川白紙]

■パソコン音楽クラブ
https://pasoconongaku.web.fc2.com/Index.html

プロフィール
2015年結成。“DTMの新時代が到来する!”をテーマに、ローランドSCシリーズやヤマハMUシリーズなど90年代の音源モジュールやデジタルシンセサイザーを用いた音楽を構築。2017年に配信作品『PARKCITY』を発表。tofubeatsをはじめ、他アーティスト作品への参加やリミックス、演奏会、ラフォーレ原宿グランバザールのTV-CMソングなど幅広い分野で活動。2018年6月に自身初となるフィジカル作『DREAM WALK』をリリース。

Andrew Weatherall - ele-king

 言わずもがな、80年代からDJとして活躍し、数々のリミックスやプロダクションで名を馳せ、セイバーズ・オブ・パラダイスやトゥ・ローン・スウォーズメン、ジ・アスフォデルスなど多くのプロジェクトで素晴らしい音楽を生み出し続けてきたヴェテラン、ポスト・パンクとハウスとの間に橋を架けたUKテクノ番長、アンドリュー・ウェザオールが久方ぶりの来日を果たす。表参道のヴェニュー VENT の3周年を祝うパーティ《VENT 3rd Anniversary》の一環として開催される《Day2》への出演で(サークル・オブ・ライヴを迎える《Day1》についてはこちらから)、なんとオープンからクローズまでひとりでロングセットを披露するのだという。と、とんでもない。いま彼がどんな音楽に注目しているのか確かめる絶好の機会でもあるので、8月24日は予定を空けておきましょう。

伝説! Andrew Weatherall が表参道VENTの3周年パーティーDay2で、オープン・トゥ・ラストのロングセットを披露!

国内屈指のサウンドシステムと、こだわり抜いたブッキングで日本のナイトシーンに一石を投じてきた表参道VENT。8月17日と24日に3周年パーティーを開催! 8月24日のDay2には現代のミュージックシーンに計り知れない影響を及ぼしてきたリビングレジェンド、Andrew Weatherall (アンドリュー・ウェザオール)がオープン・トゥ・ラストのロングセットで登場!

Andrew Weatherall ほど多岐にわたる音楽ジャンルに影響を及ぼしてきたアーティストもなかなかいないだろう。10代の頃からポップカルチャー全体に傾倒し、音楽と洋服と本と映画に夢中になっていたという。音楽制作を始めてからは、ずば抜けた才能を発揮し、New Order、My Bloody Valentine、Primal Scream、Paul Weller、Noel Gallagher、Happy Monday などの制作に関わったり、リミックスを提供。デビュー前の The Chemical Brothers や Underworld などの素晴らしい才能をいち早く発掘したのも Andrew Weatherall 達だった。

アナログレコードをこよなく愛し、今でも幅広い音楽ジャンルのDJプレイを披露している。ロカビリーからテクノまでをプレイする、Andrew Weatherall にとっては音楽ジャンルの壁などは無いに等しい。数々の革命を音楽業界に巻き起こしてきた、真のイノベーターと共に迎えるVENTの3周年パーティーに乞うご期待!

更に超豪華特典! VENTの3周年を祝して Andrew Weatherall が、最新の Mix を2本提供してくれました!

・Mix #1はこちらでお楽しみ下さい!
Andrew Weatherall VENT 3rd Anniversary Mix #1
https://soundcloud.com/vent-tokyo/andrew-weatherall-vent-3rd-anniversary-mix-1

・Mix #2はVENTのメールマガジンに登録してくれたお客様にダウンロードリンクをお送り致します。
https://vent-tokyo.net/
こちらのトップページ中段にあるフォームにてご登録下さい。
※ 不定期にVENTの最新情報をお送り致します。

ピータールー マンチェスターの悲劇 - ele-king


 「やあ、来たのか?」「これを見逃すものか!」
 ──これは来月公開されるイギリス映画『ピータールー』の一場面。サブタイトルは「マンチェスターの悲劇」。ちょうど200年前の夏、英国で起きた出来事を『ヴェラ・ドレイク』や『ターナー』のマイク・リー監督が再現した155分の大作だ。

 1819年8月16日、イギリス・マンチェスターの聖ピーター広場には6万人もの人が集まっていた。晴れ着を着て、近隣、遠方の町から何時間もかけてやってきたのは日に焼けた顔の貧しい労働者たちだ。この集会のテーマは、貴族に独占された議会の改革と全男性国民の参政権獲得を訴えることである。
 時代は、フランス革命から30年、ヨーロッパ中を巻き込んだナポレオン戦争(ワーテルローの戦い)から4年、まだ戦争の傷は生々しい上、英国ではとくに北部を襲う貧困と労働者の搾取、小麦の高騰などが人びとを苦しめ、怒りがじわじわと広がっていた。ロンドンの中央政府は「(フランスから感染した)革命というコレラ」を防ぐため、法改正や軍事を含むあらゆる方策を練っていて、一方、民衆運動は各地で盛り上がりつつあるという頃。労働者にも選挙権があれば国を変えられる、「目的は自由の回復だ。自由か死か、だ! 無気力を捨てよう」「もう餌食になってはいけない。赤ん坊を泣かせておいてはいけない!」「大木はどんぐりから生まれるんだ。自由になろう!」「我々を食い物にしている圧政者から人生を取り戻そう」等々──熱のこもった街頭での演説が、自分を無力と決めつけていた人びとの気持ちを変えていく。そして、「いまは時代が悪いだけ」という諦めが少しずつ消えてゆく。

 政府や義勇軍(私軍)に付け入る隙を見せてはいけない、弾圧の口実を与えてはいけないと、集会主催者たちは徹底的に暴力の可能性を排除する。広場の石をすべて取り除き、参加者が自衛のために持つ棍棒を取り上げる。「上品に振舞おう、見返してやろう。与えてもらうんじゃない。英国人として持っている本来の権利を取り戻すだけだ。さあ、晴れ着を着て広場へ行こう」
 休みなくこき使われ、給料は雀の涙。顔も爪も真っ黒に汚れ、でもどうにもできないと諦めていた200年前のマンチェスターの人びとが、ついに広場にたどり着いたとき、自分と同じ人たちに出会う。出会っただけで、汚れた顔が自然にほころび、笑みがこぼれる。なけなしのパンを分け合って、どこから来たのかと尋ねあい、私は孤独ではないんだと本当に気づく。
 

 今年の春、私はフランスの民衆運動「黄色いベスト」の本を編集したのだが、そういえば、そこでも同じ話が出てきた。田舎の貧しい中高年労働者たちは、黄色いベストを着て町外れのロータリーに集まり、同じ悩みや不安を話し合うことで、もう孤独ではないことを知ったという。
 政治集会でなくてもいいとは思う。それでも、参加者みんなが「未来を変えよう」という気持ちを持っているのは政治集会ならではの華やぎがある。
 なるほど。古来、政治集会には、晴れ着でいくものなのだ。
 この映画を試写会最終日に見たその日の夕方、私は品川駅前広場に少しずつ増えてくる人を見ながら、午前中に試写室で聞いた「これを見逃すものか!」というセリフを口にしていた。「これ」とは、れいわ新選組の「れいわ祭り」のことだ。

 山本太郎が自分の新しいパーティに「れいわ新選組」と名付けたとき、正直言って私はがっかりした。彼については他にもいくつかがっかりしたことはある。けれども比例名簿の候補者が決まっていくにつれ、それらの「がっかり」が小さいことに思えてきた。
 そもそもこれまでインターネットの国会中継で何度も見てきたのは、山本太郎が「もっとも力を持たない人」を擁護する場面だった。国会での山本議員は、公園で野宿するホームレスや入国管理局の収容所で虐待される外国人、原発事故の影響で政府の援助を受けられず自主避難する人びと、生活保護をカットされる困窮者など、選挙権も持たない、あるいは政治どころじゃない、明日の命も不安な人たちの代弁ばかりしていた。政治家にしてみれば、選挙でもっとも票に繋がらない人びとだ。
 そして、今回の選挙で比例名簿の特定枠(優先枠)に、ALS患者と重度障害者という2人の車椅子生活者を擁立した。今回の参議院選挙では性的マイノリティをはじめさまざまな立場での少数者が「当事者」として立候補している。私は必ずしも「当事者」であることが金科玉条とは思っていない。「人はみんな違う」と「人はみんな同じ」はたいして違わない。どっちにしても「だから、1人1人に権利がある」わけで、どの「当事者」であろうと、社会が全体として重要視する大きな価値は共有できる。
 とはいえ、象徴的な「当事者」が、多くの「1人1人」に示唆を与えてくれるということは大いにありうる。そして、山本太郎が作った候補者名簿は、本当に厳選された象徴的な「当事者」がずらりと並んでいる。とくに特定枠の2人が国家議員になったら、日本の国会は物理的に大きく変わらなければならない。スペースのバリアフリーはもちろん、国会議員は介護者とともに行動する自由を得るだろう。その動きは国会だけでなく、日本全土に広がらざるを得ない。それが実現した日本社会を想像してみよう。間違いなく、いま(たまたま)健康な体で暮らしている人たち「にも」さらに暮らしやすい社会になっているはずだ。例えば、自転車で往来しやすいだとかね。
 「やあ、来たね!」「これを見逃す手はないよ」──そんな気分で、政治集会に来た。このグループの主張はどれも、「現在いちばん力を持たない人を先に助ける」ことから出発している。
 例えば東京オリンピック招致を批判しつつ、その開催を盾に取り、「五輪憲章の人権条項を守って、入管収容所での虐待をやめるよう法務大臣に言ってくれ」と、なんども五輪大臣に食い下がる姿からは、使えるものはなんでも使って目的に近づこうとするプラグマティストだ。細かい話だが、比例名簿の「特定枠」は、自民党のご都合主義による新制度で山本太郎も反対したはずだが、いざ選挙となったら率先して使っている。しかも、自民党が想定していたような保身的手法ではなく、選挙後の国会に大きなインパクトをもたらす使い方でだ。なんというか、存在する制度の力を最大限に増幅させるやり方で使ってしまう、きっとこういうのをこそプラグマティズムというのだ。

 この数年、「右か左かではなく、上か下かだ」というスローガンは日本でもよく使われる。けれども、「右か左かではなく」は言うより難しいようで、私が見るところ、たいがいはその政治家(政党)のパプリックイメージによる左右評価の固定化を逃れるための言い訳に使われている。ちょっと教養があって、これまでの政治史やその文脈を知っている頭では、なかなか左右軸から逃れることはできない。しかし私は、ある政治家が保守なのか革新なのか、自由主義なのか復古主義なのか、などということはどうでもいい。少なくとも、そのような言葉で自分自身を説明しようとする政治家には興味はない。そのようなことは、その政治家が主張する政策や思想から有権者が判断することではないか。細かい政策のいちいちではなく、思想を表してほしい。もちろん政策の蓄積によって表す人もあろうし、国会質問からそれが伝わる人もいる。ところが山本太郎の「左右ではなく、上下」はきっちり言葉通りだ。「左右」は彼の話題にも出ない。頭のなかにはたぶん本当に「上下」しかないのだろう。
 山本太郎の今回の比例名簿は、その意味で、彼の思想の表現だと私は思う。生きるためにもっとも他人の手助けとコミュニケーションを必要とし、ただ生きる、ということを、おそらくは誰よりも考えてきたであろう2人の候補者をはじめ、国会や永田町に、この日本の社会全体に、違和感を与えて余りあるメンバーを並べ、「あなたの星を探して。きっとこのなかにいる」という。これは哲学的な問いかけだ。そうして、この「当事者」たちは、単にマイノリティーの代表から、ある思想を共有しようではないかという呼びかけに変わる。これが山本太郎の今回の「選挙運動」だと、私は理解した。

 さて、映画『ピータールー』は6万人の控え目で晴れやかな希望が上品に最大限に膨らむのを見届け、一気に「悲劇」へと向かう。英国史上、最悪の政治的虐殺事件と言われるものだ。馬上からサーベルを振りおろしたのは、「革命というコレラ」を恐れた政府が用意した過剰警備の機動隊だ。いつも民衆は負け続けている。一時期は勝っても、最終的には負ける。いや、しかしそれは「最終」ではない、のだ。
 現にこの悲劇をきっかけに、事件を目撃した人たちによって、志のある革新的な新聞『ザ・ガーディアン』が創刊される。そしてこの後、イギリス各地で幾度も民衆は蜂起して、労働者の権利とイギリス国民として当然の権利を手にしていくことになる。さらに、いまもブレグジットをめぐる運動や「絶滅への反逆(Extinction Rebellion)」と言われるものなど蜂起は続いている。

 品川駅港南口広場で3時間楽しんだ「れいわ祭り」からの帰り道、私が歌っていたのはこれだ。

〜イキがったりビビったりしてここまで来た ツアーがどこへいくのか 誰も知らない 子供騙しのモンキービジネース まともな奴は一人もいねーぜ〜Yeah!!
RC SUCCESSION“ドカドカうるさいR&Rバンド"

 山本太郎の演説はすごい。会場ではハンカチで涙を拭っている聴衆もいる。私もユーチューブで聞いたスピーチで何度も涙ぐんだことがある。一方で、「できもしないことで気をひくホラ吹き、ポピュリスト、ファシスト」等々、批判も事欠かない。れいわ新選組の経済政策が本当に正しいのかどうか、私にはわからない。そんなことわかるはずがないじゃないか。けれども、彼らが目指そうという方向に、私も行きたいと思った。いちばん弱いものが生きられる社会。言い古された理想だが、山本太郎の作品である比例名簿は、そちらを指差しているのではない?  ダメでもまた起きるだけさ。

Bon Iver - ele-king

 深刻な対立が今日も誰かと誰かを引き裂いている2019年に「人びと」というコンセプトをあらためて掲げるということ。音楽を、アートを、文化を、仲間たちやまだ見ぬ誰かとシェアしようとすること。それは彼の尽きない理想主義の表れである。
 先日新曲を発表したボン・イヴェールだが、ついにアルバムのリリースが発表された。タイトルは『i, i』。ジャスティン・ヴァーノンは「ひとそれぞれでいかようにも意味を持ちうる」というように説明している。僕の解釈はこうだ──異なる存在のそれぞれ独立した「わたし」が、同じ場所に立とうとすること。

 併せて新曲がまた2曲発表されたが、どちらでも非常にボン・イヴェールらしい、しかし確実に新しい音を聴かせてくれる。断片化したフレーズがアブストラクトなアンビエントとして統合されていく“Jelmore”、叙情的なフォークがやがてダイナミックに躍動する“Faith”。盟友BJバートンとの共同プロデュースのもと、大胆なサウンドの実験と「人びと」が参加する美しい歌への挑戦は続いているようだ。

Jelmore

Faith

 ヴァーノンが「もっとも大人のレコード」だという『i, i』は初秋を思わせる作品でもあるという。ファーストは冬のアルバムだった。季節は流れ、やがて眩しい夏も終わって、豊かな色彩に満ちた秋がやってくるだろう。(木津毅)

2019年を象徴する1枚。前作『22, A Million』から3年、現行のミュージック・シーンを牽引し、更新し続けるボン・イヴェール、待望のニューアルバムがリリース。

BON IVER "i, i"】
2019.8.28 ON SALE[日本先行発売]

アーティスト:BON IVER(ボン・イヴェール)
タイトル:i, i(アイ、アイ)
品番:JAG350JCD
定価:¥2,400+税
その他:解説/歌詞/対訳付、日本先行発売、日本盤オリジナル・アートワーク
発売元:ビッグ・ナッシング/ウルトラ・ヴァイヴ
収録曲目:

01. Yi
02. iMi
03. We
04. Holyfields
05. Hey, Ma
06. U (Man Like)
07. Naeem
08. Jelmore
09. Faith
10. Marion
11. Salem
12. Sh'Diah
13. RABi

●2016年リリースの『22, A Million』から3年、Bon Iver から待望の新作『i, i』が届けられる。ウィスコンシン州出身のシンガー・ソング・ライター= Justin Vernon のソロ・プロジェクトとして始まった Bon Iver は08年にデビュー・アルバム『For Emma, Forever Ago』を発表し世界中の音楽メディア、批評家、アーティストから絶大な指示を獲得した。また同じく08年にリリースした「Blood Bank」(EP)では収録曲の“Woods”を後に Kanye West がサンプリングし話題に。続くセカンド・アルバム『Bon Iver, Bon Iver』(2011年)は米 Pitchfork にて9.5/10点を獲得し、全米初登場2位、全英初登場4位を記録。12年第54回グラミーでは最優秀新人賞と最優秀オルタナティヴ・ミュージック・アルバム賞を受賞。16年にリリースした『22, A Millian』は全米、全英チャートで2位を記録したのを始め世界各国のチャートで軒並み上位にランクインしている。またその独創的でユニークなアプローチや表現は、作品を出す毎にメインストリームにまで影響を与えてきている。

●近年 Justin はコミュニティ・ミュージックを標榜し、アーティスト集団とも言える“PEOPLE”を創設、またそこから派生したTHE NATIONAL の Aaron Dessner とのプロジェクト、Big Red Machine で作品を発表したりフェスティバル、EAUX CLAIRES を主催したりと様々なコラボレーションを行なってきた。『i, i』はマスター・コラボレーターとしての Justin Vernon の理想や創造性が最大限に表現された作品になっている。本作の制作の前にテキサス州の広大な農地に新たに Sonic Ranch というスタジオを作り、新しい環境でバンドメンバーを始め多くのコラボレーターと共に作業を進め、インスピレーションや文化的異種交配、他分野のクリエイティブな結合が生まれることを目指した。

●本作のリリースにあたりオフィシャル・プレス・リリースでは Bon Iver のこれまでの軌跡を季節の流れになぞらえて表現してる。心の張り詰めた北部の冬の孤独の如き『For Emma, Forever Ago』、希望と活力に溢れる春の訪れのような『Bon Iver, Bon Iver』、焼け付くような夏の気が狂ったエネルギー『22, A Million』、そして『i, i』でそのサイクルが完結する。秋色で、瞑想に耽った、深く沁み入るアルバム。円熟。実りの季節。Justin という一人の音楽家が自身と向き合い、多くの仲間と支え合いながら限りなきアメリカン・ミュージックの恩恵を得、結実した豊潤で荘厳な世界。2019年を象徴する名作の誕生です。

■More Info:https://bignothing.net/boniver.html

Ken Ishii - ele-king

 先日の《HARDCORE AMBIENCE》にゲスト出演、主催の Nyantora および duenn とともに素敵なセッションを披露してくれたケンイシイ。1993年の名作『Garden On The Palm』の日本盤が出たのは翌94年だから、今年は彼の日本デビュー25周年ということになる。そんな記念イヤーにふさわしく、今秋にはケンイシイ待望のニュー・アルバムがリリースされる。ずっと精力的に活動を続けている彼だけれど、単独名義でのアルバムはじつに13年ぶりだ。そして本日、同作から新曲“Green Flash”の配信が開始された。

 またそれと同時に、ケンイシイが担当したバンダイナムコのVR「アスレチックVR PAC-MAN CHALLENGE」のテーマ曲“The World of PAC-MAN”も配信がスタート。『パックマン』といえば、誰もが知るゲーム・サウンドのクラシック中のクラシックだけれど(『ゲーム音楽ディスクガイド』をお持ちの方は8頁と254頁を参照)、それがいま新たにケンイシイの手によって現代的に蘇っている。

 日本デビュー25周年を迎えるケンイシイ、今後の動きから目が離せそうにない。

KEN ISHII、新作アルバムから先行でスペインのスターDJ “DOSEM”とのコラボレイト曲を配信開始。「アスレチックVR PAC-MAN CHALLENGE」のオフィシャル・テーマ曲も同時に配信開始。

今年、日本デビューから25周年目を迎えるDJ/テクノアーティストの KEN ISHII が、オリジナル・アルバムとしては前作より13年ぶりとなる新作アルバムを、今秋リリースすることが決定。このアルバムからスペインの人気DJ/プロデューサーである DOSEM とのコラボレイト曲 KEN ISHII with DOSEM “Green Flash”の先行配信を開始しました。

KEN ISHII with DOSEM - GREEN FLASH
https://youtu.be/pOPHKDL9fF4

以前からケンイシイへのリスペクトを公言している“カタルーニャの太陽”と呼ばれるスペインのスターDJ、DOSEM 本人からコラボレイトについてのコメントが寄せられているので紹介します。

ケンの音楽に触れたのは、僕の故郷、ジローナにあるクラブ La Sala del Cel で、もう何年も前のこと。

『Jelly Tones』や『SUNRISER』など彼の作品が持つ独自な音楽スタイルと同じくらいにその時最も印象に残ったことは、彼のDJテクニックと機材を前にした(DJブースに立った)時の彼のカリスマ性だ。

やがて僕達は互いに知り合いコラボレーションする機会を得た。彼の様なキャリアを持つアーティストと一緒に仕事をすることができたことを誇りに思うよ。

一方、僕は日本の文化全般を愛しているが、ケンはその中における真の音楽的アイコンだ。彼の新しいアルバムでコラボレーションすることについて話したとき、面白い何かが出来ることを確信したし素晴らしいアイデアだと思った。そしてコラボレイトの結果についても嬉しく思うよ。この曲は2人それぞれの個性を感じさせる曲となっているんだ。

ケンイシイのニュー・アルバムのための僕たちのコラボをチェックして欲しい。皆が気に入ってくれることを願っているよ!!

──DOSEM

この曲で片鱗を覗かせたに過ぎませんが、新作アルバムへの期待がいやが上にも高まります。

そしてさらに本日、KEN ISHII によるもうひとつの新曲“The World of PAC-MAN (Official Theme Song for PAC-MAN CHALLENGE)”の配信も開始しました。こちらは株式会社バンダイナムコアミューズメントが開発した、最新のVRデバイス「Oculus Quest」を用いたVRアクティビティ「アスレチックVR PAC-MAN CHALLENGE」(パックマンチャレンジ)のテーマ曲。

1980年に登場後、日本のみならず世界中から愛されているパックマンのおなじみのゲーム・サウンドが、ケンイシイの手によりフューチャリスティックでポップなテクノミュージックへと生まれ変わりました。

KEN ISHII - The World of PAC-MAN
https://youtu.be/MhGXs7xeYVU

「アスレチックVR PAC-MAN CHALLENGE」は、プレーヤー自身がパックマンになり、ゴーストから逃げながら全身でクッキーを集めてラウンドクリアを目指すアクティビティで、本日7月12日(金)に、東京・池袋のサンシャインシティにオープンした「アニメとゲームに入る場所MAZARIA(マザリア)」、また大阪・梅田の「VR ZONE OSAKA」で体験できます。

【リリース情報】

「Green Flash」(先行配信 EP)
1. Ken Ishii with Dosem - Green Flash (Original Extended Mix)
2. Ken Ishii with Dosem - Green Flash (Dosem Remix)

音楽配信サイト リンクまとめ
https://linkco.re/GyB96PEG

「The World of PAC-MAN」(「アスレチックVR PAC-MAN CHALLENGE」オフィシャル・テーマ曲)
1. The World of PAC-MAN (Official Theme Song for PAC-MAN CHALLENGE)
2. The World of PAC-MAN (Original Mix)

音楽配信サイト リンクまとめ
https://linkco.re/PZUb2Ms9

【アーティスト情報】

KEN ISHII(ケンイシイ)
アーティスト、DJ、プロデューサー、リミキサーとして幅広く活動し、1年の半分近い時間をヨーロッパ、アジア、北/南アメリカ、オセアニア等、海外でのDJで過ごす。’93年、ベルギーのレーベル〈R&S〉からデビュー。イギリス音楽誌『NME』のテクノチャートでNo.1を獲得、’96年には『Jelly Tones』からのシングル「Extra」のビデオクリップ(映画『AKIRA』の作画監督/森本晃司監督作品)が、イギリスの「MTV DANCE VIDEO OF THE YEAR」を受賞。’98年、長野オリンピック・テーマインターナショナル版を作曲し、世界70カ国以上でオンエア。2000年アメリカのニュース週刊誌『Newsweek』で表紙を飾る。’04年、スペイン・イビサ島で開催の《DJ AWARDS》で BEST TECHNO DJ を受賞し、名実共に世界一を獲得。’05年には《愛・地球博》で政府が主催する瀬戸日本館の音楽を担当。一昨年は《NINTENDO SWITCH Presentation》に出演。全世界配信され、数百万人の人達が DJ PLAY を目の当たりにした。更にはベルギーで行われている世界最高峰のビッグフェスティバル《Tomorrowland》に出演も果たす。今年2019年は13年振りとなるオリジナル・アルバムをリリースするなど様々なプロジェクトを予定している。

https://kenishii.com
facebook.com/kenishiiofficial
twitter.com/K_Ishii_70Drums
https://soundcloud.com/ken-ishii-70drums

【施設情報】

『アニメとゲームに入る場所 MAZARIA(マザリア)』
営業時間:10:00~22:00(最終入場21:00/不定休)
住所:東京都豊島区東池袋3-1 サンシャインシティワールドインポートマートビル3階
https://bandainamco-am.co.jp/others/mazaria/

『VR ZONE OSAKA』
営業時間:11:00~22:30(最終入場21:30)
住所:大阪府大阪市北区角田町5-15 HEP FIVE 8F、9F
https://vrzone-pic.com/osaka/

Stereolab - ele-king

 去る2月に再始動がアナウンスされ、大きな話題を呼んだステレオラブ。5月にはセカンド・アルバムおよびサード・アルバムがリイシューされているが、それに続いてこの9月、彼らの代表作である4枚目から6枚目まで、すなわち『Emperor Tomato Ketchup』『Dots and Loops』『Cobra and Phases Group Play Voltage in the Milky Night』も一挙に復刻される運びとなった。追加収録されるボーナス・トラックにも注目だけれど、この3作ではジョン・マッケンタイアがプロデューサーを務めていて(6枚目にはジム・オルークも)、当時のいわゆるポスト・ロックの流れを知るうえでも超重要なアルバムたちである。発売は9月13日。現在、トレーラー映像とともに、ボーナス・トラック“Freestyle Dumpling”が先行公開中。

[8月17日追記]
 いよいよ一ヶ月後に迫った上記3作のリイシューに先がけ、去る8月13日、『Dots and Loops』収録曲“The Flower Called Nowhere”の未発表ヴァージョンが公開されている。この曲についてメンバーのティム・ゲインは、以下のように語っている。

この曲はマウス・オン・マーズのヤン・ヴェルナーとアンディー・トマと一緒にレコーディングしたんだ。ステレオラブの中で、ずっとお気に入りの曲だよ。ポーランドのジャズ・ミュージシャンやクシシュトフ・コメダの音楽から抱く感覚を想起するようなコード進行に興味があったんだ。たしか偶然だったんだけど、ようやく自分の好きなコードを見つけることができて、そこからこの曲を書き上げたんだ。あと60年代中期〜後期のヨーロッパ映画音楽の雰囲気を取り入れようとして、ハープシコードや優美なヴォーカル、カラフルなサウンドと使ってる。 ──Tim Gane

 試聴・購入はこちらから。

STEREOLAB

90年代オルタナ・シーンでも異彩の輝きを放ったステレオラブ
10年ぶりに再始動をした彼らの再発キャンペーン第二弾が発表!
名盤『EMPEROR TOMATO KETCHUP』を含め一挙に3作がリリース!

90年代に結成され、クラウト・ロック、ポスト・パンク、ポップ・ミュージック、ラウンジ、ポスト・ロックなど、様々な音楽を網羅した幅広い音楽性で、オルタナティヴ・ミュージックを語る上で欠かせないバンドであるステレオラブ。その唯一無二のサウンドには、音楽ファンのみならず、多くのアーティストがリスペクトを送っている。10年ぶりに再始動を果たし、今年のプリマヴェーラ・サウンドではジェームス・ブレイクらと並びヘッドライナーとして出演。5月には、再発キャンペーン第一弾として『Transient Random-Noise Bursts With Announcements [Expanded Edition]』(1993年)、『Mars Audiac Quintet [Expanded Edition]』(1994年)の2タイトルが、アナログ、CD、デジタルでリリースされている。

今回の発表に合わせトレーラー映像と、『Emperor Tomato Ketchup』にボーナス・トラックとして収録される“Freestyle Dumpling”が先行公開されている。

Expanded Album Reissues Part 2
https://youtu.be/i3FyBhrOuso

Freestyle Dumpling
https://stereolab.ffm.to/freestyle-dumpling

今回リイシューが発表されたのは、1996年にリリースされた代表作『Emperor Tomato Ketchup』、1997年の『Dots and Loops』、1999年の『Cobra and Phases Group Play Voltage in the Milky Night』の3作が、全曲リマスター+ボーナス音源を追加収録した “エクスパンデッド・エディション” で、前回同様アナログ、CD、デジタルでリリースされている。

今回の再発キャンペーンでは、メンバーのティム・ゲインが監修し、世界中のアーティストが信頼を置くカリックス・マスタリング(Calyx Mastering)のエンジニア、ボー・コンドレン(Bo Kondren)によって、オリジナルテープから再マスタリングされた音源が収録されており、ボーナス・トラックとして、別ヴァージョンやデモ音源、未発表ミックスなどが追加収録される。

国内流通盤CDには、解説書とオリジナル・ステッカーが封入され、初回生産限定アナログ盤は3枚組のクリア・ヴァイナル仕様となり、ポスターとティム・ゲイン本人によるライナーノートが封入される。また、スクラッチカードも同封されており、当選者には限定12インチがプレゼントされる。されに対象店舗でCDおよびLPを購入すると、先着でジャケットのデザインを起用した缶バッヂがもらえる。

なお11月には、『Sound-Dust』 『Margerine Eclipse』がリリースされる予定となっている。

label: Duophonic / Warp Records / Beat Records
artist: Stereolab
title: EMPEROR TOMATO KETCHUP [Expanded Edition]
release date: 2019/09/13 FRI ON SALE

3LP CLEAR VINYL / D-UHF-D11RC
3LP BLACK VINYL / D-UHF-D11R
2CD / D-UHF-CD11R

BEATINK.COM:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10376

[TRACKLISTING]
CD / Digital

Disk 1
01. Metronomic Underground
02. Cybele’s Reverie
03. Percolator
04. Les Yper Sound
05. Spark Plug
06. OLV 26
07. The Noise Of Carpet
08. Tomorrow Is Already Here
09. Emperor Tomato Ketchup
10. Monstre Sacre
11. Motoroller Scalatron
12. Slow Fast Hazel
13. Anonymous Collective

Disk 2
01. Freestyle Dumpling
02. Noise Of Carpet (Original Mix)
03. Old Lungs
04. Percolator (Original Mix)
05. Cybele's Reverie (Demo)
06. Spark Plug (Demo)
07. Spinal Column (Demo)
08. Emperor Tomato Ketchup (Demo)
09. Les Yper Sound (Demo)
10. Metronomic Underground (Demo)
11. Percolator (Demo)
12. Tomorrow Is Already Here (Demo)
13. Brigitte (Demo)
14. Motoroller Scalatron (Demo)
15. Anonymous Collective (Demo)

label: Duophonic / Warp Records / Beat Records
artist: Stereolab
title: DOTS AND LOOPS [Expanded Edition]
release date: 2019/09/13 FRI ON SALE

3LP CLEAR VINYL / D-UHF-D17RC
3LP BLACK VINYL / D-UHF-D17R
2CD / D-UHF-CD17R

BEATINK.COM:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10377

[TRACKLISTING]

Disk 1
01. Brakhage
02. Miss Modular
03. The Flower Called Nowhere
04. Diagonals
05. Prisoner of Mars
06. Rainbo Conversation
07. Refractions in the Plastic Pulse
08. Parsec
09. Ticker-tape of the Unconscious
10. Contronatura

Disk 2
01. Diagonals (Bode Drums)
02. Contranatura Pt. 2 (Instrumental)
03. Brakhage (Instrumental)
04. The Flower Called Nowhere (Instrumental)
05. Bonus Beats
06. Diagonals (Instrumental)
07. Contranatura (Demo)
08. Allures (Demo)
09. Refractions in the Plastic Pulse (Demo)
10. I Feel The Air (Demo)
11. Off On (Demo)
12. Incredible He Woman (Demo)
13. Miss Modular (Demo)
14. Untitled in Dusseldorf (Demo)

label: Duophonic / Warp Records / Beat Records
artist: Stereolab
title: COBRA AND PHASES GROUP PLAY VOLTAGE IN THE MILKY NIGHT [Expanded Edition]
release date: 2019/09/13 FRI ON SALE

3LP CLEAR VINYL / D-UHF-D23RC
3LP BLACK VINYL / D-UHF-D23R
2CD / D-UHF-CD23R

BEATINK.COM:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10378

[TRACKLISTING]

Disk 1
01. Fuses
02. People Do It All The Time
03. The Free Design
04. Blips Drips And Strips
05. Italian Shoes Continuum
06. Infinity Girl
07. The Spiracles
08. Op Hop Detonation
09. Puncture In The Radax Permutation
10. Velvet Water
11. Blue Milk

Disk 2
01. Caleidoscopic Gaze
02. Strobo Acceleration
03. The Emergency Kisses
04. Come And Play In The Milky Night

BONUS TRACKS
05. Galaxidion
06. With Friends Like These Pt. 2
07. Backwards Shug
08. Continuum (Unreleased Original Version)
09. Continuum Vocodered (Unreleased)
10. People Do It All The Time (Demo)
11. Op Hop Detonation (Demo)
12. The Spiracles (Demo)
13. Latin Cobra Coda (Demo)
14. Infinity Girl (Demo)
15. Blips, Drips & Strips (Demo)
16. Blue Milk (Demo)
17. Italian Shoes Continuum (Demo)
18. Come And Play In The Milky Night (Demo)
19. Strobo Acceleration (Demo)
20. Caleidoscopic Gaze (Demo)
21. Galaxidion (Demo)

interview with Jordan Rakei - ele-king

 『Geography』の次は『Origin』。
 クワイエット・ウェイヴ、シティ・ソウル……呼び名はいろいろですが、時代のムードにピタリと合った音楽性の『Geography』1枚でビッグ・ネームの仲間入りを果たしたトム・ミッシュ。そうしてこの国で、いまのUKシーンのおもしろさもより広く知られる中で、ジョーダン・ラカイの3rdアルバム『Origin』が注目を集めている。友人でもあるトム・ミッシュのブレイクを誰よりも身近で目の当たりにし、影響されたであろうラカイ。『Origin』は、前2作に比べ飛躍的と言えるほどにソングライト、そして何よりアレンジ面で成長・深化を遂げ、『Geography』の次を求めるリスナーの溜飲を下げる。
 ニュージーランド生まれ、オーストラリア育ちで、2017年の前作『Wallflower』制作に合わせロンドンに移住したラカイ。USに比べもともと人種の壁が低いうえ、いまはジャンルの壁も限りなく低くなったロンドン~UKの音楽シーンの好調を背景に、『Origin』は鮮やかなクロスオーヴァーの魅力で聴く者を魅了する。特にリチャード・スペイヴンやジム・マクレーといった世界中で注目されるUK新世代ドラマーも駆使した、多彩なリズム/ビートの魅力はJ・ディラ以降のUS勢とはまた違う味わいで、クラブ・ミュージックや新世代ジャズのファンにもアピールするものだろう。
 加えて、いまのオーストラリア・シーンの特色のひとつと言える、テーム・インパラやハイエイタス・カイヨーテらにも通じるサイケデリック・テイストの表出も進化。往年のギター・キッズを思わせるトム・ミッシュにはないラカイ独自の魅力はこれだろう。個人的には、ジェイムズ・ブレイク以前にUKクロスオーヴァー・ソウルの新たな指針を示していた、ルイス・テイラーの1stアルバム(1996年)を継ぐ力作と『Origin』を捉えていて、ラカイ本人も本インタヴューで、あのアルバムからの影響を認めている点が特に興味深い。  6月末からはUK~ヨーロッパ、オーストラリア、USでの37公演に及ぶワールド・ツアーを行うラカイ。「僕は世界のソウル・ミュージック・シーンの一員」と言う彼の『Origin』は、世界中でジワジワとリスナーを増やし、音楽シーンに小さくないインパクトを残すに違いない。

インターネットが、ワールドワイドな音楽シーンをつくっていると思うね。僕は、自分がUKのシーンに属しているとか、オーストラリアのシーンに属しているという感覚はなくて、世界のソウル・ミュージック・シーンの一員だという感覚の方が強い。

前作『Wallflower』から2年、音楽面や、生活面でも、いろいろと変化があったことと思います。この2年間にあった印象的な出来事について、教えてください。

ジョーダン・ラカイ(Jordan Rakei、以下JR):ツアーに出ていたし、その後はすぐ次のアルバムの制作に取り掛かったから、休んでる暇はなかったね。忙しくしていたよ。印象的だったのは、ロンドンのシェパーズ・ブッシュ・エンパイアでのショウ。2000人くらい観客がいて、満員で、あんなに大勢の前で演奏するのは初めてだった。あのショウは印象的だったね。

UKはブレグジットの件で、ここ数年、社会状況が良くないように見えますが、移住したあなたにはどう映っていますか?

JR:僕はイギリス人ではないから、ブレグジットに関しては音楽活動に影響がでるかも、という面でだけ心配しているかな。ヨーロッパのミュージシャンたちにとって、活動が制限されることになると、大変なことも出てくると思うからね。それを除いては、イギリスの環境はすごく良いと思う。クリエイティヴなことがたくさん起こっていて、アーティスト同士のネットワークもすごい。この場所からは、本当にインスパイアされているよ。才能のあるミュージシャンたちに囲まれているのはすごく良いことさ。大好きな場所だね。

社会状況とは反対に、UK、ロンドンの音楽シーンはいま、特に好調ですよね。いまの盛り上がりはいつ、何をきっかけに始まったと考えますか? またシーンの一員として、いまのUKの音楽状況をどう捉えていますか? 

JR:小さな、さまざまな動きが同時に始動して、共に成長した結果だと思う。僕、アルファ・ミストトム・ミッシュロイル・カーナーなんかは、皆友人で、同じシーンにいる。年代も同じで、皆大学を同じ頃に卒業して、それから自分のプロジェクトを始めた。そうして、それぞれの花が、いま咲き始めているんじゃないかな。それに、皆でコラボし合うから、それでシーンが広がっていくというのもあると思う。コラボし合って、さらにシーンが繋がり、大きくなるんだ。そういったシーンの一部として皆と一緒に成長できて、僕はすごくラッキーだと思う。UKの音楽シーンは最高だよ。ロンドンだけでなく、マンチェスターやスコットランドにもクリエイティヴなミュージシャンたちがたくさんいて、彼らがロンドンに来てこっちのミュージシャンとコラボしたりもするんだ。世界は、そんなUKの勢いに注目しているんじゃないかな。

トム・ミッシュの名前が出てきましたが、あなたの友人でもある彼の『Geography』について、あなたが考える優れた点、ユニークな点はなんでしょう? また、あのアルバムから受けた影響、あなたが考えたことなど、教えてください。

JR:素晴らしいアルバムだと思う。正式なデビュー・アルバムだから、彼がこれまでに書いてきた曲の集まりであり粒ぞろいで、聴いていて楽しいし、プロデュースがなにより素晴らしい。ドラム・サウンド、ギター、ハーモニー、メロディが特に最高だと思う。ライヴ・サウンド(注意:生楽器の演奏をフィーチャーしたもの)だし、音楽的にも楽しくて、すごく良い作品だと思うよ。トムとはよく音楽について話すんだ。彼が受けた影響とか。その話を聞けるのは自分にとってボーナスだね。勉強になるよ。

盟友と言えるリチャード・スペイヴンを始め、ジャンルを越えたアーティストとの交流が多く見られます。様々なミュージシャンと、どういった場で知り合い、共同作業するようになるのか、プロセスを教えていただけますか?

JR:全員友達とか、友達の友達だよ。知り合いのネットワークで知り合うんだ。そうやって、ミュージシャンの輪の中でいろいろな作品をつくることができて嬉しいね。例えばリチャードは、4年前に知り合ったんだけど、彼は僕のファースト・アルバムからプレイしてくれている。当時ドラマーを探していたから、プロデューサーのマーク・ド・クライヴ・ロウに誰か知らないか尋ねたら、リチャードを紹介してくれた。そこから友人になって、いままでコラボし合っているんだ。

特にいまのUK、それにロスアンジェルスのシーンには、かつてなくミュージシャン同士が交流・共作を好む状況があると思います。あなたは、それはなぜ、どういった理由からだと思いますか?

JR:UKの音楽シーンに関してはいま、ミュージシャン同士がとにかくコラボしている。だから、自分がしていないと、遅れたように感じるんじゃないかな。皆コラボで友達になったりもするしね。例えば、トム(・ミッシュ)が誰かジャズ・ミュージシャンとコラボをしたら、僕もコラボしてみたいと思うし。あとは、皆がお互いのファンだからというのもあると思う。素晴らしいミュージシャンであるのなら、彼らとコラボする機会をつくらないのはもったいないからね。

クロスオーヴァーが常態化したいま、あなたのような音楽性のミュージシャンにとって、ジャンルや国境の壁はいよいよなくなりつつあると思いますが、どう感じていますか?

JR:その通り、なくなりつつあると思う。僕が住んでいたオーストラリアは、他の国から遠すぎて、以前は作品が世界に伝わるまでに2、3年かかっていたんだ。でも、最近はインターネットがあるから一瞬さ。インターネットが、ワールドワイドな音楽シーンをつくっていると思うね。だから僕は、自分がUKのシーンに属しているとか、オーストラリアのシーンに属しているという感覚はなくて、世界のソウル・ミュージック・シーンの一員だという感覚の方が強いんだ。インターネットがバリアを崩したと思う。自分のSNSでも、東京のファンのコメントをもらえたり、日本でのショウも実現できているのはインターネットのおかげだよね。

テクノロジーの誘惑があっても、自分たちの起源=オリジンは人間であるということを思い出し、それを維持していくべきだ、という意味を込めてこのタイトルにしたんだ。人間性を忘れてはいけない、というメッセージを込めているんだよ。

それでは新作についてお訊きします。ディストピア(ユートピア=理想郷の反対となる暗黒社会)的な世界観にインスパイアされたものだそうですが、それはブレグジット~いまのUK社会が関係していますか? なぜディストピアに興味を抱いたのですか?

JR:それは面白い視点だね。意識はしていなかったけど、ブレグジットも分裂を引き起こしていて、ニュー・アルバムもこれからテクノロジーに対して起こるであろう分裂がコンセプトになっている。だから、繋がりがあるかもしれない。ディストピアに興味を抱いたのは、それについて語られているヴィデオを観たからなんだ。そのコンセプトが、すごく非現実的であるにもかかわらず、起こりうるものだという部分にすごくハマった。それからもっと関連作品を観るようになって、ディストピアをテーマにしたアルバムをつくりたいと思ったんだ。

例えば、どんなヴィデオを観たのですか?

JR:最初に観たのは、テスラのCEO、イーロン・マスク(注:テクノロジーを駆使した急進的な未来社会についての発言がしばしば話題になる)のヴィデオ。あとは『ブラック・ミラー』(注:UK製作の、テクノロジーの進化と現代社会を風刺的に描いたSFドラマ。Netflixで視聴可能)とかだね。サム・ハリス(注:アメリカの脳科学・心理学者で、未来社会についての言及でも注目を集めている)のポッドキャストもたくさん聴いたな。素晴らしい作品がたくさんあるんだ。

新作のタイトルを『Origin』としたのはなぜ? あなたのオリジンというとニュージーランド、オーストラリアのことも関係あるのでしょうか?

JR:テクノロジーの誘惑があっても、自分たちの起源=オリジンは人間であるということを思い出し、それを維持していくべきだ、という意味を込めてこのタイトルにしたんだ。人間性を忘れてはいけない、というメッセージを込めているんだよ。ニュージーランドやオーストラリアは関係なく、それよりももっともっと前のオリジンのことさ(笑)。

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人々の心を動かすものでないのなら、音楽をつくる意味がないと思う。でも同時に、サウンドは面白いものをつくりたい。メッセージを込めた歌詞と、自分が面白いと感じられるサウンド。その両方を意識しているよ。

音楽におけるエンタテインメント性とメッセージ性のバランスについて、どういった考えを持っていますか? 自身の音楽では、リスナーにどこまで深くメッセージを届けたいと考えていますか?

JR:僕自身は、作品に強いコンセプトを持たせるのが好きだね。人々の心を動かすものでないのなら、音楽をつくる意味がないと思う。でも同時に、サウンドは面白いものをつくりたい。だから、両者のバランスは半々だね。メッセージを込めた歌詞と、自分が面白いと感じられるサウンド。その両方を意識しているよ。

以前よりもそのバランスを考えるようになりましたか?

JR:そうだね。自分の音楽がより多くの人々に聴かれるようになってきたから。

新作をつくるにあたって、特に影響を受けた他者の曲、アルバムなどあれば教えてください。

JR:スティーリー・ダン、スティーヴィ・ワンダー。彼らのオールドスクールなソングライティングに影響を受けたんだ。プロダクションは、もっとエレクトロとか、いまの音楽に影響を受けているんだけど。

新作中の例えば“Wildfire”は、Imraan Paleker(注:前々作にも参加していたギタリスト)との共同ソングライト、共同プロデュースとクレジットされています。共作する場合の曲のつくり方を、具体的に教えてください。

JR:“Wildfire”は、僕がピアノを、彼がギターを弾いていたときに、出てきたものを曲にしようとして。彼にまずコードを決めてもらってから、僕がピアノで考えたメロディ、ヴォーカルを載せたんだ。プロセスは、そのときによってそれぞれだね。向こうが考えたものに僕が自分のアイディアを載せてできるときもあれば、自分のアイディアにコラボ相手やプロデューサーが面白いアイディアや要素を加えてくれるときもある。そのときによるね。

あなたは様々な楽器を操るマルチ・ミュージシャンですが、曲によっては楽器奏者がゲスト参加しています。例えばドラムスで言えば、ジム・マクレーやリチャード・スペイヴンにしか叩けない、あなたには叩けないリズムがあるから、そこはゲストを呼ぶ、というつくりかたなのでしょうか?

JR:そうだね。たまに、自分で書いた曲よりも、もっとディープなものをつくりたくなる。自分のスキルを超えた作品をつくりたくなるんだ。そういうとき、ゲストに頼むのさ。彼らが自分の作品をさらに上のレヴェルに引き上げてくれるからね。スティーヴ(リチャード・スペイヴン)は、僕が持っているドラムのアイディアを伝えたら、それを見事に表現してくれるんだ。

特にリチャード・スペイヴンが叩く“Oasis”ですが、いまのUKの音楽はドラム、リズムに特にオリジナリティがあって、そこが大きな魅力と思います。この数年でポップ・ミュージックにおけるドラム、リズムがすごく進化したという実感はありますか?

JR:僕はそうは思わない。ポップ・ミュージックはいまも、アーティストもプロデューサーも皆、何が受け入れられやすいかをわかっていて、それを意識して、近道をして曲をつくっていると思う。万人受けする音のつくり方はベーシックで、それをどのようにつくり出すかを彼らは知っているんだ。聴きやすいものが良いというのはリアリティだからね。でも、80年代のマイケル・ジャクソンやプリンスみたいなアーティストたちのポップスは、聴きやすさと同時に音楽的素晴らしさも兼ね備えていた。いまのポップ・ミュージックには、それが欠けているんじゃないかな。

“Rolling Into One”ではディスコ・ミュージックのリズム、ビートを取り入れたようですが、これはなぜでしょう? UKのいまのディスコ・ミュージック人気について、どんな状況なのか、教えていただけますか。

JR:まさにマイケル・ジャクソンにインスパイアされたんだ(笑)。楽しくてファンキーなもの、ライヴで皆が楽しめるものをつくりたかった。これまでの僕の音楽はメランコリーでムーディだったから、そうでない面もリスナーに見せたかったんだよ。UKのディスコ・シーンは大きくなってきていると思うよ。クールなディスコ・イヴェントがたくさんある。トム(・ミッシュ)がディスコっぽい音楽をつくっているから、若い人たちが影響されてよりディスコが人気になっているというのもあると思う。

あなたが全てを演奏した“Say Something”のビートは、例えばDJ・プレミアがつくっていたような、90年代のヒップホップ・ビートを思わせるつくりです。ああいったビートの魅力とは、あなたは何だと考えますか?

JR:ヘヴィなドラムだね。僕の音楽的バックグラウンドはヒップホップ・ビートなんだけど、DJ・プレミアとかJ・ディラからかなり影響を受けているんだ。

以前、「曲中で自分のアイディアを表すスキルを、ロンドンに住んでから身につけることができた」と発言されていました。そのスキルとは具体的にどういったものでしょう?

JR:自分の音楽を分析しすぎずに、もっと自由に、かつ早くつくれるようになったこと。考えすぎるのも良くないということを学んだんだ。

音楽学校に通っていたことがあるそうですが、そこで学んだことは、実際のソングライトやレコーディングではあまり役に立たなかったのでしょうか?

JR:役立ってないね。ベッドルームでの作業や、ロンドンに越してきてからの作業を通して学んだことの方が、勉強になり身に付いているよ。

聴きやすいものが良いというのはリアリティだ。でも、80年代のマイケル・ジャクソンやプリンスみたいなアーティストたちのポップスは、聴きやすさと同時に音楽的素晴らしさも兼ね備えていた。いまのポップ・ミュージックには、それが欠けている。

前作と、新作では、曲をつくる上でどのような変化、進化がありましたか?

JR:前はもっと歌詞が内省的で、自分のこれまでの経験についての歌だった。けれど、今回はもっと外に向けられていて、これから起こることがテーマになっている。違うことに挑戦したかったんだよね。作品をつくるたびに、違う世界観をもたせたいんだ。

曲づくりにおいて、最も重要なことは何だと考えますか?

JR:自分に正直であること。自分自身が楽しめなかったら、キャリアを続ける意味がないと思うから。

新作で、特に思い入れのある曲と、その理由を教えてください。

JR:“Speak”と“Mantra”だね。“Speak”は、感情的なバラードで、歌詞に繋がりを感じるんだ。“Mantra”も同じ。あの曲の歌詞にはいちばん繋がりを感じる。サウンドも、自分がつくり出したいサウンドをいちばん実現できた曲なんだ。

スティーヴィ・ワンダーやディアンジェロからの影響に加えて、ピンク・フロイド、レディオヘッドにも通じるサイケデリック・テイストをミックスした作品として、UKでは1996年のルイス・テイラーの1stという大名盤があります。あのアルバムに影響を受けた点はありますか?

JR:バック・ヴォーカルのアレンジが素晴らしいと思う。すごく賢いアレンジだと思うんだよね。僕の音楽でも、いまはバック・ヴォーカルをたくさん使ってる。ディアンジェロもそうだし、ルイス・テイラーのアレンジには影響を受けているよ。彼はヒーローだね。サイケデリック、ヒップホップ、ソウルの全てにおいて完璧なアーティストだよね。

ジェイムズ・ブレイクが2010年代のUKのヴォーカル・ミュージックに与えた影響は大きいと思います。あなたは彼の何が優れていると思いますか? またどういった影響を受けましたか?

JR:彼の素晴らしさはまず、リスクを冒してオリジナルの作品をつくり出すところ。美しいソウル・ミュージックの世界と、エレクトロ、ダンス・ミュージックをブレンドさせているところもそうだし、彼の作品はとにかくユニークだと思う。声も素晴らしいしね。お気に入りのアーティストのひとりだし、彼の“実験”のやり方が好きなんだ。そうしてつくり出す彼の世界観は最高だと思う。

最後に、今後、共演したいアーティストと、その理由を教えてください。

JR:ボン・イヴェールとコラボしたい。ジェイムズ・ブレイク同様、声が美しくて、プロダクションも最高だからね。それに、人として、とてもいい人たちだし。彼らとコラボして、音楽制作の新たなプロセスを学びたいんだ。

今日はありがとうございました。

JR:こちらこそ、ありがとう。日本でまたショウをやるのを楽しみにしているよ。

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