「Low」と一致するもの

ブラック・クランズマン - ele-king

 エミネムの伝記映画『8マイル』(02)で自堕落な母親役を務めていたのはキム・ベイシンガーだったけれど、彼女はスパイク・リーの『ドゥ・ザ・ライト・シング』(89)が公開された年に、同作がアカデミー賞を取れないのはおかしいとステージで発言し、そのことがヒップホップ・コミュニティからの信用を得た結果のキャスティングではなかったかと僕は勝手に推測している。スパイク・リーはその後もアカデミー賞にはかすりもせず、ついに2016年には同賞をボイコット、その翌年に俊英の黒人監督バリー・ジェンキンスが『ムーンライト』で作品賞を受賞したことはいまだ記憶に新しい。そして、ついに今年、スパイク・リーが初めてアカデミー賞で脚本賞を得ることになったものの、作品賞が『グリーンブック』だったことに抗議して会場から出て行こうとしたとも伝えられている。『ドゥ・ザ・ライト・シング』がスルーだった年に作品賞を受賞したのが『ドライヴィング・ミス・デイジー』で、『グリーンブック』が似たような設定の話だったことも彼を憤慨させた一因となったのだろう。リーはしかし、受賞スピーチで400年の歴史を振り返り、感謝の意を表した上で「レッツ・ドゥ・ザ・ライト・シング(正しいことをしよう)!」を連呼し、会場の感動を誘う。今回の受賞に関して世界中の反応があまりにも芳しくない『グリーンブック』は登場人物のモデルとされたドン・シャーリーの遺族からも「ウソだらけ」と内容にクレームが入っているらしく、『帰ってきたMr.ダマー バカMAX!』(14)がヒドいを通り越していたピーター・ファレリーにはもうシリアスにも従来のコメディ路線にも道はなく、次はよほどのことを考えなければ未来はなさそうな気配。不思議なことに昨日のNHKニュースもスパイク・リーどころか『グリーンブック』もほとんどスルーで、外国語部門及び監督賞のアルフォンス・キュアロン『ローマ』ばかりが取り上げられていたこと。壁の建設を進めようとするトランプにハリウッドが反対の意志を表明するなら、去年のデル・トロに続いてメキシコ系のキュアロンに作品賞をあげた方が確実なメッセージになったことは確かで、イラク戦争に抗議して『ハートロッカー』を受賞させたハリウッドはどこへ行ってしまったのだろうかという感じ。

 スパイク・リーの新作がそして『ブラック・クランズマン(BLACKkKLANSMAN)』。カンヌでは『万引き家族』に抑えられてグランプリに甘んじた政治サスペンスである。プロデューサーが『ゲット・アウト』を成功させたキー&ピールのジョーダン・ピールだったので、オファーを受けた当初、リーはコメディ映画だとばっかり思っていたそうだけれど、僕もかつてKKKに加入した黒人がいたとか、そのようなアイデンティティ・クライシスを扱った話だとばかり思っていた(キー&ピールはアメリカではコメディアンとして大成功した二人組で、『ゲット・アウト』はむしろイレギュラーな方向性を示した作品。楳図かずおが『まことちゃん』から『おろち』に乗り換えたというか)。オープニングは『風と共に去りぬ』。続いてアレック・ボールドウィン演じるボーリガード博士が人種隔離を強く訴えるスピーチ。ボールドウィンは現在、『サタデー・ナイト・ライヴ』で延々とドナルド・トランプのモノマネを担当し、トランプ本人にツイッターで攻撃されているコメディアン。ダブル・ミーニングというにはあまりにあからさまな演出である。そして、デンゼル・ワシントンの息子、ジョン・デヴィッド・ワシントン演じるロン・ストールワースが警察の面接を受け、コロラド州コロラドスプリングスに黒人刑事が誕生するところからやっと話は始まる。実在の人物であり、原作は彼が後に書き下ろした回想録。ストールワース刑事はストークリー・カーマイケル改めクワメ・ツレの演説会に潜入し、黒人たちが暴動を起こす可能性は低いと判断し、その過程でローラ・ハリアー演じる活動家のパトリス・デュマスと恋に落ちる。町山智浩の解説文によるとデュマスのモデルはアンジェラ・デイヴィスだという。確かにそんな風貌である。ストールワース刑事と同僚のフリップ・ジマーマン(アダム・ドライヴァー)は黒人たちよりもむしろ白人の急進団体であるKKKを危険視するようになり、ストールワースが電話でKKKに入会を申し込み、ユダヤ人であるジマーマン刑事が支部に潜り込むことになる。ここからは誰がどう観ても、実際に潜入捜査を続けるジマーマン刑事が主役。ストールワースとジマーマンはKKKの動きを監視し、その構成員たちを調べていく。そして、ストールワースが入会したことを祝うためにKKKの最高幹部デヴィッド・デューク(トファー・グレイス)が街にやってくることに……。

 ここ数年、シカゴで起きている抗争をミュージカル仕立てで描いたスパイク・リーの『シャイラク』(15)はとんでもない駄作だった。リーにはチーフ・キーフたちの周辺で起きていることが理解できていないし、同作がシカゴ市長によって上映中止に追い込まれたのも致し方ないことだった。それ以前に『25時』(02)も『セントアンナの奇跡』(08)も絶対にリーが取らなければならなかった作品だとは思えず、『オールドボーイ』(13)のリメイクを除いて2010年代に入ってから5作も日本未公開が続いているということはそれだけリーの力量が落ちたことの証しなのだろう。実際、『ブラック・クランズマン』もサスペンスとしてはやや盛り上がりに欠け、見せ場がしっかりとつくられた作品には思えなかった。『ドゥ・ザ・ライト・シング』と比較するのは酷かもしれないけれど、身体性が著しく後退し、頭だけでつくっている場面が多いことも残念なところではある。しかしというか、ひとつの問題に絞り切れないのもリーのいいところで、ひたすら正義を追求するだけではなく、これまでの作品でもそうであったように黒人と白人が会話を途切らせないことがそのまま見せ場になっていたと考えることも可能ではある(話し合いがリーにとってどれだけ重要なことかはバスの中で会話が続くだけの『ゲット・オン・ザ・バス』(96)に最もよく表れている)。KKKが『国民の創生』を上映しながら憎悪を掻き立てていく一方で、黒人たちの集会でも同じように老人(ハリー・ベラフォンテ)の話に耳を傾けながら白人への憎しみを募らせていく場面はいわばどっちもどっちとして描かれていたのに対し、それよりも黒人と白人が協力して、この場合は警察が団結してことに当たれることがリーにとっては大事なファクターをなしていたのだろう。最後の最後までそれは理想的な展開を遂げ、いささか食い足りないぐらいであった。あるいは言いたいことのすべてを作品に昇華できなかったリーはその思い余る念を実際のニュース映像という形で最後に補足する。2017年にヴァージニア州シャーロッツビルで起きた白人至上主義者たちとそれに反対する人たちの衝突が延々と映し出され、冒頭で仕掛けたようなアレック・ボールドウィンにトランプを重ね合わせるというギミックへと転化する余裕もなく、その映像はある意味では映画として成立させた作品を否定しかねないほど巨大なる現実としてのしかかってくる。そして、その映像の中にトファー・グレイスが演じていたKKKの最高幹部デヴィッド・デュークの姿があり、本人がいまだ健在であることを示された時に信じられないほどの虚無感がもたらされる。少なくとも僕にとって『ブラック・クランズマン』はすべてがそのための伏線であったかのように感じられるほどだった。

映画『ブラック・クランズマン』予告編

What’s the point of indie rock? - ele-king

 2019年になったいま、日本のなかで、あるいは世界の他の国々のなかで生まれている、もっとも刺激的で、また文化的な意義をもった音楽を思い浮かべてみるとき、ただちに気づくのは、どうやらそこにインディー・ロックのバンドは入ってきそうにないということだ。ヒップ・ホップやダンス・ミュージック、あるいはアイドル音楽でさえもがいま、定期的に、誰も予想していなかったような新しいアイデアを、この世界にたいしてはっきりと表明している。そのいっぽうでインディー・ロックは(あるいはより一般的にいってロック・ミュージック全般は)、刺激的で文化的な音楽の場から引きこもってしまい、ジャズに似たポジションを占めることになっている。つまりそれは、ニッチな世界のなかでは実験的な可能性を残しているものの、そうした世界を超えた先での影響は断片的なものにとどまり、より文化的な意義をもった音楽の形式によって、たいていの場合ノスタルジーに溢れた楽観的な雰囲気とともに参照されたりサンプリングされたりするという、そんなポジジョンに置かれているわけである。
 
 2018年におけるインディー・ロックのハイライトを振りかえってみるとそこには、1990年代の影が覆いかぶさっているのが、ありありと見てとれる。そこにはヨ・ラ・テンゴ、ザ・ブリーダーズ、ガイデッド・バイ・ヴォイシズ、クリスティン・ハーシュ、ロウ、ジェフ・トゥイーディー、そしてスティーヴン・マルクマスといった、いずれもその当時に高い評価を受けたアルバムをリリースしているバンドが登場してくるわけである。そうしたアーティストたちの多くは、ブライアン・イーノが「農夫たち farmers」と分類した者たちである。彼らは同じ土地の一角で何年も何年も仕事を続け、その土地を豊かで生産的なものに維持してはいる。だが彼らが新たな領域へ踏みこむことはけっして起こらない。インディー・ロック界には多くの農夫たちがいるが、カウボーイはごくわずかしかいないのである。
 
 このことは、そうしたアーティストたちが間違っているということを意味するわけではないし、まして彼らが、否定的な意味でノスタルジックだということ意味するわけでもない。彼らがいかにザ・フーやチープ・トリックや、その他の過去の古典的なロックを参照しているかを聴いてみればわかることだが、ガイデッド・バイ・ヴォイシズは、あからさまにノスタルジックなバンドである。だが彼らがそうした要素を操作するやり方は同時に、みずからを記念碑的な何かへと変えようとするロックのもつ傾向を、まったく意に介すことのないものだ。ガイデッド・バイ・ヴォイシズの素晴らしく多産なソングライターであるロバート・ポラードにとって、ロックはつねに動きつづけるものであり、そしてそのバンド名にもあるとおり、ひとりの「ガイド」としての彼がもっている理念は、まったくラディカルなものでありつづけている。すなわち、ロックの曲を生みだすことなど簡単なことであり、誰にだって可能なことなのだというわけだ。

 それじたい皮肉な話だが、ノスタルジックなものはまた、われわれが過去に夢見ていた未来のヴィジョンを想起させるものでもある。ヨ・ラ・テンゴの『ゼアズ・ア・ライオット・ゴーイング・オン』のいくつかの曲は、クラウトロックのもつ流れるようでモータリックな未来主義をふたたび取りあげていながら、しかしどこかで、物悲しい雰囲気に取り憑かれてもいる。クラウトロックのような音楽が当初われわれに約束していた未来に、いったい何が起こってしまったというのだろうか。やはり90年代からの難民のひとりである音楽プロデューサーのジェフ・バーロウも、ビークの『>>>』において、ヨ・ラ・テンゴと同じような領域を探求している。じっさいのところもはやロックとは見なせないほどに、進歩的で実験的なロックやエレクトロニカの領域へと進んでいるといいうるこのアルバムの特徴は、次のような重要な問いを喚起するものだ。すなわち、インディー・ロックがいままでとは異なった何かをやるとすぐに、別のカテゴリーに分類されてしまうのだとしたら、ではいったいどうやってそれは、いまより以上の何かに変化することを望んだらいいというのだろうか。 

 2018年のもっとも優れたインディー・ロックのアルバムであり、ことによればその年のベスト・アルバムともいえるものだったのは、ロウの『ダブル・ネガティヴ』だった。そのなかに集められた曲はどれも美しく、たがいに絡みあい、歪曲しあい、引き裂かれあっている。この作品は、いっぽうで幻惑的で、スリリングで、爆発的な斬新さをもつものでありながら、同時に、ロウのその長いキャリアのなかの他のどんな作品より、巧妙かつ控えめなものになりえている。われわれが習慣的に「ロック」と呼んでいるものからあまりにも遠ざかっているがゆえに、にわかには認めがたく、別の何かに分類したくもなるが、しかしにもかかわらず彼らの作品は、その核心部分においてひとつのロック・アルバムであり、ひじょうに洗練された美しいものとなっているのである。

 いったいどうすればインディー・ロックが、2019年において意義のあるものとなるのかを理解するためには、ここであらためて、それがどのようなものとして開始されたのかについて考えてみるべきだろう。おそらくそこには、それぞれに重要なものといいうる三つの点が存在している。

 第一に、インディー・ロックはメインストリームなポップ・カルチャーから距離を取り、そのなかに見られる強迫観念的で弱い者いじめ的な消費にたいするトップダウン式の命令から距離を取った空間を提供するものだ、という点が挙げられる。ポップ・カルチャーはひとを疲れさせるものである。それがかたちづくっている機械はすべてを飲みこみ、搾取して、その金属製の顎のなかに入ってくるありとあらゆるものを抜け殻に変えて吐きだしていく。そうしたものにたいし、1980年代におけるその誕生の時点でインディー・ロックは、(それじたい不完全で、多くの場合困難を抱えたものではあったわけだが)オルタナティヴなインフラや、理念や、美学をつくりだすことによって、パンクが中断してしまった空間をふたたび取りあげていたのわけである。

 そして第二に挙げられるのは、メインストリームなものから離れた世界は、これまでにないような魅力をもつオルタナティヴな存在でなくてはならない、という点である。インディー・ロックは、万人受けするようなやり方で物事を組織する必要はないのだということを示すものでなくてはならない。そしてだからこそ問題は、音楽さえあればそれだけでいいということにはならないわけだ。

 ミュージシャンたちがじっさいに演奏する音と同じくらいに、音以外の部分でのその表現や、それと分かるような目印がとなるものが、音楽にとって重要な要素となってくる。他のどんなミュージシャンよりもデヴィッド・ボウイが今日的な意義を保ったままであるその理由の大部分は、ジェンダー規範がことさらに保守的なものだった時代のなかにあって、男性性の再定義にたいし、彼がどれほど寄与したかという点にこそある。2018年の年末アンケートのなかで、多くの評者がソフィーやイヴ・トゥモアのようなジェンダーの揺らいだエレクトロニックなエイリアンの出現を賛美しているのを見ればわかるとおり、ボウイの遺産はいまやあきらかに、ロックというジャンルの範囲を超えて広がっている。

 インディー・ロックが1980年代に自立したものとなっていったのは、パンクのDIYという理念や、それがもっていた場所や時間についての現代的な感覚が、1960年代や70年代の音楽をノスタルジックなかたちでふたたびじぶんたちのものにすることと融合するなかでのことだった。ザ・スミスなどというバンド名のもつ、キッチンシンク派的な単調さと、モリッシーのグラジオラスの花にも例えられる波打つような派手な動きや、ジョニー・マーのリズミカルなギターの旋律との対比は、1980年代のマンチェスターにおける灰色をした郊外の団地の只中で、美しいものを熱望する憂鬱さをあらわしている。その音楽とイメージによって、それまで誰にも承認されることのないままに過ごしてきた者たちによってじっさいに生きられている現実と、彼らのもつロマンチックなものにたいする渇望を同時に表現することによって、ザ・スミスは、以上のような点をはっきりと象徴するバンドだったといえる。

 欧米では、ロックはだんだんと、白人による伝統的で文化的な庶民的表現にすぎないものとして、安易なかたちで見放されていくことになる。そんななかでインディー・ロックも、白人のミドルクラスによる庶民の表現という曖昧な役割を担っていくことになる。UKのエンド・オブ・ザ・ロードのようなフェスにひしめいている溢れるような白い顔の群れがはっきりと示しているように、こうしたジャンルの音楽は、だんだんと文化や人種が混淆したものになっている国家の多様性にたいして語りかける言葉をもってはいない。こうした問題は部分的に、有色人種のアーティストたちーーとくに黒人のアーティストたちーーが、インディー・ロックの分類の外に置かれ、「ブラック・ミュージック」として分類されるジャンルのなかに組みいれられているからだといえる。LAを拠点にしたシンガーソングライターであるモーゼス・サムニーの音楽はたとえば、両者からの影響によって特徴づけられるものであるにもかかわらず、ほとんどの場合インディー・ロックというよりソウルと呼ばれている。パンクの遺産を非白人アーティストのために解放することを目指したロンドンのデコロナイズ・フェスティヴァルによって、ロックの白人性にたいするバックラッシュは進んでいる。こうした傾向はやがて、トラッシュ・キットやビッグ・ジョニーのようなバンドを介して、インディー・ロックのなかにも広がっていくはずである。

 そのアルバム「ビー・ザ・カウボーイ」を多くのライターが2018年のベストにあげていた日系アメリカ人のシンガーソングライターであるミツキの人気は、彼女の音楽的才能だけではなく、そのアイデンティティーにも由来している。彼女のよくできたギター・ロックのなかには、ことさらにラディカルなところがあるわけではない。だがその音楽が、斬新でユーモアがありつつ、感情をさらけだすような正直さでじぶんじしんを表現するスキルをもった、非白人で女性のアーティストの視点から生みだされているという事実によって彼女は、いまのアメリカをかたちづくっているように見える攻撃的な白人男性たちからなる世界にうんざりしたオーディエンスに訴えかける声となっているのである。ミツキはじしんの弱さをさらけだして表現していくことを恐れないが、いっぽうでその歌詞は、ある意味でひとを元気づけるような、そんな世界観を提示するものでもある。クリスティン・ハーシュによる素晴らしいアルバム「ポッシブル・ダスト・クラウズ」のなかに聞かれる、自己を引き裂くような1990年代のジェネレーションXに特有のパニック発作のような調子と比べると、ミツキは、希望のかすかな光や慰めを提示している。そしてそうしたものこそが彼女の世界を、よりぞっとするような時代のなかで育ってきたファンたちにたいしてアピールする場所へと変えているわけである。

 根本的に白人的かつ男性的なものとしてのインディー・ロックにたいする批判は、たとえば日本のような、アジアの国の音楽を取りあげる場合、そのまま当てはまるものではない。もし西洋のオーディエンスが包括性や異種混淆性をいまよりももっと評価するようになっていけば、きっと日本は世界にたいして、多くのものを提示することができるようになるはずだ。だが、エレクトロニカやポップ・ミュージックの界隈では、じぶんたちが何をすべきなのかが自覚的に推し進められている傾向にある一方で、日本のインディー・ロックはいまだに多くの点で、イギリスやアメリカの音楽に頭の上がらない状態にあり、じぶんたちが崇める欧米のアイドルたちの美学を模倣し、それに適応することに夢中になっている。

 2018年の日本でリリースされたなかで、もっとも優れたインディー・ロックのアルバムはおそらく、ルビー・スパークスによるセルフタイトル・アルバムだろう。この作品は、まるで1995年のUKで製作されたかのような音を聴かせるものなのだが、いずれにしても美しく、魅力あるアルバムである。同様のことは、彼らと同じシーンにいる仲間たち、たとえば去年の夏にパンキッシュなシングル曲「バッド・キックス」をリリースした活きのいいバンドであるDYGLについても当てはまる。どちらも日本の音楽シーンにエキゾチックで斬新な何かをもたらしてはいるが、それは彼らがその音楽によって、当の欧米それじたいのなかでもはや失われてしまった欧米らしさを、わずかに漂わせているからだ。いっぽうで、インディー・ロックの周辺に位置しているクラン・アイリーンやクジャクのようなバンドは、サイケデリック・ロックやノイズ・ロックといった日本に固有の力強い伝統から多くの要素を引き出すことによって、Jポップのメインストリームにたいするオルタナティブを、よりはっきりと日本文化のなかに根づいたかたちで提示しているが、しかしそうしたバンドはいまだ、ニッチななかでもさらにニッチな場所に留まっている。

 インディー・ロックが日本のなかで、欧米の音楽と関係しないままでは立ち行かないような状態にある理由のひとつは、おそらく、それがもつ三つ目の価値に関連しているはずである。インディー・ロックがメインストリームから離れた空間を提供するものであり、そしてそうした場所が物事のあり方にたいする魅力的なオルタナティブをもたらすものなのだとしたら、定義上それは、いずれにしろ何かしらのレヴェルで、メインストリームなものと敵対するような関係のなかに入っていくことになる。いうまでもなく、日本のアーティストたちのなかで、あえてそうした関係のなかに入っていこうとする者たちは、ほとんど見られない。ルビー・スパークスやDYGLのようなバンドがやっているのは、Jポップ的なメインストリームなものに肩をすくめてみせることであり、そしてその上で、海外に慰めを求めることだ。だが、日本におけるインディー・ロックが、たんに「メジャーに行くほど有名ではないロック・ミュージック」以上の何かを意味するために必要なのは、お行儀のよさや寛容さを捨てさることであり、みずからを、支配的な自国内のポップ・カルチャーにたいするより明確な批判へと変えていくことなのである。

 より露骨にいっておこう。ロバート・ポラードがいっていることにもかかわらず、日本の場合であれ、他のどこかの場合であれ、インディー・ロックというものはもはや、わざわざそれを生みだそうと思うような音楽ではないのだ。いまの人々の生活のなかには、グループになって集まって曲を作ったり、練習したりするような自由な時間はない。みなリハーサルやレコーディングのために使う金をもっていないし、(とくに日本の場合に見られることだが)自腹を切ってライブをするのに使うような金をもっていない。いま現在でもっとも取っつきやすく、だからこそすぐに新たな才能を吸収していくことにもなる音楽は、じぶんの部屋のラップトップ上で、ひとりで聞くことのできるような音楽なのである。

 インディー・ロックはいま、1980年代や90年代におけるその全盛期にあったような意義を失ってしまっている。だが歴史にその身を委ねる必要などないのだ。アーティストたちがじぶんたちを取りまく世界に目覚め、そこに介入し、それに立ちむかい、それを批判して、その世界から疎外されている人々のありようを表現し、そして失われた過去の夢をふたたび取りあげることによって、あるいはじぶんたちじしんのまったく新しい何かを鍛えあげることによって、オルタナティヴなものを作りだすために動きだすことができるなら、インディー・ロックはきっと、人々との繋がりを保ちつづけ、彼らにたいし、ホームと呼べるような音楽的な空間をもたらすことになるはずである。 

What's the point of indie rock?

text : Ian F. Martin

The year is 2019. Try to think of the most exciting, culturally relevant music happening in Japan or the rest of the world is right now and the chances are it's not an indie rock band you're thinking of. Hip hop, dance music, pop, and even idol music regularly throw new and unexpected ideas out into the world. Meanwhile, indie rock (and rock music more generally) has retreated from the conversation and now occupies a position similar to jazz, where experimentation is possible within its niche, but its influence beyond that is fragmentary, referenced and sampled with what is often a wistful air of nostalgia by more culturally relevant musical forms.

Looking back over the indie rock highlights of 2018, the shadow of the 1990s looms long, with Yo La Tengo, The Breeders, Guided By Voices, Kristin Hersh, Low, Jeff Tweedy and Stephen Malkmus all releasing well-regarded albums. Many of these artists are what what Brian Eno would categorise as “farmers”, working the same patch of land year after year, keeping it fertile and productive but never really raiding new territory. Indie rock has many farmers and very few cowboys.

That doesn't make these artists wrong or even nostalgic in a negative sense. Guided By Voices are openly nostalgic in how they hearken back to The Who, Cheap Trick and other classic rock of the past, but the way they operate is also disdainful of rock's tendency to turn itself into a monument. Rock, for GBV's ridiculously prolific man songwriter Robert Pollard, is a constantly moving thing, and his guiding ethos remains a radical one: that writing rock songs is easy and anyone can do it.

It's ironic too, perhaps, but nostalgia can also remind us of future visions that we dreamed of in the past. Several tracks on Yo La Tengo's “There's A Riot Going On” revisit the sleek, motorik futurism of krautrock, but they're haunted by an air of melancholy. What happened to the future that this music originally promised us? Fellow '90s refugee Geoff Barrow explores similar territory on Beak's “>>>”, an album that some might argue pushes so far into the territory of progressive or experimental rock and electronica that it can't really be considered indie rock anymore. This raises the important question that if indie rock is immediately recategorised as soon as it does something different, how can it ever hope to become more than it is now?

The best indie rock album of 2018, and possibly the best album of the year full stop, was Low's “Double Negative” – an album that takes a collection of beautiful songs and twists, contorts and tears them apart. It manages to be as subtle and understated as anything Low have done in their long career, while at the same time dazzling, thrilling, explosively fresh. It's so far from what we conventionally think of as “rock” that it's tempting to discount or reclassify it, but it's nevertheless a rock album at its core, and it's an exquisitely beautiful one.

To understand how indie rock can be relevant in 2019, it's worth taking some time to think about what indie rock is for to begin with. There are perhaps three things it can do to be of value.

The first is that it provides a space away from mainstream pop culture and its obsessive, bullying, top-down dictates to consume. Pop culture is exhausting: it's a machine that eats up, grins down and spits out the empty husks of all who enter its metal jaws. At its birth in the 1980s, indie rock picked up where punk left off by building an alternative (albeit imperfect and often troublesome in its own way) infrastructure, ethos and aesthetic.

Secondly, this world away from the mainstream needs to be an attractive alternative. It needs to show that things don't have to be the way they are in a way that feels relevant to people, and for that, music alone isn't always going to be enough.

Music is just as much about representation and identification as it about the actual sunds the musicians are making. The reason David Bowie, more than any other rock musician, remains relevant is in large part because of how he helped redefine masculinity in an age where gender norms were particularly conservative. With 2018 year-end critics' polls lauding gender-fluid electronic alien visitations like Sophie and Yves Tumor, it's clear that in many ways Bowie's legacy has outrun the rock genre.

When indie rock began to come of age in the 1980s, it did so by wedding the DIY ethos and contempory sense of place and time of punk to a nostalgic reappropriation of the music of the 1960s and '70s. The contrast of the kitchen-sink drabness of a band name like The Smiths with Morrissey's gladioli-waving camp and Johnny Marr's chiming guitar lines expressed a melancholy longing for beauty amid the grey housing estates and suburbs of 1980s Manchester. The Smiths meant such a lot because the music and image articulated both the lived reality and the romantic aspirations of people who had never felt recognised before.

In the West, rock is increasingly easily dismissed as merely the traditional cultural folk expression of white people, with indie rock taking the even more dubious role of folk expression of the white middle classes. The sea of white faces that populates indie music events like the UK's End of the Road festival makes it clear that the music doesn't speak to the diversity of an increasingly culturally and racially heterogeneous nation. Part of the problem is that people of colour – especially black artists – are often classified out of indie rock and into genres coded as “black music”. The music of LA-based singer-songwriter Moses Sumney is more often described as soul than indie rock, despite being informed by influences of both. There has been a backlash to rock's whiteness, with London's Decolonise festival seeking to reclaim the legacy of punk for nonwhite artists, and this may yet spill over into indie rock via bands like Trash Kit and Big Joanie.

The popularity of Japanese-American singer-songwriter Mitski, whose album “Be the Cowboy” topped many writers' 2018 polls, owes as much to her identity as it does to her talent as a musician. While there's nothing particularly radical about her well-crafted guitar rock, the fact that her music comes from the perspetive of a nonwhite, female artist combined with her skill at articulating herself in a fresh, funny and emotionally honest way makes her a powerful voice for audiences tired of the aggressively white, male world America seems to have become. While she is unafraid of dwelling on her own frailties, Mitski's lyrics also offer a worldview that is on some level empowering. Compared with the self-lacerating, 1990s Generation X panic attack of Kristin Hersh's excellent “Possible Dust Clouds”, Mitski offers a glimmer of hope and comfort that makes her world an appealing place to fans growing up in these more frightening times.

The critique of indie rock as being something fundamentally white and male is less straightforward when we look at music in an Asian nation like Japan. If Western audiences are coming to value inclusiveness and heterogeneity more, Japan could have a lot to offer the world. However, electronic and pop-adjacent acts are still driving the agenda, while Japanese indie rock is still in many ways tied to the apron strings of British and American music, its artists hung up on trying to imitate and match the aesthetics of their Western idols.

Probably the best Japanese indie rock album of 2018 was Luby Sparks' self-titled debut album – a beautiful and charming record that nonetheless sounds like it could have been made in the UK in 1995. The same is true of fellow travellers like the effervescent DYGL, who dropped the punkish “Bad Kicks” single last summer. These are both bands who bring something exotic and fresh to the music scene in Japan, but at the expense of offering the West little musically that it doesn't already have in spades. Drawing more from Japan's own powerful tradition of psychedelia and noise-rock, bands on the fringes of indie rock like Klan Aileen and Qujaku offer an alternative to the J-Pop mainstream more recognisably rooted in Japanese music culture, but bands like these remain as yet very much a niche within a niche.

One reason indie rock might struggle in Japan without an umbilical relationship with Western music could be related the third aspect of indie rock's value. If indie rock is to offer a space away from the mainstream, and if that place is to offer an attractive alternative to the way things are, it is by definition entering into what is, at least on some level, an antagonistic relationship with the mainstream. Needless to say, this is something few artists in Japan seem willing to do. What the likes of Luby Sparks and DYGL do is shrug at the J-Pop mainstream and look for comfort overseas, but what indie rock in Japan needs if it is to ever mean anything more than simply “rock music that's not popular enough to be on a major” is to become less polite, more intolerant, and let itself become a more explicit critique of the dominant domestic pop culture.

More broadly, despite what someone like Robert Pollard says, indie rock in Japan and elsewhere is no longer a particularly accessible form of music to make. People's lives don't have the free time to gather as a group to write and practice. People don't have the money to spend on rehearsals, recording and (in Japan) pay-to-play live shows. The most accessible music, and therefore the kind that absorbs new talent most readily, is the music that you can make alone in your room on a laptop.

Indie rock is clearly not as relevant as it was in its heyday in the 1980s and '90s, but it needn't consign itself completely to history. If artists can wake up to the world around them, engage with it, confront it, criticise it, articulate people's alienation from it and work to build alternatives – whether reviving lost dreams from the past or forging fresh ones of their own – indie rock will continue to connect with people and give them a musical space they can call home.

Fat White Family - ele-king

 これは次世代のスリーフォード・モッズか!? ジャズだけでなくロックも活況を呈するサウス・ロンドンから、またも強烈なバンドが現れた……といってもすでに2枚のアルバムを発表しているので新人というわけではないのだけれど、今回はなんとあの〈Domino〉からの新作ということで、期待せずにはいられない。「太った白人家族」なるバンド名からして皮肉が効いているし、ネオナチを諷刺したようなビデオの数々もインパクト大。過去には“I Am Mark E Smith”なんて曲も発表している(ちなみに前作収録の“Whitest Boy On The Beach”は『T2 トレインスポッティング』でも使用された)。ガッツあふれる彼らの前途に期待しよう。

FAT WHITE FAMILY

群雄割拠のサウス・ロンドンから真打登場!
シェイムからゴート・ガールまでが憧れる史上最凶のカリスマ
〈Domino〉移籍第1弾アルバム発売決定!


Photo: Ben Graville

キング・クルール、トム・ミッシュ、ジョルジャ・スミスを筆頭に才能あふれるタレントを次々と輩出する一方で、ジャズからパンクまで様々な音楽が渦巻き、新たなカウンター・カルチャーの震源地となっているサウス・ロンドンから、史上最凶のカルト・ヒーローとしてシーンへ絶大な影響を与えるファット・ホワイト・ファミリーが、最新アルバム『Serfs Up!』のリリースを発表!

最新シングル「Feet」が現在公開中。
Fat White Family - Feet (Official Video) (Explicit)
https://youtu.be/avXN2a0WJ5U

アークティック・モンキーズやフランツ・フェルディナンドを擁する〈Domino〉移籍第1弾作品となる本作は、まるでジム・モリソン、スーサイド、アフリカ・バンバータが激突したかのような、代名詞であるアナーキーな姿勢はそのままに、60年代のトロピカーナから、ヴェルヴェッツやデヴィッド・ボウイの妖艶さとスター性、80年代のダンスホール、デヴィッド・アクセルロッドを彷彿とさせるフュージョン、ペット・ショップ・ボーイズのシンセ・サウンド、アシッド・ハウス、PIL以降のダブなど、実に多彩な音楽要素を発露し、アルコール臭キツめのサイケデリアにドブ漬けした怪作となった。またイアン・デューリーの息子で、独特のヴォーカル・スタイルで人気を集めるバクスター・デューリーもゲスト参加している。

ファット・ホワイト・ファミリーの最新作『Serfs Up!』は、4月19日(金)に世界同時リリース! 国内盤CDには、ボーナストラック“Waterfall”を追加収録。iTunes でアルバムを予約すると、公開中の“Feet”がいち早くダウンロードできる。

label: Domino / Beat Records
artist: Fat White Family
title: Serfs Up!
cat no.: BRC-597
release date: 2019/04/19 FRI ON SALE

BEATINK.COM: https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10130

[TRACKLISTING]
01. Feet
02. I Believe In Something Better
03. Vagina Dentata
04. Kim’s Sunsets
05. Fringe Runner
06. Oh Sebastian
07. Tastes Good With The Money
08. Rock Fishes
09. When I Leave
10. Bobby’s Boyfriend
11. Waterfall (Bonus Track For Japan)

仙人掌 - ele-king

 昨年6月にリリースされ、各所で話題を集めた仙人掌のセカンド・アルバム『BOY MEETS WORLD』。NY在住のプロデューサー DJ SCRATCH NICE による全面サポートのもと制作された同作のリミックス盤が登場! 今回は BudaMunk をはじめ日本のビート・シーンで活躍する凄腕のビートメイカーたち10人がリミキサーとして参加。デジタルで先行発売されたものとは異なるリミックスや、仙人掌の新曲“TBA”も収録されるとのこと。オリジナルを踏まえたジャケも良い感じです。リリースは3月20日。心して待て!

仙人掌のマスターピースなセカンド・アルバム『BOY MEETS WORLD』の楽曲をビート・シーンで活躍する先鋭ビートメイカーたちが再構築した珠玉のリミックス・アルバム! 待望となる新曲“TBA”も収録!

◆ 2016年リリースの初となるオフィシャル・ソロ・アルバム『VOICE』に続き、2018年6月にNY在住のプロデューサー、DJ SCRATCH NICE とのジョイントでリリースしたマスターピースなセカンド・アルバム『BOY MEETS WORLD』も高評価を獲得。全国4都市をまわる《BOY MEETS WORLD 4 CITY TOUR》でも満員御礼の各会場を沸かせた仙人掌の次なるリリースは、その『BOY MEETS WORLD』のリミックス・アルバム!

◆ 仙人掌主導による本リミックス・プロジェクトは日本のビート・シーンをベースに、世界レベルでその名が知られている先鋭のクリエイターたちが集結! 仙人掌とも幾度となくコラボしている BudaMunk を筆頭に、ILLSUGI、BUGSEED、Aru-2、CRAM、RLP、EYTREG、dhrma、JUN NAGAOSA、YOTARO の10名のビートメイカーたちがラインナップ!

◆ 仙人掌を中心にその BudaMunk や ILLSUGI らが出演した DOMMUNE での本リミックス・プロジェクトとの連動スペシャル・プログラム「BEAT MEETS WORLD」や参加リミキサー勢が J-WAVE の夜を6日間ジャックし、スペシャル・ミックスをお届けした「TOKYO M.A.A.D SPIN」とのジョイント企画、さらには10週連続での先行デジタル・シングルのリリースも大きな話題に!

◆ また本アルバム用に、先行デジタル・リリースしたものとは異なるリミックス/ミックスも幾つか収録。そして、仙人掌による待望の新曲“TBA”(Prod by NARISK)も収録!

◆ オリジナルの『BOY MEETS WORLD』のジャケットをオマージュした今作のジャケットは JELLY FLASH の手によるもの。

[アルバム情報]
アーティスト:仙人掌 (センニンショウ)
タイトル:BOY MEETS WORLD - REMIX (ボーイ・ミーツ・ワールド:リミックス)
レーベル:WDsounds / Dogear Records / P-VINE
品番:PCD-24794
発売日:2019年3月20日(水)
税抜販売価格:2,400円

[TRACKLIST]
1. 99'Til Infinity (dhrma REMIX)
 Remixed by dhrma
2. Boy Meets World (KO REMIX)
 Remixed by Yotaro
3. Penetrate (CRAM REMIX)
 Remixed by CRAM
4. Darlin' feat. jjj (EYETREG REMIX)
 Remixed by EYETREG
5. Water Flow (Junnagaosa REMIX)
 Remixed by Junnagaosa
6. Bottles Up (Aru-2 REMIX)
 Remixed by Aru-2
7. Rap Savor feat. MILES WORD (ILLSUGI REMIX)
 Remixed by ILLSUGI
8. Show Off (BudaMunk REMIX)
 Remixed by BudaMunk
9. So Far (Bugseed REMIX)
 Remixed by Bugseed
10. World Full Of Sadness (RLP REMIX)
 Remixed by RLP
 Additional Vocal by SOGUMM
11. TBA
 Prod by NARISK

The Concept of The Remix Album is Made by BudaMunk & 仙人掌
All Mixed and Mastered by Aru-2

[仙人掌 - PROFILE]
MONJU / DOWN NORTH CAMP のメンバー。東京最高峰のMC。
吐き出すバースの危険さは数々の楽曲で証明済み。今までにストリート・アルバム、メンバーズオンリー・アルバム、オフィシャル・ファースト・アルバム『VOICE』(2016年)、2018年には3月にEP『Word From ...』、6月にセカンド・アルバム『BOY MEETS WORLD』をリリース。

Stereolab - ele-king

 90年代におけるクラウトロック再評価の筆頭、ステレオラブ。そのポップかつアヴァンギャルドなサウンドがいまの時代とリンクしていると考えたわれわれは昨年、レティシア・サディエールへのインタヴューを試みたわけだけれど(英語版はこちらから。日本語訳は紙エレ22号に掲載)、どうやらその読みは外れていなかったようだ。2009年の活動休止以降、ティム・ゲインもレティシアも精力的に活動を続けてきたのはご存じのとおりだけど、なんとこの5月、彼らはふたたび集い合い、ステレオラブとして10年ぶりに活動を再開する。それにあわせて、旧譜7タイトルがリイシューされることも発表された。第一弾として5月3日にセカンド『Transient Random-Noise Bursts With Announcements』とサード『Mars Audiac Quintet』が発売される。ステレオラブ自身の主宰する〈Duophonic〉と〈Warp〉との共同リリースとなっている点も感慨深い(熱心なファンなら、かつて『Aluminum Tunes』が〈Warp〉から出ていたことを思い出すだろう)。新たにデモ音源なども収録されるそうなので、すでに持っている人も要チェックです。

STEREOLAB

10年ぶりに再始動をしたオルタナティヴ・ミュージック界の皇帝、
ステレオラブの7タイトル再発キャンペーンがスタート!

90年代に結成され、クラウトロック、ポストパンク、ポップ・ミュージック、ラウンジ、ポストロックなど、様々な音楽を網羅した幅広い音楽性でオルタナティヴ・ミュージックを語るのに欠かせないバンドであるステレオラブ。代表作のひとつとしてあげられる『Emperor Tomato Ketchup』というタイトルが示す通り、まさにオルタナティヴ・ミュージック界の皇帝とも言える彼らが、10年ぶりに再始動を果たし今年のプリマヴェーラ・サウンドにジェームス・ブレイクらと並びヘッドライナーとして発表されたニュースに続き、7タイトル再発キャンペーンを開始した。今回の再発は〈Duophonic〉と〈Warp〉の共同リリースとなっている。

トレーラー映像
https://youtu.be/nYDtWdyIUiQ

その第一弾リリースとして、リマスターが施された本編とボーナス音源の2編から構成された『TRANSIENT RANDOM-NOISE BURSTS WITH ANNOUNCEMENTS [Expanded Edition]』(1993年)、『MARS AUDIAC QUINTET [Expanded Edition]』(1994年)の2タイトルが2019年5月3日にアナログ、CD、デジタルと各種フォーマットでリリースされ、CDは帯付き国内仕様盤でリリースされることとなった。

2枚のアルバムはメンバーのティム・ゲインが監修を行い、電気グルーヴのマスタリングも手掛ける Bo Kondren (Calyx Mastering, Berlin)の手によってリマスタリングが施され、ボーナス音源には別ヴァージョンやデモ音源が収録されている。

また、初回生産限定アナログ盤は3枚組のクリア・ヴァイナル仕様となり、ポスターとティム・ゲイン本人によるライナーノートが封入される。また、スクラッチカードも同封されており、当選者には限定12インチがプレゼントされる。

今後は『Emperor Tomato Ketchup』、『Dots and Loops』、『Cobra and Phases Group Play Voltage in the Milky night』が2019年8月、『Sound-Dust』、『Margerine Eclipse』が2019年11月にリリースされることが予定されている。

label: Duophonic / Warp Records / Beat Records
artist: Stereolab
title: Transient Random-Noise Bursts With Announcements [Expanded Edition]
release date: 2019/05/03 FRI ON SALE

https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10128


[TRACKLISTING]

Disk 1
01. Tone Burst
02. Our Trinitone Blast
03. Pack Yr Romantic Mind
04. I'm Going Out Of My Way
05. Golden Ball
06. Pause
07. Jenny Ondioline
08. Analogue Rock
09. Crest
10. Lock-Groove Lullaby

Disk 2
01. Fragments
02. Jenny Ondioline [7"/EP Version - Alternative Mix]
03. Drum - Backwards Bass - Organ [Jenny Ondioline Breakdown Full Version]
04. Analogue Rock [Original Mix]
05. Pause [Original Mix]
06. French Disco [Early Version Mix]
07. Jenny Ondioline Part 2 [Breakdown Mix]
08. Fruition - Demo
09. I'm Going Out Of My Way - Demo
10. French Disco - Demo
11. Lock Groove Lullaby - Demo
12. Jenny Ondioline - Demo
13. Pause - Demo

label: Duophonic / Warp Records / Beat Records
artist: Stereolab
title: Mars Audiac Quintet [Expanded Edition]
release date: 2019/05/03 FRI ON SALE

https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10129


[TRACKLISTING]

Disk 1
01. Three-Dee Melodie
02. Wow And Flutter
03. Transona Five
04. Des Etoiles Electroniques
05. Ping Pong
06. Anamorphose
07. Three Longers Later
08. Nihilist Assault Group
09. International Colouring Contest
10. The Stars Our Destination
11. Transporte Sans Bouger
12. L'Enfer Des Formes
13. Outer Accelerator
14. New Orthophony
15. Fiery Yellow

Disk 2
01. Ulan Bator
02. Klang Tone
03. Melochord Seventy-Five [Original Pulse Version]
04. Outer Accelerator - [Original Mix]
05. Nihilist assault Group - Part 6
06. Wow and Flutter [7"/EP Version - Alternative Mix]
07. Des Etoile Electroniques - Demo
08. Ping Pong - Demo
09. The Stars Our Destination - Demo
10. Three Longers Later - Demo
11. Transona Five - Demo
12. Transporté Sans Bouger - Demo

Shinichiro Watanabe - ele-king

 一昨年『ブレードランナー ブラックアウト2022』でフライング・ロータスとコラボし話題をかっさらったアニメ監督の渡辺信一郎、これまで『カウボーイビバップ』や『サムライチャンプルー』といった名作を送り出し、昨年は〈ブレインフィーダー〉10周年を特集した『別冊ele-king フライング・ロータスとLAビートの革命』にも登場していただいた彼が総監督を務める新作アニメ『キャロル&チューズデイ』が4月より放送されます。AIが音楽を作るようになった時代に、生身のミュージシャンである主人公のふたりが風穴を開けていくという、じつにタイムリーな物語になっているとのこと。詳細は下記をご確認いただきたいですが、無類の音楽好きとしても知られる渡辺監督だけに、主題歌や劇伴にもそうとう力を入れている模様です(音楽はモッキー)。現在、新たなPVが公開中。放送が楽しみです。

キャロル&チューズデイ

総監督:渡辺信一郎、アニメーション制作:ボンズ、キャラクター原案:窪之内英策ら強力なスタッフ陣が挑む
全世界の音楽を愛する人に捧げる、2人の少女が起こした奇跡の物語。

きっと忘れない。
あの、永遠のような一瞬を。
あの、ありきたりな奇跡を。

ボンズ20周年×フライングドッグ10周年記念作品として総監督・渡辺信一郎、キャラクター原案・窪之内英策を迎えアニメ史を塗り替える、全世界に向けた音楽作品
TVアニメ『キャロル&チューズデイ』の制作発表会が都内にて行われ、第2弾キービジュアル、新プロモーション映像及びメインキャスト・主題歌アーティストが発表となった。
主役のキャロルとチューズデイには島袋美由利(キャロル役)、市ノ瀬加那(チューズデイ役)の2人のフレッシュな女性キャストを起用。
また、大塚明夫(ガス役)をはじめ、入野自由(ロディ役)、上坂すみれ(アンジェラ役)、神谷浩史(タオ役)、宮野真守(アーティガン役)といった早々たる顔ぶれが脇を固める。
また、音楽にも強い拘りがある本作は海外アーティストからの楽曲提供が多く、さらに劇中歌及び主題歌は全て外国語で歌唱される。主題歌は全世界オーディションにより選ばれた2人のアーティスト Nai Br.XX(ナイ・ブリックス)、Celeina Ann(セレイナ・アン)がキャロル・チューズデイのWキャストとして曲を歌唱することが発表となった。

4月10日よりフジテレビ「+Ultra」、NETFLIX ほか各局にて2クールでの放送が予定されているTVアニメ『キャロル&チューズデイ』。世界規模で話題を呼んでいる本作に是非ご期待ください。

《キャロル&チューズデイとは?》

ボンズ20周年×フライングドッグ10周年記念作品。
総監督に『サムライチャンプルー』・『カウボーイビバップ』・『アニマトリクス』・『ブレードランナー ブラックアウト2022』ほかを手掛け国内外においてカリスマ的な人気を誇る、渡辺信一郎。
キャラクター原案に、日清食品カップヌードルCM「HUNGRY DAYS 魔女の宅急便篇」、「「HUNGRY DAYS アルプスの少女ハイジ篇」などのキャラクターデザインで人気を博している窪之内英策。
この強力タッグのもと、アニメーション制作は『「COWBOY BEBOP 天国の扉」』・『鋼の錬金術師』・『交響詩篇エウレカセブン』・『僕のヒーローアカデミア』など数多くのヒット作品を世に送り続けるボンズ、物語の主軸となる音楽は『カウボーイビバップ』・『マクロス』シリーズなど数々のヒットアニメーション音楽を作り出すフライングドッグが担当する。
劇中音楽はカナダ出身のアーティスト Mocky が手掛け、主題歌は全世界オーディションによって選出された Nai Br.XX(ナイ・ブリックス)、Celeina Ann(セレイナ・アン)がキャロル・チューズデイのWキャストとして曲を歌唱する。音楽にも強い拘りがある本作は海外アーティストからの楽曲提供が多く、さらに劇中歌及び主題歌は全て外国語で歌唱される。
オープニングテーマ「Kiss Me」は現在、男女問わず絶大な人気を誇る Nulbarich(ナルバリッチ)。エンディングテーマ「Hold Me Now」はオランダを代表するポップの才人・Benny Sings(ベニー・シングス)が担当。

また、劇中ボーカル曲参加コンポーザーとして、ノルウェー出身の音楽プロデューサー・ミュージシャンの Lido、オランダを代表するポップの才人・Benny Sings、エレクトロポップデュオ《The Postal Service》への参加でも知られるUSインディー界の歌姫・JEN WOOD、女性4人によるロックバンド・《赤い公園》でギターを担当する津野米咲、ビヨンセやリアーナ、ジェニファー・ロペスなど超大物アーティストに楽曲を提供している Evan "Kidd" Bogart、現在活動停止中ではあるがロック・ファンにはなじみの深い Keane(キーン)の Tim Rice-Oxley、コーネリアスやファイストなどとのコラボも話題となったノルウェー出身のグループ、Kings of Convenience(キングス・オブ・コンビニエンス)の Eirik Glambek Bøe といったこちらも早々たる面子が音楽で本編を彩る。

2019年4月からのオンエアに向けて本編、音楽ともに絶賛鋭意制作中!
他に類をみない本作品に乞うご期待!!!

《あらすじ》

人類が新たなフロンティア、火星に移り住んでから50年になろうという時代。
多くのカルチャーはAIによって作られ、人はそれを享楽する側となった時代。
ひとりの女の子がいた。
首都、アルバシティでタフに生き抜く彼女は、働きながらミュージシャンを目指していた。いつも、何かが足りないと感じていた。
彼女の名はキャロル。
ひとりの女の子がいた。
地方都市、ハーシェルシティの裕福な家に生まれ、ミュージシャンになりたいと思っていたが、誰にも理解されずにいた。世界でいちばん孤独だと思っていた。
彼女の名はチューズデイ。
ふたりは、偶然出会った。
歌わずにいられなかった。
音を出さずにいられなかった。
ふたりなら、それができる気がした。
ふたりは、こんな時代にほんのささやかな波風を立てるだろう。
そしてそれは、いつしか大きな波へと変わっていく───

《スタッフ・キャスト情報》

[メインスタッフ]
原作:BONES・渡辺信一郎
総監督:渡辺信一郎
監督:堀元宣
キャラクター原案:窪之内英策
キャラクターデザイン:斎藤恒徳
メインアニメーター:伊藤嘉之、紺野直幸
世界観デザイン:ロマン・トマ、ブリュネ・スタニスラス
美術監督:河野羚
色彩設計:垣田由紀子
撮影監督:池上真崇
3DCGディレクター:三宅拓馬
編集:坂本久美子
音楽:Mocky
音響効果:倉橋静男
MIXエンジニア:薮原正史
音楽制作:フライングドッグ
アニメーション制作:ボンズ

[メインキャスト]
キャロル:島袋美由利
チューズデイ:市ノ瀬加那
ガス:大塚明夫
ロディ:入野自由
アンジェラ:上坂すみれ
タオ:神谷浩史
アーティガン:宮野真守

《主題歌情報》

オープニングテーマ「Kiss Me」
作詞・作曲・編曲:Nulbarich
歌:キャロル&チューズデイ (Vo. Nai BrXX & Celeina Ann)

エンディングテーマ「Hold Me Now」
作詞・作曲・編曲:Benny Sings
歌:キャロル&チューズデイ (Vo. Nai BrXX & Celeina Ann)

《放送情報》

2019年4月10日よりフジテレビ「+Ultra」にて毎週水曜日24時55分から放送開始予定
NETFLIX にて4月10日配信開始予定。2話~毎週木曜日配信予定(日本先行)
ほか各局にて放送予定
(関西テレビ/東海テレビ/テレビ西日本/北海道文化放送/BSフジ)

公式HP: https://caroleandtuesday.com/

Courtney Barnett - ele-king

 昨年5月にセカンド・アルバム『Tell Me How You Really Feel』をリリースしたコートニー・バーネット。そのときのインタヴューで「日本にまた行ける日が待ち遠しくて仕方ない」なんて言っていた彼女ですが、なななんと、実現しちゃいました! 来る3月、コートニー・バーネットが東京・名古屋・大阪にやってきます。現在、その来日公演にあわせて2016年のフジロックでのパフォーマンス映像が公開中。これを観て本番を楽しみに待っていましょう(3月9日にはタワレコ渋谷にてサイン会もあるそうですよ~)。

コートニー・バーネット、フジロックフェスティバル’16のライヴ映像を公開! 来日公演は3/8より! 3/9はサイン会実施!

セカンド・アルバムとなる最新作『テル・ミー・ハウ・ユー・リアリー・フィール』を昨年5月にリリースし、3月にジャパン・ツアーを行うコートニー・バーネットが、2016年に出演したフジロックフェスティバルのライヴ映像を公開した。曲は初期の名曲“Avant Gardener”。

■FUJI ROCK FESTIVAL'16 “Avant Gardener”
https://youtu.be/nU6fs5jIlYQ

また来日中の3月9日(土)にはタワーレコード渋谷店にてサイン会を行う。

■サイン会概要

・開催日時:3月9(土)15:00~
・会場:タワーレコード渋谷店 6F
・参加方法:以下の対象商品をご購入のお客様にイベント参加件を配布いたします。
・詳細:https://towershibuya.jp/2019/02/07/130913
(問)タワーレコード渋谷 03-3496-3661

■公演概要
日時/会場

東京
3/8 (Fri) SHIBUYA TSUTAYA O-EAST
open18:00 / start 19:00 ¥6,500 (前売 / 1ドリンク別)
Information: 03-3444-6751 (SMASH)

名古屋
3/10 (sun) Electric Lady Land
open18:00 / start 19:00 ¥6,500 (前売 / 1ドリンク別)
Information: 052-936-6041 (JAILHOUSE)

大阪
3/11 (Mon) UMEDA CLUB QUATTRO
open18:00 / start 19:00 ¥6,500 (前売 / 1ドリンク別)
Information: 06-6535-5569 (SMASH WEST)

チケット発売

東京: e+ (pre:11/16 12:00-19 23:59)・ぴあ(P:131-173) / 英語販売あり・ローソン (L:71252)・岩盤 (ganban.net)
名古屋: e+ (pre:11/16-19)・ぴあ (P:134-665 ) 英語販売あり・ローソン (L:42925)
大阪: e+ (QUATTRO web: 11/17-19, pre:11/17-19)・ぴあ (P:134-638) 英語販売あり・ローソン (L:55208)・会場

お問い合わせ:SMASH 03-3444-6751 smash-jpn.com smash-mobile.com

■コートニー・バーネットまとめ
https://trafficjpn.com/news/cb/

■1stシングル「Nameless, Faceless」(日本語字幕付き)
[smartURL] https://smarturl.it/cb_jpn
[YouTube] https://bit.ly/2Kv613i

■期間限定スペシャル・プライス盤
来日を記念して、オリジナル・アルバム2作(国内盤CD)が期間限定スペシャル・プライスで発売中!

デビュー・アルバム『サムタイムス・アイ・シット・アンド・シンク、サムタイムス・アイ・ジャスト・シット』(期間限定スペシャル・プライス盤)
スペシャル・プライス:1,500円(税抜)/ TRCP-182Z

セカンド・アルバム『テル・ミー・ハウ・ユー・リアリー・フィール』(期間限定スペシャル・プライス盤)
スペシャル・プライス:1,800円(税抜)/ TRCP-230Z

[smartURL] https://smarturl.it/cb_jpn
[amazon] https://smarturl.it/cb_jpn/amazonmusiccddvd
[Tower Records] https://smarturl.it/cb_jpn/tower
[HMV] https://smarturl.it/cb_jpn/hmv
[iTunes/ Apple Music] https://apple.co/2EsIthe
[Spotify] https://spoti.fi/2Hgdoem

■プロフィール

1988年、豪生まれ。2012年、自身のレーベルMilK! Recordsを設立し、デビューEP『I’ve got a friend called Emily Ferris』(2012)をリリース。続くセカンドEP『How To Carve A Carrot Into A Rose』(2013)は、ピッチフォークでベスト・ニュー・トラックを獲得するなど彼女の音楽が一躍世界中に広まった。デビュー・アルバム『サムタイムス・アイ・シット・アンド・シンク、サムタイムス・アイ・ジャスト・シット』(Sometimes I Sit and Think, Sometimes I Just Sit)を2015年3月にリリース。グラミー賞「最優秀新人賞」にノミネート、ブリット・アウォードにて「最優秀インターナショナル女性ソロ・アーティスト賞」を受賞する等、世界的大ブレイクを果たし、名実元にその年を代表する作品となった。2018年5月、全世界待望のセカンド・アルバム『テル・ミー・ハウ・ユー・リアリー・フィール』をリリース。2019年3月、2度目の単独来日公演を東名阪で行う。

https://courtneybarnett.com.au/

Stephen Malkmus - ele-king

 思い返せばペイヴメントも、いわゆるオルタナのくくりで語られることが多かったような気がする。だがスティーヴン・マルクマスの背景はもっと違うところにあるのであって、それがマルクマスの音楽の分類の難しさもとい魅力にもなっていたわけだけれど──ともあれ彼はめでたく新しいアルバムを完成させた。今回はエレクトロニックに寄った内容になっている模様。現在、スーパーオーガニズムのメンバーが手がけたという新曲“Rushing the Acid Frat”のMVが公開されている(スーパーオーガニズム→スピーディ・J→「アシッド」……ってのは深読みしすぎか)。きっとマルクマスの第一声を聞いただけで往年のファンは悶えることだろう。発売は3月15日。

STEPHEN MALKMUS

ペイヴメントでの活躍でも知られるスティーヴン・マルクマス、3月15日に発売を控える最新アルバム『Groove Denied』から新曲をMVとともに公開! スーパーオーガニズムのメンバーが手掛けたポップでサイケなアニメからは目が離せない! 国内盤のみに収録されるボーナストラックも決定!

過去の音楽の単なる焼き直しではなく、これまでの歴史を守りつつ、自分たちのアイデンティティーを保ち、常に楽しみながら制作を続けてきたスティーヴン・マルクマス。昨年発売されたスティーヴン・マルクマス&ザ・ジックスのアルバム『Sparkle Hard』は Pitchfork、Rolling Stone、SPIN などの多数のメディアでアルバム・オブ・ザ・イヤーを獲得している。

〈Matador Records〉から3月15日にリリースされる新作アルバム『Groove Denied』は、スティーヴン・マルクマス曰く「(人々に)受け入れられなかった」作品で、マルクマスならではのエレクトロニック・アルバムに仕上がっている。

80年代のニュー・ウェイヴ・シーンなどの影響を感じさせる同アルバムから今回、新曲“Rushing The Acid Frat”がMVと合わせて公開された。マルクマスは、大学時代の友人との思い出からインスパイアされたという新曲を「スター・ウォーズに出てくるバーのシーンのサウンドトラック」だと表現している。同時に解禁された新曲のアニメMVは、スーパーオーガニズムの映像担当ロバート・ストレンジが手掛け、マルクマスが「トリップ」して幻覚を見ている様子を描いたサイケでポップな仕上がりとなっている。

待望の最新アルバム『Groove Denied』は、3月15日(金)に発売される。国内盤CDにはボーナストラックとして“Funeral Bias”と“Moog Police”の2曲が追加収録され、歌詞対訳と解説書が封入される。現在 iTunes Store でアルバムを予約すると、既に公開されている“Viktor Borgia”と今回公開された“Rushing The Acid Frat”がいち早くダウンロードできる。

Stephen Malkmus - Rushing The Acid Frat
https://youtu.be/LDiqO5VhFPw

Stephen Malkmus – Viktor Borgia
https://youtu.be/YlC8uz47qGo

おかしなポップの世界へと道を外れた心躍る作品 ──Rolling Stone

“Viktor Borgia”は80年代初めのポスト・パンクの影響を受けたシンセの要素が散りばめられ、一風変わった実験のよう ──NPR

たるんだ中年の米国人は、ギターを置いたエリートのロック・ミュージシャンというより、エレクトロニック・ミュージックに浸っている ──Vulture

label: Matador / Beat Records
artist: Stephen Malkmus
title: Groove Denied
cat no.: OLE14333
release date: 2019/03/15 FRI ON SALE

[TRACKLISTING]
01. Belziger Faceplant
02. A Bit Wilder
03. Viktor Borgia
04. Come Get Me
05. Forget Your Place
06. Rushing The Acid Frat
07. Love The Door
08. Bossviscerate
09. Ocean of Revenge
10. Grown Nothing
11. Funeral Bias (Bonus Track For Japan)
12. Moog Police (Bonus Track For Japan)

Mark De Clive-Lowe - ele-king

 1990年代後半からおよそ20年に渡り、ジャズとクラブ・ミュージックの両方の世界をまたにかけた活動をおこなっているマーク・ド・クライヴ・ロウ。彼の名前が最初に知られたのはウェスト・ロンドンのブロークンビーツ・ムーヴメントにおいて、フィル・アッシャー、ディーゴ、ベンベ・セグェといった面々とのコラボからだった。バークリー音楽院卒で既にジャズ・ピアニストとしてアルバムもリリースしていた彼だが、同時に学生時代はヒップホップやR&B、アシッド・ジャズからの影響も受け、ウェスト・ロンドンに移住してからはビートメイカーやDJ/プロデューサー的なスキルも身につけていく。その後アメリカに渡って現在はロサンゼルスを拠点に活動していく中で、ミゲル・アトウッド・ファーガソン、カルロス・ニーニョといったビルド・アン・アークの面々のほか、カマシ・ワシントンサンダーキャットなどのジャズ・ミュージシャンとの交流が生まれていった。大御所のハーヴィー・メイソンのバンド・メンバーに抜擢されるなど(来日公演ではDJクラッシュもフィーチャーしたライヴを披露している)、LAジャズ・シーンの重要なキーボード奏者という側面と、リミキサーとしてハウス・トラックを作るといったDJ/プロデューサーという側面を今も両立させ、また自身のバンドを率いて「チャーチ」というイベントを主催するなど、多面的で精力的な活動をおこなっている。アルバムとしては2014年にイベントから発展した『チャーチ』をリリースしており、ウェスト・ロンドン時代から続くジャズ、ジャズ・ファンク、フュージョンとブロークンビーツ、ヒップホップなどクラブ・サウンドの融合を見せていた。その後はEPやミックステープ、リミックス集などのリリースはあり、LAのクラブのブルー・ホエールでおこなったライヴ盤も出していた。最近でもモッキーの新作に参加していたのだが、自身のアルバムのリリースは久しぶりで、この『ヘリテージ』は『チャーチ』以来5年ぶりのニュー・アルバムとなる。

 マークはもともとニュージーランド出身だが、父親がニュージーランド人、母親が日本人というハーフである。ハイ・スクール時代に横浜で1年ほどホームステイしていたことがあり、知人やミュージシャンの友人も多くて、いまも定期的に日本を訪れてライヴをやっている。『ヘリテージ』はそんなマークが自身の片方のルーツである日本に向き合ったアルバムである。幼いころは母親から“赤とんぼ”など日本の童謡を聴かされて育ち、ホームステイ先はお寺の住職の家で日本の文化にも触れ、日本のジャズ・クラブにも通って板橋文夫、向井繁春、大西順子などを聴いていたというマークだが、これまでの作品の中に日本をテーマにしたものとか、日本的なモチーフを取り入れた作品は特になかった。彼のやっている作品はジャズにしろ、クラブ・サウンドにしろ、ブラック・ミュージックをベースとするものが多かった。そんなマークだが、ロサンゼルスに移住してから改めてアコースティック・ピアノやアコースティックなジャズの演奏に対峙するようになり、それと共に自身のルーツについても考える機会が増えていったようだ。アフリカ音楽をルーツとするブラック・ミュージックやジャズ、ファンクなどは確かにマークの音楽を形成するうえで重要なものとなったけれど、それは彼自身ではないし、あくまで借り物であると。またロサンゼルスではエチオピア音楽も盛んで、彼もトッド・サイモンがやるエチオ・カリというバンドに参加したことがあるが、その活動を通じてエチオピア音楽の音階と日本の伝統音楽の音階が酷似していることに気づき、改めて日本の音楽への興味が再燃していった。そうしたところから2017年に「未来の歴史」というイベントを開催し、そこでは琴、和太鼓、篠笛などの奏者やシンゴ02を交えたパフォーマンスをおこなっている。このイベントが『ヘリテージ』の制作をするにあたっての起点となり、実際にそこでの演目の多くが収録されている。

 参加ミュージシャンは「未来の歴史」にも参加していたカルロス・ニーニョ(パーカッション)、ブランドン・ユージン・オーウェンス(ベース)、タイラナ・エノモト(バイオリン)のほか、レオン・ブリッジスやエスペランザらと共演するジョシュ・ジョンソン(アルト・サックス、フルート)、タリブ・クウェリやモス・デフらと共演するテオドロス・エイブリー(テナー・サックス)、モーゼス・サムニーらと共演するブランドン・コームス(ドラムス)という面々。ブランドン・ユージン・オーウェンスはテラス・マーティンやロバート・グラスパーらと共演し、タイラナ・エノモトは日本人とアメリカ人のハーフである。今回は和楽器奏者こそ入っていないものの、ふたりの木管楽器奏者が尺八や篠笛に通じるような音色を奏でている。2018年6月にブルー・ホエールでおこなったライヴ音源と、同年7月のNRGスタジオでの録音を混ぜ合わせたものが最終的にアルバムにまとめられているが、その2、3ヵ月前にマークは奈良に滞在し、尺八奏者の薮内洋介とワークショップやライヴをおこなっていて、そのときに作られた“ジ・オファーリング”がオープニング曲として収められている。またマークは日本の音楽を理解するために演歌もいろいろと聴いたそうで、ほかに尺八奏者の山本邦山による『銀界』(1974年)は大きなインスピレーションの源となったそうだ(このアルバムはDJクラッシュもサンプリングしていて、その世界観にも影響を与えている和ジャズの名作)。英語表記だが楽曲名のほとんどは日本の言葉によるもので、“ブシドー(武士道)”や宮本武蔵の「二天一流」を由来とする“ニテン-イチ”、京都の南禅寺をモチーフとする“メモリーズ・オブ・ナンゼンジ”といった作品が並び、前述の童謡の“赤とんぼ”も演奏している。とは言っても単に和的なメロディによる演奏、和楽器風の演奏にとどまるのではなく、それらを現代的なジャズという形で自身のオリジナルな表現へと導いていると。西洋人が東洋のエキジティシズムをいたずらに強調した作品ではないし、和のモチーフで手っ取り早く振りかけた真似もの作品でもない。武士道や神社、お寺などがモチーフとなっているように、日本の古来の伝統や精神、宗教観がマークの音楽や制作活動に影響を与え、それが内面から湧き上がった演奏となっている。カマシ・ワシントンのようなスピリチュアル・ジャズとは異なるが、これもまたマークのルーツや人生観が形となったスピリチュアルな音楽と言えるだろう。

マイ・ブックショップ - ele-king

 いつも女性たちの地味な戦いを描いているスペインのイザベル・コイシェによる新作。1959年のイギリス。戦争で夫を失ったフローレンス・グリーン(エミリー・モーティマー)が本屋のない街で小さな本屋をオープンする話。2000年に没したペネロピ・フィッツジェラルドの原作(未訳)を元にサフォーク州ハードボローという架空の港町を舞台とし、原作にあったスピリチュアルな要素はすべて省いての映画化だという。50年代のイギリスの港町というと、どうしてもデヴィッド・リーランド『あなたがいたら 少女リンダ』(87)を思い出してしまうけれど、あのように破天荒で、保守的な人たちと真正面から戦う話ではなく、進んでいるのか進んでいないのかよくわからないテンポで話は進み、その点では初期の作風に戻った感がある(最近、ちょっとハリウッドっぽくなっていたので、ひと安心)。銀行で開店資金を貸してもらえない場面からスタート。それでもなんとか開店にこぎつけるまでが前半のストーリーながら、どういうわけか街の人たちはあまり協力的ではない。街の実力者であるヴィオレット・ガマート夫人(パトリシア・クラークソン)が街に芸術センターをつくろうと画策していて、同じ物件に目をつけていたからだということがだんだんとわかってくる。弁護士が遅々として手続きを進めてくれない一方、少年たちが改装の手伝いをしてくれ、ようやく開店した店には「本は一冊も読まない」という小学生のクリスティーン(オナー・ニーフシー)が店番などで手伝ってくれることに。空っぽの棚に本が並べられ、少しずつ本屋ができていく過程はなかなか心が躍る。そして、本はこの街に様々な変化を引き起こしていくことになる。

 屋敷に引きこもって人前には姿を現さない老人エドモンド・ブランディッシュ(ビル・ナイ)から面白い本があったら送ってくれという手紙が届く。グリーンはレイ・ブラッドベリ『華氏451度』などを選んで送る。ブランディッシュは本のセレクトにいたく感心し、グリーンをディナーに招待し、街で囁かれている彼の身の上話がまったくの嘘で、真実がどうであったかを語り出す。一方、ガマート夫人は書店が順調ににぎわっていることを苦々しく思い、あの手この手で書店をつぶしにかかる。そんな折りにウラジミール・ナボコフ『ロリータ』が英訳され、これを読んだグリーンは、この本を売るべきかどうかブランディッシュに相談し、彼の後押しを得て大量に仕入れることにする。ポルノか文学かという論争を当時のイギリスで引き起こしていた『ロリータ』を見るだけ見ようとして群衆が店に詰めかけ、ガマート夫人は公共の秩序を乱したとして訴えを起こし、ついには……。フローレンス・グリーンは未亡人なので、いわゆるロリータではないけれど、ブランディッシュとの年の差はそれに近いものがある。むしろ年齢的に釣り合うのはガマート夫人の方で、しかし、ブランディッシュとガマート夫人は文化的に共鳴するところがなく、彼女がつくろうとしている芸術センターというのも具体的な説明はなく、おそらく箱物行政でしかないということは大体察しがつく。空っぽの建物だけをつくって満足しようとする地方自治の話は日本でもよく耳にするし、それよりもたった一軒の本屋が街を変えてしまうかもしれないという潜在的な影響力をこの作品は強調し、本は時に爆弾にも等しいことを教えてくれる(次から次へとele-king booksのカタログ数を増やしまくる野田努などはさしずめ現代の爆弾魔に等しい)。

 本屋を舞台にした映画というとノーラ・エフロン『ユー・ガット・メール』か岩井俊二『四月物語』ぐらいしか思い出せないけれど、それらとは違って『マイ・ブックショップ』には政治性が濃厚に塗り込められ、それどころか『マイ・ブックショップ』にはストレートに『華氏451度』が重ね合わされている。トリフォー版の『華氏451度』(66)は文字のない世界を印象付けるためにナレーションが多用されており、『マイ・ブックショップ』でも同じ手法が取られている上に、そのナレーションは『華氏451度』でリンダとクラリスの二役を演じたジュリー・クリスティが担当している。『華氏451度』にはナボコフ『ロリータ』が燃やされるシーンがあり、『マイ・ブックショップ』に並べられた本はあらかた『華氏451度』に出てくる本でもある。また(以下、ネタバレ)ラスト・シーンで本屋を燃やしてしまうのはそのものズバリといってよく、これは一種の思想統制の可能性も示唆している。しかし、本嫌いだったクリスティーンはその後、本屋を開店するまでになり、最後まで観るとフローレンス・グリーンは少なくともひとりには「伝えた」というところが本作の肝となっている。本を読まないと知っててグリーンがあえてクリスティーンに薦めた本はリチャード・ヒューズ『ジャマイカの烈風』という冒険小説で、異質なものの同居をテーマにしているという意味では彼女たちの関係をそのまま表した作品だと言える。『華氏451度』でも『マイ・ブックショップ』でも「本」と言った時に、それが思想書を指すのではなく小説を対象としているところがまた面白いところで、やはりそれは様々な解釈ができることに「読む」価値を置いているからだろう。ブラッドベリはラブクラフトの系譜だと「解釈」したブライアン・オールディーズの説を思い出す。

 アメリカを舞台にしたジョン・クローリー『ブルックリン』(15)やトッド・ヘインズ『キャロル』(15)と同時期の女性像を描いた作品でもあり、80年代につくられることが多かった「理想化された50年代」とは正反対に、50年代の不快な面を引きずり出すという傾向もここには散見できる。そう、『グリース』や『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の50年代はここにはない。50年代を「政治的に正しく」描くということは抑圧の主体をはっきりさせることであり、カウンター・カルチャーへの道筋をつけるということにもつながっていくのではないだろうか。2018年、ゴヤ賞受賞作。

(『マイ・ブックショップ』予告編)

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294