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Home >  Interviews > interview with Courtney Barnett - まさに待望のセカンド登場

interview with Courtney Barnett

interview with Courtney Barnett

まさに待望のセカンド登場

──コートニー・バーネット、インタヴュー

序・質問:大久保祐子    通訳:坂本麻里子   May 14,2018 UP

 コートニー・バーネットが特別なのは、女性だからとか、オーストラリア出身だからだとか、絶滅の危機に瀕した(何度も)ロックに立ちむかう左利きのギタリストであるとか、フィンガー・ピッキングを用いているからだとか、あるいはジェンダーであるからとか、そういう特徴的なところではなくて、まず極めて優秀なシンガー・ソングライターだという真理を先に伝えておかなければならない。珍しさではないということを。


Courtney Barnett
Tell Me How You Really Feel
(歌詞対訳 / ボーナストラック付き)

MilK! Records/トラフィック

Indie Rock

Amazon Tower

 ファースト・アルバム『サムタイムス・アイ・シット・アンド・シンク、サムタイムス・アイ・ジャスト・シット』を2015年にリリースした後に、大ファンだと公言しているカート・ヴァイルとの昨年のデュエット作を経て3年ぶりに発売されるセカンド・アルバム『テルミー・ハウ・ユー・リアリー・フィール』は、静寂を切り裂くようなグランジィなギターを響かせた“Hopefulessness"から幕を開ける。前作のラストに収められた“Boxing Day Blues"の続きのようにも聴こえるし、新しくダイナミックなコートニーのようにも聴こえるから不思議だ。彼女には様々な苦悩や葛藤を焼き尽くして淀みのないスタンダードでドライなロックに昇華させる力が携わっているようで、それは今作でもしっかりと健在。2018年に聴くべき音かと問われればポップスのように後に振り返れるような時代との連動性は無いけれど、3年後や10年後に聴いたとしても同じように伝わる普遍的な音であり、音楽史ではなく誰かの心に深く残る音だと答える。そして彼女のラフな佇まいや、気怠い歌声や、惚れ惚れするほど歪んだ音を鳴らすギター・プレイからは、何よりも自分自身であることの正しさ、大切さを受け取ることができる。それはフェミニズムにおける定義としてではなく、現代の多種多様な生き方の選択肢としてのさりげないメッセージのようにも思える。

 街が傷ついた魂を哀れんでる
 どんな素敵な散文も 心の穴を埋められない
 誰もが敵意に飲まれてる
 冬の厳しさは容赦なく 本心は口にできないわ
 友達は他人のように接してくるし
 他人は親友のように接してくる
 今日もまた 憂鬱な1日に目覚める
 まだ長い道のりがある ありがたく思わないと
“City Looks Pretty”

 憂鬱で笑っちゃうほど孤独、そんな俗世間にいる自分をユーモラスに切り取る歌詞は、今作では更に鋭いまなざしで何かを見つめ、しかし語り口は少し優しく変化している。優れたソングライターとは、リスナーがそこに自分がいると錯覚を起こすような言葉を曲のなかにいつも忍ばせているものだ。アルバムのタイトルが示唆するのは、つまりそれがあなたの本当の気持ちだということなのかもしれない。


Photo:Pooneh Ghana

自分はなんというか、つねに何かを学んでいるし、何であれ、いろいろと葛藤し続けているしね。そう……だから、とにかく自分にとっては常に続いている「学び」のプロセスみたいなものだし、その葛藤を続けることを本当に楽しめるようになってきた、という。だから、「自分は何もかも知っているわけじゃないんだ」という、その点を認めて受け入れるってことだし、だからわたしはすごくオープンになっている。

あなたのファースト・アルバム『Sometimes I Sit And Think,And Sometimes I Just Sit』は世界中のメディアに賞賛されましたが、3年前のことをいま振り返ってみるとどんな状態でしたか?

CB:そうだな、あれはとても……エキサイティングな旅路だった、みたいな。で、その旅はまだ続いているのよね、ほんと。とにかくこう、新しくエキサイティングなことがどんどん起こっているし。たとえば世界中を旅して人びとの前で自分の歌を歌えるだとか……それって、「自分にやれるだろう」なんて思ってもいなかったことだった。だから、そう、自分でも驚かされっぱなしなの。

じゃあグラミー賞ノミネート等々も、やはり驚きだったでしょうね。

CB:ええ、もちろん思ってもいないサプライズだった。だけど、わたしはそういった「外部のもろもろ」みたいなものはなるべく知らないままでおこうとしたっていうのか、ほんと、そこらへんはあまり考え過ぎないようにしていた。それよりももっとこう、とにかくライヴをやりに出向いていって、実際にチケットを買って音楽を聴きに来てくれた会場いっぱいのお客を相手に演奏する、そちらの方が自分にとっては大事、というか。それは、アウォード云々がもたらすような何よりもわたしにとっては重要だったから。

ライヴでなら、実際の聴き手/お客さんを前にして彼らとコネクトできるわけですしね。

CB:ええ。

昨年リリースされたカート・ヴァイルとの共作『Lotta Sea Lice』はおふたりともとてもリラックスして楽しんでる様子が伝わってくる大好きなアルバムなのですが、この作品を制作したことはあなたの新作にどんな影響を与えていますか?

CB:もちろん、影響はあったわ。っていうか、何にだって影響されるものなんじゃないかな? わたしが何か作ろうとすれば、いつだってそこでは何もかもが影響し合っているんだし……というのも、わたしたちはあのアルバム(『Lotta Sea Lice』)をやっている間にそれぞれ自分たちの作品に取り組んでいたし、わたしはあの間に自分の新作のソングライティングもやっていたのね。
だからそう、それって(わたしとカートの)双方向に作用するだろう、というか、わたしのこのアルバムはふたりでやったコラボレーション作に影響を受けただろうし、彼の作品にしてもそれは同様だ、と。だからほんと、わたしはたまたま同じデスクに腰を据えることになった、同じ時期に同じデスクに向かってあれらの曲を書いていた、みたいな? そうやって曲を書いていったたわけだけど、ただ、結果的にあれらは2枚の違うレコードに収まることになった、という。で、うん……それに、普段とは違うミュージシャンたちとプレイするだとか、いつもと違うジョークをいつもと違う人たち相手に言い合うとか、その程度のことだって、それらすべてが合わさっていくと、やっぱりいままでとは異なる体験やインスピレーションになっていくものだろうし。

そしてカートとの共作は今後も続く可能性はありますか?

CB:ええ! またやれれば良いなと思ってる。うん、割と最近彼ともそれについては話したし、2、3年後にでも、また一緒に集まろうか? それでどんな感じになるか試しやってみようよ、という話はしてる。

それは良いですね!

CB:(笑)ええ。

新作についてですが、『テルミー・ハウ・ユー・リアリー・フィール(Tell Me How Really Feel)』というタイトルにこちらを覗き込むような顔、静かな怒りやメッセージを含んだ歌詞など新しいスタイルを感じました。

CB:うん。

それとは裏腹に歌い方は穏やかで優しくて、ギターは相変わらず荒々しく鳴っているアンバランスなところにも魅力を感じました。ファースト・アルバムを制作した後に何か大きな心情の変化はありましたか?

CB:そうね……でも、大きな変化はそれこそ毎年、コンスタントに自分に起きているな、そんな風に感じているけれども。来る年来る年、自分には常にある種の大きな変化が訪れてきたし、そうした変化って、一生続くものなんじゃないか?と。そうだな、そこが、自分でもわかりはじめてきたところなんだと思う。
だから、時間が経つにつれて自分は物事に対処しやすくなる、あるいは物事の筋道が理解しやすくなるだろう、と考えるわけだけど、実はそんなことってないんじゃないか、と思っていて。わたしからすれば、自分はなんというか、つねに何かを学んでいるし、何であれ、いろいろと葛藤し続けているしね。そう……だから、とにかく自分にとっては常に続いている「学び」のプロセスみたいなものだし、けれどもそのプロセスに抵抗して闘うのではなくて、その葛藤を続けることを本当に楽しめるようになってきた、という。

なるほど。

CB:だから、「自分は何もかも知っているわけじゃないんだ」という、その点を認めて受け入れるってことだし、だからわたしはすごくオープンになっている。そうやって色んなことに対してオープンである状態を続けながら、そうだな、さらに色んなものを学ぼうとしているってことじゃないかと思う。

ちなみに、このアルバムを作るにあたって特別なテーマなどを設けたのでしょうか?

CB:ノー! それはなかった。そうじゃなくて……なんというか、曲を書き続けていくうちにだんだんテーマがはっきりしていった、というものだったんじゃないかな。アルバムには繰り返し出て来るアイディアが2、3あるけれども、「これ」といったかっちりしたテーマはとくになくて。だから、自分でも「テーマはこういうものだ」って風に見定めてレッテルを貼り付けることをしないまま、とにかく曲を書いていっただけだし、そうすることで自然にどんな風に広がっていくかを見守ろう、と。

序・質問:大久保祐子(2018年5月14日)

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Profile

大久保祐子 大久保祐子
神奈川県出身。かつてシュガースウィートというミニコミを作っていましたが、現在は清く正しい主婦です。

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