「!K7」と一致するもの

interview with Jockstrap - ele-king

 男性用下着を名乗る彼らが最初に注目を集めたのは、2018年のEP「Love Is The Key To The City」だった。ストリングスを効かせたラウンジ・ミュージックとグリッチという、ある意味で対極のものを融合させるアイディアは、現在の彼らの音楽性にも通じている。すなわち、ある既存の音楽をもとの文脈から切り離し、自分たちの感性に引きつけて再構築すること。いわばメタ的なポップ・ミュージックである。それを理屈優先ではなく、自然にやってのけているところがジョックストラップの強みだろう。
 ともにギルドホール音楽演劇学校に通っていたふたり、ヴォーカリストでありヴァイオリニストでもあるジョージア・エラリーと、プログラミング担当のテイラー・スカイから成るロンドンのデュオは、その後〈Warp〉と契約。「Wicked City」など2枚のEPを送り出したのち〈Rough Trade〉へと移籍、このたびめでたくファースト・アルバムのリリースとあいなった。
 初のアルバムではほとんどの曲にヴァイオリン隊がフィーチャーされている一方、多くの曲で電子ノイズやパーカッションなどが単調さを遠くに退けている。先行シングル “Concrete Over Water” に顕著なように、展開の読めなさもまた彼らの武器だろう。
 ときにシュールでときにロマンティックなエラリーの詞にも注目しておきたい。そもそもジョックストラップなるバンド名がそうなわけだが、「自分に触れると/いつだってわかる」(“Glasgow”)のマスターベーションのように、通常「(女性がそれを)公言するのは好ましくない」とされるセクシュアルな表現を遠慮することもない。“Greatest Hits” では「想像して 私はマドンナ」と歌われている。飾らずに官能をさらけだすスタンスも、本作の魅力のひとつだ。
 クラシカル、ジャズ、ハウス、ダブステップなどなどの小さな断片が違和感なく調和した、このみずみずしいエレクトロニック・ポップがどのように生み出されたのか、BCNRの一員として来日していたジョージア・エラリーに話を聞いた。

ダブステップはとてもエモーショナルだし、音の幅を広げるというか、どこまで動物的でモンスターみたいな音にできるか、みたいなおもしろさがあると思います。

今回はジョックストラップの取材ですが、先ほどBCNRのチャーリー・ウェインとメイ・カーショウの取材に立ち会ってきました。フジロックはどうでしたか?

ジョージア・エラリー(Georgia Ellery、以下GE):環境もいいし、お客さんもじっくり聴いてくれたし、ステージのセットアップもよくて最高でした。

日本は初めてですか? どこか行かれましたか?

GE:素晴らしいですね。東京大好きです。こんなに熱帯的でトロピカルとは思っていませんでしたけど、暑いのは好きだから。街も刺戟的で、ファッションもとてもすてき。

いまイングランドも熱波到来でめちゃくちゃ暑いですよね。

GE:湿気は向こうのほうが少ないんですが、暑いといろいろ故障しちゃったりするんです。暑すぎて電車が走らないとか。古い線路だと、一定以上の温度になると危ないみたいで。最近はコーティングをして熱対応にしているみたい。すごく不便ですね。

暑さでライヴに支障が出たりはしないんでしょうか? 曲順がトんだりとか。

GE:(フジの)ステージ上はちょっと暑かったけど、それほど大変ではなくて。ちょうどわたしたちの出番のときに曇ってきたから大丈夫でした。虫が楽器に止まったりして良かったです。

ジョックストラップの結成は2017年です。バンド名が一風変わっていますが、どのようなコンセプトではじまったプロジェクトなのですか?

GE:じつはバンド自体よりも先に、名前が決まっていたんです。ヘヴィ・メタルのバンド名が大好きで、「ジョックストラップ」ってどこかアイアン・メイデンみたいにエロティックな感じもあるし、ハードコアな感じもあるから。もともとわたしが考えていたコンセプトがあって、テイラー(・スカイ)に「こういう名前で考えているんだけど、一緒にやらない?」って聞いたら「いいんじゃない?」ってすぐOKしてくれました。おかしな話だけど(笑)。でも母親は「え!?」って。「なんでそんな名前にしたの」みたいな(笑)。でもスポティファイにもそんな名前のひとはいなかったし、いいかなって。

どういう音楽性のバンドにするかも決まっていたんですか?

GE:初めはどういうサウンドになるかぜんぜんわかりませんでした。わたしがつくったデモをもとに、テイラーがプロダクションを加えるかたちで。彼のプロダクションがどういうものか、フェイスブックにクリップみたいなものを上げていたから、だいたいはわかっていたけど、それらが融合したときにどういうものができるかは、そこまでよくわかっていなかった。

エラリーさんが作詞・作曲、スカイさんがプロデュースの担当ですが、作詞・作曲を済ませたあとは彼に任せる流れですか?

GE:最初は個別でつくるんですが、テイラーのつくってきたプロダクションを聴かせてもらって、ふたりとも気に入ったものがあった場合はそれを追求していく。それからふたりでエディットしながらいいものへと仕上げていくんです。互いが互いの作詞・作曲、プロダクションに興味があるから、ふたりでゴールを定めて共同作業していく感じかな。

先にトラックがあって、それに味つけしていくというパターンもあるのですか?

GE:今回のアルバムではそういう順番でつくったものが何曲かあって、“50/50” って曲なんかはテイラーのトラックの上にわたしが重ねていく、という手法をとりました。

いま話に出た “50/50” は「アー、エー、ウー、イー、アー」と母音で歌い上げるのが印象的です。これにはなにか参照元などがあったのでしょうか?

GE:彼が聴かせてくれたサンプルがあったんですが、それにたいするわたしの解釈が母音みたいだなと思ったから。

リリックはどのようなプロセスで書くのでしょうか?

GE:リリックを書くときはいつも、詩みたいに短い感じで書きます。内容としては、自分が個人的に体験したこと……自伝って言うのかな、そこで生まれた感情を受け入れたいときに、詩的に書く。それがリリックのベースになっていますね。

リリックを書くうえで、小説や詩など文学を参照することはありますか?

GE:シルヴィア・プラスというアメリカの詩人。彼女はシュールなイメージの自伝的なものを書いています。あと、おなじくアメリカの作家の、キャシー・アッカー。スリルのある近代的なライティング・スタイルで、散文やストーリーを書くひとです。

今回リリックでもっとも苦労した曲はどれですか?

GE:“Debra”。これも最初にトラックがあって、それにリリックを載せていきました。ビートがかっこよかったから、その要素に合わせていい歌詞を書きたいと頑張っていたんだけど、すごく難しくて。結局、ゲームの『あつまれ どうぶつの森』の内容についての歌詞になりました(笑)。

わたしたちは1曲1曲がヒット曲みたいなものをつくりたい

『あつ森』はふだんからけっこうプレイしているんですか?

GE:かなりね(笑)。

『あつ森』もその一種に数えられることがありますが、最近はメタヴァースが話題です。そういった仮想空間でアヴァターを介してコミュニケイションをとることについては、どう思っていますか?

GE:わたしはあまりほかのひとと一緒にはやらずに、ひとりでやることが多いんですが、やっぱりその空間は完璧なヴァーチャル・ワールドで、とても心地いい。一種の逃避ですね。インスタグラムのヴァージョンでフォロウするのが楽しくて、よくやっています。

もし『マトリックス』の世界のようにテクノロジーが発展したら、そちら側の世界で暮らしてみたいと思いますか?

GE:バランスが重要ですよね。難しいことにも直面するだろうし。

これはスカイさんに訊くべき質問かもしれませんが、ほとんどの曲に変わった音だったりノイズだったりが入っていますし、展開がまったく読めなかったり、実験的であろうと努めているのがわかります。ただ気持ちのいいポップ・ソングをつくるのではなく、実験的であろうとするのはなぜでしょう?

GE:テイラーはつねに新鮮なサウンドを求めていて、そこに刺激を感じるひとなんです。いままで聴いたことのあるものだとつまらないと感じるタイプだから、いつもじぶんの限界に挑戦して、聴いたことのない音を追求していますね。彼は11歳のころからプロダクションをやっていて、自分のスタイルに磨きをかけているひとだから、非常に独特な方法で(サウンドを)追求しているし、そんな彼を尊敬しています。

彼はどういった音楽から影響を受けたのでしょうか?

GE:確実にダブステップだと思う。わたしもそうなんだけど、そこからいちばん影響を受けているかな。ダブステップはとてもエモーショナルだし、音の幅を広げるというか、どこまで動物的でモンスターみたいな音にできるか、みたいなおもしろさがあると思います。あと、ブロステップやハウスからも影響を受けていますね。

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ダブステップのアーティストだとだれが好きですか?

GE:スクリレックスかな。あとトータリー・イノーマス・エクスティンクト・ダイナソーズ。ハウスにエモいヴォーカルが入っている感じで。ジェイムス・ブレイクが出てきたときも、そのポスト・ダブステップにとても感銘を受けました。彼はソングライティングもすばらしいから、そこからも大きな影響を受けていますね。あとはジェイミー・エックスエックス。エモーショナルかつダンス・ミュージックで、そのふたつの要素の融合に惹かれますね。

では、ダンス・ミュージック以外で影響を受けた音楽はありますか?

GE:70年代のジョニ・ミッチェルとか、80年代のコクトー・ツインズとか。80年代のオルタナティヴなミュージック・ライティングとかが好きですね。

そのあたりはリアルタイムではないと思いますが、どのようにして発見したのでしょう?

GE:ジョニ・ミッチェルやボブ・ディランは両親からの影響で……似たようなテイストがわたしにも引き継がれているのかも(笑)。テイラーの場合は、両親が実験的な音楽が好きだったから、父親がジェイムス・ブレイクのアルバムを聴かせてくれたり、母親がスクリレックスのライヴに連れていってくれたりしたみたい。

バイオグラフィーによると、クラシック音楽を聴いて育ったのですよね? そちらの道に進まなかったのはなぜですか?

GE:テイラーは12歳ぐらいのときにコンピューターを手に入れてから、じぶんで音楽ができることに気づいて、電子音楽のプロダクションにのめりこんだんだと思う。わたしの場合は、そこまでクラシックの演奏が上手じゃなかったし、オーケストラに参加するのもいやで、もっとちがうことがしたいと思ってジャズを専攻することにしました。

ヴァイオリンを習っていたそうですね。じつはわたしもかつて習っていたことがあるのですが、ヴァイオリンをやっていてつまらないと感じたのはどんなときですか?

GE:あなたも! つまらなかったというわけじゃなくて、弾くのは好きでした。オーケストラとかもね。ただちょっと堅いというか、世界が狭いというか。やっぱりわたしはダンス・ミュージックも実験的な音楽も好きだったから、ヴァイオリンだとクラシック向きすぎて、じぶんの作曲には合いませんでした。わたしはもっといろいろな道を探求したいから。あと、わたしってけっこうまじめなほうだと思うんですが、プロだと1日9時間くらい練習するんです。それはちょっと無理かなって。ほかにやりたいことがたくさんあるし。

本作のほとんどの曲にストリングスが入っていますね。やはりヴァイオリンの音を入れたかった?

GE:EPをつくったときに初めてストリングスのオーケストラを導入したんですが、そのときわたしたちの独特なサウンドがまとまった感じがしたから、アルバムをつくるとしたら入れようと思っていて、そうなりました。じぶんたちの持っているスキルの活用ですね。

ジョックストラップの作品に、あなたの出身地であるコーンウォールの要素は入っていると思いますか?

GE:意識的には、ないかな。むしろロンドンという都会の街の要素のほうが強いし、歌詞にもそういった部分は出ていると思います。

ちなみにBCNRとジョックストラップとで、もっとも異なっている点はどこでしょう?

GE:BCNRだと、みんなでリハーサル・ルームに集まって演奏しながら作曲して、ライヴを経て曲が完成していくんですが、ジョックストラップの場合はテイラーのベッドルームで集中的に作業して、曲を完成させてから初めてライヴで披露します。だから作曲のプロセスがいちばんちがう部分かな。

「ハイパーポップ」ということばがあります。ジョックストラップはそれと同時代に属しながら、それが持つある種の過剰さや空虚さとは異なる方位を向いている印象を受けます。

GE:たしかにハイパーポップから影響は受けていると思う。とくにソフィーにはね。彼女はすごく独特なスタイルだし、彼女にしか表現できない音楽のランゲージが存在する。テイラーにもそういう部分があると思うから、ハイパーポップとの共通性はあるかもしれません。とくに前回のEPはハイパーポップに近いものだったかも。

今回は初のアルバムです。流れがあり、それをしっかりと聴かせようという意思を感じました。

GE:アルバムにするってなったとき、曲順を考えなきゃいけないから通して聴いていたんですが、それまではあまり意識していませんでしたね。すべてがそうというわけではないけど、曲は時系列順だったり部類順に並べていて、EPも時系列順に並べています。1曲1曲のサウンドが大きくちがうから、曲順を考えるのはかなり難しかった。ひとによっては “Glasgow” を1曲目に持ってくるべきだって意見もあったんですが、最近つくった曲だから最後のほうに持っていって。そうすることで、わたしたちの進化の過程を表現したかったんです。ほかのアイディアとしては、ダンスっぽいトラックを前半に、アコースティックなものを後半にしようという案もありましたけど、それもなんかちがうなと。

マスタリングしていないヴァージョンをラジオに送って、一度かけてもらったことがあるんですが、それを録音してマスタリングすることで、ラジオの周波数の音が出せました。“Greatest Hits” はラジオのヒット曲についての曲だから

ほかのアーティストの音楽を聴くときは、アルバムを通して聴きますか?

GE:アルバムを通して聴くものもあります。アルバムの曲順によって流れがある作品もすごく好き。でもわたしたちは1曲1曲がヒット曲みたいなものをつくりたいから、そういった曲を並べるという作業がすごく難しくて。カニエ・ウェストもトラックリストを考えるのには苦労しているんじゃないかな(笑)。全曲ノリノリのアッパーチューンだと、べつに流れとかはないと思うから。

三曲目のタイトルはまさに “Greatest Hits” ですが、これがまさにそういった感覚をあらわしているのでしょうか? マドンナのようなヒット・ソングをつくってみたいという曲ですよね。

GE:“Greatest Hits” をアルバム・タイトルにしようというアイディアもあったんです。でも、すべてが “Greatest Hits” にはならなかったから(笑)。この曲はけっこうつくるのが大変で、マドンナっぽいサウンドもあるんですが、やっぱりテイラーはワンアクション加えたかったみたいで。OPN とザ・ウィークエンドのようなテープっぽい音を入れたくて、サンプリングを多用していますね。あとは、マスタリングしていないヴァージョンをラジオに送って、一度かけてもらったことがあるんですが、それを録音してマスタリングすることで、ラジオの周波数の音が出せました。“Greatest Hits” はラジオのヒット曲についての曲だから、そういったプロダクションをしたかったんです。

いまは2032年だと仮定します。10年前にこのデビュー・アルバムが出た意味とは、なんだったと思いますか?

GE:テイラーにとっては、新鮮味のないものかも。古いからもうダメ、みたいな(笑)。でもやっぱりヒット曲というか、バンガーであってほしいですね。名曲は変わらず名曲だから。

JOCKSTRAP x WAVE

いよいよ今週9/9にデビュー作をリリース!
ジョックストラップ 、WAVEとのコラボ・アイテムを同時発売へ!

ロンドンを拠点とする新生オルタナティブ・ポップ・デュオ、ジョックストラップの待望のデビュー・アルバム『I Love You Jennifer B』の世界同時リリースに合わせてWAVEとのコラボレーション・アイテムを発売することが決定した。

今回アルバムに使用されたアートワークを配したロングスリーブTシャツ、Tシャツの2型をリリース。9月9日(金)からWAVEオンラインストアとSOFTHYPHENにて発売する。

WAVE (ウェイヴ) ONLINE STORE www.wavetokyo.com
INSTAGRAM @wave_tokyo

80〜90年代を中心に “音と映像の新しい空間” としてカルチャーの発信基地のように様々な文化を発信する存在だったレコードショップWAVEの新しいプロジェクト。音楽、ファッションだけにとどまらない様々なカルチャーミックスをベースに情報を発信。

LONG SLEEVE TEE ¥8,800 (TAX IN)

TEE ¥7,150 (TAX IN)

名門ギルドホール音楽演劇学校で出会い、ブラック・カントリー・ニュー・ロードのメンバーでもあるジョージア・エラリーとテイラー・スカイが2017年に結成したジョックストラップ。既存のスタイルを解体し、それを巧妙に組み直して全く新たなジャンルを生み出すような時間的そして空間的に激しく混乱した形のポップ・ミュージックを作り出すことで注目を集めている。また、先行シングル「50/50」はシャネルのキャンペーン・ビデオやステラ・マッカートニーのランウェイショーに使用されるなど音楽の領域を超えた話題も提供している。

2022年のカオス、喜び、不確実性、陰謀、痛み、ロマンスを他にはない形で表現しているジョックストラップの待望のデビュー・アルバム『I Love You Jennifer B』は、9/9世界同時発売。本作の日本盤CDには解説および歌詞対訳のDLコードが封入され、ボーナス・トラックを追加収録する。輸入盤は通常LPに加え、数量限定グリーン・ヴァイナルが同時発売される。

label: Rough Trade / Beat Records
artist: Jockstrap
title: I Love You Jennifer B
release: 2022.09.09 FRI ON SALE

国内流通仕様盤CD RT0329CDJP ¥2,200+tax
 解説+歌詞対訳冊子
輸入盤CD RT0329CD
輸入盤1LP (通常ブラック) RT0329LP
輸入盤1LP (グリーン・ヴァイナル) RT0329LPE

BEATINK.COM:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=12868

Kamaal Williams - ele-king

 ロンドン・ジャズ・シーンのキーパーソンのひとり、カマール・ウィリアムスの来日公演が急遽決定した。10月10日(祝)、渋谷WWWXにてキーボード、サックス、ドラムスのトリオ編成にてパフォーマンスをおこなう。ハウスを探求するヘンリー・ウー、ユセフ・デイズとのユセフ・カマールなど、これまでさまざまなスタイルに挑戦してきたウィリアムズ。今回の講演ではいったいどんなショウを見せてくれるのか。楽しみです。

Kamaal Williams
カマール・ウィリアムス

Kamaal Williams (Key)、Quinn Mason (Sax) 、Samuel Laviso (Drums)

サウスロンドンを代表するキーボード奏者兼プロデューサーであるHenry Wu (ヘンリー・ウー)こと Kamaal Williams (カマール・ウィリアムス)。ヘンリー・ウー名義ではハウス・ミュージックのプロデューサーとしても知られ、1枚のアルバムを残して解散したユセフ・デイズとのデュオ、ユセフ・カマールをはじめとした鍵盤奏者として注目を集めるカマール・ウィリアムス。彼が本名義では2018年のファースト・アルバム『The Return』、2020年に『Wu Hen』をリリースし、活況を呈するUKジャズ・シーンの中でもジャズとダンス・ミュージックをストリート感覚で横断する独特の感性で絶大な人気を誇っている。切れ味鋭いファンク・グルーヴやスピリチュアル・ジャズの深遠なるメロディー、さらにダウンビートやハウス・ミュージック的なプロダクションを巧みに溶け合わせる必見のライブパフォーマンス。緊急来日が決定!

10月10日(月・祝)
WWWX
開場 18:00 / 開演 19:00
前売:¥7,000(スタンディング)※ドリンク代別
※未就学児童は入場不可、小学生以上はチケットご購入が必要です
※購入時に個人情報の登録が必要となります
URL: https://eplus.jp/kamaalwilliams22-official/

(問)SMASH:03-3444-6751

新型コロナウイルス感染防止対策ガイドライン~ご来場いただく皆さまへお願い~
https://smash-jpn.com/guideline

オフィシャル先行予約
9/6(火)17:00 ~ 9/15(木)18:00
URL: https://eplus.jp/kamaalwilliams22-official/

一般発売
9/17(土) 10時~発売
東京 e+・チケットぴあ(P:226-770)・ローソン(L:72544)

お問合せ: SMASH 03-3444-6751 (smash-jpn.com)

JAZZ BEYOND TOKYO Vol.1 - ele-king

 9月3日、渋谷WWW Xで「JAZZ BEYOND TOKYO Vol.1」と題したイベントが開催された。東京から現在進行形のジャズを発信するショーケース・フェスティバルの第1弾だそうで、今回は3組が出演。それぞれ約40分のパフォーマンスを披露し、その模様はオンラインでも配信された*。事前のアナウンスによれば「いまとその先のジャズ」がひとつのテーマとなっているが、実際のイベントではジャズという枠組みに留まらず、ジャンルで括ることのできない同時代の音楽としか言いようのないものまで、わずか3組ながら幅広いバリエーションの音楽を聴かせてくれた。

 一番手で登場したのはピアニストの桑原あい。スインギーなオリジナル曲 “Somehow It's Been a Rough Day” から幕を開けると、続けて即興で2曲を演奏。即興とはいえ、いわゆるフリー・インプロヴィゼーション然としたものではなく、あくまでもジャズのフォーマットに基づいた演奏だ。ときにピアノから身を乗り出して鍵盤を叩く姿からは音楽の楽しさも感じられる。その後、スランプを脱出するきっかけになったというバラード “The Back” をしっとりと奏でると、最後は報道番組のオープニング・テーマにも起用された “Dear Family” で爽やかに締め括った。

 続いてステージには、7月にデュオ作『Song for the Sun』をリリースし、翌8月からレコ発ツアーをおこなってきた渡辺翔太(ピアノ)とマーティ・ホロベック(ベース)が登場。アルバムの収録曲を中心に、ツアー終盤ということもあってか息がピッタリと合ったインタープレイを繰り広げた。印象深かったのはホロベックが作曲した “B Shouga” の演奏で——タイトルは「紅生姜」を意味するらしい——、ピアノとベースがユニゾンで辿る幾何学的なメロディとその後の即興的でフリーな展開が、緻密さと自由さを行き来するダイナミックなサウンドを生み出した。

 トリを飾ったのはサックス奏者・松丸契のリーダー・プロジェクト、blank manifestoだった。これまで様々な編成でライヴをおこなってきたプロジェクトだが、この日はジム・オルーク(ギター)、石橋英子(ピアノ/フルート)、山本達久(ドラムス)、波多野敦子(ヴィオラ)、マーティ・ホロベック(ベース)を迎えたセクステット編成で、松丸の作曲作品——彼がこの日のために用意した作品——を40分にわたって切れ目なく演奏。リアルタイムでの電子エフェクトや多重録音をも駆使したアンサンブルは、様々な色合いのサウンドが重なり合って時間経過とともに緩やかに移り変わり、あたかも一編の映画のような、あるいは壮大な音響絵巻ともいうべき、もはやジャズという一言では表すことのできない現代曲へと仕上がっていた。

 blank manifestoで出演した各メンバーは譜面を目の前に置き、時には松丸が指揮をすることでシーンが切り替わる。リズムやメロディといった記号化し得る要素よりも、滲むような音色の繊細なテクスチャーやアンフォルメルな変化が特徴的だ。それはアンビエント・ミュージックの落ち着きを想起させるが、シーンによっては各プレイヤーならではのアグレッシヴで即興的なサウンドも飛び出す。終盤にかけては激しい盛り上がりも聴かせた。それらの器楽的な演奏性に溢れたサウンドがしかし、火花を散らしてぶつかり合うのではなく、あくまでも空間に溶け込むように浸透して独自のハーモニーを生み出していく。その意味でこの作曲作品は、譜面に還元できるものではなく、ジム・オルークをはじめとした参加メンバーたちの個性と関係性、およびWWW Xという場所を抜きにしては成立し得ない音楽でもあっただろう**。

 こうした現代曲を単にジャズと括ってしまうことはできない。ただし、一般にジャズの文脈で知られるミュージシャンのなかには、これまでもジャズと言い切れないような音楽的実験を試みてきた人物が数多くおり、そして広義のジャズはそれらの雑多な音楽をも許容してしまうところがひとつの魅力だった。そう考えるなら、身ひとつでスインギーなピアノをサラリと奏でることも、共演を重ねて絶妙なインタープレイを聴かせることも、そして実験精神に溢れたコンポジションに挑むことも、同じイベントで並べて聴くことには十分な意義がある。それらをあらためてジャズと呼ぶべきかどうかはともかく、いま、東京で起きている音楽の新しい動きに触れる機会として、ジャズを手掛かりにその枠組みを超えたラインナップを揃えた「JAZZ BEYOND TOKYO」には、今後も注目しておく価値がありそうだ。

* 配信はZaikoで9月6日までチケット購入/アーカイヴ視聴が可能。https://zaiko.io/event/350647
** blank manifestoは当初水谷浩章が出演する予定だったが、新型コロナウイルス陽性のため、急遽マーティ・ホロベックが代役を務めた。予定通り水谷が出演していたらまた異なるサウンドを生んだかもしれないが、他のメンバーとの共演経験が豊富なホロベックも適任で、単なる代役以上の役割を果たしたように思う。

Quelle Chris - ele-king

 テレンス・マッケナはドラッグの伝道者だと思われているけれど、本業は植物学者で、植物が人類を進化させてきたという思想がその核をなしていた。植物は酸素や食べ物を生物に与えてきただけでなく、最近では木陰をつくり出したことで生物が海から陸に上がれる手がかりをつくったのではないかということも言われている。そして、植物(とくにキノコ)がつくり出す幻覚物質が人類の脳を発達させてきたというのがマッケナの仮説で、セカンド・サマー・オブ・ラヴの時期になるとスペースタイム・コンティニウムやイート・スタティックと組んで彼は自説をレイヴァーたちに説いて回った。なかでもインパクト大だったコラボレーションがコリン・アンガスとミスター・Cによるシェイメンとの“Re: Evolution”で、ドラッグと音楽が結びついたカルチャーが世界を一変させるという誇大妄想がここまで肥大した例は珍しかった。シェイメンは元はロック・グループで、セカンド・サマー・オブ・ラヴの到来とともにフォームを変えていくものの、音楽性が貧しかったからか、同じようなトランスフォームを経験したハッピー・マンデーズやプライマル・スクリームほどは後世に語り継がれる存在にはならず、往時を知る人たちのノスタルジックなアイテムにとどまっている。とはいえ、セカンド・サマー・オブ・ラヴによって世界が変わると信じ込んだ彼らの信念は“Re: Evolution”だけでなく、同じ6thアルバム『Boss Drum』から最大のヒットとなった“Ebeneezer Goode”で最高潮に達していく。♪E、最高~、E、気持ちいい~と、あまりにMDMA讃歌が過ぎるという理由で放送禁止となり、TV出演の際は歌詞を変えて演奏しなくてはならなかった同曲は当時でもコマーシャルすぎてどうでもいい曲だったこともあり、イギリスやアイルランドで1位、ヨーロッパ総合でも4位という記録を叩き出す。彼らがそこまで多幸感を抱き、世界が変わることを信じた原動力はそして、なんだったのか。それはおそらくソヴィエト崩壊である。シェイメンがまだロック・バンドだった時期にリリースされたサード・アルバムは『In Gorbachev We Trust(英語の慣用句「神に誓って」のパロディ)』と題され、ジャケット・デザインには茨の冠を頭にのせたミハイル・ゴルバチョフの肖像が描かれている。マーガレット・サッチャーがいち早く評価したゴルバチョフは冷戦を終結させた“西側のヒーロー”ではあったものの、その後はどん底を這いずり回ることとなったロシアからプーチンが現れ、ロシアを立て直した過程を知っている僕たちにとって、ゴルバチョフの評価というものがあまりに一面的な価値観のものでしかなかったことはゴルバチョフの訃報に反応するのがやはり西側諸国であり、ロシアでは冷たいムードに覆われているという報道でも確認できる通り。


 デトロイトのヒップホップ・プロデューサー、クエール・クリスのソロ7作目は『Deathfame』と題されている。「死に装束」ならぬ「死に名声」とでも訳せばいいだろうか。J・ディラに見初められ、ダニー・ブラウンの初期作に名を連ねてきたギャビン・クリストファー・テニールは2011年にソロ・デビューし、オルタナティヴなサウンドにこだわりつつ、デトロイト・マナーの硬いビートを持続する。全体にストイックなジャズ・フィーリングが畳み掛けられるなか、タイトル曲では音楽産業との確執が語られ、死と引き換えに名声を手に入れるかどうかという葛藤へと踏み込んでいく。「どんなハグにも傷つけられ、殴られれば着想がわく」と苦境を客観視しつつ、「誰かほかの人間になりたい」と泣き言をリフレイン。元々、作風は一貫してダークで、スカしたところはあっても希望にあふれるサウンドとはとても言いがたかったものの、不協和音が織りなす意外性だったり、独特の遊び心や実験精神がもたらす抜け道のような爽快さに救われていたものがここへきて完全に八方塞がりとなった印象を与えるサウンドへと固まり出し、ついに閉塞感情から抜け出られなくなったかと思わせる一方、その徹底ぶりと凝縮度から過去最高の完成度という声も出ている。各曲のタイトルもストレートで、“Help I’m Dead”、“Alive Ain’t Always Living(ただ生きているだけ)”、”Die Happy Knowing They’ll Care(彼らが気にかけていると分かればハッピーに死ねる)”と婉曲表現ですらない。こうした主観の表明に説得力を与えているのが重くならないスモーキーなベースラインや奇妙なスネア、そしてネイヴィー・ブルーの多彩なピアノ・ワーク。ベースラインの自由度を差してか、「アンダーグラウンド・レジスタンスとは似ていないが工業都市デトロイトの歴史に当てはまるサウンドで、マッドリブと同様にアクトレスも想起させる(大意)」と見るピッチフォークのレヴューも面白い。レジデンツとマッシヴ・アタックが出会ったような“King In Black”、サイプレス・ヒルとDJプレミアが鉢合わせした“The Agency Of The Future”、あるいはクライマックスに置かれた“The Sky Is Blue Because The Sunset Is Red”ではデビュー当初のヴィンス・ステイプルズも呼び戻される。「死と名声」といえば広告塔として統一教会に利用された安倍晋三は山上容疑者にも逆の意味で広告塔として利用され、それで終わりかと思ったら、さらに岸田内閣にも広告塔として理由されるというではありませんか。ないがしろに近いゴルバチョフとは対照的な扱いで、しかし、さすがに3回目ともなると品がない(費用は麻生のポケットマネーでいいんじゃないかな。理屈じゃないみたいだし。でも、それじゃ国葬じゃなくて麻葬になっちゃうか)。


 ちなみにクエール・クリスが4年前にジーン・グレイと組んだ『Everything's Fine』は彼のキャリアとはまた違ったユニークな内容で、全体にサイケデリック色が強く、暗い時代のデ・ラ・ソウルといったところ。可能ならこちらを先に聴くことをオススメします(2人は共同作業を経てそのまま結婚。ジーン・グレイはジャズ・ピアニスト、ダラー・ブランドの娘で、90年代にはナチュラル・リソース、00年代はブルックリン・アカデミーのメンバーとして活動し、ソロ作も多いMC)。

オルタナティヴはあのとき、ここではじまった

グランジ、オルタナ、ポストロックから音響派へ
USインディ・シーン激動の10年をたどる550枚のアルバムガイド

特別インタヴュー:EY∃(ボアダムス)、出戸学(オウガ・ユー・アスホール)

執筆:アート倉持、天井潤之介、天野龍太郎、岩渕亜衣、木津毅、澤田裕介、寺町知秀、村尾泰郎、畠中実、松村正人

前書き

Early 90s 1990-1993 90年代初期

Interview EY∃(ボアダムス) 90年代とオルタナティヴの極私的背景

Mid 90s 1994-1996 90年代中期

Late 90s 1997-1999 90年代後期

Interview 出戸学 2000年代以後の観点から考察する90年代USオルタナティヴの諸相

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この楽しみを知らないのはもったいない!
最前線を切り拓くユニークな名作たちをテーマ別に紹介

独創的な想像力を発揮し、多くの魅力的なタイトルを生み出してきたインディ・ゲーム。
そのなかからぜひともプレイしておきたい名作を9つのテーマのもとに厳選、気鋭の執筆者たちによる深いレヴューとともに紹介する。
インディ・ゲームがどのように現実社会を映し出してきたかもわかる、画期的ガイドブック。

執筆陣:
田中 “hally” 治久/今井晋
徳岡正肇/洋ナシ/櫛引茉莉子/木津毅/松永伸司/葛西祝/藤田祥平
近藤銀河/野村光/古嶋誉幸/山田集佳

田中 “hally” 治久 (たなか・はりー・はるひさ)
ゲーム史/ゲーム音楽史研究家。作編曲家。主著/監修に『チップチューンのすべて』『ゲーム音楽ディスクガイド』『インディ・ゲーム名作選』。ゲーム音楽では『ブラスターマスターゼロ』等に参加。レトロ好きなのにノスタルジー嫌いという面倒くさいインディ者。

今井晋 (いまい・しん)
IGN JAPAN 副編集長。2010年頃からゲームジャーナリスト、パブリッシャー、リサーチャーとして活動。世界各国のインディーゲームの取材・インタビュー・イベントの審査員を務める。

目次

序文(田中 “hally” 治久)

第1章 戦争 (キュレイター:徳岡正肇)
第2章 インターネットと現代社会 (キュレイター:洋ナシ)

[コラム]現実の社会や政治を “想像” させるインディーゲームたち(葛西祝)

第3章 歴史 (キュレイター:徳岡正肇)
第4章 フェミニズム (キュレイター:櫛引茉莉子)
第5章 LGBTQ+ (キュレイター:木津毅)

[コラム]インディーゲームにおけるDIY精神とトキシックなコンテンツの関係(今井晋)

第6章 音楽 (キュレイター:田中 “hally” 治久)

[コラム]インターネットの音楽から影響を受けたインディーゲームの世界観(葛西祝)

第7章 アート (キュレイター:松永伸司)
第8章 アニメ (キュレイター:葛西祝)
第9章 文学 (キュレイター:藤田祥平)

[コラム]近年のゲームが持つローカル・アイデンティティ──地域性に根ざした多様な表現(徳岡正肇)

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Loraine James - ele-king

 ロレイン・ジェイムス、待望の来日決定。以下にスケジュールです。なんと、Loraine James名義のパフォーマンスとWhatever The Weather名義のパフォーマンスとあります。また、黒人前衛音楽家のJulius Eastmanの楽曲を再解釈した新作『Building Something Beautiful For Me』の日本盤リリースも決定。

Loraine James 東京公演

日程:11/2(水・祝前日)
会場:CIRCUS TOKYO
時間:OPEN/START 23:00
料金:ADV ¥3,000 / DOOR ¥3,500

出演:
Loraine James
and more…

チケット(9/12 12:00~発売開始):
イープラス : https://eplus.jp/ Loraine Jamesで検索
ZAIKO : https://circustokyo.zaiko.io/item/351038

Whatever The Weather 東京公演

日程:11/3(木・祝日)
会場:CIRCUS TOKYO
時間:OPEN 18:00 START 19:00
料金:ADV ¥4,000 / DOOR ¥4,500 *別途1ドリンク代金600円必要

出演:
Whatever The Weather
and more…

チケット(9/12 12:00~発売開始):
イープラス : https://eplus.jp/ Whatever The Weatherで検索
ZAIKO : https://circustokyo.zaiko.io/item/351039

Loraine James 大阪公演

日程:11/4(金)
会場:CIRCUS OSAKA
時間:OPEN/START 23:00
料金:ADV ¥3,000 / DOOR ¥3,500

出演:
Loraine James
and more…

チケット(9/12 12:00~発売開始):
イープラス : https://eplus.jp/ Loraine Jamesで検索
ZAIKO : https://circustokyo.zaiko.io/buy/1tjW:oO5:b7d7f

Whatever The Weather 大阪公演

日程:11/5(土)
会場:CIRCUS OSAKA<
時間:OPEN 18:00 START 19:00
料金:ADV ¥4,000 / DOOR ¥4,500 *別途1ドリンク代金600円必要

出演:
Whatever The Weather
and more…

イープラス : https://eplus.jp/ Whatever The Weatherで検索
ZAIKO : https://circustokyo.zaiko.io/item/351041

主催・企画制作:CIRCUS / PLANCHA
協力:BEATINK

Loraine James
Building Something Beautiful For Me

PLANCHA / Phantom Liimb
※日本独自CD化
※CDボーナス・トラック1曲収録予定
※解説付き

Release Date: 2022.10.07
Price(CD): 2,200 yen + 税

Jeff Mills - ele-king

 あまりに濃密な一日だった。
 この日は非常に重要な面会があって、殺人的な日差しと蒸し風呂のような湿気のなか、ふだんは足を運ぶことのない某所へと遠征。その時点でけっこうな体力を消耗していたのだけれど、国葬反対の示威行動があると聞けばのぞいてみないわけにはいかない。
 国会前へとたどり着いたころにはすでに日は没していた。いっこうに衰える気配のない熱気と湿気。主催者発表で4000人だったか、たしかにかなりの人数が集まってはいたものの、スピーチとシュプレヒコールとフォーク・ソングが骨格をなす、いうなれば旧来式の抗議だった。そういった積み重ねがたいせつなのはじゅうじゅう承知のうえで、個人的にはやっぱり楽しさのあるサウンドデモのほうがいいなー、などと文句を垂れる。
 そういえば、日本で実質的に初のサウンドデモを誘発することになった2003年のイラク戦争のとき━━いまとは事情が異なり、USやUKの政府が戦争賛成だった時代━━に緊急出版された本、『NO!! WAR』にはジェフ・ミルズもコメントを寄せていたのだった。

 そう、ジェフ・ミルズである。まもなくクローズするCONTACTに、ミニマル・テクノのパイオニアがやってくる。本番はこれからだ。腹ごしらえを済ませ、死にかけていたスマホを充電し、渋谷へと急ぐ。駐車場の階段を降りていくと、すでにWata Igarashiが大いに場を盛りあげていた。キックとハットのしっかりした、ハード寄りの4つ打ちがかかっている。平日だというのに、この時点でもうけっこうな混み具合である。暑い。とにかく暑い。
 ジェフ・ミルズのターンは0時から。無調的でスペイシーな、彼らしいハード・ミニマルが序盤を彩る。長くても2分くらいだろうか。地上に這い出たセミのごとく短命なフレーズの数々。息つく間もなくつぎつぎと押し寄せるサウンドの波は、このお先真っ暗な時代にあって、「未来はこんなにあるんだよ」と無数の選択肢を示しているかのようだ。
 ときおり巧みにズラされるリズム・パターン。五臓六腑を震撼させる低音。「ザ・ウィザード」の指は、キツツキのごとく909を襲撃している。DJではない。ライヴだ。じょじょにパーカッシヴでメロディックな要素が増していく。1時を過ぎたころだろうか。ダーク・コメディ(ケニー・ラーキン)の “War Of The Worlds” が鳴り響いたとき、今日は特別な夜になるのではないかと、根拠なき直感が脳裏をよぎる。

 溢れかえるひと、ひと、ひと。どこにいても浴びざるをえない汗、汗、汗。7月のベンUFO公演のときもたいがいだったけれど、集客率はおそらくそれを上まわっていた。場所の問題もあったのかもしれないが、とにかく尋常ではなく暑かった。
 流れが変わったのは2時前ころだったと思う。強烈なリフが耳に飛びこんでくる。“Sonic Destroyer” だ。雄叫びをあげる一部のオーディエンスたち。いてもたってもいられなくなる。それから20分ほどが過ぎ、だれもが知っているだろうピアノの旋律が道玄坂の地下に響きわたる。“Strings Of Life” である。咆哮に、絶叫。しかしこの興奮ですら布石に過ぎなかった。
 当初の終了予定時刻である3時を過ぎたころ。とんでもない熱気に覆われているにもかかわらず、全身の毛が逆立つのがわかった。調は変えられている。でも聴き間違えるはずがない。何度も何度も聴いた、あのイントロ。まごうことなき “Hi-Tech Jazz” だ。
 ヒートアップするフロア。わかる。わかるよ。だってこの曲は、ジェフ・ミルズがURを脱退したあとに発表された曲なのだ。それをいま目の前で、ミルズがプレイしている。頬をつたう生ぬるい液体が汗なのか涙なのか、もはやじぶんでもよくわからなかった。
 以降、パーカッシヴでハードな展開を経てパフォーマンスはいったんの終了を見る。汗だくのミルズ。鳴りやまない拍手。すぐさま再開されるプレイ。20分ほどであらためてショウは終わりを迎えるが、拍手も歓声もいっこうにおさまらない。時刻を確認し、再度アンコールに応えるミルズ。ふだんクールな彼が、笑顔を見せている。気がつけば4時をまわっていた。

 4月に出たジェフ・ミルズ・アンド・ザ・ザンザ22名義のアルバムでは、かつての “Jupiter Jazz” を想起させるミルズ流「ハイテック・ジャズ」が展開されていたわけだが、他方で同作はいつかバンドで演奏したときにマジックが発生するよう、将来のプレイヤーたちのために余白を確保してもいた。過去を振り返りつつ未来を志向するその姿勢は、この日のパフォーマンスにも通じていたように思う。
 相変わらず世情は暗澹としているけれど、この日ジェフ・ミルズが示してくれた希望の断片を、ぼくは生涯忘れないだろう。

[9月8日追記]
悔しいことにぼく自身は気づくことができなかったのだが、この日彼はトニー・アレンとの共作曲もプレイしていた、との情報を得た。ミルズは公演直前まで同曲を入念にエディットしていたという。

Björk - ele-king

 巡り巡って時代はまたビョーク(https://www.ele-king.net/news/008826/)なのか! 9月30日に世界同時発売が決定した『Fossora(フォソーラ)』から、アルバムの冒頭を飾る“Atopos”のヴィデオが公開されました。まずはこちらをどうぞ。


Björk
Fossora

One Little Independent/ビッグ・ナッシング
9月30日発売

■収録曲目:
1. atopos
2. ovule
3. mycelia
4. sorrowful soil
5. ancestress
6. fagurt er í fjörðum
7. victimhood
8. allow
9. fungal city
10. trölla-gabba
11. freefall
12. fossora
13. her mother’s house

どのアルバムも常にフィーリングから始まり
それを音にしようとする
今回、
そのフィーリングはランディング(着陸)
(前作『Utopia』は雲の中の島で、エレメント・エアでベースが無かった)
地上に降り立ち、地面に足を踏み入れる

それは、私はどのように「今」を経験するか、ということにも織り込まれている
今回は70億人が一緒におこなった
家に巣を作り、隔離され、
一つの場所に長く滞在し、根を下ろした

私の新しいアルバム『fossora』は、このことをテーマとしている
この言葉は私が作ったものだ
fossore(掘る人、掘られる人、掘る人)の女性語だ
つまり、「掘る人」(地中)という意味だ

サウンド的には、低音、ヘヴィーなボトムエンドが重要だ
6本のバス・クラリネットとパンチの効いたサブウーファーを使った

bergur þórisson、heba kadry
side project、el guincho、hamrahlíð choir、soraya nayyar、clarinet sextet murmuri、siggi string quartet ensemble、emilie nicolas、serpentwithfeetに感謝する
そして最後に、sindriとdóa

ビジュアルはviðar logi、james merry、m/m、nick knight、andy huang、edda、isshehungry、tomi、sayaka、sunna、sara、heimirが制作した

そして、私の忠実で素晴らしいチーム、derek、rosamary、catherine、chiara、hilma、móa

>>> https://www.instagram.com/p/Ch60RcftcDD/?utm_source=ig_web_copy_link

■ジャパン・オフィシャル・サイト:https://bignothing.net/björk.html

Wordcolour - ele-king

 ロンドンを拠点に活動を展開するエレクトロニック・ミュージック・プロデューサーのワードカラー(ニコラス・ウォラール)のサウンドには、シンセサイザーの魅惑的な音色、コラージュされる声、細やかなリズムが横溢している。
 特に今年リリースされた彼の最初のアルバム『The Trees Were Buzzing, and the Grass.』は格別な出来栄えだ。過去2作のEP作品で展開されていたサウンド・コラージュ的な要素とエレガントなエレクトロニック・ミュージックの要素が融合し、エクスペリメンタル・ミュージックの領域へと無理なく拡張したアルバムに仕上がっていたのだ。
 最初にワードカラーのリリース歴をざっと振り返っていくと、まずロンドンのアンダーグラウンド・ミックス音源で知られる〈Blowing Up v The  Workshop〉から『I Want To Tell You Something』という秀逸なミックス音源を2019年にリリースした。翌2020年には、スペインはバルセロナの〈Lapsus Records〉から最初のオリジナル音源であるEP「Tell Me Something」をリリースし、その2021年にはロンドンの名門〈Fabric Records〉傘下のレーベル〈Houndstooth〉からEP「Juno Way EP」を、2021年にはEP「Bluster」を相次いでリリースする。特に「Juno Way EP」におけるサウンド構築の進化が凄まじい。音のコラージュがいっそう研ぎ澄まされていたのだ。
 彼の作り出すサウンドは、さまざまな音源からサンプルングされた声の要素などをコラージュ的に組み合わせていく最新型のエレクトロニック・ミュージックである。シンセサイザーの音色の聴き心地もよく、けっして聴きづらくはないが、実験的な要素もそこかしこにある。その音世界には優雅なムードが流れており、曲の頭からつい引き込まれてしまう。
 そして2022年に〈Houndstooth〉から『The Trees Were Buzzing, and the Grass.』を送り出す。このアルバムは今年リリースされたエレクトロニック・アルバムのなかでも、注目すべき現代性を宿している逸品といえる。
 シンセサイザーの音色の魅力を存分に展開しつつも、コラージュ的な構成を展開していく楽曲はとにかくモダンだ。機能性が、その機能を逸脱するというよりは、拡張するかのようにエクスペリメンタルなサウンドに隣接するさまを味わうことができるのだ。
 なかでもシンセサイザーのアルペジオとフレージングにドラムンベース的なリズムが断片的にレイヤーされる2曲め “Blossom” に聴きいっていると、数年前の「OPN以降」という言葉を久しぶりに思い出した。あえていえばワードカラーの音は「OPN以降がもはや当たり前のものになった時代」のサウンドではないか。つまり「以降の以降」というフェーズが鳴っているように思えたのだ。洗練と深化の時代とでもいうべきか。
 じじつ、ワードカラーの『The Trees Were Buzzing, and the Grass.』には、声のコラージュ、柔らかい電子音、シンセサイザーのシルキーな音色とアルペジオなど、いまの電子音楽を考えるにあたって重要な要素がすべて揃っている。そう、『The Trees Were Buzzing, and the Grass.』は、2022年に聴く「いまの音」であり、2022年以降の新しいモードを模索するためにも重要なアルバムである。
 コラージュとシンセサイザー・電子音楽のいまとその先へ。新しい情報密度を持ったエレガントなエレクトロニック・ミュージックがここにある。例えばカテリーナ・バルビエリの2022年作『Spirit Exit』とともに聴き込みたいアルバムではないかと思う。

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