「!K7」と一致するもの

Aldous Harding - ele-king

 相変わらず女性監督作品のピックアップや受賞が少ないことが嘆かれているカンヌ映画祭だが、『ピアノ・レッスン』で女性監督として初のパルム・ドールを受賞した(1993年)のがニュージーランド出身のジェーン・カンピオンだったのはなぜだったのだろうということをときどき考える。それまでも欧米には才能のある女性監督がたくさんいたはずだが、男性監督たちの権威が確立しているフランス映画界で女性が評価されるためには、なにかエキゾチックな要素が必要だったのかもしれないと邪推してしまう。『ピアノ・レッスン』はなるほど、荒涼としたニュージーランドを舞台として、「声を失った女性」がマオリ族と暮らす男に狂おしく愛を求める物語であった。それは古典的なラヴ・ストーリーでありながら、欧米からは見えてこない風景だ。
 カンピオンのことを思い出したのは、現在インディにおいて熱い注目を集めるオルダス・ハーディングがニュージーランド出身だと聞いた僕のたんなるこじつけだが(カンピオンはオーストラリアで育ったというし)、ただ、彼女の表現がいま評価されているのは、英米を中心とするインディ・シーンの空気をさりげなく外しているからではないだろうか。ミニマルでメランコリックな彼女のアシッド・フォークにニュージーランドの土着性が入っているわけではないのだが、少なくとも英米インディのトレンドとはあまり関係ないところで凛とした表情をしている。

 『デザイナー』はインディ・メディアを中心に静かながらもたしかに評価された『パーティ』に続く3作めで、引き続きPJハーヴェイとの仕事で知られるジョン・パリッシュをプロデューサーに迎え、ウェールズでレコーディングされた。これまでゴシック・フォークと呼ばれがちだったその音は、けっして派手にはなってはいないが、パーカッションやストリングスのアレンジがやや増すことでより立体的なものとなっている。メロディをトラディショナルな響きの弦が追いかける“Fixture Picture”で幕を開け、コンガの軽やかな打音が聞こえる“Designer”では軽快に、フルートの音色がドリーミーなコーラスと戯れる“Zoo Eyes”では穏やかにフォークの時間が流れていく。この奥ゆかしさ。あくまでアコースティックの響きを生かして柔らかな耳触りを演出するのはいかにもジョン・パリッシュの仕事という感じで、たしかにPJハーヴェイの21世紀の傑作群を彷彿とさせる部分もある。たとえばミツキやシャロン・ヴァン・エッテンといった近年話題を集める女性シンガーソングライターのようにポップ路線に進むのでもなく、ましてやセイント・ヴィンセントのようにエキセントリックを標榜するのでもない。フェミニズム全盛の現在において、何かを主張しようというわけでもない。慎ましいが、さりげない豊かな時間をシンプルな音で追求しようとしている。牧歌的でありつつかすかにダークで、自然の風景を想起させるようで空想的でもある。混ざり合う不安と喜び、その愛の歌。
 とりわけ本作でのハーディングの魅力が炸裂するのが“The Barrel”で、控えめなパーカッションがゆるやかなグルーヴを醸すなか、ピアノやサックス、アコースティック・ギター、それに男女のなんだかファニーなコーラスが愛らしく通り過ぎていく。ハーディングの憂いと茶目っ気が溶け合ったような歌声。彼女自身が奇妙な衣装でぎこちない踊りをするミュージック・ヴィデオがまた面白くて、どこかシュールなユーモアが漂っているのがこれまでの作品との最大の違いなのだなと気づかされる。

 オルダス・ハーディングのフォーク・ソングには何かデリケートな形での「辺境」が息づいているように思わされる。時代や土地性に過剰に振り回されないがゆえの、秘境めいた佇まいを有しているのである。“Heaven Is Empty”における小さな音のアシッド・フォークのさりげない凄み、その生々しさは、トレンドが現れては去っていく音楽産業の産物ではない。来日も決定しているのでぜひその姿を目にしたいと僕は考えているが、それは彼女が「最旬の女性シンガー」だからではなく、彼女の歌にはいまもフォークの純粋な領域が残されていると感じるからだ。

Yutaka Hirose - ele-king

 早速来ました。J・アンビエントの名盤、再発の朗報です。1986年にミサワホーム総合研究所サウンドデザイン室が企画した環境音楽シリーズ「サウンドスケープ」のなかの1枚、広瀬豊の『Nova(新星)』が復刻されます。7月20日、なんと未発表音源を4曲加えたCD2枚組でのリリースです。
 環境音楽シリーズ「サウンドスケープ」は、それこそ吉村弘のリリースでも有名で、J・アンビエント・ディガーたちがつねづね目を光らせている作品が何枚も発表されています。広瀬豊の『Nova(新星)』もそのなかの1枚というわけですが、これはいかにもJ・アンビエントな、環境の一部になりうる音楽です。さまざまな自然(鳥のさえずりや水や波の音などなど)とともに美しい電子音が瞬いています。すでに名盤の誉れ高いアルバムなので、この機会をどうか逃さないように!(このあたり、再発盤でもすぐに値が上がってしまうんですよ)
 リリース元は、スイスの発掘レーベル〈We Release Whatever The Fuck We Want〉。高田みどり、清水靖晃、深町純などを再発したあのレーベルです。またしてもやってくれましたねー。


Yutaka Hirose
Nova+4
WRWTFWW/カレンテート
※7月20日発売
★詳細・試聴: https://bit.ly/WRWTFWW028CDJ




Tomoyoshi Date + Stijn Hüwels - ele-king

漂うように流れ、人の生活の風景になる音楽。 芦川聡「波の記譜法」(1983)
このように環境音楽は以前とは異なったalternativeな感性回路を開き、目のまえに横たわる日常生活全体を組みかえる異化作業と共にある。 田中直子「環境音楽のコト的・道具的存在」(1986)

 シティ・ポップはいまだにリヴァイヴァルが続いているようだが、それを追従するように、ここ1〜2年は、日本のアンビエント=Kankyo Ongaku(環境音楽)=J・アンビエントが流行りつつある。
 いろんな要因があるようだ。高田みどりや清水靖晃の再発見、相変わらずの横田進人気、坂本龍一の『async』の衝撃と細野晴臣への再評価(not はっぴいえんど/not YMO)……、ヴァンパイア・ウィークエンドがサンプリングした細野作品は、入手困難なカセットブック作品で、そこには中沢新一による環境音楽に対する新たな解釈、〝観光音楽〟に関する文章があるわけだが、こうした解釈が生まれるほどに1980年代の日本ではアンビエントがひとつの大きな潮流としてあった。バブル期だからアンビエントが流行ったわけではない。70年代後半のイーノの影響が日本では大きかったことと、アンビエント的な発想がたとえば庭園という場所/空間に水の雫の音を加える日本人の感性には馴染みやすかったからではないだろうか。「閑さや岩にしみ入る蝉の声」──ジョン・ケージが松尾芭蕉を愛した話は有名だが、日本人が〝しずけさ〟と〝場の音〟を好んでいたことはたしかだろう。

 なにはともあれ、アンビエントなるコンセプトに多くのひとが着目した80年代において、吉村弘と芦川聡はなかば別格の再評価を得ている。吉村弘にとってアンビエントとは環境のための音楽であるから、音楽それ自体がひとつの環境/風景となるよう志向したため、通常のレコード会社からのリリースではない形式でその作品は発表されている。こうした希少性がますますディガー心をくすぐるようだが、芦川聡にいわく「必要なところに必要なだけの最初の音がある」その作品は、「独特の透明感」があり、そして「メルヘンの世界で鳴っているオルゴールのような優しさがある」。ぼくは伊達トモヨシの音楽も、似ているんじゃないかと思う。

 伊達の音楽を知ったのは、彼が寺でライヴをやったときだったが、寺院はおうおうにして日常とは時間の感覚が異なる場所である。水の雫の音のように、そこではたった1音が風景を変えることができる。伊達の音楽はそういう環境にハマる。
 彼の新作はベルギー人の音楽家、スタン・フヴァールとの共作で、タイトルは漢方薬の補中益気湯から来ている。イギリス人のイアン・ハウグッドが主宰する〈Home Normal 〉からのリリースで、同レーベルはつい最近まで埼玉(ないしは東京)を拠点としていた。
 コーリー・フラーとのプロジェクト、イルハの作品ではどちらかと言えば鑑賞向けのアルバムを作っている伊達だが、本作は、それこそがんばって鑑賞する必要のない音楽だ。空間を均一化するBGMやミューザックとは違う。ひとをトランスさせる畠山地平や中村弘二のシューゲイザー・アンビエント(あるいはドローン)やペシミズムをもってディストピアを描写するダーク・アンビエント、水パイプを仄めかすその名から連想されるようにトリップを志向するヴェイパーウェイヴ(あるいはスクリュー、あるいはウェイトレス)などとも違う。ドラッギーではないしサイケデリックという別世界志向の要素がほとんどない、あたかも風鈴のような、すなわち環境の一部になりうる音楽、生活のなかに根ざしながら無視して通り過ぎてもかまわない風のような音楽である。その空気のような音楽は吉村弘に近いのではないかとぼくは思うわけだが、本人がいちばん目指すところは、芦川聡の『Still Way』だという。そういうわけで、80年代の日本のアンビエントを継承するミュージシャンがここにひとりいると。
 1曲目の“Hochu”はJ・アンビエントの真骨頂とも言うべき素晴らしい静寂がある。遠くでかすかに鳴っている抽象的な音像はあたたかい波のようにうねり、揺れている。2曲目の“Ekki”ではかすかに聞こえる最小限の音が鳴り,止み、それをゆっくりと反復する。ギターの弦による1音がながい“間”を取りながら響いている。フィールド・レコーディングからはじまる最後の曲“Tou”においてもギターの1音は早朝の自然音のなかで鳴っている。それは伊達らしい清々しさだ。イーノではないが、なるべく最小の音量で聴くべきアルバムだろうが、仮にいつもよりも音量上げて聴いても静かである。音はじょじょに重なるが、静けさはつねにキープされている。最後は曲らしくなってしまうのが少々残念ではあるが、それでもこのアルバムはただただ流しっぱなしにできるという“環境音楽”として成り立っている。ちなみに補中益気湯とは、自律神経を正常化するのに使われる漢方薬です。
 過去を温ねることも大切だが、現在にも音楽は生まれている。J・アンビエントに目覚めたリスナーにも、ぜひ聴いてもらいたい。


※紙エレ24号の「日本の音楽を知るための14冊」からは敢えて外したが、1986年に時事通信社から刊行された、芦川聡のアンビエント論集からはじまる『波の記譜法』は、1980年代の日本におけるアンビエントの高まりを知るうえでは貴重な資料だ。高田みどりや吉村弘も寄稿している。なぜ敢えて外したかと言えば、これは意外と知られていないようなので、こうしてネットを通じて広く知って欲しいからである。さらにもう1冊を加えるとしたら、細川周平の『レコードの美学』だ。細川周平もまた芦川聡や細野晴臣らのように、1980年代にアンビエントついて深く考察したひとりである。

interview with Joe Armon-Jones - ele-king

 UKジャズの快進撃が止まらない。「UKジャズ」というワードに触れるキッカケは人それぞれだと思うが、僕にとっては2017年に〈Brownswood Recordings〉からリリースされたユセフ・カマール『Black Focus』の存在が大きい。このリリースを皮切りに、アルファ・ミストサンズ・オブ・ケメットモーゼス・ボイドなど約2年の間に次々と新しい作品やアーティストが登場してきた。広い目で見渡せば、もはや円熟味を増したカマシ・ワシントン(彼はアメリカのアーティストだがUKジャズのムーヴメントにも多大なる影響を与えたと思う)、日本の地上波に出演するまで成長したトム・ミッシュ、R&B方面で言えばジョルジャ・スミスなど「ジャズ」をキーワードにしたアーティストがここ日本でも旋風を巻き起こしている。いわゆる典型的なジャズに限らず、ダブやアフロ、ヒップホップ、ベース・ミュージック、そしてハウスなど1枚のアルバムの中にいろんな要素を詰め込むフュージョン感は、人種や性別を超えたボーダレスで今っぽいサウンドだし、ジョー・アーモン・ジョーンズが2017年に〈YAM Records〉からリリースしたマックスウェル・オーウィンとの共作『Idiom』も間違いなくブロークンビーツ、ハウスといったクラブ・ミュージックの解釈が強かった。そしてソロ・デビュー・アルバム『Starting Today』で一躍UKジャズ・シーンの顔になったピアニスト/ソングライター。ムーヴメントを築いてるアーティストの半数以上が彼と同じく南ロンドン出身、そしてこれだけの短期間で一気に頭角を現した彼のキャリアは何か特別な秘密があるに違いない……!!! と、思っていた矢先の来日、そしてインタヴューは本当に貴重だった。熱の篭ったステージ上でのパフォーマンスとはうって変わって、シャイで物静かな雰囲気だったが、アルバム制作秘話、南ロンドンのリアルなシーン、インタヴューから見えてくるUKジャズ快進撃の真の裏側をたっぷりと丁寧に語ってくれた。


ジャズのミュージシャンだからってジャズだけをやるって思われるのは残念なことだよね。自分も他の奴らに比べたらあんまり騒がない静かな方だから、周りから緩いジャズだけをやってるって思われてたかもしれないし。

先日終わったばかりの日本でのツアー公演はどうでしたか?(6/1 (土) FFKT、6/2 (日) ビルボードライブ東京にて公演)

ジョー・アーモン・ジョーンズ(Joe Armon-Jones、以下JAJ):良かったよ、とても良い雰囲気だったね。すごく楽しめたし、野外フェスとコンサートホールで2日とも違った空気感だった。日本に来る前は周りの人から「日本のオーディエンスはとても行儀が良くて、声も出さずに聴き入ってる……」なんて聞いてたけど、FFKT ではみんな踊ってくれたし、ビルボードの1stはチョット静かだったけど、2ndは歓声もたくさん聞こえた。ショーの最後はみんな立って手を叩いたり踊ってくれたからね。来てくれたみんなに本当に感謝してるし、とても良い経験になったよ。

日本とイギリスのオーディエンスで何か違いは感じましたか?

JAJ:大きな違いを感じたのは日本の方がもっと「音楽に感謝してる」って印象だね。もちろんイギリスの人たちも間違いなくそれはあるんだけど、音楽が溢れすぎてて甘やかされてるというか……。なんか慣れちゃってる感じもするからね。その点、日本はわざわざ遠くの海外からアーティストが来日してるってこともあって、もっと強い価値を感じてライヴを聴きにきてる感じがしたな。

日本に来たのは初めてですか?

JAJ:自分の名義としては初めてだけど、2017年にチャイナ・モーゼスの公演でキーボードとして参加して Blue Note で演ったんだ(https://www.bluenote.co.jp/jp/artists/china-moses/)。彼女は素晴らしいシンガーで、あのときの公演も本当に楽しかったよ、良い思い出だね。

ではジョー・アーモン・ジョーンズがアーティストとしてデビューするまでの過程を聞きましょうか。ありきたりな質問かもしれませんが、いつから音楽をはじめたんでしょうか?

JAJ:母がジャズ・シンガーで、父もジャズ・ピアニストだったんだ。だから物心ついた頃から当たり前のようにピアノが目の前にあったし、親から影響を受けて自分も音楽を始めるのはまぁ普通な流れだよね。「子供の頃から音楽に没頭した!!」って程じゃないけど、自然にピアノは弾いてたし、その頃からなんとなくアドリブでやっていく癖もついてたのかも。ピアノのレッスンは7歳くらいからはじめたから、それが正式にスタートってことになるかな。

もちろん音楽学校にも通ったんですよね?

JAJ:ロンドンのグリニッジにある「Trinity College London」って学校に通いながら「Tomorrow's Warriors」っていう若いミュージシャンに向けたコミュニティでもよく演奏してたんだ。カリキュラムももちろんだけど、土曜日に若いミュージシャン同士で集まってプレイしたり、そこでの出会いや経験が自分にとって本当に大きかったと思う。

註:Tomorrow's Warriors はジャズ・ウォーリアーズのオリジナル・メンバーでもあるゲイリー・クロスビーによって1991年よって設立されたアーティスト育成プログラム。ジョー・アーモン・ジョーンズも所属するエズラ・コレクティヴも Tomorrow's Warriors のユースから生まれたプロジェクト。

 そこで、ジャズの要素が入ったヒップホップにすごいハマってJ・ディラとかロバート・グラスパーとかを聴きながらビートがどうなってるかとか、曲の構成についていろいろ学んでたね。で、自分でもビートを打ったり、曲を書いてるタイミングでエズラ・コレクティヴもはじまって、いまの仲間たちと一緒にプレイするようになったのかな。当時はいちばん多い時期で8つのバンドを同時に演ってたし、いろいろ違うジャンルもやって忙しくしてたよ。

8つも同時に抱えてたのはすごいですね……。その流れで自身のプロジェクトもスタートしたということですよね?

JAJ:そもそもジョー・アーモン・ジョーンズっていう名義でスタートしてまだ2~3年しか経ってないし、マックスウェル・オーウィンとやったアルバムも2年前のことだからね。それが自分の名前でリリースした最初の作品になるんだ。それから〈Brownswood Recordings〉とリリースの話になって、去年自分のソロ名義でのアルバムが出たという流れさ。

マックスウェル・オーウィンとはどうやって知り合ったんですか?

JAJ:5、6年前に共通の友人を通して知り合って、よく誰かしらの家で会ってたんだ。意気投合していまはふたりで家をシェアしてるし、スタジオもそこでセットアップして、曲も作ってるよ。

ということはふたりのアルバムもそこで創られたってことですよね?

JAJ:そう、まさしく家のリヴィングでね。

ふたりのアルバムは〈YAM Records〉というダンス・ミュージックが中心のレーベルからのリリースでしたよね。僕も仲のいいハウス/ブロークンビーツのDJやアーティストがふたりの楽曲をプレイしたり、チャートに入れてるのを見て初めて知ったのを覚えてます。で、そこからどんな作品が出るかなと思ったら……いきなり〈Brownswood〉からソロを出したのは驚きましたね。

JAJ:ジャズのミュージシャンだからってジャズだけをやるって思われるのは残念なことだよね。自分も他の奴らに比べたらあんまり騒がない静かな方だから、周りから緩いジャズだけをやってるって思われてたかもしれないし。そりゃジャズを聴いてるときは静かにしてたけど……(笑)。ヒップホップもダブも好きだからいろんなシーンの中で良い音楽だけを選んで一緒にするのがやりたかったのさ。ジャズ・ピアニストってことで他のジャンルをやるのも難しくないし、リリースした〈YAM Records〉もダンス・ミュージックの中で幅広い音楽をやってるから「ただのハウス・プロデューサー」とは思われなかったのは良かったのかもしれないね。

地元のサポートも大きかったと感じますか?

JAJ:もちろん。ロンドン、特にサウスロンドンのペッカムを拠点にしている〈YAM Records〉はレーベルとレコード屋もやってるし、同じアーケード街には Balamii Radio やアパレルストアもたくさんあって、みんなが集まってコラボレーションも頻繁におこなわれているんだ。マックスウェル・オーウィンも良い人脈を持ってたし、ここのエリアの雰囲気はいまでも良い影響をもたらしてくれるね。

そういえば〈YAM〉から出したアルバム、〈Brownswood〉からのソロ・アルバム、どちらもアートワークが最高ですよね。どちらも同じアーティストが担当したんですか? 

JAJ:〈YAM〉からリリースした「Idiom」はレーゴ・フットって奴が描いたんだ。4つのバラバラの絵を掛け合わせてできたアートワークで、4枚の絵はいまでも家の壁に飾ってあるよ。〈Brownswood〉から出した『Starting Today』はディヴィヤ・シアーロが担当してくれて、彼女は次にリリースするアルバムも描いてくれてるよ。ちょうど6月にアルバムに先駆けてニューシングル「Icy Roads (Stacked)」もリリースされて、そのアートワークもやってくれたんだ。

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自分のリヴィングがスタジオだから、家でゆっくりしてたら誰かが急に入ってきて曲を作りはじめるってこともよくあるんだ。いつも誰かが曲を作ってるからインスピレーションは無限に湧くよ。

いまアルバムの話も出たので、次のリリースについて聞いてもいいですか? もし秘密でなければアルバムについても少し教えてください。

JAJ:次のアルバムはもう作り終えてるんだ。ちょうどこの後東京のスタジオでバンドのメンバーとでき上がったアルバムを聴く予定で、いまから本当に楽しみだ。

具体的に前のアルバムと比べてメンバーの構成や曲調など変わった部分はありますか?

JAJ:メンバーは前回と全く同じ。でも間違いなく違った雰囲気になってるよ、完璧に違うプロジェクトと思っていい。言葉で説明するのはいつも難しいんだけど、前回と違って長い6曲のトラックものが中心になってるよ。前作の『Starting Today』は1曲にそれぞれ違ったストーリーがあって、ヴォーカルも多くあったけど、新しいアルバムはよりアルバムとしての全体感がより強いのかもしれないね。

制作にはどれくらい時間を要したんですか?

JAJ:去年の8月からレコーディングをスタートさせて、編集とかマスタリングを終えたのは……それこそ日本に行く1週間前とかだよ。

制作するときはソングライティングもしっかりやるタイプですか?

JAJ:もちろん譜面に起こしたりとかもやるけれど、基本はスタジオでセッションして曲を作り上げるパターンが多いかな。ソロのアルバムを作ってるときはピアノの前に座って、思いついたアイデアを弾いたり、いろいろ試すんだ。ベースラインはすごく重要にしてて、ベース・プレイヤーによって曲の表情も大きく変わってくる。そこにドラムを加えて、聴いてるうちに良いメロディーが思いついて自分も弾いたりとかかな?
それに、2枚のアルバムともバンド・メンバーがそれぞれのプロジェクトで忙しかったからリハーサルを組んだりっていう時間がなかったんだ。だからある程度自分で譜面に起こして、後はそこから即興で作っていく。お互いのことをよく知ってたり、それぞれ技術がないとできないことだけど、最初にみんなで合わせるときの熱量やフレッシュさも大事にしたかったんだ。最悪、誰かが間違えた場合も別のテイクを取って良い部分を張り替えれば良いしね。

それはテクノロジーが助けてくれる部分でもありますよね。

JAJ:昔だったら録ったテープを本物のハサミで切って貼り付けてなんて……いまだにそのスタイルでやってる人もいるけれど、僕らは100%技術の進歩の恩恵も受けているよ。とはいえ、たまにドラムのテンポがズレてるってときもリズムを修正しないでそのまま残すこともある。それは曲の中のひとつの熱量と思ってキープするんだ。

アルバムの他にもいろいろなコンピレーションにも積極的に参加してますよね。この前もマーラとヌビア・ガルシアとの共作も話題になりました。どれくらいの頻度でスタジオに入っていますか? 最近はツアーもあって忙しいように見えますが……。

JAJ:まさしくいまツアーが増えてきて、自分の中で制作とギグのバランスを考えはじめてるところだよ。ツアーがないときは基本的にスタジオ、というか家にいるよね。自分のリヴィングがスタジオだから、家でゆっくりしてたら誰かが急に入ってきて曲を作りはじめるってこともよくあるんだ。他のプロデューサーみたいに「スタジオに行って働く」とかそういう感覚じゃないのかも。それこそマックスウェル・オーウィンが友だちを連れてきて四六時中ビートを作ってるってこともあるし、いつも誰かが曲を作ってるからインスピレーションは無限に湧くよ。

なかなかすごい環境ですね。そんな状況でゆっくり寝られたりできるんですか?

JAJ:いい質問だね(笑)。幸い僕は上の階だからあんまり音も漏れてこないんだよ。隣の近所がどう思ってるかは正直わからないけど、苦情もいまのところないから大丈夫なんだと思う。

それはイギリスやヨーロッパの国ならではな状況かもしれないすね。日本でそんなことは滅多にできないので……。

JAJ:本当に?? そういえば誰かが言ってたな。日本は楽器を大音量で練習できる家が少ないからヘッドホンとかでやってるって。

それから、たぶん日本は自分のプライヴァシーを守りたい人が多いかも?しれないですね、自分の家に知らないミュージシャンが毎日出たり入ったりっていう状況はあまり考えられない気がします。

JAJ:そうだね、たまに20人くらいのミュージシャンが一気に集まって「これから曲を作るんだ」ってこともあったりするよ。そのときは知らない同士でも、共通の仲間を通して知り合えばお互いにとってプラスになることが多い。自分はとにかくいろんなミュージシャンやアーティストとのコラボレーションがメインで活動してるからこのスタイルが好きなんだ。もちろん日本の礼儀正しい部分だったり、お互いをリスペクトする部分は理解できるから、文化の違いってことかもしれないね。

まだデビューしていなかったり、ローカル・レヴェルで是非チェックすべきというアーティストやミュージシャンはいますか?

JAJ:プロジェクト・カルナック、ブラザース・テスタメント、シュナージ、それからCYKADA辺りはいいね。どれも違ったサウンドやジャンルだよ。

それだけ多くのアーティストを知ってるならレーベルをやっても良いかもしれないですね。

JAJ:いや、止めておくよ。事務作業とかが多いと思うし、多分自分には向いてないと思うな(笑)。

日本でご存じのアーティストはいますか?

JAJ:Kyoto Jazz Massive は素晴らしいよね。それから SOIL & "PIMP" SESSIONS も知ってるよ。この前リーダーの社長と FFKT であったけど、ファッションもマジで最高だったな。

アルバムのリリースも控えてますが、今後の予定は決まってますか?

JAJ:まずはアルバムのリリースに向けて、しっかり準備。その後は何も決めてないな(笑)。たぶん日本にまた戻ってライヴがしたいね、ここは本当に素晴らしい場所だよ。最高だ。

Scan 7 - ele-king

 テクノ好きに朗報だ。〈UR〉や〈Tresor〉からのリリースで90年代デトロイト・テクノの隆盛に一役買ったスキャン7が、なんと来る7月12日に、オランダはレーワルデンのレーベル〈Deeptrax〉より、アナログ3枚組の新作をドロップする。昨年は〈Transmat〉からEPを発表するなど、00年代以降もそれなりにリリースを重ねてきた彼らだが、アルバムは1999年の『Resurfaced』以来。ざっと試聴する限り、彼ららしいストリングスやエレクトロを目一杯堪能できる作品に仕上がっているようだ。これは楽しみ。

Scan 7
Between Worlds

Deeptrax Records
DPTX-021
2019/07/12

A1 Stringin me along
A2 No place like home
A3 A wonder of space
B1 It's time
B2 Cream dreams
C1 I'm covered
C2 Moments like this
D1 As above so below
D2 Trackmasta hoop
E1 Electronic evidence
E2 Smooth scan
F1 Deep roots
F2 Shadow spirit

Dave - ele-king

 2019年3月にリリースされたUKのラッパー Dave のデビュー・アルバム『Psychodrama(サイコドラマ)』はラップで物語を紡ぐことのパワーを力強く感じさせる傑作である。

 Dave が最初に注目されたのは、デビューEP「Six Paths」収録の“Wanna Know”が突然 Drake にリミックスされたときだった。Dave の憂いげに、ときに甘く歌い上げるフロウと、対照的に言葉遊びを混ぜたセルフボーストで攻撃なラップの際立った対比によって、弱冠18歳のラッパーは注目を集めた。2018年には、ロンドンのラッパー Fredo とのコラボレーション曲“Funky Friday”でウィットに富んだラップを披露し、UK総合チャートで1位を獲得した。

 しかし、彼が「物語を語る」というスキルの非凡さを世に知らしめたのは、2017年にリリースされた“Question Time”(「Game Over」収録)である。7分長に渡るこの曲で、UKの政治・戦争・警察・福祉といった幅広いトピックに対して意見を表明した。同EPに収録された“My 19th Birthdays”も自身の苦境を比喩を駆使しながら説明していく1曲で、リリシストとして印象付けた。

 Dave がこのアルバムのタイトルに付けた「サイコドラマ(心理劇)」とは、演劇を用いた心理療法のことである。心理劇にもいろいろなタイプがあるというが、例えば主人公役の人は過去の失敗や乗り越えたかった場面などを演劇を通して再現していく。観客を交えて、またときに観客と演者が入れ替わる形で進行するこの心理劇によって、参加した者の精神にポジティヴな影響をもたらしていくのだという。このコンセプト通り、Dave がこの心理劇の主人公となり、アルバムを通してセラピストに自分のストーリーを吐露していく。

 アルバムは“Psycho”で幕を開ける。セラピストの「これが最初のセッションだ、さてどこから始めようか」という言葉に導かれて、治療前の彼の深刻なメンタルが吐露される。曲の中盤でリズムが変わるパターンでセルフボーストの「俺最強」モードになったかと思えば、リズムが戻ると再び追い詰められた彼の心情が戻ってきてしまう。地元の地名が冠された 2. “Streatham”では、幼少時代や学校時代のエピソードや情景が、3. “Black”ではイギリスで黒人として生きることの難しさを吐き出している。トラックでは Dave 自身が弾くピアノが全面に出ており、彼の暗く行き場のない感情を代わりに代弁しているようである。

 重苦しい3曲から一転して、彼女との関係をロマンティックに歌う 4. “Purple Heart”、この曲の最後にセラピストは「君にとっては、誰か信じられる人が大事なんじゃないかな」という言葉をかける。5. “Location feat. Burnaboy” 6. “Disaster feat. J Hus”の2曲では、言葉巧みなセルフボーストで、ラップ・ゲームの中で差を見せつける。

 7. “Screwface Capital”では再び、彼の影が姿を表す。父親はおらず、母親との辛い日々がラップで綴られていく。生活のハードさを誇りながらも、音は常に物悲しく、彼の深い孤独を思い起こさせる。8. “Environment”では有名になった「ラッパー」の立場からセルフボーストするが、「有名になった自分」すらどこか批判的である。

 そして、アルバムのハイライトとなる11分に及ぶ 9. “Lesley feat. Ruelle”につながる。この曲は、Dave が心を寄せていた女性 Lesley の悲痛そのものの物語が語られる。「心理劇」のように、その場面が目の前で展開するような生々しさがあり、その生々しさはラップを通じてリスナーにもヒリヒリと伝わってくる。
 この曲を通じて、言葉を奪われた女性の悲しみや痛みを Dave 自身まで引き受けてしまっていたことが感じられる。その一方で、ラップという表現は過去を語り、言葉を与えることができる。最後の1分30秒では Ruelle が Lesley に言葉を与えるかのように演じて歌う。

 3年という短いキャリアの中で桁違いの成功を収めながらも、精神的に問題を抱える Dave、その心の奥底にあったトラウマを物語として語ることによって乗り越えた彼は、ガラージ・チューン 10. “Voices”を挟んで、そして懲役で刑務所で8年間過ごしている実兄へのメッセージとして語られる 11. “Drama”でアルバムは幕を閉じる。

 ラスト3曲には、ふたつの意味で「ラップ」という表現の根源的な力が宿っている。ひとつ目は、Dave 自身が心につっかえていたストーリーを11分のラップにし、「自分に語りかける」行為となること、それによって乗り越えるきっかけとなり癒されたこと。ふたつ目は、暴力を受けて声も出せなくなった女性の Lesley、そして 11. “Drama”で8年間刑務所で過ごしている実兄を登場させていること。このふたりはともに、打ちのめされて言葉が発せない、または声を届けることのできない存在である。Dave は彼らに対して語りかけることで言葉を与え、外に開かれた「声」をもう一度取り戻そうとしている。このふたりが登場する曲をつなぐのは、10. “Voice”である。

愛しい君よ、俺はいま自分の声を聴ける
愛しい君よ、俺はいま自分の声を聴けるんだ、寝てるときだって
愛しい君よ、俺はいま自分の声を聴ける
それでこの声は、君は僕の全てなんだ
“Voice”

 『Psychodrama』、その11曲を使って描き切った物語、それは無論1曲単位でなくアルバムという単位でしか成し遂げられないアートであり、ラップの素晴らしさを肌に感じることのできるUKラップの大傑作である。

R.I.P. Philippe Zdar - ele-king

 フィリップ・ズダールが6月19日パリのアパルトマンの窓から落下して亡くなった。52歳だった。新聞『Le Monde』によると、どうやら窓の外にある手摺が外れて落下してしまったらしい。2011年自宅メザニンが崩壊、落下して死去したDJ Mehdi を思い出させる悲劇だ。

 彼の死去が報じられて以来ここ数日、パリのエレクトロニック・ミュージック界はあまりにも大きな喪失に呆然としている感がある。「フレンチタッチ」のパイオニアを失ったというのがメディアの主な論調で、ズダールを知る人にとっては愛するメンターが逝ってしまったということかと。個人的に非常に思い入れのあるアーティストなので、きちんと客観的に書ける自信はあまりないが、いまのフランスのエレクトロニック・ミュージックの礎を作った一人である彼の功績をきちんと振り返りたい。

 90年代後半、フランスのエレクトロニック・ミュージックが勃興した時期があった。日本でもダフト・パンクやエールらで知られるその流れに「フレンチタッチ」と名前を付けたのはイギリスのメディアだった。そしてその記事は「モーターベース」というフィリップ・ズダール、エティエンヌ・ドゥ・クレシーからなるフランスのデュオについてだった。「フレンチタッチ」は全てここからはじまった。

 時計の針を少し戻そう。1991年、フランスのヒップホップ第一世代を代表するアーティストの一人、MCソラーのアルバムのエンジニアをしていたフィリップ・ズダールとそのアシスタント、エティエンヌ・ドゥ・クレシー、そしてズダールの師匠であったドミニク・ブラン=フランカーの息子ユベールはレイヴに出会う。その衝撃からズダールとクレシーはモーターベースを結成、DJ活動を開始する。スタジオでの仕事が終わると夜な夜な、当時は大変いかがわしく、でもエネルギーに満ちたレイヴに3人は足繁く通った。自分たちがプレイする時も、しない時も。MCソラーの1stアルバム『Qui sème le vent récolte le tempo』に続き、2ndアルバム『Prose Combat』に、ズダールとクレシーはエンジニアとして携わり、ユベールはブーンベース名義でビートメイカーとして参加していた。当時レーベル、モ・ワックスを立ち上げたばかりのジェームズ・ラベルは、いち早くブーンベースが「Prose Combat」に提供したビートに注目した。ラベルの「このビートすごいいいからもっと長くしなよ」という助言にしたがい、ブーンベースはモーターベースで長ったらしいビートを作っているズダールに声をかけた。こうしてラ・ファンク・モブが誕生する。

 ズダールとクレシーは、92 年「Visine」93年「 Trans-Phunk E.P」をモーターベース名義でモ・ワックスからリリース、クラブ・ミュージックの世界で頭角を現す。94年にはラ・ファンク・モブもEP「Les Tribulations extra-sensorielles 」をモ・ワックスからリリースする。95年には後のダフト・パンク・マネージャーとなるペドロ・ウィンターと出会う。この出会いをきっかけに、ペドロがパリのクラブ「Folie's Pigalle」でオーガナイスしていたパーティに、請われてズダールたちは頻繁にプレイするようになる。そこにはDJカム、DJ ディープ、DJ グレゴリー、ディミトリ・フロム・パリらとともにダフト・パンクもいた。ダフト・パンクのトマ・バンガルテールと初めて会ったときのことをズダールはFrance国営TVのインタヴューでこう回想している。「トマと初めて会った時、ヤツは俺の方に来て“Obsolète”やったのお前? あの音、いまのフランスで一番イカしてるよなって抜かしたんだ(笑)」ここから彼らの友情もはじまったらしい。

MCソラー 「Obsolète」

 96年にはシャンゼリゼ通りのゲイ・クラブ「Le Queen」で伝説的パーティ「Respect」がスタート。ここでも先述のDJたちが毎週プレイし、NYやデトロイトからもDJたちが招かれた。この入場無料のパーティは、当然ながら盛況すぎて入るのがとても困難で、毎回朝まで長蛇の列が続いた。ズダールとクレシーは、同年にモーターベースとしてアルバム『Pansoul』をリリース。「フレンチタッチ」勃興期が幕を開けた。

モーターベース「Flying Fingers」


 一方ズダールとブーンベースは同時期に今度は「L'Homme Qui Valait Trois Milliards」名義で「Foxy Lady」をリリース。この頃すでにイギリスのレーベルSomaからリリースしたEPが大きな話題となりクラブ・シーンのスターだった、ダフト・パンクのヘヴィ・プレイとなる。それは、当時のフランスではクラブ・アンセムとなることを意味していた。その年のMix Mag誌の「今年のシングル50」に選ばれ、数年後にカシウスと改名するズダールとブーンベースの快進撃がはじまった。

 ディミトリ・フロム・パリス96年、ダフト・パンク97年、エール98年らのファースト・アルバムに続いて、1999年、ラ・ファンクモブからカシウスに改名したズダールとブーンベースは、ファースト・アルバム『1999』を満を持してリリースする。グラフィック・デュオ、アレックス&マルタン(後にホワイト・ストライプス、U2、カイリーミノーグを手がけるようになる)の手による「Cassius 99」MVもMTVなどで話題になり、カシウスも「フレンチタッチ」祭りの中に巻き込まれていく。

カシウス「Cassius 99」

 その後も2002年に『Au reve』、2006年に『15 Again』とアルバム・リリースを重ねていくが、ブームは必ず去るもの。「フレンチタッチ」もすっかり下火になり、その牙城だったダフト・パンク、エール、カシウスらを擁したメジャー・レーベル、ヴァージン(日本だとEMI)も消滅する。FAとなったカシウスをキャッチしたのは、ペドロ・ウィンターだった。ジャスティス 、ブレイクボットなどのヒットを放ち全盛期をむかえていた自らのレーベル〈Ed Banger〉にカシウスを迎え入れたのだ。2010年移籍第一弾のEP「I <3 U So」はクラブでヘヴィプレイされ、カシウスは第2章を迎えた。

カシウス「I <3 U So」

 ズダールもブーンベースも、ソロやデュオでのDJ活動も活動初期から一貫して行ってきた。なにしろレイヴ直撃、アナログを真剣に掘っていた世代である。彼らは正真正銘のDJだ。「フレンチタッチ」が下火になって、おそらく減ったであろうオファーも、「I <3 U So」のヒットにより、再び上昇したのだろう。EDMのパーティにもブッキングされ「俺みたいなおっさんのとこにキッズたちがセルフィ、セルフィって寄ってくるんだぜ。世の中なにが起こるかわからないよな」とズダールは様々なインタヴューで語っている。

 カシウスの活動を続ける一方、ズダールはプロデューサー、エンジニアとして、大きな成功を収める。ブーンベースの父のアシスタントとして仕事をし、カシウスとしてファースト・アルバム『1999』をレコーディングしたスタジオを、ズダールはアルバム・レコーディング後に買い取る。「Studio Motorbass」と名付けたこのスタジオで、多くの傑作が生み出される。ズダールの裏方としての仕事をいくつか紹介しよう。フェニックスとは2000年のファースト・アルバム『United』で仕事をして以来、家族同然の仲間となり、グラミー賞を受賞した3rdアルバム『Wolfgang Amadeus Phoenix 』では5人目のメンバー&ケツ叩き役(ズダール談)として大きな役割を担う。またセバスチャン・テリエの最高傑作『La Ritournelle』もズダールの手による。『Les Inrocuptibles』誌のインタヴューでその時のことを「セブ(テリエ)がスタジオに入ってきて、ポロポロピアノを弾き始めて。すぐに魅了された。そして数分後に“Oh, nothing's gonna change my love for you”って歌い出して。ヤバイ! えらいことが起き始めてる! と思った」と語っていた。セバスチャン・テリエ自身にとっても、この時のことは忘れ難い体験だったのだろう。ズダールを追悼するインスタグラムの投稿で「きみが獅子の如く戦ってくれた“La Ritournelle”はきみのものだ」と記している。

セバスチャン・テリエ「La Ritournelle」

 それ以外にも80年代から第一線で活躍するフレンチ・ポップのエティエンヌ・ダオ、歌手としての評価も高いルー・ドワイヨン、言わずもがなのジャスティスらフランスの音楽界で一定の評価を得ているアーティストも多い。だが、ウス・ドゥ・ラケットという日本ではあまり知られていないデュオや、まだ無名だったカインドネスを手がけるなど、新人でも人間的、そして音楽的に心を打たれれば惜しみなくそのエネルギーを注いだ。
 もちろん、ズダールの仕事は世界のトップクラスのアーティストにも伝わり、ザ・ラプチャー、フランツ・フェルディナンド、キャット・パワー、ビースティー・ボーイズ、ワン・リパブリック、カニエ・ウエストまでキラ星のようなアーティストの作品を手がけた。
 ズダールを知る人が皆口を揃えるのは、彼の愛に溢れた人間的魅力だろう。彼は20年間以上に渡ってフランスのエレクトロニック・ミュージックを表と裏から支え、関わった人皆にリスペクトされ、そしてなにより愛された。彼自身、周囲の人に惜しみなくサポートと愛情を注ぐ人で、その連鎖に皆が引き込まれていったという印象だ。
 6月21日に5枚目となるアルバム『Dreem』のリリースを目前に、フィリップ・ズダールは予想もしない形でこの世から去った。これまでリヴィング・レジェンドであった彼は、今日フランスの音楽界の伝説となった。でも、こんなにも早く伝説になんてなってほしくなかった。

 最後に1996年Elekingに掲載された、日本で初めてフィリップ・ズダールの作品について触れた三田格氏の原稿をもってこの追悼文を締めくくりたい。
(※掲載までしばしお時間ください。編集部)

Brandee Younger - ele-king

 ジャズの世界ではピアニストやサックス奏者などに比べてマイナーな存在で、そもそも絶対数が少ないハーピスト。クラシックが土台となる楽器で、そうした点でジャズ方面に進むプレーヤーが少ないのだろうが、これまでのジャズ・ハープの歴史を見るとアリス・コルトレーン、ドロシー・アシュビーなど女性プレーヤーの活躍が目立っている。ブランディー・ヤンガーは彼女たちの系譜を受け継ぐ、現在のジャズ界で貴重な女流ハーピストのひとりだ。ニューヨーク出身の彼女は2000年代半ばより演奏活動を始め、ジャック・ディジョネット、チャーリー・ヘイデン、ビル・リー、ファラオ・サンダース、レジー・ワークマンなどベテランや大物たちと共演を積み重ねてきた。近年ではクリスチャン・マクブライドのビッグ・バンドにも参加し、ロバート・グラスパーのマイルス・デイヴィス・トリビュート・アルバムの『エヴリシングズ・ビューティフル』(2016年)にもフィーチャーされ、マカヤ・マクレイヴンの『ユニヴァーサル・ビーイングス』(2018年)のニューヨーク・セッションにも加わっていた。一方でローリン・ヒル、ジョン・レジェンド、コモン、ライアン・レスリー、ドレイク、マックスウェル、モーゼス・サムニー、マック・ワイルズ、サラーム・レミなどR&Bやヒップホップ方面のアーティストとも仕事をしており、いまのジャズ・ミュージシャンらしい多様性を持っている。

 ソロ活動では2011年より自主制作で作品発表をおこなっていて、2015年に発表された〈リーヴァイヴ・ミュージック〉と〈ブルー・ノート〉の共同企画によるコンピ『スプリーム・ソナーシー』に参加して注目を集めた。このコンピはこれからのイースト・コーストのジャズ界を担う若手アーティストたちを紹介するもので、ブランディーはマーカス・ストリックランド、キーヨン・ハロルド、レイモンド・アングリー、マーク・キャリー、ケイシー・ベンジャミン、マーク・コレンバーグ、ビッグ・ユキといった錚々たる面々と肩を並べていた。ここでやっていた“ドロシー・ジーン”という曲はドロシー・アシュビーを指していて、2016年には全面的なアシュビーのカヴァー及びトリビュート・アルバムとなる『ワックス&ウェイン』も発表している。これらは単なる思いつきで録音したものではなく、日頃よりアシュビーはじめアリス・コルトレーン、スタンリー・カウエルといったアーティストの作品をレパートリーとしていて、ジョン&アリス・コルトレーンの息子であるラヴィ・コルトレーンともたびたび共演するなど、モード・ジャズやスピリチュアル・ジャズの歴史をいまも大切にしている姿が伺える。

 そんなブランディー・ヤンガーの新作『ソウル・アウェイクニング』は、一応リリースは本年ではあるものの、録音自体は2012年におこなわれてこれまで寝かせてきたものだ。従って彼女の原点が詰まっているようなアルバムと言えるだろう。彼女のレギュラー・バンド・メンバーでもあるデズロン・ダグラス(ベース)、E.J.ストリックランド(ドラムス)、ステイシー・ディラード(ソプラノ・サックス)、チェルシー・バラッツ(テナー・サックス)などに加え、ゲストとしてラヴィ・コルトレーン(テナー・サックス)、アントニー・ローネイ(テナー・サックス)、シーン・ジョーンズ(トランペット)、ニーア(ヴォーカル)らがフィーチャーされている。8曲の収録曲のうち5曲は自身による作曲で、そのほかはドロシー・アシュビーの“ゲームズ”、アリス・コルトレーンの“ブルー・ナイル”、マーヴィン・ゲイのナンバーでマリーナ・ショウなどもカヴァーした“セイヴ・ザ・チルドレン”を演奏している。

 アルバムはラヴィ・コルトレーンをフィーチャーしたモーダル・ジャズ“ソウルリス”で幕を開け、ブランディーの演奏するハープが神秘的な音色で空間を包み込んでいく。琴に似せてハープを演奏した先人はドロシー・アシュビーだが、“リスペクティッド・デストロイヤー”におけるブランディーの演奏もそれに近いものと言える。この曲や“リンダ・リー”でのE.J.ストリックランドのドラムは、新世代ジャズ特有のヨレたヒップホップ・ビート感覚を持つプレイと言えそうだが、それとブランディーのハープのコンビネーションも本作の聴きどころのひとつとなっている。近年のアリス・コルトレーンのカヴァーやトリビュート作品で思い出すのはマシュー・ハルソールの作品で、そこでハープを演奏するのはレイチェル・グラッドウィンという奏者だったのだが、本作での“ブルー・ナイル”のブランディーの演奏も比較的同じようなアプローチでおこなわれる。アメリカとイギリスと国は違えど、彼らの中に通底するジャズは同じものなのだろう。“ゲームズ”からはアルバム・タイトルにもなっているソウルフルなムードが流れ出す。ドロシー・アシュビーの原曲はリチャード・エヴァンスのアレンジによるものだったが、そうしたアレンジやムードまでを咀嚼した好カヴァーと言える。そして、ニーアのヴォーカルをフィーチャーした“セイヴ・ザ・チルドレン”は、ソウルとジャズが見事に溶け合ったアルバムのハイライト曲で、ブランディーの音楽性を象徴するものとなっている。

Caterina Barbieri - ele-king

 電子音楽と「反復」は親和性が高い。シーケンスされた音は延々と反復する。そして反復が持続に溶け合うとドローンが生れる。さらにマシンは人間には不可能な音色の変化や、その反復を「崩す」こともいとも簡単に実現してしまう。たとえばクラフトワークの反復には音色やトーンの変化が同時におこっているし、坂本龍一のノイズは和声の中に溶け合うことで反復を逸脱させようとするし、クリスチャン・フェネスのグリッチノイズは彼のギターと融解してもいた。コンピュータ、エレクトロニック、マシン、ヒューマン。電子音楽において人間とマシンの境界線が常に浸食しあいながら越境する。

 では2019年現在、電子音楽における反復はどのように変化しているのか。そのことを知る上で重要なアーティストがいる。ベルリンを活動拠点とするイタリア出身の電子音楽家/サウンドアーティストのカテリーナ・バルビエリだ。
 カテリーナ・バルビエリは自らのドローンを「ミニマリズム、減算合成、インド伝統音楽」を関連付ける。さらには「恍惚感のあるコンピューター処理」とも語っている。そう、モジュラーシンセを用いたカテリーナ・バルビエリのサウンドは、反復のミニマリズムを基調としながらも、その音は崩れ、変化し、別の音楽へと接続されていくものである。

 カテリーナ・バルビエリはこれまで〈Important Records〉から『Patterns Of Consciousness』(2017)、『Born Again In The Voltage』(2018)という2枚のアルバムをリリースしてきた。くわえて伝説のドローン作家Elehとのスプリット盤『Split』を同〈Important Records〉からリリースしている。この種のモジュラーシンセを用いた電子音楽は最近の流行だが、どれも頭一つ抜けている出来栄えであった。
 そして新作『Ecstatic Computation』は、これまでリリースを重ねてきた〈Important Records〉から離れ、音響音楽の老舗〈Editions Mego〉からリリースするアルバムである。マスタリングはお馴染の(?)ラシャド・ベッカーが担当している。
 『Patterns Of Consciousness』、『Born Again In The Voltage』までのアルバムがインド音楽的な音色のドローンであるとすれば、この『Ecstatic Computation』ではバロック音楽的電子音楽とでもいうべきか(じっさいチェンバロ的な音色を導入した曲もある)。古典的ともいえるシーケンス・パターンを積極的に導入し、音色、レイヤー、フレーズによって聴き手の認識のパターンを刷新するように変化するような構造へと変わっていたのだ。
 その結果、これまで硬質なドローンを展開していたアルバムと比べてみると、格段にポップな印象の仕上がりとなっている。むろんポップ音楽的になったという意味ではない。ひとつひとつの音色が、やわらかに、繊細に、かつ力強く生成されているため、「聴きやすい」のである。なかでもヴォイスとチェンバロ的な音色と電子音が交錯するM4“Arrows of Time”は、本作の独自性を象徴している曲に思えた。何より楽曲として美しい。

 クラフトワークのようにポップ(=シーケンス)でありながら、現代音楽(=持続・ノイズ)のように一筋縄ではいかない。そしてまるで未来のバロック音楽のように優雅で瀟洒である(=メロディ)。いわば反復と非反復の刷新としての電子音楽。
 本作『Ecstatic Computation』はカテリーナ・バルビエリの最高傑作であり、本年リリースの電子音楽の中でも注目すべきアルバムに思えた。反復の美学を刷新する電子音楽がここにある。

Rest In Peace Philippe Zdar - ele-king

 ラ・ファンク・モブ、モーターベース、そしてカシアスと、ダフト・パンクやエールと並んで90年代のフレンチ・タッチの第一人者であるフィリップ・ズダールが6月19日にパリのビルのバルコニーから落下して死亡した。ズダールが関わったラ・ファンク・モブとモーターベースは、フレンチ・タッチのなかでもとりわけ玄人受けしたプロジェクトで、ハウス・ミュージックを愛する者ならそのセクシーなサウンドを忘れることはないだろう。
 また、カシアスとしてはメジャーなシーンにも進出して、エド・バンガーやジャスティスなど後のエレクトロ世代とも交流し、つい最近ではファレル・ウィリアムスとキャット・パワーをフィーチャーしたシングル「Go Up 」、マイクDとキャット・パワーをフィーチャーした「Action」なども話題になった。Rest In Peace Philippe Zdar

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