「Nothing」と一致するもの

What’s SOCIUS(ソキウス)? - ele-king

 熱量120パーセントで臨むアニソン・ライヴ・イヴェント、個人のペースで楽しむアニソンDJイヴェント。両方のよさを取り入れ、アニメと音楽の新しい「場所」を提案するパーティが立ち上がるようだ。その名は〈socius(ソキウス)〉。ライヴとクラブのよさがあるということは、ライヴとクラブのいずれかに苦手意識のある人にもやさしいということ。お目当てのアニソン・アーティストがいる人も、なんとなくアニメと音楽があるハコでまったり過ごしたいという人も、両者気持ちよくて楽しい空間を作れたら……という、これはひとつの実験でもあるだろう。縁日に出かけるように、高揚感と気楽さとをともに味わいたい。

■SPACE SHOWERが切り取るオタク音楽カルチャーイベント
“SPACE SHOWER SOCIUS” (スペースシャワー・ソキウス)

オカエリナサイ。めんどうくさいみなさん。
SPACE SHOWER SOCIUS は、スペースシャワーネットワークのごく一部の人間が画策する、オタク「仲間」で、思いっきり気軽に音楽を楽しむことができる「お祭り」です。
誰も楽しみ方を押し売りしません。
お酒を飲んでも・飲めなくても、
踊れても・踊れなくても、
友達がいても・いなくても、大丈夫。

素敵なアニソンDJとライブで楽しくやりましょう??

出演:
(メインフロア)
黒崎真音/天誅ガールズ/米澤円/DJ WILDPARTY/吉田尚記/D.watt/KITUNE/お父ちゃん。/すーすけ
(ラウンジフロア)
DJ 和/沙P/DJ シーザー/ありぃ/いわたか/O'tk Sound

開催日時
2015 年 2 月 7 日(土) 開場/開演 15:00/16:00

会場
渋谷 WWW (東京都渋谷区 宇田川町 13-17 ライズビル地下)

チケット
https://spaceshowersocius.jp/ticket.html

主催
株式会社スペースシャワーネットワーク

企画協力
すぺしゃアニ研

制作協力
H.U.Create.,LLC.

公式サイト
https://spaceshowersocius.jp/index.html

問い合わせ
info@spaceshowersocius.jp ※11:00~19:00
EVENT PURPOSE

What's “SOCIUS” ?
SOCIUSとは?

SOCIUS = ソキウスと読みます。
・ラテン語で「仲間」、「濃い仲間=結社的な仲間」という意味です。
・アニメやアニメにまつわる音楽、映像等が大好きな人たちが、“ソキウス”となって、踊り、歓声を上げ、共感を露わにできる、楽しいパーティーイベントにしたいと考えて、この名前にしました。


25 Years of Techno Art - ele-king

 ジェシー・カンダって、久しぶりにシーンから出てきたヴィジュアル・アーティストだ。ネットの世界って、良くも悪くも素人芸の氾濫とも言えるところだけど、彼はそのなかにも「作品」ってものがあることを証明したわけだ。

 アブドゥール・カディム・ハック(ABDULLAH QADIM HAQQ)は、デトロイトのテクノ・シーンから登場したヴィジュアル・アーティストだ。若いときに地元のテクノ・シーンを知り、そして、彼の絵のうまさとSFタッチはシーンから好まれ、やがて彼の絵は、レコードのジャケットに印刷されて、世界に広まっていった。
 デトロイト・テクノの多くの名盤(リズム・イズ・リズム、モデル500、カール・クレイグ、UR、ドレクシア……)には、彼の絵が描かれている。その多くはコズミックな絵で、SFタッチだ。

 『25 Years of Techno Art』は、アブドゥール・カディム・ハックの25年間のアート集。彼の描いてきた多くの名作品が載っている。
 しかもこれは彼が自費出版したもので、DIYなラフな作りも、いかにもデトロイト的だ。アート集以外にも、サブマージのURやドレクシアの生家、シカゴのジェフ・ミルズの写真、彼のデトロイト、ヨーロッパ、日本での友人たちの写真が載っているのだが、ちゃっかりele-king編集部も写真入りで紹介されちゃってます。
 貴重な1冊です。欲しい人は急がないとなくなってしまうよ。

Abdullah Qadim Haqq
25 Years of Techno Art 1989 - 2014


www.undergroundgallery.jp


Bob Marley - ele-king

 ele-king booksでは、2月6日、ボブ・マーリーの生誕70周年(彼は1945年2月6日生まれ)を祝して、藤田正と菅原光博による評伝+写真の本を刊行します。
 1979年の伝説の来日時の写真をはじめ、70年代のジャマイカ現地の写真ほか、マーリーの生きた時代の空気がいっぱい詰まった写真が満載です。とくにドキュメンタリータッチで展開する来日時の写真は迫力満点で、ボブの息づかいすら伝わってきます。ドライ&ヘビーが影響を受けたジャマイカ最強のリズム隊、バレット兄弟もばっちり掲載しています。
 そして、藤田正による評伝「ボブ・マーリーの一生」は、レゲエ黎明期からその音楽を追い続けたジャーナリストにしか書けないであろう、精密でありながら強い気持ちのこもった素晴らしい文章です。ボブ・マーリーは、私たちがつねに立ち返らなければならない大きなアーティストのひとりですが、もうすっかり知っていた気になっている人も、この評伝を読めば、あらためその大きさに感情が揺さぶられると思います。
 ぜひ、書店、CDショップでみかけたら、手にとって見て下さい。

菅原光博
写真家。1949年生まれ。北海道上川郡愛別町出身。60年代の中学生の頃からラジオでソウルやビートルズ等を聴き始め、その後モダン・ジャズに傾倒。72年3月にジャズ・カメラマンの夢を抱いてヒッチハイクで上京した。以後40数年間、『スイングジャーナル』『ミュージック・マガジン』などを中心にソウル~ブルース~レゲエ~ブラジル~アフリカン~ワールド・ミュージックを撮り続ける。

藤田正
評論家、プロデューサー。1953年生まれ。富山県出身。明治大学在学中から月刊『ミュージック・マガジン』編集部に在籍しカリブ海ほか世界の黒人系音楽、日本の伝統音楽などを担当した。著書に『竹田の子守唄 名作に隠された真実』など。編纂CD多数。近著に『ブルースの百年』。NPO法人・日本子守唄協会理事。


藤田正 (著), 菅原光博 (写真)
ボブ・マーリー よみがえるレゲエ・レジェンド

Amazon

■『ボブ・マーリーよみがえるレゲエ・レジェンド』発売記念展

ボブ・マーリーの評伝と未発表写真を多数収録した『ボブ・マーリー よみがえるレゲエ・レジェンド』の発売記念展。収録された菅原光博氏の写真の展示のほか、ボブ・マーリーを敬愛する作家によるトリビュート作品を展示致します。

参加作家:安齋肇 飯野和好 石塚公昭 イマイアキノブ オブチジン 東海林巨樹 菅原光博 高橋キンタロー 高橋宏幸 根本敬 早川モトヒロ みなみりょうへい ヤギヤスオ 山福朱実

2015年1月31日(土)~2月15日(日) 月曜休み
@ビリケンギャラリー
〒107-0062 東京都港区南青山5-17-6-101
TEL.03-3400-2214 FAX.03-3400-2478
https://www.billiken-shokai.co.jp
OPEN 12~19時 月曜休


ANDY STOTT Japan Tour 2015 - ele-king

 AFXの最新EPが先週末出た。評価された作品のすぐあとに出される作品の多くはコケるものだが、AFXは「やっぱすごいわ」と唸らせた。アンディ・ストットの『Faith In Strangers』は大評価された『Luxury Problems』のすぐあとの作品ではないが、前作が大きなインパクトだっただけに、アーティストの真価が問われる作品ではあった。『Faith In Strangers』は、「やっぱすごいわ」とファンを唸らせた。紙エレキングの年間ベストの7位である。2014年はミリー&アンドレアとしての『Drop The Vowels』もあった。こちらは紙エレキングの13位である。
 『Faith In Strangers』は、FKAツイッグスや下手したらビョークの新作ともリンクしそうなほど、彼の拡張する音楽をみせている。パワフルなベースの響きと妖艶なポップ・センスが彼の新しいライヴセットでどのように再現されるのか、注目したい。

2015.2.13 friday @ 東京 代官山 UNIT
LIVE: ANDY STOTT (MODERN LOVE, UK), STEVEN PORTER (10 LABEL)
DJ: HARUKA (FUTURE TERROR), Chris SSG (MNML SSGS)
SALOON: Viorhythm / Live: hakobune / DJ: Koba, Yuki Moriyama, medical, maki / VJ: CHRISHOLIC / Art: STONE63, ayanicoco
Open/ Start 23:00-
¥3,500 (Advance), ¥4,000 (Door)
Ticket Outlets: LAWSON (L: 78755), e+ (eplus.jp), disc union CMS (渋谷, 新宿, 下北沢), TECHNIQUE, Clubberia Store, RA and UNIT
Information: 03-5459-8630 (UNIT) www.unit-tokyo.com
You must be 20 and over with photo ID.

2015.2.14 saturday @ 大阪 心斎橋 CIRCUS
LIVE: ANDY STOTT (MODERN LOVE, UK)
DJ: DJ: Kihira Naoki (S.I), Ooshima Shigeru (S.I, Mobbin hood), AIDA (Factory, Copernicus), Masahiko Takaeda (RÉCIT RECORDS)
Open/ Start 22:00-
¥2,500 (Advance, Members), ¥3,000 (Door)
Ticket Outlets: e+ (eplus.jp) または info@circus-osaca.com までお名前と枚数をお送り下さい。
Information: 06-6241-3822 (CIRCUS) www.unit-tokyo.com
You must be 20 and over with photo ID.


The Pop Group - ele-king

 先日お伝えしたように、35年ぶりに帰ってきた、ブリストルのゴッドファーザー、ザ・ポップ・グループ。
 ここに、いち早く、ミュージック・ヴィデオをお届けしよう!


The Pop Group
マッド・トゥルース


 以下、マーク・スチュワート御大と監督を務めたアーシア・アルジェントのコメントです。


「“怒れる女司祭”ことアーシア・アルジェントは、俺たちが住んでいるこの狂ったゾンビ・ワールドでの同志のひとりだ。俺たちは共に闘うために生まれてきた。彼女は最高だよ!」 マーク・スチュワート 2015
“The priestess of provocation, Asia Argento is a kindred spirit in this crazy zombie world we live in, we were born to collaborate, she’s the bomb!” Mark Stewart 2015


 「ザ・ポップ・グループとのコラボレーションはまさに夢が叶ったとしか言いようがありません。この曲にはぶっ飛ばされました。このビデオに出てくるセットやシンボルはすべて曲と歌詞からインスパイされているの。無意識レベルで。私がイメージしたのは、永遠の子ども達のカラフルな魂が支配する世界。彼女達のクレイジーな愛をアート、すなわち生ける死霊のはびこる世界との霊戦を通して表現しました。
 このヴィデオに登場する子たちは私が最近撮った映画にも出ているの。私の娘、アナ・ルーもいるわ。私たちは自由と信頼の強い絆で結ばれています。
 そして35年ぶりのシングルの監督に私を選んでくれたとき、バンドが同じ自由を私に与えてくれました。
 私の映像と“マッド・トゥルース”が永遠につながっていられることを心から感謝します。」アーシア・アルジェント 2015

"Collaborating with The Pop Group is a dream come true. The track blew my mind: all the set-ups and symbols in the video are inspired on a subconscious level by the music and the lyrics. I imagined a world ruled by the colourful souls of eternal children, expressing their crazy love through art, a spiritual warfare against a world populated by the living dead.

The kids that appear in the video have worked also in the last movie I directed, including my daughter Anna-Lou. Between us there is a deep bond of trust and freedom.

The same freedom I was given by the band when they chose me to direct their first single in 35 years.

I am deeply grateful to have my vision entwined with MAD TRUTH for eternity."

Asia Argento 2015

ワワフラミンゴ『ホーン』 - ele-king

 観客の誰が予想しえただろうか、あれだけ立派でそこそこお金もかかっているであろう舞台美術を、劇中でまったく使わないということを。


(写真)佐藤拓央

 ワワフラミンゴはつねに予想を上回る(いや、いい意味で下回るというか、まるで伏線のような雰囲気だったのにびっくりするぐらいなにもないことがある)展開と、四コマ漫画を実際に生身で無理矢理やってみましたというような気の抜けたギャグで、観客を揺さぶってきた演劇団体だ。といっても「じゃあ漫画でやればいいじゃん」というタイプの表現ではけっしてなく、以前の公演では「全力で走っているのに異様に足が遅い人」という、漫画で見たらフツーにしか思えないのに生身の肉体でやるとこんなにも大変で面白いのか……というギャグを発明していたが、その発明は今回「話してる最中で前振りもなく止まる人」というかたちで受け継がれていたように思う。しかし大切なのは、今回の『ホーン』ではそういった次の展開が予想できないという程度にとどまらず、作品の構造そのものにおいてわたしたちを大きく裏切ってくれたことだ。

 もともとは野外で行われたブックフェアの出し物として発表された、天候に恵まれず一日だけしか上演の行われなかった短編作品。それを長編へとヴァージョンアップして劇場で公演するにあたっては、誰もがその構造に合わせてある程度の変更を余儀なくされるものだろうと考える。だが、ちがった。ワワフラミンゴはそのときの状況をできるかぎりそのまま再現するという手段を選んだのである。つまり、ブックフェアの際にそこにあった野外用の出張書店やそこにあった建物を、なるべくそのままのかたちで舞台美術として劇場内に設置し、野外でのパフォーマンスを劇場内で行っても齟齬をきたさないようにする、という選択肢を取ったのである。すると、そこには異様な光景が展開することになる。上演時間60分のあいだに舞台美術に一歩たりとも役者が踏み込まないという、これまでみたこともない事態である。体験していないひとにこのおかしみを伝えるのは難しいが、半ばを過ぎたあたりから「まだ使わないの?」「もう終わっちゃうよ?」という呆れにも似た心配が、やがてくすくす笑いへと変質していく。これには、やられた、と膝を打った。ブックフェアで、野外の本屋でお客さんが本を読んでいたりワークショップを行っていたりする場所に、俳優が出入りすることはたしかに御法度であろう。けれども、ここは紛うことなき室内であり、きちんと客席もしつらえられており、壮麗な舞台美術は俳優を待ち望んでいるかのように舞台の中央で客入れのときからずっと佇んでいるのだ。
 もちろん長編にするにあたって若干の変更は加えられたのであろうが、律儀にも取っ組み合いをするシーンで巧妙に舞台美術を避けていったのには失笑と爆笑の混ざったような笑いを思わず漏らしてしまったものだ。アフタートークにおいて、ゲストの前田司郎は「まさか舞台中央の椅子に座りもしないとは思わなかった」と驚いていたが、まったく同意見である。使わないものを置いておくという単純な発想を、これまでなぜ一度も持てなかったのだろうか?


(写真)佐藤拓央

 ワワフラミンゴの短編作品は、これまでも数回観ているのだが、『ホーン』のような長編作品には、ワワフラミンゴの脚本家である鳥山フキの、「放置することにためらいがない」という新たな側面を見出すことができる。通常であれば、物語の伏線というものは回収されるものとして登場する。しかし、ワワフラミンゴの作品においては、物語に不必要なとても短いシーンが、きわめて自然に織り込まれているのである。かといって一発ギャグの寄せ集めではけっしてない。いずれかのセリフはなぜか伏線になる。そこに法則性を見出すのは難しい。巨大な輪切りのパインは出落ちかと思ったら何度も何度もしつこく登場してきたし、唐突なタイミングで“魔笛”が数回歌われる。そうかと思えば舞台美術の真上から落ちてきたみかんは(そう、俳優が触れもしない『ホーン』において、ここが劇中で唯一舞台美術が使われるシーンだったのだ)、ただ単に大量に落ちてきただけでラストシーンまで放置されたままだ。ラストシーンを華々しくみせるために大量の紙ふぶきを仕込んでおくというのならば理解できるが、物語に何のかかわりもないのに大量のみかんが仕込んであるとなると、大げさに言ってしまえば、想像を絶している。何が繰り返され、何が放置されたままになるのかがまったく予想できないというところに、ワワフラミンゴ特有のスリリングが存在している。

 アフタートークにおいて鳥山フキは「ストーリーが嫌」と控えめに口にしていた。ストーリーを否定した演劇というのであれば、これまでにもポスト・ドラマ演劇の長い歴史があるが、たぶんそういうことではないのだろう。そういった何かに対するアンチテーゼとしてではなく、どちらかというと「好きなものをなるべくわけへだてなく、ルールも設けずにかき集めてみました」というような、ごちゃまぜのユートピア、という印象がある。ワワフラミンゴの世界には外敵がいない。なにをいっても許される、という空気が漂っている。あの世界の住民になれたなら、どれだけストレスなく生きていけるのだろうといつも思う。もしワワフラミンゴを知らない友人に紹介するのだとしたら、現代演劇の最前線がここにあります、という勧めかたよりも、仕事で疲れてるならとりあえずワワフラミンゴ行けば? と言いたい。僕はここまで悩みを一瞬で吹き飛ばしてくれる演劇を知らない。


Baobabによる縦横無尽のパフォーマンス


 〈多摩1キロフェス〉は、他に類をみない、めずらしい特徴を有したイヴェントだといえるだろう。その最大の魅力は、音楽も演劇も明確には区分されず、自然なかたちで同時に楽しめるようなプログラムにある。パルテノン多摩、パルテノン大通り、多摩中央公園1キロのエリアで、同時多発的に展開されてゆくパフォーマンス。たったひとつのパフォーマンスのみを目当てに、目を血走らせて駆けつけたりするにはあまりにももったいない。大階段を上りきって後ろを振り返ってみれば、大階段で演奏するミュージシャンの音楽に合わせて踊り狂うひとびと、路上ステージのパフォーマンスをかぶりついてみているひとびと、複数のパフォーマンスを遠巻きに眺めているひとびと、1キロ圏内の興奮も安堵も喝采も、すべて一望俯瞰できるはずだ。意図的に仕組まれた、未知との遭遇が起こりやすい空間が広がっているのである。ここではとくに2日めのパフォーマンスに焦点をあててみたい。

 大階段ステージは動ける範囲が巨大なぶん、あちこちに分散してしまうとすべてのパフォーマンスを目で追うことが困難になり、かといって一か所に集中してしまうと全体的に小ぢんまりとした印象を観客に与えてしまう、というなかなかに腕を試される試練の場所だったが、そのなかでダンスカンパニー〈Baobab〉の披露したパフォーマンスは考え抜かれていた。それぞれのパフォーマンスが精密に連携しており、たとえ距離が離れていたとしてもある種の波や渦として全体の動きを捉えられるため、つねにダイナミックな状態を維持していたのは驚嘆に値する。そしてとにかく動きが速い。各々の身体能力が高いのはもちろんだが、とくに〈Baobab〉主宰の北尾亘はほとんど肉食獣が獲物に食らいつくときのような、こちらが恐怖を覚えるほどの俊敏さをみせ、縦横無尽に大階段の上から下までを行き来していた。


ワワフラミンゴ。子どもたちの食いつきが異様にいい。

 野外であることをほとんど気にせずに普段通りのパフォーマンスを路上ステージで行うことによって、不動の安定感をみせつけた好例がワワフラミンゴ『多摩/簡単』だろう。「ふりかけで手をふくのはやめてよ。ハンカチ持ってないの?」などといった、予想の斜め上をいくコミカルでキャッチーなセリフの数々は、最初から野外パフォーマンスをじっくりみるために訪れた観客はもちろんのこと、ただ買い物に来ただけの親子連れさえ続々と立ち止まらせ(とくに子どもたちの食いつきが異様にいい)、終わる頃には小さめのスペースは大勢の観客に取り囲まれていた。アコーディオンをどんなときでもつねに携帯している謎のキャラクターがベートーベンを演奏するたびに、登場人物全員が悲しそうな顔をし、ヴィヴァルディを演奏するたびに、登場人物全員が嬉しそうな顔をし、それがえんえんと不規則なタイミングで繰り返される、といった、何をやっているか説明がなくても一目瞭然で理解できるパフォーマンスが多かったのも、結果的には道行く人々をできるかぎり立ち止まらせることに貢献していた。


水上ステージの柿喰う客

 パフォーマンスのなかで、唯一水上ステージで行われた柿喰う客『たまらんファウスト』は圧巻だった。あまりといえばあまりに有名な世界文学『ファウスト』を大胆に換骨奪胎。ガリ勉女子高生がこれまでの人生に嫌気がさし、悪魔に魂を売って8年前の過去へと遡り、小学生中学生高校生、同級生から先輩後輩、わけへだてなく捕まえて、ひたすらにHしまくる気の狂った生涯を送っているうちに、誰の子どもかわからない子どもを我が身に宿して絶望するまで、その過程をスピーディーにたどっていく、悪意にまみれながらもなぜか爽快感にみちあふれた作品であった。主役を務める玉置玲央と、まわりを取り囲む市民アンサンブル、それぞれのセリフはシーンごとにきっぱりと区分されているわけではない。玉置の煽るセリフの隙間にアンサンブルの掛け声が欠かさず入り込めば、あっというまに客席は最高潮の高揚を迎える。その逆のパターンもある。玉置の呼び声に応じてアンサンブルが一斉にいままでの流れを断ち切る一言を放てば、それこそ水を打ったように場は静まり返り、あたりには木々のこすれあうかすかな音しか残らない。その光景はまさにファウスト、天に昇ったかと思えば次の瞬間には奈落の底に真っ逆さま、観客は悪魔の導く道へと知らず知らずのうちに入り込み、気がつけば奥深くで両足に茨が絡んでおり、もう元へは戻れなくなっているのだ。

 クロージング・イヴェント、DE DE MOUSE×ホナガヨウコ『魅惑の星屑ダンスパーティ』は思いのほか奇天烈なものであった。ダンスパーティというのは要するに盆踊りのことであり、タイトルのイメージに反して、浴衣姿のDE DE MOUSE、もとい、ででまうす(提灯に太字でそう書かれていた)が汗水たらしながら和太鼓を力いっぱい叩いており、その横でホナガヨウコが「パ」「ル」「テ」「ノン」「多摩」それぞれの文字に似せた振り付けをさくさくと指導、星空の下、鳴り渡るDE DE MOUSEの楽曲に合わせて、観客一同大きな輪になって盆踊りまくるのである。まさかDE DE MOUSEのキラキラしたエレクトロニカと和太鼓の音との相性が抜群に良いとはこれまで考えたこともなかった。惜しむらくは、観客にアート系の人間はよく見受けられるけれども、多摩の住民の姿が少なかったことだ。〈多摩1キロフェス〉はまだはじまって間もないイヴェントだが、ゆくゆくは地元住民の愛する祭のひとつとなってほしい。

interview with Sugar’s Campaign - ele-king


Sugar’s Campaign
FRIENDS

SPEEDSTAR RECORDS

J-PopSynth PopDisco

■初回限定盤
Tower Amazon
■通常盤
Tower Amazon

 これは、ポスト・インターネット時代におけるポップ・ルネサンスなのだろうか? インタヴューをはじめる前、こちらが手渡した『ele-king Vol.14』の年間ベスト特集をパラパラとめくっているSeihoとAvec Avecに「2014年のベストは?」と訊くと、「僕はGiant Clawの『DARK WAVE』PC MUSICかなぁ」(Seiho)「僕もやっぱりPC MUSICは好きやし、あとは何やろ……Lidoとか? Lindsay Lowendのリミックスがめっちゃ良かったから」(AVEC AVEC)という答えが返ってきた。たしかに、ふたりのユニット=Sugar’s Campaignによるファースト・アルバム『FRIENDS』は、Giant ClawやPC MUSICがズタズタに切り刻んだりグニャグニャに歪めているアーバン・ミュージックやティーン・ポップを、90年代のJ-POPと交換して、そこに、より洗練されたリノベートを施したアヴァン・ポップな作品だと言えるだろう。しかし、その手つきがあまりにも見事なので、以上のような文脈を知らない多くのひとは『FRIENDS』を何の疑問も持たずに最新のポップ・ミュージックとして楽しむにちがいないが、それこそが彼らの意図するところなのだ。アンダーグラウンドなビートメイカーとして頭角を現し、いま、ポップスターへと続く階段を駆け上がらんとしているSeihoとAvec Avecに、作品の裏に複雑に張り巡らせ、そして、覆い隠したコンセプトについて話を訊いた。

■Sugar’s Campaign / シュガーズ・キャンペーン
「Avec Avec」ことTakuma Hosokawaと「seiho」ことSeiho Hayakawaの2人によるポップ・ユニット。2011年に現在の体制となり、2012年1月にその存在を広く認知される契機となった楽曲“ネトカノ”を youtube にて公開。2014年8月には限定のアナログ盤「ネトカノ」をリリース。翌9月には同作のCD盤がリリースされタワーレコード全店チャート10位を獲得。2015年1月、SPEEDSTARRECORDSよりメジャー・デビュー作となるファースト・フル・アルバム『FRIENDS』を発表。

彼が前に進む力をくれたんです。(Avec Avec)
だって、こいつ、ひとりだとほんと進まないんですもん(笑)。(Seiho)

〈ele-king〉といえば、僕がtofubeats feat.オノマトペ大臣「水星」のレヴューをシティ・ポップ・リヴァイヴァルという観点から書いたとき、文中でSugar’s Campaign(以下、シュガーズ)の「ネトカノ」にも触れたんですよ。
 同曲がYoutubeにアップされたのが2012年1月。そこから、活動が本格化すると思いきや、ファースト・アルバム『FRIENDS』まで丸3年と、案外、時間がかかりましたね。

Seiho:かかりましたねぇ(笑)。

ただ、シュガーズの歴史はさらに長いんですよね?

Avec Avec:シュガーズはもともとは僕が組んでいたバンドだったんですよ。高校、大学とずっとやっていて。僕が曲をつくって、ドラムを叩いて──

Seiho:いまもヴォーカルをやってくれてるakioがギター・ヴォーカルで、作詞をやってくれてる小川(リョウスケ)くんがベースで。

Avec Avec:でも、大学3年生くらいのときに、みんなが就職活動やらなんやらで動けなくなってきて、僕ひとりになってしまったんです。そのタイミングでAvec Avecとしてソロ活動をはじめたんですが、「Sugar’s Campaign」って名前は残しておきたかった。ただ、シュガーズのポップ・ミュージックをやるというコンセプトを引き継ぎながらも新しいことをやりたいと思って、大学で仲のよかったSeihoに加入してもらったんです。
 ちなみに、「ネトカノ」もバンド時代に曲は完成してた。それに歌詞とSeihoが撮ってくれたヴィデオとを合わせて、Youtubeにアップした感じですね。

クレジットだと、基本的に作曲はAvec Avecがやって、編曲はSeihoと半々という感じですよね。その表記では見えてこない役割分担があると思うのですが、実際にはどんなバランスなのでしょうか?

Seiho:劇でいうと、Takuma(Avec Avec)が脚本で僕が演出みたいな。ふたりでアイディアを出し合って、それを基にTakuma(Avec Avec)に曲をつくってもらって、僕がアートワークやらヴィデオやらを考えるという感じですかね。

Avec Avec:あと、Seihoは僕が曲づくりで迷ったときに、指針をバーンと出してくれる。

〈Maltine Records〉から出たAvec AvecのEP『おしえて』を聴くと、シュガーズの音楽性はAvec Avecの延長線上にあるのかなという印象を持ちます。やはり、Seihoのソロとは大きくちがう。

Seiho:そうですね。ちがいますね。

Seihoはシュガーズに誘われたとき、すぐに引き受けたんですか?

Seiho:僕はシュガーズのファンだったんですよ。だから、Takuma(Avec Avec)がこのままひとりでやっていても、一生、活動は再開せえへんやろうなと思って、入ったっていう感じです。

Avec Avec:彼が前に進む力をくれたんです。

Seiho:だって、こいつ、ひとりだとほんと進まないんですもん(笑)。

Avec Avec:そう(笑)。あそこでSeihoがシュガーズに入ってくれなかったらずっと引きこもってたと思います。

たしかにSeihoは〈Day Tripper Records〉もやっていたし(現在は距離を置いている)、行動力がありますもんね。一方、Takuma(Avec Avec)さんは自分ひとりになってもシュガーズを止めようとは考えなかったこだわりの強さがあると思うんですけど、シュガーズというユニットのどんな部分に愛着を感じていたんですか?

Avec Avec:「歌もののポップ・ミュージックをやりたい」というのがずっとあって。でも、僕は歌えないし、かといってゲスト・ヴォーカルを招くのもちょっとちがうというか。そうじゃなくて、ほんまにひとつの劇団をやるような感じでポップスをつくりたいと思ってたんです。シュガーズの活動が停止しているときも、Seihoとはそういうことをよく話していて、価値観とか、物語のつくり方が僕ととても近かったので、じゃあ、ふたりでつくったらもっとおもしろくなるんじゃないかと考えた部分もありましたね。

僕にとってはあくまでもバンドが本チャンの活動で、ブート・リミックスは趣味なんやっていう意識だったんですけど、Tofuくんはそういうものをむしろ本チャンと考えるような活動の仕方をしていたから、驚いて。(Avec Avec)

Seihoはバンド時代のシュガーズにどんな印象を持っていた?

Seiho:いわゆる“京都のインディ・バンド”みたいな。僕はシュガーズの曲が好きだったんですよ。当時の曲をピアノで弾き直して、ヴォーカルを乗せて、別のトラックに差し替えればいまのシュガーズとぜんぜん変わらないと思うんですね。コードの感じとか、メロディの感じとか。でも、いかんせん、形態が3ピースのギターポップなもんやから……。そもそも、僕は“バンド”というものがよく理解できなくて。ただ、その頃はチルウェイヴが出てきた時期で、バンドものがダンス・ミュージックと合流するような感じがあったじゃないですか。トロ・イ・モワとか――

Avec Avec:ウォッシュト・アウトもそうやし。僕的にガッときたのはネオン・インディアンなんですけど。

Seiho:そうそう。それで、「もしかしたらシュガーズがやっていることと、僕がやっていることを合わせたらもうちょっとイケるかもしらん!」って思ったんです。加入することに決めたのはそれがいちばん大きいかな。だから、2010年以降のチルウェイヴの流れに押された感じがありますよね。バンドに打ち込みの音を入れるっていうような単純な話ではなくて、あの時期、ポップスの概念がもっとぐにゃっとしたというか。

Avec Avec:同じ頃、僕はTofuくんと出会って。当時、僕はひとりで〈ニコ動〉とか〈2ちゃん〉にブート・リミックスをアップしてたんです。J-POPやら海外のポップスやら、ガラクタみたいな音源をいじくって、バンドができないフラストレーションのはけ口みたいな感じで。ただ、僕にとってはあくまでもバンドが本チャンの活動で、ブート・リミックスは趣味なんやっていう意識だったんですけど、Tofuくんはそういうものをむしろ本チャンと考えるような活動の仕方をしていたから、驚いて。自分は頭が固いから分けて考えていたものの、そんな必要はないんやなと。さらに、そこにチルウェイヴが出てきて、ネオン・インディアンがトッド・ラングレンのイントロをまるまるサンプリングした上に自分のメロディを乗せるみたいなことをやっていて(「デッドビート・サマー」)、その感覚もアリやわと思って。そういうムーヴメントも世界中で起こりつつあったし、Seihoも横におるし、これはおもしろいことになってきたわって感じはありましたね。

いま、世界的な傾向として、ポップ・ミュージックのメインはダンス・ミュージックを通過したものになっていますよね。テイラー・スウィフトみたいなカントリー出身のアーティストでさえもそうですし、シュガーズもそれに対応している。ただ、シュガーズの場合、果たして、ポップ・ミュージックからダンス・ミュージックへ寄ったのか、あるいはダンス・ミュージックからポップ・ミュージックへ寄ったのか、どっちなんだろうと思っていたんですが、前者がAvec Avecで、後者がSeihoで、その中間でふたりが出会ったというのは乱暴な整理の仕方ですかね?

Seiho:バランスの話でいえば、「J-POPがルーツなのか、洋楽がルーツなのか」とか、「白人音楽なのか、黒人音楽なのか」とかっていう問いも同じですけど、僕は、Sugar’s Campaignの場合、「どっちかではなく、どっちもある」というふうに思ってますね。

ルーツとなっているアーティストの具体名を挙げてもらえますか?

Avec Avec:僕の場合はトッド・ラングレンとか、ポール・マッカートニーとか、やっぱり、白人音楽が多いです。でも、ビートっていうことになると黒人音楽の方が普遍性があると思うし、結局、「白人が憧れる黒人音楽」みたいなものがいちばん好きなのかもしれません。

ブルーアイド・ソウルみたいな。

Avec Avec:そうですね、ホール・アンド・オーツなんかも好きですし。あとはバート・バカラックとか、王道のポップ職人みたいな人。

子どもの頃に憧れていた大人像を懐かしむというか。あの頃のポップスって大人っぽいものが多いじゃないですか。(Avec Avec)

日本のアーティストだとどうですか?

Avec Avec:広瀬香美さんとかすっごい好きでした。

へえ!

Avec Avec:90年代のあの感覚が好きというか、やっぱり、子どもの頃に聴いてましたからね。あとは、久保田利伸さんとか、岡村靖幸さんとか。他にもアニメの音楽とか、『ポンキッキーズ』で流れてた曲とか……だから、荒井由実さんみたいなガチのシティ・ポップっていうよりは、それを通過した後のポップスが原体験になってるのかもしれません。

そういうものが、子どもの頃に聴いていたというノスタルジーも込みで好きだということでしょうか。

Avec Avec:子どもの頃に憧れていた大人像を懐かしむというか。あの頃のポップスって大人っぽいものが多いじゃないですか。たとえ、アニメの音楽だとしても。

Seiho:子どもが憧れる大人像とか、大人が懐かしむ子ども像とかって、想像上でしか存在しないものだと思うんですよ。僕たちはその虚像みたいなものをイメージして曲をつくってるっていう、穴埋め作業をやっているような感じですね。

Avec Avec:そして、その虚像の気持ち悪さみたいなものが、僕たちがやりたいポップス像でもあって。

Seiho:そう。実際にはそんな大人大人した大人はいないし、子供子供した子供はいないし、よく考えると気持ち悪い。でも、その気持ち悪さこそがポップスとしての普遍性っていうような感覚。

Avec Avec:シティ・ポップの問題もそうで、僕らが“シティ”って言うとき、現実の都会に憧れてるわけじゃないんですよ。

Seiho:東京をイメージしているわけでもないし。たぶん、そこで頭にあるのは、小さい頃に観たアニメとか映画とか、そういうところに出てきた都会なんです。架空の場所というか。

Avec Avec:そもそも、都会を知らないですからね。まぁ、大阪はゆうても都会かもしれないですけど。

出身は何処ですか?

Avec Avec:ふたりとも大阪で、僕は郊外の枚方市。駅前にショッピングモールがあって、似たような家が並んでいて、本当に“ザ・郊外”って感じの街なんですけど、どこか幻想っぽいんですよ。

Seiho:都会の代用品というか。

Avec Avec:そうそう。郊外は都会をミニチュア化したものだから、妙に幻想的な感じがある。

Seiho:いびつだよね。

Avec Avec:不気味さもあるし。

Seiho:道路のつくり方とかマンションの建て方とかが、『シム・シティ』みたいにひとりの人間の計画でできているような。誰かの妄想の中に居るみたいでヤバいっていう感覚。

僕も埋めて立て地のニュータウンで育ったんで、言ってることはわかりますよ。

Avec Avec:あと、ショッピング・モールがおもしろいのは、国内はもちろん、エジプトでも同じような形をしているところで。

東浩紀さんもそういうことを書いてましたね。

Avec Avec:人間の動物的な想像力でつくられているのかもしれないなと思います。

ある種のユートピアの具現化だと。

Avec Avec:ヴェイパーウェイヴなんかもそういうことを表現しているのかもしれないですし、“都会に対する気持ち”みたいなもの自体が幻想だと思うんです。

ひいては、それこそがポップスの魅力。

Seiho:みんなが抱いている憧れみたいなものを集めていくと、存在しないものが出来上がる。それを引いて見ているひとが感じる気持ち悪さこそがポップスなんじゃないかっていうことです。

みんなが抱いている憧れみたいなものを集めていくと、存在しないものが出来上がる。それを引いて見ているひとが感じる気持ち悪さこそがポップスなんじゃないかっていうことです。(Seiho)

ほとんどの人はその気持ち悪さに気付かないような気もしますけどね。

Seiho:そう。だからおもしろおもしろいんですよ。僕らはその気づいていない人たちを見て笑うのが好きなんです。これはあまり言わないことですけど、シュガーズの曲を聴いてシュガーズの世界に入り込んでいる人たちを見て、いちばん笑っているのが僕らだと思います。たとえば、ディズニーランドで楽しんでいる人たちをまじまじと見るとたぶん気持ち悪いじゃないですか。だからこそ、僕らはディズニーランドを作りたいんですよね。テーマパークを。

先程のブルーアイド・ソウルの話でもそうですけど、対象との距離感に惹かれるようなところがあるんでしょうか?

Avec Avec:客観視しようということはつねに考えてますね。主観が強い音楽があまり好きではないというか。

たしかにシュガーズの音楽にはアーティフィシャルな感覚があります。

Seiho:メンバーにヴォーカリストがいないのもそういうことなんです。ヴォーカルってやっぱり主観やから、バンドが5人いたとしても、ヴォーカリストがなよっとしていたらナイーヴなバンド、マッチョやったらマチズモなバンドっていうふうに見られてしまうと思うんですよ。いまの編成になったのは、ヴォーカルを使う上でその主観を排除したかったからというのはありました。

アルバムでは12曲中8曲でakioさんのヴォーカルがフィーチャーされていますが、あくまでもシュガーズの音楽のいち構成要素という感じですね。

Avec Avec:akioにしても、他のヴォーカルにしても、劇団所属の俳優さんっていうぐらいの距離感ですね。

Seiho:もちろん、俳優にもキャラがあるし、それまでの経歴も印象に影響を与えるでしょうけど、劇の中ではあくまで与えられた役を演じているわけじゃないですか。

Avec Avec:ただ、今回のアルバムに関して言うと、俳優は入れ替え不可能で。僕たちが決めた配役と、彼らがやってくれた演技に関しては大事に思ってます。

Seiho:だから、僕らがつくった役を別のひとが演じても意味がないんですけど、劇によって演じた俳優自身が認識されていくというよりも、演じられた役が認識されていくという感じ。

akioさんのヴォーカルがこのアルバムの世界観を支えているのも間違いないと思うものの、それは、彼のパーソナリティとは関係なくて、要は楽器的な使い方をしているということですかね?

Seiho:ヴォーカルの録りはTakuma(Avec Avec)がやってるんですけど、僕が見ていてすごく変わってるなと思うのは、ヴォーカルがヴォーカルらしさを出すと絶対にNGを出すんですよ。ヴォーカルって、当然、歌える人だから、歌いたくなっちゃうじゃないですか。

今回のアルバムに関して言うと、俳優は入れ替え不可能で。僕たちが決めた配役と、彼らがやってくれた演技に関しては大事に思ってます。(Avec Avec)

ヴォーカルの録りはTakuma(Avec Avec)がやってるんですけど、僕が見ていてすごく変わってるなと思うのは、ヴォーカルがヴォーカルらしさを出すと絶対にNGを出すんですよ。(Seiho)

ヴィブラートを使ったり、歌い上げようとするということですよね。

Seiho:そうそう。声を張ったり。でも、Takuma(Avec Avec)は、ヴォーカルのヴォーカルらしくない瞬間だけをきっちりと録っていくことが多くって。たとえば“パラボラシャボンライン”(アルバム収録曲)のトラックが送られてきて僕が思ったのは、あの曲ってコーラス・ワークも巧みやし、ヴォーカルだったらもうちょっと歌い込みたくなるはずなんですよ。けど、それが、「朝5時くらいに、外では雪が降り積もっている7畳くらいのアパートの部屋で、暖房もつけずに窓の外を眺めながら、隣の部屋の人がまだ寝てるので大きな声は出せないけど、歌いたい」みたいな、ギリギリの声の出し方をしてる。

そういう設定を、Takuma(Avec Avec)さんからakioさんに伝えたということですか?

Avec Avec:いや、それは、あくまでもSeihoが感じた雰囲気なんですけど、フィーリングとしては近いですね。録りながら、「もうちょっと抑えよう」って思ってましたから。エモくなりすぎると引いてしまうから。僕自身が。

ヴォーカルにエモーショナルが入ると嫌だけど、ヴォーカルが誰でもいいというわけではない。

Avec Avec:akioは、本来、がっつりと歌える人なんですよ。

Seiho:その彼が、ああいうふうに歌うことに意味がある。

それはボーカロイドではダメなんですか?

Avec Avec:うーん……それでもいいですよ。

Seiho:ボーカロイドならボーカロイドでもいいんですよ。今回に関しては、20代男子が考える妄想の世界は、20代男子が歌う方が合理性があると僕らが考えただけであって。たとえば、「これは人間の恋愛の歌だけど、あえてボーカロイドに歌わせるのがおもしろいんや」っていうふうに思えば、ボーカロイドを使うかもしれない。歌詞が中国語の“夢見ちゃいなガール”(アルバム収録曲)にしても、「これを女の子が歌ってるからいい、こういう立ち位置の人が歌ってるからいい」っていうのがありましたからね。

なるほど。いわゆるフィーチャリングものっていうか、すでに知名度があるヴォーカリストを起用する際に相手のキャラクターを考慮するケースはあると思うんですけど、akioさんにしてもイメージはまっさらなんで、まるでボーカロイドを使っているような印象を受けるのかもしれません。

Seiho:だから、僕らとしてはやっぱり劇の譬えがしっくりくるんですよね。

Avec Avec:劇っていうのは、俳優ではなく、作家と演出家の作品なんやけども──

Seiho:作家と演出家もその劇に脇役として出てくる。シュガーズはそんな立ち位置ですね。松尾スズキ的な。

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僕がいちばん悩んでいたのは、「ネトカノ」をアルバム・ヴァージョンにした方がいいのかどうかっていうことで。(Seiho)

劇ということで言うと、今回のアルバム『FRIENDS』をつくるにあたってどんなストーリーというか、コンセプトを設定したのでしょうか?

Seiho:僕がいちばん悩んでいたのは、「ネトカノ」をアルバム・ヴァージョンにした方がいいのかどうかっていうことで。でも、いろいろと考えると、まず、アルバムを出すまでに3年かかってる。そして、シュガーズが結成されてから7年が経過してる。こうなると、ファースト・アルバムっていうのはもはや僕らのアルバムではないんですよね。

Seihoも途中から入ったわけだし。

Seiho:ですよね。それで、この3年間、応援してくれたり、いっしょに楽しんでくれた人たちのことを考えると、“ネトカノ”は“ネトカノ”のまま入れたほうがいいと思ったんです。ちなみに、“カレイドスコープ”(アルバム収録曲)なんかは、Takuma(Avec Avec)が7年前に録ったままで。

Avec Avec:大学生になる前ですね。

Seiho:だから、ほんまに集大成というか。

Avec Avec:6、7年分の僕らのベストという感じです。

先ほど、ノスタルジーが重要だという話がありましたけど、そこから生まれた曲にもノスタルジーが生まれつつあるというか。

Seiho:そうですそうです(笑)。

となると、先ほど否定したバンドとしての主観みたいなものができてきてしまうようにも思うんですが。

Seiho:いや、そのへんの記名性については、べつに僕らは逃げてるわけではないんです。

Avec Avec:そこは吉本新喜劇がいい例っていうか。あれって演じ手のキャラを押し出すじゃないですか。でも、劇の内容とは関係なかったりする。

Seiho:たとえばその人が借金キャラやったら、劇中で借金取りの役をやらされて、それをいじっておもろいっていうときがありますよね。パーソナルなものと劇中の役がいびつに混ざり合って、パーソナルなものが出た瞬間に、突然、劇から離れるというか、メタな視点に移る。そのパッと後ろに視点が下がる瞬間が好きなんです。

関西人ぽい譬えですね(笑)。

Seiho:ここは関西キャラを押し出しとこうかなと(笑)。そういえば、この間、大阪ローカルの芸人の番組を東京の人に観せたときに、ぜんぜんおもしろさが伝わらなかったんです。それって、たぶん、他の大阪ローカルの番組を観てないからなんですよ。リテラシーが低いというか。でも、東京の人のコントを大阪の人が見ても笑えるんですよね。つまり、それは置換可能な笑いなんです。大阪の笑いは、パーソナルとくっついてるから、リテラシーが低いと笑えない。で、僕らとしてはどっちもやりたいんですよね。

Avec Avec:そこは、やっぱり、ダウンタウンが上手いんやわ。関西の立場込みの大喜利と、コントの置換可能な笑いがいっしょになってる。それがダウンタウン以降の構造かなって……なんや、お笑い論になってるけど(笑)。

シュガーズをお笑いに譬えると誰になるんですかね?

Seiho:僕らとしてはバナナマンを目指してます。バナナマンの場合、各々のキャラがコントに反映されてるんですよ。ふたりともキャラが強いから。で、そのキャラがどんなテレビ番組でも流用できる、みたいな。1からつくらんでも、日村勇紀は日村勇紀として扱われるじゃないですか。なおかつ、「先輩としてのバナナマン」っていう役もできるし、「ダウンタウンとか先輩に対する後輩としてのバナナマン」っていう役もできる。それを無理なくこなす絶妙なバランス感覚はすごいなって思いますね。

つまり、シュガーズは完全な虚構をつくりたいと考えているわけではなく――

Seiho:だから、僕らはラーメンズではないんですよ。

Avec Avec:そやな。

Avec AvecとSeihoというキャラ込みでSugar’s Campaignの世界が成立していると。

Seiho:そう。シュガーズはメタなんで、僕がソロのほうでどんなに格好つけてても、ここに帰ってきたら相対化されるんです。「あれも“役”なんや」って。だからこそ、僕はシュガーズをやってるんですけどね。

そう。シュガーズはメタなんで、僕がソロのほうでどんなに格好つけてても、ここに帰ってきたら相対化されるんです。「あれも“役”なんや」って。(Seiho)


■なるほど。では、アルバムの話に戻りますけど、たとえば“ホリデイ”(アルバム収録曲)のボトムだったりとか、ダンス・ミュージックのエッジィな部分をどのくらい取り入れて、どのくらい丸くするかというあたりは戦略的にやっているんだろうな、という印象を受けましたが。

Avec Avec:そこもほんまバランスですね。

Seiho:どっちがおもろいかです。曲によって「こっちはダンスの比重が高い方がいい」とか、あるいはその逆とか。

“香港生活”(アルバム収録曲)は普通にクラブでも機能しそうですね。

Seiho:そうですね。あのトラックは僕がつくってるんですけど、クラブ・ユースな曲だと思います。やっぱり、役割分担があって、ループのほうがおもしろいと思うときは僕がつくりますし、逆にライトに聴けるようにしたいと思うときはTakuma(Avec Avec)がつくるほうがよかったりしますし。ちなみに、“ネトカノ”に関してはベースだけ僕がやってるんですよ。クラブでも機能するし、歌ものとしても機能するものをつくりたい場合は、パートごとに編曲を分けたりもしてますね。

もう一度、シュガーズにおけるポップ・ミュージックとダンス・ミュージックの関係について聴きたいのですが、先程の説明だと、あくまでも配分が重要なのであって、両者はあまり分けて考えていないということでしょうか?

Avec Avec:そうですね。僕は、全部、ポップ・ミュージックだと思ってます。……いや、そんなことないかな? どうなんやろ。

Seiho:ポップなものとポップじゃないものは分けられるけど、ポップとダンスじゃ分けられへんって感じかな。

でも、Seihoがソロでやっている音楽って、強力なサウンド・システムで鳴らされたときにいちばん効果を発揮する類いのものでもあるじゃないですか。

Seiho:あ、そういうニュアンスなら、シュガーズっていうのは、その曲を譜面に起こして弾き語りで演奏しても機能するっていうことが重要かな。

Avec Avec:「これはドライヴで聴いたら楽しいかな」とかっていう“用途”についてはよく考えてますね。“ホリデイ”もそうやし。

Seiho:“ホリデイ”はクラブに行く前のシチュエーションやから、クラブっぽい曲調になってる。だから、僕らがどういう立ち位置で、どういうことがやりたいかっていうことより、それぞれの曲の世界観のほうが重要っていうか。

Avec Avec:そうそう。自分たちのスタイルが決まっちゃうと遊べないじゃないですか。

「クラブに行く前のシチュエーションだからクラブっぽい曲調になっている」というのは、シュガーズの曲のつくり方を考える上でわかりやすい説明ですね。まず、曲の設定があって、そこに合うジャンルを引っぱってくると。

Avec Avec:シュガーズの記名性とかスタイルについて思うのは、僕の曲のつくり方って、アーカイヴから引っぱってくるやり方なんですね。自分の聴きたい音楽がないから、「AORのこの部分」「エレポップのこの部分」「パンクのこの部分」っていうふうに好きなところを取ってきて組み合わせる。で、そういったアーカイヴからの選び方自体が僕の記名性なんやと思うんですよ。ある曲をつくるときに、たとえば5つの要素を引っぱってくるとするじゃないですか。そして、別の曲を作るときにまたちがう5つの要素引っぱってきたとしても、同じ人間であれば選び方に癖が出てくるわけなので、それが“Sugar's Campaign”っていう記名性になるんじゃないでしょうか。

それは、いわゆる渋谷系と呼ばれた人たちの音楽のつくり方にも近いと思いますし、あるいは、Soundcloudのタグとか――

Avec Avec:Tumblrとかの感覚にも近いですね。

リブログにその人の個性が表れるという。

Seiho:そうですね。ただ、Takuma(Avec Avec)がそうやってつくっていくことによって記名性が強くなるのに対して、僕はアーカイヴを隠す作業をしているんです。それが、劇で言うと演出にあたるというか。「こうすれば、どこから取ってきたかわからんやろ」っていうふうに、手を加えたり、引き算をしたり、商品としてソリッドに仕上げていく。そういった役割分担があるかもしれないですね。

Avec Avec:僕だってバレないように気をつけてるんですよ。いや、バレたっていいけど、センスよくやりたい。

Seiho:文脈とか意味とかを持ちだすのはダサいと思ってるんで。その、引っぱってくる要素が90年代に流行ってようが80年代に流行ってようが、そんなん関係ない。音が格好よければいい。だから、文脈とか意味とかを消して純粋な音にするために削っていくんです。

Avec Avec:タイトルが「ネトカノ」になったのもそういうことなんですよ。

どういうことですか?

Avec Avec:アーカイヴから引っぱってくる渋谷系的なつくり方をしてるってことが、いちばんわからなくなるタイトルやと思うんですよ、「ネトカノ」って。

Seiho:あれの映像をつくった段階で、もう“ホリデイ”もあったんです。だから、「“ホリデイ”のほうにMVをつけよう」っていう話もしていて。でも、「ネトカノ」にしたのは、「ネトカノ」の方がダサかったんですね。ダサいというか、あの時点で古かった。チルウェイヴも流行ってたし、シティ・ポップも流行りはじめてる中で「この感じはベタすぎやろ!」って。で、1~2年後には“ネオ渋谷系”みたいなものが流行って、そういう音楽が消費され尽くすにちがいないと踏んで、「じゃあ、そこを先回りして渋谷系っぽいMVのイヤな部分だけを切り取ったものをつくろう」と思ったんです。“大学におるいちばんかわいい子”ぐらいの子を1日デートで撮影する、みたいな。

アーカイヴから引っぱってくる渋谷系的なつくり方をしてるってことが、いちばんわからなくなるタイトルやと思うんですよ、「ネトカノ」って。(Avec Avec)

先回りして渋谷系っぽいMVのイヤな部分だけを切り取ったものをつくろう」と思ったんです。(Seiho)

映画サークルの男が、撮影を口実にデートしてワンチャン狙う、みたいな(笑)。

Avec Avec:そうそう(笑)。彼女をジャケットに使う、とかね。

Seiho:そういういう感覚のダサさを含めて渋谷系みたいなMVをつくったというか。でも、ワンチャンもできてないし、彼女でもないっていうところで渋谷系とはちがうところに行けるかなとも思ったり。

Avec Avec:非モテ感が出てるよね。

Seiho:あと、タイトルを「ネトカノ」にすることでリア充感がなくなるんですよ。

Avec Avec:リア充すぎるのはイヤやから。

Seiho:そういう、渋谷系に対してメタ的な視点を持っているという意味を込めて、「ネトカノ」ってタイトルにしたわけです。

ただ、こうしてメジャー・デビューして、実際にショッピング・モールでデートしているところでシュガーズの曲がかかる可能性もあるわけで、そうなったらパラノりそうですね。

Seiho:うん。現実と劇がごっちゃになる。

とはいえ、ポップスとして消費されることを目指しているわけですよね?

Avec Avec:そうですね。

リスナーには、どこまでその仕掛け、そのいびつさに気づいてほしいですか?

Avec Avec:難しいけど……。素直に取ってくれてもいいし、深読みしてくれてもいいし、って感じですかね。

Seiho:『スタンド・バイ・ミー』(監督:ロブ・ライナー、原作:スティーヴン・キング、86年)なんかも奇妙な映画じゃないですか。けど、キャッチー。あんなもんなんちゃう? ポップスって。

Avec Avec:なるほど。

スティーヴン・キングの作品だと知っているひとは、「死体を探す」という設定なのにホラーじゃないって捻りに気づくけど、世間的には純粋な青春映画として受け取られていますよね。

Avec Avec:そういうふうに、ぜんぜん、気持ち悪さに気づかれないというのも理想ですけどね。

Seiho:いきものがかりみたいになりたいよな?

Avec Avec:うん。消費のされ方についての希望はとくになくて、好きに聴いてくださいという感じですね。

Seiho:ふたりともそうなんですよね。自分たちがつくったものにあまり興味がないというか。子どもをつくる行為――セックスは好きなのに、産んでしまったらどうでもいい。

ロクデナシだなー。

Avec Avec&Seiho:ははは!

ちなみに、これからもヴォーカルは固定せずに、曲に合った人を起用していくという編成でやっていくんですか?

Avec Avec:そうですね。ただ、劇団に看板俳優がいるように、よく使う人がいてもいいと思ってるし。

Seiho:それに、「“ネトカノ”のMVのあの子がこの役やってるのヤバない?!」みたいな捻り方もできるから、いろいろと配役を考えていきたいですね。

今回のジャケットの女の子は誰ですか?

Seiho:僕がInstagramで見つけた素人の子です(笑)。今回のジャケットのデザインに関しては、僕のセンス通りにつくったとすると、プラス30パーセントくらいシンプルに、美しく、エモいものになったと思うんですよ。でも、「Sugar’s Campaignのジャケット」として使うことを考えると、外部から見たシュガーズのイメージはこんな感じかなって。そのバランスには気を遣いました。

それを自分たちで言ってしまうのがシュガーズっぽいというか(笑)。

Seiho:僕らのフェティッシュなセンスも、シュガーズとして外に出す際には相対化していきたいんですよ。

僕らがライヴ・ハウスで“ネトカノ”を歌って全国を回るのと、ネットを使って浸透させるのと、結局はスピードが変わらない。音楽っていうものが物理的な人間の生活の中に存在するものである以上、時間は掛かってしまう。(Seiho)

では、“ネトカノ”のアップからこのアルバムのリリースまで3年かかっているわけですが、ここまで徹底的にコンセプチュアルにつくり込んだからこそ時間がかかったということですか?

Seiho:(Avec Avecに対して)ゆうてやれ、ゆうてやれ!

Avec Avec:単なる怠慢です!

ははは!

Seiho:そうなんです(笑)。時間がかかったのは怠慢以外の何ものでもないんです。でも、結果としては3年掛けてよかったなとも思いますよ。Tofuくんの“水星”にしてもアンセム化するまで時間が掛かっているし、インターネットの時代だと言っても、ひとつの曲が徐々にムーヴメントになるまでには、やっぱりこのくらいの時間が必要なんだなっていうことを実感しました。

たしかに、ネットは情報浸透のスピードを早めたって言いますけど、結局、バズにしても炎上にしても一日程度で終わってしまって、残らないですからね。定着させようと思ったら、それなりの時間は必要。

Seiho:そうそう。たとえば僕らがライヴ・ハウスで“ネトカノ”を歌って全国を回るのと、ネットを使って浸透させるのと、結局はスピードが変わらない。音楽っていうものが物理的な人間の生活の中に存在するものである以上、時間は掛かってしまう。それに、ふたりのソロ・ワークも知らんまま、Sugar’s Campaignだけが先に知られてたら、おもしろさもいまのようには理解してもらえんかったかもしれんと思いますね。僕のソロと比べるからこそわかってもらえる部分はぜったいある。そこを含めて楽しんでもらうためにも、3年かけてよかったなって。

Avec Avec:「時間」というものの説得力は大きいと思いましたね。

なるほど。ちなみに、ふたりにとって、メインの活動はそれぞれのソロということになるんですか? Takuma(Avec Avec)さんにとっては、Sugar’s Cmpaignはもともと自分のバンドでもあるわけですが。

Avec Avec:思い入れはAvec AvecよりSugar’s Campaignのほうが強いですね。Avec Avecはいまの気分を表現したり、あるいは、実験とか仕事をするための場所ですから。対して、シュガーズは“作品”をつくる場所という感じです。

Seiho:僕はさっきも言ったように「帰ってくるところ」というか、ここがあるからソロでさんざん格好つけられるんです。シュガーズがInstagramとかTwitterとかFacebookとかでのキャラを相対化してくれるので、ソロのライヴの40分間で完全な主観の世界に、閉じられた世界に入り込むことができる。終わったら、シュガーズのステージで「オモシロ兄さん」になれますからね。

シュガーズについては、伝わりやすいのが“バンド”って言葉なんで、バンドと言ったりもしますけど、やっぱり“劇団”というのがいちばんしっくりきますね。あるいは“場所”。(Avec Avec)

Avec Avec:お互い、ソロだけだとイタくなるよな。

Seiho:そう。僕も本当は格好つけた人間ではないのにそういう人間だと思われる機会が増えてしまって、「何か自分の思てるバランスとちがうねんけどなぁ」って。

そして、演じているはずが――

Seiho:ガチになってまう。でも、シュガーズではそのキャラを引きずりつつ、ネタにできますしね。

「帰ってくるところ」という言葉だけ聞くと、アットホームな響きがありますけど、すごくメタなバンドだからこそ帰ってくると安心するというのはおもしろいですね。

Avec Avec:そもそも、素がメタですしね。ほんま、自分たちを客観的に見てるので。

本来、ポップスのつくり方って、そういうものなのかもしれないですよね。そして、それがベタに消費されるという捻れがおもしろい。このアルバムもふたりならいくらでもセルフ・ライナーノーツみたいなものが書けるんでしょうけど、そんなものはなくても成り立つ問答無用のポップス作品でもある。

Seiho:だんだんとポップスをやるコツみたいなものや、シュガーズがどういう存在かがわかってきましたよ。メジャー契約するにあたって、ふたりで話し込んだことが重要でした。“メジャー契約”って成人式というか、ミュージシャンとしての区切りみたいなものやと思うんですよ。そこである程度ケジメがつく。

気合い入ってますね。

Seiho:最初はアルバムのクレジットを「Sugar’s Campaign プロデュース」にしようと思ってたんです。でも、そうじゃない。Avec AvecとSeihoがつくっているのが“Sugar’s Campaign”やから。

Avec Avec:シュガーズそのものがプロデュースされたもの。

Seiho:そう。だから、“プロデュース・ユニット”ではないんですよ。

なるほど。

Avec Avec:シュガーズについては、伝わりやすいのが“バンド”って言葉なんで、バンドと言ったりもしますけど、やっぱり“劇団”というのがいちばんしっくりきますね。あるいは“場所”。

Seiho:そう、シュガーズは僕たちにとって重要な“場所”ですね。

毛玉 - ele-king

 おおらかなメロディに、朴訥とした歌声。揺らめく光のような演奏に、緻密で繊細なサウンド・プロダクション。これぞまさにテン年代型のポップ・ミュージック/バンド・サウンドである。もしくは2010年代のサイケデリック・サウンドである。そう、毛玉のファースト・アルバム『新しい生活』のことだ。

 毛玉は黒澤勇人が2012年に結成したバンドである。メンバーは黒澤勇人(ヴォーカルとギター)、井上俊太郎(ベース)、露木達也(ドラムス)、上野翔(ギター)、落合四郎(キーボード)。いわゆる「うたもの」バンドと(ひとまずは)言える(むろん彼らはそんなカテゴライズなど無関係だ)。2012年に『毛玉EP』、2013年に『バイパスEP』を配信オンリーでリリースした。
 黒澤はもともと実験/即興音楽シーンで個性的な演奏していた音楽家だったが、いま、こうして歌い出した(もしくは、歌っていた?)。しかし、あらゆる音楽には必然しかないのだから、彼にも必然性があったのだろうし、ゆえに毛玉も生まれたのだろう。音楽を奏でるには/歌うには、確固たる理由がある。むろん、その理由の本質は、音楽を作る人にしかわからないものだが、そこに強固な偶然と必然があることは聴き手にも確実に伝わってくる。すべては音楽の中に、回答はあるのだから。つまりは聴けばわかる。
 本アルバムは、佐々木敦主宰の〈ヘッズ/ウェザー〉からリリースされた。CDの帯で90年代の「シカゴ音響派」について触れられているが、たしかにジム・オルーク『ユリイカ』を想起させる。表面上の音楽性の類似ではない。両者とも「即興と実験」を経由した音楽家に生まれる「歌うこと/音楽を奏でること」の必然性がある点だ。ここにおいて音楽は形式を超えて、「トーン」において繋がっていくことが証明されている。

 個人的なベスト・トラックは10分52秒にもおよぶ5曲め冬眠”だ。耳鳴りのような無機質な持続音に、ドラムの一打、また一打、そこに柔らかな音色のギターがフレーズを奏で、黒澤が訥々と歌いはじめる。「あの人が森の中で春を待つ」と。そのミニマルなアンサンブルは、やがてピンクフロイドのようなサイケデリック・アンサンブルへと展開していく。
 6曲め“春風”の疾走感も堪らない。そして7曲め=ラスト曲“しあわせの魔法”にいたっては涙するしかない。曲が終わり堪らず冒頭の“花粉症”へとリピートしてしまう。すると街中のフィールド・レコーディング音にギターが優しく鳴りはじめ、リズムとベースがバウンスする。左チャンネルの謎のリズム音。黒澤の歌声がクセになる。フォーキーな曲に聴こえつつも、曲構成はトリッキーで、リズムはファンキーですらある。そしてやはり左チャンネルの謎の音。まさに「新しい生活」がはじまるような曲。完璧な1曲めと最高のラスト曲に挟まれたアルバムは大抵、傑作なのだ。
 そして全曲、とにかく音がいい。いわゆる高音質ではなく、説得力のある音。とくにエレクトリック・ギターの音が本当に素晴らしい。覚醒と陶酔が同時に巻き起こる。マスタリングを手掛けたのは、宇波拓である。

 また一聴すれば、本作もまた「はっぴいえんど以降のニッポンの音楽」(佐々木敦『ニッポンの音楽』)の系譜とでもいうべき、「リスナー型音楽」の最前衛(普通の顔をしながら!)に佇んでいることがわかるはずだ。ロックからサイケ、プログレからレコメン、即興から音響派まで、さまざまな音楽の要素が見事に(微かに)、「うたもの」という音楽フォームの中に圧縮されている。2曲め“バイパス”でほんの一瞬、小さく鳴る「ピッ」という音を聞き逃してはならない。
 つまり、このアルバムが『ニッポンの音楽』の著者でもある佐々木敦のレーベルからリリースされたことにも強い必然性がある。この幸福な出会いを「しあわせの魔法」と呼ばず何と呼ぼうか。

 そして加藤遊と加藤りまによる兄妹ユニット、ファミリーベイシックのファースト・アルバム『ア・フォルス・ダウン・アンド・ポスチュマス・ノートライアティ』も必然性に導かれた音楽といえよう。
ファミリーベイシックは2007年に結成され、音響作家アスナ主宰の〈aotoao〉の『UMUリミックス』や『カシオトーン・コンピレーションVol.5』に参加する。本作のリリースは畠山地平主宰の〈ホワイト・パディ・マウンテン〉からで、マスタリングも当然、畠山地平が手掛けている。ジャケットのデザインはアスナ。ジャケット絵は天本健一である。

 本作は兄・加藤遊によって全曲の作曲・作詞・録音・ミックスが行われている。彼は90年代に渡英し、当時のインディ/オルタナシーンを体感してきたという。妹・加藤りまは90年代にネオアコ・ユニット、ストロオズのメンバーであった(彼女は、〈フラウ〉からソロ・アルバム『フェイントリー・リット』をリリースしたばかりだ。こちらも深い森を漂うようなフォーク・ミュージックで素晴らしい作品)。

 本作の1曲め“ザ・ラスト・ファイン・デイ・オブ・マイ・ライフ”を聴いたとき、私はレッド・クレイオラが1996年に〈ドラッグシティ〉からリリースした『ヘイゼル』、その1曲め“アイム・ソー・ブレイズ”を思い出した。メロウで、達観していて、でも奇妙で、しかしポップな、あの曲を。『ヘイゼル』はジム・オルーク、ジョン・マッケンタイア、デヴィッド・グラブスら(当時の)シカゴ音響派と呼ばれた音楽家が多数参加して作られたアルバムだ。ちょうどシカゴ音響派がポップ化していく時代でもあり、当時の空気をとてもよく表している作品である。つまりレッド・クレイオラのアルバムであると同時に、当時のシカゴ音響派コミュニティのアルバムでもあった。本作は不思議と『ヘイゼル』と似ている。そのメロウな雰囲気、ポップネス、そこはかとない奇妙さ、絶妙な捻くれ方、コミュニティ感覚さなどによって。アルバムを聴き進むにつれハイ・ラマズ『ハワイ』(1996)やステファン・プリナ 『プッシュ・カムス・トゥー・ラブ』(1999・本作もオルークやジョンマケ、サム・プレコップなどのシカゴ音響派勢参加。まさに傑作ポップ・アルバム)などの傑作アルバムも脳裏をよぎった。
 むろん、本作もまた過去を振り返るような作品ではない。90年代から受け継がれてきたポップ/アヴァンの遺伝子が、いまこの2010年代に熟成された(フレッシュさを失うことなく!)音楽として私たちの耳に届いたのだ。それがとても感動的なのである。音楽はつづいている。途切れることはないということ。6曲め“ サブリミナル・ジャクソン”の弾むリズム・ギターのカッティングやビートのように。

 2010年代から1990年代へ。それは過去への退行ではない。「継続が生み出す必然」だ。対称的な毛玉とファミリーベイシックだが、その継続と必然性によって共通している(余談だが2バンドともイギリス経由のアメリカ音楽を日本人として鳴らすという点では共通しているようにも感じられた)。
 2015年以降のポップ。それは90年代を継続し、00年代を超えて(これらのアルバムとともに?)はじまるだろう。私たちはいま、リ・スタートの場所に立っているのだ。

 世界でもっともユニークなレコード店のひとつ、世界でもっとアンチ・ハイプなレコード店のひとつ、東京のロスアプソンが20周年を迎える。その祝祭(宴会?)のため、我らがコンピューマをはじめ、多くのDJやアーティストが花を添える。スペシャル&豪華なメンツが揃っています。ちなみにフライヤーは五木田智央、そのデザインは、紙エレキングの若きADの鈴木聖。リキッドルームに集合して、酒飲んで踊って、寒さなんか吹っ飛ばしましょう(なんて……)。

 バブルも弾け、大震災を経験し、不況の真っ直中をサーフ続行中のレコード屋、ロス・アプソンが20周年を迎えました。西新宿から幡ヶ谷へと移転し、新奇一転?フレッシュなバイブスを発見/発掘するべく躍起となり、未開の音楽をディグり楽しみ奔走してきた20年……って、んなもん最初から気持ちは何も変わっていないのですよっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! ということで、やっちゃいます!(唐突だなぁ……)黄金狂乱突破イベント「GOLD DAMAGE」の10周年復活祭!!!!!!!!!! そんでもってタッグを組むのは、リキッドロフトの名物イベント「COMPUMA 7HOURS LOFT」の主で旧友、DJコンピューマ!正に鬼に金(魔羅)棒の境地であります。突破ファイティングなライブ&DJ陣をバッチリ配置し、サンフランシスコ・アンダーグラウンドからは電子妖怪!?ラバー・オー・セメントを呼んだり、伝説のラジカセ屋TURBO SONICがドドドーン!とラジカセサウンドシステムを積んだり、そこでROBO宙さんがMCったり、PA担当はDOMMUNEのPAもやったりしているNancyだったり、トビトビ・レーザーライティングのYAMACHANGがいたり、美味しいフードを充実させたり、充実のラインナップで前売券はこのお値段だったり、さらに前売券購入者特典もあり(詳しくは○○○をみてね)で、まさにお得! 当日入場者にもゴルダメ・ステッカー付き!…というようなモリモリ盛りだくさんなあれこれを、2015年初頭の恵比寿リキッドルーム1階にて、あの頃のプリンス様よろしく“Let's Go Crazy”にブチ上げる所存ですっ!!!!!!!!!! は、は、這ってでも遊びに来てねぇ~~~~~~~~~~。
(山辺圭司/LOS APSON?)

LIVE:
INCAPACITANTS
RUBBER O CEMENT (from San Francisco) feat. 宇川直宏 (DOMMUNE)
KIRIHITO feat. 中原昌也 (HAIR STYLISTICS)
KEN2D SPECIAL SPECIAL
DOWNSHOT RIG[田我流 & KILLER-BONG]
藤井洋平 with Mr.MELODY & KASHIF

DJ:
DJ NOBU (FUTURE TERROR / Bitta)
HIKARU (BLAST HEAD)
BING (HE?XION! TAPES)
1-DRINK
Shhhhh
Q a.k.a. INSIDEMAN (GRASSROOTS)
DJ 2741
LIL' MOFO
威力

GOLD DAMAGE Deejay's: ヤマベケイジ/五木田智央/COMPUMA

MC: ROBO宙

FOOD: なるきよ/虎子食堂/南風食堂
SOUND SYSTEM (1F LOUNGE): TURBO SONIC ラジカセSOUND SYSTEM
PA: Nancy
LIGHTING: YAMACHANG

ARTWORK: 五木田智央/鈴木聖

2015.1.30 friday night
at LIQUIDROOM
open/start 23:59
adv (12.13 on sale!!!)* 2,500yen
door 3,500yen (with flyer 3,000yen)

*チケットぴあ[Pコード:250-935]/ローソンチケット[Lコード:74492]/e+/ディスクユニオン(渋谷CLUB MUSIC SHOP/新宿CLUB MUSIC SHOP/下北沢CLUB MUSIC SHOP/吉祥寺店)/JET SET TOKYO/Lighthouse Records/LOS APSON?/TECHNIQUE/虎子食堂/LIQUIDROOM

前売券購入者には特典としてMIX CD「How To GOLD DAMAGE」をプレゼント!特典は会場にて当日お渡し致します。

MIX CD「How To GOLD DAMAGE」とは…
2004年にごく少数配布販売された、GOLD DAMAGEレジデントDJのヤマベケイジ/DJ卍(五木田智央)/コンピューマの3人に、BLAST HEADのHIKARUを加えた4人による、リレー方式のハウ・トゥ・ゴルダメな幻のミックス!10年ぶりに復活します!

※20歳未満の方のご入場はお断り致します。年齢確認のため、顔写真付きの公的身分証明書をご持参ください。
*You must be 20 and over with photo ID.

info
LIQUIDROOM
03-5464-0800
https://www.liquidroom.net/

more info
LOS APSON?
03-6276-2508
https://www.losapson.net/


interview with おとぎ話 - ele-king


おとぎ話
CULTURE CLUB

felicity

Rock

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 おとぎ話はロック・バンド。大人が子供に聞かせる物語でも、貴公子たちのプログレ・バンドでもない。結成から屈折14年、男性4人組のご機嫌なロック・バンドだ。つーか、インディ・シーンで、14年もロック・バンドを続けているというのは、なかなかタフである。
 インディ・バンドとはいえ、おとぎ話は、お茶の間で鳴ったとしても違和感のない、レトロスタイルの、ドライヴの効いたギター・ロックを演奏する。曲もキャッチーだし、気のよさそうな感じの連中だ。場慣れしたステージングにはライヴハウスでのキャリアの長さを感じさせる。楽しいし、誰もクレームを入れることはないだろう。なにしろこれは、そう、「おとぎ話」なのだ。
 おとぎ話は先日、7枚目のアルバム『CULTURE CLUB』を〈フェリシティ〉から出したばかり。いったい何故ロックンロール? いったい何故バンド? いったい何故「おとぎ話」? 知りたいことばかりである。ヴォーカリストの有馬和樹と1時間あまり、お喋りをしてきた。


そのへんで育つと自分の父親が音楽的にいちばん長けている存在で、自分の父ちゃんから、キング・クリムゾンとか、レッド・ツェッペリンとか、そういうレコードを聴かせてもらって育っているんで。


僕は、踊ってばかりの国と対バンしているときに初めて見たぐらいの……。

有馬:シェルターかな?

そう、シェルター。2年前ですよね。そんなだから、おとぎ話をインタヴューをする資格がない人間なんですけど。

有馬:ハハハハ、そんなことないじゃないですか(笑)。

だいたい今回のアルバムが7枚目っていうのがびっくりして。

有馬:お、ホントですか。

だって、そんなに長くやっていたんですね。

有馬:実は長い……(笑)。

しかも結成が2000年。

有馬:そうなんですよ、むちゃ長いんですよ(笑)。

しかも結成から7年後の2007年にファースト・アルバム。

有馬:あっははは。稀に見るバンドですよ。

たしかに稀に見るバンドかもね。

有馬:地下に潜り続けているバンドです(笑)。

なんでそんなに長く続けられるんですか?

有馬:仲良いからじゃないですかね、メンバーが。

ああ。

有馬:大学のときに結成して、ずっとやってるんで。ま、ずーっと喧嘩してきたんですけど、最近仲良くなったんで。仲良くなるためにやってきたんじゃないですかね。

ああ。

有馬:バンドが続いているのは、それしかない。

いや、その仲の良い感じは、ステージを見ていてもすごく伝わってくるんですよ。

有馬:はははは、すいません(笑)。

「ロックンロール」という言葉が、“少年”という曲でたびたび出てきますが、いまの音楽シーンにおいては古典的な意味でのロックンロール神話というものは、本当にないと思うんですよ。

有馬:まったくないですね。

僕はロックンロール黄金時代のお尻の世代なんですね。パンクの世代だから。でも、僕自身は、ロックンロールを追うのは昔にやめていて、もう長いあいだロック以外の音楽ばかり聴いてきているんです。

有馬:そうなんですか。

でも、セックス・ピストルズとクラッシュとRCサクセションに対する愛情だけは変わらずにあるし(笑)。

有馬:ハハハハ。

ロックというジャンルに対する思いよりも、特定のバンドに対する思いになってしまうんです。でもおとぎ話はガチにロックンロール・バンドなわけですよ! 有馬くんの世代にとって、ロックンロールというものはどこから来ているんですか?

有馬:どうなんですかね。

何があったんですか? 何がよくてロックなんですか?

有馬:僕は……いま33歳なんですけど、小学校のときは小室とかの世代で、小6ぐらいになると二分化されるんですよね。とんねるずとかタモリとかで深夜番組を小学校6年生とかで見はじめちゃうのと、普段流れているオリコン系のわかりやすいものと選ぶタイプに二分化されていたんですよ。けっこうヤンキー文化だったんで。

横浜のどのあたりですか?

有馬:戸塚っていって。

なんかガラが悪そうですね。

有馬:サイプレス上野先輩とかサケロックのハマケンとかがいる学校のとなりの中学校とか小学校に通っていたのですが、カルチャー的には本当に過疎地でした。

それは過疎地じゃないでしょ。

有馬:ハハハハ。

それだけで言ったら、過疎地じゃないでしょ。

有馬:それだけで言ったらそうなんですけど(笑)。

むしろカルチャー的じゃないですか。

有馬:ただ、ちょっと離れるとヤンキーが強くて。そいつらの下でびくびくしながら生きているようなところもあってね。

へー。

有馬:そこだったんで、自分の意志で選択することができないような。

駅で言うとどこ?

有馬:泉区っていうのがあって、戸塚駅からちょっと離れるんですけど。

大船のほう?

有馬:いや、あっちまで行かないです。湘南台とかわかります?

あ、わかる。小田急線の。

有馬:その、真ん中あたりなんすよね。

あー、あのへんとか、僕からしたら未知のゾーンですね。

有馬:完全に未知だと思いますよ。相鉄線の最後のいずみ中央っていう駅とか。

はー。

有馬:そのへんで育つと自分の父親が音楽的にいちばん長けている存在で、自分の父ちゃんから、キング・クリムゾンとか、レッド・ツェッペリンとか、そういうレコードを聴かせてもらって育っているんで。

団塊の世代?

有馬:そうです、団塊パンチですね。

ロックのゴールデン・エイジの。

有馬:そのオヤジの影響があるから、先輩が聴いているようなボン・ジョヴィとか聴いたとき、すげーダセーなと思って。もうそれだったら、とんねるずのほうにロックを感じていたんで。だから、ロックンロールなんか最初からないんですよね(笑)。

えー、でもおとぎ話はスタイルとしては完全にロック・バンドじゃないですか。

有馬:そうなんですよ。超ロックですよね。でも、そこにこだわっている感じはないですね。

またー。

有馬:自分自身がそんなにロックンロール・スターに憧れているわけじゃないし、ロックは死んだって言われているなかで聴いていたから、ニルヴァーナとか。あー、ニルヴァーナとか聴いたな。

でも、お父さんからの影響のほうが大きかった?

有馬:レディオヘッドを最初に聴いたとき、「プログレだ」って思って。めちゃくちゃ嬉しくて。

有馬君は、レディオヘッドがドンぴしゃな世代だよね。

有馬:だから、オヤジに聴かせたくてレディオヘッドを買うんですよ。で、オヤジに聴かせたら、「何コレ!?」って(笑)。

ハハハハ。

有馬:「むっちゃプログレだよ、おまえ!」って。

なるほどね。お父さんからの影響っていうのは、ポイントだよね。

有馬:だいぶポイントだと思いますよ。下津とかと話したときも、下津って、オヤジの影響が超濃いじゃないですか。

そうなんだ?

有馬:「そこをおとぎ話が体現してくれているから、俺、東京出てくる決心ができたんや」って。「おれ背負ってる。重てー」って思いましたけどね(笑)。でも、最初の段階がそこなんで。

おとぎ話は、お揃いのステージ衣装とか、60年代っぽいバンド・サウンドとか、レトロなテイストが入っているじゃない?

有馬:ありますね。

あれが何だったのか、いままでの話を聞いてわかりましたね。

有馬:わかりました(笑)!?

お父さんからの影響なわけでしょう!?

有馬:たしかにそうなんですけど、オヤジがすげー偏っているんですよね。めちゃブルース好きだったりとか。でも、オヤジが超好きで、ずっと聴いていたのは、ツェッペリンとクリムゾンとピンク・フロイドでしたね。でも、自分たちで演るときは、僕フーとか大嫌いなんですけど、勉強のために聴いてみたりもしたりしました。

フーは違った?

有馬:うちのオヤジはフーとかは全然好きじゃないし……。オヤジが好きなのをばっかり聴いていたので、俺も偏っているでしょうね。人からは、グラムロックっぽいって言われたりとかするんですけど、実はそんなに通ってなかったり。

髪型がそうやって見えるだけじゃないの(笑)? その髪は天然パーマなの?

有馬:天然パーマです。最初はストレートだったんですけど、マンガとかアニメが見たくてお風呂の時間を削っていたらシラミがわいちゃって(笑)。そこでボーズになって、髪が生えたときに天然パーマになっちゃったんですよね。

そんなことってあるの?

有馬:戦後みたいなんですけど(笑)。

お父さんの影響で音楽をはじめたひとたちが最近はわりと多いね。僕らが若かった時代では絶対にありえなかった話だな。当たり前だけど。

有馬:そうですよね。

おとぎ話って名乗るくらいだから、いまやロックこそファンタジーだという?

有馬:むしろ変なことをしたかったんですよね。そうするんだったら、サウンドとか立ち振る舞いとかが変なんだけど、「ガンバの冒険」や「銀河鉄道999」のエンディングに使われているような曲をやることが最初のコンセプトだったので。

なるほどね。シニカルな言い方で申し訳ないけれど、ロック・バンドと呼ぶにはあまりにも「いいひとビーム」がすごいというか。

有馬:うんうん、わかります。

だいたいロック・バンドっていうのは、性格が悪いヤツがヴォーカルじゃなきゃいけないし。見るからにバンドのメンバーも悪そうで、それで初めてロック・バンドと言えるでしょう(笑)?

有馬:自分が最初に「うわ! ロックだな」って憧れたバンドは、高校生のときに聴いたペイヴメントなんです。普通の人がステージに立っちゃっている感じに憧れていましたね。それが超ロックだと思ったな。

僕でも有馬くんの時代では、すでにグランジも過去のものだったし、普段着でステージに上がることが一般的になっていたでしょう?

有馬:そうなんですけど、なんなんですかね。あのペイヴメントに対する感覚って。これはいままでとは違うなって思うようになって。


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オヤジが好きなのをばっかり聴いていたので、俺も偏っているでしょうね。人からは、グラムロックっぽいって言われたりとかするんですけど、実はそんなに通ってなかったり。


おとぎ話
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felicity

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初めて会ったときにタイ・セガールの話をしたんだけど、有馬君は大好きなんだよね?

有馬:タイ・セガールとか好きですね。もう死んじゃったんですけどジェイ・リータードとか、ああいうのが好きなんですよね。音源出しまくったりとか、見境がない感じっちゅうか、なんかもうバカっていうか、そういうのが。俺らも、いままではバカが足りない感じだったので、今回はだいぶバカになったかなと思ってるんですけど。これからの方がもっとバカがやれるのかというか。

なるほどね。

有馬:〈UKプロジェクト〉から出していたときは、わりかしガチガチで「もっとこうした方がいいんじゃないの?」とか言われたり。軽いディレクションとかが常に入っていたので、そこに反発しながらやってましたね。で、〈ローズ〉からも2枚アルバムを出したんですけど、そのときは何も考えずに頭に浮かんだ言葉をそのまま歌詞にして。そのへんから自分たちでもうまくはじけるようになって。
 前作はまた〈UKプロジェクト〉から出したんですけど、そこでデトックスして、次にアルバムを作るんだったら〈フェリシティ〉から出したいと考えていて。そんなときに(レーベルを仕切る)櫻木(景)さんに声をかけさせてもらったんですよね。

有馬くんから櫻木さんにアプローチしたんだ。「おい、櫻木、おれらと一緒に組まないか?」って(笑)。

有馬:いや、「是非、よろしくお願いしたいんですけど」って(笑)。でも、そのときは「お前のことはむかついている」って言われて(笑)。

それはヒドいですね。

有馬:肩をがっつりつかまれながら2時間ぐらい話されましたから。結果、いい感じにケンカしながらできたんで良かったですね。

へー。話は戻るけど、結成からアルバムを出すまで7年間はどうやって過ごしたの? まだ大学に在学中だったんだよね?

有馬:そうですね大学にいた頃にバンドを作ったんですけど。人間形成がまったくなされていないうちに大学に入っちゃったので……。

人間形成されてから大学に入るってことって、あんまないじゃない(笑)?

有馬:でも、大学に入るときってみんなしっかり学部とか選んでくるじゃないですか? あと大学に入ることがゴール地点みたいな人もいるじゃないですか? 僕は完全にそうだったので。入学してから授業も面白くないし、何をすればいいんだってなっちゃって。それでいままでやったことがないことをやろうと思ってバンド・サークルに入って組んだバンドがおとぎ話で。最初は曲作りもしたことがなかったし、ギターもかじる程度だったんです。でも無理矢理バンドを組まされてやるじゃないですか? そのときに見た目なのか、持っていたオヤジのギターが珍しかったのか、すごくちやほやされて。

お父さんのギターはそんなにカッコいいギターだったの?

有馬:普通にSGだったんですけど。

ギブソンの?

有馬:はい。そのときってゆらゆら帝国がめちゃくちゃ流行っていて、「なんでSG持ってんの? しかも天然パーマだし」みたいな(笑)。

それはそう言われるよね(笑)。

有馬:俺、そのときゆらゆら帝国を知らなかったんです。だから、こんなひとがいるんだってびっくりして。それから大学1年のときはゆらゆら帝国とかDMBQのライヴに通いまくりました。

まさに高円寺で。

有馬:はい。とくにDMBQのライヴにめっちゃ行きましたね。これはツェッペリンだと思って(笑)。

ずいぶんとアンダーグラウンドなところだねー。

有馬:自分では自覚していなかったんですがアンダーグラウンドにズブズブいっちゃって(笑)。ちょうどインターネットも出はじめだったので、自分で調べてTシャツとかデッドストックのやつとかも買えるじゃないですか。そのときはだいぶお金を使いましたね(笑)。そこから入って音楽を演奏するようになるんですけど、ギターもあまり弾いたことがなくてバンドが上手くできるわけがないんです。だから最初の2年くらいはわけがわからない感じでやってましたね。ふたつ下でうちのギターの牛尾(健太)くんが入って、あいつはギターが上手で、そこから自分がつくりたいような曲を作るようになって。それで結成4年後くらいに峯田(和伸)さんにデモテープを渡した頃には、おとぎ話は1曲10分くらいのバンドになっていました。

プログレだね。

有馬:超組曲です。

ははは。

有馬:15分の曲のなかに、8曲入っていたりとか(笑)。4分くらいギター・ソロを弾かせたりとか。ドローンっていう音だけで、イントロを10分くらいやったりとか。ライヴでは3曲だけやって終ったり。そんなことばっかりやっていましたね。

まったく想像が付かないね。

有馬:5曲で40分くらいの音源を渡していたら、峯田さんにブログで「スゲエ良い」って書いてもらって。それで人も来るようになっちゃったんですけど、普通の曲を作らなきゃダメだって思って、3分くらいの曲をたくさん作るようになってデビューするんですよね。そこに至るまでさらに3年かかりました(笑)。

すごいね。さっきも話したけどバンドを長く続けるモチベーションって何なの?

有馬:最近のひとたちって長く続かないですよね。オウガって長いじゃないですか?

彼らは拠点が長野だからさ。

有馬:そうか。おとぎ話みたいに東京でこんなに長く続けるバンドってすごいのかな……。

世知辛い話だけど、メンバー間の人間関係だけじゃなく、維持するには、経済的な問題もあるじゃないですか。

有馬:そういう問題はおとぎ話にもめちゃくちゃ転がっていますけどね。

若いうちはいいけど、いずれ仕事をどうしようとかさ。

有馬:うちのバンドには結婚しているメンバーもいますからね(笑)。

じゃあ、この結成14年、アルバム・デビューしてから7年の間にものすごくいろんな……

有馬:修羅場ばっかりでしたね(笑)。

とてもおとぎ話とは言えない(笑)。

有馬:バンドを組むときって最初は友だちじゃないですか? それで、絶対売れなきゃいけないとか成功するとか、そういう目標を設けていなかったのがよかったのかな。最初にアルバムを2枚くらい出したときとかはそういう話をしていたんですけど、〈UK〉からいったん離れたときはただ単にバンドをやるのが楽しくなっていました。さっき適当にやったって言ったじゃないですか? そのときにいまも一緒にやっているようなバンドと出会ったんですよね。そこが良かった感じがするんですよね。

ウィキペディアを見る限りではさぁ、ロッキン・オン・ジャパンみたいな大きなフェスにも出てるじゃない?

有馬:ウィキペディアすごいですよね(笑)。わりと出てましたね。

コマーシャル的なところでは、恵まれていたんだね。

有馬:そうなんですけど、これはじぶんのせいでもあるんですけどなんかつまんなかったんです……。楽屋で酒飲んでいるときに、お互いの交流が生まれたりとか、セッションがいきなりはじまったり、音楽についての会話があったりとか、もっとたくさんあるのかなぁって思ってたんですがそういうのがないんですよ。

ビジネスになってしまってる?

有馬:そういうのがフェスだと思っていたんですけど、でも自分が出ていたとこではそんな交流は一切なくて。みんながみんな自分を輝かせるために、売れるために頑張っている感じが見ていてすごく寒くなっちゃって、「誰か音楽の話ができるひといないのかな」って思っているときに唯一友だちになってくれたのが、出戸くんでしたけれども(笑)。

そうなんだ(笑)。

有馬:あの期間で財産になったのはそれくらいじゃないですか? それ以外はなかったですね。みんなが「〜さんはじめまして」って挨拶していて全然面白くなくて。

違和感を感じた?

有馬:めちゃくちゃ感じました。小学校のクラスみたいにみんなと仲良くしなきゃいけない場所で自分は音楽をやらなきゃいけないんだって考えると、すごく嫌だなって。それで、これからは自分たちでやれることは全部自分たちでやろうと思いはじめたんですよね。でもレーベル幻想みたいなものもあって、レーベルと常に一緒にやりたいと思うことは、ロックに憧れている理由のひとつなのかなって感じはちょっとしました(笑)。例えば〈サブ・ポップ〉とか〈マタ・ドール〉とかみたいなものを考えていて、そういう感じでインディとしてやり続けたいという気持ちはあるかもしれないです。

USのインディ・シーンも、日本のレコード店に行っていると、あまり作品が入ってこないし、トレンド的にはここ数年は落ち着いてるかなって印象があるけど、土台のところで太いものがあるから、この文化は、なんだかんだ絶対にあり続けているからね。

有馬:そうですよね。タイ・セガールとかはちょっと悪そうな感じがするのがいいんですよね。あんなにいろんなレーベルを股にかけて、1年の間に8枚くらいアルバムを出すバカみたいなヤツっていないじゃないですか? そういうのがすげぇ良いなって思ったりしますね。

でも、おとぎ話って、ま、これもウィキペディアによるとですが(笑)、ロッキン・オン・ジャパンみたいなところに出たりとか、くるりと一緒にやったりとか、いわば王道を行っていたということは期待されていたということなんじゃないですか?

有馬:期待されてましたよ、たぶん。だけど、期待に答えたくない感じもありました。期待されると裏切りたいっちゅうか。「そんなにレベル高くないので、ゆっくり見ててくださいよ」みたいなことを当時は思ってましたね。

それはいま言って言い訳にはならない?

有馬:どうなんですかね(笑)。でも実際に当時はそうやって思ってましたね。自分が好きじゃないからっていう理由で素直に断ることが多かったので。

メインストリームのロックには違和感を感じつつも、だからといって敷居が高いこともやろうとは思ってもいない。だから俺はいい意味でお茶の間の感じじゃんって思ったのね(笑)。

有馬:それくらいでいたいんですよね。それでいて、「お前ら、だから言っただろ?」って言いたいっていうのがずっとあるんですよ。基本的には誰でも聴ける音楽をやりたいっていうのはずっとあるんですけど。

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タイ・セガールとか好きですね。もう死んじゃったんですけどジェイ・リータードとか、ああいうのが好きなんですよね。音源出しまくったりとか、見境がない感じっちゅうか、なんかもうバカっていうか、そういうのが。


おとぎ話
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で、なぜロックなんですか? 「ロックンロール・イズ・デッド」ってわざわざ言っているということは、本当はロックンロールに生きていてほしいということだと思うし。

有馬:何なんですかね? ロックンロールがスーパー・ヒーローになって欲しいというのはあるんですよね。まぁ、わかりやすい例だと『ドラゴンボール』の悟空とか(笑)。

お父さんからロックンロールはどのように教わったんですか?

有馬:オヤジにワイト島の映像を見せてもらって、「これがロックだろ?」みたいな。

マイルス・デイヴィスとかが出ていて最後に暴動が起きるやつだよね? 全然おとぎ話と違うじゃん(笑)!

有馬:それでフリーとかをみて、「やべぇ、超ロック」って思って。でもそれがロックだとすると、自分がそこから思い描いてきたロック像ってまたかけ離れているから。

わかった! ロックが、お父さんから聞いたおとぎ話っていう意味なのでは……?

有馬:ハハハハ(笑)。笑っちゃいますけどそれはあるかもしれないですね。

しかし、ワイト島がどうしてファンタジーなのか……あの映像は、ウッドストック的なもの、ああいうラヴ&ピース的なものの終焉を描いているから。マイルス・デイヴィスとか、みんな演奏がラヴリーな感じじゃなくて、もっとこうなんか……

有馬:殺伐としていますよね(笑)。でもそれが幻想としてあったのかも。「ロックンロール・イズ・デッド」とか言っちゃうのは、基本的には負けの美学みたいなものが根付いているというか。哀愁を帯びたものがすごく好きなんですよね。

有馬くんの世代は、わりと若いうちから大人になれって言われてきた世代じゃない? 

有馬:完全にそうですね。でも、俺はずっと子どもでしたよ。

大変だよねぇ。しかし世の中はそうでも、有馬君のお父さんはちがうよね? お父さんは子どもでいろって自分の子どもに教えているわけだからね。

有馬:ホントそうですね。大学に行けば何をやってもいいって言われましたから。「俺が中卒だから」っていう理由だったんですけど(笑)。

ハハハハ!

有馬:「俺が中卒で苦労したから、お前は大学へ行け」と。だから、大学には行ったんですけど、そこからだいぶ子どもになりましたね。

理解のある家庭だったんだね。不良になる理由がなかったでしょ?

有馬:たしかになかったですね。だけど不良には憧れていましたね。でも、その憧れている不良の対象というのがとんねるずっぽさだったりとか。

世の中の不良とは違うよね。

有馬:電気グルーヴがツアーのタイトルに「野糞探し」って付けたりしていて、意味わかんねぇみたいな。ああいうものが自分のなかの不良形成のもとになった気がしますね。

電気グルーヴはいつ聴いたの?

有馬:小中ですね。中学のときに“シャングリラ”って感じじゃないですか? ああいう大人がふざけている感じが気持ちよかったですね。

高校時代は何を聴いていたの?

有馬:ブリット・ポップが流行っていたじゃないですか? めちゃくちゃ好きになってそういうのを一通り聴きました。で、そのとき本当にハマったのはヨ・ラ・テンゴとかフレイミング・リップスでした。

サイケデリックだね。

有馬:そっちの方に行っちゃうんですよ。これは面白いからこれからもずっと聴いていくだろうなって感じました。

いまにしてみたら絶対にブリット・ポップでしょ?

有馬:そうですね(笑)。でもブリット・ポップで好きだったのもパルプだったりとか。あとブラーも好きだった。

でも、パルプみたいに屈折した感じはないでしょ?

有馬:そうなんですよね(笑)。そのへんで言うと、俺はすごく『少年ジャンプ』的な考え方ですね。この先自分から出てくるものが楽しみなんです。アルバムつくっていたこの2年間に環境的にも変化があって、同棲していたんですけど、それも終っちゃったので。

ふられたの?

有馬:まぁいろいろとありましたね(笑)。6年間同棲していたんですけど、結婚になかなか踏み込めなくて、最終的に別れることになっちゃって。いまはひとり暮らしになったんですけど。

じゃあ、その彼女に対する思いがこのアルバムには詰まっているわけだ。

有馬:詰まってますね(笑)。エンケンさんも「ラヴ・ソングは良い」と言ってますからね。

遠藤賢司とおとぎ話はなかなか結びつかないなー。

有馬:共演もしています(笑)! 自分ルールみたいなものがあるんですが、ライトななかに、たまにドキッとするような感じの言葉が散りばめられている(だけど)といいなと。そういうのが一番下にあって、どっかひとを遠目に見たいというのがあるんです。

ステージ衣装はどういうところから来ているんですか?

有馬:わかりやすいかなと思っただけなんですよね(笑)。見た目が本当はわかりやすいから、そのまま出続ければよかったんですけど。ちなみに今年からは普段着でやろうかなと思っているんですよ。
 俺たちは明治学院大学出身で、(同じ学校出身の)ミッシェル・ガン・エレファントも服を買っていた並木っていうお店で1回くらいスーツを作ってみようってなって(笑)。で、〈ローズ〉から出したアルバムのテーマ・カラーが黄色だったので、黄色いスーツを作っちゃえと。

あのスーツの形は一昔前の、言い方が悪いけど、キャバクラのショーとかで着られていそうなやつだよね(笑)。

有馬:手品師みたいな感じになれば良いねみたいなことは言っていましたよ。

モッズ・スーツに金を出すんじゃなくて、あえて手品師のスーツに(笑)。

有馬:「そんなんやるやついないでしょ?」っておとぎ話は常に言っているかもしれないですね(笑)。うちのドラムとかは「有馬はバコーンってわかりやすいストレートな曲を書くから、逆にこんなんやってるやついないだろって感じを他のことでやれば?」って言っています。

自分のなかで理想的なロック・バンドってどんなバンド?

有馬:あーでも、『ホワイト・アルバム』を出したときのビートルズとかは……

メンバーの仲が悪いじゃん。バンドとしては解散状態だよ?

有馬:あれで仲が良かったら最高なんじゃないかなって思うことがあります(笑)。

やっぱり60年代のバンドなんだね。

有馬:そうですね、そっちにいっちゃいますね。

“ハロー・グッバイ”もカヴァーしていたし。

有馬:でも結局このアルバムを作っているときも「これがビートルズの『リヴォルヴァー』だったら」って考えたりしました。勝手に自分のなかで『カルチャー・クラブ』は「リヴォルヴァー期」とかって思ってました(笑)。

同名曲ではサブ・カルチャーについて歌っていますけど、これにはどのような意味が込められていますか?

有馬:ひとつだけ言うと、ツイッターとかみんなやってるけど……お店とかで「サブカルはこれです」とか「サブカル好きはこういう音楽が好き」って雑多にカテゴライズされていて、サブカルが決まり切ったものとして流通しちゃっているというか。
 たとえば、昔読んでた雑誌の『バースト』だってサブカルを感じるてたんです。自分にとって、触れちゃいけないところに飛び込んでいって、自分のなかでいろいろ培っていくのがサブカルみたいな。サブカルって言葉自体も神聖な感じがしたんですよ。日常生活で簡単に情報が入ってくるのが嫌で自分が選択したものがサブカルだと思っていたので。

なるほどね。

有馬:たまに最近サブカル好きが話しているのを聞いていると、気持ち悪くてウザいなって。サブカルってものがすごく型にはまっているというか。まぁでも、この曲は笑いながら作ってましたけどね。

アイロニーとして、“カルチャー・クラブ”だったんですね。

有馬:「サブ・カルチャー」って言葉を曲のフックになるところで入れたから、「じゃあ“カルチャー・クラブ”でいいか! 「カーマは気まぐれ、カメレオン」だもんね」とか言って(笑)。そうしたら櫻木さんから「アルバムのタイトルは『カルチャー・クラブ』が最高です!」って言われて、「えー!」ってびっくりしましたけどね。

櫻木さんもたまに判断を誤ることがありますからね。

有馬:ハハハハ(笑)!

※バタン!(勢いよくドアが開く音)(なんと、ここで櫻木さん登場)

有馬:おお、すごいタイミングで!

いまの会話聞いてたの? すごいタイミングだよ(笑)。

有馬:びっくりした(笑)!

櫻木:清水エスパルス!

有馬:野田さんからフックのあるひと言があったので(笑)。

櫻木:まだこれ取材中ですか?

思い切りそうです(笑)。

有馬:ちょっと面白かったですね!


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結局このアルバムを作っているときも「これがビートルズの『リヴォルヴァー』だったら」って考えたりしました。勝手に自分のなかで『カルチャー・クラブ』は「リヴォルヴァー期」とかって思ってました(笑)。









おとぎ話

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felicity

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つうか、恐いほどすごいタイミングだったよね。えーと、おとぎ話っていうバンド名は、さっき僕はファンタジーって言ったけど、“カルチャー・クラブ”の話を聞いていると、それもある種のアイロニーなのかなと思いすね。

有馬:いまはそうなりましたね。

このアルバム・ジャケットも、何回もひねって作ったんでしょ?

有馬:これはわりと初期段階で決まりましたよ(笑)。

これはある意味ではさっきのステージ衣装じゃないけど、まぁあれに近いセンスというか。

有馬:これの背景がピンクなのは、俺はキュアーがすごく好きで、キュアーのファースト・アルバム『スリー・イマジナリー・ボーイズ』がピンクだったからです。

ああ、冷蔵庫のジャケットのやつね。しかし、なんでそんなに古いのばっかり知ってんの? それはお父さんからじゃないでしょ?

有馬:そのへんは自分ですね。

キュアーかー……、まったく気づかなかった(笑)!

有馬:実はそうなんですよ。

たしかにアイロニーとしてのロックンロールっていうのもあるのか。でも、アルバムの最後のほうは、感傷的で、青春の使者と化していくじゃない?

有馬:“オーロラ”は自分の叙事詩みたいになったんですけど、“告白ジャム”とか“ピカピカ”とか“おとぎ話みたいねと笑ってばかりの君が”とかはまったく考えないで作った感じが出ていると思います。

自分の内面の叙情性は見せたいものなの?

有馬:本当はしたくないですね。ツラいので(笑)。

ハハハハ。だろうね。

有馬:でもせっかく音楽をやってるので、書いておこうかなと。いま残しておきたいことを残しとこうという感じですかね。

日本語の歌詞で好きなひ人って誰?

有馬:前野健太とか。ソロになったばっかりの奥田民生とかは良いなと思います。他には……三上寛かな。マンガを読んで歌詞を書くことが多いですね。マンガの主人公になったつもりとか。今回のアルバムで、個人的に好きなのは2曲目の“きゅーと研究会”と6曲目の“光の涙”と……。このへんの曲は自分が楽しんでいる感じがしますね。

“きゅーと研究会”もシニカルだよね。

 有馬:自分が本当に楽に書けるのは“きゅーと研究会”のような歌詞なので。“ピカピカ”とかは自分のなかではデヴィッド・ボウイの“スターマン”とかのつもりで作ったんですけど(笑)。

なるほど。じゃあまとめに入ろうと思うんですけど、これからの抱負は?

有馬:バンドとしてはよく続いたし、楽しければいいなと思うんですけれど、もっといろんな場所に呼ばれるバンドになれればいいなと思います。各地の面白いひとしか出ないような会場に出たいです。

長年ライヴハウスで活動してきたわけですが、最近のライヴハウス・シーンはどうでしょう?

有馬:ライヴハウス・シーンは正直に言うと、本当にやばいと思いますね。本当に面白くないから、やべーなと思いますね。カッコいいバンドがいないんですよ。

そうなの?

有馬:音楽を聴いてない子たちが多いんです。人がが本当に音楽を聴きに来ているのかわからないと思うところがあります。それは昔ライヴハウスでやっていたとき、つまりファースト・アルバムを出す前くらいのときと全く違う感じがする。当時はこういうことを自分もやってみたいなと思うバンドがたくさんいました。それこそ、あふりらんぽとかと対バンしたし。CDを出す=実力がある人っていうことだったと思うんですけど、最近はそうじゃなくて、誰でも作品を出せられるようになっていて。

それはお父さんが悪いんじゃないんですか?

有馬:うちのオヤジ(笑)?

ちがうちがう。いまの若いバンドのお父さんが子供に良い音楽をしっかり伝えていないんじゃない(笑)。

有馬:伝えてないですね。じゃあ、俺らのせいか(笑)。

おとぎ話はライヴハウス・バンドなのかもしれないけど、どっかのディナー・ショーで演奏していてもおかしくないバンドだから、そのへんの場所選びが難しいよね。

有馬: そうなんですよねぇ……。夜中のイベントだと何故か本当に盛り上がっちゃったりするんですよ(笑)。

現代のポップ・ミュージックのメインストリームは、打ち込みの音楽だと思うけど、EDM的なものに違和感を抱いている人たちだって絶対にいるわけでしょ。ギター・バンドはチャンスがあると思うんだよ。

有馬:最後のチャンスが(笑)。

みんながAが良いと思っているときにその対岸のBもあるはずだから。そこにおとぎ話がうまく上昇気流に乗って。

有馬:B地区の先輩として君臨したいな(笑)。

しかし、写真だと有馬くんは恐い顔をしてるよね(笑)。ほら、目つきが恐いじゃん。

有馬:僕、デフォルトではわりと恐いんですよ。ステージでははしゃいでるモードに入ります。今年はもっと面白いことをやっていくと思います。

今日はどうもありがとうございました。この先もがんばって続けてくださいね。





おとぎ話「CULTURE CLUB」リリースツアー
CUTE BEAT CULTURE CLUB BAND TOUR

2015年2月18日(水)OPEN 19:00 / START 19:30
会場:神奈川県 横浜 club Lizard
共演:ASPARAGUS

2015年2月21日(土)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:静岡県 UMBER
共演:忘れらんねえよ

2015年2月26日(木)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:京都府 磔磔
共演:LOSTAGE

2015年2月27日(金)OPEN 19:00 / START 19:30
会場:福岡県 MUSK
共演:ボギー

2015年3月1日(日)OPEN 18:00 / START 18:30
会場:広島県 4.14
共演:LOSTAGE

2015年3月6日(金)OPEN 19:00 / START 19:30
会場:宮城県 仙台 PARK SQUARE
共演:SISTER JET

2015年3月13日(金)OPEN 19:00 / START 19:30
会場:北海道 札幌 COLONY
※ワンマン

2015年3月19日(木)START 19:30
会場:愛知県 名古屋 得三
※ワンマン

2015年3月21日(土・祝)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:大阪府 十三 FANDANGO
※ワンマン

2015年3月23日(月)OPEN 18:00 / START 19:00
会場:東京都 渋谷WWW
※ワンマン

料金:各公演 前売3,000円 当日3,500円(共にドリンク別)

その他、インストアライブ情報はこちら!
https://otogivanashi.com/


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