「Not Waving」と一致するもの

Basement Jaxx - ele-king

 この夏ベースメント・ジャックスのライヴを観ていていまさらながら気づいたのは、ステージ上にさまざまな人種や性別や、そして体型の人間がごった返しているということだった。そこに韓国系の女性が加わっているのは日本で観る上で胸がすく思いだったし、彼らが着ていたアフリカの部族の衣装のようなローブには大きく虹の絵が描かれていて、それが非常に自覚的な振る舞いであると思い知らされたのだ。今年のワールドカップであれだけアンチ・レイシズムがわざわざ掲げられたのはそれがのっぴきならない問題だということに他ならないが、そんななか世界的なビッグ・アクトとして長いキャリアを持つベースメント・ジャックスは自分たちの果たすべき役割をよくわかっている。

 通算で7作めだという『フント』はディスコグラフィを振り返れば平均的な内容のアルバムで、大きな驚きはないが、そのぶん安心して楽しむことのできるパーティ・アルバムだ。昨今のハウス・ブームやダフト・パンクの復活にもとくに動じることなくマイ・ペースを貫いている。“ロック・ディス・ロード”や“マーメイド・オブ・サリナス”のラテン・フレイヴァーやシングル“ユニコーン”に代表されるようなR&Bテイストなど、基本的には自分たちの得意なフィールドに持ち込んでいるトラックが中心。もっとも色気を見せたのがミッキー・ブロンコを呼んでヘンテコなドラムンベースをやっている“バッファロー”で、クィア・ラップ・シーンに与するブロンコを参加させていること自体が、ジャケットに虹が掲げられているアルバムのコンセプトの表れだろう。前作でオノヨーコを招聘し、そして本作で“パワー・トゥ・ザ・ピープル”というタイトルのトラックを実質のオープニングにするのはあまりにもリスナーに親切なやり方だが、逆に言うとそれぐらいしなければ伝わらないのかもしれないという気持ちもあったのだろう。このわかりやすい多文化主義、スペイン語で「トゥギャザー」を意味するアルバム・タイトルは、おそらくベースメント・ジャックスにとって切実なメッセージである。
 アンダーグラウンドのハウス・シーンから出てきた彼らにとって、世界的な成功の代わりに失ったものも大きかったのではないかとずっと感じていたのは僕だけはないだろう。実際、ディジー・ラスカルと手を組んだりしていた『キッシュ・キャッシュ』(2003年)あたりの彼らは音楽的にもメッセージ的にももっと怒っていて、地下との接点を証明しようと懸命だったようにも思える。が、キャリアも20年近いいま、どこか達観したようにも見えるベースメント・ジャックスがあらためて示すのはハウス・ミュージックの愛である。クロージング・トラックの“ラヴ・イズ・アット・ユア・サイド”における「愛はきみのそばにある」という言葉やアトモスフェリックなサウンドによる妙なスピリチュアリティには、だから、彼らの真剣な横顔が見える。小さなハウス・クラブで愛を掲げることがもう彼らには許されないのだったら、世界中の雑多な音楽や人びとを混ぜ合わせ、踊らせることによって実践するしかないのだと。
 『スプリング・ブレイカーズ』のなかでEDMを浴びながら馬鹿騒ぎしていた大学生たちが本当に誇張でも何でもないのだとしたら、ベースメント・ジャックスがここで繰り広げる大げさに猥雑なハウス・パーティは立派なカウンターとして機能することだろう。国内盤にボーナス・トラックとして収録されたトライバルでミニマルなハウス・トラック“バック・トゥ・ザ・ワイルド”における「裸になろう!」の叫びのバカっぽさにはしかし、貫禄と誠実さがある。

interview with Perfume Genius - ele-king

 わたしたちはあるドキュメントに立ち会っている。それは、自らを傷つけていた過度に内向的なゲイ青年が、何も持たず、内側に湧き上がる音楽だけを頼りに外界に立ち向かっていくという……。と、書けば一種典型的なストーリーのようだが、自らをパフューム・ジーニアスと名づけたマイク・ハッドレアスの足取りは非常にドラマティックなものだ。そしてそれは、現代に生きるゲイたちが置かれた状況と無関係であるとは、僕にはどうしても思えないのだ。

E王
Perfume Genius
Too Bright

Matador/ホステス

Indie Rock

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 まるでボロボロの自分をそのまま差し出すかのようなローファイさ自体が衝撃的だった『ラーニング』、ミュージシャンとしてのハッドレアスの覚醒を印象づけた『プット・ユア・バック・イントゥ・イット』を経て、3作めとなる『トゥー・ブライト』においてパフューム・ジーニアスは華麗にドレスアップし、そしてサウンド面において大胆に変身を遂げている。ピアノの弾き語りを基調としたトーチ・ソングめいたバラッドという骨格は変わらないが、アリ・チャントとポーティスヘッドのエイドリアン・アトリーという玄人肌のプロデューサーを迎えバンド・サウンドやシンセを大部分で導入し、よりゴージャスで、よりダークで実験的で、より挑発的な態度を晒しているのだ。ドゥーム・メタルすら連想させる不穏な3拍子のナンバー“マイ・ボディ”や、アブストラクトなシンセ・ポップ“ロングピッグ(人肉)”など、これまでのパフューム・ジーニアスにはまったくなかったものだ。“アイム・ア・マザー”のようにおそろしくヘヴィなダーク・アンビエントもあり、感情の振れ幅においても手加減していない。

 以下のインタヴューは先日の〈ホステス・クラブ・ウィークエンダー〉のライヴ後に行ったものであり、この時点でまだテクストとして歌詞は目にしていなかったが、いくつか耳に残ったフレーズについて尋ねることができた。その言葉の強さゆえである。歌詞において自己嫌悪や劣等感を隠そうとしないその痛ましいまでの姿はこれまでと変わらないが、しかしながら、その正直さゆえに彼は作品を重ねるごとに、歌をひとつ歌うたびにタフになっていったように思える。“クィーン”は自らを女王と……すなわち、この世界における異物だと宣言し、だからこそ誇り高く振る舞おうとするアルバムを象徴する一曲だ。

 ジョン・グラントでもルーファス・ウェインライトでもアントニー・ハガティでも……フランク・オーシャンでもいいが、いまゲイやトランスジェンダーのシンガーソングライターたちは異端者としての生をその表現において隠そうとしない。それは、社会が無視してきた「クィーン」たちからの逆襲のようだ。マイク・ハッドレアスはつねに自分へのセラピーとしてその歌を紡いできたと言うが、しかし同じように悩みを抱える誰かに自分の音楽が届くことも確信している。だからアルバムのラスト2曲……“トゥー・ブライト”から“オール・アロング”へと至るじつにパフューム・ジーニアスらしいスウィートでフラジャイル、そして美しいピアノ・バラッドは、その力強い眼差しに貫かれているように感じられる。

Perfume Genius/パフューム・ジーニアス
シアトル出身のシンガー・ソングライター。2010年にファースト・フル・アルバム『ラーニング』を、2012年にセカンド・フル・アルバム『プット・ユア・バック・イントゥ・イット』をリリースし、多くのメディアやアーティストから高い評価を受け、注目を集めた。3作めとなる今作にはプロデューサーの一人にポーティスヘッドのギタリスト、エイドリアン・アトリーが参加している。


敵対心とか、そういうものはないよ。ひとを傷つけたくはないしね(笑)。

(〈ホステス・クラブ・ウィークエンダー〉の会場にて)今日はお疲れのところすいません。

マイク・ハッドレアス(以下MH):だいじょうぶだよ。

今回は新作について訊きたいんですけど、その前にいくつか違う話題をさせてください。2年前にお会いしたとき、YouTubeから削除された“フッド”のヴィデオの話をしましたよね。あのヴィデオに出演していたポルノ俳優のアルパッド・ミクロスが亡くなってしまって、ゲイ・コミュニティにも衝撃が走りましたし、僕もすごくショックでした。もしあなたがつらくなければ、彼の話を聞かせてくれませんか。

MH:彼とはあのPVの撮影のときに会っただけだから、思い出を語ること自体が申し訳ないなって感じるんだけど……でも、亡くなったことはほんとに悲しかったよ。

その前に発表された“テイク・ミー・ホーム”のヴィデオも印象的でした。あなたがアメフトか何かのユニフォームを着て、ハイヒールを履いて夜の街を闊歩するという。あれはどういうところから出てきたアイデアだったんでしょうか?

MH:あれは自分のクローゼットにあったものを選んできちゃったんだけど(笑)。ちょっとシリアスさもあって、でもジョークっぽさもあって、悪っぽさもあって、そのバランスを取るようにして。アメフトのジャージっていうのはヒップホップのヴィデオなんかでもよく使われてて……リアーナなんかも着てるし、おもしろいかなって思って。

ヒップホップのヴィデオっていうのは、ああいうマッチョさに逆らいたい気持ちもありました?

MH:敵対心とか、そういうものはないよ。ひとを傷つけたくはないしね(笑)。もっと感覚的な部分での表現なんだよ。

じゃあ、ちょっと話題を変えて。フランク・オーシャンのカミングアウトとアルバムについてはどう思いましたか? というのは、あの正直さやセンチメントっていうのに、僕は少しあなたのことを連想したんですよ。

MH:フランク・オーシャンのカミングアウトは、本当に勇敢だったと思う。クリエイティヴな仕事をしていると、そうやってオープンにすることでファン・ベースを狭めてしまう可能性もあるんだよね。ただ、ゲイだからと言ってゲイの音楽だけを聴くわけじゃないし(笑)、フランク・オーシャンもR&Bやヒップホップのフィメール・アーティストの音楽も聴くけど女性じゃないよね。だからそういう意味で、100パーセント共感できなくても音楽は聴いてもらえると思うんだ。(カムアウトすることで)ファンを狭めるって意見もあるけど、僕は必ずしもそうは思わないんだ。彼にはいま音楽しかないし、それを取ってしまったら何もなくなってしまうだろうから、カミングアウトすることはすごく怖かったと思うし、周りも勧めなかっただろうけど、自分を表現するってことはとても大切なことだから、それは正しかったと思う。

もっとこだわらず、自分の好きなようにやればいいと思ったときから自分らしい音楽が書けるようになってきて……

なるほど。では新作『トゥー・ブライト』について訊かせてください。アルバムを聴きましたが、すごく驚きました。録音も違うし、演奏もアレンジも違うし、アルバム全体のトーンも違います。アルバムを作る上で最初にテーマは何か設けていたんでしょうか?

MH:音楽をはじめてこの世界に入ったときっていうのは、もう何もわかってなかったんだけど、セカンド・アルバムからはより真剣にプロ意識を持って、チャンスを生かすようにしてきたんだ。あと、2枚めまではサウンドよりも歌詞に重点を置いてたんだ。で、そこについてはだんだん自信がついてきたんで、今回はサウンドのほうに重心を置きたかった。
 アルバムのトーンや内容が変わったことに関してなんだけど、曲作り自体はいままでと変わらなかったんだよ。曲を書いて作りはじめてから少しずつ変化が出てきたんだけど。3枚めだから周りからのプレッシャーも感じたし、家族や友だちを喜ばせたいって気持ちもあって、最初少し萎縮してしまってたんだ。だけどある時点でそれが弾けて。もっとこだわらず、自分の好きなようにやればいいと思ったときから自分らしい音楽が書けるようになってきて……で、前2作のセラピー的な感じで、より暗く、ワイルドで、怒りがこもった曲が仕上がっていったんだ。

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周りからはゲイ的な歌詞を入れるべきじゃないって意見もあったんだけど、それに反抗するために逆にもっと入れてみたんだ(笑)。もっと声を出して言うぞってね。

なるほど。今日のライヴでも、“マイ・ボディ”みたいな曲はすごくダークでみんなビックリしていましたね。ああいうすごく実験的な曲っていうのは、何か影響元があったんですか?

MH:さっき言ったようにまわりの意見を気にせず自分の作りたいものを作ろう、って切り替えたときに何を大切にすべきかを考えたんだ。たとえばPJハーヴェイ。彼女は秘密にしておきたいことを表現しながらも、とても力強く自信を持って表現しているから、そういう感覚を見習って曲を書きたいと思ったんだ。だから彼女には影響を受けたね。自分の見た目で恥ずかしいと思っているところを、自信を持ってパワフルに歌うっていうことが自分にとってのセラピーになっているんだよ。

前のアルバムのときでもそういった、自分に正直であることっていう話をしましたね。そうした感覚がさらに押し進められているのかなと思います。ただ、歌詞がまだ届いていなくて見られてないので、そこについてもいまから訊いていきたいと思うんですけど。全体を通しての歌詞のテーマはありますか?

MH:そうだね、前作からは自分の生活環境はよくなって、自分で家賃も払ってるし自立してる。ドラッグやアルコールもやめたし。だけどいまでもいつも何かを心配してるし、落ち込むし、自意識過剰になったりするし、急に悲しくなったりする。状況がよくなっても気持ちは昔と変わらない、自分は周りよりも劣っていると思ってしまうときがあるんだ。だけど、それに対して闘っている、周りにも尊重されて、自分自身でも尊重できるように意識できるようにはなってきたから……それが全体のテーマなんだ。音楽的なテーマでもあり、僕自身の人生のテーマでもあるんだよ。

 僕が気取って歩くのは
 ファミリー向けじゃないんだって 
(“クィーン”)

では曲単位でいくつか訊きたいと思います。2曲めの“クィーン”は新しいアルバムの新しいサウンドを印象づけるバンド・サウンドのナンバーですね。「No family is safe」という歌詞が聞こえてきますが、これはひょっとしたら“フッド”のヴィデオがリジェクトされた件と関係あると思ったんですが、どうでしょうか。
(※ヴィデオが削除されたとき、その理由は「not family safe」であると説明された)

MH:直接関係したわけじゃないけど、いろいろなことがインスピレーションになってるんだよね。
アメリカでは家族の価値を守ること、イコール、同性結婚に反対する運動っていうところがあるんだけど、僕にはまったく理解できない。ストレートの夫婦でも離婚率はじゅうぶんに高いし……その恐怖心がどこから来ているか、どうしてゲイのひとたちをそんなに怖がるのか、理解できないんだよ。僕がそんなに害を与えることもないし、サンドイッチを食べたりして普通に暮らしてるだけなのに。周りのひとをみんなゲイにできるんだったらすぐにやっちゃうけど(笑)、そんなことできるわけないんだよ。そういう考え方に対する怒りが、その言葉に反映されているんだ。
 周りからはゲイ的な歌詞を入れるべきじゃないって意見もあったんだけど、それに反抗するために逆にもっと入れてみたんだ(笑)。もっと声を出して言うぞってね。

クール!

MH:(笑)

僕はいままで、いかにまわりに大切にされるか、まわりに尊重されるかってことを考えてきたんだけど、でも大人になるにつれてそんなことは必要ないってことに気づいたんだ。その意識を自分に向ければよかったのに。

ヴィデオがリジェクトされたとき僕もすごく怒りを感じたので、あなたのそういう姿勢は本当にカッコいいですね。“クィーン”っていうタイトルにはクィアネスに対する誇りが込められているんでしょうか?

MH:いろんな意味はあるんだけど、ちょっと自意識過剰になってるときに自分のなかにロイヤル・ファミリーが登場するんだ(笑)。周りから自分を守るために高貴に振る舞うっていう意味もあるし、ゲイを指す意味での「クィーン」でもあるし、すごくパワフルな女性を指しているときもあるし、いろんな意味が混ざってるタイトルなんだ。
 ……なんでいま、ロイヤル・ファミリーみたいに振る舞うって言っちゃたんだろう(笑)!

(笑)いやいや、意味するところはわかりますよ。

やってみるよ
このままでいるよ
首をくくられ 腸をとられ
高いところに横たえられていても
(“トゥー・ブライト”)

E王
Perfume Genius
Too Bright

Matador/ホステス

Indie Rock

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では、アルバム・タイトルの『トゥー・ブライト』はどうでしょう。「トゥー」が入ることで「ブライト」の印象が変わってくるんですが、このタイトル・トラックはどういうことを歌ったもので、なぜこのタイトルになったのでしょうか。

MH:ひとっていうのは物事に対して希望も見えるしダークな部分も見えるんだけど、ダークな部分もほうがより複雑なんだ。だけど、希望を見るほうがより努力が必要で、僕自身正しくないほうを選んでしまう。好きじゃないのにね。それがこの曲のテーマなんだ。

僕がとくに好きな曲が最後の“オール・アロング”という曲なんですけど、そこで「きみは僕の時間を無駄にした」と繰り返されるのが印象的です。複雑なリレーションシップを歌っているのかなと想像していたのですが、これはどういうところから出てきた曲なんでしょうか。

MH:僕はいままで、いかにまわりに大切にされるか、まわりに尊重されるかってことを考えてきたんだけど、でも大人になるにつれてそんなことは必要ないってことに気づいたんだ。その意識を自分に向ければよかったのに、っていう意味で、それだけ時間の無駄だったって歌詞なんだ。愛情を自分に向ければよかったって、聴き手にも言っているし、自分自身にも言ってるんだ。

なるほど。前回のインタヴューでもまさに、「悩んでもいいんだ」って話してくれたので、あなたにとってすごく一貫したテーマなんですね。そこに心を動かされました。

MH:そうだね、ありがとう。

Half Japanese - ele-king

 もとはといえば、ジャド・フェアとデヴィッド・フェア兄弟が74年に自宅で結成した(ピストルズよりも早く、ラモーンズと同じ年!)生粋のアメリカ人ユニットのくせに、「半分日本人」などと人を食ったようなバンド名を掲げるこのハーフ・ジャパニーズ。おふざけにもほどがありますね。筆者もそうなのだけれど、90年代初頭にインディ・ミュージック・シーンを席巻した(?)ジャンク/スカム〜ローファイ・ムーヴメントのあおりで、彼らのキテレツな音楽を知った人は多いかと思う。もしくは、カート・コバーンが自死したときに着用していたというTシャツからか? いや、もっともっと若いリスナーなら2011年にリリースされたジャドとテニスコーツの共作『エンジョイ・ユア・ライフ』でだろうか。

 そんな長い歴史をもつハーフ・ジャパニーズにまつわる人脈をたどると、新旧オルタナティヴ・シーンの何某かが見えてくる。一時期バンドに在籍し、黄金期を支えた〈シミー・ディスク〉の総帥でありプロデューサーのクレイマー、ドン・フレミング(ヴェルヴェット・モンキーズ/ボールほか)。元ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのモー・タッカー。ジョン・ゾーン、フレッド・フリスらダウンタウンのフリーミュージック一派。ソニック・ユースにヨ・ラ・テンゴ。同じ香りしかしない盟友ダニエル・ジョンストン。そして、共作もリリースしているパステルズやいまも交流が続くティーンエイジ・ファン・クラブら英国勢。さらに日本のイシマルーからテニスコーツまで、まるでレッド・クレイオラのメイヨ・トンプソンばりの吸人力でその周りに愉快な仲間があつまるあつまる。

 さて、ハーフ・ジャパニーズの新作がリリースされた。じつに13年ぶりの出来事である。気がつけばデヴィッドも正式メンバーから外れているけれど、それはここでは野暮な話。ジャド・フェアがいて僕たちがいる。もうそれだけでハーフ・ジャパニーズなんだから。しかし、本作、ジャドのヘロヘロわめいて、コロコロ転がり、ペチャクチャしゃべりたおす愛くるしい歌こそまったく変わらないものの、バックの演奏がひと味ちがう。例のごとく、崩壊すれすれのところで綱渡りをかましてなんとかギリギリセーフ! そんな危なっかしいガレージ・パンクはいつもどおりだが、ポンコツ感というよりも端正なアヴァン・ポップ感が耳についてすごくヒート・アップする。それもそのはず、今回のメンバーに名を連ねるのは、90年代初頭からハーフ・ジャパニーズとして苦楽を共にする、元デビル・メントール〜アンサンブル・レイエのジャイルス・V・レイダー(ドラム/シンセサイザー)、90年代USジャンク/スカムの最重要レーベル(いやマジで!)〈メガフォン〉の張本人ジェイソン・ウィレット(ベース)。そして、そこに加えて、元ザ・ワーク〜オフィサー!〜ザ・モームスのミック・ホッブスもギターで参加しているのだ! というわけで、ニューウェイヴ〜レコメン色が濃ゆ〜い内容となった本作は、90年代オルタナティヴがもっていたラフな感触が緊張の糸をほどいたかと思えば、次の瞬間、巧妙に、スピードに乗った複雑なアンサンブルが再び緊張の糸をむすび直したりしてテンヤワンヤ。ハラハラドキドキ。じつに大忙しなのである。

 そんな、いつになく建築的(?)な演奏とは裏腹に、まっすぐすぎるがゆえにあらぬ方向にねじ曲がるジャドのロックン・ロールへの愛情。ぐるぐるぐるぐるとぐろを巻いて、じりじりじりじりねじりはちまき状態になって、ねじれすぎてプチンとちぎれて、そのちぎれた先には何もない。答えは風の中になんてない。それはいたってシンプル。もはや、狂喜(not 狂気)と衝動だけをぶら下げたジャドの表現行為は、「ストレンジ!」という常套句を期待する僕たちのあざとい思考を余裕で飛び越えて、考えても考えてもまったくもって正解の出ない「爽快なもどかしさ」を投げかけてくれる(アートワークにあしらわれた、お馴染みのジャドによる切り絵からもほっこりとした物語とリズムを感じとれるが、その奥にあるモチーフはまったく謎だらけ……)。

 ささやかな幸福感への扉をいくつも用意して、聴くものを選ばずに手招いてくれる妖精のようなおじいちゃん。世界の片隅で、「愛」と「モンスター」を叫ぶ60歳のパンクスを想像してみよう。これはもう奇跡の野蛮である。

OGRE YOU ASSHOLE vs森は生きている - ele-king

 今年のベスト・ソングのひとつは、オウガ・ユー・アスホールの「見えないルール」でしょう。間違いない。ポップ・ソングとしてもよくできているので、最近は、会話に何かと「目ないルール」が使われています。「ばかやろう、いいか、ここには見ないルールってもんがあるんだよ!」と悪用されることもあるのです。つーか、10月2日って、もう間近じゃないすか。

 待望の新作(初回はカセットテープ付き)『ペーパークラフト』のリリースを10月なかばに控えたオウガ・ユー・アスホール、年内に待望のセカンド・アルバムのリリースを控えている森は生きている。10月2日木曜日、恵比寿リキッドルーム、夜7時から、このふたつの素晴らしいバンドのライヴがあります。来て下さいよ~。
 ライヴを見ている方は、このふたつのバンドのぶっ飛び方をよくご存じでしょう。森は生きているはピースなトリップ、最近のオウガは、ややディープなサイケデリックかもしれませんが、ふたバンドともにリズムがしっかりしていて、実はけっこう踊れます。ひとつひとつのライヴにこだわりのあるバンドですから、当日になってどうなるのかわかりませんが、最高に気持ち良い体験は約束できるでしょう

 編集部は、滅多にありえないこの組み合わせのライヴを記録すべく、当日Tシャツを販売します。気鋭のデザイナー、鈴木聖デザインの、アブストラクトで、けっこう格好いいデザインになったと思います。当日会場で現物を見てください! (値段は未定ですが、高くはしないつもりです)
 それでは10月2日、会場でお会いしましょう。


■OPEN / START 18:00 / 19:00
■ADV ¥3,500(税込・ドリンクチャージ別)
■LINE UP:OGRE YOU ASSHOLE/森は生きている
■DJ:ALTZ
■TICKET チケットぴあ [232-675] ローソンチケット [79610] e+ LIQUIDROOM 7/13 ON SALE
■INFO  LIQUIDROOM 03(5464)0800
https://www.liquidroom.net/schedule/20141002/19248/

Syro 2014 西島大介 - ele-king


西島大介
1974年東京都生まれ、広島県在住。2004年に『凹村戦争』でデビュー。代表作に『世界の終わりの魔法使い』、『ディエンビエンフー』などがある。2012年に刊行した『すべてがちょっとずつ優しい世界』で第三回広島本大賞を受賞、第17回文化庁メディア芸術祭推薦作に選出。装幀画を多く手掛け、「DJ まほうつかい」名義で音楽活動も行う。映画『世界の終わりのいずこねこ』脚本&出演など、活動は多岐に渡る。初の作品集『くらやみ村のこどもたち』を刊行。ワタリウム美術館地下オンサンデーズで「くらやみ村のこどもたち」展開催中。

Aphex Twin - ele-king

 彼の前に道は無し、とは言わないが、彼のうしろに道ができたのは事実だろう。エイフェックス・ツインとは、ポップにおける重要な分岐点である。クラフトワークやNYのガラージ・ハウスは理解できたとしても、92年のコースティック・ウィンドウの諸作や160bpmのハードコア・アシッドの「Digeridoo」、青いレーベル面にTHE APHEX TWINというスタンプが押されただけの12インチに関してはさっぱりだった、という人は少なくなかった。いや、その前にそんなものチェックもしてないか。ディスコの文脈では到底聴けたものではなかったろうし、一種の権威たちから評価されなかったものの代表格が、シカゴのアシッド・ハウス、デトロイトのUR、UKのジャングル(あるいはガバ)、そしてエイフェックス・ツインなのである。
 ことAFXに関しては、公に聴かせる音質としては掟破りなまでに歪んだTR606とTB303、それまでの宅録文化の標準クオリティからすればありえない音質……この点に関しては初期シカゴ・ハウス/デトロイト・テクノが先だが、しかしAFXのそれは、退行的な、機械をいじりながらほくそ笑んでいる、ただの子供のいずらに感じられなくもなかった。
 が、しかし、ある世代以降になると、そしてある人たちにとっては、彼の荒削りなテクノ・サウンドは悦び以外の何ものでもなかった。それは来るべき時代のはじまりを意味したのだから(で、実際にそうなった)。
 AFXが、それ以前のUKテクノ(ハウス)──ア・ガイ・コールド・ジェラルドや808ステイト、ベイビー・フォードやLFO──とは異質の存在感をはなっていたことは、デビュー当時の彼が、メディアから天才児扱いされるいっぽうで、「bedroom bores(こもり系)」、「ゲームボーイ世代」などと揶揄されていたことからもうかがい知れる。彼からは、旧来のポップスター文化がよくは思っていなかったパーソナリティー──恋人を誘って外に出かけるようなことはなく、部屋にこもってマニュアル片手に機材をいじり続けるような、ある種のオタク性──が前面に匂ってはいたが、ウケ狙いのDJをすることはなかったし、人に媚びることもなかった。リチャード・D・ジェイムスには、人が求めるようなロックのイディオムというものがなかったし、話題のロック・バンドからのリミックス依頼に関しても「そんなバンド、知らないし」と言う始末だった。

 だからこそ彼は歴史の起点に、ポップに新たな流れをもたらす起爆剤になりえたのだ。彼はメディアから賞賛され、顔が売れてからも、匿名性を捨てず、基本ひとりで作り、作品それ自体においてはアンダーグラウンドな姿勢を崩さなかった(『 ...I Care Because You Do 』以降の露悪的自己パロディも反ポップスター的な性格のねじ曲がった表出とも言えなくはない)。
 彼は、初期アシッド・ハウスやURの過剰さ、アホらしいジャングル(ときにはガバ)とコネクトしながら、最高にいかれた曲を作り、最高にロマンティックな曲を作った。こと90年代前半のエイフェックス・ツイン名義の作品には、無邪気で、彼のドリーミーな気質が録音されているわけだが、僕が『サイロ』の1曲目の“Minipops 67”を最初に聴いて思ったのは、「これって“Analogue Bubblebath”(92)じゃん」、だった。

 冒頭のドラムに続いて入る太いシンセ音とメロディは、間違いなくあの頃の「サウンド」だ。目隠しで聴かされても誰の曲かわかる。録音の良さや緻密に変化する曲のディテールには20年以上の経験が反映されてはいるものの、その出だしが暗示するように、『サイロ』には誰もが思い抱いているであろうAFXテイストが通底している。驚きはないが、親しみやすい作品である。ユーモアはあっても、聴き手を困惑させるような意地悪さもない。「あ、AFXだ」と、20年ぶりにケレンミのない、まとまりの良いアルバムになったと言えるだろう。
 1曲目が“Analogue Bubblebath”なら、2曲目の“Xmas_Evet10”は、『Surfing On Sine Waves』(92)を彷彿させる曲で、当時の言葉で言えば「リスニング系テクノ」だ。美しいメロディは、ある世代にとってレイヴのオプティミズムがいっぱい詰まったあの時代の空気を思い出させるかもしれない。今回のスリーヴ・デザインに使用されているAマークも、『Chosen Lords』(06)のときよりもはるかに、1周まわったからなのか、新鮮に感じられる。リチャード・D・ジェイムスは、「On」(94)以前の、自由気ままに作っていた頃の自分に戻っているんじゃないだろうか……そう思わせなくもないし、実際それは少しあるだろう。

 20年以上前の、機材で埋め尽くされた彼のベッドルームは、クラブのダンスフロアと田舎の牧草地帯の両方に通じていたものだが、『サイロ』にもそのふたつの側面がある。リチャード・D・ジェイムスはエレクロニカ/IDMの起点にもなった人なので、年齢を考えても、そちら側に大きく振れるということも予測されたわけだが、結果、そうはならなかった。
 ひとつ驚きがあったとすれば、『サイロ』ではファンク、ダンス・ビート/ジャングルにこだわっているということである。“4 Bit 9d Api+e+6”なる曲は、アシッディなシンセのうねりとドレクシア直系のマシン・ファンクとの結合だ。ストリングスの入り方はAFXらしいドリーミーな響きを有しているが、ドライで硬質な質感は、クラウトロッカーのメビウス&プランクの一連の作品とも似てなくはない。
 相変わらずよくわからない曲名の“Circlont6a”や“Circlont14”は、コースティック・ウィンドウ名義で試みていたような、悪戯っぽく、コミカルなトラックで、『サイロ』が楽しみながら作られた作品であることをほのめかしている。とくに高速ブレイクビートの“Circlont14”には、リチャード坊(©三田格)の子供っぽさが、あまりにも真っ直ぐ出ている。曲の細部において暴れまわる電子音は、玩具を持ってドタバタ騒ぎまくる幼児そのもので、ふたりの子供がいながらも自身もここまで子供でいられるのは、ある意味すごいとしか言いようがない(笑)。紙エレキングのインタヴューでは、「自分は成熟することを拒否していると言えるだろう」「シニカルな大人になりたくないから」と答えているリチャード・D・ジェイムスだが、『サイロ』を3回目に聴いたとき、僕はこの音楽のあまりの無心さに涙したことを告白しよう。

 実を言えば、『サイロ』を聴きながら「そーいやー、リチャード・D・ジェイムスって、デビュー当時はURのファンだったよなー」と思い出したのは、“Syro U473t8+e”のリズムがURの“Moor Horseman On Bolarus 5“”に似ているからだ。もちろんAFXにあのような勇敢な突進力はない。その代わりに何があるのかは、もう繰り返して述べる必要もないだろうけれど、たとえば、クライマックスとして配置された2曲のドラムンベース、“Papat4”と“S950tx16wasr10”には、彼の「ガール/ボーイ」哲学、いわばシャルル・クロス的ナンセンスが猛スピードで炸裂している。
 ダンスを意識していたとしても、いかんせんガキなので、セクシーに踊っているのではない(やはり、どうがんばっても、グルーヴィーには踊れないだろう)。ただただ身体を動かし、ぎゃーすかと騒いでいる、風に感じられる。試しに、まず覚えられない曲名の“S950tx16wasr10”を僕は5歳の娘に聴かせることにした。反応は予想通りで、AFXの最高作のひとつ、“Girl/Boy Song”の系譜の小刻みなブレイクビートに合わせて彼女は身体をガタガタと震わせた。サブベースが部屋に響くなかで、「ヘンな音楽ー」と感想をもらしたが、良かった、そう言われなければAFXではないのである。

 とはいえ、オリジナル・アルバムでは最後の曲になる“Aisatsana”は、クラスター&イーノ/レデリアスのソロ作品並みにロマンティックな曲だ。彼にとっては異例とも言える、とても真っ当なピアノの独奏によるアンビエントで、13年ぶりの新作を締めるには充分なほど美しい曲である。

 ひとつ種明かしをすれば、あわててスペシャル・リクエストのアルバムをレヴューしたのも、音楽的に『サイロ』と重なるところが多々感じられたからである。『Selected Ambient Works 85-92』(92)がそうだったように『サイロ』も時代と切り離される作品ではない……なんて書きながらも、ここしばらくのあいだAFXばかり聴いていたのですっかり洗脳されてしまったですよ。まずいよなぁ……。

 10月はエレキング月間! いや、正確にはフライング・ロータスを表紙に据えた『別冊ele-king プログレッシヴ・ジャズ 進化するソウル──フライング・ロータスとジャズの現在地』が発売となる9月30日がその皮切りとなります。10月15日には『ele-king』の新刊(エイフェックス・ツイン号!)が登場。そう、10月は“別冊”と“最新号”が揃う特別な月なのです。そして久々のele-king TVも企画進行中。毎度のことながらどちらの内容もウェブでは読めないのですが、お見せできないのがほんとにもったいなくてたまらない……という記事が目白押し。ぜひご購読くださいね!

 では本日は「別冊ele-king」のお知らせから!

■別冊ele-king プログレッシヴ・ジャズ
進化するソウル──フライング・ロータスとジャズの現在地


別冊ele-king
『プログレッシヴ・ジャズ』

Tower HMV Amazon

監修:松村正人
価格:本体 1,700円+税
仕様:152ページ、菊判
ISBN:978-4-907276-20-1
発売日:2014年9月30日

ele-king 別冊第一弾!
ジャズはどこまでジャズか?
ソウル~R&B、ヒップホップ、インディ・ロック、音響、即興、世界と日本、あるいは90年代とゼロ年代に2010年代……いま考えるべきジャズの命題を網羅し、ジャズを逆照射する、一冊まるごとの「ジャズ」号が登場。

●新譜を控えたフライング・ロータスの最新ロング・インタヴュー
●ディスクガイド、ブックガイド100
●FLYING LOTUS、SANABAGUN、Thundercat、Robert Glasper、菊地成孔、SUN RA、スガダイロー、Elizabeth Shepherd、Daniel Crawford、市野元彦×藤原大輔×田中徳崇、大島輝之×大谷能生、中尾勘二×牧野琢磨

 いま欧米のストリートで、ダンス・カルチャーで、エレクトロニック・ミュージックのシーンで、もっともクールなトレンドが「ジャズ」。ロンドンのレコード店に入れば大音量で「ジャズ」が鳴り、ラジオをつければジャズが流れる。DJカルチャーはジャズを堀り、インディ・リスナーはアヴァンギャルドを探求する。テクノにもダブステップにもヒップホップにもジャズが大量に注がれはじめている。
 周知のように、ロバート・グラスパーのグラミー賞受賞をきっかけに、ソウル~R&B~ヒップホップのなかでジャズが再解釈されている。が、現在の「ジャズ」には、さらにもっと自由な風が吹いている!

 プログレッシヴ・ロックのアフリカ・ヴァージョンとも呼べるジャズの新局面。シュギー・オーティスの流れを引く俗称「プログ&B」(プログレ+R&Bの略)。デトロイト新世代のカイル・ホールがうながすブロークン・ビーツ・リヴァイヴァル、サン・ラー生誕100周年で再燃するコズミック・ジャズ、デレク・ベイリー再評価のなか広がるアヴァンギャルドへの情熱、そして大友良英の上昇、シカゴ音響派の再評価、ワールド・ミュージックとしてのジャズ、吉田ヨウヘイgroupやサナバガンなど日本の新世代に見るジャズへの偏愛……。
 活況あるジャズの現状を分類しながら、新旧交えて「いま聴くべき」ディスク・カタログ100枚も収録。
 表紙&カバーストーリーは、近々待望の新作リリースが噂されるフライング・ロータス!


Marian McLaughlin - ele-king

 『dérive』と名づけられた美しい(アシッド・)フォーク・アルバム── 「dérive」とは英語で「drift」、漂流の意である。シンプルな弾き語りを基本スタイルとし、スペースのある音づくりのなされた本作には、たしかに身ひとつで漂白するような自由さを感じる。ただし、このタイトルはギー・ドゥボールの「漂流」から採られたということだから、ニュアンスとしては気ままな放浪というのとはすこしちがうようだ。おそらくは能動的に何かを見つけ、動き、展いていくためのひとつの方法、活動、もしくは実験というような意図があるのだろう。だから自由といってもただ束縛がないという状態のことではない。『dérive』には、なにかが生まれる前のような柔軟なエネルギーがたっぷりとふくまれている。そう、このジャケットの写真のように。

 ボルチモアで活動する女性ギタリスト/シンガーソングライター、マリアン・マクラフリン。クラシック・ギターを修め、現在はミュージシャンや詩人や画家などさまざまなアーティストたち集うコミュニティ・スペースで暮らし、音楽活動を行っている。アーティスト同士の共同生活を行ったり「漂流」の概念を引いていたりするからといって、ことさら政治性や運動性を帯びていたりするわけではない。ニック・ドレイクと比較されたりもしているが、どこかブリティッシュ・トラッドな雰囲気の旋律とアレンジには森と霧の匂いがあるし、それに誘い込まれるようにして幻想的な景が広がりさえもする。ときおり感じられるバロック風も、フリーフォークを通過した感性のなかで、一種独特のサイケデリアを築いている。よく聴けばテクニカルなのだろうけれど、なにか太い感覚やイメージの帯のようなものがあり、それにひきずられてぐいぐいと聴いてしまうというところが素晴らしい。
 “ホース”などバンドがバックをささえる曲でも、あくまでマクラフリンの単独の世界はくずれずに、録音のライヴ感とは裏腹に、まるで宅録のごとき趣がある。そしてそのすべてが彼女のギターによって先導される。彼女のアートの芯のようなものに火を点す楽器として、ギターはまるで生き物かなにかのようにふるまう。ギターはマクラフリンにとって、イメージをぶつけ、それを描きこむためのキャンバスのようなものだというが、ただ黙っているキャンバスではない。彼女にたいしてもきっとギターからの応答があるのだろう。そんなふうに、どこかしらにひっそりと生けるものの息吹がまつわりつくようなところも、フリーフォークと呼ばれたアーティストたちの幾人かを思い出させる。マクラフリン自身も特定のものからインスパイアされるわけではないとしながら、ジョアンナ・ニューサムやラーキン・グリムの名を挙げている。もちろん、そこには同時にニック・ドレイクやペンタングルの名も並ぶ。組み立てるのではなく弾き、歌い、イメージに流されることなくそれを操る技量を持つ──シンガーソングライターとして、ギタリストとして、そのどちらの強さも持ち合わせた本当に自由なアーティストだ。

interview with SBTRKT - ele-king


SBTRKT
Wonder Where We Land

Young Turks / ホステス

ElectroUK GarageDubstep

Tower HMV Amazon iTunes

 サブトラクトのライヴが好きだ。ラップ・トップの前に立ってシーケンサーをいじっているだけで「ライヴ」が成立してしまう今日この頃だが、サブトラクトはちがう。モジュラー・シンセを操り、キーボードを弾き、ドラムでグルーヴをする。しかもライヴが中盤にさしかかる頃には、自分自身から自分を「引き算(サブトラクト)」するためのマスクがズレてしまうほどの熱量だ。デジタル機材の助けももちろんあるのだが、やはり人間、体を動かしまくって汗をかいてなんぼのものである。

 2011年のファースト・アルバム『サブトラクト』をリリースしたあと、仮面の主はシンガーのサンファとともに世界を飛び回っていた(日本ではときにサブちゃんと呼ばれた)。ガラージやUKファンキー的な曲だけではなく、ナイーヴに響く“ホールド・オン”や“ネヴァー・ネヴァー”までもがフロアからダンスと歌声を生み出す原動力になるとは、おそらくサブトラクト自身も想像していなかっただろう。本名のアーロン・ジェイムズ名義では綺麗めなアシッド・ジャズを作っていたわけだが、巧妙な引き算と足し算によってそんなキャリアを微塵も感じさせないアーティスト像をサブトラクトは導き出した。

 ミュージシャンからの信望も厚くなり、リル・シルヴァにリミックスをされたり、レディオヘッドをリミックスしたりと人気プロデューサーになった彼だが、それももう2年前のこと。それだけに新作を待ちわびていたファンにとって『ワンダー・ウェアー・ウィ・ランド』のリリースはうれしい知らせだった。ノンビートにベースが放たれる冒頭、ライヴ修行で培われた生ドラムのリズム、ラップがフロウし、歌とピアノのシンプルな曲が差し込まれる──富みに富んだヴァリエーションをともなって、アルバムは展開していく。なにせ、サブトラクトの指揮下でウォーペイントとエイサップ・ファーグがコラボするサプライズまであるのだ。プレイヤーとしても、プロデューサーとしてもサブトラクトは輝かしい「足し算」に成功してしまったようだ(最新のライヴ映像を見たらステージには4人いました)。
 前作から3年経つので、本誌への登場も久しぶり。先日はフジロックで来日し、これからUK、ヨーロッパ、アメリカを巡る予定の忙しいサブちゃん(リスペクトを込めて)に「どこに着地する」のかを訊いてみた。

SBTRKT
UKを拠点に活躍するプロデューサー。
アルバム・デビュー前から、レディオヘッド、ベースメント・ジャックス、M.I.A、アンダーワールド、ゴリラズにリミックスを提供。2011年のデビュー・アルバム『サブトラクト』のヒット後は活躍もワールドワイドに広がり、〈フジロック〉への出演など、数度にわたる来日によって国内においても人気と注目を集めている。


自分の音楽はどこかに属す感じじゃない。それが正にサブトラクトでいることだよ。

2011年に『SBTRKT』をリリースしてから、あなたはツアーにとても力を入れていましたね。日本にも今年のフジロックを含めて4回も来日しています。ツアーを通して音楽的な変化はありましたか?

サブトラクト(SBTRKT 以下、S):変化はあったと思う。いろんな国に行くことで、音楽的な境界線も広がったことはやっぱり否めないね。家にいてずっとPCに向かって作業したり、インターネットでいろいろ調べるっていう環境から、実際に自分の目で違う世界を見るっていう環境は大きな変化だった。それから、いろんな土地でライヴをやって、その場所ごとに曲の尺やアレンジを変えてみたりして、みんなのリアクションを見るのもすごく勉強になった。

2011年にわたしはイギリスであなたのライヴを見ています。フレンドリー・ファイアーズといっしょにヨーロッパを巡っていたのが印象的でした。彼らの活動にはシンパシーを感じますか?

S:おかしなことに、いっしょにツアーに出るまでは彼らのことをじつはあまりよく知らなかったんだ。彼らの音楽を聴いて、ライヴを観て、本当に衝撃だったよ。ライヴに関していうと、すごく自分にとってもインスピレーションを受ける体験だった。とくに彼らは、ライヴ・ミュージックとエレクトロニックが混ざったサウンドだから、ああいう素晴らしいライヴができることにすごく動かされた。自分自身もいつもライヴに関して野心はあったしいろいろ追求していたけど、彼らのライヴを観て自分ももっと実験したくなったよ。いちばん勉強になったのは、ステージに出てただ楽器を鳴らしてるだけじゃダメなんだってこと。ステージに出たらオーディエンスに何かを与えることが大切だってことを教わったね。

あなたの曲は多くのDJたちからサポートされています。ここ日本では、あなたがリトル・ドラゴンのユキミ・ナガノとコラボレーションした“ワイルドファイヤー”がトラップなどのベース・ミュージックのパーティでかかることもあります。自身の曲はどんなジャンルのDJにサポートされていると思いますか?

S:これは、答えるのが難しいね(笑)。僕の曲をかけてくれる人は、これといったジャンルがない人たちな気がするよ。アルバムの中にいろんな曲があるから、幅広く受け入れられている気がする。たとえば、“ワイルドファイヤー”なんかはクラブDJとかヒップホップやダブステップが好きなDJにピックアップされそうだし、“ホールド・オン”はもうちょっとちがうジャンルのDJが、スローモーション・ディスコが流行っているヨーロッパのクラブとかでかかってるイメージ。
 この観点で観ると、今作はさらに幅が広まった気がする。“ワイルドファイヤー”が好きだった層にはど真ん中な作品でもない気がしているんだ。好きな人は好きだろうけど、新しい領域に行ったって感じているよ。ただ、アルバムの中には“ワイルドファイヤー”が好きな層に刺さる曲もある。アルバムの曲ごとに好みのリスナーがいるように、DJに関しても幅広く好みが分かれると思うんだよね。自分の音楽はどこかに属す感じじゃない。それが正にサブトラクトでいることだよ。

2011年の来日時にあなたは〈DOMMUNE〉でDJを披露し、ラップトップでエイブルトンを使ったスタイルは反響を呼びました。自分のDJについてどう思いますか?

S:2012年のツアーが終わった頃はけっこうDJをしてたよ。自分の新しい音源を試してみたりする場にもなるしね。でも生演奏のライヴをやりはじめてから、すごく自分が満たされることに気づいたんだよ。DJをしていた頃は、エイブルトンとかの機材でどこまで追求できるかっていう精神ではやっていたけどやっぱり限界がある。もちろん生演奏のライヴも限界はあるんだけど、領域はDJの可能性よりも10倍ある気がするんだ。観ている人たちのリアクションって自分次第だと思うんだよね。自分が何もやらなければオーディエンスもリアクションしないだろうし、自分が与えれば与えるほど観ている側もそれに返してくれると思うんだよね。もちろんDJでもそれをオーディエンスに与えられると思うんだけど、ライヴだともっといろいろできるから、いまの自分の情熱は確実にライヴにある。そういえば、DJをやっていた頃は、エイブルトンでもう新たなことができなくなってきたら最後の方はトラクターに変えていろいろ冒険してたなぁ。

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僕は曲を書くときはヒットソングを生み出すっていうより、その瞬間を音で生み出しているって思っている。


SBTRKT
Wonder Where We Land

Young Turks / ホステス

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今回のアルバム『ワンダー・ウェアー・ウィ・ランド』を最初に聴いたときに、前作よりも生楽器の音が多く使われている印象を受けました。これらはご自身で演奏しているのですか?

S:今回のアルバムはたしかにあまりプログラミングの音っていうのはない作品になっているね。ドラムも生だし、いろんなサウンド・エフェクトもスタジオにある楽器から録った音が多い。その瞬間に誕生した、よりオーガニックな楽曲を作りたかったんだよね。べつにもともとめちゃくちゃアナログな作品を作ろうって決め込んでいたわけではない。プログラミングのサウンドがあったからこそ、いまの自分があるからね。でもやっぱりシンセとかで音を出す方が、コンピューターで音をプログラミングするよりもロマンを感じたんだ。だから以前の作品よりもサウンドとかテクスチャーがちがっている。

前作にくらべてR&B色が強くなったのはなぜですか?

S:とくに意識はしてなかったなぁ。ただ、一つ意識的にやったのは、ハウスっぽい要素にならないようにはしたかなぁ。前作と比べたらテンポ感も変わったから、そこもそう感じる一つの要素かもしれないね。

“ヴォイセズ・イン・マイ・ヘッド”はウォーペイントの演奏に合わせてエイサップ・ファーグがラップをするというユニークな構成でした。まるで自分自身のバンドを結成したようですね。今回、コラボレーションにもとても力を入れていますがなぜでしょうか?

S:そうだね。ここがいちばん難しい部分でもあるんだ。自分に合うコラボレーターを見つけるのは、そもそもそんなにも簡単なことではないからね。自分のヴィジョンを満たしてくれる人ってそんなにもすぐに見つかるものではないから。もちろん素晴らしいアーティストは溢れているし、光栄なことにいっしょにやりたいって言って来てくれる人もたくさんいるんだけど、自分のコンセプトに完全にマッチする人を見つけるとなると本当に難しい。“ワイルドファイヤー”が人気になった途端、有名無名に関わらず、50くらいのアーティストにコラボレーションを持ちかけられたんだよね。でも僕のスタンスとしては、オファーのあったヴォーカリストに合った曲を書くっていうスタンスではない。ローリーなんてアルバムができる数ヶ月前にようやく出会った逸材だし、タイミングもすごく重要だなぁって思う。自分を追い込んでプレッシャーを与えてしまうと、ぜんぜんいいものにならないしね。
 だから、メジャー・レーベルのように期限が設けられて、決められた法則でヒットソングを書いて歌詞の方向性も決められて……っていうやり方は絶対に自分にはできない。僕は曲を書くときはヒットソングを生み出すっていうより、その瞬間を音で生み出しているって思っている。前作も今作も含め、自分のコラボレーションにはすごく満足が行っているし、いいコラボレーションができているって思っているよ。

今作にもサンファが参加しライヴもいっしょにやっています。“イフ・イット・ハップンズ”はピアノと彼の歌のみの構成で、サンファの歌唱力に対する信頼感が感じられます。現在の彼をどう評価しますか?

S:サンファは音楽をいっしょに作っててすごく楽しい相手だよ! じつは今回、彼は演奏をまったくしなかったんだよね。ピアノも全部僕なんだ。でも彼とは本当に息が合っているから、僕が何か音を出せば彼がそれに歌を合わせるという作業が普通にできるんだよね。その逆もあったりするよ。彼にメロディ・アイディアが浮かんだら、僕もそのキーにあった演奏を考えてみたり。そういう自由度のある作業がいっしょにできる関係ってすごく貴重だと思ってるよ。何かのフォーマットや手法に沿ってやるわけではなく、セッションから音楽が作り上げられることに幸せを感じるんだ。

“デイ1”や“デイ5”といった曲名やデザインに使われている世界地図から、テーマに「移動」や「旅」を感じました。そういったコンセプトが今作にはあるのでしょうか?

S:そうだね。少しあったかな。今回、僕にとって大切だったのが、自由に音楽が作れるフォーマットを作ることだった。ツアーとかでいろんな場所に回って世界を見る「旅」という意味ではなくて、いろんな国に自分がコラボレーションしたいアーティストがいたり、レコーディングしてみたいスタジオがあったり……、そういう意味での「旅」なんだ。それと、アルバムを作りはじめた島の影響は大きかったと思う。いつも生活している土地とはちがう不思議な環境に行くことで、なんか「場所」っていう感覚に特別な気持ちが芽生えた感じがした。

ジャケットの動物があなたのマスクを被っている理由はなんですか?

S:そもそもSBTRKTのマスクの意味は、自分(人物)と音楽(音)をかけ離して考えたかったからなんだ。音楽っていうのを自分の日常生活と離して見てほしかった。でも今作は前作と比べたらもう少し日常的になってる気もするかなぁ。今回の動物は、メキシコの神秘的な動物の木造を見て、それに影響を受けて動物を使いたくなったんだ。その神秘にすごく魅了されたんだよね。そのメキシコの動物の木造たちは謎がいっぱいで、とても神秘的な感じで、そこに自分とのシナジーを感じたんだよね。そのアイコンに自分のアイデンティティを残したかったから、マスクを被せた。

ヴァンパイア・ウィークエンドのエズラ・コーエンが参加した“ニュー・ドロップ. ニューヨーク”は彼らしいユーモアがタイトルや歌にも表れた曲ですね。彼にはどういうリクエストをしたのでしょうか?

S:いっしょにスタジオに入ったのは一日だけだったんだけど、その中でいっしょにセッションを行った。そのときにエズラが昔ラップを書いてみたことがあるっていう話をしてくれて、その時にニューヨークがテーマになった歌詞のアイディアが思いついたみたいで、そのアイディアをシェアしてくれたんだ。それを元に僕も音楽のアイディアを出して、彼もメロディのアイディアを出して、すごく自然なプロセスを進めていたらああいう曲になったんだよね。

今後、マスクを外すことはありますか?

S:外す必要性はないかな。だけどアートワークとかも含めて、アーティストとしての演出って音楽で変わるものだよね。そのときどきの音楽によってそういう部分も変化していくものだとも思っているよ。

interview with Diamond Version - ele-king


Diamond Version
CI

Mute/p*dis

Minimal TechnoExperimental

p*dis online shop

 今年で設立15周年を迎えたドイツの電子音響レーベル〈ラスター・ノートン〉。美しくもエッジの効いたミニマリズムを基調に、抜群のアイデアと最先端のテクノロジーを融合させた活動は、いまも変わらず現代エクスペリメンタル・ミュージックのひとつの指針であり、それを指向するもの皆の憧れの的である。そんな〈ラスター・ノートン〉を主宰する旧東ドイツ出身のふたり、ミュージシャン/ヴィジュアル・アーティストのカールステン・ニコライ(アルヴァ・ノト)と、ミュージシャン/デザイナーのオラフ・ベンダー(バイトーン)によるユニットがダイアモンド・ヴァージョンである。

 さて、2012年に活動を開始したこのダイアモンド・ヴァージョンだが、何やら動機がものものしい。というか、たのもしい。何でも「ブランド・スローガンや派手な広告、そして滑稽なPRなどのマーケティング合戦の時代に対する反撃」を目的としているというから、元来の〈ラスター・ノートン〉の色からするとじつにお行儀が悪く、また、要所に差しこまれる大味なシンセのメロディや音色など、これまでのふたりの活動には見られなかった下世話さも加味されていて大いに信頼できる(リリースが自身の〈ラスター・ノートン〉からではなく、老舗〈ミュート〉からというのも納得だ!)。これを「ポップ化」と解釈するとじつに収まりが良いのだが、彼らの「ポップ」は一筋縄ではいかない。ミクロレベルにまで細分化された非楽音によるグリッチ&リズムから、織り重なるレイヤーが無限のパターンを作り出す「ずれ美」によるモアレ&ドローンを経て、2000年代後半あたりからメッセージ性を強く含む、重く軋んだインダストリアルなビートが顕著になってきたカールステンたち。そんな彼らが変換する「ポップ」は、じつに論理的で構造的で、さらにすこぶる批評的で……知らず知らずのうちにマーケティング合戦に侵されて、もはや機械化してしまっているわたしたちの認識・判断・行動の装いに鋭いメスを入れ、誇大妄想にさらされたハリボテのような世界の内実をあらわにしてくれる。

 また、彼らのリリース形態も戦略的で、活動開始当初から「EP5枚を発表した後にアルバムをリリースする」と宣言していたが、その言葉どおり、今年いよいよアルバム『CI』をリリースした。モデルでポエトリー・シンガーでもあるレスリー・ウィナー、ペット・ショップ・ボーイズのニール・テナント、〈ラスター・ノートン〉初の女性アーティストとしても話題のベルリン在住の日本人トラックメイカー、Kyokaらのヴォーカル(ラップ?)をフィーチャリングするほか、ライヴでは何度も共演済みのオプトロン奏者・伊藤篤宏も参加という、理路整然としながらもとても肉体的で、実験的というよりもどこか開放的でにぎやかな内容になっている。
 そして、昨年の〈TAICO CLUB'13〉と〈EMAF TOKYO 2013〉出演に伴うジャパン・ツアーに続いて、早くも3度目の来日が決定しているダイアモンド・ヴァージョン。しかも、今回はエンプティセット、Kyoka、まもなく〈ラスター・ノートン〉よりEPをリリースするUENO MASAAKIらも帯同するレーベル・ツアーというから、期待は高まるばかりだ。
 広告文句が垂れ流す──わたしたちのより良い生活を約束する──企業スローガンなんてまったくもって絵空事にしか聞こえないが、ダイアモンド・ヴァージョンが視覚と聴覚を越えて繰り出すハードでダンサブルなテクノロジー攻撃は(一見、無機質で非感情的に見えるが)、間違いなく、わたしたちがより豊かにより人間らしく生き抜くためのひらめきを与えてくれる。

パンク・ロックやインダストリアルの影響はずっとありましたよ。そもそも、私たちは消費社会非難を表現したいんではなく、グローバル化された経済界と私たちの関係性をより強く反映させたいんです。

ダイアモンド・ヴァージョン(以下、DV)のなかで、カールステンさんとオラフさんの明確な役割分担などはあるのですか?

DV:それぞれの具体的な役割分担はありません。すべてのトラックとヴィジュアルを共同作業で行うようにしています。もちろん、それぞれ特定のことにはっきりとしたフォーカスを向けていますが、トラックやヴィジュアルなど、メインの仕事は常にふたりで作業していますよ。

2012年の結成当初から「EPを5枚リリースした後にアルバムを発表する」と宣言されていましたね。ひとつひとつ段階を踏むことにより、私たちリスナーはDVが最終形に向かって「自己生成」していくプロセスを楽しめるように感じました。このようなリリース形態にした意図を教えてください。

DV:そうです。5枚のEPのレコーディングは過程であり、私たちはリスナーにそれを共有してほしいと思いました。すべてのレコーディングが終わるまでにほぼ1年かかり、5枚めのEPがどんなサウンドになるのか、あまりはっきりしていませんでした。私たちはプロジェクトがどのように成長し、どのような方向に発展するのかを見てみたかったんです。これは、DVをオープンな状態にしておくために非常に重要なことでした。

5枚のEPとアルバム『CI』を通して、すべての曲にフックがあり、さまざまな側面をもちながらも統一感のある内容になっていますね。ふたりの間でコンセプト作り、曲作りはどのように行われるのですか?

DV:私たちにとってDVは、違った形の音楽を実験する場所なんです。自分たちのソロ作品とあまり近くない、別のスタイルに関わってみたかったんです。これに挑戦するために作品のモードを多様化させたり変化させたりしてみました。また、ファイル・シェアリング、同時進行レコーディングからライヴ・セッションまで、これまでのコラボレーションとは異なる方法も試してみました。最初にたくさんのスケッチを作り集めて、どのアイデアやトラックが好きか、どれを精巧に作り上げていくか、などはいつも後で決めています。また、アイデアのひとつにヴォーカルとのコラボレーションを除外しないというのがあったんで、私たちは歌詞の内容になるようなトピックや可能性のあるアイデアについて話し合いました。それが、私たちに広告の世界やメディア・カルチャーのすべての形に関心を持たせたんです。私たちは避けようとしても毎日スローガンにさらされています。だから、企業スローガンはレコーディングのアイデアのキーエレメントになりました。

あなたたちが鳴らす音の核をじっくり聴くと、キックの位置からスネアのタイミングひとつにしてもはっきりとした意思があり、意味をもたせているのを感じます。その姿勢、社会に対する強烈な批評性には電子音楽がもつ冷たさというよりも、パンク/ハードコアがもつパワーとエネルギーを感じます。あなたたちのルーツにパンク/ハードコアはあったりするのですか?

DV:はい、パンク・ロックやインダストリアルの影響はずっとありましたよ。私たちのソロ作品ではこのルーツを常に消している一面もありますが、DVはこの古いルーツに再び関わる正しい時期だと判断しました。そもそも、私たちは消費社会非難を表現したいんではなく、グローバル化された経済界と私たちの関係性をより強く反映させたいんです。あなたがどのくらいの割合でこのシステムの一部として構成されているのか、という答えを見つけようとしているんです。ここにパンクとの繋がりは見えますが、私たちはこのシステムのなかで、私たちみんなが演じる二重の役割を非常に意識しています。

アルバム『CI』では、レスリー・ウィナー、ニール・テナント、Kyokaら一筋縄ではいかないヴォーカルをフィーチャリングし、革新的な音を使用しつつも大衆に訴えるポピュラリティを獲得していることに驚きました。最初からヴォーカルを入れようと決めていたのですか?

DV:はい、それもアイデアのひとつでしたよ。私たちはアーティスティックな方向をとり、過去には戻りたくありませんでした。レコーディングだけではなく、ライヴ・パフォーマンスもできるようなコラボレーションを試みようと、はっきりと考えていました。そこで、私たちの音楽スタイルからできるだけ遠い人たちで、可能性のあるコラボレーターの名前をリストアップしていきました。私たちは単に衝突のようなものを引き起こしたのですが、この衝突は私たちの音楽制作の古いパターンすべてを無くすためにとても重要だったんです。

なかでも、とくにレスリー・ウィナーの参加には驚かされました。レスリー・ウィナーといえばブランドの広告塔ともいえる元スーパーモデルであり、80年代にはDVが攻撃の対象とする「ブランド・スローガンや広告の嵐、滑稽なPRなどのマーケティング合戦」の最前線にいた女性だと思うのですが……。彼女に参加してもらった経緯は?

DV:これは有名なシンガーとのコラボレーションというアイデアだけではなく、私たちがファッション世界のアイコンを探していたからなんです。コラボレーターをモデルやファッション業界から探していたところ、友人がレスリーを推薦してくれました。彼女の過去の背景だけでなく、音楽とファッションにおける役割としても完璧な選択でしたし、もちろん、レスリーのユニークな声と私たちのサウンドの相性がとても良かったんです。

レスリー・ウィナー、ニール・テナント、Kyokaら3人のヴォーカリストにどんなことを求めましたか。また彼女たちがDVにもたらしたものは?

DV:DVでは私たちの過去のプロジェクトを壊し、コントラストや緊張を生み出すために、すべてのコラボレーションに対して可能なレベルでオープンでいるというメインのアイデアがあります。だから伊東篤宏、レスリー、ニール、Kyokaたちとのコラボレーションは非常にうれしいことでした。私たちは〈ラスター・ノートン〉のアルヴァ・ノトとバイトーンのアルバムを生み出したかったんではなくて、いつもの道から離れて新しい空間に自分たちを置いてみたかったんです。これはとても挑戦的なアイデアでした。時々、アーティストは新しいものに挑戦するために困難な道を選ぶんです。

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DVのコンセプトは「アンチ・ラスター・ノートン」だったので、〈ミュート〉は正しい場所かもしれないと感じました。また、私たちには常にアーティストとレーベルオーナーの2つの役割があるんで、この役割を無くし、ただレーベルのアーティストになりたいと思ったんです。

2009年にふたりにインタヴューさせていただいたとき、カールステンさんが「ポップ・ミュージックを変換させたものが将来的な音楽像になるのでは」とおっしゃっていたのがとても印象的でした。まさにDVがそれを体現しているように思います。今もその意見は変わらないですか?

DV:はい。私たちはポップとの関わりを除外したくないと思っていました。実際にこのアイデアの変形をペット・ショップ・ボーイズのニール・テナントとのコラボレーションという選択で提案してみました。

DVの作品は自身のレーベル〈ラスター・ノートン〉ではなく、エレクトリック・ミュージックの老舗〈ミュート〉からのリリースとなっていますね。その経緯を教えてください。

DV:レコーディングをはじめたとき、ダニエル・ミラーに〈ミュート〉からアルバムをリリースしないかとオファーされました。DVのコンセプトは「アンチ・ラスター・ノートン」だったので、〈ミュート〉は正しい場所かもしれないと感じました。また、私たちには常にアーティストとレーベルオーナーのふたつの役割があるんで、この役割を無くし、ただレーベルのアーティストになりたいと思ったんです。

若かりし頃に〈ミュート〉に対する思い入れはありましたか?

DV:もちろん! ファド・ガジェッド、 デペッシュ・モード、アインシュテュルツェンデ・ノイバウテン、ライバッハ、スロッビング・グリッスル、ニック・ケイヴなどにはじまり、すべての〈ミュート〉の音楽を聴いています。80年代の中頃は〈ミュート〉をぴったりと追いかけていましたよ。

あなたたちは旧東ドイツ出身ですが、政府による検閲が厳しかった東ドイツ時代に、西側諸国の音楽を自由に耳にすることはできたのですか?

DV:この時期はとても制限されていましたが、私たちは簡単には手に入らない色々な種類の音楽に興味がありました。アンダーグラウンド・ミュージックを聴くことは、私たちにとってとても重要だったんです。ポップ・ミュージックに興味は無く、いつもとても変な音楽を探していました。それを手に入れるためにテープを作ったりレコード交換をしていましたよ。

東ドイツ出身のアーティストで、あなたたちに影響を与えた人がいれば教えてください。

DV:ロックやポップ・ミュージックのジャンルではあまり面白いと思うものはありませんでした。私たちは当時のフリー・ジャズやハプニングなどの芸術運動により大きな興味を持っていて、そのシーンをアーティスティックだと感じていました。大きな影響力のあるバンドは東ドイツにはあまりいなかったんで、私たちは外国の音楽により興味を持っていました。

DVの宣戦布告ともいえる、さまざまな企業の経営理念が次々と無機質に通り過ぎる“Mission Statement”の映像も衝撃的でしたが、女性モデルが登場するコスメティックCMのような“Live Young”、土着的な映像がリズミカルにカットアップされる“Make Believe”など、これまでのあなたたちのイメージを覆す、生身の人間が登場する映像もさらに刺激的でした。DVにおけるヴィジュアル/イメージの取り扱い方について教えてください。

DV:ここではファッション、企業、美、生活様式など、私たちが常にさらされている固定観念──広告のなかの幸福で美しい世界──の上に、トラックの内容を構築するアイデアを見ることができます。あの"Mission Statement"のスローガンがとても過激に聞こえるのは、たんに企業の誇大妄想の結果です。私たちではなく、企業自身がこれらの恐ろしい概念の世界を作り出しているんです。

〈ラスター・ノートン〉の設立当初は、アーティストがレーベルのコンセプトに合わせている印象が強かったのですが、最近ではアーティストの個性が前に出て、逆にレーベルカラーを更新しているように感じます。〈ラスター・ノートン〉設立から15年経ったいまの心境を教えてください。

DV:何年か前から、それぞれのアーティストの個人的なアイデンティティをより打ち出すようにしています。その結果のひとつとして、現在レーベルはよりアーティスティックな多様性を持つようになりました。これはとても意識的なステップでしたね。

〈ラスター・ノートン〉は、グリッチ&リズム〜モアレ&ドローンを経て、2008年のアルヴァ・ノト『Unitxt』、バイトーン『Death of a Typographer』あたりから強いメッセージ性が表面に出てきて、ハードでインダストリアルな方向に向かっているような気がしています。最近、電子音楽界に蔓延しているポスト・インダストリアル的なムードについてどう思いますか?

DV:私たちにとってスタイルはあまり重要ではないんで、次にどうなるのかという質問には答えたくありません。私たちはアーティストにホームを与え、現時点での彼らのそれぞれの方法を信じなければいけません。ジャンルの定義ではなく、個々のクオリティがより重要なんです。私たちはふたつの言葉で言い表せる音楽レーベルにはなりたくないですし、過去、現在、そして、未来のエレクトロニック・ミュージックを反映したいと思っています。

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あの"Mission Statement"のスローガンがとても過激に聞こえるのは、たんに企業の誇大妄想の結果です。私たちではなく、企業自身がこれらの恐ろしい概念の世界を作り出しているんです。

今回〈ラスター・ノートン〉ツアーで大阪、京都、東京を回られますが、ずばり今回のツアーの見どころを教えてください。

DV:日本のフェイヴァリットなクラブのひとつでもあるメトロや、ひさびさにプレイするUNITで、エンプティセット、Kyoka、Ueno Masaakiらと一緒に大きな〈ラスター・ノートン〉ナイトを作り出します。今回はエンプティセットの初来日となるので、これはみんなにとって本当にプレミアですよ!

カールステンさんは、坂本龍一、池田亮司らとのコラボレーションのほか、2002年にワタリウム美術館で開催された『カールステン・ニコライ展』、『横浜トリエンナーレ2011』でのインスタレーション、現在開催中の『札幌国際芸術祭2014』にも映像作品を展示されるなど、日本にもずいぶんと馴染みがあるかと思います。新たに日本で体験したいこと、挑戦したいことなどありますか?

DV:日本はいつも私にインスピレーションを与えてくれる重要な場所です。また、私たちの作品を受け入れてくれてることにとても感謝しています。これがたくさんの自分の作品を日本で最初に見せている理由です。現在は、芸術と音楽の作品両方を結合させたパフォーマティブ・インスタレーションのような、もっと没入型のインスタレーションに集中したいと思っています。

DVの今後の展望をお聞かせください。

DV:DVは可能な限りオープンなプロジェクトとして続けていく予定です。変わったコラボレーション、メディア・フォーマット、パフォーマンスができるさまざまな場所を探したり、通常のツアーバンドのようにならないために、大きなフェスティバルから小さなクラブまで、すぐに対応できる異なるセットアップを発展させていきますよ。

【RASTER-NOTON JAPAN TOUR 2014】

電子音楽レーベルの最高峰、ドイツのRASTER-NOTONが3年振りとなるジャパンツアーを大阪、京都、東京の3都市で開催!

今年6月に待望の1stアルバムをリリースしたRASTER-NOTONのツートップAlva NotoとByetoneのユニット<Diamond Version>をはじめ、初来日となるブリストルの実験インダストリアル・デュオ『Emptyset』、レーベル紅一点のスウィート・カオス・クリエーター『Kyoka』、そして9月にRASTER-NOTONよりEPをリリースする期待の才能『Ueno Masaaki』ら4組がツアーに帯同。また、京都と東京ではAlva NotoとByetoneによる『DJ Alpha & Beta』のDJセットも行われます。絶対にお見逃し無く!!

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【大阪公演】

Date:2014年10月2日 (木)
Venue : 大阪 CONPASS
(大阪市中央区東心斎橋1-12-20 心斎橋ダイワビルB1F)
Time:OPEN 18:30 / START 19:00
Ticket:前売 3000円 / 当日 3500円

LIVE:Diamond Version / Emptyset / Kyoka / Ueno Masaaki

Information: CONPASS (06-6243-1666)

Ticket Info:
ローソンチケット (TEL 0570-084-005): [ Lコード 54122]
チケットぴあ(TEL 0570-02-9999):[ Pコード243-732]
e+

【京都公演】

Date:2014年10月3日 (金)
Venue : 京都 METRO
(京都市左京区川端丸太町下ル下堤町82 恵美須ビルBF)
Time:OPEN / START 22:00
Ticket:前売 3000円 / 当日 3500円

Live : Diamond Version / Emptyset / Kyoka / Ueno Masaaki / Psysex

DJ : DJ Alpha & Beta (Alva Noto + Byetone) / Tsukasa / Tatsuya Shimada (night cruising)

Information: METRO (TEL 072-752-4765)

Ticket Information:
ローソンチケット(TEL 0570-084-005):[Lコード 58334]
チケットぴあ: (TEL 0570-02-9999) [ Pコード242-177]
e+

【東京公演】- UNIT 10th anniversary –

Date:2014年10月4日 (土)
Venue : 東京 UNIT
(東京都渋谷区恵比寿西2-34-17 ザ・ハウスビル)
Time:OPEN / START 24:00
Ticket:前売 3500円 / 当日 4000円

Live : Diamond Version / Emptyset / Kyoka / Ueno Masaaki

DJ : DJ Alpha & Beta (Alva Noto + Byetone)

Information : UNIT(TEL 03-5459-8630)

Ticket Information:
e+
ローソンチケット (TEL 0570-084-005): [Lコード 73883]
diskunion 渋谷/新宿/下北沢 Club Music Shop, diskunion 吉祥寺,
DISC SHOP ZERO, JET SET TOKYO, TECHNIQUE, UNIT

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【Diamond Version】

90年代後半よりポスト・テクノ〜音響シーンをリードするドイツの電子音楽レーベルRaster-Notonの主宰者であるAlva Notoことカールステン・ニコライとByetoneことオラフ・ベンダーが結成したユニット、Diamond Version。これまでにイギリスの老舗レーベルMUTEより2012年〜2013年にかけて5枚の12インチ(『EP1』〜『EP5』)をリリースし、バルセロナのソナー、日本のTaicoclub、EMAFなどのフェスティバルや、デペッシュ・モードのツアーサポート公演に出演。ユニークなコンセプトと独自のポップセンスを盛り込んだアグレッシブなインダストリアル・エレクトロサウンドと刺激的なヴィジュアルがシンクロする圧倒的なライブパフォーマンスは世界中から賞賛と注目を集めている。そして2014年6月、ニール・テナント(Pet Shop Boys)、レスリー・ウィナー、Kyoka、伊東篤宏らをゲストに迎えた待望の1stアルバム『CI』をリリース。

https://www.diamondversion.info

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【Emptyset】

2005年にジェイムス・ギンズバーグとポール・ポーガスが結成したプロダクション・プロジェクト。音の物理的性質、電磁気学、建築、画像生成を駆使し、パフォーマンス、インスタレーション、映像といった幅広い分野で活動を行う。構造主義/物質主義的なアートおよびノイズ〜音楽間の領域を考察するアナログメディアの遺産的な性質を特徴とした作品を制作。これまでに、raster-notonから12インチ『Collapsed』(2012年)とフルアルバム『Recur』(2013年)を、またSubtext Recordingsから『Medium』(2012年)をリリース。ロンドンのTate BritainやThe Architecture Foundationでのインスタレーション制作を行い、CTM、Kunsthalle Zurich、Sonic Acts XIV等のフェスティバルに出演。

emptyset.org.uk

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【Kyoka】

坂本龍一のStop Rokkasho企画やchain musicへの参加、Nobuko HoriとのユニットGroopies、Minutemen/The Stoogesのマイク・ワットとのプロジェクトを行う、ベルリン〜東京を拠点に活躍するスウィート・カオス・クリエイターKyoka。これまでにベルリンのonpa)))))レーベルからの3枚のミニアルバムを発表後、Alva NotoとByetone率いるドイツのRaster-Notonからレーベル史上初の女性アーティストとして2012年に12インチ『iSH』、2014年には待望のフルアルバム『IS (Is Superpowered)』をリリースする。そのポップとエクスペリメンタルを大胆不敵に融合させた、しなやかなミニマル・グルーブは様々なメディアで高く評価され、Sonar Tokyo 2012、FREEDOMMUNE 0<ZERO>ONE THOUSAND 2013へも出演を果たす。

www.ufunfunfufu.com

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【Ueno Masaaki】

桐朋学園大学音楽学部作曲科、同研究科修了。作曲、ピアノ、指揮を学ぶ。第76回日本音楽コンクール作曲部門入選。在学中から、コシノジュンコ/伊藤五郎ファッションショーへ選曲/音源提供で参加、NHK大河ドラマ「功名が辻」のサウンドトラック及び劇中曲の指揮、宮本亜門演出「テイクフライト」に副指揮として参加するなど活動を始める。近年では、現代音楽作品やP±H名義でエレクトロニックミュージックを用いたインスタレーション作品を製作/出品し、2013年からは Ueno Masaaki / ΩPROJEKT名義で電子音響作品の発表を開始。2014年9月、ドイツのraster-notonより1st EP 『VORTICES』をリリースする。

https://oooprojekt.com/

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Photo: Szary / Modeselektor
Editing: Julija Goyd

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