「『空中キャンプ』も『ファンタズマ』もすっかり過去のものになっていく。日本、終了」(大幅に中略)「音楽だけでなく、あらゆるジャンルで日本にはクリエイターが育たず、せっかくの文化的蓄積を食いつぶしてしまったのである。そして、いまはガラパゴスを決め込み、J・ポップを聴いていれば洋楽を聴く必要はないと開き直っている。......動物化とはよく言ったかもしれない(いいものだってある。でも、それが日本で人気を集められないことはさらに深刻な事態を意味していないだろうか)」
三田格、8月2日、イヴェイドのレヴューより
そして『ファンタズマ』の作者は、9月5日に自ら手がけたリミックスを編集した『CM4』をリリースする。最初の『CM』がリリースされたのは1998年、UNKLE、マニー・マーク、バッファロー・ドーター、ザ・パステルズ、ザ・ハイ・ラマスを小山田圭吾がリミックスした音源が収録されている。『CM2』は2003年で、ブラー、ベック、クルーエル・グランドオーケストラ、ボニー・ピンク、電気グルーヴ、モビー、マニック・ストリート・プリーチャーズ、テイ・トウワ、ジ・アヴァランチーズ、スティングなど。『CM3』は2009年にリリースしている。スケッチ・ショー、坂も龍一、ジェームズ・ブラウン、クリスタル・ケイ、キング・オブ・コンヴィニエンス、ブロック・パーティ、電気グルーヴ+SDP……等々。『CM4』は、布袋寅泰、小野洋子、MGMT、相対性理論、ラリ・プナ、ビースティ-・ボーイズ、アート・リンゼー、マイア・ヒラサワ、イフ・バイ・イエス(ユカ・ホンダのユニット)、野宮真貴、三波春夫。コーネリアスらしい遊び心があって、工夫があって、可笑しくて、楽しいリミックス・アルバムである。
『ファンタズマ』の作者は、FREE DOMMUNEでSalyu×Salyuのライヴに出て、翌日にはYMOのライヴ、そして数日後この取材に答えてくれた。
クラフトワークが日本語で「いますぐ止めろ」って言ってたのがけっこうびっくりした。すごいなと思って。あんなにクールな音楽じゃないですか。メッセージもすごいシンプルじゃないですか。それが日本語で。
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■小山田くんさ、「ガラパゴス化現象」って知ってる?
小山田:あー……なんとなく。携帯とかそういうやつでしょ? ガラケー(ガラパゴス・ケータイ)とか。ガラケー知らないですか?
■いや、それ知らない(笑)。
小山田:えー(笑)! インターナショナルじゃないってことでしょ? 日本で独自に進化したっていう……モードとかそういう、海外じゃ使えないっていう。
■そうそうそうそう! まさにそう(笑)。いい面も悪い面もあるとい思うんだけど、すべて内需で成立してしまってる世界というか。音楽シーンは典型的なまでにそうですね。90年代は、『ファンタズマ』でも石野卓球でも、ピチカート・ファイヴでもボアダムスでも、国際社会へと開けていったじゃないですか。ところがここ数年のバンドは、まあ、ほとんどすべてが国内で完結してしまっているっていう。
小山田:どうなんですかねえ。90年代はやっぱそういうのあったんですよ。まだ音楽産業良かったし。日本もまだ大丈夫だったし。でもやっぱ、それ以降ね、音楽産業も世のなか的にも下向いてきたじゃないですか。なかなかそういうのが難しくなってきてるんじゃないですかね。
■経済的な問題だけかね?
小山田:うーん……まあ、それもあると思いますけどね。それだけじゃないと思いますけど、でもそれ(経済)がけっこう大きな問題じゃないですかね。
■貧して鈍するじゃないけど、貧して創造どころじゃないっていうこと?
小山田:うん……わかんないけどね。
■やっぱ寂しさって感じない? なんか航路を作ったのに利用されなかったみたいな。
小山田:感じますね(笑)。思いっきり感じます。でもまあ、そうじゃなくやれてるんで、まあいいのかなあと。
■だはは、自分は(笑)?
小山田:はははは。
■国際的に開けていった連中に経済的なバックアップがあったわけでもないじゃん。むしろ、経済的なバックアップがありながら、成功しなかった人だって少なくなかったでしょ。経済力だけではないと思うけど。
小山田:そうでもないですかね。何なんでしょうね。でもやってるひとはたくさんいるでしょ、若いひとたちでたくさん。
■エレクトロニック・ミュージックの世界ではけっこういるけれど、やっぱりポップ・フィールドではいないよね。
小山田:コーネリアスもポップ・フィールドかって言ったらどうなんだろうね。わかんないけど(笑)。
■たとえば、最近コロンビアのラス・マラス・アミスタデスっていうポップス・バンドがロンドンの〈オネスト・ジョンズ〉からアルバムを出したのね。ちょっとヤング・マーブル・ジャイアンツみたいなんだけどさ。イギリスのメディアのレヴューで「スペイン語で歌っているポップスがアングロサクソン圏内の音楽シーンで支持されるには、よほど音楽が面白くなければ無理だ」っていうのがあって。日本の音楽文化もほんの10年前までそうだったはずなのに……。
小山田:なくなっちゃったのかな。
■逆に誰か知ってたら教えてほしい(笑)。海外で知られることだけが音楽の価値じゃないんだけど。
小山田:そうですね、そう考えると。いるんですかね。
■クール・ジャパン戦略みたいなものじゃなくてさ。
小山田:そうですよね。
■そう、コーネリアスがアルバム出さなくなって、日本の音楽はますます危機に瀕しているんでしょう!
小山田:いやいやいやいや(笑)。そんなことないでしょ(笑)!
■今回もこうやって、リミックス・アルバムで何とかその場をしのいでいくっていう(笑)。
小山田:はははは(笑)。いや、いろいろやってるってことをね、ちゃんとまとめようかなあと思って。
■なるほど。リミックス・アルバムも4枚目じゃないですか。リミックスの依頼っていうのはどうなんですか? 小山田くんは依頼されるとほとんど引き受けるほう? それともけっこう選ぶほう?
小山田:リミックスは、最近はけっこう断ったりしてるよね。最近はいろいろ忙しかったりとか。ちょっとあんまり盛り上がらなかったりとか(笑)。
■ああ、気持ち的に燃えてこないと。
小山田:うん(笑)。でも最近リミックス増えてきてるよね。ポツポツ来てるよね。一時期あんまなかったんだけど。
■リミックス自体は好きなんだ、自分でも?
小山田:うん、まあ好きですよ。好きですね、どっちかって言うと(笑)。
■リミックスを引き受けるか引き受けないかは、自分の音楽の好みで選ぶの? それとも別の理由?
小山田:いやまあ、トータル的な理由です。
■好みじゃないけど、リミックスはやってみたいってことはあるの?
小山田:うん、ある。
■たとえば今回のアルバムでは?
小山田:それはちょっと……(笑)。
■ははははは(笑)。そんなこと言ったら友だちなくしそうだもんね(笑)。
小山田:それはちょっと(笑)。元曲がいい曲だからやりたいっていう場合と、これやったら面白いだろうなっていう場合と、まあ2種類ですよね。
■まあそりゃそうだよね。
小山田:うん。
■自分が手がけたリミックスをまとめたリミックス・アルバムが4枚というのは、多いほうだと思うんだけど、リミックスという作業には、その固有の上達とかあるの?
小山田:上達……なんか、あるかもね。
■はははは(笑)。
小山田:良くなってるかっていうことよりも、時間が短くなったとか(笑)。早くできるようになったとか、そういう意味では上達なのかもしれないけど、作品のクオリティっていうか良さが昔に比べて上がったかっていうと……良かったり悪かったりするときもやっぱりあるし。昔のでもすごいいいのがあったりとか、自分的にね。最近でも「うーん」みたいなのもちょっとあったりとか。
■「これはコーネリアスの作品だ」っていう気構えでやってるの?
小山田:うーん、まあ後でまとめることは一応考えてますけどね。全部が全部「コーネリアスだ」っていうわけではないんですよ。でもやっぱり並べると色が見えてくるじゃないですか。
■見えてくるね。年々テクノっぽくなってる。
小山田:あ、そうですか。
■うん。まあ当たり前なんだけど、打ち込みというか、エレクトロニック・ミュージックの要素が。
小山田:そうか……。
■そうは思わない? アート・リンゼーのリミックスなんかもIDMっぽいし。
小山田:完全パソコンで作ってるんで、まあそういう意味ではそうなんですけど、鳴ってる音はけっこう生音を録って使ったりとかはしているので。電子音みたいなものが前面に出てるって感じてもなくて、普通にギター、ベース、ピアノとかドラムとか――ドラムも普通の生音っぽい音色(おんしょく)だったりとか。そういう意味ではテクノっぽくないのかな、っていう気もするんですけどね。
■そうだね。野宮真貴さんのリミックスのように、アコースティックな綺麗な反響を活かしている曲もあるし……。全部パソコンでやるんですか?
小山田:いや、全部は全部ではないですけど、まあほとんどパソコンですね。パソコンと楽器ちょっと弾いたりとか。
■PCを使うようになってから、やっぱり作業はやりやすくなった?
小山田:まあ、外のスタジオとか使わなくていい分、楽にはなりましたよ。でもやることは増えるから、そういう意味での労力は増えるけど。
■最初のガラパゴスの話じゃないけど、今回のアルバムがいままででいちばん日本人が多いじゃないですか!
小山田:そうですね。日本人いままでそんなになかったっけ?
■これまではスケッチ・ショウとかさ、電気グルーヴとかさ。
小山田:たしかに。今回は三波春夫まで入ってるから(笑)。日本色強いね。
■これはいまのシーンを反映してるんでしょうかね?
小山田:そうなんですかねえ。シーン……。
■今回の『CM4』は『CM3』を発表したあとのリミックスってことでしょ?
小山田:基本そうです。アート・リンゼイだけちょっと前なのかな。
■でも『CM3』ってそんなに昔じゃないよね?
小山田:そう、3年ぐらい前。
■だから多くの曲がここ2年ぐらいのものなんだよね。
小山田:そうですね。
■この三波春夫の“赤とんぼ”を最後に持ってきたっていうのはなんで?
小山田:いや、ここしか置くところが思いつかなかったんで……(笑)。
■さすがに1曲目から“赤とんぼ”は変化球過ぎるらね(笑)。これはどういう企画だったの?
小山田:これはね、坂本龍一さんのレーベルで『にほんのうた』っていうコンピレーションがあって、唱歌とかそういうものを現代のひとたちでもういっかいやってみようっていう企画でやったんですけど。三波先生はこれはもともとライヴ・テイクで、ロサンゼルスかどこかの公演で歌っていたマルチが残ってて、そこから歌だけ出してきてパーツを付け直したみたいな。
■10年前ならやらなかったであろうことをやる年齢になったんだね(笑)。
小山田:そう、できる年齢に(笑)。10年前とかだったらたぶんできなかったと思う。
■依頼された曲のなかで、一番好きな曲だったら言える?
小山田:リミックスとして? “赤とんぼ”はけっこう(笑)。食い合わせがたぶん想像できないと思うんだけど、意外に食ってみたらうまかったみたいな感じ(笑)。
■MGMTていうのはわかりやすいっていうか、コーネリアスが好きそうな感じがするね。
小山田:あとヨーコさんは別ですね。これはいちおうコーネリアス・ミックスってなってるんですけど、プラスティック・オノ・バンドのセッションを僕が最終的に全部まとめたって感じなんで。これもすごく印象に残ってますね。一緒にやったんで。
■小野洋子さんの曲では、ダンス・ミュージックへのアプローチをやっているけど、ラリ・プナはアンビエントなフィーリングが展開されています。これも今作のなかのベストな1曲ですよね。
小山田:ラリ・プナもけっこう気に入ってます、これ。リズムまったくなくて。あんまりそういうの作ったことないから。
■これはいつやったんですか?
小山田:1年か1年半ぐらい前かな。
■マイア・ヒラサワさんって方は僕存じてなかったんですけど、このひとはスウェーデンなの?
小山田:スウェーデン人と日本人のハーフで、けっこうCMとかでやってる。で、向こうですごく人気があるみたいで。ちょっとビョークに声が似てて。音はタンバリンスタジオみたいな感じのスウェディッシュ・ポップみたいな。
■たしかにビョークっぽい。魅力的な良い声ですね。あと、ビースティー・ボーイズのリミックスもやっていたんだね。マシナリーなファンクというか、これはコーネリアスらしい音の遊びがあるっていうか。
小山田:ビースティーはね、ちょうど『センシュアス』のときにパリでライヴがあって、コーネリアスでオープニング・アクトをやったんですよ。たぶんそのときに観て気に入ってくれたのかな。そのすぐ後ぐらいに依頼が来て。
[[SplitPage]]『CM3』はけっこう偏執狂的に音をほんとに少なくしよう見たいな感じでストイックさがすごく強かったような気がするんだけど。ちょっと肩の力が抜けて遊びが入ってきてるなって気がしますね。
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■相対性理論をコーネリアスがやるっていうのはよくわかる気がするんですけどね。
小山田:ふーん……そうなんだ。
■ある意味では、遠い存在ではないでしょ。このなかでは。
小山田:まあそうだね。このあいだ一緒にやったりしたし。ヴァセリンズと一緒と時に。話しやすいね(笑)。普通に話せる感じ。
■布袋寅泰を1曲目に持ってきたっていうのはすごいね。
小山田:あ、そうですか。
■自分でどうですか、今回の『CM4』を通して聴いてみて。
小山田:うーん……『CM3』はけっこう偏執狂的に音をほんとに少なくしよう見たいな感じでストイックさがすごく強かったような気がするんだけど。ちょっと肩の力が抜けて遊びが入ってきてるなって気がしますね。
■はははは。でも最後にオリジナル・アルバムを出してから早6年ですよね。
小山田:あ、もうそんなんですか。6年経ってる? ほんとに?
■クラフトワークは、『ポイント』のときはヒントになったって言ってたけど、ほんとにクラフトワークになりつつあるんじゃないかと。
小山田:そうだね。6年?
■だからいまほとんど『エレクトリック・カフェ』を出した頃のクラフトワーク(笑)。
小山田:はははは。
■そして『ザ・ミックス』が出て(笑)。
小山田:『ザ・ミックス』でお茶を濁すっていう(笑)。
■じゃあ、次は“EXPO”だね(笑)。
小山田:“EXPO 2000”(笑)。
■いや、“EXPO 3000”。もうみんな死んでるって。そういえば最近はYMOに加わって、ほとんどメンバーになって活動してるそうじゃないですか。
小山田:DOMMUNEの次の日がワールド・ハピネスっていうYMOのイベントがあって。でもここ4、5年ぐらいやってるよね。
■「NO NUKES」に出演したじゃない?
小山田:やろうかなと。クラフトワークも出るし。
■なるほど。
小山田:あれけっこう衝撃的でしたよ。いきなり日本語で来たから。“放射能(Radio-Activity)”を1曲目でやって、いきなり日本語で歌い出して。あれは衝撃でした。
■小山田くんがポリティカルな場所でライヴをやるって初めてじゃない?
小山田:いや、そんなことないですよ。うちのバンドのベースのシミーってひとがいるんですけど。彼がスーデラでけっこう福島の子たちにお金集めるイヴェントとかやってて。それとかはけっこういつも出てるよね。
■今回はそういうチャリティではなく、やっぱ政治的主張が目的だったわけじゃない?
小山田:まあ脱原発ですよね。
■原発問題に関する小山田くんの考えを聞かせてもらっていいかな? いろんな次元での考えがあると思うけど。
小山田:ないほうがいい、っていう。単純に怖いなっていう。
■いままでそういうことあまり言わないひとだったじゃない。
小山田:そうですね、あまり言わなかったかもしれないですね。いきなり言うことではないと思うし。
■変な話、どちらかと言うとコーネリアスは政治とかね、そういうところから180度離れたところにいるようなところがあったじゃない、敢えて。
小山田:だから、そういう(政治的な)ところにはいたくないですよ、ほんとに。でも、脱原発じゃないひとっているんですか?
■それはいるでしょうね。科学者のなかにだって。
小山田:まあいろいろじゃないですか。まあ、「いますぐ止めろ」とは……クラフトワークが言ってたけど。
■日本語で?
小山田:そう、日本語で(笑)。
■それは素晴らしいですね(笑)。
小山田:すごいなと思って。あんなにクールな音楽じゃないですか。メッセージもすごいシンプルじゃないですか。「いますぐ止めろ」って言ってたのがけっこうびっくりした。
■それにクラフトワークが言うと何か違う説得力を感じるね。
小山田:だってわざわざ日本語ヴァージョン作ってきたんだよ、クラフトワーク。それで映像もちゃんと日本語訳で、エコノミー・クラスで来たって言ってたから。ちょっと泣けるよね。
■たしかに。日本人も英語で歌っている場合じゃないね。ところで、コーネリアスのほうはどうなってるの?
小山田:ちょっと進行してたんですよ、実は。でもいま止まっちゃってて(笑)。
■止まってるあいだにスタジオも引っ越して?
小山田:そうですね、まあ引っ越してからちょっと作業してて。で、夏ちょっとライヴだったり。明日からちょっと夏休みだったり(笑)。
■自分の夏休み(笑)。コーネリアスの新作っていうのはそんなに容易く作れるとはまわりの人間も思ってはいないだろうけど、自分自身のなかでも今回はとくに大変なの?
小山田:どうなんですかね。大変っていうか、作業的には一緒ですけどね、こういうのと。
■あ、リミックスと(笑)? それはウソでしょ(笑)。
小山田:いや作業的にはね(笑)。
■作業的にはね。
小山田:精神的にはやっぱちょっと違うけど。ちょっとこの間やりはじめて、「あ、ちょっとエンジンかかったな」と思ったら止まっちゃって。でもまあのんびりやろうかなと。いろいろやりつつ。
■いいですね、ほんとクラフトワークみたいで(笑)。やっぱり『ポイント』や『センシュアス』を超えなきゃいけないっていう思いはあるの?
小山田:超える?
■そう、より高次元へと飛躍する(笑)。
小山田:まあそれは自然になるんじゃないかなっていう感じですよね。
■ほお、さすがだね。
小山田:(笑)いや、わかんないですけど。6年前とは細胞もやっぱ入れ替わってるし。
■新しい自分がここにいるぞと。
小山田:ふふふ(笑)。
■そういえば、前に話したときはダーティ・プロジェクターズがいいとか言ってたよね。最近いいなと思った音楽とかある?
小山田:最近はベンチャーズずっと聴いてる(笑)。
■何で(笑)?
小山田:ベンチャーズ・ブームが到来で。あの、せたがや区民まつりっていうお祭を馬事公苑でやってるんですけど、今年ベンチャーズが来たんですよ。
■ほお。
小山田:それでベンチャーズ観に行って。それでベンチャーズ熱が急激に高まって、ずっと聴いてましたね。
■はははは!
小山田:はははは。
■その、再発見した部分っていうのは?
小山田:いやもう、カッコいいですね、やっぱ。
■もうクラフトワークみたいな普遍的なものとして。
小山田:そうですね。クラフトワークにちょっと近いかも。まあYMOに近いなと思ったんですよ。
■ほお。
小山田:いや、メロディを何か楽器が単音で弾いてるインストゥルメンタル・ミュージックで。で、エキゾチックだったり、音響的なものだったり、そういうのもあって。クラフトワークとベンチャーズと、あとジョルジオ・モロダーとか足すと、初期のYMOになる感じがする。
■ああ、なるほどね。
小山田:(YMOの)“コズミック・サーフィン”とかやっぱベンチャーズだし。幸宏さんも細野さんも、最初やっぱベンチャーズではじめたって言ってたんですよね。ギターも、ドラムもベンチャーズで。それでベンチャーズ熱がすごい高まっちゃって。全然最近の音楽じゃないけどね。
とにかく、まあちょっとCD買ったりとか、ダウンロードしたりとか。日本公演がいいですね。64年か65年に日本に来たときに、映画があるんですよ。で、大橋巨泉がナレーションやってて。昭和30年代の風俗みたいなものもすごく入ってて。ほんとにめちゃくちゃ人気あったんですよ、日本で。多分ビートルズ以前は、ベンチャーズがいちばん人気あったロック・バンドですよね。ビートルズよりも人気あったぐらい国民的な存在だったんじゃないですかね。毎年3ヶ月日本ツアーやってますよ。で、1月と7、8、9と年2回来るっていうのを50年間やってるっていう(笑)。
■どれだけ日本人に愛されたかってことだよね。
小山田:で、僕ら日本のバンドでも行ったことないような、ほんと地方の公民館のホールとかでも、1000人とか2000人とか必ず入るんだって。
■それ馬事公苑でやってたんだ。
小山田:そう、タダで(笑)。
■それ何歳ぐらいになってるの?
小山田:えっとね、リーダーのひとがドン・ウィルソンってひとなんですけど、79歳。来年80で、ヨーコさんと同い年。
■すごいパワフルだね-。
小山田:で、オリジナル・メンバーはいまそのひとしかいないんですよ。で、全盛期のノーキー・エドワーズってひとは1月しか来ない。夏はほかで営業してるらしいです。で、ドン・ウィルソンってひとが、あの「テケテケテケテケ」をやるひとで、サイド・ギターなんですよ。ずっとリズムを刻んでて、そのひとがリーダー。
■新しい音楽は全然聴いてないの?
小山田:うーん……まあ何となくユーチューブで見たりしてるけど、CDは買ってないかなあ。
■ほお、ついに小山田圭吾までもが。
小山田:まあダウンロードはちょこちょこしてるかな。
■何か気になったのとかいない?
小山田:何かあったかな、ぱっと思いつかないな。何だろう。あ、オン・ザ・ゴーって知ってる? オン・ザ・ゴーっていうロシアのバンド。ロシアの若い子たちで、けっこうカッコ良かった。ロシアでこれはいままでちょっとないなっていう。普通にヨーロッパのバンドっぽいんだけど。まあ変なんだけど。ロシアこれからいろいろ出てきそうかなと。
■まあプッシー・ライオットがね。
小山田:プッシー・ライオット知らない。
■ええ、プッシー・ライオット有名だよ。それこそロシアのさ、ライオット・ガールズで、メンバーも逮捕されて。それを「釈放しろ」って言って、それこそいろんなミュージシャンが呼びかけてるぐらいの。
小山田:へえー。
■じゃあ日本のアーティストで気に入ってるのはいる?
小山田:青葉市子ちゃん。
■彼女いいよね。ギターが上手いし。
小山田:歌も良いね。そういえば、今年はまたプラスティック・オノ・バンドのレコーディングが入ってて。それでまたニューヨーク行ったりとかしなきゃいけなくて。
■ほお。そうやってコーネリアスが延びてくわけだ(笑)。
小山田:そうなんですよ(笑)。ヨーコさん来年80なんです。やる気満々らしくて、もう「いますぐやりたい」みたいな感じらしいです(笑)。
■わかりました。とりあえずは『CM4』を楽しみたいと思います!


































