「Flying Lotus」と一致するもの

 モノマネとは契約しない。〈Stones Throw〉で働いていた当時、若きフライング・ロータスはピーナッツ・バター・ウルフからそう告げられたのだという。それが転機となったにちがいない。J・ディラの影響下にあった彼は以降、大胆にノイズを取り入れるなど自らの手でオリジナリティを確立することでビート・ミュージックを刷新、ヒップホップに大いなる変革をもたらしたのだった。衝撃をもって迎え入れられた2作目『Los Angeles』から早10年。今年は彼の設立した〈Brainfeeder〉もまた10周年を迎える。首魁たるフライローの巧みな舵取りのもと、ヒップホップはもちろん、ジャズやテクノなど隣接する諸ジャンルにまで少なからぬ影響を与えた同レーベルは、いまやあのジョージ・クリントンを擁する存在にまで成長を遂げている。

 では、彼と彼らが成し遂げたこととはいったいなんだったのか? 『別冊ele-king』最新号では、フライング・ロータスと〈Brainfeeder〉を大特集、さまざまなコラムやインタヴューをとおしてその功績を振り返っている。ケンドリック・ラマーとのコラボも記憶に新しいフライロー、ジョージ・クリントン、サンダーキャットのビッグ3を筆頭に、ドリアン・コンセプトとジェイムスズーによる対談やジョージア・アン・マルドロウのインタヴューも掲載。また、映画監督としてのフライローにも着目し、渡辺信一郎・佐藤大・山岡晃の3人に『KUSO』の魅力について語りあってもらった。

 さらに同号では、彼と彼らが拠点にするロスアンジェルスという場所にも光を当てている。フライローも〈Brainfeeder〉もけっして突然変異のごとくぽっと湧き出てきたのではない。彼らのまえには〈Stones Throw〉やロウ・エンド・セオリーというムーヴメントが耕した豊饒なる大地が横たわっていたのであり、フライローも〈Brainfeeder〉もそれと並走するかたちで新たな歴史を紡いでいったのだ。いわば「先輩」にあたる彼らについては、じっさいに現地の様子を知る大前至やバルーチャ・ハシム廣太郎が丁寧に解説してくれている。また、TREKKIE TRAX のふたりには、若い世代から見たLAの音楽シーンについて語ってもらった。

 とまあこのように、SONICMANIA でのステージを目の当たりにした直後だったせいか、ずいぶんと熱のこもった特集になっているので、ぜひとも手にとっていただければ幸いである。

【寄稿者】
天野龍太郎、大前至、小川充、小熊俊哉、河村祐介、木津毅、小林拓音、小渕晃、野田努、原雅明、バルーチャ・ハシム廣太郎、三田格、吉田雅史

contents

Flying Lotus

preface ジャズにクソを投げろ!――フライング・ロータスに捧げる (吉田雅史)
interview フライング・ロータス (三田格/染谷和美/小原泰広)
column 音楽の細分化に抗って――フライング・ロータス小史 (原雅明)
Flying Lotus Selected Discography (小林拓音、三田格、吉田雅史)
column ドーナツの輪をめぐる旅――フライング・ロータスとJ・ディラ (吉田雅史/大前至)
column 崩壊したLAの心象風景――フライング・ロータスの映画『KUSO』が描きだすもの (三田格)
interview 渡辺信一郎×佐藤大×山岡晃 健康なクソをめぐる特別座談会 (小林拓音)

Brainfeeder 10th Anniversary

column ブレインフィーダーはどこから来て、どこへと向かうのか――レーベル前史とこれまでの歩み (三田格)
my favorite 私の好きなブレインフィーダー (大前至、小熊俊哉、河村祐介、天野龍太郎、吉田雅史、小川充、木津毅、小林拓音、三田格、野田努)
interview ジョージ・クリントン (野田努/染谷和美/小原泰広)
interview サンダーキャット (小川充/萩原麻里/小原泰広)
column ブレインフィーダーに影響を与えた音楽――ジャズ/フュージョンを中心に (小川充)
interview ドリアン・コンセプト×ジェイムスズー (小林拓音/川原真理子/小原泰広)
interview ジョージア・アン・マルドロウ (吉田雅史/バルーチャ・ハシム廣太郎)
Brainfeeder Selected Discography (小川充、小林拓音、野田努、三田格)

LA Beat

interview TREKKIE TRAX (Masayoshi Iimori & Seimei) (小林拓音/小原泰広)
correlation chart LAビート・シーン人物相関図 (吉田雅史)
column 世界を変えたムーヴメント――ロウ・エンド・セオリー盛衰記 (バルーチャ・ハシム廣太郎)
column LAビート・シーンの立役者――ストーンズ・スロウの物語 (大前至)
Stones Throw Selected Discography (大前至)
column ギャングスタ・ラップからLAが学んだもの――西海岸サウンドの系譜 (小渕晃)
LA Beat Selected Discography (大前至、小林拓音、野田努、三田格、吉田雅史)

ブレインフィーダー10周年!
ヒップホップ、ジャズ、テクノを横断する稀代のレーベルの全貌

ケンドリック・ラマーとのコラボも記憶に新しい
フライング・ロータス、サンダーキャット、ジョージ・クリントン
の3大インタヴュー掲載!

つねに革新的な音楽を作り続けるフライング・ロータスの舵取りのもと、
オープンマインドな姿勢でヒップホップ、ジャズ、テクノを横断し、
多くの個性的な作品を送り出してきたLAのレーベルの足跡を徹底的に紐解く!!

ドリアン・コンセプト×ジェイムスズー、ジョージア・アン・マルドロウ
のインタヴューも掲載、充実のディスクガイドにコラム、貴重な写真も多数収録。

映画『KUSO』&『ブレードランナー』特別座談会:
渡辺信一郎(『マクロスプラス』『カウボーイビバップ』『サムライチャンプルー』)×
佐藤大(『カウボーイビバップ』『攻殻機動隊』『交響詩篇エウレカセブン』)×
山岡晃(『サイレントヒル』『BEAT MANIA』『LET IT DIE』)

特別インタヴュー:
TREKKIE TRAX(Masayoshi Iimori & Seimei)――新世代から見たLAの魅力

【執筆陣】
天野龍太郎、大前至、小川充、小熊俊哉、河村祐介、木津毅、小林拓音、
小渕晃、野田努、原雅明、バルーチャ・ハシム廣太郎、三田格、吉田雅史


contents

Flying Lotus

preface ジャズにクソを投げろ!――フライング・ロータスに捧げる (吉田雅史)
interview フライング・ロータス (三田格/染谷和美/小原泰広)
column 音楽の細分化に抗って――フライング・ロータス小史 (原雅明)
Flying Lotus Selected Discography (小林拓音、三田格、吉田雅史)
column ドーナツの輪をめぐる旅――フライング・ロータスとJ・ディラ (吉田雅史/大前至)
column 崩壊したLAの心象風景――フライング・ロータスの映画『KUSO』が描きだすもの (三田格)
interview 渡辺信一郎×佐藤大×山岡晃 健康なクソをめぐる特別座談会 (小林拓音)

Brainfeeder 10th Anniversary

column ブレインフィーダーはどこから来て、どこへと向かうのか――レーベル前史とこれまでの歩み (三田格)
my favorite 私の好きなブレインフィーダー (大前至、小熊俊哉、河村祐介、天野龍太郎、吉田雅史、小川充、木津毅、小林拓音、三田格、野田努)
interview ジョージ・クリントン (野田努/染谷和美/小原泰広)
interview サンダーキャット (小川充/萩原麻里/小原泰広)
column ブレインフィーダーに影響を与えた音楽――ジャズ/フュージョンを中心に (小川充)
interview ドリアン・コンセプト×ジェイムスズー (小林拓音/川原真理子/小原泰広)
interview ジョージア・アン・マルドロウ (吉田雅史/バルーチャ・ハシム廣太郎)
Brainfeeder Selected Discography (小川充、小林拓音、野田努、三田格)

LA Beat

interview TREKKIE TRAX (Masayoshi Iimori & Seimei) (小林拓音/小原泰広)
correlation chart LAビート・シーン人物相関図 (吉田雅史)
column 世界を変えたムーヴメント――ロウ・エンド・セオリー盛衰記 (バルーチャ・ハシム廣太郎)
column LAビート・シーンの立役者――ストーンズ・スロウの物語 (大前至)
Stones Throw Selected Discography (大前至)
column ギャングスタ・ラップからLAが学んだもの――西海岸サウンドの系譜 (小渕晃)
LA Beat Selected Discography (大前至、小林拓音、野田努、三田格、吉田雅史)

Baths / Geotic - ele-king

 ナイス・タイミングです。11月12日発売の『別冊ele-king』最新号では、今年設立10周年を迎え勢いに乗っているフライング・ロータス~〈ブレインフィーダー〉を特集しているのですが、LAビートについても大きくページを割いています。そのフライローとの共作経験もあるバス(Baths)ことウィル・ウィーセンフェルド、彼が2010年に〈アンチコン〉から放った夢見心地で清涼な『Cerulean』は、LAビートを代表する名盤のひとつです。バスの歩みに関しては下記にまとめてありますので、ぜひご一読を。

https://www.ele-king.net/columns/003914/

 さて、そのウィルは他方でジオティック(Geotic)名義でも活動していて、そちらでも『Sunset Mountain』などの良作を残しているのですが、そんな彼がこの10月、来日公演を開催します。しかも贅沢なことに、バスとジオティック双方の名義での公演です。
 バス名義のほうは、昨年リリースの最新作『Romaplasm』を引っさげたツアーで、東京(10/22@WWW)と大阪(10/25@Socore)を回ります。ジオティック名義のほうは、ダンスとアンビエントを織り交ぜたセットになるそうで、こちらは東京(10/23@CIRCUS Tokyo)のみの公演。現在、10/17発売の新作『Traversa』から収録曲“Gondolier”のMVが公開中ですので、合わせてチェックしておきましょう。

LAが誇る稀代のビートメイカー Baths、
東京・大阪での来日公演が2018年10月開催!!

ポップ・ミュージックの新たな可能性を拡張した最新作『Romaplasm』を携えた最新鋭の演奏セットを披露!

インディ・ロック~ヒップホップ・リスナーまで巻き込んだ、いまなお色褪せない大傑作ファースト・アルバム『Cerulean』。
大病を患いその果てで見事なまでのアーティストとしての成長を成し遂げ、その年多数のメディアから年間ベストに挙げられたセカンド・アルバム『Obsidian』。
「絶対に自分に対して不誠実であってはならない」という創作活動における信条のもと、ポップ・ミュージックの新たな可能性を拡張したサード・アルバム『Romaplasm』。

その創り出すビートがいま最も話題を呼ぶビートメイカー Baths。
誰しもが惹き付けられる躍動感溢れるライヴ・パフォーマンスは必見!!

https://www.youtube.com/watch?v=fcIdpIUClfA

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Tugboat Records presents Baths Live in JAPAN 2018

■2018/10/22 (月) 渋谷 WWW

【時間】OPEN 19:00 / START 19:30
【レーベル割価格】 ¥4,300 (ドリンク代別) *限定100枚 (9/13正午~)
https://goo.gl/forms/McdPioHT9vFL6BbB2
【前売り価格】 ¥4,800 (ドリンク代別)
【各プレイガイド】Pコード:130-011 / Lコード:70460 / e+ / WWW店頭 (9/17 10:00~)

https://www.tugboatrecords.jp/category/event

■2018/10/25 (木) 大阪 Socore Factory
【時間】OPEN 19:00 / START 19:30
【レーベル割価格】 ¥4,000 (ドリンク代別) *限定50枚 (9/13正午~)
https://goo.gl/forms/McdPioHT9vFL6BbB2
【前売り価格】 ¥4,500 (ドリンク代別)
【各プレイガイド】e+ のみ (9/17~)

主催/企画制作:Tugboat Records Inc.

●Baths プロフィール
LA在住、Will Wiesenfeld こと Baths。音楽キャリアのスタートは、両親にピアノ教室に入れてもらった4歳まで遡る。13歳の頃には、既にMIDIキーボードでレコーディングをするようになっていた。あるとき、Björk の音楽に出会い衝撃を受けた彼は直ぐにヴィオラ、コントラバスそしてギターを習得し、新たな独自性を開花させていった。ファースト・アルバム『Cerulean』はインディ・ロック~ヒップホップ・リスナーまで巻き込み多くの話題を呼んだ。 大病を患いその果てで見事なまでの成長を成し遂げ、その年多数のメディアから年間ベストに挙げられたセカンド・アルバム『Obsidian』。ポップ・ミュージックの新たな可能性を拡張したサード・アルバム『Romaplasm』。その創り出すビートがいま最も話題を呼ぶビートメイカー Baths による待望のジャパンツアーが2018年10月に開催!

●リリース情報

作品詳細:https://www.tugboatrecords.jp/6423
アーティスト:Baths (バス)
タイトル:Romaplasm (ロマプラズム)

tracklist
01. Yeoman
02. Extrasolar
03. Abscond
04. Human Bog
05. Adam Copies
06. Lev
07. I Form
08. Out
09. Superstructure
10. Wilt
11. Coitus
12. Broadback

・発売日:2017年11月15日
・価格:¥2,200+tax
・発売元:Tugboat Records Inc.
・品番:TUGR-043
・歌詞/解説/対訳付き

LA在住、Will Wiesenfeld が、Bathsとともに活動する別名義のプロジェクト=Geotic。

10/17日本先行リリースのセカンド・スタジオ・アルバム『Traversa』を引っ提げ、10/23 (火) CIRCUS Tokyo にて公演決定!!

Geotic 名義によるダンス・セットとアンビエント・セットを織り交ぜた初披露の貴重なライヴ・セット
(Baths公演でのセットとGeotic公演でのセットは異なります。)

セカンド・スタジオ・アルバム収録曲“Gondolier”のMVも公開!

怒りや裏切りといった感情を連想させた後、雰囲気が一変し、語り手と主人公が夜に人知れず駆け落ちするストーリーは圧巻。稀代のビートメイカー、Will Wiesenfeld にしか生み出せない創造性溢れるサウンドは必聴!

Gondolier
https://www.youtube.com/watch?v=XlzleWMYkEw

アルバムに寄せたアーティストのコメント
「良い旅を経験すると、自分の“脳”を望む通りの場所に辿り着かせることができる。このアルバム全体に共通するインスピレーションは、そのときに湧き上がった感覚から生まれたんだ。本当に最初から、音楽は僕にとって何よりも、(そんな旅のように)どこかへ導いてくれるほど魅力的なものだった。あらゆる形態のメディアにさらされるなかで、僕は絶えず日常生活では味わえない違った何かを感じられるものに引き寄せられるんだ」
――Will Wiesenfeld

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Tugboat Records presents Geotic Live in Japan 2018

■10/23 (火) CIRCUS Tokyo

【時間】OPEN 19:00 / START 19:30
【レーベル割価格】¥3,500 (ドリンク代別) *限定50枚 (9/19 20:00~)
https://goo.gl/forms/lCgKeopvmrrjs7543
【前売り価格】 ¥4,000 (ドリンク代別)
【各プレイガイド】Pコード:129991 / Lコード:71470 / e+ (9/19 20:00~)

https://www.tugboatrecords.jp/category/event

●Geotic プロフィール
LA在住、Will Wiesenfeld が、Bathsとともに活動する別名義のプロジェクト。前作に引続き Tycho を擁する〈Ghostly International〉、そして日本は〈Tugboat〉よりリリース。
「Bathsはアクティヴなリスニングで、Geoticはパッシヴなリスニングである」──Baths、そして Geotic こと、Will Wiesenfeld は、自身のふたつのプロジェクトに対してこのように語る。

●リリース情報
アーティスト:Geotic (ジオティック)
タイトル:Traversa (トラヴェルサ)

tracklist
01. Knapsack
02. Swiss Bicycle
03. Harbor Drive
04. Aerostat
05. Town Square
06. Terraformer
07. Gondolier
08. Maglev

・発売日:2018/10/17 (水)
・価格:¥2,000+tax
・発売元:Tugboat Records Inc.
・品番:TUGR-080
・解説/対訳付き

Brainfeeder X - ele-king

 こんにちは。ロス・フロム・フレンズにドリアン・コンセプトにブランドン・コールマンにルイス・コールにジョージア・アン・マルドロウにと、最近〈Brainfeeder〉関係のお知らせが続いていますが、ついに決定的なニュースが舞い込んできました。設立10周年ということでここ数ヶ月さまざまなアクションを起こしてきた同レーベルが、アニヴァーサリー・コンピレーションをリリースします。詳細は下記をご確認いただきたく思いますが、錚々たる面子が参加しています。CDは2枚組で、ディスク1はこれまでの〈Brainfeeder〉の作品から選りすぐったレーベルの歴史を紐解くような内容、そしてディスク2は新曲や蔵出し音源を詰め込んだレアトラック集となっています。現在、そのディスク1からフライング・ロータスによるブランドン・コールマンのリミックスが先行公開中です。リリースは11月16日。しっかりお財布をマネージしておきましょう。

BRAINFEEDER 10周年記念コンピレーション・アルバムが登場!
フライング・ロータスやサンダーキャットなどの初出し音源が22曲!
レア曲も満載!
全36曲を収録し、豪華パッケージで11月16日(金)リリース!
フライング・ロータスによるブランドン・コールマンのリミックスが解禁!

設立10周年を迎え、怒涛のリリースラッシュ、ソニックマニアでのステージまるごとジャック、売り切れグッズ続出のポップアップショップなど、凄まじい勢いを見せているフライング・ロータス主宰レーベル〈Brainfeeder〉が、輝かしい10年の歴史の集大成としてコアなファンはもちろん、すべての音楽ファンを魅了する超豪華コンピレーションのリリースを発表! レーベルの歴史を彩る代表曲に加え、フライング・ロータスやサンダーキャットなど初出し音源が実に22曲! さらに初めて公式リリースされるレア曲も加えた必聴コンピ『Brainfeeder X』は11月16日(金)リリース! 今回の発表に合わせて、フライング・ロータスによるブランドン・コールマンのリミックスが解禁された。

Brandon Coleman - Walk Free (Flying Lotus Remix)
https://www.youtube.com/watch?v=VhkoMyG1v2c

ジャズ、ヒップホップ、ファンク、ソウル、ハウス、アンビエント、テクノ、フットワーク……あらゆるスタイルのDNAを再編成し、類まれな審美眼を持って、真のグッド・ミュージックを送り出し続けてきた〈Brainfeeder〉。時代が時代なら、サン・ラとも契約を果たしただろうし、アリス・コルトレーンの神秘的かつ霊妙な魂を宿した唯一無二のレーベルと言っても過言ではないだろう。ジョージ・クリントンは、そのほとんどの作品を〈Casablanca Records〉から発表しているが、〈Brainfeeder〉との契約は、ファンクの神にとっても至極当然の展開として、幅広い音楽ファンが喜びをもって支持した。そしてこれは〈Brainfeeder〉以外のレーベルでは全くもって想像できないことである。

LAに端を発したビート・ミュージック・シーンの勃興の中で産声をあげた〈Brainfeeder〉の世に放つ作品には、レディオヘッドからJ・ディラ、エイフェックス・ツイン、DJシャドウ、ボーズ・オブ・カナダ、ドクター・ドレー、ジョン・コルトレーンとその妻のアリス・コルトレーン、ポーティスヘッドなどからの影響が見受けられつつ、そこには必ず刺激的な革新性が存在している。

代表曲を中心に過去〜現在をまとめたDISC 1
ディスク1は、サンダーキャットやテイラー・マクファーリンといった新世代ジャズのキーマン達、先鋭的ヒップホップで注目を集めたジェレマイア・ジェイ、ベース・ミュージックにテクノやハウスを融合させたオランダ人プロデューサー、マーティン、フットワーク/ジュークの最高峰レーベル〈TEKLIFE〉のクルー、DJペイパル、そしてレーベル設立当初からフライング・ロータスと共にビート・ミュージック・シーンを盛り上げたティーブスやデイデラス、トキモンスタら、ジャンルやバックグラウンドを問わず、秀でた才能を発掘し、世に送り出してきたレーベルの懐の深さが味わえる。サンダーキャットの人気曲“Friend Zone”のロス・フロム・フレンズによるリミックスや、フライング・ロータスによるブランドン・コールマンのリミックスもディスク1の最後に聴くことができる。

DISC 2には初出し音源やレア曲が満載!
ディスク2は、フライング・ロータスもプロデューサーとして参加し、バッドバッドノットグッドをゲストに迎えたサンダーキャットの新曲“King of the Hill”が冒頭を飾る。ラパラックス、ロス・フロム・フレンズ、ドリアン・コンセプト、ジョージア・アン・マルドロウら新曲も数多く収録される他、フライング・ロータスとサンダーキャット、シャバズ・パラセズから成るウォークが、ジョージ・クリントンをフィーチャーして発表した“The Lavishments of Light Looking”が初めての公式リリースという形で収録され、先日ついに日本でも公開され話題を呼んだ、フライング・ロータス初長編映画『KUSO』のサウンドトラックからは、バスドライバーをフィーチャーした“Ain't No Coming Back”など、フライング・ロータス関連のレア曲も収録。またPBDY(ピーボディ)、ミゲル・アトウッド・ファーガソン、リトル・スネイク、テイラー・グレイヴスら、これまでもレーベルに貢献しつつ、今後リリース作品が期待される注目アーティストもここで紹介されている。参加アーティストの一人、ストレンジループは、今現在フライング・ロータスの革新的なライヴ・パフォーマンスのヴィジュアルを担当している知る人ぞ知る存在。そしてロカスト・トイボックス名義でフィーチャーされているデヴィッド・ファースは、俳優、声優、映画監督、ビデオアーティストなど、様々な顔を持ち、フライング・ロータスとはミュージックビデオや映画『KUSO』でもコラボレートしている鬼才だ。

全フォーマット、趣向を凝らしたパッケージ
今作のアートワークは、〈Brainfeeder〉の印象的なオリジナル・ロゴを手がけたチャールズ・ムンカが担当。4枚組LPボックスセットは、ディスク一枚一枚がデザインの異なるインナースリーヴに収納され、10周年記念ロゴが型抜きされたハードケース入り。国内盤CDは、解説書が封入され、数量限定の初回盤は、LPボックスセットのデザインを踏襲した特殊スリーヴケース付きの豪華仕様となっている。なお輸入盤CDのフロントジャケットは、4種類のカラー展開で発売される。

〈Brainfeeder〉の輝かしい功績と“今”、そして未来を詰め込んだ超豪華コンピレーション・アルバム『Brainfeeder X』は11月16日(金)世界同時リリース! 今作は、〈Brainfeeder〉10周年キャンペーン対象商品となり、国内盤CDには、初回盤、通常盤ともに10周年記念ロゴ・ステッカー(3種ランダム)が封入される。

label: BRAINFEEDER / BEAT RECORDS
artist: Various Artists
title: Brainfeeder X

限定国内盤2CD BRC-586LTD ¥2,800+税
特殊スリーヴケース付き/解説書封入

通常国内盤2CD BRC-586 ¥2,500+税
解説書封入

BEATINK.COM:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=9868

[TRACKLISTING]

DISC 01
01. Teebs - Why Like This?
02. Jeremiah Jae - $easons
03. Lapalux - Without You (feat. Kerry Leatham)
04. Iglooghost - Bug Thief
05. TOKiMONSTA - Fallen Arches
06. Miguel Baptista Benedict - Phemy
07. Matthewdavid - Group Tea (feat. Flying Lotus)
08. Martyn - Masks
09. Mr. Oizo - Ham
10. Daedelus - Order Of The Golden Dawn
11. Jameszoo - Flake
12. Taylor McFerrin - Place In My Heart (feat. RYAT)
13. MONO/POLY - Needs Deodorant
14. Thundercat - Them Changes
15. DJ Paypal - Slim Trak VIP
16. Thundercat - Friend Zone (Ross from Friends Remix)
17. Brandon Coleman - Walk Free (Flying Lotus Remix)

DISC 02
01. Thundercat - King of the Hill (feat. BADBADNOTGOOD)
02. Lapalux - Opilio
03. Ross from Friends - Squaz
04. Georgia Anne Muldrow - Myrrh Song
05. Dorian Concept - Eigendynamik
06. Louis Cole - Thinking
07. Iglooghost - Yellow Gum
08. WOKE - The Lavishments of Light Looking (feat. George Clinton)
09. PBDY - Bring Me Down (feat. Salami Rose Joe Louis)
10. Jeremiah Jae - Black Salt
11. Flying Lotus - Ain't No Coming Back (feat. BUSDRIVER)
12. Miguel Atwood-Ferguson - Kazaru
13. Taylor Graves - Goku
14. Little Snake - Delusions
15. Strangeloop - Beautiful Undertow
16. MONO/POLY - Funkzilla (feat. Seven Davis Jr)
17. Teebs - Birthday Beat
18. Moiré - Lisbon
19. Locust Toybox - Otravine

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〈Brainfeeder〉10周年キャンペーン実施中

CAMPAIGN 1
対象商品お買い上げで、〈Brainfeeder〉10周年記念ロゴ・ステッカー(3種ランダム/商品に封入)をプレゼント!
CAMPAIGN 2
対象商品3枚お買い上げで、応募すると〈Brainfeeder〉10周年記念特製マグカップもしくはオリジナル・Tシャツが必ず貰える!

応募方法:
対象商品の帯に記載されている応募マークを3枚集めて、必要事項をご記入の上、官製ハガキにて応募〆切日までにご応募ください。

キャンペーン対象商品

キャンペーン詳細はこちら↓
https://www.beatink.com/user_data/brainfeederx.php

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『Brainfeeder X』にもフィーチャーされているハイパー・マルチスペック・アーティスト、ルイス・コールが12月に来日!

TOKYO: 2018/12/13 (THU) @WWW X
OPEN 19:00 / START 19:30

KYOTO: 2018/12/14 (FRI) @METRO
OPEN 18:30 / START 19:00

前売 ¥5,800(税込)
別途1ドリンク代 / ※未就学児童入場不可

チケット詳細

[東京公演]
イープラス
●ローソンチケット 0570-084-003 (Lコード:74741)
チケットぴあ 0570-02-9999
Beatink
Clubberia
iFLYER

INFORMATION: BEATINK 03-5768-1277 / www.beatink.com

[京都公演]
イープラス
●ローソン (Lコード:56266)
ぴあ

INFORMATION:METRO 075-752-2787 / info@metro.ne.jp

Brainfeeder - ele-king

 8月17日に開催されるソニックマニアにてオールスターの集結がアナウンスされている〈ブレインフィーダー〉ですが、それに先がけ、8月10日~12日の3日間、同レーベルの日本初となるポップアップ・ショップが展開されます。また、8月18日から1週間限定で、フライング・ロータスが監督を務めた映画『KUSO』も上映されるとのこと。さすが10周年、てんこ盛りです。これはもう祭りと言っていいでしょう。この夏は思いっきり〈ブレインフィーダー〉に染まるべし。

フライング・ロータス主宰レーベル
〈BRAINFEEDER〉の10周年を記念した
日本初のポップアップ・ショップ開催決定!

         
フライング・ロータス初長編監督作品
『KUSO』の1週間限定上映も決定!

今年設立10周年を迎えたフライング・ロータス主宰レーベル〈BRAINFEEDER〉。サマーソニックに引けを取らない強力な出演陣が大きな話題となっている今年のソニックマニアでは、フライング・ロータス、サンダーキャット、ジョージ・クリントン&パーラメント・ファンカデリックという最高の布陣に加え、ドリアン・コンセプト、ジェームスズー、ロス・フロム・フレンズら、フライング・ロータスが激推しする逸材も集結させ、ステージのひとつを完全にジャック! そんな話題沸騰中の彼らから、新たなニュースが到着! ソニックマニア1週間前となる8月10日~12日の三日間に渡って、渋谷スペイン坂のギャラリー Xにて、日本初のポップアップ・ショップの開催を発表! ここでしか手に入らない10周年記念グッズやレアな輸入グッズ、入手困難だった人気グッズの復刻、さらにアート作品の展示や〈BEAT RECOREDS〉のガレージセールなども同時開催! 初日にはDJイベントも!


BRAINFEEDER X
ANNIVERSARY POP-UP SHOP

開催日程:8/10 (金) - 8/12 (日)
8/10 (金) 18:00-23:00
8/11 (土) 12:00-20:00
8/12 (日) 12:00-18:00

場所: GALLERY X BY PARCO

企画/制作: BEATINK Inc. / PARCO CO.,LTD.

BRAINFEEDER SPECIAL GOODS
10 周年記念グッズや限定輸入グッズなど、BRAINFEEDER グッズの販売

BRAINFEEDER ART EXHIBITION
BRAINFEEDER 関連のアート作品展示

BEAT RECORDS GARAGE SALE
BRAINFEEDER ほか、BEAT RECORDS 関連作品のガレージセールやグッズ販売

『KUSO』PREVIEW BOOTH
フライング・ロータス監督映画作品『KUSO』の一部映像解禁!

DJ EVENT
開催初日の夜にはオープニング・パーティを開催。BRAINFEEDER 好きのDJ がスペシャル・セットを披露

さらに、奇才フライング・ロータス初長編監督作品『KUSO』が、2018年8月18日(土)より渋谷・シネクイントにて1週間限定レイトショー上映決定! “史上最もグロテスクな映画”とも称され、サンダンス映画祭にて退席者続出の問題作、遂に日本公開!

※チケットは 各鑑賞日の2日前より発売予定。詳しくはシネクイント公式 HPをご覧下さい。
www.cinequinto.com/shibuya

BRAINFEEDER NIGHT IN SONICMANIA
featuring
FLYING LOTUS
THUNDERCAT
GEORGE CLINTON
DORIAN CONCEPT
ROSS FROM FRIENDS
JAMESZOO

08.17 FRI MAKUHARI MESSE
www.sonicmania.jp

The Caretaker - ele-king

 秀逸なアンビエント作品で知られるザ・ケアテイカーの新作『Everywhere at the End of Time - Stage 4』が4月5日、自身のレーベル〈History Always Favours the Winners〉からリリースされた。今作は2016年に始動した6連作の4作目で、2018年にシリーズは完結するとのこと。「ele-king vol.21」における2017年の年間ベストでは、去年発表されたシリーズ前半3作をまとめたコンピレーション『Everywhere at the End of Time Stages 1-3』が選定された。


 この機会にこの作家の経歴をざっと振り返ってみたい。ザ・ケアテイカーとはジェイムズ・リーランド・カービーによる記憶と時間をテーマにしたプロジェクトだ。カービーは多くの名義を持つ作家だ。V/Vm名義ではハードコア・テクノやグリッチ・ノイズの作品を90年代から発表。ザ・ストレンジャー名義では2013年に〈Modern Love〉から傑作『Watching Dead Empires in Decay』をリリースしたことも記憶に新しい。また本人名義でもアンビエント(時にポストクラシックとも呼ばれる)作品を多数発表しており、これらの作品の多くはは自身のレーベル〈History Always Favours the Winners〉からリリースされている。
 カービーはイングランドのマンチェスターから車で20分ほど離れた街ストックポート出身で、現在はポーランドのクラクフに在住。彼の作品のアートワークの多くは、同じくストックポート出身でベルリン在住の画家、イヴァン・シールが手がけている。地元が近いアンディ・ストットやデムダイク・ステアとも交流があり、最近では2006年に録音され2017年にリリースされたV/Vm『Brabant Schrobbelèr』のミックスをデムダイク・ステアのマイルズ・ウィテカーが担当している。
 その作品はアンビエントやノイズのリスナーだけではなく、ダンスミュージックのファンも魅了してきた。海外ではフライング・ロータスをはじめとするミュージシャンたちも彼のファンであることを公言している。

ツイッターでザ・ケアテイカーに言及するフライング・ロータス


 日本における紹介者としては、評論家の阿木譲が積極的にカービーの作品をとりあげており、本人と直接連絡も取り合っているようだ。三田格はV/Vm時代からその活動に注目しており『裏アンビエント・ミュージック 1960-2010』(INFASパブリケーションズ、2010年)でカービーに言及し、ザ・ケアテイカー名義の『Patience (After Sebald)』(2012年)の評がウェブ版「ele-king」には掲載された。(筆者は「ele-king Vol.20」(2017年)のダンス・ミュージック特集で、カービーの『The Death of Rave』(2014年)における「レイヴの死」の表象について思想サイドから考察を行っている。)
 ザ・ケアテイカー名義では1999年に第一作『Selected Memories From The Haunted Ballroom』を発表。「ザ・ケアテイカー(The Caretaker)」とはスティーヴン・キング原作(1977年)でスタンリー・キューブリックが1980年に映画化した『シャイニング』から着想を得ている。この第一作目のタイトルにある「The Haunted Ballroom(取り憑かれた社交パーティ舞踏室)」とは、ジャック・ニコルソン演じる主人公が誰もいないはずのボールルームで、パーティを楽しむ大勢の幽霊(あるいは記憶)たちに遭遇するあの場面を指しており、「ザ・ケアテイカー(管理人)」とはそのシーンで主人公が出会うかつてホテルの管理人(彼も幽霊、あるいは記憶)を務めていた登場人物からとられている。


The Caretaker - Selected Memories from the Haunted Ballroom

 そのサウンドの特徴は、端的に説明すれば、レコードのクラック・ノイズのカーテンの向こうから聴こえてくる過剰なエフェクトが加えられた78回転レコードのサンプリング・ループである。また、このプロジェクトのコンセプトには、ザ・ケアテイカーという存在は認知症を患っているため、過去を正しく思い出すことができない、という設定がある(ちなみにカービー本人は認知症を患ってはいない)。『Everywhere at the End of Time』のシリーズ前半である1−3作は「Awareness」(「Consciousness」と同じく「意識」も指すが同時に「気づき」も含意する)がテーマで、4作目以降は「Post Awareness」、つまり「気づき」が及ばない領域におけるより混沌としたサウンドスケープが展開されていくそうだ(この連作では同様のサンプリング・マテリアルが違ったアレンジで各所に何度も現れてくる。それを認知症の設定と関連づけて「ele-king vol.21」の年間ベスト評で筆者は考察した)。なお、今シリーズを最後に、ザ・ケアテイカーとしてのプロジェクトは終了することをカービーは既に発表している。
 『Everywhere at the End of Time』をテーマにした2017年12月のライヴでは、ザ・ケアテイカーとそのライヴのヴィジュアルを手がけるウィアードコア(Weirdcore。エイフェックス・ツインとのコラボレーションでも知られる)がステージに現れた。ステージ上にはソファーが二つ、コーヒー・テーブルが一つ、マイクスタンドが一つ、コート掛けが一つ、ウィスキーが一瓶。そのどれもがヴィンテージ調である。爆音で音楽が流れ、ステージ上空の大きなプロジェクターに映る映像と大量のスモークがそれを彩る。その一方でふたりは機材を操作する行為は一切行わない。ただソファーに腰掛け、ウィスキーと会話を楽しんだ後、黙って回想に耽り、ザ・ケアテイカーはたまに立ち上がると曲に合わせて歌うふりをするだけ……、という強烈な「パフォーマンス」が披露された。ちなみに過去のライヴで、カービーはバニー・マニロウやブライアン・アダムスをアンコールで熱唱し(ジョークなのだろうが、これがなかなか良い)、V/Vm名義では豚の仮面を被りステージ上を豪快に動き回っていた。
 先日の『Stage 4』のリリースと同時に、2017年に発表された『Take Care, It's A Desert Out There...』も再発された。もともと同作は、ポーランドの音楽フェスティバルであるアンサウンドがロンドンのバービカン・センターでその年の12月に開催したイベントにザ・ケアテイカーがライヴ・アクトとして出演した時に無料配布されたもので(先ほど紹介したライヴはこの時のものだ)、マンチェスターに拠点を置くディストリビューター/ウェブ上の販売店であるブームカットから後ほど発売された。
 同作は今年の2月に日本語訳版が刊行された『資本主義リアリズム』(堀之内出版、2018年)の著者である批評家故マーク・フィッシャーに捧げられている。フィッシャーとカービーの親交は10年以上に及び、ザ・ケアテイカー名義で発表された『Theoretically Pure Anterograde Amnesia』(2005年、CD は2006年。なんと6枚組である)のライナーノーツを担当したのはフィッシャーだ。このライナーノーツの結びの言葉である「気をつけろ、外は砂漠なのだから……」から件の2017年作のタイトルはとられている。その文章と、英誌『Wire』2009年6月号に掲載されたフィッシャーによるカービーへのインタヴューは、彼の著作『Ghosts of My Life: Writings On Depression, Hauntology And Lost Futures』(Zero Books、2014年)に収録。本書において、フィッシャーはカービーをブリアルと並べて考察し、もはや未来が輝いていない現代を描いた作家として大きく評価した。
 フィッシャーは2017年1月に自らその命を絶つ。享年、48歳。晩年はうつ病を患っていた。彼の死に対して、コード9やサイモン・レイノルズをはじめとする多くのミュージシャンや批評家たちが哀悼の意を表してきたが、カービーはこの作品を発表するまで沈黙を通してきた。『Take Care, It's A Desert Out There...』の売り上げはイギリスのメンタル・ヘルス支援団体Mindへ送られるという。本作のCDには、並んで街を歩くフィッシャーとカービーの後ろ姿の写真がプリントされている。
 同様のジャンルで活動する他のミュージシャンたちに比べると、日本におけるザ・ケアテイカーをはじめとするカービーの作品の認知度はあまり高くはないかもしれない。しかしイギリスをはじめとする欧米の電子音楽のリスナーからの支持は大きく、その背景にはその独自なサウンドだけではなく、フィッシャーの文章による力や、その活動の方法なども影響しているのかもしれない。カービーはインディペンデントでの活動に重点を置くプロデューサーだ。基本的に毎回少数しか作られないLP(すぐにソールドアウトになる)とデータでのみ作品はリリースされる(新作のLP盤を手に入れてみたいという方は、彼のフェイスブック・ページで事前に発売日が発表されるのでチェックしてみてください。現時点ではアップル・ミュージックやスポティファイに彼の主要作品はなく、過去作の大半は〈History Always Favours the Winners〉のバンドキャンプのページで入手が可能だ。『Theoretically Pure Anterograde Amnesia』を購入すると、フィッシャーによるライナーノーツのPDFファイルも付いてくる。 
 「残念ながら、未来はもはやかつてのようなものではない」。カービーは2009年の自身名義のアルバム・タイトルでそう述べている。カービーはこの現代をどう見ているのか。ザ・ケアテイカーはなぜ記憶について語るのか。マーク・フィッシャーはどのようにこれらの作品を聴いていたのか……。そんなことを考えながら、認知症を患った記憶の管理人と、それを操るジェイムズ・リーランド・カービーの恐ろしく奇妙で美しいサウンドに耳を傾けてみてはいかがだろうか。

Flying Lotus, Thundercat, George Clinton & P-Funk - ele-king

 こ、これはすごい。一昨年、ジョージ・クリントンとの契約が大きなニュースとなった〈ブレインフィーダー〉だけれど、その後しばらく音沙汰がなかったので、いったいどうなったのかとやきもきしていたファンも多いだろう。それがここへ来てとんでもないアナウンスである。今夏8月17日、SONICMANIAに〈ブレインフィーダー〉ステージが出現、フライング・ロータス、サンダーキャット、ジョージ・クリントン&Pファンクのビッグ3が一堂に会する――そう、ここ日本で。まるで夢のような話じゃないか。これはもう行く/行かないを迷うような次元の話ではない。これから半年間、首を長く長~くして待っていよう。

SONICMANIAに〈BRAINFEEDER〉ステージが登場!

フライング・ロータス、サンダーキャット、そして
ジョージ・クリントン&パーラメント・ファンカデリックが出演決定!

‘Brainfeeder Night In SONICMANIA’
featuring
FLYING LOTUS
THUNDERCAT
GEORGE CLINTON
...and more!!

ナイン・インチ・ネイルズ、マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン、マシュメロという、SUMMER SONICに引けを取らない強力な出演陣が発表され、大きな話題となっているSONICMANIA。今回第2弾アーティストが発表され、フライング・ロータス主宰レーベル〈Brainfeeder〉ステージが登場することが明らかに!

昨年は自ら手がけた映画『KUSO』の公開や、短編アニメーション『ブレードランナー ブラックアウト2022』の音楽を手がけたことも記憶に新しいフライング・ロータス、最新作『Drunk』をリリースし、2017年の音楽シーンを象徴する存在と言っても過言ではない活躍を見せたサンダーキャット、そして言わずと知れたファンクの神様、かねてより〈Brainfeeder〉への参加が噂されていたジョージ・クリントンがジョージ・クリントン&パーラメント・ファンカデリックとして出演決定!

SONICMANIA 2018
2018.8.17
www.sonicmania.jp

2017年11月にMVと共に公開されたフライング・ロータスの最新曲“Post Requisite”
Flying Lotus - Post Requisite
>>> https://youtu.be/2XY0EHSXyk0

フライング・ロータスの長編デビュー映画『KUSO』の公式トレーラー
Flying Lotus - Kuso (Official Trailer)
>>> https://youtu.be/PDRYASntddo

映画『ブレードランナー2049』と、前作『ブレードランナー』の間を繋ぐストーリーとして渡辺信一郎が監督した短編アニメーション
「ブレードランナー ブラックアウト 2022」
>>> https://youtu.be/MKFREpMeao0

80年代を代表する黄金コンビ、マイケル・マクドナルドとケニー・ロギンス参加のリードシングル
Thundercat - Show You The Way (feat. Michael McDonald & Kenny Loggins)
>>> https://youtu.be/Z-zdIGxOJ4M

東京で撮影されたMVも話題となったアルバム収録曲
Thundercat - Tokyo
>>> https://youtu.be/QNcUPK87MnM

フライング・ロータス、サンダーキャット、シャバズ・パラセズによるプロジェクト、WOKEの1stシングル。ジョージ・クリントンが参加!
WOKE (Flying Lotus, Shabazz Palaces, Thundercat) feat. George Clinton - The Lavishments of Light Looking
>>> https://soundcloud.com/adultswimsingles/woke


label: BEAT RECORDS / BRAINFEEDER
artist: FLYING LOTUS - フライング・ロータス
title: YOU'RE DEAD - ユーアー・デッド
release date: NOW ON SALE
cat no.: BRC-438
国内盤特典: ボーナス・トラック追加収録

本日リリース!
label: BEAT RECORDS / BRAINFEEDER
artist: Thundercat
title: Drank
release date: 2018/02/02 FRI ON SALE
国内初回生産盤:スリーヴケース付
歌詞対訳/説書封入
BRC-568 ¥1,800+税

label: BEAT RECORDS / BRAINFEEDER
artist: Thundercat
title: Drunk
release date: NOW ON SALE
国内盤特典:
ボーナス・トラック追加収録/歌詞対訳/解説書封入
BRC-542 ¥2,200+税

Flying Lotus - ele-king

 きました。今年はアンダーソン・パークとのコラボを仄めかしたり、あるいは『KUSO』や『ブレードランナー ブラックアウト 2022』といった映像関連の仕事で話題を振りまいてきたフライング・ロータスが、去る11月2日、ついに自身の新曲をMVとともに公開しました。ああ、このビート感……まぎれもなくフライローです。ヴィデオの監督はウィンストン・ハッキング。これは、いよいよ新たなアルバムのリリースが近づいている、と考えていいのでしょうか。続報を待ちましょう。

[11月13日追記]
 2年ぶりとなるMV“Post Requisite”を公開したばかりのフライング・ロータスですが、去る11月10日に新たなショート・フィルム「Skinflick」が公開されました。

https://www.nowness.com/series/define-beauty/skinflick-flying-lotus

 これはアート/カルチャー・メディア『NOWNESS』の企画「Define Beauty」のための作品で、フライロー自身が監督を務めています(使用されている楽曲も彼によるもの)。内容は、フライローの長編デビュー作となった映画『KUSO』に出演していた友人、“バブル”ボブ・ヘスリップ("Bubble" Bob Heslip)に捧げるものとなっており、神経線維腫症(1型)による皮膚神経線維腫を抱えたボブの美しさにフォーカスしたものだそうです。

FLYING LOTUS
新曲“POST REQUISITE”をミュージック・ヴィデオとともに公開!

今年7月に、3Dを駆使した新たなオーディオ・ヴィジュアル・ライヴをFYFフェスティヴァルで披露し、今週から全米ツアーがスタートするフライング・ロータスが、新曲“Post Requisite”をミュージック・ヴィデオとともに公開! フライング・ロータスにとって、2年ぶりの新作ミュージック・ヴィデオとなる。

Flying Lotus - Post Requisite
https://s.warp.net/PostRequisite

監督/アニメーション/操作:Winston Hacking
ストップ・モーション・アニメーション:Jeremy Murphy
追加コラージュ:Andrew Zukerman
プロデューサー:Flying Lotus, Eddie Alcazar
制作会社:Brainfeeder Films

この3Dツアーには「Red Bull Music Academy Festival Los Angeles」の一環として開催され、サンダーキャットも参加するハリウッド・フォーエヴァー・セメタリーでの公演や、ソランジュとアール・スウェットシャツも出演するバークリー公演も含まれる。

2017年はフライング・ロータスにとって、特に映像面において飛躍的な1年となっている。自作の長編デビュー映画『KUSO』が、サンダンス映画祭で初上演されたほか、日本でも公開を迎えた話題の映画『ブレードランナー2049』と、前作『ブレードランナー』の間を繋ぐストーリーとして、渡辺信一郎が監督した短編アニメーション『ブレードランナー ブラックアウト 2022』の音楽を担当したことも大きな話題となった。

Flying Lotus - Kuso (Official Trailer)
https://youtu.be/PDRYASntddo

「ブレードランナー ブラックアウト 2022」
https://youtu.be/MKFREpMeao0

音楽はもちろん、映像面でも進化を続けるフライング・ロータスから今後も目が離せない!




DJ Paypal × Makoto Taniguchi - ele-king

 8月19日から開催されるアートと音楽の新たな国際フェスティヴァル「インフラ INFRA 2017 」。食品まつりや竹村延和らが参加するそのフェスのメイン・イベント(8月23日)に、〈LuckyMe〉や〈Brainfeeder〉からのリリースで知られるジューク/フットワークの奇才、DJペイパルが出演する。タッグを組むのは映像アーティストの谷口真人。当日は両者がこのフェスのために制作したサウンド・パフォーマンス作品「リアニメーション」が発表され、またふたりによるトーク・セッションも予定されている。一夜限りのスペシャルなセットをぜひ。

https://www.infra-festival.com/ja/event/dj-paypal-x-makoto-taniguchi/

インフラ INFRA 2017 プレゼンツ
コンサート
at 山本現代
「リアニメーション」 by DJペイパル × 谷口真人
トーク
「アニマ」 by DJペイパル、谷口真人

「インフラ INFRA 2017」音楽とアートの国際フェスティバル関連プログラムでは、アーティスト、谷口真人によるアニメーションとDJペイパルによる、サウンド・アニメ・パフォーマンス、「リアニメーション」を開催します。
シカゴ発祥の音楽ジューク/フットワークを元に、ディスコ・ミュージックやJポップなどのポップ・ミュージックをサンプリングした独自のスタイルで、クラブ・シーンや実験電子音楽シーンから世界的評価を集めているミュージシャン、DJペイパル。そして、アニメーションというメディウムを元に画像、ナラティブの関係性を探るアーティスト、谷口真人。
本フェスティバルのために発表されるサウンド・パフォーマンス作品「リアニメーション」ではDJペイパルによるアッパーかつポップな音響の中で、谷口の作るアノニマスな雰囲気の漂うキャラクター「SOI」のアニメーションが巨大スクリーンに投影されます。谷口とペイパルがともに作り上げたストーリーのもと、主人公「SOI」がイメージの世界をめくるめく疾走し、アニメーション・キャラクターである自身のアイデンティティをリアニメーション=再生していきます。

また、コンサート後にはアニメーションの語源である「アニマ(霊魂)」を手がかりに、彼らが見てきたアニメーションや聴いてきた音楽のルーツ、そこから得た精神性まで掘り下げたトーク・セッションを行います。

記念すべきアートと音楽の祭典、第1弾「インフラ INFRA 2017」。
様々な情報が交わるインターネット時代以降における、新たな表現の可能性を音楽、パ
フォーマンス、リチュアルなどを横断し観客とともに探求する特別な機会を是非お楽しみください。

2017年8月23日(水)
インフラ INFRA Presents
コンサート「リアニメーション」by DJペイパル × 谷口真人
トーク「アニマ」DJペイパル、谷口真人

18:00 会場オープン
19:00−19:30 コンサート DJペイパル × 谷口真人「リアニメーション」
20:00−21:00 トーク DJペイパル、谷口真人「アニマ」

[チケット予約] 全席自由 一般2,000円
https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/01a5d9yzw84v.html#detail

会場: 山本現代
〒140-0002 東京都品川区東品川1-33-10 TERRADA Art Complex 3F
Tel: 03-6433-2988
Email: i@yamamotogendai.org
https://www.yamamotogendai.org

[アクセス]
電車をご利用の場合:
京急本線「新馬場駅」北口から徒歩7分
東京臨海高速鉄道りんかい線「天王洲アイル駅」B出口から徒歩8分
東京モノレール「天王洲アイル駅」南口から徒歩10分
JR「品川駅」港南口から徒歩20分

バスをご利用の場合:
品川駅港南口から品91,93,98(都営バス)で「天王洲橋」下車 徒歩3分
目黒駅から品93(都営バス)で「天王洲橋」下車 徒歩3分
新宿駅西口から品97(都営バス)で「北品川二丁目」下車 徒歩3分
渋谷駅から渋41(東急バス)で「新馬場駅」下車 徒歩8分

お車をご利用の場合:
渋谷方面より山手通を品川埠頭方面へ新東海橋信号を右折海岸通沿い右手
(品川駅港南口からタクシーでワンメーター)

[PROFILE]
■DJペイパル

シカゴ発祥の音楽ジューク/フットワークのジャンルにおいて最も注目すべきアーティストである。つかまえどころのないプロデューサーとして、ペイパルはこれまでにシカゴのTeklifeCrew、自身のMall Musicコレクティブ、グラスゴーのアングラリーダー〈LuckyMe〉やFlying Lotusの〈Brainfeeder〉などに属す中、オンライン・フットワーク・フォーラムやSoulseekでのデータ発掘を通し、国際的にいくつものトラックを共有してきた。フットワークを新しい方向へとまわし、ジャンルの目立たない遊び心にフォーカスをあてる。

■谷口真人
映像、ミクストメディア・オブジェクト、絵、インタラクティブ・インスタレーションなど複数の表現形態で現代の人間の存在感を探究する。主な個展に、2015「you」(AISHONANZUKA、香港)、2014「Untitled」(NANZUKA、東京)、2012「あのこのいる場所をさがして(2005)」(SUNDAY、東京)、2011「アニメ」(SUNDAY ISSUE、東京)、主なグループ展に、2014「美少女の美術史」(青森県立美術館 / 静岡県立美術館 / 島根県立石見美術館 (巡回))、2011-2012「Daughters of the Lonesome Isle Marlene MARINO / Makoto TANIGUCHI」(SPROUT Curation、東京)、2009「neoneo 展part1 [男子]」(高橋コレクション日比谷、東京)など。

企画:インフラ INFRA
共催:山本現代
協力:パークホテル東京、パイオニア
助成:アーツカウンシル東京

「いややこややEP」リリース記念 - ele-king

 DJヨーグルト&Mojaが踊ってばかりの国の「いややこやや」のダブ・ミックスを12インチで発表する。トラックは再構築され、下津の歌は録り直され、新しい曲に生まれ変わったと言っていい。以下、ことの成り行きについてDJヨーグルトと下津が対談してくれた。

text : DJ Yogurt(Upset Recordings)

「踊ってばかりの国との出会いは2012年の夏に"!!!"のPVをたまたまYouTubeで見て、最初イイ曲と思ったのでもう一度聴いて、それでもまだ聴きたかったので珍しく3回連続聴いて、今度は歌詞の内容も気になってきたので歌詞を聴きとりながら聴いたところ、輪廻転生をこれだけポップに表現した日本語の歌は初めて聴いた気がして4回目にして深く感動。歌声とメロディーと歌詞の鮮やかな組み合わせにハマってその日は結局"!!!"を5回聴いた。
 翌日にDisc Unionで"!!!"収録の2011年11月リリースのセカンド・アルバム『世界が見たい』を買って聴いてみたら、タイトル曲の"世界が見たい"等名曲揃いだったのであらためてこのバンドの凄さを実感して、ボーカルとギター、作詞作曲を担当している下津光史の名前を脳に刻んだ。
 2012年10月に尚美学園大の学祭で初めて踊ってばかりの国のliveを見た時は出演時間が短かったこともあってなかなか良いバンドと思った程度だったけど、12月に前任のベースのラストliveだった新代田feverで披露したスローハードコア・サイケデリックな"何処にいるの?"のライヴ・アレンジに激しい衝撃を受けて、2013年以後は踊ってばかりの国のライヴに年に数回以上通うようになり、通っている間にliveヴァージョンの"いややこやや"がとんでもない浮遊感を醸し出していることに気が付いて、下津に"いややこやや"を再録してみない? と踊ってばかりの国の楽屋で提案したところ、下津も快諾してくれたので、2015年から自分と共同で音楽を制作していて、踊ってばかりの国が現在使用している練習スタジオから徒歩3分の場所に住んでいるMojaの自宅兼スタジオで下津のギターと歌を録音。

 それらをYogurt and Mojaの制作したトラックに載せて、Lorde"Royals"やASAP Rocky"LSD"、Massive Attack Meets Mad Professor等の感覚から影響を受けつつ、Mojaと2人でいろいろとアレンジしていって、2017年1月にキムケンスタジオでキムケンさんにマスタリングしてもらって完成。
 マスタリングの終わった"いややこややDub"をEle-King野田編集長に送ったところ、「いいじゃんこれ。マッシヴ・アタック直系ダブだね。このリリースに合わせてヨーグルトと下津が対談したらEle-King Webに掲載してあげるよ」と応援のメッセージをもらったので、今回DJ Yogurtと下津光史の初対談企画が実現!

 野田さんの著作『ジャンク・ファンク・パンク』持参で現れた下津。8時からの踊ってばかりの国のスタジオリハ前に、下北沢のカフェで対談。昨夜から下津と一緒にいるという踊ってばかりの国と同じレーベルに所属のバンドGateballers/GodのKayaくんも同席。

Yog「これまでも下津が対談しているのをネットで読んだことがあって、おとぎ話の有馬くんとか」

下津「Novembersの小林裕介とか……年に一回くらいのペースでやってる感じで、ちょいちょい。みんなバンドマンばかりで、DJと対談するのは初めてです」

Yog「本日はよろしくです! 今回リリースするいややこややは元々はいつ頃出来た曲なの?」

下津「踊ってばかりの国がいつも練習に使っていた代々木Step Wayで作り上げた曲ですね。3年くらい前でまだStep Wayがあった頃で、谷山が当時受付をしていて……。最初はボサノヴァっぽいデモを自分が弾き語りで作って、Step Wayで当時のギターの林くんとアレンジを打ち合わせしたら、Dubというか浮遊感のあるリズムにしようということになって、ドラムはブラシでやろうと最初のうちはJazzっぽいアレンジも試したりしたけど、結局アルバム収録の感じに仕上がりました」

Yog「自分は"いややこやや"はliveで聴いてこの曲の魅力に目覚めた感じで、スタジオ録音の感じとも違うし、liveでめっちゃ映える曲というか……liveのアレンジはこれまで変わってきてる?」

下津「曲が自然に一人歩きしていくのにまかせてます、最近踊ってばかりの国のギターが1人増えてそのことでまた変わっていったり……」

Yog「なるほど……この曲が生まれて以後、ずっとliveでやってるの?」

下津「そうですね。liveで楽しい曲。現実逃避の側面もある曲でもあったり、ドラッギーな雰囲気を漂わせたり」

Yog「最近聴いたんだけど坂本慎太郎さんが歌詞を書いたCorneliusの新曲のBPMが遅くて、たまたまだけどリリースのタイミングが近い今回のいややこややDubのテンポ感と似ていることが面白いと思ったりしてね~」

下津「自分は今回のいややこややDubにはFlying Lotusを感じましたよ。
ひずみを使わないでDopeな感覚を追及しているところに、アンビエントに通じているDJの感覚を感じることもありました。Remixの進行中にまだ完成していないVersionを色々と送ってくれて、できていく過程を聴くことができたのも面白かったです」

Yog「"いややこやや"のRemixは1年以上かけて制作したから、初期からは結構変わっていって、3~4つくらい違うVersionを下津に送ったかも? 遅い曲で盛り上げたり、ハマる雰囲気を作るのは、早い曲で盛り上げるよりも難しいと思っているからこそ、"いややこやや"みたいな曲がこの世に増えたら嬉しいな。今回は"いややこやや"をDub Mixするのがとても楽しかったのでまた何かやれたら」

下津「またやりましよう!」

Yog「踊ってばかりの国の曲じゃないけど、下津がはじめた新しいバンドのGodが去年録音して、下津に頼まれて今年1月にDJ Yogurt and mojaが制作した"De Javu"のRemixはいつ出る予定なの?」

下津「未定ですけどそのうち必ずリリースする予定で、現在はGodや踊ってばかりの国のニューアルバムに向けていろいろ準備中です。まだ詳細は発表できないんですけど」

Yog「"De Javu"は本当にイイ曲だと思っていて、新たに生まれた下津クラシックというか。ジャーマン・ロック的なサイケデリックなアレンジと感じるところもあって、Neu!とかCanとか。下津がソロliveでアコギで披露しているバンドとは違うアレンジも凄く良いし」

下津「ソロの時はデヴェンドラ・バンハートみたいなアレンジでやったりしてますね」

Yog「ソロ・ライヴのヴァージョンも好き。Godで録音したKayaくんのトリップ感溢れるギター、Janくんのうなるベース、光星のタイトなドラム、Rikiの感性が爆発している自由奔放な40分の完全Versionも勿論出してほしいし、自分とMojaで再構築して濃縮した17分Versionも気に入っているのでぜひ」

下津「Godの2ndアルバムのBonusとか配信限定として出すか……どんな形になるかわからないけどリリースするつもりなので!」

Yog「諸々準備中という踊ってばかりの国の新作のマスタリングは中村宗一郎さんにお願いするのも面白いんじゃないかと思ってるんだけど……」

Kaya「ジャッパーズの新作を中村さんがマスタリングしている凄く音が良かった。今年出たアルバムで一番びっくりした」

Yog「いいね~、聴いてみるわ」

下津「ジャッパーズはYogee New Wavesのベースの人がいるバンドで、今度5月30日のHappyと踊ってばかりの国と渋谷でliveしますよ」

Yog「行こうかな……、クアトロで見て以来、踊ってのliveに行ってないわ」

下津「まじで? 乾いてんじゃん?」

Yog「そろそろ行かないと……3月の踊ってのクアトロでは、90年代~00年代にPartyで見かけていた自分の古い知り合いが子供を連れて来ていてびっくりしたよ。その5歳の男の子がめちゃ踊ってばかりの国のファンで楽屋に来て下津に握手を求めにくる姿に感動したわ。小さい子供だけじゃなくて60歳前後の感じの人達も来ている感じもあって、もちろん若い世代もいて、
自分が行くliveやPartyの中で特に色々な世代が来ていた印象を受けたよ」

下津「そういう風になれと思ってるんで……がんばります」

Yog「前からあんなに幅広い世代が踊ってばかりの国のliveに来てたの?」

下津「踊っての音楽性には時代性とは関係無いところもあるから、世代や時代の差を越えて幅広い世代に届くようなところがあるのかもしれないですね。自分がニュージーランドに滞在していた頃に広場におばあさんたちが数人集まっているのを偶然見かけた時に、その中心に置いているラジカセからレッチリの曲が流れていて、車いすのおばあさんとかも普通に聴いててそういうのっていいなって思って」


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