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Interview

interview with Silkie

interview with Silkie

ロンドンからやって来たソウルステッパー

――シルキー登場!

取材:野田 努   写真:小原泰広   May 23,2011 UP

スティーヴィー・ワンダーとクインシー・ジョーンズはとくに尊敬している。作っていくうちに、何かいいなと思えるアーティストに出会うんだけど、そのひとりがスティーヴィー・ワンダーだったね。実は最近は古い音楽ばかり聴くようになっているんだ。音楽を作っていないあいだは音楽ばかり聴いている。


E王 Silkie
City Limits Volume 2

DEEP MEDi Musik/Pヴァイン(6/15発売予定)

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ダブステップやガラージ以外で尊敬しているアーティストに誰がいますか?

シルキー:たくさんいるけど、スティーヴィー・ワンダーとクインシー・ジョーンズはとくに尊敬している。初期の頃はとにかくビートを作ることに専念していたんだ。それで作っていくうちに、何かいいなと思えるアーティストに出会うんだけど、そのひとりがスティーヴィー・ワンダーだったね。実は最近は古い音楽ばかり聴くようになっているんだ。音楽を作っていないあいだは音楽ばかり聴いている。母親のCDコレクションも聴いているほどだよ。

どんな音楽が好き?

シルキー:嫌いなジャンルはないよ。ヘヴィ・メタルがかかっていると音量を下げるくらいかな(笑)。

ダブステップも生まれて10年くらい経ちますが、あなたから見てシーンはどう見えますか?

シルキー:とても健康的に見えるよ。音楽的に前向きにどんどん展開しているでしょ。古い世代もがんばっているし、新しい世代もどんどん出てきている。ダブステップと呼べるかどうかわからないものまで出てきていることも良いことだと思う。UKではダブステップはすでにメインストリームの音楽だけど、いまでもアンダーグラウンドはしっかりしているし、全体的に良い流れだと思うよ。

あなたが嫉妬を覚えるほどのプロデューサーは誰?

シルキー:ハハハハ、嫉妬は覚えないなー。素晴らしい作品を聴けば、自分にもそれが作れるんじゃないかと励みにしているよ。

好きなプロデューサーは?

シルキー:クエストやベンガやジョーカーや......いや、止めておこう。身内を褒めるようで気色悪い(笑)。

『シティ・リミッツ』のシリーズは今後どうなっていくんですか? 今年に入って2枚のシングルを出していますよね。

シルキー:音楽的に言えば、変化するだろうね。PCのプラグインも変えるし、音も変える。

昨年はUKファンキーもすごかったし、UKのベース・ミュージックもいま頂点を迎えていると思います。こうしたシーンの動きは意識していますか?

シルキー:僕のなかの変化はシーンにともなうものっていうよりも僕個人のなかの変化だと思う。自分がどこかのシーンに属しているって感じでもないし。セカンド・アルバムの『シティ・リミッツ・ヴォリューム2』もほんとんど出来ている。日本では〈Pヴァイン〉から6月15日にリリースする予定だよ。

それは楽しみですね。

シルキー:ありがとう。2歳年を取った分だけ、音楽もよくなっていると思うよ(笑)。

最後に、お礼を言いたいんだけど、今回の福島第一原発の事故の影響で多くの欧米のDJやミュージシャンが来日をキャンセルしています。そんなかで来てくれてありがとう。

シルキー:たしかにまわりの友だちにも止められたんだけど、テレビのニュース番組で言っていることを信じるよりも自分で調べてみて、その結果、放射線の量もそんなに気にすることもないんじゃないかと思って。まあ、自分が空港まで歩くまでのリスクとそんなに変わらないんじゃないかと思ったんだよ(笑)。

 取材をした数週間後に、セカンド・アルバム『シティ・リミッツ・ヴォリューム2』が届いた。間が悪いというか、新作について訊けなかったのがホントに残念だ。新作には前作とは違った興味深い変化があるのだ。
 アルバムの1曲目に収録された"フィール"は2ステップのビートとダブの空間のなかを、美しいピアノとストリングスが繊細に交わっていくいかにも彼らしい叙情詩で、アルバムでも1位~2位を競うほどの素晴らしい曲だが、『ヴォリューム2』には前作以上にビートが強調されている。アルバムの中盤はとくにそれが顕著で、ダブステップのビートをさまざまな角度で展開しながら、彼のジャズ/ファンクのセンスが活かされている(たぶん......そのスジでも大いに騒がれるでしょう)。そして、それはUKベース・ミュージックのスリリングな冒険となっているわけだが......、それはときとしてカール・クレイグのようなメランコリーを見せ、ときとしてURのような力強いファンクを見せているという、デトロイティッシュなセンスもさらに際だっている。
 そして......それは放射線量を気にしながら暮らし、もはや軽々しく"アーバン・ソウル"などとは言えなくなった我々にはなおさらずしりと響くかもしれない。まさに我々はいま、"シティ・リミッツ"な状況にいるのだから......。
 とはいえ、まあ、シルキーは新作でも変わらずロマンティックである。アルバムの最後から2番目に収録された"Only 4 U"は、"コンクリート・ジャングル"の続編とも言える曲だ。浮かれ、舞い上がってしまうようなジャズ・ダブステップで、ファンはこういう曲を心待ちにしていたのだろうし、そしてシルキーはそのことよく理解しているかのように、期待に応えている!

取材:野田 努(2011年5月23日)

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