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Interview  with shonen knife

Interview with shonen knife

ただいま800本通過中!

――少年ナイフ、インタビュー

水越真紀    Jun 05,2012 UP

少年ナイフ
Pop Tune

Pヴァイン

Amazon iTunes

 昨年、結成30年を迎えた少年ナイフの新作『ポップ・チューン』は、タイトルどおりのポップなアルバム。これだけではなにも言ってないか......。
 どんなに浮き足立った時代にもどん底にも思える暗い時代にも、少年ナイフはいつも目の前にある現実を歌ってきた。それはいまも変わらない。おいしいもの、おかしいこと、つらいこと、ふしぎなことーーソングライターのなおこの体験や目にとまったものが、彼女独特のイマジネーションを加えて、それが少年ナイフのチューンになる。
 かわいいものはただかわいいのではなく、つらいことはただつらいのではなく、おいしいものは......これだってただおいしいってだけじゃなくなる。「私たちの音楽で楽しんでほしい」と少年ナイフは言う。覚えやすいメロディとシンプルな言葉、むずかしいことなんてなにも言っていないのに、なおこの視線にはすごく醒めたところがあって、そのクールさが少年ナイフを少年ナイフたらしめ、そのロックンロールに巻き込んでゆく。
 「ロマンは苦手」となおこは言う。以前のインタヴューで訊いた「命がどうしたってことにロックを感じない」という言葉は、大震災後のいまも変わらず少年ナイフの作品を支えている。へそ曲がりだけど偏屈でもシニカルでもない。そんなのは彼女たちにとっては平凡すぎて「ロックじゃない」んだろう。
 新作を聴くたびにそうなるのだけど、今回もまた、少年ナイフ的「世界の見方」に笑って楽しんでドキッとして、それから(文字どおり)ハングリーでロックなーーなんというか、「暮らしの基本」のようなところに立ち返らせられてしまった。
 では、インタヴューをお楽しみください!

実体験を歌にすることが多かったんですね。想像をふくらませて、想像の世界でおおきくして。ロマンじゃないんです。ロマンは苦手なので(笑)。現実主義なんで、そういう現実から少しふくらませていくんです。(りつこ)

りつこさんとえみさんは今度のアルバムは少年ナイフとしては何作め?

りつこ:わたしは今回が3枚めです。加入してからアルバムとしては4作品めです。オリジナルとしては。

えみ:わたしはひとつ前の『大阪ラモーンズ』からですが、オリジナルとしては今回が初めてです。ライヴは一昨年からですね。4月でまる2年になりました。

なおこ:だけどもう昔からいる感じです。もう10年はいる感じ(笑)。

りつこ:わたしは何年めだったかな。数えてないんですけど......。

なおこ:5年め。

りつこ:ああ、5年めです。今回の『ポップ・チューン』では、少年ナイフというものがどういうものかということをはっきりと言えるようになったと思っていて、自分の自然体でやれました。やっぱり入ったばかりの頃は「少年ナイフ」という名前にかまえていたところもあったし、いろいろ慣れない部分もあったけど、やっとここにきて少年ナイフというものを楽しめるようになりました。もともとファンだったので、責任感というわけじゃないですけど、自分のせいで悪くなったらイヤだとか、そういうのもあるじゃないですか。そういうのからはじまって、いまになって、今回の作品はほんと、いいものができたと自負しております。

なおこ:ははは。

えみ:わたしももともと少年ナイフに憧れて、少年ナイフに入ったんで、背中に大きな看板背負ってるという気持ちはあったんですけど、でももっといいバンドにするという気持ちもあったし、今回のアルバムにはそういうのが出せたと思います。

なおこさんから見ていまの少年ナイフはどうですか?

なおこ:もう最高にいい状態だと思います。最初のオリジナル・メンバーのときは原初的な狂気もはらんでいたかなとも思うし、そのあとに参加してくれたメンバーやサポートの人たちもそれぞれの持ち味があって、そのときは面白かったけど、いまのメンバーというのはすごく、りつこさんもさっき言ったけど、自然に合わせて、そうしたらそれがすごく相性のいい演奏になると言うか、そういうことが自然にできるメンバーなので、いまのメンバーはいまの少年ナイフとして最高じゃないかと思います。

去年、たくさんのライヴをこのメンバーで回ったということですが、その時のことを聞かせてください。

なおこ:去年は日本でもたくさんやったし、北米とヨーロッパ・ツアーと2回大きなツアーをやりました。やっぱり1回大きなツアーに行くと、それでバンドのグルーヴができるというか、まとまりが出てくる。えみさんが入ってからも海外のツアーを4回、一昨年には中国や台湾にも行ったし、去年は1ヶ月以上のツアーを2回もできたんで、それがバンドにとってすごくよかったですね。

えみ:年間80本くらいはやってると思いますよ。

りつこ:国内でもそこそこやってて、海外には1回行けば30本くらいはやりますから。

少年ナイフとしてはそんなにハードにやる年ばかりではなかったですよね。

なおこ:ははは。そうなんですよ。4月に大阪の難波ベアーズっていうライヴハウスで少年ナイフ結成30周年記念イヴェントをやって、1部がライヴ、2部がトークだったんですけど、そのトークショーのために昔の資料を調べて日記とかを見てたら、1年目は10数本、2年目3年目になったら年間24回ライヴやった、というときもあれば、年に4回しかしなかったこともあった。海外ツアーに関しても、1989年に初めてアメリカに行って1回だけライヴをやって、2回目は91年にアメリカの4都市で、同じ年にニルヴァーナの前座でイギリスに行った。そのあたりから急に増えたけど、98年から2002年はぜんぜん海外は行かなかったりして......。ものすごくたくさんやってる年とやってない年があるんだなあと......。ただ、えみちゃんが加入してからは一昨年も去年もアメリカ・ツアーやヨーロッパ・ツアーがあるから、ものすごく密度が濃いと思います。

りつこ:えみちゃんが加入して間もない頃に750回だったんですよ、たしか。ほら、高知で712回目だって言ってませんでしたっけ?

なおこ:そうだ。高知で。

りつこ:そこからでもずいぶんやってるから、もう800回になってるかもしれない。

えみ:ええ、わたしも200回はかるく超えてる気がします、あれよあれよという間に。

りつこ:ここ数年でめっちゃライヴ増えたね。

ツアーの思い出と言えば?

なおこ:そうですねえ。やっぱり食べ物がおいしかった。スペインの食べ物がおいしかったなあとか。

えみ:よく食べて、私は前回のアメリカ・ツアーで5キロ太りました。

りつこ:ははは。今回は太らへんと言いながら途中で崩壊していくんですよ。

えみ:ピザ7切れ食べました。

りつこ:ちょっとえみちゃんやりすぎよ、って言って。

ははは。やっぱりお腹すくんだ。

えみ:すきますねえ。

体力いるわけで。

えみ:ええ、やっぱりいるんでしょうね。いるということにしておきましょう(笑)。

りつこ:ははは。そう言っときましょ。

なおこ:でも車ばっかりですから、歩かないんですけどね。

えみ:そうなんですよね。

なおこ:あと、おととし中国に初めて行ってすごく面白かった。

中国のどこですか?

なおこ:北京と上海と、台湾の台北の3本で大きめのライヴハウスでやったんですけど、「わあ!」となりましたよ。しかもお客さんが若かったんです。北京は中国人でしたが、上海は白人のお客さんばっかりで、ここはどこなんだろうって感じでした。もちろん初めて行くし、お客さんがどんな感じかまったく分からなかったんですけど、ステージに上がった途端、びっくりした。しかもみんなナイフを待ってたっぽい感じだったし。ナイフは中国でCDのリリースはないのにどうやって手に入れるのかはわからないんですよ。

りつこ:ここがいちばん印象的、というのはないんですけど、どこの国に行ってもナイフを待っててくれるお客さんがいるというのがつねにありましたね。

むかしと変わった印象はありますか? わたしは92年に初めてニューヨークで拝見したんですが、楽しそう、というか、すごく笑ってるお客さんが多かったですね。

なおこ:そうですか。いまもおんなじですね。お客さんけっこうにこにこして笑ってくれてる人が多い。それは日本でも外国でも。それでこっちも元気を与えられて。

取材:水越真紀(2012年6月05日)

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Profile

水越真紀水越真紀/Maki Mizukoshi
1962年、東京都生まれ。ライター。編集者。RCサクセション『遊びじゃないんだっ!』、忌野清志郎『生卵』など編集。野田努編『クラブミュージックの文化誌』などに執筆。

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