ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. R.I.P. Steve Cropper 追悼:スティーヴ・クロッパー
  2. Columns 内田裕也さんへ──その功績と悲劇と
  3. xiexie - zzz | シエシエ
  4. ambient room ──岡田拓郎Sextet、maya ongaku、BudaMunk、Satomimagaeが出演するイベント
  5. P-VINE × FRICTION ──フリクション公式グッズが、Pヴァイン設立50周年企画として登場
  6. FRICTION ──フリクションのデビュー7インチ「Crazy Dream」と「I Can Tell」が復刻、『79ライヴ』もCDリイシュー
  7. Amanda Whiting - Can You See Me Now? + The Liminality Of Her | アマンダ・ホワイティング
  8. DADDY G(MASSIVE ATTACK) & DON LETTS ——パンキー・レゲエ・パーティのレジェンド、ドン・レッツとマッシヴ・アタックのダディ・Gが揃って来日ツアー
  9. DJRUM - SUSTAIN-RELEASE x PACIFIC MODE - 2026年2月7日@WOMB
  10. Columns 2月のジャズ Jazz in February 2026
  11. interview with Autechre 来日したオウテカ──カラオケと日本、ハイパーポップとリイシュー作品、AI等々について話す
  12. Columns Introduction to P-VINE CLASSICS 50
  13. Stones Taro ──京都のプロデューサーが新作EP『Foglore#1』をリリース
  14. Cindytalk - Sunset and Forever | シンディトーク
  15. 別冊ele-king 坂本慎太郎の世界
  16. interview with xiexie オルタナティヴ・ロック・バンド、xiexie(シエシエ)が実現する夢物語
  17. Geese - Getting Killed | ギース
  18. ele-king presents HIP HOP 2025-26
  19. Father John Misty - I Love You, Honeybear  | ファーザー・ジョン・ミスティ、J・ティルマン、フリート・フォクシーズ
  20. Visible Cloaks ──ヴィジブル・クロークスがニュー・アルバムをリリース
/home/users/2/ele-king/web/ele-king.net/

Home >  News >  RIP > R.I.P. Pape Diouf - 追悼:パプ・ディウフ

RIP

R.I.P. Pape Diouf

追悼:パプ・ディウフ

野田努 Apr 07,2020 UP

 パプ・ディウフとはアフリカ系としては初の、ヨーロッパの一流クラブの会長に就任した人物。人種と階級を超えてフランスのサッカー界、ひいては欧州のサッカーに変化をもたらしたディウフもまたこの数週間のあいだ世界中で亡くなっている多くの人のひとりとなった。新型コロナに感染し、3月31日セネガルで息を引き取っている。
 ディウフの人生は、望みさえして努力を怠らなければ何にでもなれるというお手本のような人生だった。アフリカのチャドでセネガル出身の両親のもとに生まれたディウフは、18歳でフランスのマルセイユに移住すると兵役に就き、それから郵便局員となった。大学での勉強を諦め、地元メディアで(サッカー・チームの)マルセイユの記事を書くフリーのジャーナリストとして働く機会を得ると、全国スポーツ紙でも仕事をするようになる。そしてマルセイユに関わった人脈を活かして,彼は(いまほど代理業が盛んでなかった時代の)エージェントとして精力的に働くようになる。1996年に浦和レッズでプレーしたコートジボワール出身のボリ(ブッフバルト在籍時のDFのひとりですね)は、じつはディウフの最初のクライアントのひとりだった。彼がエージェントを務めた有名選手にはガーナ出身のマルセル・デサイーやコートジボワール出身のドログバもいる。ともにマルセイユを経てプレミアのチェルシーで爆発した選手である。
 2004年、マルセイユの会長で実業家のロベール・ルイ・ドレフュスはディウフをチームの幹部に入れている。そして2004年後半にディウフはクラブの会長となり、2009年までその職を続けた。
 ディウフの死は、やり手のエージェントで、かつてクラブの会長だった人物以上のものとして、多くのサッカーリジェンドたちから哀悼の意が表されている。大きな存在だったのだろう。兄貴肌で、クライアント=選手にとっては家族の一員のような存在だったことは、彼を父のように慕ったボリの言葉からも理解できる。苦労人だったからこそ他人の気持ちがわかる人物だったのかもしれない。が、違った角度から彼の人生を見ると、ディウフの栄光はグローバリゼーションの賜物でもあった、ということにも頭はめぐる。このパンデミックによって、少なくとも欧州におけるグローバリゼーションは、もう以前のようにはいかないだろうし、そういう意味ではひとつの時代を象徴した人物の死としても受け止めてもいいかもしれない。とはいえ、チェルシー時代のドログバの活躍の影には彼のような人の尽力があったことは事実だし、やはり偉大な人だったのだろう。その死は『ガーディアン』から『ニュー・ヨーク・タイムズ』にまで大きく報じられている。
 ちなみに彼が会長を務めていたマルセイユは、フランスのリーグではパリ・サンジェルマンと双璧を成す強豪で、日本人選手では、あまり試合には出れなかったが中田浩二が在籍したこともあり、現在は酒井宏樹が所属している。

野田努

NEWS