Home > Interviews > interview with Alex Paterson - “希望”と“自由”のオーブ
僕にとって自由はとても重要な意味を持つ。そういう意味で、ゲイリー・マッキノンのハッカーとしての活動に共感するのさ。イギリス人の彼は、アメリカ政府から政治的に「とんでもないヤツ」という話になって、逮捕された。そして逆に洗脳されて、アメリカ政府のためにハッキングさせられたりもした。
オーブ メタリック・スフィアーズ[Limited Edition] ソニー・ミュージック・ジャパン |
■ちなみに今回のプロジェクトの契機となった、ゲイリー・マッキノンというハッカーを支援するチャリティ・ソングへの参加について話してもらえますか? あなたは政治的な事柄に関しては、それなりに慎重な態度で接してきたと思いますが、あなたをその気にさせた理由はどこにあったのでしょうか?
アレックス:僕も歳を取ったってことさ。
■なるほど。
アレックス:もともとはチャリティー・ソングに参加して欲しいとミスター・ギルモアから話があった。そして彼はギターを弾いて帰っていった。しかし、そのあと僕とユースは余った音源を使ってアルバムを作ってしまった。ミスター・ギルモアはとてもびっくりした。なんでこんなことになっているんだ、と彼は思った。それをマネージャーが入って、なんとか話を付けた。その9ヶ月間、いろいろ僕たちのあいだで話があった。
■ゲイリー・マッキノンというハッカーに関してはどうなんですか? どんなシンパシーがあったんですか?
アレックス:共感があった。やりたいことを自由にやるという点に共感するんだよ。僕にとって自由はとても重要な意味を持つ。そういう意味で、ゲイリー・マッキノンのハッカーとしての活動に共感するのさ。イギリス人の彼は、アメリカ政府から政治的に「とんでもないヤツ」という話になって、逮捕された。そして逆に洗脳されて、アメリカ政府のためにハッキングさせられたりもした。
■なるほど。自由......ですか。先ほど、あなたの口から「希望」という言葉を聞いたときもびっくりしたんですよね。
アレックス:ありがとう。
■昔のあなたはそういう言葉をユーモアで包み隠すところがあったじゃないですか。
アレックス:んー、はははは、そうだっけ?
■逆に、あなたのなかで世界に対する危機感が募っているということでもあるんでしょうね。世界はどんどん悪くなっているっていう。
アレックス:いまの時代、希望はより持ちにくくなっていると思う。イギリスの政府を見てもそうだよ。税金をいくら使っても世のなかはよくならない。それなら国民にお小遣いとしてばらまいたほうがよほどマシだ。あと僕は音楽家だから、できれば人びとに希望を与えるようなことをしたいと思っているんだ。それが今回の方向性を決定づけているね。
■なるほど。そういえば今回トーマス・フェルマンが参加してませんね。
アレックス:彼はいまバンクーバーだかモントリオールのシンフォニーの仕事で忙しいからね。でもまたいっしょにやる可能性はあるよ。
■ユースといっしょにやった理由を教えてください。
アレックス:うん、彼は素晴らしい仕事をしてくれたな。
■あなたは20年以上にも渡ってコンスタントに作品を出し続けていますが、なぜ、それができるのでしょうか?
アレックス:この世を去ったときに、自分が生きてきた証として作品を残したいんだ。家族のためにもね。
■では最後の質問ですが、ジョン・ライドンが昨年『ガーディアン』の取材で「実はピンク・フロイドは好きだった」と告白していますよね。読みました?
アレックス:知ってる。その記事は僕も読んだ。まさか......だよね。パンクがヒッピーの音楽をぶっ壊したんだと思っていたから、その記事のジョンの発言にはホントにがっかりしたよ。
取材:野田 努(通訳:湯山恵子)(2011年1月31日)