ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. interview with Gang Gang Dance ギャング・ギャング・ダンス来日直前インタヴュー (interviews)
  2. Big Joanie - Sistahs (review)
  3. STUMM433 ──デペッシュ・モードやニュー・オーダーまで、50組以上のアーティストが「4分33秒」をカヴァー (news)
  4. Allysha Joy - Acadie : Raw (review)
  5. 山口美央子 - トキサカシマ (review)
  6. BOOMBOX&TAPES ──カセットテープ愛好家に送る豪華なジンが創刊 (news)
  7. Norhern Soul ──『ノーザン・ソウル』、この最高な映画を見たらスリムのデニムを履けなくなる (news)
  8. Mike - War in My Pen (review)
  9. 彼女は頭が悪いから - 姫野カオルコ (review)
  10. Sho Madjozi - Limpopo Champions League / Batuk - Kasi Royalty (review)
  11. Eartheater - IRISIRI (review)
  12. ZULI - Terminal (review)
  13. The Book of Drexciya ──ドレクシアの神話を描いたグラフィック・ノヴェルが制作 (news)
  14. Mark Stewart ──マーク・スチュワートによるポストパンク時代の傑作が10曲もの未発表音源付きでリイシュー (news)
  15. Anderson .Paak - Oxnard (review)
  16. Mars89 ──たったいま聴こう。東京新世代のプロデューサー、Mars89が新作をリリース (news)
  17. 資本主義リアリズム - マーク・フィッシャー 著 (review)
  18. Binkbeats ──エイフェックス“Windowlicker”のカヴァーで注目を集めた異才、ビンクビーツのCDがリリース (news)
  19. Mansur Brown - Shiroi (review)
  20. interview with How To Dress Well 愛とオルタナティヴ (interviews)

Home >  Reviews >  Album Reviews > The Orb featuring Lee Scratch Perry- The Orb featuring Lee Scratch Pe…

The Orb featuring Lee Scratch Perry

The Orb featuring Lee Scratch Perry

The Orb featuring Lee Scratch Perry present The Orbserver In The Star House

Cooking Vinyl/ビート

Amazon iTunes

北中正和   Nov 02,2012 UP
このエントリーをはてなブックマークに追加

 出自は、リー・スクラッチ・ペリーがダブでジ・オーブがテクノだが、基本的にはレゲエ・アルバムじゃないものをめざしたらしく、ジ・オーブが基本的なトラックを作り、リー・ペリーはヴォーカル/トースティングでの参加。ダブの鍵を握るミキシングは、ジ・オーブが担当した。
 それでもリー・ペリーを意識したからか、ジ・オーブにしては、ドロっとした音色のダブのサウンドが目立つ。遠心分離器にかけられて大気圏外に飛んで行きそうなそのダブのサウンドを、建築的なテクノのリズムでつなぎとめた感じとでもいうか、以前からダブの影響を受けていたジ・オーブだが、正直言って、ここまでダブ的な音を作るとは予想していなかった。

 レゲエ・アルバムでないものをめざしたとはいえ、たとえば"マン・イン・ザ・ムーン"のようにレゲエ的なベース・ラインがはっきり出てくる曲があったり、ザ・クラッシュもカヴァーした"ポリスとこそ泥"のようなレゲエ・クラシックを再演していたりする。
 また、ギター、ベース、ドラムのそれぞれのリズム、あるいはいずれかの組み合わせなど、細部を見ると、レゲエ色が濃厚に残っている。どの曲がわからないが、スタジオ・セッション中にリー・ペリーの指示したベース・ラインを使った曲もあるそうだ。

 それにリー・ペリーの語りや声質自体がレゲエ/ダブならではのアクセントや声色を持っている。ミニマルなリズムとアンビエントなサウンドにはじまり、続いてアフリカ風の打楽器が入ってくる"コンゴ"のように、レゲエから遠い曲ですら、彼の声が入ってくると空気が一変する。この曲の前の短い曲"アッシズ"に使われているモロッコのゲンブリ(ベースのように聴こえる楽器)ともども、ジャマイカの文化がアフリカとつながっていることを、ヨーロッパを介して確認することになるあたりは、このアルバムの顔合わせの妙というものだろう。

 ダブ・アーティストとしてのリー・スクラッチ・ペリーの作品では70年代の『スーパー・エイプ』が有名だが、リー・ペリーがコンソールを楽器のように扱って、踊りながらミキシングする姿はきっともう見られないのだろうな。
 とはいえ今回のアルバムでジ・オーブが用意した音楽的な要素やサウンドは『スーパー・エイプ』のころより多彩で、ダブもはるばる遠くまで来たものだ。ぼくにはクラブに足を運ぶ体力は残っていないが、しかるべき環境で大音量で聴いてみたい誘惑にかられずにいられない。

北中正和