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Home >  Interviews > interview with Epstein - ブルックリンのなかのラテン・インディ・ヒップホップ

interview with Epstein photo by Kristi Sword

interview with Epstein

ブルックリンのなかのラテン・インディ・ヒップホップ

――ロベルト・カルロス・ラング(エプステイン)、インタヴュー

   Mar 07,2011 UP

ブルックリンのクラウン・ハイツに住んでいます。ユダヤ人のコミュニティとカリビアンのコミュニティがあります。ちょっと前には人種差別の問題があったのですが、ここの人たちはすごくのんびりとした気質なので僕はすごく好きです。ユダヤの休暇時期にはユダヤの楽器が狂ったように鳴らされて、スピーカーからはユダヤの音楽が大音響で流れます。


Epstein & El Conjunto
When Man Is Full He Falls Asleep

RL66

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Epstein
Sealess Sea

Asthmatic Kitty

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住んでいるところの近所はどんな感じですか?

ロベルト:ブルックリンのクラウン・ハイツに住んでいます。ユダヤ人のコミュニティとカリビアンのコミュニティがあります。ちょっと前には人種差別の問題があったのですが、ここの人たちはすごくのんびりとした気質なので僕はすごく好きです。ユダヤの休暇時期にはユダヤの楽器が狂ったように鳴らされて、スピーカーからはユダヤの音楽が大音響で流れます。ウェストインディアンデーには家の前をパレードが24時間続きます。早朝からテントが立てられて、食べ物やアクセサリーなどを並べてパーティは1日中続き、いろんなコスチュームを着た人や山車が出て大音響で音楽を流しまくります。夜はまるでハリケーンが去ったあとのようです。ゴミが散乱してものすごい景色です。朝起きると何事も無かったかのようにすべての証拠は消え去り、みんな姿を消して、道にはいつものように車が走ります。

いまレコーディングしている歌は、住んでいるところから影響を受けているのですか?

ロベルト:意識的にも無意識にも影響は受けているでしょうね。ときどき一歩下がって何を参考にしたのかを、探し当てることもできます。ときどきは自分で作ったのにどうやって作ったのか、何で作ったのかがわからなくなって歌が自分の力で生きているような感覚になることがあります。

どれくらいの頻度でレコーディングしますか? どんなセットアップでレコーディングするのですか?

ロベルト:毎日できる限り何かをレコーディングしようと心がけています。自宅には、スピーカーとMPC 2000XLのサンプラーと、ARP OdysseyとPro Toolsと、Scullyの1/4"の2トラックとあとは適当なものがあるけど、とくに効率化を目指した内容ではありません。

エプスティン名義の前作、『ウェン・マン・イズ・フル・ヒー・フォースル・アスリープ』と最新作『シーレス・シー』のそれぞれのコンセプトを教えてください。

ロベルト:まず、『ウェン・マン・イズ・フル・ヒー・フォースル・アスリープ』ですが、このアルバムは、ファクンド・カブラル(Facundo Cabral)の名曲、"No Soy de aqui, Ni soy de all"に強い影響を受けて制作した作品で、タイトルも彼の歌詞の一部から名付けました。彼は、「歌手がひとり増えれば兵士がひとり減る」と言っています。そして、常識にとらわれず、時に視点を変えることで自分なりの見方を持ち、ポジティヴな結果を導き出すようにと語りかけます。僕は彼のメッセージに強く感動し、それを音楽で表現したのがこの作品です。
 『シーレス・シー』はそのタイトルが示すように、「海」がキーワードになっています。このアルバムは海のなかから生まれたような作品です。"Jellyfish"からはじまって、最後の"Orange in the Ocean"まで、不思議な海の生き物たちと出会いながら、海のなかを泳いで旅するような感覚を表現したかったのです。

あなたの作品における政治性について説明してください。例えば、あなたは最近のオバマ大統領をどう見ていますか?

ロベルト:実際は、政治は僕にとって、作品をつくる動機にはなりません。だから、それについての答えは、それ以上でもそれ以下でもないのです。

最後に、この先はどんなものを作る予定ですか?

ロベルト:未来を考えるとわくわくします。未来では必ず新しいものを作れるからです。毎日が何も書いていない黒板みたいです。何が起こるかはわかりませんが止まることなくやり続けることだけは知っています。

 それでは最後に、『ウェン・マン・イズ・フル・ヒー・フォースル・アスリープ』のために彼自身が書いたライナーノートを引用して、ブルックリンのラテンの断片の締めとしよう。 

 このアルバムのタイトルは、ファクンド・カブラルの"No soy de aqui, Ni soy de all"の歌詞の一部を英訳したものです。
 この曲はアルバム制作にあたり大きなインスピレーションをくれました。ポジティヴでいること、よくない出来事が起こってもそれによって得られることに目を向けること。ヴァイオレンスや悲観ばかりにフォーカスせず、何事も自分の行動の結果としてもたらされることなのだと理解すること、それを少し楽しむこと。
 ファクンド・カブラルは一節で「歌手がひとり増えれば兵士がひとり減る」と言っています。このアルバムが伝えたいことは、定説や凝り固まった考え方から少し離れてみようという声です。自分なりの答えや、ポジティヴな結果を導き出したいという、意思なのです。
 この一節の前のある部分にはこう綴られています。「わたしはこのすばらしい宇宙の一部でいられることに感動し、腹が減って眠れないことすら誇りに感じる」――ものすごいモチベーションです。同じような思いを言葉にすることは難しいので、音楽で表現することにしました。腹が減るという現象はさまざまなものに置き換えて考えることができます。それがこのアルバムを作るきっかけでした。それが今の自分が持つ精一杯の力と結びついて、このアルバムが完成しました。
 体と精神をリフレッシュするには、それが1分であれ1時間であれ1日であれ、一定の時間を要するものです。食べれば満腹になります。仕事をしたければ仕事の環境を与えられるか自分で作り出さなければなりません。考えればきりがなく、時に自意識過剰にもなりそうで、説教くさくもなりかねないことですが、このアルバムの核となる部分なのです。
 前作からこのアルバムができるまでのあいだに、クラウンハイツの小さな安売り店のほこりっぽい棚から、バージニア州のリンチバーグの先見的なレコードショップまで赴き、かき集めた素材をひとつのアイディアにまとめました。そうして作った歌は、周囲からの影響と頭のなかで作り出したことを、サンプルやシンセサイザーの音を借りて、物語にしたもの。画が浮かび上がるような感覚もあるかもしれません。
 「空腹」と「睡眠」というふたつの言葉をこのアルバムから届けたいです。どちらも毎日必要なことです。「空腹」はリヴァーブやディレイやスラップバックと合わさるフィードバック・シンセのスネアとキックのジャングルのなかを進み、やがて短めのパーカッションやフィールドレコーディングの深くてやわらかい落ち葉の上に「睡眠」が訪れます。

Translation by Kay Ichikawa

(2011年3月07日)

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