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interview with Ty Segall

interview with Ty Segall

21世紀のロックンロール考(その1)

――タイ・セガール、インタヴュー

橋元優歩    Aug 22,2011 UP

混乱や偽物の喜びというテーマのほうが強かった。自分が成長して、喜びとは何かとか、そういうのを探しているさまを表現したアルバムだと思う。

■サンフランシスコでは、あなたやガールズをはじめとして、ジー・オー・シーズやフレッシュ&オンリーズなど新しい世代のファズ・ポップやガレージ・ポップに勢いがあります。あなた自身はこのシーンをどのようにみていますか? 楽しんでいますか?

タイ:僕がいる音楽シーンは本当に大好きだよ。自分はとてもラッキーだと思っている。自分自身凄く楽しめているよ。世界の中でも最高のロック・シーンの一つだよ。


Ty Segall
Goodbye Bread

Drag City /Pヴァイン

Amazon iTunes Review

■"コンフォータブル・ホーム"などはプレ・ガレージ的なヴィンテージな味わいがあり、あなたの過去の作品はストゥージズと比較されたりもしますが、前作『メルティッド』はそうしたレトロスペクティヴな音を通過して、あなた自身のオリジナルなリヴァーブ・ポップが完成したように感じました。そして今作『グッバイ・ブレッド』はよりメロディや歌が大切にされている印象を受けました。あなたのなかで、過去の作品と『グッバイ・ブレッド』のあいだにはどのような差異がありますか?

タイ:うん、たしかに『グッバイ・ブレッド』はよりメロウでそこまでパンクなレコードじゃないと思っているよ。いままでのやり方と全然違ったから、このアルバムを作るのはとっても楽しかった。ペースを落として、ゆったりさせるのがいまやるべきことだと感じたしね。とはいえ、またアグレッシヴで爆音のアルバムを次に作る準備はできているよ!

■今作からバンド編成ですが、女性おふたりはどのような経緯でメンバーになったのですか

タイ:エミリーは昔から知っているよ。大学生の頃からだね。デニーは元彼女だよ。彼女は今一緒にプレイはしていないけど、まだ親しいよ。

■ふたりは曲作りに関わっていますか?

タイ:残念ながら曲は全部僕が書いているよ。

■『メルティッド』のジャケの絵や『グッバイ・ブレッド』のジャケの犬は自己像ですか? あなたはよく顔を振って写真にうつったり、今作も犬の顔がくしゃくしゃにゆがんで写っていますが、こうした顔を用いた表現は自分の存在についてのセルフ・イメージだと考えてもよいですか?

タイ:そうだね。『メルティッド』のジャケは、自分がモンスターだったら、という表現のつもりだったんだ。今回の犬はアルバム全体の主観を表した画だと思うよ。

■あなたの詞はとても皮肉がきいていて、"カリフォルニア・コマーシャル"などは、カリフォルニアに対する屈折した愛を感じます。今作にはラヴ・ソングもいくつかありますがどれも少し苦く、思索的で、2ミニット・ポップの単純さから一歩踏み込んでいます。こうした「愛」をめぐるテーマやモチーフがあったのですか?

タイ:『グッバイ・ブレッド』は、どちらかというと混乱や偽物の喜びというテーマのほうが強かったかな。自分が成長して、喜びとは何かとか、そういうのを探しているさまを表現したアルバムだと思うな。

■『グッバイ・ブレッド』でいちばん大切にしていることをおしえてください。

タイ:歌詞だね。

■あなたの曲はとても短い。6分の曲を作るとしたらどのようなものになりますか?

タイ:ホークウィンドみたいな感じにすると思うよ。

■また、今後(次作以降)の展開として、いままでと異なる方法や音を模索したりしていますか?

タイ:そうだね、超ヘヴィーにしたいと思っているよ。

チルウェイヴという言葉自体、自分には意味がよく分からないんだ。ロックンロールでいいじゃないか!

■〈キャプチャード・トラックス〉や〈ウッドシスト〉といったレーベルは日本でも人気がありますが、あなた自身の音とも共通するところが多いと思います。こうしたローファイ・ミュージックが支持されることについてあなたはどう思っていますか。

タイ:すごく良いことだと思う!

■アメリカには豊穣なサイケデリック・ロックの土壌と歴史があり、またいまでも多数のバンドが存在しています。あなたの好きなバンドを教えてください。また、あなたにとってサイケデリック・ロックとはどのようなものですか?

タイ:レッド・クレヨラ、13thフロア・エレヴェーターズ、ラヴとかが大好きだね。自分が別の場所に飛んでいける意味で、他の音楽とくらべて僕にとっては大切な気がするんだ。

■ミランダ・ジュライなど個性的なアーティストが集まるというアートスペース「スメル」は、あなた自身もゆかりの深い場所だそうですが、どのようなところでしょう?そこでの印象深いエピソードなどがあったら教えてください。

タイ:「スメル」に通って育ったからね。自分にとってはとても大切な場所だよ。あそこがあったから、自分も音楽を作りたいと思えたんだ。

■「スメル」のようなコンセプトは世界を変えられますか?

タイ:残念ながらそれは違うと思う。何人かは変えたと思うし、これからも何人かの人生は大きく変えると思う。でもそこが良いとこなんじゃないかな。

■サンフランシスコのキッズは他に何を聴いているのですか?

タイ:Culture KidsとMikal Cronin!

■あなたをふくめ、最近はカセットや7"などアナログ・メディアのリリースを好む若いアーティストが多いですが、あなた自身がこれらを好む理由を教えてください。

タイ:アナログ作品の不完全さが好きなんだ。それゆえに生まれるあの温もりがね。

■あなたの音がチルウェイヴと呼ばれるとしたらどうですか?

タイ:爆笑すると思うよ。チルウェイヴという言葉自体、自分には意味がよくわからないんだ。ロックンロールでいいじゃないか!


誰のゲームだって?
俺たちみんなのゲームだから
今日は俺とゲームしないかい?
それに俺たちがいなくなったら
いったい誰が歌う?
だからいっしょに歌おうぜ
"グッバイ・ブレッド"

橋元優歩(2011年8月22日)

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